説明

静電電極

【課題】包装用フィルムをブロッキングさせることなく良好な静電シールを施すことができる静電電極を提供する。
【解決手段】包装用フィルムFを筒状に成形して被包装物に被せ、該包装用フィルムFの合せ部Lを静電シールにより接合するようにしたフォーマ5に設けられる静電電極であって、送り移動される包装用フィルムFの合せ部Lに面接触するように配設される平板状の静電電極板1と、該静電電極板1との間に包装用フィルムFの合せ部Lを介在させた状態にて、静電電極板1に対して所定の間隔をおいて面直に配設される先尖り状の放電電極2と、を備え、包装用フィルムFの合せ部Lに対する接触面積を減ずるために静電電極板1に複数の穿孔3を施している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用フィルムを筒状に形成して被包装物に被せ、該フィルムの合せ部を静電シールにより接合するためにフォーマに設けられる静電電極の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
インスタント食品等の包装では、包装用フィルムの縦シールの合せ部を静電シールにより接合するようにした包装構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような静電シールによる接合は、接合部が目立たず見映えがよく、また、包装工程で切り屑が発生しないという利点がある。
【0003】
静電シールを行うための静電電極は、例えば図4に示すように、フォーマ5の筒状に形成された本体内で筒状に成形されてテンションを作用させた状態で送り移動される包装用フィルムFの合せ部Lに接触するように配設される静電電極板1と、該静電電極板1に対して包装用フィルムFを介在させた状態で所定の間隔(15mm程度)をおいて面直に対応する先尖り状の放電電極2と、を備え、放電電極2からの放電によって静電電極板1に静電気を帯電させてフィルムの合せ部Lを静電シールするように構成される。
【0004】
その静電電極板1は、一般に、所定のシール幅(30mm程度まで)を確保するために包装用フィルムFの合せ部Lの幅よりも若干幅広に形成される長辺と、テンションを作用させた状態で送り移動される包装用フィルムの合せ部を接合しやすいように平坦かつ平滑にするために包装用フィルムの送り方向に20mm程度に形成される短辺と、を有する矩形の平板状に形成される。
【特許文献1】特開2006−137470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の静電電極では、静電電極板1に包装用フィルムFがブロッキングすることがあった。これは包装用フィルムFに印加される静電気量が多すぎて静電吸着力が過大になるためと考えられる。そこで、静電電極板1に対する包装用フィルムFの接触面積を減じるために静電電極板1の短辺を縮小すると、包装用フィルムFの送り方向の長さが不足して合せ部Lを平坦かつ平滑に整えるのが困難になり合せ部Lの整合性を適正に確保できなくなる。一方、放電電極2からの放電電圧を低下させると充分なシール強度を確保できなくなる。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、包装用フィルムをブロッキングさせることなく良好な静電シールを施すことができる静電電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る静電電極は、包装用フィルムを筒状に成形して被包装物に被せ、該包装用フィルムの合せ部を静電シールにより接合するようにしたフォーマに設けられる静電電極であって、
送り移動される前記包装用フィルムの合せ部に面接触するように配設される平板状の静電電極板と、前記静電電極板との間に前記包装用フィルムの合せ部を介在させた状態にて、前記静電電極板に対して所定の間隔をおいて面直に配設される先尖り状の放電電極と、を備え、
前記包装用フィルムの合せ部に対する接触面積を減ずるために前記静電電極板に複数の穿孔を施してなることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、包装用フィルムの合せ部に対する接触面積を減ずるために静電電極板に複数の穿孔を施しているので、静電電極板の外形面積は縮小されないため、テンションを作用させた状態にて、その静電電極板によって包装用フィルムの合せ部を平坦かつ平滑に整えることができる。そして、包装用フィルムの合せ部に対する静電電極板の接触面積が減らされているため、包装用フィルムに対する静電吸着力が過大にならず、包装用フィルムを静電電極板にブロッキングさせることなく良好な静電シールを施すことができる。
【0009】
このような静電電極にあっては、前記静電電極板は、前記包装用フィルムの合せ部の幅よりも若干幅広に形成される長辺と、前記包装用フィルムの送り方向に15mm〜30mmに形成される短辺と、を有する矩形状に形成され、前記複数の穿孔の合計開口面積Sは、前記静電電極板の面積SPに対してS=0.3PS〜0.6PSに設定されるのが好ましい。また、各穿孔は、充分な面取りが施されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る静電電極は、包装用フィルムの合せ部に対する接触面積を減ずるために静電電極板に複数の穿孔を施しているので、静電電極板の外形面積は縮小されないため、テンションを作用させた状態にて、その静電電極板によって包装用フィルムの合せ部を平坦かつ平滑に整えることができる。