説明

電解質用材料

【課題】初期特性における高容量と低ESRとを両立する電解質用組成物を提供する。
【解決手段】電解質用組成物が、導電性高分子モノマーおよびイオン液体を含有し、導電性高分子モノマーがピロール、アニリン、チオフェンであり、イオン液体成分が、特定の一般式で現れるアニオンとアンモニウムイオン、イミダゾリニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピラジニウムイオン等のカチオンを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性高分子モノマーとイオン液体成分からなる電解質用材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電解コンデンサはアルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁金属を陽極金属とし、その表面に形成された酸化皮膜を誘電体として用いたもので、表面積を大きくするエッチング技術と組合せ、大容量のものが容易に得られることを特徴とする。
【0003】
電解コンデンサでは、酸化皮膜は破損しやすいため、それを修復する機能を有する電解質が使用される。例えば、従来のアルミ電解コンデンサでは、有機または無機の塩を有機溶媒に溶解した電解液が使用されてきた。従来のタンタル電解コンデンサでは、硝酸マンガンの熱分解によって得られる二酸化マンガンが使用されてきた。しかし、これら電解質は電気伝導度が低い。その結果、電解コンデンサは高周波特性に劣ってしまう。
【0004】
近年、周波数特性を向上させたものとして導電性高分子を電解質として用いた電解コンデンサが開発され、その優れたインピーダンス特性により市場を拡大しつつある。
【0005】
当該電解コンデンサは、典型的には、固体であるポリピロールあるいはポリチオフェン誘導体等の導電性高分子を電解質として用いたものである。これらの導電性高分子は、通常の液体電解質と比べてその電気伝導度(すなわち電子伝導性)がはるかに高い。そのため、このような導電性高分子を電解質とするコンデンサでは内部インピーダンスを低減する事ができ、特に高周波回路用コンデンサとして優れた特性を発揮する。
【0006】
しかしながら、いずれの導電性高分子コンデンサにおいても、電解質が液体から固体になったことで、電極細孔部への電解質の充填が不十分となり、電極/電解質の接触面積が低下し、結果として従来の電解液を用いたコンデンサよりも容量発現率が低下する事が問題となる。
【0007】
この様な問題点を解決するために、本発明者らはイオン液体が従来の電解液と同様に振る舞う事を期待し、イオン液体と導電性高分子とからなる電解質を用い、容量発現率の向上を図っている(特許文献1)。ただし、本質的にイオン液体は電子伝導性を有していない。電解液中のイオン液体の添加量を増やすと、コンデンサのESRが増加してしまう問題がある。高い容量発現率と低ESRとを両立させられる電解質が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2006/088033号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、初期特性における高容量と低ESRとを両立する電解質用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
イオン液体と導電性高分子とからなる電解質を導電性高分子電解コンデンサに用いると、イオン液体は本質的に電子伝導性を有しないため、電解質中では絶縁体として振舞う。電解質におけるイオン液体の添加量を増やすと、コンデンサのESR(インピーダンス)の増大を招いてしまう。本発明者らは容量発現率とESRとの相反する特性を改善すべく研究を重ねた結果、ある種のアニオンを有するイオン液体ではESRの増大が著しく低く抑えられることを見出した。ただし、電解質としてESRの増大は抑えられるものの、容量発現率が悪い場合がある。そこで、更なる検討を重ねたところ、異なるアニオン種のイオン液体を複数混合することでバランスのとれたコンデンサ特性を与える電解質が形成できることを突き止め本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、以下の〔1〕〜〔7〕である。
[1] 導電性高分子モノマーおよびイオン液体を含有する電解質用組成物であって、イオン液体成分が一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン液体、
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、R1は水素原子、直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基を表す。)
一般式(2)で表されるアニオンを有するイオン液体、
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R2は置換基を有していてもよいC6〜C20のアリール基を表す。)及び
一般式(3)で表されるアニオンを有するイオン液体、
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、R3は水素原子、直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基、置換基を有していてもよいC6〜C20のアリール基を表す。)
からなる群から選択される2種以上を含む、電解質用組成物、
[2] イオン液体成分が前記一般式(3)に表されるアニオンを有するイオン液体を含む、上記[1]に記載の電解質用組成物、
[3] イオン液体が、アンモニウムイオン、イミダゾリニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、トリアゾニウムイオン、トリアジニウムイオン、トリアジンイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、インドリニウムイオン、キノキサリニウムイオン、ピペラジニウムイオン、オキサゾリニウムイオン、チアゾリニウムイオン、モルフォリニウムイオン、ピペラジンイオン及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種のカチオンを有する、上記[1]または[2]に記載の電解質用組成物、
[4] 前記カチオンが、イミダゾリニウムイオン及びこれらの誘導体である、上記[3]に記載の電解質用組成物、
[5] 導電性高分子モノマーがピロール、アニリン、チオフェンおよびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の電解質用組成物、
[6] イオン液体成分が、導電性高分子モノマーに対して0.05モル当量以上1.5モル当量以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の電解質用組成物、
[7] 請求項1に記載の一般式(1)〜(3)で表されるアニオンを有するイオン液体からなる群から選択される2種以上と導電性高分子とを有するコンデンサ、
[8] 上記[1]〜[6]のいずれかに記載の電解質用組成物を用いたコンデンサ。
[9] コンデンサが、導電性高分子アルミ電解コンデンサ、導電性高分子タンタエル電解コンデンサ、導電性高分子ニオブ電解コンデンサのいずれかである、上記[7]または[8]のコンデンサ。
に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電解質用組成物は、初期特性における高容量と低ESRとを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例におけるインピーダンス測定に用いた水銀セルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
本発明において用いられるイオン液体成分について説明する。
【0022】
本発明は、後述する一般式(1)〜(3)に表されるアニオンを有するイオン液体の内少なくとも2種含有するイオン液体成分を使用することを特徴とする。一般式(1)〜(3)に表されるアニオンを有するイオン液体を2種以上混合して導電性高分子モノマーに混合することで、初期特性における高容量と低ESRとを両立することができる。
【0023】
一般的に、イオン液体は、通常の有機溶媒のように一部がイオン化・解離しているのではなく、イオンのみから形成され100%イオン化していると考えられている。本発明においても、イオン液体は、常温溶融塩ともいわれる、イオンのみから構成されているにも関わらず常温で液体であるものを指す。
【0024】
通常、イオン液体はカチオンとアニオンとの組み合わせから構成される。本発明で使用されるイオン液体には、一般式(1)〜(3)に表されるアニオンと公知のカチオンとが対になって常温で液体の塩が使用される。
【0025】
本発明で使用されるイオン液体の一つは、下記一般式(1)で表されるアニオンを有する。
【0026】
【化4】

【0027】
一般式(1)においてR1は、水素原子、またはC1〜C20のアルキル基を表す。C1〜C20のアルキル基は、環を形成していてもよいし、置換基を有していてもよい。
【0028】
本発明において「置換基を有し」とは、他の原子あるいは置換基によって置換されることを示す。「置換基」とは、本発明の効果に影響を与えない限り特に限定されるものではなく、具体的には、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0029】
1〜C20のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えばメチル基、ヒドロキシメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、などを挙げることができ、またこれらのアルキル基の水素原子が任意の数だけフッ素原子で置換されたものを挙げることができる。コンデンサ容量が大きくなりやすい点で、C1〜C5のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは、エチル基、メチル基、及びエチル基、メチル基の水素原子をフッ素原子に置換されたものがあげられる。
【0030】
本発明で使用されるイオン液体の一つは、下記一般式(2)で表されるアニオンを有する。
【0031】
【化5】

【0032】
一般式(2)においてR2は、C6〜C20のアリール基を表す。C6〜C20のアリール基は置換基を有していてもよい。
【0033】
6〜C20のアリール基としては、例えば、フェニル基,ナフチル基,アントリル基,フェナントリル基,テルフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基などが挙げられる。コンデンサ容量が大きくなりやすい点で、C6〜C10のアリール基であることが好ましく、より好ましくは、フェニル基、n―メチルフェニル基、n―エチルフェニル基、n−メチルナフチル基があげられる。
【0034】
本発明で使用されるイオン液体の一つは、下記一般式(3)で表されるアニオンを有する。
【0035】
【化6】

【0036】
一般式(3)において、R3は水素原子、C1〜C20のアルキル基、C6〜C20のアリール基を表す。C1〜C20のアルキル基は環を形成していてもよいし、置換基を有していてもよい。C6〜C20のアリール基は置換基を有していてもよい。
【0037】
1〜C20のアルキル基は、一般式(1)のR1のC1〜C20のアルキル基と同様である。C6〜C20のアリール基は一般式(2)のR2のC6〜C20のアリール基と同様の構造があげられる。コンデンサ容量が大きくなりやすい点で、C1〜C5のアルキル基またはC6〜C20のアリール基が好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基があげられる。
【0038】
本発明で使用されるイオン液体は、一般式(1)〜(3)に表されるアニオンを有すればよい。これらアニオンと対にさせるカチオンは特に種類を問わない。アニオンとしては、公知のアニオンを使用することができ、例えばアンモニウムイオンおよびその誘導体、イミダゾリニウムイオンおよびその誘導体、ピリジニウムイオンおよびその誘導体、ピロリジニウムイオンおよびその誘導体、ピロリニウムイオンおよびその誘導体、ピラジニウムイオンおよびその誘導体、ピリミジニウムイオンおよびその誘導体、トリアゾニウムイオンおよび誘導体、トリアジニウムイオンおよびその誘導体、トリアジンイオンおよびその誘導体、キノリニウムイオンおよびその誘導体、イソキノリニウムイオンおよびその誘導体、インドリニウムイオンおよびその誘導体、キノキサリニウムイオンおよびその誘導体、ピペラジニウムイオンおよびその誘導体、オキサゾリニウムイオンおよびその誘導体、チアゾリニウムイオンおよびその誘導体、モルフォリニウムイオンおよびその誘導体、ピペラジンイオンおよびその誘導体が挙げられる。イミダゾリウムを用いるイオン液体が、耐酸化性に強い事から、イミダゾリウム誘導体が好ましい。
【0039】
イミダゾリウム誘導体としてはジエチルイミダゾリウム、エチルブチルイミダゾリウム、ジメチルイミダゾリウムが好ましく、特に好ましくはエチルメチルイミダゾリウム、メチルブチルイミダゾリウムである。
【0040】
本発明のイオン液体成分は、一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン液体、一般式(2)で表されるアニオンを有するイオン液体、および一般式(3)で表されるアニオンを有するイオン液体からなる群から二種以上を選択、混合することにより調製される。
【0041】
コンデンサ容量が大きくなり易い点から、イオン液体成分には、一般式(3)で表されるアニオンを有するイオン液体を含有することが好ましい。中でも低いESRが得られる点から、一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン液体と一般式(3)で表されるアニオンを有するイオン液体とを混合することが,より好ましい。
【0042】
本発明において、各一般式(1)〜(3)で表されるアニオンを有するイオン液体については、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0043】
本発明において用いられる導電性高分子モノマーは、重合して導電性高分子を与え得るモノマーをいう。本発明において用いられる導電性高分子モノマーは、特に制限されるものではないが、例えばチオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体などのポリマーが挙げられる。
【0044】
チオフェン誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン(アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など)、フルオロフェニルチオフェン、アリルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−クロロチオフェン、3−アセチルチオフェンなどが挙げられる。
【0045】
ピロール誘導体としては、例えば、3−メチルピロール、1−(ジメチルアミノ)ピロールなどが挙げられる。
【0046】
アニリン誘導体としては、例えば、o−トルイジン、m−トルイジン、1,3−ベンゼンジアミン、1,2−ベンゼンジアミン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、2−アミノベンゾニトリル、3−アミノベンゾニトリル、3−ビニルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2−(アミノメチル)アニリン、4−メチル−1,2−ベンゼンジアミン、2−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、4−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、2,3−ジアミノフェノール、5−フルオロ−2−メチルアニリン、2−フルオロ−5−メチルアニリン、3−フルオロ−2−メチルアニリン、2−クロロアニリンなどが挙げられる。
【0047】
ポリマーの導電性が高く、かつ空気中で安定であることからは、チオフェンおよびその誘導体、またはピロールおよびその誘導体が好ましく、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはピロールがより好ましい。導電性および耐熱性の観点からは、チオフェンおよびその誘導体が好ましく、3,4−エチレンジオキシチオフェンが特に好ましい。
【0048】
本発明においては、導電性高分子モノマーを1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0049】
使用されるイオン液体成分の量は特に制限されるものではないが、イオン液体は、イオン伝導性はあるが電子伝導性を有さないため、コンデンサ電解質においては絶縁体として振舞う。つまり、過剰量のイオン液体を添加するとESR特性が悪化するため、添加されるイオン液体成分のモル量は導電性高分子モノマーに対して2倍以下であることが好ましい。さらにイオン液体成分と導電性高分子モノマーのモル比は、得られたコンデンサが容量発現率及びESR特性において良好な結果を与えるものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは導電性高分子モノマー:イオン液体=1:0.05〜1.5である。イオン液体が0.05以上であると容量発現率が優れ、1.5以下であればESR特性が優れる。0.05以下であると、容量発現率の効果が低くなる傾向があり、1.5以上であるとESRが高くなる傾向があるため、好ましくない。特に好ましくは0.1以上1以下であり、0.3以上0.7以下が最も好ましい。
【0050】
本発明の電解質用組成物は、その他成分として、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、三級アミンおよび有機酸、イミダゾリウム塩、などの添加物を含有させることができる。添加物はその陽極酸化能力がイオン液体の陽極酸化能力にプラスされることになり、電解質としての能力はより高いものになる。
【0051】
導電性高分子コンデンサは、アルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁金属を陽極金属とし、その表面に形成された酸化皮膜を誘電体として用いたもので、電解質としてポリピロール、ポリアニリン、ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子を使用しており、周波数特性に優れるコンデンサである。
【0052】
本発明のコンデンサは、一般式(1)〜(3)で表されるアニオンを有するイオン液体からなる群から選択される2種以上のイオン液体と導電性高分子とを有すればよい。
【0053】
本発明のコンデンサの好ましい一態様として、電解質として本発明の電解質用組成物により形成させたものを有する形態が挙げられる。
【0054】
導電性高分子電解コンデンサとしては、具体的には導電性高分子アルミ電解コンデンサ、導電性高分子タンタル電解コンデンサ、導電性高分子ニオブ電解コンデンサが挙げられる。
【0055】
導電性高分子アルミ電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回した巻回型タイプ、陽極箔上に電解質層、グラファイト層、銀ペースト層をこの順に重ねた陽極を積層させた層と陰極導体層とからなるチップ積層タイプが存在する。
【0056】
導電性高分子タンタルコンデンサ、導電性高分子ニオブコンデンサは、それぞれタンタル、ニオブの多孔質焼結体からなる陽極と、例えばグラファイト層、銀ペースト層をこの順に重ね、銀ペースト層より陰極を引き出した構造である。
【0057】
本発明の電解質用組成物は、何れの構造にも適用可能である。本発明の電解質用組成物を使用した電解質の形成は、化学重合において作製することもできるし(化学重合法)、電解重合により作製することもできる(電気重合法)。
【0058】
電解質形成において、電解質用組成物を用いるのは必須であるが、イオン液体を電極に塗布させた後に、化学重合法、電解重合法によって電解質を形成させてもよいし、化学重合法、電解重合法によって電解質を形成させた後に、イオン液体を電極に塗布させても良い。
【0059】
化学重合法は、適切な酸化剤の存在下で、導電性高分子モノマーを重合し合成する方法である。
【0060】
酸化剤としては、例えばパラトルエンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、n−ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄、過硫酸塩、過酸化水素、ジアゾニウム塩、ハロゲン及びハロゲン化物、あるいは鉄、銅、マンガン等の遷移金属塩が使用できる。化学重合により合成された導電性高分子は、酸化剤のアニオンがドーバントとして重合過程でポリマー中に取り込まれることにより、一段階の反応で導電性を有するポリマーを得る事ができることから、ドーパントとしての移動度の高いパラトルエンスルホン酸イオンを含むパラトルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤として用いることが好ましい。
【0061】
化学重合法の場合、本発明の電解質用組成物に酸化剤を加えることが好ましい。本発明の電解質用組成物に酸化剤を加える場合は、溶剤を加えて粘度、濃度を調整してもよい。化学重合法で用いられる溶媒としては公知のもので良く、特に限定されるものではない。例えばメタノール、エタノール、ブタノール、ジエチレングリコール、2−プロパノール、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、THF、DMF、アセトニトリル、DMSO、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどが挙げられる。イオン液体および導電性高モノマーとの相溶性の観点から、好ましくはブタノールである。
【0062】
化学重合法においては、本発明の電解質用組成物に任意成分として例えば界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、アルキルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。中でも、初期のポリマー導電率が高く、高温雰囲気下での導電率の低下が少ない点からドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。
【0063】
重合条件は公知の重合条件で良く、温度範囲は−50℃〜200℃が好ましく0℃〜180℃がより好ましい。
【0064】
重合時間は、適宜設定できるが、1分〜24時間が好ましく、1分〜5時間がより好ましい。化学重合は複数回繰り返してもよい。
【0065】
電解重合法は、導電高分子モノマーを溶媒に溶解し、陽極酸化することにより導電性高分子を脱水素重合する方法である。電解重合法は、例えば、ピロールモノマーを支持電解質と共に溶媒に溶解し、陽極酸化する事により脱水素重合する方法で、陽極上に導電性高分子であるポリピロールを析出させることができる。一般的に、ポリマーの酸化還元電位はモノマーに比べて低いため、重合過程でさらにポリマー骨格の酸化が進み、それに伴って支持電解質のアニオンがドーバントとしてポリマー中に取り込まれる。電解重合においては、こうしたメカニズムにより、後でドーバントを加えなくても、導電性を有するポリマーが得られるという利点がある。また、イオン性液体中で電解重合を行うとイオン性液体のアニオン成分がドーバントとして導電性高分子に取り込まれる場合があり、本発明の目的には特に好ましい。電解重合法で導電性高分子を合成する場合には、弁金属上の酸化皮膜が誘電体なので、その誘電体上にあらかじめ導電性の皮膜を形成して導電化しておき、給電電源から電流または電圧を印加して電解重合を行う。この様な目的に用いられる導電性皮膜としては化学重合により合成された導電性高分子や熱分解二酸化マンガンなどを用いる事ができる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0067】
(イオン液体)
実施例および比較例で使用したイオン液体および塩は以下のとおりである。
【0068】
・[emim][AcO](1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート、アルドリッチ製)
【0069】
【化7】

【0070】
・[bmim][TFA](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテート、メルク製)
【0071】
【化8】

【0072】
・[bmim][BA](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ベンゾエート)
【0073】
【化9】

【0074】
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート50%水溶液(4000mg、9.98mmol)を3口メスフラスコに加え、0℃に冷却した。その後、安息香酸(1219mg、9.98mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタンを加え、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、薄褐色の油状物を1824.2mg得た。(収率70%)
得られた油状物をNMR分析したところ、上記式(6)に示す目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ0.90(t、3H)、1.28−1.35(m、2H)、1.76−1.87(m、2H)、4.06(s、3H)、4.27(t、2H)、7.14(d、2H)、7.27−7.34(m、3H)、8.07−8.10(m、2H)、11.39(s、1H)
・[bmim][CA](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム カプリレート)
【0075】
【化10】

【0076】
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート50%水溶液(5.00g、12.48mmol)を3口メスフラスコに投入し、0℃に冷却した。その後、カプリル酸(1.80g、12.48mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタンを加え、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、黄色の油状物を2.20g得た。(収率62%)
得られた油状物をNMR分析したところ、上記式(7)に示す目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ0.83−0.92(m、7H)、1.21−1.29(m、11H)、1.38(m、2H)、1.73−1.78(m、2H)、3.85(s、3H)、4.17(t、2H)、7.72(s、1H)、7.79(s、1H)、9.39(s、1H)
・[bmim][PA](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム フェニルアセテート)
【0077】
【化11】

【0078】
クロマトカラム管にAmberlite IRA400(OH)(140mL)を加え、1NNaOH水溶液(2.5L)を流しAmberlite IRA400(OH)を活性化させた後、ろ液が中性になるまで純水(1.5L)を流した。1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(5.0g、28.63mmol)に純水(50mL)を加えて溶解させた後、これを先ほど活性化したAmberlite IRA400(OH)に通し、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド水溶液を得た。フェニル酢酸(3.9g、28.63mmol)に純水(200mL)とTHF(100mL)を加え、均一溶液にした後、これに1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド水溶液をゆっくり滴下し、0℃で12時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮し、得られた残渣にアセトニトリル(90mL)とメタノール(10mL)を加えて0℃で30分間攪拌した。ろ液を濃縮して減圧加熱乾燥することで、薄黄色の油状物を8.0g得た。(収率100%)
得られた油状物をNMR分析したところ、上記式(8)に示す目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(DMSO−d6、300MHz)δ0.89(t、3H)、1.21−1.28(m、2H)、1.70−1.77(m、2H)、3.23(s、2H)、3.83(s、3H)、4.15(t、2H)、7.09−7.19(m、5H)、7.70(s、1H)、7.77(s、1H)、9.29(s、1H)
・[bmim][PP](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム 3−フェニルプロピオネート)
【0079】
【化12】

【0080】
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート50%水溶液(6.0g、14.98mmol)を3口メスフラスコに投入し、0℃に冷却した。その後、4−フェニル酢酸(2.4g、14.98mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタンを加え、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、黄色の油状物を4.4g得た。(収率98%)
得られた油状物をNMR分析したところ、上記式(9)に示す目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ0.94(t、3H)、1.32−1.39(m、2H)、1.82−1.87(m、2H)、1.95−2.01(m、2H)、2.30(t、2H)、2.68(t、2H)、4.06(s、3H)、4.29(t、2H)、7.07−7.27(m、7H)、11.68(s、1H)
・[bmim][NA](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ナフチルアセテート)
【0081】
【化13】

【0082】
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート50%水溶液(6.0g、14.98mmol)を3口メスフラスコに投入し、0℃に冷却した。その後、1−ナフタレン酢酸(2.7g、14.98mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタンを加え、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、黄色の油状物を5.0g得た。(収率100%)
得られた油状物をNMR分析したところ、上記式(10)に示す目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(DMSO−d6、300MHz)δ0.88(t、3H)、1.19−1.26(m、2H)、1.70−1.75(m、2H)、3.59(s、2H)、3.81(s、3H)、4.12(t、2H)、7.22−7.44(m、4H)、7.64−7.76(m、3H)、7.80−7.83(m、1H)、8.15−8.18(m、1H)、9.36(s、1H)
・[emim][LA](1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ラクテート、アルドリッチ製)
【0083】
【化14】

【0084】
・[emim][MA](1−エチル−3−メチルイミダゾリウム マンデレート)
【0085】
【化15】

【0086】
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート50%水溶液(6000mg、17.42mmol)を3口メスフラスコに投入し、0℃に冷却した。その後、マンデル酸(2615mg、17.42mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタンを加え、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、薄褐色の油状物を4560mg得た。(収率100%)
得られた油状物をNMR分析したところ、上記式(12)に示す目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ1.38(t、3H)、3.81(s、3H)、4.16(q、2H)、4.39(s、1H)、7.11−7.22(m、2H)、7.33−7.36(m、3H)、7.69(s、1H)、7.77(s、1H)、9.24(s、1H)
・[bmim][MA](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム マンデレート)
【0087】
【化16】

【0088】
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボネート50%水溶液(5000mg、12.48mmol)を3口メスフラスコに投入し、0℃に冷却した。その後、マンデル酸(1899mg、12.48mmol)の水溶液をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。反応溶液をそのまま濃縮して溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にジクロロメタンを加え、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、薄褐色の油状物を3622.3mg得た。(収率100%)
得られた油状物をNMR分析したところ、上記式(13)に示す目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ0.93(t、3H)、1.29−1.34(m、2H)、1.74−1.79(m、2H)、3.84(s、3H)、4.10(t、2H)、4.92(s、1H)、7.04(s、1H)、7.14−7.26(m、1H)、7.23−7.26(m、3H)、7.54(d、2H)、10.74(s、1H)
・[bmim][TFSI](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(パーフルオロメチルスルホニル)イミド、関東化学製)
【0089】
【化17】

【0090】
・[bmim][BF4](1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、メルク製)
【0091】
【化18】

【0092】
(ESR測定)
図1に示す水銀セルを用いて、コンデンサのESRの測定を行なった。装置には、日置電気社製のLCRメータ3522−50を用い、100kHzのESRの値を測定値とした。
【0093】
(容量測定)
図1に示す水銀セルを用いて、コンデンサの容量測定を行なった。装置には、日置電気社製のLCRメータ3522−50を用い、120Hzの容量の値を測定値とした。
【0094】
(実施例1)
アルミの酸化皮膜上に3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDOTと略す。H.C.Starck−V TECH社製)の化学重合よって得られた導電性高分子形成することで導電性高分子アルミ電解コンデンサの作製を行った。すなわち、有効面積が10mm×10mmのアルミニウムエッチド箔を、1%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず20mV/secの速度で0から45Vまで上げ、つづけて45Vの定電圧を40分間印加し、前記アルミニウムエッチド箔の表面に誘電体皮膜を形成した。次に、この箔を脱イオン水の流水により3分洗浄してから120℃で1時間乾燥を行った。この時得られた、アルミエッチド箔の液中容量は25μFであった。次にEDOTとイオン液体[bmim][AcO]と[emim][LA]をモル比=1:0.3:0.3となるように配合し、電解質用組成物を調製した。酸化剤としてはパラトルエンスルホン酸鉄の40wt%1−ブタノール溶液を用い、電解質用組成物にパラトルエンスルホン酸鉄がEDOTに対し0.5モル当量となる量を加えた。次にその電解質用組成物中に前記アルミエッチド箔を浸漬し、引き上げ後120℃で1時間加熱処理を行った。同じ処理を4回繰り返し、箔の表面が均一に電解質で覆われるようにした。こうして得られた箔を図1に示す水銀セルを用いて、容量およびESRを測定した。容量発現率、ESRの結果を表1に示す。容量発現率は、コンデンサ容量を液中容量に対して規格化して換算した。結果はいずれも10個の電極の平均値である。
【0095】
(実施例2〜8)
イオン液体を表1に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコンデンサを作製し、得られたコンデンサの特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
これらの結果と表3の比較例1〜8の結果との比較から一般式(1)、(2)、(3)の構造を有する2種類のイオン液体を混合した電解質用組成物が、各々イオン液体を単独で使用した場合に奏する特性を平均化する以上の特性を発現できていることが確認された。よって、本発明の電解質組成物によれば、高い容量発現率と低ESRを両立する導電性高分子コンデンサ用電解質を与える事は明らかである。
【0098】
(実施例9、10)
イオン液体を表2に示すとおり、さらに、第3のイオン液体として[emim][AcO]または[emim][LA]を含むようにし、EDOTとイオン液体[emim][AcO]と、[emim][LA]と、第3のイオン液体とをモル比=1:0.2:0.2:0.2と配合した以外は、実施例1と同様にしてコンデンサを作製し、得られたコンデンサの特性を評価した。なお、得られた結果を表2に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
これらの結果から一般式(1)、(2)、(3)の構造を有する3種類のイオン液体を混合した電解質用組成物においても、高い容量発現率と低ESRを両立する導電性高分子コンデンサ用電解質を与える事は明らかである。
【0101】
(比較例1〜2)
イオン液体を表3に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコンデンサを作製し、得られたコンデンサの特性を評価した。得られた結果を表3に示す。
【0102】
(比較例3〜8)
イオン液体を表3に記載した1種類に変更し、EDOTとイオン液体とをモル比=1:0.6と配合した以外は、実施例1と同様にしてコンデンサを作製し、得られたコンデンサの特性を評価した。得られた結果を表3に示す。
【0103】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性高分子モノマーおよびイオン液体を含有する電解質用組成物であって、
イオン液体成分が、
一般式(1)で表されるアニオンを有するイオン液体、
【化1】

(式中、R1は水素原子、直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基を表す。)
一般式(2)で表されるアニオンを有するイオン液体、
【化2】

(式中、R2は置換基を有していてもよいC6〜C20のアリール基を表す。)及び
一般式(3)で表されるアニオンを有するイオン液体、
【化3】

(式中、R3は水素原子、直鎖または分岐もしくは環を形成していてもよく置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基、置換基を有していてもよいC6〜C20のアリール基を表す。)
からなる群から選択される2種以上を含む、電解質用組成物。
【請求項2】
イオン液体成分が前記一般式(3)に表されるアニオンを有するイオン液体を含む、請求項1に記載の電解質用組成物。
【請求項3】
イオン液体が、アンモニウムイオン、イミダゾリニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、トリアゾニウムイオン、トリアジニウムイオン、トリアジンイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、インドリニウムイオン、キノキサリニウムイオン、ピペラジニウムイオン、オキサゾリニウムイオン、チアゾリニウムイオン、モルフォリニウムイオン、ピペラジンイオン及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種のカチオンを有する、請求項1または2に記載の電解質用組成物。
【請求項4】
前記カチオンが、イミダゾリニウムイオン及びこれらの誘導体である、請求項3に記載の電解質用組成物。
【請求項5】
導電性高分子モノマーがピロール、アニリン、チオフェンおよびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の電解質用組成物。
【請求項6】
イオン液体成分が、導電性高分子モノマーに対して0.05モル当量以上1.5モル当量以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の電解質用組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の一般式(1)〜(3)で表されるアニオンを有するイオン液体からなる群から選択される2種以上と導電性高分子とを有するコンデンサ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の電解質用組成物を用いたコンデンサ。
【請求項9】
コンデンサが、導電性高分子アルミ電解コンデンサ、導電性高分子タンタエル電解コンデンサ、導電性高分子ニオブ電解コンデンサのいずれかである、請求項7または8に記載のコンデンサ。

【図1】
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