説明

静電容量式レベル計

【課題】電極棒に対する汚れの付着を防止することにより液面の高さの検出精度を高精度に維持する上で有利な静電容量式レベル計を提供する。
【解決手段】電極棒40は、水位検出用容器18に挿入されて配置され、芯材42と、筒体44とを含んで構成されている。芯材42は、導電性を有する材料で形成される。筒体44は、絶縁性、耐熱性、耐高圧性、耐薬品性を有する材料で形成され、芯材42の下端と芯材42の外周面4204とを覆う。ケース48は、電極棒40を収容すると共に、水位を検出しようとする缶水の流通を許容した空間52を筒体44との間に形成する。浮遊体46は、空間52に該空間52外への流出を阻止された状態で収容され、空間52に流通した缶水の水面上を浮遊する。浮遊体46は、空間52内の水面の高低の変化に追従して筒体44の外周面4412に接触しつつ上下に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電容量式レベル計に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラにおいては、加熱により水管内で発生する蒸気を品質のよい蒸気、すなわち乾き度の高い蒸気とするために、また、ヘッダ部位の過熱による劣化を防止するなどのために、缶水の水位を適切に制御することが重要である。
そこで、従来は、ボイラの水管と連通する水位検出用の金属製の容器を設け、この容器に水管内の水を流通させることにより、容器内の水位を水管内の水位と同じ高さとなるように構成する。
そして、水位検出用の電極棒として金属棒を容器に挿入し、電源の一方を金属棒の外部電源接続端子部に接続し、電源の他方を容器と接続して通電し、外部電源接続端子と容器との導通状態の変化により、容器内の水位が金属棒に達したことを検出し、これにより水管内における水位を検出している。
金属棒は、その下端部の高さ位置を異ならせて複数設けられており、異なる水位を検出するように構成されており、各水位の検出に基づいてボイラ缶体の水位が適切に制御される。
【0003】
ところが、小型ボイラの場合、缶水の蒸発量の増加に伴い、過熱限界水位と乾き度限界水位との水位差は小さくなる。
過熱限界水位とは、水位がこの過熱限界水位よりも低下すると、水管上部が過熱されて損傷してしまう水位であり、したがって、水位は過熱限界水位を下回らないようにする必要がある。
乾き度限界水位とは、水位がこの乾き度限界水位よりも上昇すると、乾き度の高い蒸気の生成ができなくなる水位であり、したがって、水位は乾き度限界水位を上回らないようにする必要がある。
しかしながら、金属棒を用いて水位検出を行う場合、金属棒の取り付け精度に限界があるため、mm単位で水位を高精度に検出することは難しい。
【0004】
そこで、高い検出精度を得ることができる静電容量式レベル計を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
この静電容量式レベル計は、導電性を有し上下に沿って配置される芯材と、絶縁性を有し芯材の外周面および下端を覆うように設けられた筒体とで構成された電極棒を用いる。
そして、この電極棒を水位検出用の金属製の容器内に挿入し、容器内で筒体が水に接触する部分によってコンデンサを形成し、芯材と容器とを通電することによりコンデンサの静電容量を測定し、測定した静電容量に基づいて容器内における水位を検出する。
このような静電容量式レベル計によれば、容器内における水位が高精度に検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−192485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、静電容量式レベル計を用いた場合、電極棒を構成する筒体の外周面に、水酸化第二鉄が汚れとなって付着する現象が生じる。
