説明

非侵襲温度計測用フェライト組成物

【課題】体内などの内部に注入して外部から温度計測するための温度センサの一部として好適に用いることができる非侵襲温度計測用フェライト組成物を提供することである。
【解決手段】酸化鉄をFe換算で48.0〜49.7モル%、酸化亜鉛をZnO換算で29.7〜30.25モル%、酸化銅をCuO換算で5.5〜6.8モル%、残部が酸化マグネシウムで構成される主成分を有し、主成分100重量%に対して、副成分として、酸化ケイ素をSiO換算で30〜350ppm含む非侵襲温度計測用フェライト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内などの内部に注入して外部から温度計測するための温度センサの一部として用いる好適に用いることができる非侵襲温度計測用フェライト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織において、正常細胞と、癌や脳腫瘍などの異常細胞との間には、熱感受性に差異があるとの知見に基づき、異常細胞が存在すると考えられる生体患部を体温より数度、具体的には43℃程度まで昇温させ、異常細胞の増殖を抑制、減少させる温熱療法が知られている。
【0003】
たとえば、癌細胞の熱感受性を利用した治療法としてハイパーサーミアが知られている。ハイパーサーミアでは、人体を電極ではさみ、高周波電界を印加して患部を加熱するRF方式、誘導加熱により体内腫瘍部を局所的に加温するソフトヒーティング方式等がある。
【0004】
しかしながら、たとえばRF方式であれば、深部広範囲に加熱してしまうことや、侵襲的に温度センサを体内の腫瘍部に刺さなければ、加熱部位が目標温度に到達したかを確認することができない等の問題がある。
【0005】
これに対して、ソフトヒーティング方式であれば、下記の特許文献1に示されているように、加熱対象に低キュリー温度の感温磁性材料を使用し、磁性材料がキュリー温度に到達すると自動的に発熱を停止する性質を利用することで、侵襲的な温度センサを用いる必要はない。
【0006】
しかしながら、発熱効率が高い磁性材料はあるものの、従来のソフトヒーティング方式では、発熱体として用いるフェライトのキュリー温度に制限があるため、発熱効率を犠牲にし、体温より数度高い、具体的には43℃程度にキュリー温度をもつ磁性材料を発熱体として用いる他なかった。すなわち、従来のソフトヒーティング方式においては、より発熱効率が高い磁性材料を発熱体として使用することが望まれているが、その場合には、侵襲的な温度センサを別に用いる必要があり、患者の負担が大きくなるという課題を有している。
【0007】
そこで、下記の特許文献2に示す非侵襲温度計測システムが提案されている。ところが、このような非侵襲温度計測システムに用いて好適なフェライトの組成に関しては、その開発が始まったばかりである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4492370号公報
【特許文献2】WO2009/088062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、体内などの内部に注入して外部から温度計測するための温度センサの一部として好適に用いることができる非侵襲温度計測用フェライト組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物は、
酸化鉄をFe換算で48.0〜49.7モル%、酸化亜鉛をZnO換算で29.7〜30.25モル%、酸化銅をCuO換算で5.5〜6.8モル%、残部が酸化ニッケルで構成される主成分を有し、主成分100重量%に対して、副成分として、酸化ケイ素をSiO換算で30〜350ppm含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物によれば、体温程度では高い磁束密度を有するものの、治療に適正な温度の上限、具体的には43〜44℃の温度において、磁束密度が急激に変化する。すなわち、この温度範囲において磁束密度の変化率が最大となる。その磁束の変化を計測することで、腫瘍部の温度(たとえば治療に適正な温度の上限)を計測することが可能となる。したがって、本発明に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物を、たとえば粒子状にして体内に注入し、外部から磁束の変化を計測することで、非侵襲式な温度計測が可能となる。
【0012】
すなわち進行癌患者のQOL向上にも有効な手段となる。なお、QOL:クオリティ・オブ・ライフ (Quality of Life, QOL) とは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまり、ある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)および図1(b)は本発明の一実施形態に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物で構成された感温磁性体を有する非侵襲温度計測システムの概念図である。
【図2】図2は本発明の実施例および比較例に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物における温度と磁束密度の関係を示すグラフである。
