説明

静電容量センサ式測定装置

【課題】本発明の目的は、センサプローブと測定対象物との間隙を容易かつ正確に調整することができる静電容量センサを提供することにある。
【解決手段】本発明は、静電容量センサと、前記静電容量センサを固定する第1の固定治具と、前記静電容量センサの先端部に位置するセンサプローブと測定対象物との間隙を調整するアクチュエータと、前記アクチュエータと前記静電容量センサとを固定する第2の固定治具と、前記間隙の調整後に前記静電容量センサを固定する第3の固定治具と、前記間隙に生じる静電容量の値を測定する計測器と、を具備し、前記第2の固定治具が、第3の固定治具よりも剛性の低い構成になっていることを特徴とする、静電容量センサ式測定装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサプローブと測定対象物との間の静電容量に基づいて測定対象物の位置を検出する静電容量センサ式測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量センサ式測定装置は、センサプローブと測定対象物との間に生じる静電容量の大きさを検出することによって、センサプローブと測定対象物との間の距離を計測する装置である(特許文献1)。静電容量センサ式測定装置は、測定対象物の位置や形状を精密に計測する装置として用いられ、例えば、半導体デバイスなどのナノデバイス系の製造システムに広く応用されている。
【0003】
ナノテクノロジーの飛躍的進展とともに、静電容量センサの分解能は日々高くなっていており、現在、その分解能は0.1nmにまで達してきている。そして、静電容量センサの高分解能化によって、測定範囲も小さくなり、センサプローブと測定対象物との間隙を±1μm以内に調整しなければ測定ができなくなってきている。
【特許文献1】特開2004−279082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサプローブと測定対象物の間隙の調整は、現状では、レンチなどで静電容量センサを叩きながら調整しているが、叩く量の加減など、その間隙調整の難易度は非常に高い。
【0005】
本発明の目的は、センサプローブと測定対象物との間隙を容易かつ正確に調整することができる静電容量センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、静電容量センサと、前記静電容量センサを固定する第1の固定治具と、前記静電容量センサの先端部に位置するセンサプローブと測定対象物との間隙を調整するアクチュエータと、前記アクチュエータと前記静電容量センサとを固定する第2の固定治具と、前記間隙の調整後に前記静電容量センサを固定する第3の固定治具と、前記間隙に生じる静電容量の値を測定する計測器と、を具備し、前記第2の固定治具が、第3の固定治具よりも剛性の低い構成になっていることを特徴とする、静電容量センサ式測定装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、静電容量センサと、前記静電容量センサを固定する第1の固定治具と、前記静電容量センサの先端部に位置するセンサプローブと測定対象物との間隙を調整するアクチュエータと、前記間隙の調整後に前記静電容量センサを固定する把持部と、前記間隙に生じる静電容量の値を測定する計測器と、を具備し、前記アクチュエータが、前記センサプローブに形成された第1のオネジと、前記把持部に形成された前記第1のオネジに螺合する第1のメネジによって構成されていることを特徴とする、静電容量センサ式測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の静電容量センサ式測定装置は、アクチュエータによってセンサプローブと測定対象物との間隙を容易かつ正確に微調整することができ、極めて操作性に優れた静電容量センサ式測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の構成を詳細に説明するために例示的に示したものに過ぎない。従って、本発明は、以下の実施形態に記載された説明に基づいて限定解釈されるべきではない。本発明の範囲には、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内にある限り、以下の実施形態の種々の変形、改良形態を含む全ての実施形態が含まれる。
【0010】
<第1の実施形態>
図1
図1は、第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10の構成を示した模式図である。図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10の側面図、正面図および下面図である。図に示すように、静電容量センサ式測定装置10は、静電容量センサ1と、静電容量センサ1を固定する第1の固定治具2と、静電容量センサ1の先端部に位置するセンサプローブ3と測定対象物との間隙を調整するアクチュエータ4と、アクチュエータ4と静電容量センサ1とを固定する第2の固定治具5と、前記間隙の調整後に静電容量センサ1を固定する第3の固定治具6と、前記間隙に生じる静電容量の値を測定する計測器と、を具備する。
