説明

非同期信号の同期化多重方法および装置

【課題】複数の非同期信号の処理が回路規模を増大させることなく実行可能となる非同期信号の同期化多重方法および装置を提供する。
【解決手段】クロック位相吸収部10.1〜10.Mにより非同期STM−N信号D1〜DMがシステムクロックCLKsysに乗り換えられる。システムクロックCLKsysに従って、MSOH終端部11、ポインタ受信部12およびメモリ部13が非同期STM−N信号に対してMSOH終端処理やフレーム位相吸収処理をシリアルに実行する。フレーム位相吸収された同期化信号D1_sync〜DM_syncがポインタ送信部6によりポインタ値の付け替え等の処理により多重化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の非同期信号を多重化する技術に係り、特に複数のラインクロックにそれぞれ従った非同期信号を多重する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SDH(Synchronous Digital Hierarchy)やSONET(Synchronous Optical NETwork)等の同期デジタル伝送方式において、複数の受信データのラインクロックから装置内のシステムクロックへの乗り換えは、従来、STMフレームのポインタ処理部において行われている(たとえば特許文献1参照)。従来のSDH多重処理装置の一例を図1に示す。
【0003】
図1(A)は従来のSDH多重処理装置の一般的なブロック図であり、図1(B)はSTM−N信号の一般的なフレーム構成図である。図1(A)において、複数(M個)のSTM−N信号を受信して多重化処理を行う場合、それぞれのラインクロックに従って、同期回路1.1〜1.Mによるフレーム同期処理、RSOH終端部2.1〜2.MによるRSOH終端処理、MSOH終端部3.1〜3.MによるMSOH終端処理、ポインタ受信部4.1〜4.Mによるポインタ受信処理、および、メモリ部5.1〜5.Mによるクロック乗換およびフレーム位相吸収処理がそれぞれ実行される。
【0004】
続いて、システムクロックに従って、フレーム位相吸収後のM個のSTM−N信号がポインタ送信部6へ出力され、ポインタ値の付け替え等の処理によって1つのSTM−(N×M)信号に多重化される。例えば、4個のSTM−1信号を多重化して1個のSTM−4信号を送信する場合(すなわちM=4、N=1)、4個のSTM−1信号のセクションオーバヘッド部分が図1(B)に示すようなSTM−4フレームに再構成され、ペイロード部分はバイト単位に順次多重化される。
【0005】
また、ポインタ処理技術を用いたタイミング乗り換えは、タイミングずれを全て吸収できるだけのメモリ容量を必要とし、処理ライン数の増加に伴って装置規模が増大するという問題が既に認識されており、これを解決するものとして、国際公開第WO00/74283号パンフレット(特許文献2)には、ポインタ処理技術を用いないタイミング乗り換え方法およびSDH伝送装置が開示されている。具体的には、複数ラインの主信号フレームを各ラインに対応したIF盤から共通の主信号処理ユニットへ送出するタイミングを装置内の基準フレームタイミングに基づいて制御する。
【0006】
【特許文献1】特開2000−134171号公報(段落0002〜0007)
【特許文献2】国際公開第WO00/74283号パンフレット(第14頁13行〜第15頁25行、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の多重処理装置やタイミング乗り換え方法では、図1(A)に示すように、同期回路1.1〜1.Mによるフレーム同期処理からメモリ部5.1〜5.Mによるクロック乗換およびフレーム位相吸収処理までがそれぞれのラインクロックに従って処理されているために、STM−N信号毎に同一の回路、すなわち同期回路、RSOH終端部、MSOH終端部、ポインタ受信部およびメモリ部、を設ける必要があり、ラインの増加に伴い回路規模が増大するという課題が依然として残っている。たとえば、非同期のSTM−1信号をSTM−16信号に多重処理する場合、同期回路からメモリ部までの一連の回路が16組必要となる。
【0008】
本発明の目的は、複数の非同期信号の処理を回路規模を増大させることなく実行可能にする非同期信号の同期化多重方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、クロック乗換処理を同期化処理より前段で実行することで、クロック乗換以降の信号処理をシリアル化し、1つの処理回路により複数の非同期信号の所望処理を可能にする。
