説明

非接触給電装置

【課題】センサに対する磁束の影響を小さくすることのできる非接触給電装置を提供すること。
【解決手段】この非接触給電装置は、電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次コイル61を含む1次側送電装置60と、1次コイル61の交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次コイル71を含む2次側受電装置70と、筐体頂壁62を検出するためのサーミスタ63とを含む。また、1次コイル61に対応して1次側送電装置60に設けられるポット型磁性体110と、2次コイル71に対応して2次側受電装置70に設けられる平板型磁性体120とを含む。ポット型磁性体110には、1次コイル61および2次コイル71の配列方向に延びる孔114を有する膨出部113が設けられている。この孔114には、筐体頂壁62の温度を検出するサーミスタ63が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次コイルを含む1次側送電装置と、1次コイルの交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次コイルを含む2次側受電装置と、状態の変化を検出するためのセンサとを含む非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触給電装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1の非接触給電装置において、1次側送電装置の筐体と2次側受電装置の筐体との間に金属異物が挟まれているとき、コイルに発生する高周波の交番磁束に起因して金属異物に渦電流が流れる。このため、渦電流の発生にともない歯ブラシおよび充電装置の温度が過度に高くなるおそれがある。
【0003】
そこで、同文献の非接触給電装置では、1次コイルの中心に設けられたサーミスタにより、1次側送電装置の温度が過度に上昇しているか否かを判定している。そして、サーミスタにより検出された1次側送電装置の温度が過度に高い旨判定したとき、2次電池の充電を中断する制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−273260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非接触給電装置においては、1次コイルの磁束が通過する箇所にサーミスタが配置されているため、サーミスタに渦電流が発生する。そして、サーミスタに大きな渦電流が発生したときにはサーミスタ自身の温度が過度に上昇するため、金属異物に起因する1次側送電装置の温度の上昇を適切に検出することができない。また、サーミスタに限らず他のセンサ(例えば磁気センサ)が設けられる非接触給電装置においても同様に、磁束の影響によりセンサが適切に機能しないおそれがある。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、センサに対する磁束の影響を小さくすることのできる非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
・本発明の非接触給電装置は、電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次コイルを含む1次側送電装置と、前記1次コイルの交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次コイルを含む2次側受電装置と、状態の変化を検出するためのセンサとを含み、前記1次コイルに対応して前記1次側送電装置に設けられる第1磁性体と、前記2次コイルに対応して前記2次側受電装置に設けられる第2磁性体とをさらに含むこと、前記第1磁性体および前記第2磁性体の少なくとも一方には、前記1次コイルおよび前記2次コイルの配列方向に延びる孔を有する膨出部が設けられていること、および前記センサが前記孔に設けられていることを特徴としている。
【0008】
・この非接触給電装置においては、前記1次コイルの中心部分の空間に前記第1磁性体の膨出部が設けられていること、前記センサがこの膨出部の孔に設けられていることが好ましい。
【0009】