【図3】図3は本発明の実施例および比較例に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物における温度と磁束密度の関係を示すグラフである。
【図4】図4は本発明の実施例および比較例に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物における温度と磁束密度の関係を示すグラフである。
【図5】図5は本発明の実施例および比較例に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物における温度と磁束密度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
本実施形態に係るフェライト組成物はMg−Zn系のフェライト組成物であり、主成分として酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銅、酸化マグネシウムを含有し、副成分として、酸化ケイ素を含む。
【0015】
具体的には、本実施形態に係るフェライト組成物は、
酸化鉄をFe換算で48.0〜49.7モル%、好ましくは48.0〜49.1モル%、
酸化亜鉛をZnO換算で29.7〜30.25モル%、好ましくは30.0〜30.25モル%、
酸化銅をCuO換算で5.5〜6.8モル%、好ましくは5.5〜6.5モル%、
残部が酸化ニッケルで構成される主成分を有し、
主成分100重量%に対して、副成分として、酸化ケイ素をSiO換算で30〜350ppm、好ましくは30〜200ppm含む。
【0016】
酸化鉄の含有量が少ないと磁束密度が低くなる傾向にあり、また43〜44℃における磁束密度の変化値も低い傾向にある。酸化鉄の含有量が多いと磁束密度が高くなる傾向にあるが、多すぎると43〜44℃における磁束密度の変化値が減少する傾向にある。
【0017】
酸化亜鉛の含有量が少なすぎると、43〜44℃における磁束密度の変化値が小さくなる傾向にある。酸化亜鉛が多いと、磁束密度が減少する傾向にあり、さらに多すぎると43℃、44℃においてはともに0mT程度となり、43〜44℃の変化値は0mTとなる。
【0018】
酸化銅が少なすぎると、43〜44℃における磁束密度の変化値が減少する傾向にある。酸化銅が多いと、磁束密度が減少する傾向にあり、さらに多すぎると43℃、44℃においてはともに0mT程度となり、43〜44℃の変化値は0mTとなる。
【0019】
酸化ケイ素の含有量は、主成分100重量%に対して、SiO換算で、30〜350ppm、好ましくは30〜200ppmである。酸化ケイ素が少ないと飽和磁化は増加する傾向にあるが、さらに少なすぎると43〜44℃における磁束密度の変化値が小さくなる傾向にある。酸化ケイ素が多いと飽和磁化は減少する傾向にあり、さらに少なすぎると43〜44℃における磁束密度の変化値が小さくなる傾向にある。
【0020】
また、本実施形態に係るフェライト組成物には、原料中の不可避的不純物元素の酸化物が数ppm〜数百ppm程度含まれ得る。
【0021】
具体的には、B、C、P、S、Cl、As、Se、Br、Te、Iや、Li、Na、Mg、Al、K、Ga、Ge、Sr、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Pb、Bi等の典型金属元素や、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Hf、Ta等の遷移金属元素が挙げられる。
【0022】
次に、本実施形態に係るフェライト組成物の製造方法の一例を説明する。
まず、出発原料(主成分の原料および副成分の原料)を、所定の組成比となるように秤量して混合し、原料混合物を得る。混合する方法としては、たとえば、ボールミルを用いて行う湿式混合や、乾式ミキサーを用いて行う乾式混合が挙げられる。なお、平均粒径が0.1〜3μmの出発原料を用いることが好ましい。
【0023】
主成分の原料としては、酸化鉄(α−Fe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、あるいは水酸化マグネシウム(Mg(OH))などを用いることができる。さらに、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物等を用いることができる。焼成により上記した酸化物になるものとしては、たとえば、金属単体、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、有機金属化合物等が挙げられる。なお、主成分中の酸化マグネシウムの含有量はMgO換算で計算されるが、主成分の原料としては、Mg(OH)が好ましく用いられる。
【0024】
次に、原料混合物の仮焼きを行い、仮焼き材料を得る。仮焼きは、原料の熱分解、成分の均質化、フェライトの生成、焼結による超微粉の消失と適度の粒子サイズへの粒成長を起こさせ、原料混合物を後工程に適した形態に変換するために行われる。こうした仮焼きは、好ましくは800〜1100℃の温度で、通常1〜3時間程度行う。仮焼きは、大気(空気)中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気や純酸素雰囲気で行っても良い。なお、主成分の原料と副成分の原料との混合は、仮焼きの前に行なってもよく、仮焼き後に行なってもよい。