【0010】
本発明による非同期信号の同期化多重装置は、複数の非同期信号の各々のクロックを装置内の共通クロックへ乗せ換えるクロック乗せ換え手段と、共通クロックに基づいてクロック乗せ換え後の複数の非同期信号を同期させて複数の同期化信号を生成する同期化手段と、複数の同期化信号を多重する多重化手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
たとえば複数のラインクロックに従った複数の非同期STM−N信号を受信するSDH/SONET伝送装置に適用した場合、クロック乗せ換え手段により複数の非同期STM−N信号が装置内で共通のシステムクロックに乗り換えられる。このシステムクロックに従って、非同期STM−N信号に対してRSOH/MSOH終端処理や同期化のためのフレーム位相吸収処理がシリアルに実行される。シリアル処理されることから、それぞれの処理回路は、非同期STM−N信号の個数に関係なく1個も設けておけばよい。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明によれば、クロック乗換処理を同期化処理より前段で実行することでクロック乗換以降の信号処理をシリアル化することができ、1つの処理回路により複数の非同期信号の処理が可能となり、回路規模や消費電力を削減できることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.第1実施形態
1.1)装置構成
図2は本発明の第1実施形態によるライン同期化多重処理装置のブロック図である。本実施形態によるライン同期化多重処理装置は、たとえばSDH/SONET伝送装置に用いられるものであり、複数(M個)の非同期信号D1〜DM(ここでは、それぞれSTM−N信号とする。)を受信し多重処理を実行する。同期回路1.1〜1.Mによるフレーム同期処理およびRSOH終端部2.1〜2.MによるRSOH終端処理は、それぞれのラインクロックに従って実行される。
【0014】
各同期回路は、対応する非同期信号から固定ビットパターン(A1、A2バイト)を検出し、当該非同期信号のフレーム同期をとる。続いて、各RSOH終端部は、対応するフレーム同期後の非同期信号に対して、中継セクションオーバヘッド(RSOH)の終端処理を実行し、中継器間あるいは中継器と伝送端局との間の符号誤り監視や監視制御情報の転送処理を行う。
【0015】
続いて、クロック位相吸収部10.1〜10.Mによりラインクロックからシステムクロックへのクロック乗換処理が行われる。上記フレーム同期のためのA1、A2バイトは、クロック位相吸収部10.1〜10.Mを含め後段の回路では不要となる情報であるため、本情報バイトを使用してクロック位相吸収を実現する。
【0016】
システムクロックに乗り換えられた非同期信号D1〜DMは、後述するようにシステムクロックに従って順次シリアル処理される。すなわち、複数の非同期信号D1〜DMについて、MSOH終端部11によるMSOH終端処理、ポインタ受信部12によるポインタ受信処理、および、メモリ部13によるフレーム位相吸収処理をそれぞれ1つの処理回路により実行可能となる。そしてポインタ送信部6によるポインタ値の付け替え等の処理によって多重化信号DO(STM−(N×M)信号)を生成することができる。
【0017】
なお、クロック位相吸収部10.1〜10.Mによるクロック乗換処理、MSOH終端部11によるMSOH終端処理、ポインタ受信部12によるポインタ受信処理、メモリ部13によるフレーム位相吸収処理およびポインタ送信部6による多重化処理は、プログラム制御プロセッサ上でそれぞれのプログラムを実行することにより実現することもできる。
【0018】
1.2)シリアル処理部
図3は、図2のライン同期化多重処理装置におけるMSOH終端部11、ポインタ受信部12およびメモリ部13からなるシリアル処理部のより詳細なブロック図である。クロック位相吸収部10.1〜10.Mは、それぞれのラインクロックCLK1〜CLKMと装置内で共通のシステムクロックCLKsysとを入力し、不要な情報(ここでは、A1、A2バイト)を利用して非同期信号D1〜DMの各々についてクロック乗換処理を行う(詳しくは後述)。
【0019】
システムクロック生成部15はシステムクロックCLKsysをクロック位相吸収部10.1〜10.Mへそれぞれ供給すると共に、MSOH終端部11、ポインタ受信部12、メモリ部13およびポインタ送信部6へも供給する。システム制御部16は、クロック位相吸収部10.1〜10.M、MSOH終端部11、ポインタ受信部12、メモリ部13およびポインタ送信部6を含む装置全体の動作制御を行う。
【0020】
MSOH終端部11には、クロック位相吸収部10.1〜10.Mにそれぞれ対応したメモリ11.1〜11.Mが設けられ、これらのメモリ11.1〜11.Mは選択制御部111およびMSOH終端処理部112にバス接続されている。メモリ11.1〜11.Mは、クロック位相吸収部10.1〜10.Mからそれぞれのタイミングで非同期信号D1〜DMを入力し、それらの端局セクションオーバヘッド(MSOH)部分を格納する。格納されたMSOH部分は、選択制御部111の制御により、システムクロックCLKsysに基づいてMSOH終端処理部112へ転送され、周知のMSOH終端処理、すなわち伝送端局間の符号誤り監視、障害時のシステム切り替え、監視制御情報の転送処理などが実行される。
【0021】
ポインタ受信部12には、クロック位相吸収部10.1〜10.Mにそれぞれ対応したメモリ12.1〜12.Mが設けられ、これらのメモリ12.1〜12.Mは選択制御部121およびポインタ受信処理部122にバス接続されている。メモリ12.1〜12.Mは、クロック位相吸収部10.1〜10.Mからそれぞれのタイミングで非同期信号D1〜DMを入力し、それらのポインタ部分を格納する。格納されたポインタ部分は、選択制御部121の制御により、システムクロックCLKsysに基づいてポインタ受信処理部122へ転送され、H1およびH2バイトに基づくポインタ受信処理が実行される。
【0022】
メモリ部13には、クロック位相吸収部10.1〜10.Mにそれぞれ対応したメモリ13.1〜13.Mが設けられ、これらのメモリ13.1〜13.Mは選択制御部131およびフレーム位相吸収部132にバス接続されている。メモリ13.1〜13.Mは、クロック位相吸収部10.1〜10.Mからそれぞれのタイミングで非同期信号D1〜DMを入力し、各メモリの状態が選択制御部121の制御によりフレーム位相吸収処理部132へ順次転送され、それに基づいてフレーム位相吸収処理部132は全てのフレーム位相のずれが吸収されてフレーム位相同期が成立するように各メモリからの信号の読み出し制御を実行する。
【0023】
こうしてフレーム位相同期がとられた同期化信号D1_sync〜DM_syncは、ポインタ送信部6へ送出され、フレーム位相吸収後のポインタ値の付け替え等のポインタ処理によって多重化信号DO(STM−(N×M)信号)を生成する。
【0024】
このようにMSOH終端部11、ポインタ受信部12およびメモリ部13では、それぞれ選択制御を行うことで複数の非同期信号D1〜DMの個数に関係なく、それぞれ1個の処理回路(すなわちMSOH終端処理部112、ポインタ受信処理部122およびフレーム位相吸収部132)を設けるだけで、複数のSTM−N信号の多重化処理を行うことができる。したがって、受信する非同期信号D1〜DMの個数が増加しても、従来に比べれば回路規模はほとんど増大せず、消費電力も削減することができる。
【0025】
1.3)クロック位相吸収部
図4は、図2におけるクロック位相吸収部のより詳しい構成を示すブロック図である。ここではi番目(iは1〜Mのいずれかの整数)の非同期信号Diに対応するクロック位相吸収部10.iを例示するが、他のクロック位相吸収部も同一構成である。また、クロック位相吸収に利用される不要な情報としては、A1、A2バイトを利用するものとする。
【0026】
クロック位相吸収部10.iには、非同期信号Diを格納するメモリ101、メモリ101への書き込みアドレスを供給する書き込みカウンタ102、メモリ101からの読み出しアドレスを供給する読み出しカウンタ103、および、書き込み及び読み出しの位相を比較して調整する位相比較部104が設けられている。
【0027】
書き込みカウンタ102は、対応するラインクロックCLKiに同期して動作し、メモリ101への書き込みアドレスを生成する。また、読み出しカウンタ103は、システムクロックCLKsysおよび非同期信号Diのフレームパルスに基づき動作し、メモリ101からの読み出しアドレスを生成する。また、書き込みアドレスと読み出しアドレスとは位相比較部104へも出力される。
【0028】
位相比較部104は、書き込みアドレスと読み出しアドレスをもとにラインクロックCLKiとシステムクロックCLKsysとの位相を比較し、ラインクロックCLKiよりシステムクロックCLKsysが遅い場合には、−側位相シフト要求信号を書き込みカウンタ102へ出力する。また、ラインクロックCLKiよりシステムクロックCLKsysが速い場合には、+側位相シフト要求信号を書き込みカウンタ102へ出力する。書き込みカウンタ104では、−側位相シフト要求が発生した場合には、A1バイト位置パルスのタイミングで書き込みアドレスの加算を停止し、+側位相シフト要求が発生した場合は、A1バイト位置パルスのタイミングで書き込みアドレスの加算値を+2とする制御を実施する。以下、クロック位相吸収部の具体的な動作例を説明する。
【0029】
図5(A)は通常動作時のタイミングチャート、図5(B)は−側位相シフト要求が発生した場合のタイミングチャート、図5(C)は+側位相シフト要求が発生した場合のタイミングチャートである。図5(A)に示すように、ラインクロックCLKiとシステムクロックCLKsysとの位相が正常範囲内で推移している場合には、書き込み動作および読み出し動作はともに変更されない。
【0030】
図5(B)に示すように、ラインクロックCLKiよりシステムクロックCLKsysが遅くなり−側位相シフト要求信号が書き込みカウンタ102に入力した場合、書き込み動作では、A1バイト位置パルスのタイミングで書き込みカウンタ102の加算を停止し、アドレスnの位置にA1バイトを書き込み、その後A2バイトを上書きする。したがって、読み出し動作ではアドレスnの位置にA2バイトが読み出されA1バイトは削除される。
【0031】
図5(C)に示すように、ラインクロックCLKiよりシステムクロックCLKsysが速くなり+側位相シフト要求信号が書き込みカウンタ102に入力した場合、書き込み動作では、A1バイト位置パルスのタイミングで書き込みカウンタ102の加算を+2とし、アドレスnの位置にA1バイトを書き込み、アドレスn+2の位置にA2バイトを書き込む。そして、読み出し動作では、アドレスnの位置にA1バイトが読み出され、アドレスn+1の位置にはダミーデータが読み出され、アドレスn+2の位置にA2バイトが読み出される。その結果、A1バイトとA2バイトの間にダミーデータが挿入されることとなるが、このダミーデータは後段では使用しない。
【0032】
このように、−側位相シフト要求信号が発生した場合にはA1バイトを削除し、+側位相シフト要求が発生した場合にはA1バイトとA2バイトとの間にダミーデータを挿入することで、ラインクロックCLKiとシステムクロックCLKsysとの位相吸収を1フレームのデータ長を増減させることにより実現する。
【0033】
なお、フレームデータ長の増減によるクロック位相吸収は、A1およびA2バイトを利用したものに限定されるものではなく、セクションオーバヘッドSOHの未使用バイトあるいは不要となったバイトであれば何処を使用しても構わない。たとえば、−側位相シフト要求信号が発生した場合にはA2バイトを削除し、+側位相シフト要求が発生した場合にはA2バイトとJ0バイトとの間にダミーデータを挿入することで、ラインクロックCLKiとシステムクロックCLKsysとの位相吸収を実現することもできる。
【0034】
2.第2実施形態
クロック位相吸収部の配置は第1実施形態に限定されるものではない。次に示すようにクロック位相吸収部より後段にRSOH終端部を配置することで、RSOH終端処理を1個の処理回路で実現することができる。
【0035】
図6は、本発明の第2実施形態によるライン同期化多重処理装置のブロック図である。本実施形態によるライン同期化多重処理装置は、たとえばSDH/SONET伝送装置に用いられるものであり、複数(M個)の非同期信号D1〜DM(ここでは、それぞれSTM−N信号とする。)を受信し多重処理を実行する。同期回路20.1〜20.Mによるフレーム同期処理およびB1バイト終端部21.1〜21.Mによる符号誤り監視処理は、それぞれのラインクロックに従って実行される。各同期回路は、対応する非同期信号からA1およびA2バイトを終端し、当該非同期信号のフレーム同期をとる。続いて、各B1バイト終端部は、中継器間あるいは中継器と伝送端局との間のBIP−8監視方式による符号誤り監視処理を行う。
【0036】
続いて、クロック位相吸収部10.1〜10.Mによりラインクロックからシステムクロックへのクロック乗換処理が行われる。クロック位相吸収部は、同期回路およびB1バイト終端部により不要となったA1/A2/B1バイトを利用してクロック位相吸収を実行することができる。クロック位相吸収部10.1〜10.Mの動作は既に説明したとおりである。
【0037】
システムクロックに乗り換えられた非同期信号D1〜DMは、後述するようにシステムクロックに従って順次シリアル処理される。すなわち、複数の非同期信号D1〜DMについて、RSOH終端部22によるA1/A2/B1バイトを除いたRSOH終端処理およびMSOH終端部11によるMSOH終端処理に続いて、以下第1実施形態で説明したようにポインタ受信部12によるポインタ受信処理、および、メモリ部13によるフレーム位相吸収処理をそれぞれ1つの処理回路により実現することができる。そしてポインタ送信部6によるポインタ値の付け替え等の処理によって多重化信号DO(STM−(N×M)信号)を生成する。