このような汚れが筒体の外周面に付着した状態で水位の検出を行うと、汚れが水分を吸収することから、測定される静電容量が不正確なものとなり、水位の検出精度の低下を招く不都合が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極棒に対する汚れの付着を防止することにより液面の高さの検出精度を高精度に維持する上で有利な静電容量式レベル計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、導電性を有し上下に沿って配置される芯材と、絶縁性を有し前記芯材の外周面および下端を覆う筒体とで構成された電極棒を備えた静電容量式レベル計であって、前記電極棒を収容すると共に、検出しようとする液体の液面と同じ高さとなるように前記液体の流通を許容した空間を前記筒体との間に形成するケースと、前記空間に収容され、前記空間に流通する前記液体の液面の高低の変化に追従して前記筒体に接触しつつ移動する前記液体よりも小さい比重を有する浮遊体とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記ケースの上部と下部に、前記空間と前記ケースの外部とを連通する連通孔が設けられ、前記液体の流通は前記連通孔によって許容され、前記連通孔は前記浮遊体よりも小さい内径で形成されていることを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計である。
請求項3記載の発明は、前記浮遊体の形状は球体であることを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計である。
請求項4記載の発明は、前記浮遊体は耐熱性および耐薬品性を有する高分子材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計である。
請求項5記載の発明は、前記浮遊体は耐熱性および耐薬品性を有する高分子材料に比重調整材を混合して形成されていることを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計である。
請求項6記載の発明は、前記比重調整材は、ガラス微小中空球であることを特徴とする請求項5記載の静電容量式レベル計である。
請求項7記載の発明は、前記比重調整材は、熱膨張材に熱を加えることで発泡させ膨張させた発泡材であることを特徴とする請求項5記載の静電容量式レベル計である。
請求項8記載の発明は、前記芯材は筒状を呈し、前記芯材の上端が前記筒体で覆われ、前記芯材の内周面と、前記芯材の上端を覆う前記筒体の部分と、前記芯材の下端を覆う前記筒体の部分とによって内部空間が形成され、前記内部空間に乾燥剤が配置されていることを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、浮遊体が筒体に接触しつつ移動することにより、浮遊体で筒体に付着した汚れを除去することができる。
したがって、測定される静電容量が正確なものとなり、液面の高さの検出精度を高精度に維持する上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、ケースの上部と下部に連通孔を設けるといった簡単な構成によって、液体の流通を許容しつつ、浮遊体の空間外への流出を阻止できる。
請求項3記載の発明によれば、浮遊体の形状が球体であるため、浮遊体同士が干渉することなく自由に運動できるので汚れを効果的に除去する上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、浮遊体は耐熱性および耐薬品性を有する高分子材料を用いて形成されているため、浮遊体の耐久性を確保する上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、浮遊体は耐熱性および耐薬品性を有する高分子材料に比重調整材を混合して形成されているので、浮遊体の耐久性を確保すると共に、所望の比重の浮遊体を簡単に得る上で有利となる。
請求項6記載の発明によれば、比重調整材は、ガラス微小中空球であるため、所望の比重の浮遊体を簡単に得る上でより有利となる。
請求項7記載の発明によれば、比重調整材は、熱膨張材に熱を加えることで発泡させ膨張させた発泡材であるため、所望の比重の浮遊体を簡単に得る上でより有利となる。
請求項8記載の発明によれば、静電容量の測定に影響を与える結露の発生を乾燥剤により防止できるので、液面の高さの検出精度を高精度に維持する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態の静電容量式レベル計用の電極棒40が適用されるボイラ10の概略構成図である。
【図2】本実施の形態の静電容量式レベル計用の電極棒40の構成を示す断面図である。
【図3】図2のAA線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本実施の形態の静電容量式レベル計用の電極棒が適用されるボイラ10について説明する。