【0025】
次に、仮焼き材料の粉砕を行い、粉砕材料を得る。粉砕は、仮焼き材料の凝集をくずして適度の焼結性を有する粉体とするために行われる。仮焼き材料が大きい塊を形成しているときには、粗粉砕を行ってからボールミルやアトライターなどを用いて湿式粉砕を行う。湿式粉砕は、仮焼き材料の平均粒径が、好ましくは1〜2μm程度となるまで行う。
【0026】
次に、粉砕材料の造粒(顆粒)を行い、造粒物を得る。造粒は、粉砕材料を適度な大きさの凝集粒子とし、成形に適した形態に変換するために行われる。こうした造粒法としては、たとえば、加圧造粒法やスプレードライ法などが挙げられる。スプレードライ法は、粉砕材料に、ポリビニルアルコールなどの通常用いられる結合剤を加えた後、スプレードライヤー中で霧化し、低温乾燥する方法である。
【0027】
次に、造粒物を所定形状に成形し、成形体を得る。造粒物の成形としては、たとえば、乾式成形、湿式成形、押出成形などが挙げられる。乾式成形法は、造粒物を、金型に充填して圧縮加圧(プレス)することにより行う成形法である。成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。
【0028】
次に、成形体の焼成を行う。焼成は、多くの空隙を含んでいる成形体の粉体粒子間に、融点以下の温度で粉体が凝着する焼結を起こさせ、緻密な焼結体を得るために行われる。こうした焼成は、好ましくは1000〜1200℃の温度で、通常1〜5時間程度行う。なお、昇温速度は好ましくは150〜250℃/時間、降温速度は好ましくは150〜250℃/時間である。焼成は、大気(空気)中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気で行っても良い。
【0029】
次に得られた焼結体を粉砕し、本実施形態のフェライト粉末を得る。粉砕にはバイブミルもしくはジョークラッシャー等を用い行う。フェライト粉末の粒径は、好ましくは、40〜150μm、さらに好ましくは80〜120μmである。このような粒径のフェライト粉末を、以下に示すように感温磁性体として用いることで、体内に注射などにより注入しやすくなる。
【0030】
本実施形態に係るフェライト組成物から成る感温磁性体を体内に注入することで、たとえば腫瘍部の温度(治療に適正な温度の上限である43℃)を非侵襲的に正確に計測することが可能となり、非侵襲的で安全な患部の局所加熱治療を実現することができる。
【0031】
次に、本実施形態に係るフェライト組成物から成る感温磁性体を用いて、温度計測を行う方法について説明する。
【0032】
図1(a)に示すように、本実施形態に係るフェライト組成物から成る感温磁性体2に対して、温度計測用駆動コイル4から感温磁性体2に向けて磁束M1を発生させる。そのとき感温磁性体2の温度Tが、感温磁性体2のキュリー温度Tc未満では、感温磁性体2の近くにおいて、磁束M1の集中が生じる。磁束M1の集中が生じると、その磁束M1の垂直方向の磁束M2を検出コイル6により検出することができる。
【0033】
磁束M1の集中度合い(磁束密度に対応する)は、感温磁性体2の温度Tにより変化する。すなわち、磁束M1の集中度合いは、感温磁性体2の温度Tがキュリー温度Tcに近づくほど少なくなり、図1(b)に示すように、感温磁性体2の温度Tが磁性体2のキュリー温度Tc以上になると、磁束M1の集中度合いが略0になり、その磁束M1の垂直方向の磁束M2も略0になる。
【0034】
このため検出コイル6により検出される磁束M2の変化、特に磁束変化の変曲点を検出することで、感温磁性体2の温度を検出することが可能になる。本実施形態では、治療に適正な温度付近、詳しくは42〜43℃での使用を考慮し、特に43℃を検出できるように、感温磁性体2を構成するフェライトの組成物範囲を決定している。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0036】
たとえば、本発明に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物には、その他の成分、たとえばB、C、S,Cl、As、Se、Br、Te、I等の典型非金属元素や、Li、Na、Al、K、Ca、Ga、Ge、Sr、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Pb、Bi等の典型金属や、Sc、Ti、V、Cr、Co、Y、Nb、Mo、Pd、Ag、Hf、Ta等の遷移金属元素などを含ませても良い。
【0037】
また本発明に係る非侵襲温度計測用フェライト組成物で構成される感温磁性体は、粉形態で使用されることが望ましいが、必ずしも粉形態である必要はなく、その他の形態で用いられても良い。また、本発明のフェライト組成物で構成される感温磁性体により温度測定を行う用途は、医療用に限らず、隔絶された物質の温度を非接触式に測定したいあらゆる分野にも応用することができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1〜11
【0039】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0040】