【0011】
静電容量センサ1は、棒状の金属電極で構成され、先端部(先端近傍)がセンサプローブ3として機能し、センサプローブ3と測定対象物との間に生じる静電容量の値が計測器によって測定される。静電容量は、交流インピーダンスとして検出される。具体的には、センサアンプから供給される微弱な交流電流を、センサプローブ3から測定対象物に向かって流し込み、そのインピーダンスによる電圧降下を計測する場合が多い。
【0012】
第1の固定治具2は、静電容量センサ1を高剛性に固定するためのものである。静電容量センサ1ではナノレベルの間隙を測定するため、センサプローブ3のわずかな振動も計測結果に影響を及ぼす。したがって、第1の固定治具2は、これに固定された静電容量センサ1が動かない程度の剛性を有している必要がある。なお、図1および2では、第1の固定治具2を高剛性な金属製の四面体として表わしているが、第1の固定治具2は、後述する実施例に示すような固定台61および定盤62も含めた概念であり、測定系に応じてその固定治具の形態は適宜変更可能である。
【0013】
アクチュエータ4は、静電容量センサ1を水平方向に移動させ、静電容量センサ1の先端部に位置するセンサプローブ3と測定対象物との間隙を調整するシステムである。第1の実施形態では、アクチュエータ4は、例示的にマイクロメータ(以下、マイクロメータ4ともいう)によって構成される。アクチュエータ4は、連結板9を介して静電容量センサ1と連結され、アクチュエータ4は連結板9を介して静電容量センサ1を駆動させる。なお、この連結部位は、フード11によって覆われている。
【0014】
アクチュエータ4を静電容量センサ1に取り付けた場合、アクチュエータ4が重みとなって静電容量センサ1の剛性が低下するため、静電容量センサ1の計測の安定性が著しく損なわれる。
【0015】
また、アクチュエータ4を静電容量センサ1に取り付けた場合、アクチュエータ4が重みとなって静電容量センサ1の中心軸がわずかに傾く。この中心軸の水平方向に対するズレは、ひっかかりを生じ、第1の固定治具2に高剛性に固定された静電容量センサ1の水平方向への移動を妨げ、アクチュエータ4による静電容量センサ1の移動調整を極めて困難にする。
【0016】
そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、アクチュエータ4を静電容量センサ1に取り付けても剛性が低下せず、かつ静電容量センサの中心軸の傾きによる影響を受けない、第1〜第3の固定治具2、5および6によって構成される機構を考案した。この結果、静電容量センサ1にアクチュエータ4を取り付けることが可能になり、容易かつ正確なセンサプローブ3の微調整が可能となった。以下、図2において詳細に説明する。
【0017】
図2
図2は、第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10の一部を拡大して示した断面図である。
【0018】
第2の固定治具5は、アクチュエータ4と静電容量センサ1とを固定するためのものであり、第3の固定治具6よりも剛性の低い構成になっている。具体的には、図2に示すように、第2の固定治具5は、アクチュエータ4と静電容量センサ1を同期させる連結板9と、静電容量センサ1を直接的に固定するネジ5bによって構成される。静電容量センサ1を直接的に固定するネジとは、例えば、イモネジの先端部をセンサ側面に押しつけて固定するような態様を意味する。このような固定方法は「点」での固定になるため、その剛性は低く、静電容量センサ1とアクチュエータ4との間に遊びが設けられる。なお、前記遊びをより確実に作り出すためにネジ5bを緩めに締めつけてもよい。
【0019】
次に、第3の固定治具6は、センサプローブ3と測定対象物との間隙の調整後に静電容量センサ1を固定するためのものである。第3の固定治具6は、固定後のセンサの剛性を維持する必要があるため、図2に示すように、好ましくは第1の固定治具2と一体に構成されている。第3の固定治具6は、その具体的構成として、静電容量センサ1の水平方向(図中、矢印方向)への移動を導くガイド7と、静電容量センサ1を共締めで固定するネジ8とを具備する。ここで、ガイド7とは、第3の固定治具6内に設けられた貫通孔を意味する。また、静電容量センサ1を共締めで固定するネジとは、ネジを締めつけることによってガイドを締めつけ、ガイドがその静電容量センサを押さえつけて固定するような態様を意味する。このような固定方法は、「面」での固定になるため、その剛性は高い。ネジを締めつけることによってガイドが締めつけられる機構とは、例えば、図1(b)の正面図に示すような割12が第3の固定治具6に入っていることにより実現される。前記間隙の調整後、ネジ8を締めつけることによってガイド7が締まり、静電容量センサ1が固定される。一方、ネジ8による締めつけ前は、アクチュエータ4の駆動制御によってセンサプローブ3がガイド7内を水平方向(図中、矢印方向)に移動することができる。