図1に示すように、ボイラ10は、ボイラ缶体12と、バーナ14と、給水ポンプ16と、水位検出用容器18と、制御部20と、静電容量式レベル計22とを含んで構成されている。
【0011】
ボイラ缶体12は、複数の水管24と、下部管寄せ26と、上部管寄せ28と、燃焼室30を含んで構成されている。
給水ポンプ16は、制御部20の制御に基づいて水を給水管32、下部管寄せ26を経て複数の水管24へ供給する。
バーナ14は、例えば、高燃焼(100%燃焼)、低燃焼(50%燃焼)、停止の3段階で燃焼量を調整可能に構成されている。
バーナ14から燃焼室30内に向けて燃料の燃焼が行われ、燃焼ガスによって水管24内の水が加熱され、蒸気が生成される。
水管24で生成された蒸気は、上部管寄せ28で集められ、蒸気管34から負荷側へ送り出される。
【0012】
水位検出用容器18は、導電性を有する材料である金属で形成されている。
水位検出用容器18は、下壁1802と、下壁1802の周囲から立設された側壁1804と、側壁1804の上部を覆う上壁1806とを有している。
水位検出用容器18は、下壁1802に接続された連通管1810を介して下部管寄せ26に連通されると共に、上壁1804に接続された連通管1812を介して上部管寄せ28に連通されている。
したがって、缶水は水位検出用容器18に流通され、水位検出用容器18に流通された缶水の水位と、水管24内の缶水の水位とは同一となる。
【0013】
制御部20は、ボイラ10の運転時における燃焼量と、蒸気圧力と、給水温度と、缶水の電気伝導度などに基づいて求められた適正な水位と、静電容量式レベル計22によって測定された水管24内の水位とに基づいて給水ポンプ16を制御する。
すなわち、制御部20は、給水ポンプ16を駆動することで水を水管24に供給し、あるいは、給水ポンプ16を停止することで水の水管24への供給を停止することによって、水管24内の水位を前記の適正な水位に制御するものである。
また、制御部20は、バーナ14の燃焼量の制御を行う。
なお、蒸気圧力、給水温度、缶水の電気伝導度は、ボイラ10に設けられた従来公知のセンサ(不図示)によって検出され、それら検出信号(検出データ)が制御部20に供給される。
【0014】
静電容量式レベル計22は、電源36と、検出手段38と、電極棒40と、浮遊体46(図2)と、ケース48とを含んで構成されている。
電源36は、水位検出用容器18と電極棒40の外部電源接続端子50との間に、静電容量測定用の電圧、本実施の形態では交流電圧を印加するものである。
【0015】
検出手段38は、静電容量測定部38Aと、水位検出部38Bとを含んで構成されている。
静電容量測定部38Aは、電源36の電圧が印加された電極棒40の筒体44(図2)を誘電体とし、この誘電体が水位検出用容器18内で水に接触する部分によってコンデンサが形成された状態において、電極棒40の外部電源接続端子50と水位検出用容器18との間の静電容量、すなわち、前記コンデンサの静電容量を測定するものである。
水位検出部38Bは、前記の静電容量と水位検出用容器18内の水位とが予め関係付けられたデータを記憶しており、静電容量測定部38Aで得られた静電容量に基づいて前記データから水位検出用容器18内の水位を求め、求めた水位を制御部20に供給するものである。
このような水位検出部38Bは、例えば、前記データに基づいて静電容量を水位に変換するプログラムを実行するマイクロコンピュータによって実現することができる。
なお、水位検出部38Bによる水位の求め方は上記の方法に限定されるものではなく、静電容量と水位検出用容器18内の水位との関係を示す関係式に基づいて、静電容量を水位に変換して求めるなど従来公知の方法を用いることができる。
【0016】
図1に示すように、電極棒40は、水位検出用容器18に挿入されて配置されている。
図2、図3に示すように、電極棒40は、芯材42と、筒体44と、外部電源接続端子50とを含んで構成されている。
【0017】
芯材42は、導電性を有する材料で形成されており、このような材料としてステンレス鋼などの従来公知のさまざまな金属材料が使用可能である。
芯材42は、水位検出用容器18の内部において上下に沿って配置される。
本実施の形態では、芯材42は円筒状を呈し、内周面4202と外周面4204とを有している。
芯材42は、中実であってもよいが、本実施の形態のように中空構造とすることで、軽量化およびコストダウンが図られている。
【0018】
筒体44は、絶縁性、耐熱性、耐高圧性、耐薬品性を有する材料で形成されている。