まず、主成分の原料として、Fe、ZnO、CuOおよびMg(OH)を準備した。副成分の原料としてはSiOを準備した。
【0041】
次に、準備した主成分の原料の粉末を秤量し、さらに、副成分の原料の粉末を表1に示す量となるように秤量した後、ボールミルで5時間湿式混合して原料混合物を得た。
【0042】
次に、得られた原料混合物を、空気中において950℃で2時間仮焼して仮焼き材料とした後、ボールミルで20時間湿式粉砕して、平均粒径が1.5μmである粉砕材料を得た。
【0043】
次に、この粉砕材料を乾燥した後、該粉砕材料100重量%に、バインダーとしてのポリビニルアルコールを1.0重量%添加して造粒し、20メッシュの篩で整粒して顆粒とした。この顆粒を196MPa(2ton/cm)の圧力で加圧成形して、トロイダル形状(寸法=外径22mm×内径12mm×高さ6mm)の成形体を得た。
【0044】
次に、これら各成形体を、空気中において1000〜1200℃で2.5時間焼成して、焼結体としてのトロイダルコアサンプルを得た。得られたサンプルについて、蛍光X線分析を行い、フェライトコアの組成を測定した。結果を表1に示す。さらにサンプルに対し、以下の特性評価を行った。
【0045】
<磁束密度(B)>
得られたトロイダルコアサンプルに、1次巻線および2次巻線を5回ずつ巻回し、100A/m、100kHz、40℃、42℃、43℃および44℃で磁束密度(B)を測定した。測定はB−Hアナライザー(岩崎通信機株式会社製SY−8232)を用いて行った。また、各サンプルが、43℃において、温度変化に対する磁束密度の変曲点を有するか否かを調べるために、α=(Bat43℃−Bat44℃)/((Bat40℃−Bat43℃)/3)を求めた。結果を表1および図2〜図5に示す。なお、Bat40℃、Bat43℃、Bat44℃、は、それぞれ40℃、43℃および44℃における磁束密度である。
【0046】
αが1.2以上、好ましくは1.5以上であれば、たとえば図2に示す実施例1〜3に示すように、43℃において、温度変化に対する磁束密度の変曲点を有すると判断することができる。このため、このようなフェライト組成物で構成される感温磁性体を体内に注入し、体外から、たとえば図1に示す検出コイル6により磁束M2の変化を測定することで、感温磁性体が43℃に到達したことを正確に検出することができる。
【0047】
【表1】

【0048】
表1および図2より、Feの含有量が本発明の範囲外である場合(比較例1および2)、43〜44℃における磁束密度の変化値が小さく、αが1以下であり、43℃には磁束密度の変曲点を実質的に有さないことが確認された。これに対し、Feの含有量が本発明の範囲内である場合(実施例1〜3)、43〜44℃における磁束密度の変化値αが1.6以上であり、43°Cにおいて磁束密度の変曲点を有することが確認された。
【0049】
表1および図3より、ZnOの含有量が本発明の範囲外である場合(比較例3および4)、43〜44℃における磁束密度の変化値αが小さく、1以下であり、43℃には磁束密度の変曲点を実質的に有さないことが確認された。これに対し、ZnOの含有量が本発明の範囲内である場合(実施例2および4〜7)、43〜44℃における磁束密度の変化値αが1.2以上であり、43°Cにおいて磁束密度の変曲点を有することが確認された。
【0050】
表1および図4より、CuOの含有量が本発明の範囲外である場合(比較例5および6)、43〜44℃における磁束密度の変化値αが小さく、1以下であり、43℃には磁束密度の変曲点を実質的に有さないことが確認された。これに対し、CuOの含有量が本発明の範囲内である場合(実施例2、8および9)、43〜44℃における磁束密度の変化値αが1.2以上であり、43°Cにおいて磁束密度の変曲点を有することが確認された。
【0051】
表1および図5より、SiOの含有量が本発明の範囲外である場合(比較例7および8)、43〜44℃における磁束密度の変化値が小さく、1以下であり、43℃には磁束密度の変曲点を実質的に有さないことが確認された。これに対し、SiOの含有量が本発明の範囲内である場合(実施例2、10および11)、43〜44℃における磁束密度の変化値αが1.7以上であり、43°Cにおいて磁束密度の変曲点を有することが確認された。
【符号の説明】
【0052】
2… 感温磁性体
4… 駆動用コイル
6… 検出用コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化鉄をFe換算で48.0〜49.7モル%、酸化亜鉛をZnO換算で29.7〜30.25モル%、酸化銅をCuO換算で5.5〜6.8モル%、残部が酸化ニッケルで構成される主成分を有し、主成分100重量%に対して、副成分として、酸化ケイ素をSiO換算で30〜350ppm含むことを特徴とする非侵襲温度計測用フェライト組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−41887(P2013−41887A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176296(P2011−176296)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】