【0020】
ここで、アクチュエータ4の重みによって静電容量センサ1の中心軸がわずかに傾く。しかし、この中心軸の水平方向に対するズレは、第2の固定治具5の遊び、すなわち剛性の弱い固定によってひっかかりを生じさせることがなく、センサプローブ3のガイド7内におけるスムーズな移動が維持される。その結果、アクチュエータによる静電容量センサ1の移動調整が可能となる。また、アクチュエータによる移動調整後、第3の固定治具6で静電容量センサ1を固定することによって第2の固定治具5の遊び、すなわち剛性の弱い固定がキャンセルされ、静電容量センサ1は、第1および第3の固定治具2、6によって高剛性に固定される。その結果、アクチュエータが重みとなって静電容量センサの剛性が低下することもなくなる。
【0021】
<第1の実施形態の変形例>
第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10には、各種の変形、変更が可能である。例えば、アクチュエータは自動制御系であっても手動制御系であってもよい。また、静電容量センサ1は1本に限らず、2本以上あってもよい。以下、図3において、2本の静電容量センサ1を備える静電容量センサ式測定装置10の構成について説明する。
【0022】
図3
図3は、第1の実施形態の変形例としての、2本の静電容量センサ1を備える静電容量センサ式測定装置10の構成を示した模式図である。図3(a)および(b)は、それぞれ第1の実施形態の変形例としての、2本の静電容量センサ1を備える静電容量センサ式測定装置10の正面図および下面図である。
【0023】
その基本的構成は、図1に示した第1の実施形態おける静電容量センサ式測定装置10と同じであるが、2本の静電容量センサ1を1つのアクチュエータ4で一度に調整できるように、第2および第3の固定治具が同期構造となっている。具体的には、1枚の連結板9に2本の静電容量センサ1が一緒に固定され、1つのアクチュエータ4によってもたらされる動力によって2本の静電容量センサ1がともに水平方向に移動する。この場合、静電容量センサ1を直接的に固定するネジ5bは2つ存在し、各ネジが、それぞれ1本の静電容量センサ1を固定するが、両ネジによる固定はともに「点」での固定になるため、その剛性は低く、2本の静電容量センサ1とアクチュエータ4との間に遊びが設けられる。なお、前記遊びをより確実に作り出すためにネジ5bを緩めに締めつけてもよい。
【0024】
また、第3の固定治具6には、2つのガイド7が設けられ、各ガイド7内にはそれぞれ1本の静電容量センサ1が挿入される。ここで、第3の固定治具6には、割12aおよび12bが入っているため、各ガイド7を締めつけるためのネジ8をそれぞれ締めつけることによって、各ガイド7が締まり、静電容量センサ1が固定される。両ネジによる固定はともに共締めによる「面」での固定になるため、その剛性は高い。なお、割12bは、ネジ8の締めつけを容易にするための切れ込みである。
【0025】
その他、複数の静電容量センサ1をそれぞれ独立して調整する構成としてもよい。この場合、各静電容量センサ1はそれぞれ独立したアクチュエータによって制御される。このとき、1つの静電容量センサ1を固定するための第2および第3の固定治具と、他の静電容量センサ1を固定するための第2および第3の固定治具とはそれぞれ互いに独立している。
【0026】
また、図面では、例示的に静電容量センサ1は水平方向に移動しているが、当然ながら、計測の態様に応じて鉛直方向や一定の傾斜方向に移動させることもある。基本的には、測定対象物の被測定面に対して垂直に移動させることによって距離が測定される。
【0027】
<第2の実施形態>
図4および図5
図4は、第2の実施形態における静電容量センサ式測定装置10の構成を示した模式図である。図4(a)、(b)および(c)は、それぞれ第2の実施形態における静電容量センサ式測定装置10の側面図、正面図および下面図である。また、図5は、センサプローブ3と把持部53の構造上の関係を示す斜視図である。図に示すように、静電容量センサ式測定装置10は、静電容量センサ1と、静電容量センサ1を固定する第1の固定治具2と、静電容量センサ1の先端部に位置するセンサプローブ3と測定対象物との間隙を調整するアクチュエータと、前記間隙の調整後に前記静電容量センサを固定する把持部53と、前記間隙に生じる静電容量の値を測定する計測器と、を具備する。
【0028】
第2の実施形態では、前記アクチュエータは、図5に示すように静電容量センサ1の先端部に位置するセンサプローブ3に形成された第1のオネジ51と、前記把持部53に形成された前記第1のオネジ51に螺合する第1のメネジ52によって構成されている。したがって、静電容量センサ1自体を回転させることによって、静電容量センサ1の先端部に位置するセンサプローブ3と測定対象物との間の距離を微調整することができる。前記距離の調整後、固定用ナット41を締めつけることによって静電容量センサ1を高剛性に固定することができる。