このような材料として、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリアリルエーテルケトンなどのケトン系合成樹脂材料など従来公知のエンジニアリングプラスチック、あるいは、フッ素樹脂などの従来公知のさまざまな合成樹脂が使用可能である。
筒体44は、芯材42の下端と芯材42の外周面4204とを覆うように設けられている。言い換えると、芯材42は筒体44によって被覆され、芯材42と筒体44は一体的に構成されている。
本実施の形態では、筒体44は、芯材42の外周面を覆う円筒状を呈する円筒壁部4402と、芯材42の下端および円筒壁部44の下端を閉塞する下壁部4404と、芯材42の上端を覆う上壁部4406とを備えている。
円筒壁部4402は、芯材42の外周面4204と対面する内周面4410と、その反対側に位置する外周面4412とを有している。
【0019】
芯材42の内周面4202と、筒体44の上壁部4406と、筒体44の下壁部4404とによって芯材42の内部に内部空間54が形成されている。
また、内部空間54の外側に、芯材42の外周面4204と筒体44の内周面4410とで環状の隙間Sが形成されている。
ここで、内部空間54と隙間Sは、芯材42の上端と筒体44の上壁部4406との間の隙間、あるいは、芯材42の下端と筒体44の下壁部4404との間の隙間を介して連通している。
内部空間54には、水分(湿気)を吸収する乾燥剤56が配置されている。
このような乾燥剤56としてシリカゲルなど従来公知の乾燥剤が使用可能である。
特にシリカゲルは、いったん吸湿した水分を温度上昇に伴って排出するが、温度低下に伴って再び水分を吸収するので、長期間交換することなく繰り返して使用することができる点で有利である。
【0020】
外部電源接続端子50は、導電性を有する金属材料で形成され、軸状を呈する小径軸部5002と、小径軸部5002の一端に一体的に設けられ小径軸部5002よりも大径の大径軸部5004とを備えている。
小径軸部5002は、筒体44の上壁部4406を貫通し、大径軸部5004は上壁部4406の下面側で内部空間54に位置し、内部空間54の上面を仕切っている。
大径軸部5004の外周面は芯材42の内周面4202に嵌合され、外部電源接続端子50は芯材42に電気的に接続されている。
【0021】
ケース48は、耐熱性、耐高圧性、耐薬品性を有する材料で形成されている。
このような材料として、従来公知のさまざまな合成樹脂材料や金属材料が使用可能であり、中でもステンレス鋼が好適である。
ケース48は、電極棒40を収容すると共に、検出しようとする缶水(液体)の液面と同じ高さとなるように缶水(液体)の流通を許容した空間52を筒体44に形成するものである。
詳細に説明すると、ケース48は、電極棒40を収容すると共に、検出しようとする缶水(液体)の水位(液面の高さ)と同じ高さとなるように缶水(液体)の流通を許容した空間52を筒体44との間に形成するものである。
ケース48は、円筒壁部4802と、円筒壁部4802の下端周囲を接続する下壁部4804と、円筒壁部4802の上端周囲を接続する上壁部4806とを備えている。
ケース48の上部と下部に空間52とケース48の外部とを連通する連通孔が設けられている。
すなわち、下壁部4804に多数の下部連通孔4810が設けられ、円筒壁部4802の上部に複数の上部連通孔4812が設けられている。
これら下部連通孔4810および上部連通孔4812によって空間52と水位検出用容器18との間で缶水の流通が許容され、ケース48内部における水位とケース48外部の水位とは同一となり、したがって、ケース48内部における水位は水管24内の缶水の水位と同一となる。
下部連通孔4810および上部連通孔4812は、後述する浮遊体46よりも小さい内径で形成され、これにより、ケース48は、浮遊体46の流出を阻止するように形成されている。
【0022】
ケース48の上壁部4806の中央孔に絶縁体49が取着され、外部電源接続端子50の小径軸部5002はこの絶縁体49を貫通して配置され、外部電源接続端子50は、小径軸部5002、絶縁体49を介してケース48に結合されている。
図1、図2に示すように、電極棒40およびケース48は絶縁体49を介して水位検出用容器18の上壁1806に設けられた取り付け孔1820に取着され、これにより電極棒40およびケース48は、水位検出用容器18の内部において上下に沿って配置される。
【0023】
浮遊体46は、缶水よりも小さい比重を有している。
浮遊体46は、空間52に収容され筒体44に接触しつつ移動する。
詳細に説明すると、浮遊体46は複数設けられ、空間52に該空間52外への流出を阻止された状態で収容され、空間52に流通した缶水の水面上を浮遊する。そして、浮遊体46は、空間52内の水面の高低の変化に追従して筒体44の外周面4412に接触しつつ上下に移動する。
【0024】
浮遊体46の形状は限定されないが、筒体44の外周面4412に付着した汚れを効果的に除去するために浮遊体46同士が干渉することなく自由に運動できる形状であることが好ましい。このような浮遊体46の形状として、例えば球体が好適である。
【0025】
浮遊体46は耐熱性および耐薬品性を有していると、ボイラ環境に適している。
すなわち、ボイラにおいては、高温の蒸気が生成され、また、水管24の防錆性を図るために缶水が強アルカリ性(例えばpH値が11、12程度)とされているからである。
このような観点から、耐熱性および耐薬品性を有する高分子材料で浮遊体46を形成することが浮遊体46の耐久性を確保する上で有利である。
このような高分子材料としてゴムなど従来公知のさまざまな高分子材料を使用することができる。
【0026】
また、缶水の比重よりも小さい浮遊体46の製造方法として、例えば、缶水よりも比重が軽い比重調整材を高分子材料に混合する方法が挙げられる。
このようにすると、浮遊体46を簡単に製造する上で有利となる。
比重調整材として、例えば、ガラス微小中空球あるいはガラスマイクロバルーンなどと一般的に呼ばれる粒子を用いることができる。
このようなガラス微小中空球として、例えば、グラスバブルズ(住友スリーエム株式会社の登録商標)などの市販品を用いることができる。
あるいは、比重調整材として、熱膨張材に熱を加えることで発泡させ膨張させた発泡材を用いることができる。
このような熱膨張材として、例えば、梱包用の発泡材として使用される市販品を用いることができる。
このようなガラス微小中空球あるいは発泡材を用いると、浮遊体46を簡単に製造する上でより有利となる。
【0027】
なお、比重調整材が耐薬品性を十分に有しないものであった場合、強アルカリ性の缶水によって比重調整材が劣化することが考えられる。
例えば、ガラス微小中空球が石英ガラスで形成されている場合、強アルカリ性の缶水によって石英ガラスが溶けて中空状態を維持することができないといったことが考えられる。
しかしながら、比重調整材を高分子材料に混合して浮遊体46を得るようにすれば、比重調整材が高分子材料によって保護されるため、比重調整材の劣化を防止することができる。これにより、浮遊体46の比重の変化を抑制でき、浮遊体46を確実に水面に浮かべる上で有利となる。
また、高分子材料自体を発泡させることにより、高分子材料のみによって浮遊体46を構成することも考えられるが、この場合、発泡により形成された孔の部分に缶水が浸透することで浮遊体46が沈んでしまう。
したがって、浮遊体46として、高分子材料に比重調整材を混合して製造されたものを用いると、浮遊体46の浮力を安定して確保する上で有利となる。
【0028】
次に静電容量式レベル計22の作用効果について説明する。
まず、筒体44の外周面4412に汚れが付着する原因について説明する。
ボイラ10が運転されると、バーナ14から燃焼室30内に向けて燃料の燃焼が行われ、燃焼ガスによって水管24内の水が加熱され蒸気化される。
缶水は鉄製の水管24から溶出した鉄イオンを含んでおり、ボイラ10の運転中により缶水が加熱されることで、缶水の水面近傍では鉄イオンが発生し、この鉄イオンにより水酸化第二鉄が析出し、この水酸化第二鉄は汚れとなって筒体44の外周面4412に付着する。
水酸化第二鉄が析出する箇所は、缶水の水面、すなわち、蒸気層と缶水との界面近傍であることが判明した。
界面近傍で水酸化第二鉄が析出する理由は、蒸気が凝縮して一時的に缶水のpH値が低下することで鉄分が出やすく、また、鉄イオンが電気的に不安定な状態となって水酸化第二鉄が析出しやすい状態となるためであると考えられる。
【0029】
次に静電容量式レベル計22の作用について説明する。
図1に示すように、ボイラ10の運転中において、水位検出用容器18内の水位は、水管24内における蒸気の発生により低下し、給水ポンプ16による水の供給により上昇し、変動している。
浮遊体46は、ケース48内で缶水の水面に浮かんだ状態で、水面の高低の変化に追従して筒体44の外周面4412に接触しつつ上下に移動する。
したがって、ボイラ10の運転中、浮遊体46は、缶水の水面近傍において筒体44の外周面4412に付着した汚れに接触しつつ運動することになり、外周面4412に付着した汚れを擦り落として除去する。