・この非接触給電装置においては、前記第1磁性体において前記膨出部が設けられている部分の厚さを1次側厚さとし、前記第2磁性体において前記第1磁性体の膨出部に対応する部分の厚さを2次側厚さとしたとき、この2次側厚さが前記1次側厚さよりも小さいことが好ましい。
【0010】
・この非接触給電装置においては、前記第1磁性体の膨出部として円筒形状のものが設けられていること、この膨出部の径方向の中央部分に前記孔が設けられていることが好ましい。
【0011】
・この非接触給電装置においては、前記1次コイルおよび前記2次コイルとして円形状のものが設けられていることが好ましい。
・この非接触給電装置においては、前記第1磁性体および前記第2磁性体の少なくとも一方としてポット型磁性体が設けられていること、このポット型磁性体は、対応するコイルの外周を取り囲む円柱状の外周部と、同コイルの中心部分の空間に配置される前記膨出部と、同コイルに対して他方のコイルとは反対側に設けられて前記外周部と前記膨出部とを互いに接続する底壁部とを含むものであることが好ましい。
【0012】
・この非接触給電装置においては、前記孔として円柱形状のものが形成されていることが好ましい。
・この非接触給電装置においては、前記1次コイルの中心部分の空間に前記第1磁性体の膨出部が設けられていること、前記センサとして前記1次側送電装置の温度を検出するものが前記膨出部の孔に設けられていることが好ましい。
【0013】
・この非接触給電装置においては、前記1次コイルの中心部分の空間に前記第1磁性体の膨出部が設けられていること、前記センサとして前記2次側受電装置の状態の変化を検出するものが前記膨出部の孔に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、センサに対する磁束の影響を小さくすることのできる非接触給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態の非接触給電装置について、同装置を構成する電動歯ブラシおよび充電装置を模式的に示す模式図。
【図2】同実施形態の非接触給電装置について、その電力伝送部の断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態の非接触給電装置について、(a)はポット型磁性体の平面構造を示す平面図、(b)はA3−A3線に沿うポット型磁性体の断面構造を示す断面図。
【図4】同実施形態の非接触給電装置について、1次コイルおよび2次コイルの平面構造を示す平面図。
【図5】同実施形態の非接触給電装置について、1次側回路および2次側回路の構成を示す回路図。
【図6】本発明の第2実施形態の非接触給電装置について、その電力伝送部の断面構造を示す断面図。
【図7】同実施形態の非接触給電装置について、(a)はEER型磁性体の平面構造を示す平面図、(b)はA7−A7線に沿うEER型磁性体の断面構造を示す断面図。
【図8】本発明の第3実施形態の非接触給電装置について、その電力伝送部の断面構造を示す断面図。
【図9】同実施形態の非接触給電装置について、(a)はEE型磁性体の平面構造を示す平面図、(b)はA9−A9線に沿うEE型磁性体の断面構造を示す断面図。
【図10】本発明の第4実施形態の非接触給電装置について、その電力伝送部の断面構造を示す断面図。
【図11】同実施形態の非接触給電装置について、(a)はEI型磁性体の平面構造を示す平面図、(b)はA11−A11線に沿うEI型磁性体の断面構造を示す断面図。
【図12】本発明の第5実施形態の非接触給電装置について、1次側回路の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態では、電動歯ブラシおよびその充電装置として本発明の非接触給電装置を具体化した一例を示している。
【0017】
図1に、非接触給電装置1の全体構成を示す。
非接触給電装置1は、歯に振動を付与して歯を清掃するための電動歯ブラシ10と、電動歯ブラシ10を充電するための充電装置20とを含む。
【0018】
電動歯ブラシ10は、歯の清掃時にユーザが把持するための把持部11と、把持部11への取り付けおよび把持部11からの取り外しが可能な清掃部13とを含む。把持部11の筐体(以下、「歯ブラシ筐体14」)としては、非磁性体かつ樹脂性のものが用いられている。
【0019】
充電装置20は、電動歯ブラシ10を載せるための充電装置筐体21と、交番電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次側送電装置60と、1次側送電装置60に交番電力を供給するための1次側回路30とを含む。充電装置筐体21としては、非磁性体かつ樹脂性のものが用いられている。1次側送電装置60および1次側回路30は、それぞれ充電装置筐体21内に設けられている。
【0020】
把持部11は、1次側送電装置60の交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次側受電装置70と、2次側受電装置70からの電力の供給を受けて充電される2次電池15と、2次側受電装置70から2次電池15に電力を供給する2次側回路40とを含む。また、電動歯ブラシ10の振動モードおよび充電状態等を表示する表示部12と、清掃部13を振動させるためのアクチュエータとを含む(図示略)。2次側受電装置70および2次側回路40および2次電池15およびアクチュエータは、それぞれ歯ブラシ筐体14内に設けられている。
【0021】
非接触給電装置1においては、1次側送電装置60および2次側受電装置70により、充電装置20から電動歯ブラシ10に電力を伝送するための電力伝送部50が構成されている。すなわち電力伝送部50は、商用電源からの電力の供給を受けて2次電池15を充電するための装置として設けられている。
【0022】
図2を参照して、電力伝送部50の詳細な構成について説明する。
1次側送電装置60は、直流電源E1(図5参照)からの電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次コイル61と、1次コイル61に発生した磁束の磁路を形成する第1磁性体としてのポット型磁性体110とを含む。また、充電装置筐体21の頂壁(以下、「筐体頂壁62」)と、筐体頂壁62の温度を検出するサーミスタ63とを含む。直流電源E1には、商用電源の交流電力から変換された直流電力が供給される。
【0023】
2次側受電装置70は、1次コイル61の交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次コイル71と、2次コイル71に発生した磁束の磁路を形成する第2磁性体としての平板型磁性体120と、歯ブラシ筐体14の底壁(以下、「筐体底壁72」)とを含む。
【0024】
ここで、ポット型磁性体110および平板型磁性体120の各部位の寸法を次のように規定する。すなわち、ポット型磁性体110の膨出部113の基端部113Aから先端部113Bまでの長さを「膨出部高さHA」とする。また、ポット型磁性体110の底壁部111の底面111Aから頂面111Bまでの長さを「底壁部厚さHB」とする。また、膨出部高さHAと底壁部厚さHBとを合わせた長さを「1次側厚さHC」とする。また、平板型磁性体120において膨出部113に対応する部位(以下、「膨出部対応部121」)の底面121Aから頂面121Bまでの長さを2次側厚さHDとする。
【0025】
これらの各寸法は、次の関係が成立するように設定されている。
(a)膨出部高さHAは、底壁部厚さHBよりも大きい。
(b)膨出部高さHAは、2次側厚さHDよりも大きい。
(c)底壁部厚さHBは、2次側厚さHDよりも大きい。
(d)1次側厚さHCは、2次側厚さHDよりも大きい。
【0026】
図3を参照して、ポット型磁性体110の構造について説明する。
ポット型磁性体110は、円盤形状の底壁部111と、底壁部111の外周上に設けられた円柱形状の外周部112と、底壁部111の中心部分に設けられた円柱形状の膨出部113とを含む。
【0027】
膨出部113の径方向の中央部分には、膨出部113の長手方向において底壁部111および膨出部113を貫通する円形状の孔114が設けられている。膨出部113および孔114は、1次コイル61および2次コイル71の配列方向に沿うように設けられている。孔114の先端部分にはサーミスタ63が設けられている。
【0028】
サーミスタ63は、熱伝導率の高いシリコンにより筐体頂壁62に接着されている。また、サーミスタ63の配線は、ポット型磁性体110の膨出部113の孔114に通されるとともに、孔114の底壁部111側の開口からポット型磁性体110の外側に引き出されている。
【0029】
外周部112は、1次コイル61の径方向外側に発生した磁束を束ねるための部位として設けられている。膨出部113は、1次コイル61の径方向中心側に発生した磁束を束ねるための部位として設けられている。
【0030】
非接触給電装置1においては、電動歯ブラシ10が充電装置20の上に配置された状態、すなわち1次側送電装置60の筐体頂壁62の頂面と2次側受電装置70の筐体底壁72の底面とが互いに接触した状態のとき、2次電池15の充電が行われる。
【0031】
図4に、1次コイル61の平面構造を示す。
1次コイル61は、導線が同心円状に巻かれた円盤形状のコイルとして形成されている。1次コイル61の内側の端部61Aおよび外側の端部61Bは、それぞれ1次側回路30に接続されている。1次コイル61の中心部分の空間である円形空間61Cには、ポット型磁性体110の膨出部113が設けられる。
【0032】
1次コイル61の端部61Aおよび端部61Bは、それぞれポット型磁性体110の底壁部111を介してポット型磁性体110の外側に引き出されている。なお、2次コイル71も1次コイル61と同様に円盤形状のコイルとして形成されている。
【0033】
図5を参照して、充電装置20の1次側回路30および電動歯ブラシ10の2次側回路40の構成について説明する。なお、図5およびその説明においては、1次コイル61を「L1」として、また2次コイル71を「L2」として示している。
【0034】
充電装置20の1次側回路30としては、交番電力を生成するフルブリッジ複合共振回路が用いられている。1次側回路30は、複数のスイッチング素子により構成されるフルブリッジ回路31と、スイッチング素子の制御等を行う制御回路33と、サーミスタ63および固定抵抗R5および直流電源E1および1次コイルL1とを含む。
【0035】
フルブリッジ回路31は、電界効果トランジスタ(FET)からなる4つのスイッチング素子、すなわち第1スイッチング素子F1および第2スイッチング素子F2および第3スイッチング素子F3および第4スイッチング素子F4を含む。また、コンデンサの内部に電界として蓄えられたエネルギと、コイルの内部に磁界として蓄えられたエネルギとをコンデンサとコイルとの間で授受するための共振回路32とを含む。
【0036】
共振回路32は、各スイッチング素子F1〜F4から交番電力が供給される1次コイルL1と、1次コイルL1と直列に設けられたコンデンサC1と、1次コイルL1と並列に設けられたコンデンサC2とを含む。コンデンサC1およびコンデンサC2は、それぞれゼロ電流スイッチングを行う。
【0037】
コンデンサC1は、各スイッチング素子F1〜F4のターンオフ時のスイッチング損失を低減するための回路素子として設けられている。コンデンサC2は、スイッチング素子F1〜F4のターンオン時のスイッチング損失を低減するための回路素子として設けられている。
【0038】
各スイッチング素子F1〜F4としては、内部にそれぞれ内蔵ダイオードD1〜D4を含むものが用いられている。図5においては、内蔵ダイオードD1〜D4を含む部分を等価回路として表現している。
【0039】
第1スイッチング素子F1は、第1内蔵ダイオードD1に対して並列に接続されている。また第2スイッチング素子F2は、第2内蔵ダイオードD2に対して並列に接続されている。また第3スイッチング素子F3は、第3内蔵ダイオードD3に対して並列に接続されている。また第4スイッチング素子F4は、第4内蔵ダイオードD4に対して並列に接続されている。
【0040】
制御回路33は、マイクロコンピュータを含めて構成されている。また、ゲート抵抗を介して各スイッチング素子F1〜F4と接続されている。すなわち、第1ゲート抵抗R1を介して第1スイッチング素子F1と接続されている。また、第2ゲート抵抗R2を介して第2スイッチング素子F2と接続されている。また、第3ゲート抵抗R3を介して第3スイッチング素子F3と接続されている。また、第4ゲート抵抗R4を介して第4スイッチング素子F4と接続されている。
【0041】
電動歯ブラシ10の2次側回路40としては、交番電力を直流電力に変換するブリッジ整流回路が用いられている。2次側回路40は、2次コイルL2から受けた交流電力を直流電力に変換する全波整流回路41と、全波整流回路41により変換された直流電力を降圧するDC/DCコンバータ42と、電力を蓄える2次電池15とを含む。また、1次側回路30と2次側回路40とのインピーダンスの整合をとるためのコンデンサC3と、2次コイルL2とを含む。コンデンサC3は、2次コイルL2に対して並列に接続されている。
【0042】
全波整流回路41は、4つのダイオード、すなわち第5ダイオードD5および第6ダイオードD6および第7ダイオードD7および第8ダイオードD8を含む。全波整流回路41の出力端子P1および出力端子P2には、平滑用のコンデンサC4が並列に接続されている。
【0043】
1次コイルL1および2次コイルL2の間の給電態様について説明する。
制御回路33は、各ゲート抵抗R1〜R4を介して制御電圧を各スイッチング素子F1〜F4に印加し、各スイッチング素子F1〜F4のオンおよびオフを切り替える。すなわち、第1スイッチング素子F1および第4スイッチング素子F4のオンまたはオフと、第2スイッチング素子F2および第3スイッチング素子F3のオフまたはオンとをゲート電圧に応じて交互に切り替える。これにより、1次コイルL1に交番電力が誘起されるため、1次コイルL1には高周波の交番磁束が発生する。
【0044】
2次コイルL2においては、1次コイルL1の交番磁束と鎖交することにより交番電力が発生する。この交番電力は、コンデンサC3を介して全波整流回路41に入力されて全波整流されることにより直流電力に変換される。変換された直流電力は、DC/DCコンバータ42により降圧された後に負荷としての2次電池15に供給される。これにより2次電池15が充電される。
【0045】
制御回路33は、1次側送電装置60と2次側受電装置70との間に金属異物があるときに1次コイル61から2次コイル71への電力の伝送を停止するための「充電中断制御」を行う。以下では、1次コイルL1と2次コイルL2との間に金属異物が挟まれた状態「異常状態」とし、金属異物が挟み込まれていない状態を「通常状態」とする。
【0046】
異常状態のとき、1次コイルL1および2次コイルL2から発生する高周波の磁束の影響により金属異物に渦電流が発生する。そして、渦電流の発生にともない金属異物の温度が上昇することにより、筐体頂壁62および筐体底壁72の温度が上昇する。筐体頂壁62の温度の上昇により、サーミスタ63により検出される筐体頂壁62の温度が通常状態よりも高い温度となるため、制御回路33に入力される電圧も通常状態の電圧よりも高いものとなる。なお、制御回路33にはサーミスタ63と固定抵抗R5との間の電圧が入力される。
【0047】
制御回路33は、入力された電圧に基づいてサーミスタ63の温度を算出し、算出した温度(以下、「推定温度T」)が予め設定された基準温度TX以上か否かを判定する。そして、推定温度Tが基準温度TX以上の旨判定したとき、1次コイルL1への電力の供給を中断する。すなわち、ゲート電圧に基づく各スイッチング素子F1〜F4のオンおよびオフの切り替えを中断する。これにより、1次コイルL1に交番電力が誘起されなくなるため、2次電池15の充電が中断される。一方、推定温度Tが基準温度TX未満の旨判定したときには、1次コイルL1への電力の供給を継続する。
【0048】
基準温度TXの設定態様について説明する。
非接触給電装置1においては、通常状態のときにもサーミスタ63が1次コイルL1等の発熱の影響を受けることに起因して、サーミスタ63自身の温度が上昇する。このため、異常状態のときにサーミスタ63により検出される温度は、通常状態のときのサーミスタ63自身の温度上昇分と、金属異物の渦電流に起因した筐体頂壁62の温度上昇分とを含むものとなる。すなわち、推定温度Tに基づいて異常状態を適切に判定するためには、通常状態のサーミスタ63の温度上昇分を考慮して基準温度TXを設定する必要がある。
【0049】
そこで、制御回路33のメモリには、通常状態において到達すると予測されるサーミスタ63の最高温度またはこれに相当する温度が基準温度TXとして予め記憶されている。これにより、金属異物が挟み込まれていないにもかかわらず、推定温度Tの上昇に基づいて非接触給電装置1が異常状態にある旨判定される頻度が低減される。
【0050】
本実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)非接触給電装置1は、1次コイル61に対応して1次側送電装置60に設けられるポット型磁性体110と、2次コイル71に対応して2次側受電装置70に設けられる平板型磁性体120とを含む。また、ポット型磁性体110の膨出部113には、1次コイル61および2次コイル71の配列方向に延びる孔114が設けられている。また、孔114にはサーミスタ63が設けられている。