【0029】
第2の実施形態は、第1の実施形態よりも必要な部品点数が少ないため、静電容量センサ式測定装置10の製造工程の簡易化とともに、製造コストの低額化を実現することができる。
【0030】
その他、第2の実施形態は、各種の変形、変更が可能である。例えば、静電容量センサ1を固定するのに固定用ナット41ではなく、モールを使用してもよい。また、第1の実施形態のように、把持部53に割12およびネジ8を設けることによって、静電容量センサ1を共締めにして固定してもよい。
【実施例】
【0031】
<第1の実施形態>
図6
図6は、第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10を使用したXステージの真直度の測定の様子を表わした模式図である。
【0032】
図に示すように、第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10が固定台61に高剛性に固定され、また、固定台61は定盤62に高剛性に固定される。そして、定盤62には同時にXステージ63が高剛性に固定され、測定対象物64が載置される。測定対象物64には側面にミラーを貼り付けた金属製の箱が使用され、前記ミラー面65が静電容量センサ式測定装置10側に向けて置かれる。静電容量センサ1の先端部に位置するセンサプローブ3とミラー面65との間隙Aに流れる静電容量の値は、計測器66に表示される。
【0033】
固定の手順としては、先ず、第2の固定治具5のネジと第3の固定治具6のネジとを緩めた状態にしておく。
【0034】
次に、第2の固定治具5のネジを締めて、マイクロメータ4と静電容量センサ1とを固定する。第2の固定治具5のネジは静電容量センサにイモネジが直接あたって固定する方式であり、かつマイクロメータ4と静電容量センサ1とを固定する治具は薄く作られているので、固定したときの剛性は低い。
【0035】
次に、マイクロメータ4を動かしてセンサプローブ3とミラー面65との間隙Aを微調整する。微調整できる原理は、図1および2に示したように、第3の固定治具6が、静電容量センサ1を水平方向(図中、矢印方向)に移動可能なガイド7を備えていることによる。第3の固定治具6のネジが緩んでいる状態では、静電容量センサ1はガイド7内を摺動することができ、センサプローブ3とミラー面65との間隙Aを微調整することができる。
【0036】
続いて、計測器66に表示された静電容量の値を見ながら、静電容量センサ1の適切な位置を見つけ、第3の固定治具6のネジを締めて静電容量センサ1を固定する。一例として、分解能0.1nmで±0.5μmの測定範囲を得るためには、前記間隙Aが約9μm〜20μmになるように固定する必要がある。
【0037】
第3の固定治具のネジでの固定は共締めという固定方法で、第3の固定治具のネジを締めることによって、割の入った第3の固定治具が静電容量センサ1を締めつける。この固定方法は面で固定するため、固定した際には高い剛性が維持される。一方、上述したように、第2の固定治具5のネジは、イモネジによる直接的な固定であり、点で固定するため、その剛性は低い。この結果、第3の固定治具6のネジでの固定が、第2の固定治具5のネジでの固定に勝り、第2の固定治具のネジで締めた固定は第3の固定治具のネジでの固定に倣うため、マイクロメータ4の取り付けに起因する静電容量センサ1の中心軸の傾きなどのセンサ調節機構の歪みがセンサ調節機構に悪影響を与えることはない。したがって、数μm〜十数μmというミクロな前記間隙Aを容易かつ正確に作り出すことができる。
【0038】
最後に、第2の固定治具5のネジを緩めて、マイクロメータ4の温度変化などの影響を受けにくくして、静電容量センサ1の固定が完了する。
【0039】
<第2の実施形態>
図7
図7は、第2の実施形態における静電容量センサ式測定装置10を使用したXステージの真直度の測定の様子を表わした模式図である。
【0040】
図に示すように、第2の実施形態における静電容量センサ式測定装置10が固定台61に高剛性に固定され、また、固定台61は定盤62に高剛性に固定される。そして、定盤62には同時にXステージ63が高剛性に固定され、測定対象物64が載置される。測定対象物64には側面にミラーを貼り付けた金属製の箱が使用され、前記ミラー面65が静電容量センサ式測定装置10側に向けて置かれる。静電容量センサ1の先端部に位置するセンサプローブ3とミラー面65との間隙Aに流れる静電容量の値は、計測器66に表示される。
【0041】
固定の手順としては、先ず、固定用ナット41を緩めた状態にしておく。
【0042】