そして、このような浮遊体46の水面の高低に追従した上下運動は、ボイラ10の運転中継続して行われ、筒体44の外周面4412への汚れの付着が防止される。
【0030】
したがって、本実施の形態の静電容量式レベル計22によれば、ボイラ10の運転中において、筒体44の外周面4412に付着した汚れを浮遊体46により除去できるため、静電容量式レベル計22によって測定される静電容量が正確なものとなり、水位の検出精度を高精度に維持する上で有利となる。
そのため、ボイラ10の水位制御を高い精度で安定して行う上で有利となる。
【0031】
また、ボイラ10の運転と停止が繰り返され、電極棒40が加熱と冷却を繰り返されると、内部空間54に存在する空気中の水分が結露する。また、隙間Sに内部空間54の空気が流通しているので、この隙間Sでも空気中の水分が結露する。
隙間Sで水分が結露すると、静電容量の測定結果に誤差を与える。
本実施の形態では、内部空間54に配置された乾燥剤56によって内部空間54に存在する空気中の水分を吸収するようにしたので、内部空間54および隙間S内での結露の発生を防止することができる。
したがって、静電容量式レベル計22によって測定される静電容量が正確なものとなり、水位の検出精度を高精度に維持する上でより有利となる。
【0032】
なお、本実施の形態では、ボイラ10に使用される静電容量式レベル計22について説明したが、本発明の静電容量式レベル計22は、脱酸素装置の水位検出、あるいは、給水タンクの水位検出など従来公知のさまざまな装置、器具の水の水位や水以外の液体の液位の検出に適用可能であり、その用途は限定されない。
【符号の説明】
【0033】
22……静電容量式レベル計
40……電極棒
42……芯材
4204……外周面
44……筒体
4412……外周面
46……浮遊体
48……ケース
4810……下部連通孔
4812……上部連通孔
52……空間
54……内部空間
56……乾燥剤
S……隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し上下に沿って配置される芯材と、絶縁性を有し前記芯材の外周面および下端を覆う筒体とで構成された電極棒を備えた静電容量式レベル計であって、
前記電極棒を収容すると共に、検出しようとする液体の液面と同じ高さとなるように前記液体の流通を許容した空間を前記筒体との間に形成するケースと、
前記空間に収容され、前記空間に流通する前記液体の液面の高低の変化に追従して前記筒体に接触しつつ移動する前記液体よりも小さい比重を有する浮遊体と、
を備えることを特徴とする静電容量式レベル計。
【請求項2】
前記ケースの上部と下部に、前記空間と前記ケースの外部とを連通する連通孔が設けられ、
前記液体の流通は前記連通孔によって許容され、
前記連通孔は前記浮遊体よりも小さい内径で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計。
【請求項3】
前記浮遊体の形状は球体である、
ことを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計。
【請求項4】
前記浮遊体は耐熱性および耐薬品性を有する高分子材料で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計。
【請求項5】
前記浮遊体は耐熱性および耐薬品性を有する高分子材料に比重調整材を混合して形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計。
【請求項6】
前記比重調整材は、ガラス微小中空球である、
ことを特徴とする請求項5記載の静電容量式レベル計。
【請求項7】
前記比重調整材は、熱膨張材に熱を加えることで発泡させ膨張させた発泡材である、
ことを特徴とする請求項5記載の静電容量式レベル計。
【請求項8】
前記芯材は筒状を呈し、
前記芯材の上端が前記筒体で覆われ、
前記芯材の内周面と、前記芯材の上端を覆う前記筒体の部分と、前記芯材の下端を覆う前記筒体の部分とによって内部空間が形成され、
前記内部空間に乾燥剤が配置されている、
ことを特徴とする請求項1記載の静電容量式レベル計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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