露光装置及び露光方法
【課題】アライメントカメラの位置の校正、露光ヘッドの位置の校正の頻度やタイミングを最適化して、露光精度の向上、再現性(ワーク間並びに露光装置間において一定の精度を有する特性)の向上を図る。
【解決手段】ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくともアライメントセンサの校正値を求める校正ステップ(S705、S706)と、前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定ステップ(S707)と、少なくとも前記校正ステップによる校正値と前記測定ステップによる測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光ステップ(S708)とを有し、前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた(S703)後に、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御する。
【解決手段】ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくともアライメントセンサの校正値を求める校正ステップ(S705、S706)と、前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定ステップ(S707)と、少なくとも前記校正ステップによる校正値と前記測定ステップによる測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光ステップ(S708)とを有し、前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた(S703)後に、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージ上に配されたワークに露光ヘッドによって画像を露光する露光装置及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、所望の画像パターンに従ってレーザビームを制御し、シート状の感光材料を露光走査することにより、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフィルタやプリント基板を製造する露光装置が開発されている。図29は、このような露光装置300の概略構成を示す(特許文献1参照)。
【0003】
露光装置300は、例えば6本の脚部302により支持される長方形状の定盤304と、定盤304上に配設された2本のガイドレール306a、306bに沿って移動可能な移動ステージ308と、定盤304上に配設される門型のコラム310と、コラム310に固定され、移動ステージ308に位置決めされたワーク312をレーザビームにより照射するスキャナ314とを備える。
【0004】
ワーク312は、移動ステージ308と共に矢印方向に移動される一方、スキャナ314から出力されるレーザビームが矢印方向と直交する方向に照射されることで、二次元画像が記録される。
【0005】
ここで、スキャナ314は、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)等の空間光変調素子をパターンジェネレータとする複数の露光ヘッドからなり、各露光ヘッドにより二次元画像パターンを高精細且つ高速度に記録するように構成されている。
【0006】
DMDは、制御信号に応じて反射面の角度が変化する多数のマイクロミラーをシリコン等の半導体基板上に二次元的に配列したミラーデバイスであり、レーザ光源から出力されたレーザビームをコリメータレンズでコリメートした後、反射面の角度が制御されたDMDによって選択的に反射させ、マイクロレンズアレーを介してワーク312上に集光させることにより、二次元画像パターンの記録が行われる。
【0007】
そして、このような露光装置300では、ワーク312に対する例えばワークの搬送方向(Y方向)とそれと直交する方向(X方向)の露光位置を正確に合わせるため、露光に先立って、ワークに設けられたアライメントマークをCCDカメラ等のアライメントカメラで撮影し、この撮影によって得られたマーク測定位置(基準位置データ)に基づいて露光位置を適正位置に合わせるアライメントを行っている。
【0008】
このようなアライメント機能(露光位置合わせ機能)については、その精度を保証するため、アライメント測定に関わる各部の校正を製造時やメンテナンス時等に行っている。
【0009】
例えばアライメントスコープの位置校正では、載置テーブルに載置されたプリント回路基板に対して処理部で所定の処理を施すのに先立ち、プリント回路基板の計測を行うアライメントスコープの位置を校正する装置において、基準パターンが形成された基準スケールを載置テーブルに備え、所定位置の基準パターンにアライメントスコープを移動した後、基準パターンの交点とアライメントスコープの視野中心との位置ずれ量に基づいてアライメントスコープの位置校正を行うことにより、簡単な構成でアライメントスコープの位置校正を容易、且つ、高精度に実施するようにした技術がある(例えば特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2004−62155号公報
【特許文献2】特開2000−329523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来においては、露光装置の校正、特に、ワーク上のアライメントマークを撮影するためのアライメントカメラの位置の校正や、露光ヘッドの位置の校正について、高精度に行う技術は提案されているが、これらの校正の頻度やタイミングについては、検討されていない。
【0012】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、アライメントセンサの位置の校正、露光ヘッドの位置の校正の頻度やタイミングを最適化することによって、露光精度の向上、再現性(ワーク間並びに露光装置間において一定の精度を有する特性)の向上を図ることができる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る露光装置は、露光ヘッドを有し、ステージ上に配されたワークに前記露光ヘッドによって画像を露光する露光装置において、前記ワークに形成されたアライメントマークを測定するためのアライメントセンサと、前記ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくとも前記アライメントセンサの校正値を求める校正手段と、前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定手段と、少なくとも前記校正手段による校正値と前記測定手段による測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光手段と、前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた後に、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
これにより、一旦、基準スケールの基準面を露光基準面に合わせれば、それ以降、基準スケールの基準面を露光基準面に合わせる必要がないため、校正にかかる時間を短縮させることができ、高精度に校正値を得ることができる。
【0015】
また、前記制御手段は、露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた場合においては、前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0016】
この場合、ワークの基準面を露光基準面に合わせた後、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うことができることから、前記校正手段による校正処理から前記測定手段による測定処理までの時間を大幅に短縮することができ、例えば1つのワークごとに校正処理を行うという頻度の高い処理にしても、生産性を低下させることがない。
【0017】
そして、前記ステージは、前記ワークが配される第1のステージと、前記基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在とされていてもよい。この場合、基準スケールの厚みとワークの厚みとが異なる場合であっても、第2のステージを昇降させて、一旦、基準スケールの基準面を露光基準面に合わせれば、それ以降、基本的には第2のステージを昇降させる必要がない。
【0018】
また、前記構成において、前記第1のステージを昇降させて前記ワークの基準面を前記露光基準面に位置決めする第1の位置決め手段と、前記第2のステージを昇降させて前記基準スケールの基準面を前記露光基準面に位置決めする第2の位置決め手段とを有し、前記制御手段は、前記第1の位置決め手段及び前記第2の位置決め手段によって前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ前記露光基準面に合わせた後に、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0019】
また、前記制御手段は、露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記第1の位置決め手段によって前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0020】
そして、前記校正手段は、前記アライメントセンサの校正値を求めるアライメントセンサ校正手段と、前記露光ヘッドの露光基準点の位置と前記アライメントセンサの校正値に基づいて前記露光ヘッドの露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を取得する位置情報取得手段とを有し、前記制御手段は、少なくとも前記アライメントセンサ校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0021】
この場合、校正を行うたびに第2のステージを昇降させることがないため、高精度に校正値を得ることができる。従って、第1の校正手段の校正処理による撮影系と、第2の校正手段の校正処理による露光系の相対位置誤差をさらに小さくすることができる。しかも、前記第1の校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うようにしたので、その間の温度変化はほとんどない。従って、アライメントセンサ校正手段による校正値に基づいて調整された撮影系と、位置情報取得手段によって取得された前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報に基づいて調整された露光系との相対位置誤差をさらに小さくすることができ、露光精度の低下を抑えることができる。
【0022】
また、前記制御手段は、前記アライメントセンサ校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行う一連の処理を所定回数だけ行い、前記アライメントセンサ校正手段にて得られた所定回数分の校正値を平均化して前記露光手段による露光のための校正値とし、前記位置情報取得手段にて得られた所定回数分の前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を平均化して前記露光手段による露光のための補正値とするようにしてもよい。
【0023】
この場合、基準スケールの配置誤差に基づくアライメントセンサ校正手段による校正誤差や位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得に関する誤差を吸収することができ、露光精度の向上、再現性の向上を図ることができる。
【0024】
次に、本発明に係る露光方法は、ステージ上に配されたワークに形成されたアライメントマークを測定するためのアライメントセンサを有し、前記ワークに露光ヘッドによって画像を露光する露光方法において、前記ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくとも前記アライメントセンサの校正値を求める校正ステップと、前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定ステップと、少なくとも前記校正ステップによる校正値と前記測定ステップによる測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光ステップと、前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた後に、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
【0025】
前記制御ステップは、露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0026】
前記ステージは、前記ワークが配される第1のステージと、前記基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在とされているようにしてもよい。
【0027】
前記第1のステージを昇降させて前記ワークの基準面を前記露光基準面に位置決めする第1の位置決めステップと、前記第2のステージを昇降させて前記基準スケールの基準面を前記露光基準面に位置決めする第2の位置決めステップとを有し、前記制御ステップは、前記第1の位置決めステップ及び前記第2の位置決めステップによって前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ前記露光基準面に合わせた後に、前記校正ステップよる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0028】
前記制御ステップは、露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記第1の位置決めステップによって前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0029】
前記校正ステップは、前記アライメントセンサの校正値を求めるアライメントセンサ校正ステップと、前記露光ヘッドの露光基準点の位置と前記アライメントセンサの校正値に基づいて前記露光ヘッドの露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を取得する位置情報取得ステップとを有し、前記制御手段は、少なくとも前記アライメントセンサ校正ステップによる校正処理と前記位置情報取得ステップによる前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0030】
前記制御ステップは、前記アライメントセンサ校正ステップによる校正処理と前記位置情報取得ステップによる前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行う一連の処理を所定回数だけ行い、前記アライメントセンサ校正ステップにて得られた所定回数分の校正値を平均化して前記露光ステップによる露光のための校正値とし、前記位置情報取得ステップにて得られた所定回数分の前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を平均化して前記露光ステップによる露光のための補正値とするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明に係る露光装置及び露光方法によれば、アライメントセンサの位置の校正、露光ヘッドの位置の校正の頻度やタイミングの最適化を図るようにしたので、露光精度の向上、再現性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る露光装置及び露光方法を例えばDMDを有するデジタル露光装置に適用した実施の形態例を図1〜図28を参照しながら説明する。
【0033】
本実施の形態に係るデジタル露光装置10は、図1に示すように、6本の脚部16に支持された設置台18を有する。設置台18の上面には、長手方向に沿って2本のガイド20が延在されており、これら2本のガイド20には、ステージ14が摺動自在に設けられている。ステージ14は、長手方向がガイド20の延在方向を向くように配置され、ガイド20により設置台18上を往復移動可能に支持されており、図示しない駆動装置に駆動されてガイド20に沿って往復移動する(図1の矢印Y方向)。
【0034】
ステージ14の上面(ワーク載置面)には、露光対象物となるワーク12が図示しない位置決め部より所定の載置位置に位置決めされた形態で載置される。このステージ14のワーク載置面には、図示しない複数の溝部が形成されており、それらの溝部内が負圧供給源によって負圧にされることにより、ワーク12はステージ14のワーク載置面に吸着されて保持される。また、ワーク12には、露光位置の基準を示すアライメントマーク13がワーク12の四隅近傍にそれぞれ1個づつ計4個配置されている。ワーク12としては、基板、感光材料、プリント基板、表示装置用基板、表示装置用フィルタ等が挙げられる。
【0035】
設置台18の中央部には、ステージ14の移動経路を跨ぐように、コ字状のゲート22が設けられている。ゲート22は、両端部がそれぞれ設置台18の両側面に固定されており、ゲート22を挟んで一方の側にはワーク12を露光するスキャナ24が設けられ、他方の側にはワーク12に設けられたアライメントマーク13を撮影する複数(例えば、2台)のアライメントカメラ26(CCDカメラ等)を備えたアライメントユニット100が設けられている。なお、2つのアライメントカメラをそれぞれ個別に示す場合は、第1のアライメントカメラ26A及び第2のアライメントカメラ26Bと記す。
【0036】
図7に示すように、アライメントユニット100は、ゲート22に取り付けられる矩形状のユニットベース102を備えている。ユニットベース102のカメラ配設面側には、ステージ14の移動方向(矢印Y方向:ワーク12の搬送方向)と直交する方向(矢印X方向)に沿って一対のガイドレール104が設けられており、各アライメントカメラ26は、これら一対のガイドレール104に摺動可能に案内されると共に、各々に個別に用意されたボールねじ機構106及びそれを駆動する図示しないステッピングモータ等の駆動源により駆動されて、ステージ14の移動方向と直交する方向に独立して移動する。また、アライメントカメラ26は、カメラ本体26aの先端に設けられたレンズ部26bを下方に向けると共に、レンズ光軸がほぼ垂直になる姿勢で配置されており、このレンズ部26bの先端部にはリング状のストロボ光源(LEDストロボ光源)26cが取り付けられている。
【0037】
そして、ワーク12のアライメントマーク13を撮影する際には、各アライメントカメラ26は、上記の駆動源及びボールねじ機構106により矢印X方向に移動されてそれぞれ所定の撮影位置に配置され、すなわち、レンズ光軸が、ステージ14の移動に伴って移動するワーク12が所定の撮影位置に至ったタイミングで、ストロボ光源26cを発光させ、ワーク12へ照射したストロボ光のワーク12上面での反射光をレンズ部26bを介してカメラ本体26aに入力させることにより、アライメントマーク13を撮影する。
【0038】
また、ステージ14の駆動装置、スキャナ24、アライメントカメラ26、及びアライメントカメラ26を移動させるための駆動源は、これらを制御するコントローラ28に接続されている。このコントローラ28により、後述するデジタル露光装置10の露光動作時には、ステージ14は所定の速度で移動するよう制御され、アライメントカメラ26は所定の位置に配置されて所定のタイミングでワーク12のアライメントマーク13を撮影するように制御され、スキャナ24は所定のタイミングでワーク12を露光するように制御される。
【0039】
図2に示すように、スキャナ24の内部は、m行n列(例えば2行4列)のほぼマトリックス状に配列された複数(例えば8個)の露光ヘッド30が配置されている。
【0040】
露光ヘッド30による露光エリア32は、例えば走査方向を短辺とする矩形状に校正する。この場合、ワーク12には、その走査露光の移動動作に伴って露光ヘッド30毎に帯状の露光済み領域34が形成される。
【0041】
また、図2に示すように、帯状の露光済み領域34が走査方向と直交する方向に隙間なく並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッド30の各々は、配列方向に所定間隔(露光エリア32の長辺の自然数倍)ずらして配置されている。このため、例えば第1列目の露光エリア32と第2列目の露光エリア32との間の露光できない部分は、第2行目の露光エリア32により露光することができる。
【0042】
図3に示すように、各露光ヘッド30は、それぞれ入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)36を備えている。このDMD36は、データ処理部とミラー駆動制御部を備えた上述のコントローラ28に接続されている。
【0043】
コントローラ28のデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各露光ヘッド30毎にDMD36の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、DMDコントローラとしてのミラー駆動制御部では、データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各露光ヘッド30毎にDMD36における各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、この反射面の角度の制御については後述する。
【0044】
各露光ヘッド30におけるDMD36の光入射側には、図1に示すように、紫外波長領域を含む一方向に延在したマルチビームをレーザ光として出射する照明装置38からそれぞれ引き出されたバンドル状の光ファイバ40が接続される。
【0045】
照明装置38は、図示は省略するが、その内部に、複数の半導体レーザチップから出射されたレーザ光を合成して光ファイバに入力する合波モジュールが複数個設置されている。各合波モジュールから延びる光ファイバは、合波したレーザ光を伝搬する合波光ファイバであって、複数の光ファイバが1つに束ねられてバンドル状の光ファイバ40として形成される。
【0046】
また、各露光ヘッド30におけるDMD36の光入射側には、図3に示すように、光ファイバ40の接続端部から出射されたレーザ光を均一の照明光にする均一照明光学系41と、均一照明光学系41を透過したレーザ光をDMD36に向けて反射するミラー42とが配置されている。
【0047】
各露光ヘッド30におけるDMD36の光反射側に設けられる投影光学系は、DMD36の光反射側の露光面にあるワーク12上に光源像を投影するため、DMD36側からワーク12に向かって順に、レンズ系50、マイクロレンズアレイ54、対物レンズ系56の各露光用の光学部材が配置されている。
【0048】
ここで、レンズ系50及び対物レンズ系56は、図3に示すように、複数枚のレンズ(凸レンズや凹レンズ等)を組み合わせた拡大光学系として構成されており、DMD36により反射されるレーザビーム(光線束)の断面積を拡大することで、DMD36により反射されたレーザビームによるワーク12上の露光エリア32の面積を所定の大きさに拡大している。なお、ワーク12は、対物レンズ系56の後方焦点位置に配置される。
【0049】
マイクロレンズアレイ54は、図3に示すように、照明装置38から各光ファイバ40を通じて照射されたレーザ光を反射するDMD36の各マイクロミラーに1対1で対応する複数のマイクロレンズ60が二次元状に配され、一体的に成形されて矩形平板状に形成されるたものであり、各マイクロレンズ60は、それぞれレンズ系50を透過した各レーザビーム(露光ビーム)の光軸上にそれぞれ配置されている。
【0050】
また、DMD36は、図5に示すように、SRAMセル(メモリセル)44上に、マイクロミラー(微小ミラー)46が支柱により支持されて配置されたものであり、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば600個×800個)のマイクロミラー46を格子状に配列したミラーデバイスとして構成されている。各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー46が設けられており、マイクロミラー46の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。
【0051】
また、マイクロミラー46の直下には、図示しないヒンジ及びヨークを含む支柱を介して半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル44が配置されており、全体はモノリシック(一体型)に構成される。
【0052】
DMDのSRAMセル44にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー46が、対角線を中心としてDMD36が配置された基板側に対して±a度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図6A及び図6Bには、DMD36の一部を拡大し、マイクロミラー46が+a度又は−a度に制御されている状態の一例を示しており、図6Aは、マイクロミラー46がオン状態である+a度に傾いた状態を示し、図6Bは、マイクロミラー46がオフ状態である−a度に傾いた状態を示す。従って、画像信号に応じて、DMD36の各ピクセルにおけるマイクロミラー46の傾きを、図6A及び図6Bに示すように制御することによって、DMD36に入射した光は、それぞれのマイクロミラー46の傾き方向へ反射される。
【0053】
それぞれのマイクロミラー46のオンオフ制御は、DMD36に接続されたコントローラ28のミラー駆動制御部によって行われ、オン状態のマイクロミラー46により反射された光は露光状態に変調され、DMD36の光出射側に設けられた投影光学系(図3参照)に入射する。また、オフ状態のマイクロミラー46により反射された光は非露光状態に変調され、光吸収体(図示せず)に入射する。
【0054】
また、DMD36は、その短辺方向が走査方向と所定角度(例えば0.1°〜0.5°)を成すように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図4Aは、DMD36を傾斜させない場合の各マイクロミラー46による反射光像(露光ビーム)48の走査軌跡を示し、図4Bは、DMD36を傾斜させた場合の露光ビームの走査軌跡を示している。
【0055】
DMD36には、長手方向(行方向)に沿ってマイクロミラー46が多数個(例えば800個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば600組)配列されているが、図4Bに示すように、DMD36を傾斜させることにより、各マイクロミラー46による露光ビームの走査軌跡(走査線)のピッチP2が、DMD36を傾斜させない場合の走査線のピッチP1より狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD36の傾斜角は微小であるので、DMD36を傾斜させた場合の走査幅W2と、DMD36を傾斜させない場合の走査幅W1とはほぼ同一である。
【0056】
また、異なるマイクロミラー列により同じ走査線上におけるほぼ同一の位置(ドット)が重ねて露光(多重露光)されるようにしてもよい。このように、多重露光されることで、露光位置の微少量をコントロールすることができ、高精細な露光を実現することができる。また、走査方向に配列された複数の露光ヘッド30間のつなぎ目を微少量の露光位置制御により段差なくつなぐことができる。
【0057】
なお、DMD36を傾斜させる代わりに、各マイクロミラー列を走査方向と直交する方向に所定間隔ずらして千鳥状に配列しても、同様の効果を得ることができる。
【0058】
次に、本実施の形態に係るデジタル露光装置10に設けられたコントローラ28における制御用の電気系の概略構成を、図10のブロック図を用いて説明する。
【0059】
コントローラ28における制御用の電気系では、バス78を介して、装置各部の制御を統括して行う主制御部で、且つ、前述したデータ処理部としてのCPU80と、オペレータが指令を入力するため、コントローラ28に装着されたスイッチ類を有する指示入力手段82と、画像データ等が一時的に記憶されるメモリ84と、後述する校正用データが記憶されるメモリ85と、それぞれのDMD36における各々のマイクロミラー46を制御するミラー駆動制御部としてのDMDコントローラ86と、各アライメントカメラ26を移動させるための駆動源(ステッピングモータ等)を駆動制御するカメラ移動用コントローラ88と、ワーク12が載置されたステージ14の上面の溝部内に負圧を発生させる負圧供給源、及びステージ14を走査方向に移動させるための駆動装置等を駆動制御するステージ駆動用コントローラ90と、その他に、デジタル露光装置10で露光処理する際に必要となる照明装置38といった各種装置の制御を行う露光処理制御用コントローラ92とが接続されて構成されている。
【0060】
この制御用電気系で露光処理を行う場合には、オペレータが、コントローラ28の指示入力手段82を操作して例えば露光処理の対象となる画像データ等の指示を入力する。画像データが伝達されたCPU80は、画像データを一旦メモリ84に格納し、露光処理開始の指令によって、メモリ84から読み出された画像データに基づいて画像の形成処理を行うようにDMDコントローラ86を制御し、且つ、ステージ駆動用コントローラ90と露光処理制御用コントローラ92とにより駆動装置、照明装置38等を制御して露光処理を行う。
【0061】
そして、本実施の形態に係るデジタル露光装置10には、図1及び図2に示すように、ステージ14の移動方向(矢印Y方向)におけるアライメント計測方向の下流側(露光方向の上流側)に、照射されたビーム位置と、その光量を検出して上記の位置ずれを検出する検出手段が配置されており、この検出手段は、ステージ14のアライメント計測方向における下流側の端縁部に取り付けられた基準スケール70と、この基準スケール70の裏側に移動可能に装着したフォトセンサ72とを備えている。
【0062】
基準スケール70は、矩形状のガラス板により形成されており、ステージ14のアライメント計測方向の下流側にビーム位置検出部70Aが設けられ、上流側にカメラ位置検出部70Bが設けられている(図8参照)。
【0063】
ビーム位置検出部70Aには、クロムメッキ等の金属膜によるパターニングで、X方向に向かって開く「く」の字型で透明部(透光部)に形成された複数の検出用スリット74がX方向に沿って所定の間隔で配列されている。
【0064】
図9Aに示すように、「く」の字型の検出用スリットは、ステージ移動方向の上流側に位置する所定長さを持つ直線状の第1スリット部74aと、ステージ移動方向の下流側に位置する所定長さを持つ直線状の第2スリット部74bと、をそれぞれの一端部で直角に接続した形状に形成されている。すなわち、第1スリット部74aと、第2スリット部74bとは互いに直交すると共に、Y軸に対して第1スリット部74aは135度、第2スリット部74bは45度の角度を有している。
【0065】
なお、検出用スリット74における第1スリット部74aと第2スリット部74bとは、ステージ14の移動方向に対して45度の角度を成すように形成したものを図示したが、これら第1スリット部74aと第2のスリット部74bとを、露光ヘッド30の画素配列に対して傾斜すると同時に、ステージ移動方向に対して傾斜する状態(互いが平行でないように配置した状態)にできれば、ステージ移動方向に対する角度を任意に設定してもよい。また、検出用スリット74に代えて回折格子を使用してもよい。
【0066】
このビーム位置検出部70Aにおける検出用スリット74の下方には、露光ヘッド30からの光を検出するフォトセンサ72(CCD、CMOS又はフォトディテクタ等)と、フォトセンサ72を移動操作する移動装置76とが配置されている。移動装置76は、コントローラ28の指令によって駆動制御されるリニアモータ送り機構、ねじ送り機構又は搬送ベルト機構等の搬送手段によって、フォトセンサを、X方向に沿って移動し、各所定位置で停止させられるように構成されており、ここでは、コントローラ28の指令に基づいてフォトセンサ72を、ビーム位置検出部70Aにおける各検出用スリット74直下の所定位置へそれぞれ移動して停止させる動作を行う。
【0067】
一方、カメラ位置検出部70Bには、図8に示すように、クロムメッキ等の金属膜によるパターニングで、円形に形成された検出用マーク77A及び十字形に形成された検出用マーク77BがX方向に沿って所定の間隔で交互に複数配列されている。つまり、検出用マーク77Bは、アライメントカメラ26の位置を検出するための基準パターンとして機能する。
【0068】
図11A〜図11Dに示すように、この検出用マーク77Aの幅寸法:MAと検出用マーク77Bの幅寸法:MBとは等しくされ(MA=MB)、検出用マーク77A、77Bの配列ピッチ:P1は、アライメントカメラ26の視野(撮影視野)VのX方向における長さ寸法:Lから、検出用マーク77A、77Bの幅寸法の1/2を差し引いた値に設定されている(P1=L−(MA/2)=L−(MB/2))。また、ここでは、アライメントカメラ26のX方向への移動単位:U1は、検出用マーク77A、77Bの幅寸法の1/2に設定されている(U1=MA/2=MB/2)。
【0069】
ここで、基準スケール70に形成されたビーム位置検出部70Aを用いてビーム位置を検出する方法について図9A及び図9B及び図10を参照しながら説明する。
【0070】
ここでは、スキャナ24の各露光ヘッドから照射されるビーム位置を検出し、DMD36の1つの特定画素Z1が点灯している(1つの特定画素をオンとしているとき)実際の位置を特定する手順について説明する。なお、特定画素Z1が点灯している実際の位置を特定し、点灯している特定画素Z1の光量を検出して行うこの方法は、特定画素Z1の適正状態の確認や、初期条件の確認等にも利用できる。
【0071】
まず、オペレータが、コントローラ28の指示入力手段82を操作して1つの特定画素Z1が点灯している実際の位置を特定する指示を入力すると、この指令を受けたCPU80は、ステージ14を移動操作して基準スケール70の所定の露光ヘッド30用の所定の検出用スリット74をスキャナ24の下方に位置させる。
【0072】
次に、CPU80は、DMDコントローラ86と露光処理制御用コントローラ92とに制御信号を出力して、所定のDMD36における特定画素Z1だけを点灯状態とするように制御する。さらにCPU80は、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を移動制御し、図9Aに実線で示すように、検出用スリット74が露光エリア32上の所定位置(例えば原点とすべき位置)となるように移動させる。このとき、CPU80は、第1スリット部74aと第2スリット部74bとの交点を(X0,Y0)と認識し、メモリ84に記憶する。なお、図9Aでは、Y軸から反時計方向に回転する方向を正の角度とする。
【0073】
次に、図9Aに示すように、CPU80は、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を移動制御することにより、検出用スリット74をY軸に沿って図9Aにおける右方へ移動を開始させる。そして、CPU80は、検出用スリット74が上記所定位置の右方の想像線で示した位置で、図9Bに示すように、点灯している特定画素Z1からの光が第1スリット部74aを透過してフォトセンサ72で検出されたことを検知した際に、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を停止させる。CPU80は、このときの第1スリット部74aと第2スリット部74bとの交点を(X0,Y11)として認識し、メモリ84に記憶する。
【0074】
次に、CPU80は、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を移動させ、検出用スリット74をY軸に沿って図9Aにおける左方へ移動を開始させる。そして、CPU80は、検出用スリット74が上記所定位置の左方の想像線で示した位置で、図9Bに示すように、点灯している特定画素Z1からの光が第2スリット部74bを透過してフォトセンサ72で検出されたことを検知した際に、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を停止させる。CPU80は、このときの第1スリット部74aと第2スリット部74bとの交点を(X0,Y12)として認識し、メモリ84に記憶する。
【0075】
次に、CPU80は、メモリ84に記憶した座標(X0,Y11)と(X0,Y12)とを読み出して特定画素Z1の座標を求め、実際の位置を特定する。ここで、特定画素Z1の座標を(X1,Y1)とすると、X1=X0+(Y11−Y12)/2で表され、Y1=(Y11+Y12)/2で表される。
【0076】
なお、上述のように、第1スリット部74aと交差する第2スリット部74bを有する検出用スリット74と、フォトセンサ72とを組み合わせて用いる場合には、フォトセンサ72が、第1スリット部74a又は第2スリット部74bを通過する所定範囲の光だけを検出することになる。よって、フォトセンサ72は、第1スリット部74a又は第2スリット部74bに対応する狭い範囲だけの光量を検出する微細で特別な構成とすることなく、市販の廉価なもの等を利用できる。
【0077】
次に、本実施の形態に係るデジタル露光装置10におけるアライメント機能の校正方法について説明する。
【0078】
上述したアライメント機能を備える本実施の形態に係るデジタル露光装置10では、前述したように、アライメントカメラ26が移動に伴い姿勢変化(ローリング、ピッチング及びヨーイング)を起こし、撮影位置に配置された状態で撮影レンズの光軸中心が正規の位置からずれる場合があるため、その影響により、アライメント機能を用いて露光位置を補正し、画像露光を行っても、露光位置が適正位置から外れて許容範囲を超えてしまう場合がある。
【0079】
このアライメントカメラ26の姿勢変化による光軸ずれ要因により、精度が影響されるアライメント機能を校正するため、デジタル露光装置10の製造時、メンテナンス時のほか、後述するタイミングで、以下に説明する校正方法によりアライメント機能の校正作業を実施する。
【0080】
この校正作業の手順としては、先にアライメントカメラ26の校正を行い、次に露光基準とカメラ光軸中心との位置関係を取得して、その取得情報を露光ヘッド30による露光位置合わせに反映させる手順で行うが、この校正作業は、ワーク12に対する露光手順とは別に事前に実施する、又は、ワーク12に対する露光時に同時に実施することができる。また、アライメントカメラ26の校正、及び露光基準とカメラ光軸中心との位置関係の取得については、連続的又は個別に行うことができるが、ここでは、連続的に行う場合で説明する。
【0081】
最初に、アライメントカメラの校正について図12を参照しながら説明する。
【0082】
まず、図12のステップS1において、オペレータがワーク12のアライメントマーク13の位置データをコントローラ28に入力する。この位置データの入力によりアライメントマーク13の座標が取得される。
【0083】
続いて、オペレータがコントローラ28の指示入力手段82から校正開始の入力操作を行うと、デジタル露光装置10の校正動作が開始し、ステップS2で、コントローラ28のカメラ移動用コントローラ88は上記の入力された位置データに基づいてアライメントカメラ26の駆動源を制御し、各アライメントカメラ26をワーク12のアライメントマーク13を撮影する所定の撮影位置にそれぞれ移動させる。このとき、各アライメントカメラ26の位置は、各駆動源(ステッピングモータ)のパルスをカウントすることでコントローラ28に制御され、また、前述した移動単位(U1)のステップで送られる。
【0084】
各アライメントカメラ26がアライメントマーク13の撮影位置に配置されると、ステップS3で、ステージ14がガイド20に沿ってアライメント計測方向の上流側から下流側に移動し、基準スケール70のカメラ位置検出部70Bを各アライメントカメラ26の下方(視野内)に配置する位置まで移動する。
【0085】
各アライメントカメラ26の視野内に基準スケール70のカメラ位置検出部70Bが配置されると、各アライメントカメラ26はコントローラ28により制御されてカメラ位置検出部70Bをそれぞれ撮影する。このとき、各アライメントカメラ26は、カメラ位置検出部70Bに配列された複数の検出用マーク77A、77Bのうち、少なくとも1つをそれぞれ撮影する。
【0086】
次に、ステップS4で、撮影された検出用マーク77A、77Bの視野中心(光軸中心)からの位置ずれ量を、コントローラ28が画像処理等によって計測する。なお、ここでは、撮影した検出用マークが検出用マーク77A、77Bのいずれであるかは、パターンマッチング等の画像処理を用いて切り替える。
【0087】
ここで、撮影された検出用マーク77A、77Bが、複数設けられたうちのいずれの検出用マークであるかは上記のパルスによって特定し、また、各検出用マーク77A、77Bの絶対位置データは予め別の測定手段によって測定し、コントローラ28に記憶されており、この絶対位置データと、上記の計測結果(計測値)との差分を演算して、基準スケール70と各アライメントカメラ26の光軸中心との位置ずれデータを取得する。この計測及び演算結果から、アライメントマーク13を撮影する位置(アライメント計測位置)における各アライメントカメラ26の光軸中心ずれ量を補正するための校正用データが得られ、この校正用データは、コントローラ28のメモリ85に記憶される(ステップS5:図10参照)。この段階で、アライメントカメラ26の校正動作が終了する。
【0088】
次に、露光基準とカメラ光軸中心との位置関係の取得動作(露光ヘッド30の露光基準点に対するアライメントカメラ26の相対位置についての情報取得)について図13を参照しながら説明する。
【0089】
まず、図13のステップS101において、コントローラ28により駆動装置が制御され、ステージ14は、基準スケール70のビーム位置検出部70Aを露光ヘッド30によるレーザビームの照射位置(露光位置)まで移動する。次に、ステップS102で、基準スケール70のビーム位置検出部70Aへ向けて露光ヘッド30からレーザビームを照射し、前述したビーム位置検出動作により、露光基準点の位置を計測する(ステップS103)。
【0090】
ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bとは同一の基準スケール70に設けられており、これらの位置関係は予め別の測定手段により測定されている。これにより、露光基準と、上記のカメラの校正動作で撮影した検出用マーク77A、77Bとの位置関係が判明する。
【0091】
従って、本動作により計測した露光基準データと、アライメントカメラ26の校正処理により取得したアライメントカメラ26の光軸中心との位置ずれデータ(校正用データ)とを演算することで、露光基準とカメラ光軸中心との位置関係を示す露光基準−カメラ光軸中心位置データ(補正データ)が得られ、このデータはコントローラのメモリ85に記憶される(ステップS104)。この段階で、露光基準とカメラ光軸中心との位置関係の取得動作が終了する。
【0092】
ここで、本実施の形態に係るデジタル露光装置10によるワーク12に対する露光処理について説明する。
【0093】
まず、露光パターンに応じた画像データがコントローラ28に入力されると、コントローラ28内のメモリ84に一旦記憶される。この画像データは、画像を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0094】
次に、ワーク12をステージ14のワーク載置面にセットし、オペレータがコントローラ28の指示入力手段82から露光開始の入力操作を行う。
【0095】
上述の入力操作により、デジタル露光装置10の露光動作が開始すると、コントローラ28により駆動装置が制御され、ワーク12を上面に吸着したステージ14は、ガイド20に沿って、且つ、アライメント計測方向の上流側から下流側に一定速度で移動開始する。このステージ14の移動開始に同期して、又は、ワーク12に先端が各アライメントカメラ26の真下に達する少し手前のタイミングで、各アライメントカメラ26はコントローラ28により制御されて作動する。
【0096】
ステージ14の移動に伴い、ワーク12がアライメントカメラ26の下方を通過する際には、アライメントカメラ26によるアライメント測定が行われる。
【0097】
このアライメント測定では、まず、ワーク12の移動方向下流側(前端側)の角部近傍に設けられた2個のアライメントマーク13が各アライメントカメラ26の真下(レンズの光軸上)に達すると、所定のタイミングで各アライメントカメラ26はそれぞれアライメントマーク13を撮影し、その撮影した画像データを、すなわち、露光位置の基準がアライメントマーク13によって示された基準位置データを含む画像データをコントローラ28のデータ処理部であるCPU80に出力する。アライメントマーク13の撮影後は、ステージ14が下流側への移動を再開する。
【0098】
また、本実施の形態のワーク12のように、移動方向(走査方向)に沿って複数のアライメントマーク13が設けられている場合には、次のアライメントマーク13(移動方向上流側(後端側)の角部近傍に設けられた2個のアライメントマーク13)が各アライメントカメラ26の真下に達すると、同様に所定のタイミングで各アライメントカメラ26はそれぞれアライメントマーク13を撮影してその画像データをコントローラ28のCPU80に出力する。
【0099】
なお、ワーク12に移動方向に沿って3個以上のアライメントマーク13が設けられている場合も同様に、各アライメントマーク13がアライメントカメラ26の下方を通過する毎に、所定のタイミングでアライメントカメラ26によるアライメントマーク13の撮影が繰り返し行われ、全てのアライメントマーク13に対し、その撮影した画像データがコントローラ28のCPU80に出力される。
【0100】
CPU80は、入力された各アライメントマーク13の画像データ(基準位置データ)から判明する画像内におけるマーク位置及びマーク間ピッチ等と、そのアライメントマーク13を撮影したときのステージ14の位置及びアライメントカメラ26の位置から、演算処理によって、ステージ14上におけるワーク12の載置位置のずれ、移動方向に対するワーク12の傾きのずれ、及びワーク12の寸法精度誤差等を把握し、ワーク12の被露光面に対する適正な露光位置を算出する。そして、後述するスキャナ24による画像露光時に、メモリ84に記憶されている露光パターンの画像データに基づいて作成する制御信号をその適正な露光位置に合わせ込んで画像露光する補正制御(アライメント)を実行する。このとき、前述のメモリ85から前記露光ヘッド30の露光基準点に対するアライメントカメラ26の光軸中心の相対位置についての情報を参照して補正制御(アライメント)を行なう。
【0101】
ワーク12がアライメントカメラ26の下方を通過すると、アライメントカメラ26によるアライメント測定が完了し、続いてステージ14は駆動装置により逆方向に駆動され、ガイド20に沿って露光方向へ移動する。そして、ワーク12は、ステージ14の移動に伴いスキャナ24の下方を露光方向の下流側へ移動し、被露光面の画像露光領域が露光開始位置に達すると、スキャナ24の各露光ヘッド30は光ビームを照射してワーク12の被露光面に対する画像露光を開始する。
【0102】
ここで、コントローラ28のメモリ84に記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部としてのCPU80で読み出された画像データに基づいて各露光ヘッド30毎に制御信号が生成される。この制御信号には、前述した補正制御(アライメント)により、アライメント測定したワーク12に対する露光位置ずれの補正が加えられる。そして、ミラー駆動制御部としてのDMDコントローラ86は、生成及び補正された制御信号に基づいて各露光ヘッド30毎にDMDのマイクロミラー46の各々をオンオフ制御する。
【0103】
照明装置38の光ファイバ40から出射されたレーザ光がDMD36に照射されると、DMD36のマイクロミラー46がオン状態のときに反射されたレーザ光は、マイクロレンズアレイ54の各対応するマイクロレンズ60を含むレンズ系によりワーク12の露光面上に結像される。このようにして、照明装置38から出射されたレーザ光が画素毎にオンオフされて、ワーク12がDMD36の使用画素数とほぼ同数の画素単位(露光エリア32)で露光される。
【0104】
また、ワーク12がステージ14と共に一定速度で移動されることにより、ワーク12がスキャナ24によりステージ移動方向と反対の方向に走査され、各露光ヘッド30毎に帯状の露光済み領域34(図2参照)が形成される。
【0105】
スキャナ24によるワーク12の画像露光が完了すると、ステージ14は、駆動装置により、そのまま露光方向の下流側へ駆動されて露光方向の最下流側(アライメント計測方向の最上流側)にある原点に復帰する。以上により、デジタル露光装置10によるワーク12に対する露光動作が終了する。
【0106】
次に、上述した露光処理の変形例について図14及び図15を参照しながら説明する。上述した動作により、アライメントカメラ26でアライメントマーク13を読み取る前あるいは後に、アライメントマーク13を読み取ったアライメントカメラ26の位置で検出用マーク77A、77Bを読み取る(ステップS201)。上述したように、検出用マーク77A、77Bの絶対位置データは予め別の測定手段で測定され、コントローラ28に記憶されており、アライメントカメラ26で読み取ったアライメントマーク13の位置データを検出用マーク77A、77Bの絶対位置データを基準とした位置データ(校正用データ)として取得する(ステップS202)。
【0107】
次に、上述の図13におけるステップS101からステップS104の手順で、DMD36の特定の画素が点灯しているときの露光面上でのビーム位置を計測し(ステップS203)、ビーム位置データを取得する(ステップS204)。これは、露光基準点のビーム位置検出部70Aに対しての相対的な位置データ(補正データ)である。
【0108】
ここで、ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bとは、同一の基準スケール70に設けられており、これらの相対的な位置関係は予め別の測定手段により測定されている(ステップS205)。
【0109】
これにより、ビーム位置検出部70Aに対する露光基準点の露光面上でのビーム位置と、カメラ位置検出部70Bを基準としたアライメントマーク13の位置が取得できる。すなわち、ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bの相対位置は測定されているので、ビーム位置検出部70Aを基準としたアライメントマーク13の位置データを得ることができる。
【0110】
ワーク12を露光する段階では、アライメント測定が開始され、まず、アライメントカメラ26によりアライメントマーク13を読み取り(ステップS206)、読み取ったアライメントマーク13に基づき位置データを取得する(ステップS207)。コントローラ28は、ステップS201、S202の手順でアライメントマークの検出用マーク77A、77Bを基準とした基準位置データを算出する(ステップS208)。さらに、コントローラ28は、ビーム位置検出部70Aに対する露光基準点のビーム位置データと、ビーム位置検出部70Aに対するアライメントマーク13の位置データに基づいて、露光画像の画像データ上のアライメントマーク13がビーム位置検出部70Aに対するアライメントマーク13の位置に一致するように、画像データに対してDMD36の各画素を割り当て、画像データに応じてDMD36の各画素を変調させ、露光画像を露光する(ステップS209)。
【0111】
これにより、ビーム位置検出部70Aと相対位置関係が判明した検出用マーク77とアライメントマーク13の位置測定をアライメントカメラ26で行うことで、アライメントマーク13の位置と露光点位置との位置関係がわかり、これらのデータに基づいて描画像を露光するため、高精度で描画像を露光することができる。
【0112】
すなわち、アライメントマーク13及び露光基準点の露光位置を同一のスケール(ビーム位置検出部70A又はカメラ位置検出部70B)に対する相対位置として、それぞれのデータを取得し、このアライメントマーク13の位置データ及び露光点基準位置データに基づいて露光するので、高精度に描画像をワーク12上に露光することができる。
【0113】
なお、露光基準点を1点として説明したが、複数の画素を露光基準点として位置測定することにより、さらに高精度に描画像をワーク12上に露光することができる。
【0114】
また、この実施の形態では、ワーク12が載置されるステージ14にカメラ位置検出部70Bを有する基準スケール70を設け、且つ、ステージ14にワーク12を載置した状態でアライメントカメラ26による検出用マーク77A、77Bの撮影が可能なように配設したので、デジタル露光装置10によってワーク12を露光する場合でも、アライメント機能が校正できるようになり、校正作業が容易になる。
【0115】
次に、基準スケール70のカメラ位置検出部70Bに設ける検出用マーク77を1種類とした場合の変形例について図16及び図17を参照しながら説明する。
【0116】
図16に示すカメラ位置検出部70Bには、円形の検出用マーク77AのみがX方向に沿って所定の間隔で複数配列されている。この変形例では、複数の検出用マーク77Aの配列ピッチP2と、アライメントカメラ26のX方向への移動単位U2とが同一に設定されており(P2=U2)、さらに各検出用マーク77Aがアライメントカメラの視野(撮影視野)Vの中央に位置するように配置されている。
【0117】
また、図17A〜図17Dに示すカメラ位置検出部70Bにも、円形の検出用マーク77AのみがX方向に沿って所定の間隔で複数配列されており、この変形例では、複数の検出用マーク77Aの配列ピッチP3と、アライメントカメラ26の視野VのX方向における長さ寸法Lとは同一に設定されている(P3=L)。また、ここでは、アライメントカメラ26のX方向への移動単位U3は、検出用マーク77Aの幅寸法MAに設定されている(U3=MA)。
【0118】
このように、カメラ位置検出部70Bに設ける検出用マーク77を1種類とした場合でも、上記の設定を採用することにより、アライメントカメラ26の移動においては、アライメントカメラ26を移動単位(U2/U3)のステップで送り、いずれの位置に配置した場合でも、複数配列したうちの1つの検出用マーク77Aのみを撮影することができる。
【0119】
そして、これらの変形例においては、上述した実施の形態のように、2種類の検出用マーク77A、77Bのうち、いずれがアライメントカメラ26によって撮影されたかを判別するために、パターンマッチング等の画像処理を用いる必要がないため、校正動作に関する処理を簡素化できる。
【0120】
次に、基準スケール70を用いた露光ヘッド30の角度の測定方法を図18を参照しながら説明する。
【0121】
例えば図18の1つの露光ヘッド30において、画素1a、1b、1cを順次点灯する。このうち走査方向(Y方向)にて一直線上に並んだ1a、1bの露光ヘッド30上における画素位置(座標)を求めることで、走査方向(Y方向)に対する露光ヘッド30の角度であるθh1が算出できる。
【0122】
また、同一の行(露光ヘッド30)上の画素1b、1cの露光ヘッド30上における画素位置(座標)を求めることで、露光ヘッド30に対する基準スケール70の角度であるθs1が算出できる。
【0123】
同様にして、n個の露光ヘッド30にてそれぞれ露光ヘッド30の角度θh1〜θhnと、基準スケール70の角度θs1〜θsnとを求め、それぞれの平均値が等しくなるように基準スケール70の角度を角度調整装置95で調整する。
【0124】
上記の調整により、走査方向(Y方向)に対して基準スケール70を正しく垂直方向に角度合わせできるので、複数の露光ヘッド30内の画素とアライメントカメラ26の位置を正確な座標系で測定できるようになり、正確に露光位置のアライメント補正をした露光を実現できるようになる。
【0125】
すなわち、露光ヘッド30と走査方向の角度、露光ヘッド30と基準スケール70の角度は検出可能であるため、この2つから走査方向と基準スケール70の角度を検出・校正することができる。
【0126】
上記の構成とすることにより、デジタル露光装置10内にある座標基準となる基準スケール70で高精度に位置補正することができる。これにより、デジタル露光装置10内で例えば経時変化があった場合において、例えばステージ14の走査方向が変化したり、あるいは基準スケール70の取付角度が走査方向に対して変化した場合等に走査方向を測定するための高精度な測定装置を必要とせず、デジタル露光装置10内の機能だけで校正可能なので、デジタル露光装置10全体の経時信頼性が向上する。
【0127】
そして、第1の実施の形態に係る校正方法は、図19に示すように、図13のステップS1〜S5、あるいは図12のステップS201〜S202で示すアライメントカメラ26の校正を行った後に(ステップS301)、ほとんど時間を置かずに、図13のステップS101〜S104、あるいは図14のステップS203〜S204で示すビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う(ステップS302)。
【0128】
必要であれば、図18に示す基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0129】
アライメントカメラ26の校正が終了した時点からビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラの位置情報の取得を開始する時点までの時間は、5分以内がよく、より好ましくは1分以内である。第1の実施の形態では、ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bとが一体化された基準スケール70を用いているため、前記時間は数秒である。
【0130】
これは、アライメントカメラ26の校正が終了した後、例えば10分以上経過してからビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うと、アライメントカメラ26の校正が終了してからビーム位置の検出が行われる前に、例えばデジタル露光装置10の温度(周囲温度を含む)が変化し、アライメントカメラ26を支持する部材等がわずかに変形する。そのため、アライメントカメラ26の位置と、メモリ84に記憶されている校正用データ等との間に誤差が生じ、この状態でビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うと、アライメントカメラ26の校正によって得られた校正値に基づいて調整された撮影系と、露光基準点のビーム位置及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報によって調整された露光系との相対位置誤差が大きくなり、露光精度が低下するおそれがある。
【0131】
しかし、第1の実施の形態に係る校正方法では、アライメントカメラ26の校正が終了した時点からビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得までの時間を5分以内としたので、この時間内での例えばデジタル露光装置10の温度(周囲温度を含む)の変化はわずかであるため、アライメントカメラ26を支持する部材の変形はほとんどない。従って、アライメントカメラ26の校正によって得られた校正値に基づいて調整された撮影系と、露光基準点のビーム位置及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報によって調整された露光系との相対位置誤差を小さくすることができ、露光精度の低下を抑えることができる。
【0132】
次に、第2の実施の形態に係る校正方法は、アライメントカメラ26の校正とビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得をそれぞれ複数回行い、アライメントカメラ26の校正で得られた複数の校正用データの平均化並びにビーム位置の校正で得られた複数の補正データの平均化を行う。
【0133】
具体的に図20に基づいて説明すると、まず、図20のステップS401において、校正回数を示すカウンタiに初期値「0」を格納して、カウンタiを初期化する。その後、ステップS402において、アライメントカメラ26の校正を行い、得られた校正用データをメモリ84内の例えばアライメントカメラ校正用のシーケンシャルファイルに記憶する。その後、ステップS403において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。この場合も、得られた補正データをメモリ84内の例えばビーム位置校正用のシーケンシャルファイルに記憶する。
【0134】
次いで、ステップS404において、カウンタiの値を+1更新した後、ステップS405において、カウンタiの値が所定回数N以上であるか否かを判別する。この所定回数Nは、デジタル露光装置10の仕様等によって適宜選択できるが、アライメントカメラ26の位置が温度の変化等によって変わり易いようであれば、回数を増やして精度を上げるようにすればよい。しかし、単に回数を増やすと、校正に時間がかかることから、回数と誤差との関係が、例えば図21に示すような特性であって、ある回数から誤差がほとんど変化しない場合であれば、ニー(knee)点付近の回数に設定することが好ましい。これにより、校正精度と校正時間の最適化を図ることができる。
【0135】
そして、前記ステップS405において、カウンタiの値が所定回数N未満であれば、前記ステップS402以降の処理に戻り、アライメントカメラ26の校正を行った後、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。
【0136】
前記ステップS405において、カウンタiの値が所定回数N以上であると判別された場合、次のステップS406に進み、アライメントカメラ校正用のシーケンシャルファイルに記憶された複数の校正用データの平均化を行い、さらに、ビーム位置校正用のシーケンシャルファイルに記憶された複数の補正データの平均化を行う。
【0137】
その後、ステップS407において、前記平均化された後の校正用データをアライメントカメラ26の校正値としてメモリ84に登録し、前記平均化された後の補正データをビーム位置の校正値としてメモリ84に登録する。
【0138】
前記ステップS407での処理が終了した段階で、この第2の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0139】
この第2の実施の形態に係る校正方法においては、基準スケール70の配置誤差に基づくアライメントカメラ26の校正誤差や露光基準点に対するアライメントカメラ26の相対位置についての情報の取得に関する誤差を吸収することができ、露光精度の向上、再現性(ワーク12間並びにデジタル露光装置10間において一定の精度を有する特性)の向上を図ることができる。
【0140】
なお、ステップS403のビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得後に、図18に示す基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。この場合も、得られた角度情報をメモリ84内の例えば角度情報用のシーケンシャルファイルに記憶し、ステップS406において、複数の角度情報を平均化するようにしてもよい。
【0141】
次に、第3の実施の形態に係る校正方法、特に、アライメント測定及び露光処理を含めた校正方法について図22〜図24を参照しながら説明する。
【0142】
この第3の実施の形態に係る校正方法では、図22に示すように、ワーク12が載置される1つのステージ14の端縁部に基準スケール70が固定されている。従って、ステージ14の下部に取り付けられた昇降機構96によってステージ14が昇降すると、それに合わせて基準スケール70も昇降するようになっている。
【0143】
アライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得は、アライメントカメラ26による撮像を良好とするために、図22に示すように、基準スケール70の基準面Am(この場合、上面)をアライメントカメラ26の焦点深度に収まる位置に位置させる必要がある。この位置は、ステージ14上に載置されたワーク12に対する露光を行う場合における露光基準面Gmでもあり、露光を行う際に、ワーク12の基準面Bm(この場合、上面)がこの位置に位置決めされる。従って、以下の説明では、前記位置を露光基準面Gmと記す。
【0144】
この第3の実施の形態では、ワーク12が載置されるステージ14上に基準スケール70が固定されていることから、基準スケール70の厚みとワーク12の厚みとが異なる場合、アライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行う際には、ステージ14を昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせ、また、ワーク12に対するアライメント測定及び露光処理の際には、ステージ14を昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせるようにする。
【0145】
具体的に、第3の実施の形態に係る校正方法について、図23を参照しながら説明する。
【0146】
まず、図23のステップS501において、ステージ14上にワーク12を載置した後、次のステップS502において、特定の条件に適合しているかどうかが判別される。ここで、特定の条件とは、以下の事項が挙げられる。
【0147】
(a)初回(電源投入後、初めてのワーク12)である。
【0148】
(b)デジタル露光装置10内に取り付けられた温度計、例えばアライメントカメラ26を支持するアライメントユニット100に取り付けられた温度計(図示せず)にて測定した今回の温度が、前回測定した温度から±0.2℃以上変化している。なお、今回の温度の測定タイミングは、例えばステップS502に入る直前の時点であり、前回の温度の測定タイミングは、例えばステップS504(アライメントカメラの校正)に入る直前等が挙げられる。
【0149】
(c)今回のワーク12のアライメントマーク13の位置が前回のワーク12と異なる。
【0150】
(d)今回のワーク12の厚みが前回のワーク12の厚みと異なる。
【0151】
(e)ワーク12を所定枚数処理した。この所定枚数は、処理枚数と前記温度計にて測定した温度変化との関係が、例えば図24に示すようにほぼ線形となる特性であれば、温度変化が例えば0.2℃以上となる枚数に設定することが好ましい。
【0152】
上述の(b)及び(e)では、0.2℃を1つの目安としている。この値は、小さければ小さいほど露光精度を向上させることができるが、生産性を著しく低下させるおそれがあるため、露光精度と生産性とを考慮して決定することが望ましい。従って、±0.05〜±1.0℃の範囲であれば、露光精度と生産性の最適化を図ることができ、好ましい。
【0153】
上述した特定の条件に適合していれば、次のステップS3に進み、昇降機構9によってステージ14を昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS504において、アライメントカメラ26の校正を行い、次いで、ステップS505において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。この後に、図18に示す基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0154】
上述のステップS505での処理が終了した段階、あるいは前記ステップS502において、特定の条件に適合していないと判別された場合は、次のステップS506において、昇降機構96によってステージ14を昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS507において、ステージ14を一方向(アライメント計測方向:図1参照)に移動させて、アライメント測定を行う。その後、ステップS8において、ステージを他方向(露光方向:図1参照)に移動させて、ワーク12に対して露光処理を行う。その後、ステップS509において、前記露光処理を終えたワーク12をステージ14から取り出す。
【0155】
そして、ステップS510において、このデジタル露光装置10に対する終了要求(電源断やメンテナンス)であるか否かが判別され、終了要求でなければ、前記ステップS501以降の処理を繰り返して、次のワーク12に対する処理を行う。前記ステップS510において、終了要求があれば、この第3の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0156】
このように、第3の実施の形態に係る校正方法においては、アライメントカメラ26の校正からビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得(並びに基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定)との間において、ステージ14を昇降させることがないため、アライメントカメラ26の校正によって得られた校正値に基づいて調整された撮影系と、露光基準点のビーム位置及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報によって調整された露光系との相対位置誤差を小さくすることができる。
【0157】
特に、この第3の実施の形態では、上述した特定の条件に適合した場合に、再度アライメントカメラ26の校正及びビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得等を行うようにしているため、温度変化によるアライメントカメラ26の位置誤差を小さくすることができ、運転時間の経過に伴う露光精度の劣化を抑えることができる。しかも、厚みの異なるワーク12間やアライメントマーク13の位置が異なるワーク12間での再現性も向上させることができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0158】
次に、第4の実施の形態に係る校正方法、特に、アライメント測定及び露光処理を含めた校正方法について図25を参照しながら説明する。
【0159】
この第4の実施の形態に係る校正方法は、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行う。
【0160】
具体的には、まず、図25のステップS601において、ステージ14上にワーク12を載置した後、次のステップS602において、昇降機構96によってステージ14を昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせる。
【0161】
その後、ステップS603において、アライメントカメラ26の校正を行い、次いで、ステップS604において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。この後に、基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0162】
その後、ステップS605において、昇降機構96によってステージ14を昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS606において、ステージ14を一方向(アライメント計測方向:図1参照)に移動させて、アライメント測定を行う。その後、ステップS607において、ステージ14を他方向(露光方向:図1参照)に移動させて、ワーク12に対して露光処理を行う。その後、ステップS608において、前記露光処理を終えたワーク12をステージ14から取り出す。
【0163】
そして、ステップS609において、このデジタル露光装置10に対する終了要求であるか否かが判別され、終了要求でなければ、前記ステップS601以降の処理を繰り返して、次のワーク12に対するアライメントカメラ26の校正、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得、並びにアライメント測定及び露光処理を行う。前記ステップS609において、終了要求があれば、この第4の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0164】
このように、第4の実施の形態に係る校正方法においては、上述した第1〜第3の実施の形態に係る校正方法の効果を得ることができることに加え、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うことから、露光精度をさらに向上させることができる。
【0165】
次に、第5の実施の形態に係る校正方法、特に、アライメント測定及び露光処理を含めた校正方法について図26及び図27を参照しながら説明する。
【0166】
この第5の実施の形態に係る校正方法では、図26に示すように、ステージ14の構成が第3及び第4の実施の形態と異なり、ワーク12が載置される第1のステージ14Aと基準スケール70が固定される第2のステージ14Bが互いに独立して併設されている。また、第1のステージ14Aの下部には、第1のステージ14A専用の第1の昇降機構96Aが取り付けられ、第2のステージ14Bの下部には、第2のステージ14B専用の第2の昇降機構96Bが取り付けられている。つまり、第1のステージ14Aと第2のステージ14Bはそれぞれ独立に昇降することとなる。
【0167】
従って、基準スケール70の厚みとワーク12の厚みとが異なる場合であっても、第2の昇降機構96Bによって、第2のステージ14Bを昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせれば、それ以降、基本的には第2のステージ14Bを昇降させる必要がない。
【0168】
具体的に、第5の実施の形態に係る校正方法について、図27を参照しながら説明する。
【0169】
まず、図27のステップS701において、第2の昇降機構96Bによって第2のステージ14Bを昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせる。
【0170】
その後、ステップS702において、第1のステージ14A上にワーク12を載置した後、次のステップS703において、第1の昇降機構96Aによって第1のステージ14Aを昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS704において、特定の条件に適合しているかどうかが判別される。ここで、特定の条件とは、上述した(a)〜(e)が挙げられるため、ここではその説明を省略する。上述した特定の条件に適合していれば、次のステップS705に進み、アライメントカメラ26の校正を行い、次いで、ステップS706において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。この後に、基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0171】
上述のステップS706での処理が終了した段階、あるいは前記ステップS704において、特定の条件に適合していないと判別された場合は、次のステップS707において、第1及び第2のステージ14A及び14Bを一方向に移動させて、アライメント測定を行う。その後、ステップS708において、第1及び第2のステージ14A及び14Bを他方向に移動させて、ワーク12に対して露光処理を行う。その後、ステップS709において、前記露光処理を終えたワーク12を第1のステージ14Aから取り出す。
【0172】
そして、ステップS710において、このデジタル露光装置10に対する終了要求であるか否かが判別され、終了要求でなければ、前記ステップS702以降の処理を繰り返して、次のワーク12に対する処理を行う。前記ステップS710において、終了要求があれば、この第5の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0173】
このように、第5の実施の形態に係る校正方法においては、基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせれば、それ以降、第2のステージ14Bを昇降させる必要がないため、校正にかかる時間を短縮させることができる。校正を行うたびに基準スケール70を昇降させることがないため、高精度に校正値(校正用データ、補正データ、角度情報等)を得ることができる。従って、アライメントカメラ26の校正によって得られた校正値に基づいて調整された撮影系と、露光基準点のビーム位置及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報によって調整された露光系との相対位置誤差をさらに小さくすることができる。
【0174】
この第5の実施の形態においても、上述した第3の実施の形態と同様に、特定の条件に適合した場合に、再度アライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得等を行うようにしているため、温度変化によるアライメントカメラ26の位置誤差を小さくすることができ、運転時間の経過に伴う露光精度の劣化を抑えることができる。しかも、厚みの異なるワーク12間やアライメントマーク13の位置が異なるワーク12間での再現性も向上させることができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0175】
次に、第6の実施の形態に係る校正方法、特に、アライメント測定及び露光処理を含めた校正方法について図28を参照しながら説明する。
【0176】
この第6の実施の形態に係る校正方法は、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正及びビーム位置の校正を行う。
【0177】
具体的には、まず、図28のステップS801において、第2の昇降機構96Bによって第2のステージ14Bを昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせた後、ステップS802において、第1のステージ14A上にワーク12を載置する。
【0178】
その後、ステップS803において、第1の昇降機構96Aによって第1のステージ14Aを昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS804において、第1及び第2のステージ14Aを一方向に移動させて、アライメントカメラ26の校正を行い、次いで、ステップS805において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行い、さらに、ステップS806において、アライメント測定を行う。ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得の後に基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0179】
その後、ステップS807において、第1及び第2のステージ14A及び14Bを他方向に移動させて、ワーク12に対して露光処理を行う。その後、ステップS808において、前記露光処理を終えたワーク12を第1のステージ14Aから取り出す。
【0180】
そして、ステップS809において、このデジタル露光装置10に対する終了要求であるか否かが判別され、終了要求でなければ、前記ステップS802以降の処理を繰り返して、次のワーク12に対するアライメントカメラ26の校正、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得、並びにアライメント測定及び露光処理を行う。前記ステップS809において、終了要求があれば、この第6の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0181】
このように、第6の実施の形態に係る校正方法においては、上述した第5の実施の形態に係る校正方法の効果を得ることができることに加え、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うことから、露光精度をさらに向上させることができる。
【0182】
特に、この第6の実施の形態では、ステップS803において、ワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせた後、第1及び第2のステージ14A及び14Bを一方向に移動させて、アライメントカメラ26の校正、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得、並びにアライメント測定を連続して行うことができることから、アライメントカメラ26の校正からアライメント測定までの時間を大幅に短縮することができ、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うという頻度の高い処理にしても、生産性を低下させることがない。
【0183】
上述した第3の実施の形態に係る校正方法(図23参照)、第4の実施の形態に係る校正方法(図25参照)、第5の実施の形態に係る校正方法(図27参照)、第6の実施の形態に係る校正方法(図28参照)では、アライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を第1の実施の形態に係る校正方法(図19参照)に従って行った例を示したが、その他、第2の実施の形態に係る校正方法(図20参照)を採用するようにしてもよい。
【0184】
また、上述した例では、基準スケール70として、ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bが一体に形成されたスケールを用いたが、その他、ビーム位置検出部70Aのみを有する第1の基準スケール(図示せず)と、カメラ位置検出部70Bのみを有する第2の基準スケール(図示せず)を使用し、各基準スケールの相対位置関係を測定して、アライメントカメラ26の校正やビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うようにしてもよい。
【0185】
上記の例では、検出用マーク(校正用基準マーク)77が円形及び十字形の2種類の場合について説明したが、この検出用マーク77の形状については円形及び十字形以外の形状を用いることが可能であり、さらに、3種類以上の検出用マークを用いることが可能である。その場合でも、上述したように、アライメントカメラ26の視野及び移動単位と、検出用マーク77の配列ピッチとを所定の条件で規定することにより、同等の機能を実現することができる。
【0186】
上述した実施の形態におけるデジタル露光装置10のワーク12に対する露光動作では、ステージ14を移動させつつワーク12を走査露光する場合について説明したが、露光動作は、このような走査露光に限らず、ほかにも、最初の露光位置まで移動させたワーク12を一旦停止して所定の露光領域のみを露光し、その露光後に、ワーク12を次の露光位置まで移動させて再び停止し、次の露光領域のみを露光する、というように、ワーク12の移動→露光位置で停止→画像露光→移動・・・を繰り返すような動作としてもよい。
【0187】
また、上述の実施の形態では、空間変調素子としてDMD36を備えた露光ヘッド30について説明したが、このような反射型空間光変調素子のほかに、透過型空間光変調素子(LCD)を使用することもできる。
【0188】
例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM:Special Light Modulator)や、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)や液晶光シャッタ(FLC)等の液晶シャッタアレイ等、MEMSタイプ以外の空間光変調素子を用いることも可能である。
【0189】
なお、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマニシング技術によるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、そして制御回路を集積化した微細システムの総称であり、MEMSタイプの空間光変調素子とは、静電気力を利用した電気機械動作により駆動される空間光変調素子を意味している。
【0190】
さらに、Grating Light Valve(GLV)を並べて二次元状に構成したものを用いることもできる。これらの反射型空間光変調素子(GLV)や透過型空間光変調素子(LCD)を使用する構成では、上記したレーザのほかに、ランプ等も光源として使用可能である。
【0191】
また、上述の実施の形態における光源としては、合波レーザ光源を複数備えたファイバアレイ光源、1個の発光点を有する単一の半導体レーザから入射されたレーザ光を出射する1本の光ファイバを備えたファイバ光源をアレイ化したファイバアレイ光源、複数の発光点が二次元状に配列された光源(例えばLDアレイ、有機ELアレイ)等が適用可能である。
【0192】
また、上述のデジタル露光装置には、露光により直接情報が記録されるフォトンモード感光材料、露光により発生した熱で情報が記録されるヒートモード感光材料のいずれも使用することができる。
【0193】
フォトンモード感光材料を使用する場合、レーザ装置にはGaN系半導体レーザ、波長変換固体レーザ等が使用され、ヒートモード感光材料を使用する場合、レーザ装置にはAlGaAs系半導体レーザ(赤外レーザ)、固体レーザが使用される。
【0194】
なお、上述の実施の形態では、デジタル露光装置10に適用した例を示したが、その他、アナログ露光装置、インクジェット装置、各種アライメント装置にも適用させることができる。
【0195】
すなわち、本発明に係る露光装置及び露光方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】本実施の形態に係るデジタル露光装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るデジタル露光装置におけるスキャナの概略構成を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るデジタル露光装置における露光ヘッドの光学系を示す概略構成図である。
【図4】図4Aは本実施の形態に係るデジタル露光装置におけるDMDを傾斜させない場合の各マイクロミラーによる露光ビームの走査軌跡を示す要部平面図であり、図4BはDMDを傾斜させた場合の露光ビームの走査軌跡を示す要部平面図である。
【図5】本実施の形態に係るデジタル露光装置に設けられたDMDの構成を示す部分拡大図である。
【図6】図6A及び図6Bは図5のDMDの動作を説明するための説明図である。
【図7】本実施の形態に係るデジタル露光装置におけるアライメントユニットの構成を示す斜視図である。
【図8】本実施の形態に係るデジタル露光装置に設置される基準スケールを示す平面図である。
【図9】図9Aは本実施の形態に係るデジタル露光装置において検出用スリットを利用して点灯している特定画素と光の回り込み画素を検出する状態を示す説明図であり、図9Bは点灯している特定画素をフォトセンサが検知したときの信号を示す説明図である。
【図10】本実施の形態に係るデジタル露光装置に設けられたコントローラおける制御用の電気系の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図11A〜図11Dは、本実施の形態に係るデジタル露光装置におけるカメラ位置検出部をアライメントカメラにより撮影する際の検出用マークと撮影視野の関係を示す説明図である。
【図12】本実施の形態に係るデジタル露光装置で行われるアライメントカメラの校正動作の制御の流れを示すフローチャートである。
【図13】本実施の形態に係るデジタル露光装置で行われるビーム位置の校正動作の制御の流れを示すフローチャートである。
【図14】本実施の形態に係るデジタル露光装置で行われるアライメントカメラの校正動作、ビーム位置の校正動作及びアライメント測定に関する変形例の制御の流れを示すフローチャートである。
【図15】図14による制御の流れの説明に供する図である。
【図16】カメラ位置検出部の変形例を示す説明図である。
【図17】図17A〜図17Dは、図16に示す変形例に係るカメラ位置検出部をアライメントカメラにより撮影する際の検出用マークと撮影視野の関係を示す説明図である。
【図18】基準スケールを用いた露光ヘッドの角度の測定方法を示す説明図である。
【図19】第1の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図20】第2の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図21】第2の実施の形態に係る校正方法の所定回数と誤差との関係の一例を示す特性図である。
【図22】ステージの1つの構成例を示す説明図である。
【図23】第3の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図24】デジタル露光装置での処理枚数と温度変化との関係の一例を示す特性図である。
【図25】第4の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図26】ステージの他の構成例を示す説明図である。
【図27】第5の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図28】第6の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図29】従来例に係るデジタル露光装置の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0197】
10…デジタル露光装置 12…ワーク
14…ステージ 14A…第1のステージ
14B…第2のステージ 26…アライメントカメラ
28…コントローラ 30…露光ヘッド
70…基準スケール 70A…ビーム位置検出部
70B…カメラ位置検出部 74…検出用スリット
84、85…メモリ 96…昇降機構
96A…第1の昇降機構 96B…第2の昇降機構
100…アライメントユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージ上に配されたワークに露光ヘッドによって画像を露光する露光装置及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、所望の画像パターンに従ってレーザビームを制御し、シート状の感光材料を露光走査することにより、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフィルタやプリント基板を製造する露光装置が開発されている。図29は、このような露光装置300の概略構成を示す(特許文献1参照)。
【0003】
露光装置300は、例えば6本の脚部302により支持される長方形状の定盤304と、定盤304上に配設された2本のガイドレール306a、306bに沿って移動可能な移動ステージ308と、定盤304上に配設される門型のコラム310と、コラム310に固定され、移動ステージ308に位置決めされたワーク312をレーザビームにより照射するスキャナ314とを備える。
【0004】
ワーク312は、移動ステージ308と共に矢印方向に移動される一方、スキャナ314から出力されるレーザビームが矢印方向と直交する方向に照射されることで、二次元画像が記録される。
【0005】
ここで、スキャナ314は、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)等の空間光変調素子をパターンジェネレータとする複数の露光ヘッドからなり、各露光ヘッドにより二次元画像パターンを高精細且つ高速度に記録するように構成されている。
【0006】
DMDは、制御信号に応じて反射面の角度が変化する多数のマイクロミラーをシリコン等の半導体基板上に二次元的に配列したミラーデバイスであり、レーザ光源から出力されたレーザビームをコリメータレンズでコリメートした後、反射面の角度が制御されたDMDによって選択的に反射させ、マイクロレンズアレーを介してワーク312上に集光させることにより、二次元画像パターンの記録が行われる。
【0007】
そして、このような露光装置300では、ワーク312に対する例えばワークの搬送方向(Y方向)とそれと直交する方向(X方向)の露光位置を正確に合わせるため、露光に先立って、ワークに設けられたアライメントマークをCCDカメラ等のアライメントカメラで撮影し、この撮影によって得られたマーク測定位置(基準位置データ)に基づいて露光位置を適正位置に合わせるアライメントを行っている。
【0008】
このようなアライメント機能(露光位置合わせ機能)については、その精度を保証するため、アライメント測定に関わる各部の校正を製造時やメンテナンス時等に行っている。
【0009】
例えばアライメントスコープの位置校正では、載置テーブルに載置されたプリント回路基板に対して処理部で所定の処理を施すのに先立ち、プリント回路基板の計測を行うアライメントスコープの位置を校正する装置において、基準パターンが形成された基準スケールを載置テーブルに備え、所定位置の基準パターンにアライメントスコープを移動した後、基準パターンの交点とアライメントスコープの視野中心との位置ずれ量に基づいてアライメントスコープの位置校正を行うことにより、簡単な構成でアライメントスコープの位置校正を容易、且つ、高精度に実施するようにした技術がある(例えば特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2004−62155号公報
【特許文献2】特開2000−329523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来においては、露光装置の校正、特に、ワーク上のアライメントマークを撮影するためのアライメントカメラの位置の校正や、露光ヘッドの位置の校正について、高精度に行う技術は提案されているが、これらの校正の頻度やタイミングについては、検討されていない。
【0012】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、アライメントセンサの位置の校正、露光ヘッドの位置の校正の頻度やタイミングを最適化することによって、露光精度の向上、再現性(ワーク間並びに露光装置間において一定の精度を有する特性)の向上を図ることができる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る露光装置は、露光ヘッドを有し、ステージ上に配されたワークに前記露光ヘッドによって画像を露光する露光装置において、前記ワークに形成されたアライメントマークを測定するためのアライメントセンサと、前記ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくとも前記アライメントセンサの校正値を求める校正手段と、前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定手段と、少なくとも前記校正手段による校正値と前記測定手段による測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光手段と、前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた後に、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
これにより、一旦、基準スケールの基準面を露光基準面に合わせれば、それ以降、基準スケールの基準面を露光基準面に合わせる必要がないため、校正にかかる時間を短縮させることができ、高精度に校正値を得ることができる。
【0015】
また、前記制御手段は、露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた場合においては、前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0016】
この場合、ワークの基準面を露光基準面に合わせた後、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うことができることから、前記校正手段による校正処理から前記測定手段による測定処理までの時間を大幅に短縮することができ、例えば1つのワークごとに校正処理を行うという頻度の高い処理にしても、生産性を低下させることがない。
【0017】
そして、前記ステージは、前記ワークが配される第1のステージと、前記基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在とされていてもよい。この場合、基準スケールの厚みとワークの厚みとが異なる場合であっても、第2のステージを昇降させて、一旦、基準スケールの基準面を露光基準面に合わせれば、それ以降、基本的には第2のステージを昇降させる必要がない。
【0018】
また、前記構成において、前記第1のステージを昇降させて前記ワークの基準面を前記露光基準面に位置決めする第1の位置決め手段と、前記第2のステージを昇降させて前記基準スケールの基準面を前記露光基準面に位置決めする第2の位置決め手段とを有し、前記制御手段は、前記第1の位置決め手段及び前記第2の位置決め手段によって前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ前記露光基準面に合わせた後に、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0019】
また、前記制御手段は、露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記第1の位置決め手段によって前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0020】
そして、前記校正手段は、前記アライメントセンサの校正値を求めるアライメントセンサ校正手段と、前記露光ヘッドの露光基準点の位置と前記アライメントセンサの校正値に基づいて前記露光ヘッドの露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を取得する位置情報取得手段とを有し、前記制御手段は、少なくとも前記アライメントセンサ校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0021】
この場合、校正を行うたびに第2のステージを昇降させることがないため、高精度に校正値を得ることができる。従って、第1の校正手段の校正処理による撮影系と、第2の校正手段の校正処理による露光系の相対位置誤差をさらに小さくすることができる。しかも、前記第1の校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うようにしたので、その間の温度変化はほとんどない。従って、アライメントセンサ校正手段による校正値に基づいて調整された撮影系と、位置情報取得手段によって取得された前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報に基づいて調整された露光系との相対位置誤差をさらに小さくすることができ、露光精度の低下を抑えることができる。
【0022】
また、前記制御手段は、前記アライメントセンサ校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行う一連の処理を所定回数だけ行い、前記アライメントセンサ校正手段にて得られた所定回数分の校正値を平均化して前記露光手段による露光のための校正値とし、前記位置情報取得手段にて得られた所定回数分の前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を平均化して前記露光手段による露光のための補正値とするようにしてもよい。
【0023】
この場合、基準スケールの配置誤差に基づくアライメントセンサ校正手段による校正誤差や位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得に関する誤差を吸収することができ、露光精度の向上、再現性の向上を図ることができる。
【0024】
次に、本発明に係る露光方法は、ステージ上に配されたワークに形成されたアライメントマークを測定するためのアライメントセンサを有し、前記ワークに露光ヘッドによって画像を露光する露光方法において、前記ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくとも前記アライメントセンサの校正値を求める校正ステップと、前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定ステップと、少なくとも前記校正ステップによる校正値と前記測定ステップによる測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光ステップと、前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた後に、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
【0025】
前記制御ステップは、露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0026】
前記ステージは、前記ワークが配される第1のステージと、前記基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在とされているようにしてもよい。
【0027】
前記第1のステージを昇降させて前記ワークの基準面を前記露光基準面に位置決めする第1の位置決めステップと、前記第2のステージを昇降させて前記基準スケールの基準面を前記露光基準面に位置決めする第2の位置決めステップとを有し、前記制御ステップは、前記第1の位置決めステップ及び前記第2の位置決めステップによって前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ前記露光基準面に合わせた後に、前記校正ステップよる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0028】
前記制御ステップは、露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記第1の位置決めステップによって前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0029】
前記校正ステップは、前記アライメントセンサの校正値を求めるアライメントセンサ校正ステップと、前記露光ヘッドの露光基準点の位置と前記アライメントセンサの校正値に基づいて前記露光ヘッドの露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を取得する位置情報取得ステップとを有し、前記制御手段は、少なくとも前記アライメントセンサ校正ステップによる校正処理と前記位置情報取得ステップによる前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うように制御するようにしてもよい。
【0030】
前記制御ステップは、前記アライメントセンサ校正ステップによる校正処理と前記位置情報取得ステップによる前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行う一連の処理を所定回数だけ行い、前記アライメントセンサ校正ステップにて得られた所定回数分の校正値を平均化して前記露光ステップによる露光のための校正値とし、前記位置情報取得ステップにて得られた所定回数分の前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を平均化して前記露光ステップによる露光のための補正値とするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明に係る露光装置及び露光方法によれば、アライメントセンサの位置の校正、露光ヘッドの位置の校正の頻度やタイミングの最適化を図るようにしたので、露光精度の向上、再現性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る露光装置及び露光方法を例えばDMDを有するデジタル露光装置に適用した実施の形態例を図1〜図28を参照しながら説明する。
【0033】
本実施の形態に係るデジタル露光装置10は、図1に示すように、6本の脚部16に支持された設置台18を有する。設置台18の上面には、長手方向に沿って2本のガイド20が延在されており、これら2本のガイド20には、ステージ14が摺動自在に設けられている。ステージ14は、長手方向がガイド20の延在方向を向くように配置され、ガイド20により設置台18上を往復移動可能に支持されており、図示しない駆動装置に駆動されてガイド20に沿って往復移動する(図1の矢印Y方向)。
【0034】
ステージ14の上面(ワーク載置面)には、露光対象物となるワーク12が図示しない位置決め部より所定の載置位置に位置決めされた形態で載置される。このステージ14のワーク載置面には、図示しない複数の溝部が形成されており、それらの溝部内が負圧供給源によって負圧にされることにより、ワーク12はステージ14のワーク載置面に吸着されて保持される。また、ワーク12には、露光位置の基準を示すアライメントマーク13がワーク12の四隅近傍にそれぞれ1個づつ計4個配置されている。ワーク12としては、基板、感光材料、プリント基板、表示装置用基板、表示装置用フィルタ等が挙げられる。
【0035】
設置台18の中央部には、ステージ14の移動経路を跨ぐように、コ字状のゲート22が設けられている。ゲート22は、両端部がそれぞれ設置台18の両側面に固定されており、ゲート22を挟んで一方の側にはワーク12を露光するスキャナ24が設けられ、他方の側にはワーク12に設けられたアライメントマーク13を撮影する複数(例えば、2台)のアライメントカメラ26(CCDカメラ等)を備えたアライメントユニット100が設けられている。なお、2つのアライメントカメラをそれぞれ個別に示す場合は、第1のアライメントカメラ26A及び第2のアライメントカメラ26Bと記す。
【0036】
図7に示すように、アライメントユニット100は、ゲート22に取り付けられる矩形状のユニットベース102を備えている。ユニットベース102のカメラ配設面側には、ステージ14の移動方向(矢印Y方向:ワーク12の搬送方向)と直交する方向(矢印X方向)に沿って一対のガイドレール104が設けられており、各アライメントカメラ26は、これら一対のガイドレール104に摺動可能に案内されると共に、各々に個別に用意されたボールねじ機構106及びそれを駆動する図示しないステッピングモータ等の駆動源により駆動されて、ステージ14の移動方向と直交する方向に独立して移動する。また、アライメントカメラ26は、カメラ本体26aの先端に設けられたレンズ部26bを下方に向けると共に、レンズ光軸がほぼ垂直になる姿勢で配置されており、このレンズ部26bの先端部にはリング状のストロボ光源(LEDストロボ光源)26cが取り付けられている。
【0037】
そして、ワーク12のアライメントマーク13を撮影する際には、各アライメントカメラ26は、上記の駆動源及びボールねじ機構106により矢印X方向に移動されてそれぞれ所定の撮影位置に配置され、すなわち、レンズ光軸が、ステージ14の移動に伴って移動するワーク12が所定の撮影位置に至ったタイミングで、ストロボ光源26cを発光させ、ワーク12へ照射したストロボ光のワーク12上面での反射光をレンズ部26bを介してカメラ本体26aに入力させることにより、アライメントマーク13を撮影する。
【0038】
また、ステージ14の駆動装置、スキャナ24、アライメントカメラ26、及びアライメントカメラ26を移動させるための駆動源は、これらを制御するコントローラ28に接続されている。このコントローラ28により、後述するデジタル露光装置10の露光動作時には、ステージ14は所定の速度で移動するよう制御され、アライメントカメラ26は所定の位置に配置されて所定のタイミングでワーク12のアライメントマーク13を撮影するように制御され、スキャナ24は所定のタイミングでワーク12を露光するように制御される。
【0039】
図2に示すように、スキャナ24の内部は、m行n列(例えば2行4列)のほぼマトリックス状に配列された複数(例えば8個)の露光ヘッド30が配置されている。
【0040】
露光ヘッド30による露光エリア32は、例えば走査方向を短辺とする矩形状に校正する。この場合、ワーク12には、その走査露光の移動動作に伴って露光ヘッド30毎に帯状の露光済み領域34が形成される。
【0041】
また、図2に示すように、帯状の露光済み領域34が走査方向と直交する方向に隙間なく並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッド30の各々は、配列方向に所定間隔(露光エリア32の長辺の自然数倍)ずらして配置されている。このため、例えば第1列目の露光エリア32と第2列目の露光エリア32との間の露光できない部分は、第2行目の露光エリア32により露光することができる。
【0042】
図3に示すように、各露光ヘッド30は、それぞれ入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)36を備えている。このDMD36は、データ処理部とミラー駆動制御部を備えた上述のコントローラ28に接続されている。
【0043】
コントローラ28のデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各露光ヘッド30毎にDMD36の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、DMDコントローラとしてのミラー駆動制御部では、データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各露光ヘッド30毎にDMD36における各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、この反射面の角度の制御については後述する。
【0044】
各露光ヘッド30におけるDMD36の光入射側には、図1に示すように、紫外波長領域を含む一方向に延在したマルチビームをレーザ光として出射する照明装置38からそれぞれ引き出されたバンドル状の光ファイバ40が接続される。
【0045】
照明装置38は、図示は省略するが、その内部に、複数の半導体レーザチップから出射されたレーザ光を合成して光ファイバに入力する合波モジュールが複数個設置されている。各合波モジュールから延びる光ファイバは、合波したレーザ光を伝搬する合波光ファイバであって、複数の光ファイバが1つに束ねられてバンドル状の光ファイバ40として形成される。
【0046】
また、各露光ヘッド30におけるDMD36の光入射側には、図3に示すように、光ファイバ40の接続端部から出射されたレーザ光を均一の照明光にする均一照明光学系41と、均一照明光学系41を透過したレーザ光をDMD36に向けて反射するミラー42とが配置されている。
【0047】
各露光ヘッド30におけるDMD36の光反射側に設けられる投影光学系は、DMD36の光反射側の露光面にあるワーク12上に光源像を投影するため、DMD36側からワーク12に向かって順に、レンズ系50、マイクロレンズアレイ54、対物レンズ系56の各露光用の光学部材が配置されている。
【0048】
ここで、レンズ系50及び対物レンズ系56は、図3に示すように、複数枚のレンズ(凸レンズや凹レンズ等)を組み合わせた拡大光学系として構成されており、DMD36により反射されるレーザビーム(光線束)の断面積を拡大することで、DMD36により反射されたレーザビームによるワーク12上の露光エリア32の面積を所定の大きさに拡大している。なお、ワーク12は、対物レンズ系56の後方焦点位置に配置される。
【0049】
マイクロレンズアレイ54は、図3に示すように、照明装置38から各光ファイバ40を通じて照射されたレーザ光を反射するDMD36の各マイクロミラーに1対1で対応する複数のマイクロレンズ60が二次元状に配され、一体的に成形されて矩形平板状に形成されるたものであり、各マイクロレンズ60は、それぞれレンズ系50を透過した各レーザビーム(露光ビーム)の光軸上にそれぞれ配置されている。
【0050】
また、DMD36は、図5に示すように、SRAMセル(メモリセル)44上に、マイクロミラー(微小ミラー)46が支柱により支持されて配置されたものであり、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば600個×800個)のマイクロミラー46を格子状に配列したミラーデバイスとして構成されている。各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー46が設けられており、マイクロミラー46の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。
【0051】
また、マイクロミラー46の直下には、図示しないヒンジ及びヨークを含む支柱を介して半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル44が配置されており、全体はモノリシック(一体型)に構成される。
【0052】
DMDのSRAMセル44にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー46が、対角線を中心としてDMD36が配置された基板側に対して±a度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図6A及び図6Bには、DMD36の一部を拡大し、マイクロミラー46が+a度又は−a度に制御されている状態の一例を示しており、図6Aは、マイクロミラー46がオン状態である+a度に傾いた状態を示し、図6Bは、マイクロミラー46がオフ状態である−a度に傾いた状態を示す。従って、画像信号に応じて、DMD36の各ピクセルにおけるマイクロミラー46の傾きを、図6A及び図6Bに示すように制御することによって、DMD36に入射した光は、それぞれのマイクロミラー46の傾き方向へ反射される。
【0053】
それぞれのマイクロミラー46のオンオフ制御は、DMD36に接続されたコントローラ28のミラー駆動制御部によって行われ、オン状態のマイクロミラー46により反射された光は露光状態に変調され、DMD36の光出射側に設けられた投影光学系(図3参照)に入射する。また、オフ状態のマイクロミラー46により反射された光は非露光状態に変調され、光吸収体(図示せず)に入射する。
【0054】
また、DMD36は、その短辺方向が走査方向と所定角度(例えば0.1°〜0.5°)を成すように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図4Aは、DMD36を傾斜させない場合の各マイクロミラー46による反射光像(露光ビーム)48の走査軌跡を示し、図4Bは、DMD36を傾斜させた場合の露光ビームの走査軌跡を示している。
【0055】
DMD36には、長手方向(行方向)に沿ってマイクロミラー46が多数個(例えば800個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば600組)配列されているが、図4Bに示すように、DMD36を傾斜させることにより、各マイクロミラー46による露光ビームの走査軌跡(走査線)のピッチP2が、DMD36を傾斜させない場合の走査線のピッチP1より狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD36の傾斜角は微小であるので、DMD36を傾斜させた場合の走査幅W2と、DMD36を傾斜させない場合の走査幅W1とはほぼ同一である。
【0056】
また、異なるマイクロミラー列により同じ走査線上におけるほぼ同一の位置(ドット)が重ねて露光(多重露光)されるようにしてもよい。このように、多重露光されることで、露光位置の微少量をコントロールすることができ、高精細な露光を実現することができる。また、走査方向に配列された複数の露光ヘッド30間のつなぎ目を微少量の露光位置制御により段差なくつなぐことができる。
【0057】
なお、DMD36を傾斜させる代わりに、各マイクロミラー列を走査方向と直交する方向に所定間隔ずらして千鳥状に配列しても、同様の効果を得ることができる。
【0058】
次に、本実施の形態に係るデジタル露光装置10に設けられたコントローラ28における制御用の電気系の概略構成を、図10のブロック図を用いて説明する。
【0059】
コントローラ28における制御用の電気系では、バス78を介して、装置各部の制御を統括して行う主制御部で、且つ、前述したデータ処理部としてのCPU80と、オペレータが指令を入力するため、コントローラ28に装着されたスイッチ類を有する指示入力手段82と、画像データ等が一時的に記憶されるメモリ84と、後述する校正用データが記憶されるメモリ85と、それぞれのDMD36における各々のマイクロミラー46を制御するミラー駆動制御部としてのDMDコントローラ86と、各アライメントカメラ26を移動させるための駆動源(ステッピングモータ等)を駆動制御するカメラ移動用コントローラ88と、ワーク12が載置されたステージ14の上面の溝部内に負圧を発生させる負圧供給源、及びステージ14を走査方向に移動させるための駆動装置等を駆動制御するステージ駆動用コントローラ90と、その他に、デジタル露光装置10で露光処理する際に必要となる照明装置38といった各種装置の制御を行う露光処理制御用コントローラ92とが接続されて構成されている。
【0060】
この制御用電気系で露光処理を行う場合には、オペレータが、コントローラ28の指示入力手段82を操作して例えば露光処理の対象となる画像データ等の指示を入力する。画像データが伝達されたCPU80は、画像データを一旦メモリ84に格納し、露光処理開始の指令によって、メモリ84から読み出された画像データに基づいて画像の形成処理を行うようにDMDコントローラ86を制御し、且つ、ステージ駆動用コントローラ90と露光処理制御用コントローラ92とにより駆動装置、照明装置38等を制御して露光処理を行う。
【0061】
そして、本実施の形態に係るデジタル露光装置10には、図1及び図2に示すように、ステージ14の移動方向(矢印Y方向)におけるアライメント計測方向の下流側(露光方向の上流側)に、照射されたビーム位置と、その光量を検出して上記の位置ずれを検出する検出手段が配置されており、この検出手段は、ステージ14のアライメント計測方向における下流側の端縁部に取り付けられた基準スケール70と、この基準スケール70の裏側に移動可能に装着したフォトセンサ72とを備えている。
【0062】
基準スケール70は、矩形状のガラス板により形成されており、ステージ14のアライメント計測方向の下流側にビーム位置検出部70Aが設けられ、上流側にカメラ位置検出部70Bが設けられている(図8参照)。
【0063】
ビーム位置検出部70Aには、クロムメッキ等の金属膜によるパターニングで、X方向に向かって開く「く」の字型で透明部(透光部)に形成された複数の検出用スリット74がX方向に沿って所定の間隔で配列されている。
【0064】
図9Aに示すように、「く」の字型の検出用スリットは、ステージ移動方向の上流側に位置する所定長さを持つ直線状の第1スリット部74aと、ステージ移動方向の下流側に位置する所定長さを持つ直線状の第2スリット部74bと、をそれぞれの一端部で直角に接続した形状に形成されている。すなわち、第1スリット部74aと、第2スリット部74bとは互いに直交すると共に、Y軸に対して第1スリット部74aは135度、第2スリット部74bは45度の角度を有している。
【0065】
なお、検出用スリット74における第1スリット部74aと第2スリット部74bとは、ステージ14の移動方向に対して45度の角度を成すように形成したものを図示したが、これら第1スリット部74aと第2のスリット部74bとを、露光ヘッド30の画素配列に対して傾斜すると同時に、ステージ移動方向に対して傾斜する状態(互いが平行でないように配置した状態)にできれば、ステージ移動方向に対する角度を任意に設定してもよい。また、検出用スリット74に代えて回折格子を使用してもよい。
【0066】
このビーム位置検出部70Aにおける検出用スリット74の下方には、露光ヘッド30からの光を検出するフォトセンサ72(CCD、CMOS又はフォトディテクタ等)と、フォトセンサ72を移動操作する移動装置76とが配置されている。移動装置76は、コントローラ28の指令によって駆動制御されるリニアモータ送り機構、ねじ送り機構又は搬送ベルト機構等の搬送手段によって、フォトセンサを、X方向に沿って移動し、各所定位置で停止させられるように構成されており、ここでは、コントローラ28の指令に基づいてフォトセンサ72を、ビーム位置検出部70Aにおける各検出用スリット74直下の所定位置へそれぞれ移動して停止させる動作を行う。
【0067】
一方、カメラ位置検出部70Bには、図8に示すように、クロムメッキ等の金属膜によるパターニングで、円形に形成された検出用マーク77A及び十字形に形成された検出用マーク77BがX方向に沿って所定の間隔で交互に複数配列されている。つまり、検出用マーク77Bは、アライメントカメラ26の位置を検出するための基準パターンとして機能する。
【0068】
図11A〜図11Dに示すように、この検出用マーク77Aの幅寸法:MAと検出用マーク77Bの幅寸法:MBとは等しくされ(MA=MB)、検出用マーク77A、77Bの配列ピッチ:P1は、アライメントカメラ26の視野(撮影視野)VのX方向における長さ寸法:Lから、検出用マーク77A、77Bの幅寸法の1/2を差し引いた値に設定されている(P1=L−(MA/2)=L−(MB/2))。また、ここでは、アライメントカメラ26のX方向への移動単位:U1は、検出用マーク77A、77Bの幅寸法の1/2に設定されている(U1=MA/2=MB/2)。
【0069】
ここで、基準スケール70に形成されたビーム位置検出部70Aを用いてビーム位置を検出する方法について図9A及び図9B及び図10を参照しながら説明する。
【0070】
ここでは、スキャナ24の各露光ヘッドから照射されるビーム位置を検出し、DMD36の1つの特定画素Z1が点灯している(1つの特定画素をオンとしているとき)実際の位置を特定する手順について説明する。なお、特定画素Z1が点灯している実際の位置を特定し、点灯している特定画素Z1の光量を検出して行うこの方法は、特定画素Z1の適正状態の確認や、初期条件の確認等にも利用できる。
【0071】
まず、オペレータが、コントローラ28の指示入力手段82を操作して1つの特定画素Z1が点灯している実際の位置を特定する指示を入力すると、この指令を受けたCPU80は、ステージ14を移動操作して基準スケール70の所定の露光ヘッド30用の所定の検出用スリット74をスキャナ24の下方に位置させる。
【0072】
次に、CPU80は、DMDコントローラ86と露光処理制御用コントローラ92とに制御信号を出力して、所定のDMD36における特定画素Z1だけを点灯状態とするように制御する。さらにCPU80は、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を移動制御し、図9Aに実線で示すように、検出用スリット74が露光エリア32上の所定位置(例えば原点とすべき位置)となるように移動させる。このとき、CPU80は、第1スリット部74aと第2スリット部74bとの交点を(X0,Y0)と認識し、メモリ84に記憶する。なお、図9Aでは、Y軸から反時計方向に回転する方向を正の角度とする。
【0073】
次に、図9Aに示すように、CPU80は、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を移動制御することにより、検出用スリット74をY軸に沿って図9Aにおける右方へ移動を開始させる。そして、CPU80は、検出用スリット74が上記所定位置の右方の想像線で示した位置で、図9Bに示すように、点灯している特定画素Z1からの光が第1スリット部74aを透過してフォトセンサ72で検出されたことを検知した際に、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を停止させる。CPU80は、このときの第1スリット部74aと第2スリット部74bとの交点を(X0,Y11)として認識し、メモリ84に記憶する。
【0074】
次に、CPU80は、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を移動させ、検出用スリット74をY軸に沿って図9Aにおける左方へ移動を開始させる。そして、CPU80は、検出用スリット74が上記所定位置の左方の想像線で示した位置で、図9Bに示すように、点灯している特定画素Z1からの光が第2スリット部74bを透過してフォトセンサ72で検出されたことを検知した際に、ステージ駆動用コントローラ90に制御信号を出力してステージ14を停止させる。CPU80は、このときの第1スリット部74aと第2スリット部74bとの交点を(X0,Y12)として認識し、メモリ84に記憶する。
【0075】
次に、CPU80は、メモリ84に記憶した座標(X0,Y11)と(X0,Y12)とを読み出して特定画素Z1の座標を求め、実際の位置を特定する。ここで、特定画素Z1の座標を(X1,Y1)とすると、X1=X0+(Y11−Y12)/2で表され、Y1=(Y11+Y12)/2で表される。
【0076】
なお、上述のように、第1スリット部74aと交差する第2スリット部74bを有する検出用スリット74と、フォトセンサ72とを組み合わせて用いる場合には、フォトセンサ72が、第1スリット部74a又は第2スリット部74bを通過する所定範囲の光だけを検出することになる。よって、フォトセンサ72は、第1スリット部74a又は第2スリット部74bに対応する狭い範囲だけの光量を検出する微細で特別な構成とすることなく、市販の廉価なもの等を利用できる。
【0077】
次に、本実施の形態に係るデジタル露光装置10におけるアライメント機能の校正方法について説明する。
【0078】
上述したアライメント機能を備える本実施の形態に係るデジタル露光装置10では、前述したように、アライメントカメラ26が移動に伴い姿勢変化(ローリング、ピッチング及びヨーイング)を起こし、撮影位置に配置された状態で撮影レンズの光軸中心が正規の位置からずれる場合があるため、その影響により、アライメント機能を用いて露光位置を補正し、画像露光を行っても、露光位置が適正位置から外れて許容範囲を超えてしまう場合がある。
【0079】
このアライメントカメラ26の姿勢変化による光軸ずれ要因により、精度が影響されるアライメント機能を校正するため、デジタル露光装置10の製造時、メンテナンス時のほか、後述するタイミングで、以下に説明する校正方法によりアライメント機能の校正作業を実施する。
【0080】
この校正作業の手順としては、先にアライメントカメラ26の校正を行い、次に露光基準とカメラ光軸中心との位置関係を取得して、その取得情報を露光ヘッド30による露光位置合わせに反映させる手順で行うが、この校正作業は、ワーク12に対する露光手順とは別に事前に実施する、又は、ワーク12に対する露光時に同時に実施することができる。また、アライメントカメラ26の校正、及び露光基準とカメラ光軸中心との位置関係の取得については、連続的又は個別に行うことができるが、ここでは、連続的に行う場合で説明する。
【0081】
最初に、アライメントカメラの校正について図12を参照しながら説明する。
【0082】
まず、図12のステップS1において、オペレータがワーク12のアライメントマーク13の位置データをコントローラ28に入力する。この位置データの入力によりアライメントマーク13の座標が取得される。
【0083】
続いて、オペレータがコントローラ28の指示入力手段82から校正開始の入力操作を行うと、デジタル露光装置10の校正動作が開始し、ステップS2で、コントローラ28のカメラ移動用コントローラ88は上記の入力された位置データに基づいてアライメントカメラ26の駆動源を制御し、各アライメントカメラ26をワーク12のアライメントマーク13を撮影する所定の撮影位置にそれぞれ移動させる。このとき、各アライメントカメラ26の位置は、各駆動源(ステッピングモータ)のパルスをカウントすることでコントローラ28に制御され、また、前述した移動単位(U1)のステップで送られる。
【0084】
各アライメントカメラ26がアライメントマーク13の撮影位置に配置されると、ステップS3で、ステージ14がガイド20に沿ってアライメント計測方向の上流側から下流側に移動し、基準スケール70のカメラ位置検出部70Bを各アライメントカメラ26の下方(視野内)に配置する位置まで移動する。
【0085】
各アライメントカメラ26の視野内に基準スケール70のカメラ位置検出部70Bが配置されると、各アライメントカメラ26はコントローラ28により制御されてカメラ位置検出部70Bをそれぞれ撮影する。このとき、各アライメントカメラ26は、カメラ位置検出部70Bに配列された複数の検出用マーク77A、77Bのうち、少なくとも1つをそれぞれ撮影する。
【0086】
次に、ステップS4で、撮影された検出用マーク77A、77Bの視野中心(光軸中心)からの位置ずれ量を、コントローラ28が画像処理等によって計測する。なお、ここでは、撮影した検出用マークが検出用マーク77A、77Bのいずれであるかは、パターンマッチング等の画像処理を用いて切り替える。
【0087】
ここで、撮影された検出用マーク77A、77Bが、複数設けられたうちのいずれの検出用マークであるかは上記のパルスによって特定し、また、各検出用マーク77A、77Bの絶対位置データは予め別の測定手段によって測定し、コントローラ28に記憶されており、この絶対位置データと、上記の計測結果(計測値)との差分を演算して、基準スケール70と各アライメントカメラ26の光軸中心との位置ずれデータを取得する。この計測及び演算結果から、アライメントマーク13を撮影する位置(アライメント計測位置)における各アライメントカメラ26の光軸中心ずれ量を補正するための校正用データが得られ、この校正用データは、コントローラ28のメモリ85に記憶される(ステップS5:図10参照)。この段階で、アライメントカメラ26の校正動作が終了する。
【0088】
次に、露光基準とカメラ光軸中心との位置関係の取得動作(露光ヘッド30の露光基準点に対するアライメントカメラ26の相対位置についての情報取得)について図13を参照しながら説明する。
【0089】
まず、図13のステップS101において、コントローラ28により駆動装置が制御され、ステージ14は、基準スケール70のビーム位置検出部70Aを露光ヘッド30によるレーザビームの照射位置(露光位置)まで移動する。次に、ステップS102で、基準スケール70のビーム位置検出部70Aへ向けて露光ヘッド30からレーザビームを照射し、前述したビーム位置検出動作により、露光基準点の位置を計測する(ステップS103)。
【0090】
ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bとは同一の基準スケール70に設けられており、これらの位置関係は予め別の測定手段により測定されている。これにより、露光基準と、上記のカメラの校正動作で撮影した検出用マーク77A、77Bとの位置関係が判明する。
【0091】
従って、本動作により計測した露光基準データと、アライメントカメラ26の校正処理により取得したアライメントカメラ26の光軸中心との位置ずれデータ(校正用データ)とを演算することで、露光基準とカメラ光軸中心との位置関係を示す露光基準−カメラ光軸中心位置データ(補正データ)が得られ、このデータはコントローラのメモリ85に記憶される(ステップS104)。この段階で、露光基準とカメラ光軸中心との位置関係の取得動作が終了する。
【0092】
ここで、本実施の形態に係るデジタル露光装置10によるワーク12に対する露光処理について説明する。
【0093】
まず、露光パターンに応じた画像データがコントローラ28に入力されると、コントローラ28内のメモリ84に一旦記憶される。この画像データは、画像を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0094】
次に、ワーク12をステージ14のワーク載置面にセットし、オペレータがコントローラ28の指示入力手段82から露光開始の入力操作を行う。
【0095】
上述の入力操作により、デジタル露光装置10の露光動作が開始すると、コントローラ28により駆動装置が制御され、ワーク12を上面に吸着したステージ14は、ガイド20に沿って、且つ、アライメント計測方向の上流側から下流側に一定速度で移動開始する。このステージ14の移動開始に同期して、又は、ワーク12に先端が各アライメントカメラ26の真下に達する少し手前のタイミングで、各アライメントカメラ26はコントローラ28により制御されて作動する。
【0096】
ステージ14の移動に伴い、ワーク12がアライメントカメラ26の下方を通過する際には、アライメントカメラ26によるアライメント測定が行われる。
【0097】
このアライメント測定では、まず、ワーク12の移動方向下流側(前端側)の角部近傍に設けられた2個のアライメントマーク13が各アライメントカメラ26の真下(レンズの光軸上)に達すると、所定のタイミングで各アライメントカメラ26はそれぞれアライメントマーク13を撮影し、その撮影した画像データを、すなわち、露光位置の基準がアライメントマーク13によって示された基準位置データを含む画像データをコントローラ28のデータ処理部であるCPU80に出力する。アライメントマーク13の撮影後は、ステージ14が下流側への移動を再開する。
【0098】
また、本実施の形態のワーク12のように、移動方向(走査方向)に沿って複数のアライメントマーク13が設けられている場合には、次のアライメントマーク13(移動方向上流側(後端側)の角部近傍に設けられた2個のアライメントマーク13)が各アライメントカメラ26の真下に達すると、同様に所定のタイミングで各アライメントカメラ26はそれぞれアライメントマーク13を撮影してその画像データをコントローラ28のCPU80に出力する。
【0099】
なお、ワーク12に移動方向に沿って3個以上のアライメントマーク13が設けられている場合も同様に、各アライメントマーク13がアライメントカメラ26の下方を通過する毎に、所定のタイミングでアライメントカメラ26によるアライメントマーク13の撮影が繰り返し行われ、全てのアライメントマーク13に対し、その撮影した画像データがコントローラ28のCPU80に出力される。
【0100】
CPU80は、入力された各アライメントマーク13の画像データ(基準位置データ)から判明する画像内におけるマーク位置及びマーク間ピッチ等と、そのアライメントマーク13を撮影したときのステージ14の位置及びアライメントカメラ26の位置から、演算処理によって、ステージ14上におけるワーク12の載置位置のずれ、移動方向に対するワーク12の傾きのずれ、及びワーク12の寸法精度誤差等を把握し、ワーク12の被露光面に対する適正な露光位置を算出する。そして、後述するスキャナ24による画像露光時に、メモリ84に記憶されている露光パターンの画像データに基づいて作成する制御信号をその適正な露光位置に合わせ込んで画像露光する補正制御(アライメント)を実行する。このとき、前述のメモリ85から前記露光ヘッド30の露光基準点に対するアライメントカメラ26の光軸中心の相対位置についての情報を参照して補正制御(アライメント)を行なう。
【0101】
ワーク12がアライメントカメラ26の下方を通過すると、アライメントカメラ26によるアライメント測定が完了し、続いてステージ14は駆動装置により逆方向に駆動され、ガイド20に沿って露光方向へ移動する。そして、ワーク12は、ステージ14の移動に伴いスキャナ24の下方を露光方向の下流側へ移動し、被露光面の画像露光領域が露光開始位置に達すると、スキャナ24の各露光ヘッド30は光ビームを照射してワーク12の被露光面に対する画像露光を開始する。
【0102】
ここで、コントローラ28のメモリ84に記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部としてのCPU80で読み出された画像データに基づいて各露光ヘッド30毎に制御信号が生成される。この制御信号には、前述した補正制御(アライメント)により、アライメント測定したワーク12に対する露光位置ずれの補正が加えられる。そして、ミラー駆動制御部としてのDMDコントローラ86は、生成及び補正された制御信号に基づいて各露光ヘッド30毎にDMDのマイクロミラー46の各々をオンオフ制御する。
【0103】
照明装置38の光ファイバ40から出射されたレーザ光がDMD36に照射されると、DMD36のマイクロミラー46がオン状態のときに反射されたレーザ光は、マイクロレンズアレイ54の各対応するマイクロレンズ60を含むレンズ系によりワーク12の露光面上に結像される。このようにして、照明装置38から出射されたレーザ光が画素毎にオンオフされて、ワーク12がDMD36の使用画素数とほぼ同数の画素単位(露光エリア32)で露光される。
【0104】
また、ワーク12がステージ14と共に一定速度で移動されることにより、ワーク12がスキャナ24によりステージ移動方向と反対の方向に走査され、各露光ヘッド30毎に帯状の露光済み領域34(図2参照)が形成される。
【0105】
スキャナ24によるワーク12の画像露光が完了すると、ステージ14は、駆動装置により、そのまま露光方向の下流側へ駆動されて露光方向の最下流側(アライメント計測方向の最上流側)にある原点に復帰する。以上により、デジタル露光装置10によるワーク12に対する露光動作が終了する。
【0106】
次に、上述した露光処理の変形例について図14及び図15を参照しながら説明する。上述した動作により、アライメントカメラ26でアライメントマーク13を読み取る前あるいは後に、アライメントマーク13を読み取ったアライメントカメラ26の位置で検出用マーク77A、77Bを読み取る(ステップS201)。上述したように、検出用マーク77A、77Bの絶対位置データは予め別の測定手段で測定され、コントローラ28に記憶されており、アライメントカメラ26で読み取ったアライメントマーク13の位置データを検出用マーク77A、77Bの絶対位置データを基準とした位置データ(校正用データ)として取得する(ステップS202)。
【0107】
次に、上述の図13におけるステップS101からステップS104の手順で、DMD36の特定の画素が点灯しているときの露光面上でのビーム位置を計測し(ステップS203)、ビーム位置データを取得する(ステップS204)。これは、露光基準点のビーム位置検出部70Aに対しての相対的な位置データ(補正データ)である。
【0108】
ここで、ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bとは、同一の基準スケール70に設けられており、これらの相対的な位置関係は予め別の測定手段により測定されている(ステップS205)。
【0109】
これにより、ビーム位置検出部70Aに対する露光基準点の露光面上でのビーム位置と、カメラ位置検出部70Bを基準としたアライメントマーク13の位置が取得できる。すなわち、ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bの相対位置は測定されているので、ビーム位置検出部70Aを基準としたアライメントマーク13の位置データを得ることができる。
【0110】
ワーク12を露光する段階では、アライメント測定が開始され、まず、アライメントカメラ26によりアライメントマーク13を読み取り(ステップS206)、読み取ったアライメントマーク13に基づき位置データを取得する(ステップS207)。コントローラ28は、ステップS201、S202の手順でアライメントマークの検出用マーク77A、77Bを基準とした基準位置データを算出する(ステップS208)。さらに、コントローラ28は、ビーム位置検出部70Aに対する露光基準点のビーム位置データと、ビーム位置検出部70Aに対するアライメントマーク13の位置データに基づいて、露光画像の画像データ上のアライメントマーク13がビーム位置検出部70Aに対するアライメントマーク13の位置に一致するように、画像データに対してDMD36の各画素を割り当て、画像データに応じてDMD36の各画素を変調させ、露光画像を露光する(ステップS209)。
【0111】
これにより、ビーム位置検出部70Aと相対位置関係が判明した検出用マーク77とアライメントマーク13の位置測定をアライメントカメラ26で行うことで、アライメントマーク13の位置と露光点位置との位置関係がわかり、これらのデータに基づいて描画像を露光するため、高精度で描画像を露光することができる。
【0112】
すなわち、アライメントマーク13及び露光基準点の露光位置を同一のスケール(ビーム位置検出部70A又はカメラ位置検出部70B)に対する相対位置として、それぞれのデータを取得し、このアライメントマーク13の位置データ及び露光点基準位置データに基づいて露光するので、高精度に描画像をワーク12上に露光することができる。
【0113】
なお、露光基準点を1点として説明したが、複数の画素を露光基準点として位置測定することにより、さらに高精度に描画像をワーク12上に露光することができる。
【0114】
また、この実施の形態では、ワーク12が載置されるステージ14にカメラ位置検出部70Bを有する基準スケール70を設け、且つ、ステージ14にワーク12を載置した状態でアライメントカメラ26による検出用マーク77A、77Bの撮影が可能なように配設したので、デジタル露光装置10によってワーク12を露光する場合でも、アライメント機能が校正できるようになり、校正作業が容易になる。
【0115】
次に、基準スケール70のカメラ位置検出部70Bに設ける検出用マーク77を1種類とした場合の変形例について図16及び図17を参照しながら説明する。
【0116】
図16に示すカメラ位置検出部70Bには、円形の検出用マーク77AのみがX方向に沿って所定の間隔で複数配列されている。この変形例では、複数の検出用マーク77Aの配列ピッチP2と、アライメントカメラ26のX方向への移動単位U2とが同一に設定されており(P2=U2)、さらに各検出用マーク77Aがアライメントカメラの視野(撮影視野)Vの中央に位置するように配置されている。
【0117】
また、図17A〜図17Dに示すカメラ位置検出部70Bにも、円形の検出用マーク77AのみがX方向に沿って所定の間隔で複数配列されており、この変形例では、複数の検出用マーク77Aの配列ピッチP3と、アライメントカメラ26の視野VのX方向における長さ寸法Lとは同一に設定されている(P3=L)。また、ここでは、アライメントカメラ26のX方向への移動単位U3は、検出用マーク77Aの幅寸法MAに設定されている(U3=MA)。
【0118】
このように、カメラ位置検出部70Bに設ける検出用マーク77を1種類とした場合でも、上記の設定を採用することにより、アライメントカメラ26の移動においては、アライメントカメラ26を移動単位(U2/U3)のステップで送り、いずれの位置に配置した場合でも、複数配列したうちの1つの検出用マーク77Aのみを撮影することができる。
【0119】
そして、これらの変形例においては、上述した実施の形態のように、2種類の検出用マーク77A、77Bのうち、いずれがアライメントカメラ26によって撮影されたかを判別するために、パターンマッチング等の画像処理を用いる必要がないため、校正動作に関する処理を簡素化できる。
【0120】
次に、基準スケール70を用いた露光ヘッド30の角度の測定方法を図18を参照しながら説明する。
【0121】
例えば図18の1つの露光ヘッド30において、画素1a、1b、1cを順次点灯する。このうち走査方向(Y方向)にて一直線上に並んだ1a、1bの露光ヘッド30上における画素位置(座標)を求めることで、走査方向(Y方向)に対する露光ヘッド30の角度であるθh1が算出できる。
【0122】
また、同一の行(露光ヘッド30)上の画素1b、1cの露光ヘッド30上における画素位置(座標)を求めることで、露光ヘッド30に対する基準スケール70の角度であるθs1が算出できる。
【0123】
同様にして、n個の露光ヘッド30にてそれぞれ露光ヘッド30の角度θh1〜θhnと、基準スケール70の角度θs1〜θsnとを求め、それぞれの平均値が等しくなるように基準スケール70の角度を角度調整装置95で調整する。
【0124】
上記の調整により、走査方向(Y方向)に対して基準スケール70を正しく垂直方向に角度合わせできるので、複数の露光ヘッド30内の画素とアライメントカメラ26の位置を正確な座標系で測定できるようになり、正確に露光位置のアライメント補正をした露光を実現できるようになる。
【0125】
すなわち、露光ヘッド30と走査方向の角度、露光ヘッド30と基準スケール70の角度は検出可能であるため、この2つから走査方向と基準スケール70の角度を検出・校正することができる。
【0126】
上記の構成とすることにより、デジタル露光装置10内にある座標基準となる基準スケール70で高精度に位置補正することができる。これにより、デジタル露光装置10内で例えば経時変化があった場合において、例えばステージ14の走査方向が変化したり、あるいは基準スケール70の取付角度が走査方向に対して変化した場合等に走査方向を測定するための高精度な測定装置を必要とせず、デジタル露光装置10内の機能だけで校正可能なので、デジタル露光装置10全体の経時信頼性が向上する。
【0127】
そして、第1の実施の形態に係る校正方法は、図19に示すように、図13のステップS1〜S5、あるいは図12のステップS201〜S202で示すアライメントカメラ26の校正を行った後に(ステップS301)、ほとんど時間を置かずに、図13のステップS101〜S104、あるいは図14のステップS203〜S204で示すビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う(ステップS302)。
【0128】
必要であれば、図18に示す基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0129】
アライメントカメラ26の校正が終了した時点からビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラの位置情報の取得を開始する時点までの時間は、5分以内がよく、より好ましくは1分以内である。第1の実施の形態では、ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bとが一体化された基準スケール70を用いているため、前記時間は数秒である。
【0130】
これは、アライメントカメラ26の校正が終了した後、例えば10分以上経過してからビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うと、アライメントカメラ26の校正が終了してからビーム位置の検出が行われる前に、例えばデジタル露光装置10の温度(周囲温度を含む)が変化し、アライメントカメラ26を支持する部材等がわずかに変形する。そのため、アライメントカメラ26の位置と、メモリ84に記憶されている校正用データ等との間に誤差が生じ、この状態でビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うと、アライメントカメラ26の校正によって得られた校正値に基づいて調整された撮影系と、露光基準点のビーム位置及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報によって調整された露光系との相対位置誤差が大きくなり、露光精度が低下するおそれがある。
【0131】
しかし、第1の実施の形態に係る校正方法では、アライメントカメラ26の校正が終了した時点からビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得までの時間を5分以内としたので、この時間内での例えばデジタル露光装置10の温度(周囲温度を含む)の変化はわずかであるため、アライメントカメラ26を支持する部材の変形はほとんどない。従って、アライメントカメラ26の校正によって得られた校正値に基づいて調整された撮影系と、露光基準点のビーム位置及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報によって調整された露光系との相対位置誤差を小さくすることができ、露光精度の低下を抑えることができる。
【0132】
次に、第2の実施の形態に係る校正方法は、アライメントカメラ26の校正とビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得をそれぞれ複数回行い、アライメントカメラ26の校正で得られた複数の校正用データの平均化並びにビーム位置の校正で得られた複数の補正データの平均化を行う。
【0133】
具体的に図20に基づいて説明すると、まず、図20のステップS401において、校正回数を示すカウンタiに初期値「0」を格納して、カウンタiを初期化する。その後、ステップS402において、アライメントカメラ26の校正を行い、得られた校正用データをメモリ84内の例えばアライメントカメラ校正用のシーケンシャルファイルに記憶する。その後、ステップS403において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。この場合も、得られた補正データをメモリ84内の例えばビーム位置校正用のシーケンシャルファイルに記憶する。
【0134】
次いで、ステップS404において、カウンタiの値を+1更新した後、ステップS405において、カウンタiの値が所定回数N以上であるか否かを判別する。この所定回数Nは、デジタル露光装置10の仕様等によって適宜選択できるが、アライメントカメラ26の位置が温度の変化等によって変わり易いようであれば、回数を増やして精度を上げるようにすればよい。しかし、単に回数を増やすと、校正に時間がかかることから、回数と誤差との関係が、例えば図21に示すような特性であって、ある回数から誤差がほとんど変化しない場合であれば、ニー(knee)点付近の回数に設定することが好ましい。これにより、校正精度と校正時間の最適化を図ることができる。
【0135】
そして、前記ステップS405において、カウンタiの値が所定回数N未満であれば、前記ステップS402以降の処理に戻り、アライメントカメラ26の校正を行った後、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。
【0136】
前記ステップS405において、カウンタiの値が所定回数N以上であると判別された場合、次のステップS406に進み、アライメントカメラ校正用のシーケンシャルファイルに記憶された複数の校正用データの平均化を行い、さらに、ビーム位置校正用のシーケンシャルファイルに記憶された複数の補正データの平均化を行う。
【0137】
その後、ステップS407において、前記平均化された後の校正用データをアライメントカメラ26の校正値としてメモリ84に登録し、前記平均化された後の補正データをビーム位置の校正値としてメモリ84に登録する。
【0138】
前記ステップS407での処理が終了した段階で、この第2の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0139】
この第2の実施の形態に係る校正方法においては、基準スケール70の配置誤差に基づくアライメントカメラ26の校正誤差や露光基準点に対するアライメントカメラ26の相対位置についての情報の取得に関する誤差を吸収することができ、露光精度の向上、再現性(ワーク12間並びにデジタル露光装置10間において一定の精度を有する特性)の向上を図ることができる。
【0140】
なお、ステップS403のビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得後に、図18に示す基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。この場合も、得られた角度情報をメモリ84内の例えば角度情報用のシーケンシャルファイルに記憶し、ステップS406において、複数の角度情報を平均化するようにしてもよい。
【0141】
次に、第3の実施の形態に係る校正方法、特に、アライメント測定及び露光処理を含めた校正方法について図22〜図24を参照しながら説明する。
【0142】
この第3の実施の形態に係る校正方法では、図22に示すように、ワーク12が載置される1つのステージ14の端縁部に基準スケール70が固定されている。従って、ステージ14の下部に取り付けられた昇降機構96によってステージ14が昇降すると、それに合わせて基準スケール70も昇降するようになっている。
【0143】
アライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得は、アライメントカメラ26による撮像を良好とするために、図22に示すように、基準スケール70の基準面Am(この場合、上面)をアライメントカメラ26の焦点深度に収まる位置に位置させる必要がある。この位置は、ステージ14上に載置されたワーク12に対する露光を行う場合における露光基準面Gmでもあり、露光を行う際に、ワーク12の基準面Bm(この場合、上面)がこの位置に位置決めされる。従って、以下の説明では、前記位置を露光基準面Gmと記す。
【0144】
この第3の実施の形態では、ワーク12が載置されるステージ14上に基準スケール70が固定されていることから、基準スケール70の厚みとワーク12の厚みとが異なる場合、アライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行う際には、ステージ14を昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせ、また、ワーク12に対するアライメント測定及び露光処理の際には、ステージ14を昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせるようにする。
【0145】
具体的に、第3の実施の形態に係る校正方法について、図23を参照しながら説明する。
【0146】
まず、図23のステップS501において、ステージ14上にワーク12を載置した後、次のステップS502において、特定の条件に適合しているかどうかが判別される。ここで、特定の条件とは、以下の事項が挙げられる。
【0147】
(a)初回(電源投入後、初めてのワーク12)である。
【0148】
(b)デジタル露光装置10内に取り付けられた温度計、例えばアライメントカメラ26を支持するアライメントユニット100に取り付けられた温度計(図示せず)にて測定した今回の温度が、前回測定した温度から±0.2℃以上変化している。なお、今回の温度の測定タイミングは、例えばステップS502に入る直前の時点であり、前回の温度の測定タイミングは、例えばステップS504(アライメントカメラの校正)に入る直前等が挙げられる。
【0149】
(c)今回のワーク12のアライメントマーク13の位置が前回のワーク12と異なる。
【0150】
(d)今回のワーク12の厚みが前回のワーク12の厚みと異なる。
【0151】
(e)ワーク12を所定枚数処理した。この所定枚数は、処理枚数と前記温度計にて測定した温度変化との関係が、例えば図24に示すようにほぼ線形となる特性であれば、温度変化が例えば0.2℃以上となる枚数に設定することが好ましい。
【0152】
上述の(b)及び(e)では、0.2℃を1つの目安としている。この値は、小さければ小さいほど露光精度を向上させることができるが、生産性を著しく低下させるおそれがあるため、露光精度と生産性とを考慮して決定することが望ましい。従って、±0.05〜±1.0℃の範囲であれば、露光精度と生産性の最適化を図ることができ、好ましい。
【0153】
上述した特定の条件に適合していれば、次のステップS3に進み、昇降機構9によってステージ14を昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS504において、アライメントカメラ26の校正を行い、次いで、ステップS505において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。この後に、図18に示す基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0154】
上述のステップS505での処理が終了した段階、あるいは前記ステップS502において、特定の条件に適合していないと判別された場合は、次のステップS506において、昇降機構96によってステージ14を昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS507において、ステージ14を一方向(アライメント計測方向:図1参照)に移動させて、アライメント測定を行う。その後、ステップS8において、ステージを他方向(露光方向:図1参照)に移動させて、ワーク12に対して露光処理を行う。その後、ステップS509において、前記露光処理を終えたワーク12をステージ14から取り出す。
【0155】
そして、ステップS510において、このデジタル露光装置10に対する終了要求(電源断やメンテナンス)であるか否かが判別され、終了要求でなければ、前記ステップS501以降の処理を繰り返して、次のワーク12に対する処理を行う。前記ステップS510において、終了要求があれば、この第3の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0156】
このように、第3の実施の形態に係る校正方法においては、アライメントカメラ26の校正からビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得(並びに基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定)との間において、ステージ14を昇降させることがないため、アライメントカメラ26の校正によって得られた校正値に基づいて調整された撮影系と、露光基準点のビーム位置及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報によって調整された露光系との相対位置誤差を小さくすることができる。
【0157】
特に、この第3の実施の形態では、上述した特定の条件に適合した場合に、再度アライメントカメラ26の校正及びビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得等を行うようにしているため、温度変化によるアライメントカメラ26の位置誤差を小さくすることができ、運転時間の経過に伴う露光精度の劣化を抑えることができる。しかも、厚みの異なるワーク12間やアライメントマーク13の位置が異なるワーク12間での再現性も向上させることができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0158】
次に、第4の実施の形態に係る校正方法、特に、アライメント測定及び露光処理を含めた校正方法について図25を参照しながら説明する。
【0159】
この第4の実施の形態に係る校正方法は、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行う。
【0160】
具体的には、まず、図25のステップS601において、ステージ14上にワーク12を載置した後、次のステップS602において、昇降機構96によってステージ14を昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせる。
【0161】
その後、ステップS603において、アライメントカメラ26の校正を行い、次いで、ステップS604において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。この後に、基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0162】
その後、ステップS605において、昇降機構96によってステージ14を昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS606において、ステージ14を一方向(アライメント計測方向:図1参照)に移動させて、アライメント測定を行う。その後、ステップS607において、ステージ14を他方向(露光方向:図1参照)に移動させて、ワーク12に対して露光処理を行う。その後、ステップS608において、前記露光処理を終えたワーク12をステージ14から取り出す。
【0163】
そして、ステップS609において、このデジタル露光装置10に対する終了要求であるか否かが判別され、終了要求でなければ、前記ステップS601以降の処理を繰り返して、次のワーク12に対するアライメントカメラ26の校正、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得、並びにアライメント測定及び露光処理を行う。前記ステップS609において、終了要求があれば、この第4の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0164】
このように、第4の実施の形態に係る校正方法においては、上述した第1〜第3の実施の形態に係る校正方法の効果を得ることができることに加え、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うことから、露光精度をさらに向上させることができる。
【0165】
次に、第5の実施の形態に係る校正方法、特に、アライメント測定及び露光処理を含めた校正方法について図26及び図27を参照しながら説明する。
【0166】
この第5の実施の形態に係る校正方法では、図26に示すように、ステージ14の構成が第3及び第4の実施の形態と異なり、ワーク12が載置される第1のステージ14Aと基準スケール70が固定される第2のステージ14Bが互いに独立して併設されている。また、第1のステージ14Aの下部には、第1のステージ14A専用の第1の昇降機構96Aが取り付けられ、第2のステージ14Bの下部には、第2のステージ14B専用の第2の昇降機構96Bが取り付けられている。つまり、第1のステージ14Aと第2のステージ14Bはそれぞれ独立に昇降することとなる。
【0167】
従って、基準スケール70の厚みとワーク12の厚みとが異なる場合であっても、第2の昇降機構96Bによって、第2のステージ14Bを昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせれば、それ以降、基本的には第2のステージ14Bを昇降させる必要がない。
【0168】
具体的に、第5の実施の形態に係る校正方法について、図27を参照しながら説明する。
【0169】
まず、図27のステップS701において、第2の昇降機構96Bによって第2のステージ14Bを昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせる。
【0170】
その後、ステップS702において、第1のステージ14A上にワーク12を載置した後、次のステップS703において、第1の昇降機構96Aによって第1のステージ14Aを昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS704において、特定の条件に適合しているかどうかが判別される。ここで、特定の条件とは、上述した(a)〜(e)が挙げられるため、ここではその説明を省略する。上述した特定の条件に適合していれば、次のステップS705に進み、アライメントカメラ26の校正を行い、次いで、ステップS706において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行う。この後に、基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0171】
上述のステップS706での処理が終了した段階、あるいは前記ステップS704において、特定の条件に適合していないと判別された場合は、次のステップS707において、第1及び第2のステージ14A及び14Bを一方向に移動させて、アライメント測定を行う。その後、ステップS708において、第1及び第2のステージ14A及び14Bを他方向に移動させて、ワーク12に対して露光処理を行う。その後、ステップS709において、前記露光処理を終えたワーク12を第1のステージ14Aから取り出す。
【0172】
そして、ステップS710において、このデジタル露光装置10に対する終了要求であるか否かが判別され、終了要求でなければ、前記ステップS702以降の処理を繰り返して、次のワーク12に対する処理を行う。前記ステップS710において、終了要求があれば、この第5の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0173】
このように、第5の実施の形態に係る校正方法においては、基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせれば、それ以降、第2のステージ14Bを昇降させる必要がないため、校正にかかる時間を短縮させることができる。校正を行うたびに基準スケール70を昇降させることがないため、高精度に校正値(校正用データ、補正データ、角度情報等)を得ることができる。従って、アライメントカメラ26の校正によって得られた校正値に基づいて調整された撮影系と、露光基準点のビーム位置及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報によって調整された露光系との相対位置誤差をさらに小さくすることができる。
【0174】
この第5の実施の形態においても、上述した第3の実施の形態と同様に、特定の条件に適合した場合に、再度アライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得等を行うようにしているため、温度変化によるアライメントカメラ26の位置誤差を小さくすることができ、運転時間の経過に伴う露光精度の劣化を抑えることができる。しかも、厚みの異なるワーク12間やアライメントマーク13の位置が異なるワーク12間での再現性も向上させることができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0175】
次に、第6の実施の形態に係る校正方法、特に、アライメント測定及び露光処理を含めた校正方法について図28を参照しながら説明する。
【0176】
この第6の実施の形態に係る校正方法は、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正及びビーム位置の校正を行う。
【0177】
具体的には、まず、図28のステップS801において、第2の昇降機構96Bによって第2のステージ14Bを昇降させて基準スケール70の基準面Amを露光基準面Gmに合わせた後、ステップS802において、第1のステージ14A上にワーク12を載置する。
【0178】
その後、ステップS803において、第1の昇降機構96Aによって第1のステージ14Aを昇降させてワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせる。その後、ステップS804において、第1及び第2のステージ14Aを一方向に移動させて、アライメントカメラ26の校正を行い、次いで、ステップS805において、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得し、ビーム位置の校正を行い、さらに、ステップS806において、アライメント測定を行う。ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得の後に基準スケール70と露光ヘッド30の角度測定を行うようにしてもよい。
【0179】
その後、ステップS807において、第1及び第2のステージ14A及び14Bを他方向に移動させて、ワーク12に対して露光処理を行う。その後、ステップS808において、前記露光処理を終えたワーク12を第1のステージ14Aから取り出す。
【0180】
そして、ステップS809において、このデジタル露光装置10に対する終了要求であるか否かが判別され、終了要求でなければ、前記ステップS802以降の処理を繰り返して、次のワーク12に対するアライメントカメラ26の校正、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得、並びにアライメント測定及び露光処理を行う。前記ステップS809において、終了要求があれば、この第6の実施の形態に係る校正方法が終了する。
【0181】
このように、第6の実施の形態に係る校正方法においては、上述した第5の実施の形態に係る校正方法の効果を得ることができることに加え、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うことから、露光精度をさらに向上させることができる。
【0182】
特に、この第6の実施の形態では、ステップS803において、ワーク12の基準面Bmを露光基準面Gmに合わせた後、第1及び第2のステージ14A及び14Bを一方向に移動させて、アライメントカメラ26の校正、ビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得、並びにアライメント測定を連続して行うことができることから、アライメントカメラ26の校正からアライメント測定までの時間を大幅に短縮することができ、1枚のワーク12ごとにアライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うという頻度の高い処理にしても、生産性を低下させることがない。
【0183】
上述した第3の実施の形態に係る校正方法(図23参照)、第4の実施の形態に係る校正方法(図25参照)、第5の実施の形態に係る校正方法(図27参照)、第6の実施の形態に係る校正方法(図28参照)では、アライメントカメラ26の校正並びにビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を第1の実施の形態に係る校正方法(図19参照)に従って行った例を示したが、その他、第2の実施の形態に係る校正方法(図20参照)を採用するようにしてもよい。
【0184】
また、上述した例では、基準スケール70として、ビーム位置検出部70Aとカメラ位置検出部70Bが一体に形成されたスケールを用いたが、その他、ビーム位置検出部70Aのみを有する第1の基準スケール(図示せず)と、カメラ位置検出部70Bのみを有する第2の基準スケール(図示せず)を使用し、各基準スケールの相対位置関係を測定して、アライメントカメラ26の校正やビーム位置の検出及び露光基準点に対するアライメントカメラ26の位置情報の取得を行うようにしてもよい。
【0185】
上記の例では、検出用マーク(校正用基準マーク)77が円形及び十字形の2種類の場合について説明したが、この検出用マーク77の形状については円形及び十字形以外の形状を用いることが可能であり、さらに、3種類以上の検出用マークを用いることが可能である。その場合でも、上述したように、アライメントカメラ26の視野及び移動単位と、検出用マーク77の配列ピッチとを所定の条件で規定することにより、同等の機能を実現することができる。
【0186】
上述した実施の形態におけるデジタル露光装置10のワーク12に対する露光動作では、ステージ14を移動させつつワーク12を走査露光する場合について説明したが、露光動作は、このような走査露光に限らず、ほかにも、最初の露光位置まで移動させたワーク12を一旦停止して所定の露光領域のみを露光し、その露光後に、ワーク12を次の露光位置まで移動させて再び停止し、次の露光領域のみを露光する、というように、ワーク12の移動→露光位置で停止→画像露光→移動・・・を繰り返すような動作としてもよい。
【0187】
また、上述の実施の形態では、空間変調素子としてDMD36を備えた露光ヘッド30について説明したが、このような反射型空間光変調素子のほかに、透過型空間光変調素子(LCD)を使用することもできる。
【0188】
例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM:Special Light Modulator)や、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)や液晶光シャッタ(FLC)等の液晶シャッタアレイ等、MEMSタイプ以外の空間光変調素子を用いることも可能である。
【0189】
なお、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマニシング技術によるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、そして制御回路を集積化した微細システムの総称であり、MEMSタイプの空間光変調素子とは、静電気力を利用した電気機械動作により駆動される空間光変調素子を意味している。
【0190】
さらに、Grating Light Valve(GLV)を並べて二次元状に構成したものを用いることもできる。これらの反射型空間光変調素子(GLV)や透過型空間光変調素子(LCD)を使用する構成では、上記したレーザのほかに、ランプ等も光源として使用可能である。
【0191】
また、上述の実施の形態における光源としては、合波レーザ光源を複数備えたファイバアレイ光源、1個の発光点を有する単一の半導体レーザから入射されたレーザ光を出射する1本の光ファイバを備えたファイバ光源をアレイ化したファイバアレイ光源、複数の発光点が二次元状に配列された光源(例えばLDアレイ、有機ELアレイ)等が適用可能である。
【0192】
また、上述のデジタル露光装置には、露光により直接情報が記録されるフォトンモード感光材料、露光により発生した熱で情報が記録されるヒートモード感光材料のいずれも使用することができる。
【0193】
フォトンモード感光材料を使用する場合、レーザ装置にはGaN系半導体レーザ、波長変換固体レーザ等が使用され、ヒートモード感光材料を使用する場合、レーザ装置にはAlGaAs系半導体レーザ(赤外レーザ)、固体レーザが使用される。
【0194】
なお、上述の実施の形態では、デジタル露光装置10に適用した例を示したが、その他、アナログ露光装置、インクジェット装置、各種アライメント装置にも適用させることができる。
【0195】
すなわち、本発明に係る露光装置及び露光方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】本実施の形態に係るデジタル露光装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るデジタル露光装置におけるスキャナの概略構成を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るデジタル露光装置における露光ヘッドの光学系を示す概略構成図である。
【図4】図4Aは本実施の形態に係るデジタル露光装置におけるDMDを傾斜させない場合の各マイクロミラーによる露光ビームの走査軌跡を示す要部平面図であり、図4BはDMDを傾斜させた場合の露光ビームの走査軌跡を示す要部平面図である。
【図5】本実施の形態に係るデジタル露光装置に設けられたDMDの構成を示す部分拡大図である。
【図6】図6A及び図6Bは図5のDMDの動作を説明するための説明図である。
【図7】本実施の形態に係るデジタル露光装置におけるアライメントユニットの構成を示す斜視図である。
【図8】本実施の形態に係るデジタル露光装置に設置される基準スケールを示す平面図である。
【図9】図9Aは本実施の形態に係るデジタル露光装置において検出用スリットを利用して点灯している特定画素と光の回り込み画素を検出する状態を示す説明図であり、図9Bは点灯している特定画素をフォトセンサが検知したときの信号を示す説明図である。
【図10】本実施の形態に係るデジタル露光装置に設けられたコントローラおける制御用の電気系の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図11A〜図11Dは、本実施の形態に係るデジタル露光装置におけるカメラ位置検出部をアライメントカメラにより撮影する際の検出用マークと撮影視野の関係を示す説明図である。
【図12】本実施の形態に係るデジタル露光装置で行われるアライメントカメラの校正動作の制御の流れを示すフローチャートである。
【図13】本実施の形態に係るデジタル露光装置で行われるビーム位置の校正動作の制御の流れを示すフローチャートである。
【図14】本実施の形態に係るデジタル露光装置で行われるアライメントカメラの校正動作、ビーム位置の校正動作及びアライメント測定に関する変形例の制御の流れを示すフローチャートである。
【図15】図14による制御の流れの説明に供する図である。
【図16】カメラ位置検出部の変形例を示す説明図である。
【図17】図17A〜図17Dは、図16に示す変形例に係るカメラ位置検出部をアライメントカメラにより撮影する際の検出用マークと撮影視野の関係を示す説明図である。
【図18】基準スケールを用いた露光ヘッドの角度の測定方法を示す説明図である。
【図19】第1の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図20】第2の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図21】第2の実施の形態に係る校正方法の所定回数と誤差との関係の一例を示す特性図である。
【図22】ステージの1つの構成例を示す説明図である。
【図23】第3の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図24】デジタル露光装置での処理枚数と温度変化との関係の一例を示す特性図である。
【図25】第4の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図26】ステージの他の構成例を示す説明図である。
【図27】第5の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図28】第6の実施の形態に係る校正方法を示すフローチャートである。
【図29】従来例に係るデジタル露光装置の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0197】
10…デジタル露光装置 12…ワーク
14…ステージ 14A…第1のステージ
14B…第2のステージ 26…アライメントカメラ
28…コントローラ 30…露光ヘッド
70…基準スケール 70A…ビーム位置検出部
70B…カメラ位置検出部 74…検出用スリット
84、85…メモリ 96…昇降機構
96A…第1の昇降機構 96B…第2の昇降機構
100…アライメントユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光ヘッドを有し、ステージ上に配されたワークに前記露光ヘッドによって画像を露光する露光装置において、
前記ワークに形成されたアライメントマークを測定するためのアライメントセンサと、
前記ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくとも前記アライメントセンサの校正値を求める校正手段と、
前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定手段と、
少なくとも前記校正手段による校正値と前記測定手段による測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光手段と、
前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた後に、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御する制御手段とを有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
請求項1記載の露光装置において、
前記制御手段は、
露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の露光装置において、
前記ステージは、前記ワークが配される第1のステージと、前記基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在とされていることを特徴とする露光装置。
【請求項4】
請求項3記載の露光装置において、
前記第1のステージを昇降させて前記ワークの基準面を前記露光基準面に位置決めする第1の位置決め手段と、
前記第2のステージを昇降させて前記基準スケールの基準面を前記露光基準面に位置決めする第2の位置決め手段とを有し、
前記制御手段は、
前記第1の位置決め手段及び前記第2の位置決め手段によって前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ前記露光基準面に合わせた後に、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項5】
請求項4記載の露光装置において、
前記制御手段は、
露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記第1の位置決め手段によって前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の露光装置において、
前記校正手段は、
前記アライメントセンサの校正値を求めるアライメントセンサ校正手段と、
前記露光ヘッドの露光基準点の位置と前記アライメントセンサの校正値に基づいて前記露光ヘッドの露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を取得する位置情報取得手段とを有し、
前記制御手段は、少なくとも前記アライメントセンサ校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項7】
請求項6記載の露光装置において、
前記制御手段は、
前記アライメントセンサ校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行う一連の処理を所定回数だけ行い、
前記アライメントセンサ校正手段にて得られた所定回数分の校正値を平均化して前記露光手段による露光のための校正値とし、
前記位置情報取得手段にて得られた所定回数分の前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を平均化して前記露光手段による露光のための補正値とすることを特徴とする露光装置。
【請求項8】
ステージ上に配されたワークに形成されたアライメントマークを測定するためのアライメントセンサを有し、前記ワークに露光ヘッドによって画像を露光する露光方法において、
前記ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくとも前記アライメントセンサの校正値を求める校正ステップと、
前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定ステップと、
少なくとも前記校正ステップによる校正値と前記測定ステップによる測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光ステップと、
前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた後に、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御する制御ステップとを有することを特徴とする露光方法。
【請求項9】
請求項8記載の露光方法において、
前記制御ステップは、
露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の露光方法において、
前記ステージは、前記ワークが配される第1のステージと、前記基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在とされていることを特徴とする露光方法。
【請求項11】
請求項10記載の露光方法において、
前記第1のステージを昇降させて前記ワークの基準面を前記露光基準面に位置決めする第1の位置決めステップと、
前記第2のステージを昇降させて前記基準スケールの基準面を前記露光基準面に位置決めする第2の位置決めステップとを有し、
前記制御ステップは、
前記第1の位置決めステップ及び前記第2の位置決めステップによって前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ前記露光基準面に合わせた後に、前記校正ステップよる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光方法。
【請求項12】
請求項11記載の露光方法において、
前記制御ステップは、
露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記第1の位置決めステップによって前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の露光方法において、
前記校正ステップは、
前記アライメントセンサの校正値を求めるアライメントセンサ校正ステップと、
前記露光ヘッドの露光基準点の位置と前記アライメントセンサの校正値に基づいて前記露光ヘッドの露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を取得する位置情報取得ステップとを有し、
前記制御手段は、少なくとも前記アライメントセンサ校正ステップによる校正処理と前記位置情報取得ステップによる前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うように制御することを特徴とする露光方法。
【請求項14】
請求項13記載の露光方法において、
前記制御ステップは、
前記アライメントセンサ校正ステップによる校正処理と前記位置情報取得ステップによる前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行う一連の処理を所定回数だけ行い、
前記アライメントセンサ校正ステップにて得られた所定回数分の校正値を平均化して前記露光ステップによる露光のための校正値とし、
前記位置情報取得ステップにて得られた所定回数分の前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を平均化して前記露光ステップによる露光のための補正値とすることを特徴とする露光方法。
【請求項1】
露光ヘッドを有し、ステージ上に配されたワークに前記露光ヘッドによって画像を露光する露光装置において、
前記ワークに形成されたアライメントマークを測定するためのアライメントセンサと、
前記ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくとも前記アライメントセンサの校正値を求める校正手段と、
前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定手段と、
少なくとも前記校正手段による校正値と前記測定手段による測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光手段と、
前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた後に、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御する制御手段とを有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
請求項1記載の露光装置において、
前記制御手段は、
露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の露光装置において、
前記ステージは、前記ワークが配される第1のステージと、前記基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在とされていることを特徴とする露光装置。
【請求項4】
請求項3記載の露光装置において、
前記第1のステージを昇降させて前記ワークの基準面を前記露光基準面に位置決めする第1の位置決め手段と、
前記第2のステージを昇降させて前記基準スケールの基準面を前記露光基準面に位置決めする第2の位置決め手段とを有し、
前記制御手段は、
前記第1の位置決め手段及び前記第2の位置決め手段によって前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ前記露光基準面に合わせた後に、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項5】
請求項4記載の露光装置において、
前記制御手段は、
露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記第1の位置決め手段によって前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正手段による校正処理と、前記測定手段による測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の露光装置において、
前記校正手段は、
前記アライメントセンサの校正値を求めるアライメントセンサ校正手段と、
前記露光ヘッドの露光基準点の位置と前記アライメントセンサの校正値に基づいて前記露光ヘッドの露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を取得する位置情報取得手段とを有し、
前記制御手段は、少なくとも前記アライメントセンサ校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項7】
請求項6記載の露光装置において、
前記制御手段は、
前記アライメントセンサ校正手段による校正処理と前記位置情報取得手段による前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行う一連の処理を所定回数だけ行い、
前記アライメントセンサ校正手段にて得られた所定回数分の校正値を平均化して前記露光手段による露光のための校正値とし、
前記位置情報取得手段にて得られた所定回数分の前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を平均化して前記露光手段による露光のための補正値とすることを特徴とする露光装置。
【請求項8】
ステージ上に配されたワークに形成されたアライメントマークを測定するためのアライメントセンサを有し、前記ワークに露光ヘッドによって画像を露光する露光方法において、
前記ステージ上に固定された基準スケールに基づいて少なくとも前記アライメントセンサの校正値を求める校正ステップと、
前記校正値に基づいて前記ワークに形成された前記アライメントマークを測定する測定ステップと、
少なくとも前記校正ステップによる校正値と前記測定ステップによる測定値に基づいて前記ワークに対して画像の露光を行う露光ステップと、
前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ露光基準面に合わせた後に、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御する制御ステップとを有することを特徴とする露光方法。
【請求項9】
請求項8記載の露光方法において、
前記制御ステップは、
露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の露光方法において、
前記ステージは、前記ワークが配される第1のステージと、前記基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在とされていることを特徴とする露光方法。
【請求項11】
請求項10記載の露光方法において、
前記第1のステージを昇降させて前記ワークの基準面を前記露光基準面に位置決めする第1の位置決めステップと、
前記第2のステージを昇降させて前記基準スケールの基準面を前記露光基準面に位置決めする第2の位置決めステップとを有し、
前記制御ステップは、
前記第1の位置決めステップ及び前記第2の位置決めステップによって前記基準スケールの基準面と前記ワークの基準面をそれぞれ前記露光基準面に合わせた後に、前記校正ステップよる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光方法。
【請求項12】
請求項11記載の露光方法において、
前記制御ステップは、
露光処理を終えた前記ワークを取り出して、新たなワークに取り替えた後、前記第1の位置決めステップによって前記ワークの基準面を前記露光基準面に合わせる処理と、前記校正ステップによる校正処理と、前記測定ステップによる測定処理を連続して行うように制御することを特徴とする露光方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の露光方法において、
前記校正ステップは、
前記アライメントセンサの校正値を求めるアライメントセンサ校正ステップと、
前記露光ヘッドの露光基準点の位置と前記アライメントセンサの校正値に基づいて前記露光ヘッドの露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を取得する位置情報取得ステップとを有し、
前記制御手段は、少なくとも前記アライメントセンサ校正ステップによる校正処理と前記位置情報取得ステップによる前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行うように制御することを特徴とする露光方法。
【請求項14】
請求項13記載の露光方法において、
前記制御ステップは、
前記アライメントセンサ校正ステップによる校正処理と前記位置情報取得ステップによる前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報の取得を連続して行う一連の処理を所定回数だけ行い、
前記アライメントセンサ校正ステップにて得られた所定回数分の校正値を平均化して前記露光ステップによる露光のための校正値とし、
前記位置情報取得ステップにて得られた所定回数分の前記露光基準点に対する前記アライメントセンサの相対位置についての情報を平均化して前記露光ステップによる露光のための補正値とすることを特徴とする露光方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2006−337873(P2006−337873A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164849(P2005−164849)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
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