次に、静電容量センサ1本体を回転させて、センサプローブ3とミラー面65との間隙Aを微調整する。微調整できる原理は、図4および5に示したように、前記アクチュエータが、センサプローブ3に形成された第1のオネジ51と、把持部53に形成された第1のオネジ51に螺合する第1のメネジ52によって構成されていることによる。固定用ナット41が緩んでいる状態では、把持部53に螺合したセンサプローブ3が回転移動するので、センサプローブ3とミラー面65との間隙Aを微調整することができる。
【0043】
続いて、計測器66に表示された静電容量の値を見ながら、静電容量センサ1の適切な位置を見つけ、固定用ナット41を締めて静電容量センサ1を固定する。一例として、分解能0.1nmで±0.5μmの測定範囲を得るためには、前記間隙Aが約9μm〜20μmになるように固定する必要がある。
【0044】
最後に、固定用ナット41を締め、静電容量センサを固定する。第2の実施形態における静電容量センサ1では、把持部53に螺合した静電容量センサ1を回転させることによってセンサプローブ3の位置を微調整することができるので、数μm〜十数μmというミクロな前記間隙Aを容易かつ正確に作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10の構成を示した模式図
【図2】第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10の一部を拡大して示した断面図
【図3】第1の実施形態の変形例としての、2本の静電容量センサ1を備える静電容量センサ式測定装置10の構成を示した模式図
【図4】第2の実施形態における静電容量センサ式測定装置10の構成を示した模式図
【図5】センサプローブ3と把持部53との構造上の関係を示す斜視図
【図6】第1の実施形態における静電容量センサ式測定装置10を使用したXステージの真直度の測定の様子を表わした模式図
【図7】第2の実施形態における静電容量センサ式測定装置10を使用したXステージの真直度の測定の様子を表わした模式図
【符号の説明】
【0046】
1・・・静電容量センサ、2・・・第1の固定治具、3・・・センサプローブ、4・・・アクチュエータ、5・・・第2の固定治具、5b・・・ネジ、6・・・第2の固定治具、7・・・ガイド、8・・・ネジ、9・・・連結板、10・・・静電容量センサ式測定装置、11・・・フード、12、12a、12b・・・割、41・・・固定用ナット、51・・・第1のオネジ、52・・・第1のメネジ、53・・・把持部、61・・・固定台、62・・・定盤、63・・・Xステージ、64・・・測定対象物、65・・・ミラー面、66・・・計測器、A・・・間隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量センサと、
前記静電容量センサを固定する第1の固定治具と、
前記静電容量センサの先端部に位置するセンサプローブと測定対象物との間隙を調整するアクチュエータと、
前記アクチュエータと前記静電容量センサとを固定する第2の固定治具と、
前記間隙の調整後に前記静電容量センサを固定する第3の固定治具と、
前記間隙に生じる静電容量の値を測定する計測器と、
を具備し、
前記第2の固定治具が、第3の固定治具よりも剛性の低い構成になっていることを特徴とする、静電容量センサ式測定装置。
【請求項2】
前記第2の固定治具が、前記アクチュエータと前記静電容量センサを同期させる連結板と、前記静電容量センサを直接的に固定するネジによって構成され、かつ、前記第3の固定治具が、前記静電容量センサの移動を導くガイドと、前記静電容量センサを共締めで固定するネジによって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の静電容量センサ式測定装置。
【請求項3】
前記アクチュエータが、マイクロメータで構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の静電容量センサ式測定装置。
【請求項4】
静電容量センサと、
前記静電容量センサを固定する第1の固定治具と、
前記静電容量センサの先端部に位置するセンサプローブと測定対象物との間隙を調整するアクチュエータと、
前記間隙の調整後に前記静電容量センサを固定する把持部と、
前記間隙に生じる静電容量の値を測定する計測器と、
を具備し、
前記アクチュエータが、前記センサプローブに形成された第1のオネジと、前記把持部に形成された前記第1のオネジに螺合する第1のメネジによって構成されていることを特徴とする、静電容量センサ式測定装置。
【請求項5】
前記把持部に割が入っており、固定用ネジを締めることによって、前記静電容量センサを固定することを特徴とする、請求項4に記載の静電容量センサ式測定装置。
【請求項6】
前記静電容量センサに別体の固定用ナットを有し、前記固定用ナットを締めることによって、前記静電容量センサを固定することを特徴とする、請求項4に記載の静電容量センサ式測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate