説明

電線管

【課題】建物の壁や天井の内部に配設されていても、布設情報を確実且つ簡単に知ることができる電線管を提供する。
【解決手段】ケーブル12を収容して建物14内部に布設されるものであって、その長手方向の任意の位置に、布設情報を記録したICタグ16を装着した。ICタグ16に記録される布設情報としては、電線管18の長さ、布設位置、製造者、製造年月日、規格、仕様、リサイクル、リユース情報等の電線管18に関する情報や、電線管18の中に収容されるケーブル12の長さ、製造者、製造年月日、規格、仕様、リサイクル、リユース情報等のケーブル12に関する情報がある。それらを組み合わせた情報でもよい。電線管18にICタグ16を装着しておくことによって、電線管18が住宅壁のどの部分に配置されている等が外部から即座に確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線工事の効率化を図る電線管に関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブル、通信ケーブル等のケーブル(電線を含む。以下同じ。)を建物の壁や天井の内部に配線する場合に、電線管を使用する方法がある(特許文献1参照)。電線管は、金属管やプラスチックパイプ等からなり、建物の建築時に床や側壁等の内部へ埋め込まれる。戸建住宅には、プラスチックコルゲートパイプ等を簡易な電線管として埋め込むことが行われている。マンション等に使用されるコンクリート壁バネルには、電線を直接埋め込むものと電線管を埋め込むものとが採用されている。
【特許文献1】特開平9−46836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の技術には、次のような解決すべき課題があった。
電線管は、両端の開口部の所在が明確であれば、ケーブルの入れ替え等は容易である。しかしながら、例えば、建物が古くなると、設計図面が紛失したり、途中で変更工事がされたりするため、電線管の埋設位置や両端の開口部の所在が分かり難くなる。また、例えば、エアコン取り付け作業では、壁に貫通孔を開けるが、埋設されている電線管を破損してしまう危険性もある。リフォーム工事等では、さらにその危険性が高い。
【0004】
本発明は、以上の点に着目してなされたもので、建物の壁や天井の内部に配設されていても、布設情報を確実且つ簡単に知ることができる電線管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
ケーブルを収容し建物内部に布設されるものであって、その長手方向の任意の位置に、布設情報を記録したICタグを装着したことを特徴とする電線管。
【0006】
ケーブルは電線を含むものとする。また、建物内部に布設されるものとは、例えば、一般住宅の壁や天井にケーブルを埋設することを含むものである。この場合に可撓性の良好なコルゲートパイプが電線管として多用されている。この電線管にICタグを装着しておくことによって、例えば、電線管が住宅壁のどの部分に配置されているか等が、外部から即座に知ることができる。
【0007】
〈構成2〉
構成1記載の電線管において、上記布設情報は、電線管の長さ、布設位置、製造者、製造年月日、規格、仕様、リサイクル、リユース情報のいずれかの情報を含むものであることを特徴とする電線管。
【0008】
構成2におけるICタグに記録する布設情報は、電線管に関する情報である。ICタグに、例えば、電線管の長さを示す情報が記録されていると、挿通するのに必要なケーブルの長さを予め確認でき作業効率が高まる。
【0009】
〈構成3〉
構成1に記載の電線管において、上記布設情報は、電線管に収容されるケーブルの長さ、製造者、製造年月日、規格、仕様、リサイクル、リユース情報のいずれかの情報を含むものであることを特徴とする電線管。
【0010】
構成3におけるICタグに記録する布設情報は、ケーブルに関する情報である。布設されている複数の電線管のすべてに、ケーブルが収容されているとは限らない。将来収容するために、現在、空にしておく場合もある。構成3の布設情報をみることによって、ケーブルが収容されているかどうかも即座に分かる。
【0011】
〈構成4〉
構成1または2に記載の電線管において、上記ICタグは、電線管の少なくとも両端の開口部近傍に取り付けられていることを特徴とする電線管。
【0012】
ICタグが電線管の所定位置に取り付けられていることによって、ICタグに記録された布設情報を簡単に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明では、電線管に収容されたケーブルあるいは電線管自体の補修工事のときや、各種の工事に際し、当該ケーブルあるいは電線管の各種のデータ情報をリアルタイムで読み出し可能にした情報入力可能なICタグを利用するものである。