【0038】
MSOH終端部11、ポインタ受信部12、メモリ部13およびポインタ送信部6の構成および動作とシステム制御部16の制御動作については、第1実施形態と同様であるから説明を省略し、ここではRSOH終端部22の構成および動作について説明する。
【0039】
RSOH終端部22には、クロック位相吸収部10.1〜10.Mにそれぞれ対応したメモリ22.1〜22.Mが設けられ、これらのメモリ22.1〜22.Mは選択制御部221およびRSOH終端処理部222にバス接続されている。メモリ22.1〜22.Mは、クロック位相吸収部10.1〜10.Mからそれぞれのタイミングで非同期信号D1〜DMを入力し、それらの中継セクションオーバヘッド(RSOH)部分を格納する。格納されたRSOH部分は、選択制御部221の制御により、システムクロックCLKsysに基づいてRSOH終端処理部222へ転送され、RSOH終端処理のうちのA1/A2/B1バイトを用いたフレーム同期および符号誤り監視を除いた処理を実行する。
【0040】
このようにRSOH終端部22、MSOH終端部11、ポインタ受信部12およびメモリ部13では、それぞれ選択制御を行うことで複数の非同期信号D1〜DMの個数に関係なく、それぞれ1個の処理回路(すなわちRSOH終端処理部222、MSOH終端処理部112、ポインタ受信処理部122およびフレーム位相吸収部132)を設けるだけで、複数のSTM−N信号の多重化処理を行うことができる。したがって、受信する非同期信号D1〜DMの個数が増加しても、従来に比べれば回路規模はほとんど増大せず、消費電力も削減することができる。
【0041】
3.第3実施形態
上述したように、フレームデータ長の増減によるクロック位相吸収は、セクションオーバヘッドSOHの未使用バイトあるいは不要となったバイトであれば何処を使用してもよい。したがって、どのバイトを使用するかを選択する機能を設けることができる。たとえば、図4ではA1/A2バイト位置パルスを用いてフレームデータ長の増減を行っているが、これに使用するバイトをシステム制御部16が選択してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は複数の非同期信号を多重化する伝送装置、たとえばSDH/SONET伝送装置の非同期信号多重に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(A)は従来のSDH多重化処理装置の一般的なブロック図であり、(B)はSTM−N信号の一般的なフレーム構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるライン同期化多重処理装置のブロック図である。
【図3】図2のライン同期化多重処理装置におけるMSOH終端部11、ポインタ受信部12およびメモリ部13からなるシリアル処理部のより詳細なブロック図である。
【図4】図2におけるクロック位相吸収部のより詳しい構成を示すブロック図である。
【図5】(A)は通常動作時のタイミングチャート、(B)は−側位相シフト要求が発生した場合のタイミングチャート、(C)は+側位相シフト要求が発生した場合のタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態によるライン同期化多重処理装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
1.1〜1.M 同期回路
2.1〜2.M RSOH終端部
6 ポインタ送信部
10.1〜10.M クロック位相吸収部
11 MSOH終端部
11.1〜11.M メモリ
111 選択制御部
112 MSOH終端処理部
12 ポインタ受信部
12.1〜12.M メモリ
121 選択制御部
122 ポインタ受信処理部
13 メモリ部
13.1〜13.M メモリ
131 選択制御部
132 フレーム位相吸収処理部
15 システムクロック生成部
16 システム制御部
20.1〜20.M 同期回路
21.1〜21.M B1バイト終端部
22 RSOH終端部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の非同期信号を同期化して多重する装置において、
前記複数の非同期信号の各々のクロックを装置内の共通クロックへ乗せ換えるクロック乗せ換え手段と、
前記共通クロックに基づいて、前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号を同期させて複数の同期化信号を生成する同期化手段と、
前記複数の同期化信号を多重する多重化手段と、
を有することを特徴とする非同期信号の同期化多重装置。
【請求項2】
前記同期化手段は、
前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号をそれぞれ格納する複数の格納手段と、
前記複数の格納手段にそれぞれ格納された非同期信号の位相の差を吸収する位相吸収手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の非同期信号の同期化多重装置。
【請求項3】
前記クロック乗せ換え手段と前記同期化手段との間に、前記共通クロックに基づいて前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号のオーバヘッドを終端する終端手段を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1または2に記載の非同期信号の同期化多重装置。
【請求項4】
前記終端手段は、
前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号のオーバヘッドをそれぞれ格納する複数のオーバヘッド格納手段と、
前記複数のオーバヘッド格納手段にそれぞれ格納された非同期信号のオーバヘッドを選択する選択手段と、
前記選択されたオーバヘッドの終端処理を行う終端処理手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の非同期信号の同期化多重装置。
【請求項5】
複数の非同期信号を同期化して多重する方法において、
前記複数の非同期信号の各々のクロックを装置内の共通クロックへ乗せ換え、
前記共通クロックに基づいて、前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号を同期させて複数の同期化信号を生成し、
前記複数の同期化信号を多重する、
ことを特徴とする非同期信号の同期化多重方法。
【請求項6】
前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号は、前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号をそれぞれ格納し、前記格納された非同期信号の位相の差を吸収することにより同期化されることを特徴とする請求項5に記載の非同期信号の同期化多重方法。
【請求項7】
前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号のオーバヘッドは、前記共通クロックに基づいて終端処理されることを特徴とする請求項5または6に記載の非同期信号の同期化多重方法。
【請求項8】
前記終端処理は、
前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号のオーバヘッドをそれぞれ格納し、
前記格納された非同期信号のオーバヘッドから1つを選択し、
選択されたオーバヘッドに対して終端処理を行う、
ことを特徴とする請求項7に記載の非同期信号の同期化多重方法。
【請求項9】
コンピュータに対して、複数の非同期信号を同期化して多重する制御を実行させるためのプログラムにおいて、
前記複数の非同期信号の各々のクロックを装置内の共通クロックへ乗せ換えるステップと、
前記共通クロックに基づいて、前記クロック乗せ換え後の複数の非同期信号を同期させて複数の同期化信号を生成するステップと、
前記複数の同期化信号を多重するステップと、
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項1に記載の同期化多重装置を含むSDH/SONET伝送装置。
【請求項11】
請求項5に記載の同期化多重方法を実行するSDH/SONET伝送装置。
【請求項12】
請求項9に記載のプログラムを実行するプログラム制御プロセッサを含むSDH/SONET伝送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−35318(P2008−35318A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207588(P2006−207588)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】