そして、包装用フィルムの合せ部に対する静電電極板の接触面積が減らされているため、包装用フィルムに対する静電吸着力が過大にならず、包装用フィルムを静電電極板にブロッキングさせることなく良好な静電シールを施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係る静電電極について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)は静電電極板の平面図、(b)はその断面図、図2はフォーマの要部構成説明図、図3は縦シールに静電シールが施された包装品の斜視図である。これらの図に示すように、この静電電極Eは、送り供給される包装用フィルムFを筒状に形成して被包装物に被せ、テンションを作用させた状態で該包装用フィルムFの合せ部Lを静電シール(縦シール)により接合するようにしたフォーマ5に設けられ、包装用フィルムFの合せ部Lに面接触するように配設される平板状の静電電極板1と、静電電極板1との間に包装用フィルムFの合せ部Lを介在させた状態にて、静電電極板1に対して所定の間隔をおいて面直に配設される先尖り状の放電電極2と、を備え、前記静電電極板1には、包装用フィルムFの合せ部Lに対する接触面積を減ずるために複数の穿孔3が施されている。なお、図2にて、符号6,7は静電シールされた被包装物を下流側に挟持搬送するためのコンベアである。
【0012】
静電電極板1は、包装用フィルムFの合せ部Lの幅(静電シール幅)よりも若干幅広に形成される長辺と、包装用フィルムFの送り方向に15mm〜30mm程度(図示例では20mm)に形成される短辺と、を有する厚さ1.5mm程度のSUS材からなる矩形状に形成され(図1(a)参照)、複数の穿孔3の合計開口面積Sは、前記静電電極板の面積SPに対してS=0.3PS〜0.6PSに設定され、穿孔数は10〜30に設定される。各穿孔3には、面取り(120°)が施されている(図1(b)参照)。
【0013】
このような静電電極によれば、包装用フィルムFの合せ部Lに対する接触面積を減ずるために静電電極板1に複数の穿孔3を施しているので、静電電極板1の外形面積は縮小されない。従って、テンションを作用させた状態で静電電極板1によって包装用フィルムFの合せ部Lを平坦かつ平滑に整えることができる。そして、包装用フィルムFの合せ部Lに対する静電電極板1の接触面積が減らされているため、包装用フィルムFに対する静電吸着力が過大にならず、包装用フィルムFを静電電極板1にブロッキングさせることなく良好な静電シールを施すことができる。
【0014】
なお、静電電極板1の短辺の長さが15mmより短いと包装用フィルムFの合せ部Lを平坦かつ平滑に整えるのが難しくなり、30mmを超えると包装用フィルムFに対する抵抗が大きくなり過ぎる。複数の穿孔3の合計開口面積Sが0.3PSより狭くなると包装用フィルムFに作用する静電吸着力が過大になりブロッキングしやすくなり、0.6PSより広くなると包装用フィルムFの合せ部Lに対する静電電極板1の接触面積が不足して包装用フィルムFに印加される静電気量が充分でなくシール強度が低下する。
【0015】
このような静電電極を備えたフォーマ5で静電シール(縦シール)が施された被包装物は、コンベア6,7によって下流側に搬送されて横シーラ(図示省略)によって横シール(溶断溶着)された後、シュリンクトンネルを通過する際に合せ部Lが加熱されることで軽い溶着状態となり、例えば、図3に示すような包装品(酒パック)10が形成される。このようなフォーマ5による静電シールでは、クズが発生しない利点があり、また、その合せ部Lは溶着痕がなく良好な見映えを呈する。図3にて符号8は横シールを示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る静電電極板の平面図、(b)はその断面図である。
【図2】同フォーマの要部断面図である。
【図3】同包装品の斜視図である。
【図4】(a)は従来のフォーマの縦断面図、(b)はその横断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1…静電電極板、2…放電電極、3…穿孔、5…フォーマ、F…包装用フィルム、L…合せ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用フィルムを筒状に成形して被包装物に被せ、該包装用フィルムの合せ部を静電シールにより接合するようにしたフォーマに設けられる静電電極であって、
送り移動される前記包装用フィルムの合せ部に面接触するように配設される平板状の静電電極板と、
前記静電電極板との間に前記包装用フィルムの合せ部を介在させた状態にて、前記静電電極板に対して所定の間隔をおいて面直に配設される先尖り状の放電電極と、を備え、
前記包装用フィルムの合せ部に対する接触面積を減ずるために前記静電電極板に複数の穿孔を施してなることを特徴とする静電電極。
【請求項2】
前記静電電極板は、前記包装用フィルムの合せ部の幅よりも若干幅広に形成される長辺と、前記包装用フィルムの送り方向に15mm〜30mmに形成される短辺と、を有する矩形状に形成され、前記複数の穿孔の合計開口面積Sは、前記静電電極板の面積SPに対してS=0.3PS〜0.6PSに設定されることを特徴とする請求項1に記載の静電電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−24363(P2008−24363A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202161(P2006−202161)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000110125)トキワ工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】