以下、本発明の実施の形態を実施例ごとに詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1の電線管を示す説明図、図2は図1の一部を拡大して示す断面図、図3は電線管の変形例を示す説明図である。
図1に示すように、本発明の電線管18は、電力ケーブルや通信ケーブル等のケーブル12を配線するために住宅の壁14や天井内に布設されるもので、その長手方向の任意の位置、例えば電線管18の一端部に、布設情報を記録したICタグ16を装着したものである。電線管18がコネクタ箱17に接合されているときは、図2に示すように、ICタグ16をコネクタ箱17内に位置するようにして保護するとよい。
【0015】
ICタグ16に記録される布設情報としては、電線管18の長さ、布設位置、製造者、製造年月日、規格、仕様、リサイクル、リユース情報等の電線管18に関する情報や、電線管18の中に収容されるケーブル12の長さ、製造者、製造年月日、規格、仕様、リサイクル、リユース情報等のケーブル12に関する情報がある。それらを組み合わせた情報でもよい。
【0016】
電線管18としては、図3に示すように、可撓性の良好なプラスチック製のコルゲートパイプでもよく、端部の開口部近傍にICタグ16が装着される。ICタグ16を予め定められた位置に取り付けられていることによって、ICタグ16に記録された布設情報を簡単に読み取ることができる。
【0017】
図4は、布設された電線管18の端部に装着されたICタグ16から布設情報を読み取っている状況を示す説明図である。
図4に示すように、電線管18の端部のコネクタ箱17に、情報読取り装置22を近づけて電線管18の端部に装着したICタグ16に記録されている布設情報を、コネクタ箱17の外側から読み取ることができる。
【0018】
図5は、電線管18の端部に装着されたICタグ16と情報読取り装置22の説明図である。
図5に示すように、ICタグ16には、アンテナ25、送信機27、受信機28、及び布設情報29が設けられている。アンテナ25は、送信用と受信用の両方に使用される。受信機28で問い合わせ信号32を受信すると、送信機27が動作し、布設情報29を含む応答信号31を送信する。
【0019】
情報読取り装置22は、電線管18の端部に装着されたICタグ16に対し、問い合わせ信号32を送信する機能を持つ。送信機41は、この問い合わせ信号32を送信する。受信機42は、電線管18のICタグ16から送信された応答信号31を受信し、これを制御装置45に送り込む。制御装置45は、布設情報29の内容をディスプレイ47に表示する。ディスプレイ47は、情報読取り装置22に取り付けられた液晶表示装置などからなる。
【0020】
また、読取りの結果は、様々な付属情報と共に、記憶装置46に記憶される。すなわち、記憶装置46には、すべてのICタグ16から受信した応答信号31や布設情報29の内容が記憶される。この情報は、後で様々な解析に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の電線管を示す説明図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】電線管の変形例を示す説明図である。
【図4】電線管端部に装着されたICタグから布設情報を読み取ってる状況を示す説明図である。
【図5】電線管端部に装着されたICタグと情報読取り装置の説明図である。
【符号の説明】
【0022】
12 ケーブル
14 壁
16 ICタグ
17 コネクタ箱
18 電線管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを収容し建物内部に布設されるものであって、
その長手方向の任意の位置に、布設情報を記録したICタグを装着したことを特徴とする電線管。
【請求項2】
請求項1記載の電線管において、
前記布設情報は、電線管の長さ、布設位置、製造者、製造年月日、規格、仕様、リサイクル、リユース情報のいずれかの情報を含むものであることを特徴とする電線管。
【請求項3】
請求項1に記載の電線管において、
前記布設情報は、電線管に収容されるケーブルの長さ、製造者、製造年月日、規格、仕様、リサイクル、リユース情報のいずれかの情報を含むものであることを特徴とする電線管。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電線管において、
前記ICタグは、電線管の少なくとも両端の開口部近傍に取り付けられていることを特徴とする電線管。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−50729(P2006−50729A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226219(P2004−226219)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【Fターム(参考)】