【0051】
この構成によれば、1次コイル61の中心側に発生した磁束が膨出部113の壁部を通過するため、すなわち膨出部113の壁部により磁束の磁路が形成されるため、1次コイル61の中心側に発生した磁束がサーミスタ63と鎖交しにくくなる。このため、1次コイル61の磁束がサーミスタ63に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0052】
(2)上記(1)の構成によれば、1次コイル61の磁束がサーミスタ63に及ぼす影響が小さくなるため、サーミスタ63に渦電流が発生しにくい。これにより、サーミスタ63自身の温度の上昇が抑制されるため、金属異物に起因する微小な温度上昇をサーミスタ63により検出することができる。
【0053】
具体的には、1次コイル61の磁束がサーミスタ63に及ぼす影響が小さくなるため、1次コイル61と2次コイル71との間に金属異物が挟み込まれていない通常状態において、サーミスタ63自身の温度の上昇度合いが小さくなる。このため、充電中断制御の判定に用いる基準温度TXをより小さい値に設定することが可能となる。
【0054】
これにより、推定温度Tの上昇度合いが小さいときにも、この推定温度Tと基準温度TXとの対比により、充電装置筐体21と歯ブラシ筐体14との間に微小な金属異物が挟み込まれていることを適切に検出することができる。
【0055】
(3)非接触給電装置1においては、ポット型磁性体110の膨出部113の孔114にサーミスタ63の配線を通すとともに、孔114の底壁部111側の開口から配線をポット型磁性体110の外側に引き出している。
【0056】
この構成によれば、サーミスタ63の配線が1次コイル61の磁束と鎖交しにくくなるため、1次コイル61の磁束がサーミスタ63に及ぼす影響を小さくすることができる。また、サーミスタ63自身の温度の上昇度合いを小さくすることができる。
【0057】
(4)非接触給電装置1においては、サーミスタ63の出力に基づいて算出した推定温度Tが予め設定された基準温度TX以上のとき、充電装置筐体21と歯ブラシ筐体14との間に金属異物が挟み込まれている異常状態である旨判定する。また、金属異物が挟み込まれていない通常状態のときのサーミスタ63の温度上昇分を加味して基準温度TXを予め設定している。
【0058】
この構成では、上記(1)および(3)の構成によりサーミスタ63自身の温度の上昇度合いが小さくされるものにおいて、サーミスタ63自身の温度の上昇度合いを加味して基準温度TXを設定している。これにより、基準温度TXをより小さい値として予め設定することが可能となるため、金属異物に起因する筐体頂壁62の微小な温度上昇を検出することができる。
【0059】
(5)非接触給電装置1においては、1次コイル61の中心部分の空間である円形空間61Cにポット型磁性体110の膨出部113が設けられているとともに、この膨出部113にサーミスタ63が設けられている。
【0060】
1次コイル61には商用電源に基づく電力が供給されるため、1次コイル61に発生する磁束は2次コイル71に発生する磁束よりも磁束密度が高くなる。このため、充電装置筐体21と歯ブラシ筐体14との間に金属異物が挟み込まれているとき、金属異物の温度は2次コイル71側よりも1次コイル61側の方が高くなる。
【0061】
非接触給電装置1の上記構成によれば、1次コイル61側にサーミスタ63が設けられているため、2次コイル71側(2次側受電装置70)にサーミスタ63を設ける構成と比較して、金属異物の温度の上昇をより的確に検出することができる。
【0062】
(6)2次コイル71側にサーミスタ63を設ける構成によれば、サーミスタ63の出力に基づいて制御を行うためには、サーミスタ63の出力を2次側受電装置70から1次側送電装置60の制御回路33に送信する必要が生じる。
【0063】
この点、非接触給電装置1の上記(5)の構成によれば、サーミスタ63の出力を1次側送電装置60内において直接的に制御回路33に送信されるため、充電装置20の構成が複雑なものとなることを抑制することができる。
【0064】
(7)非接触給電装置1においては、1次側厚さHCが2次側厚さHDよりも大きい。
この構成によれば、2次側厚さHDが1次側厚さHCと同じまたはそれよりも大きい場合と比較して、2次側受電装置70において膨出部対応部121を通過する磁束の密度が低くなる。これにより、2次コイル71に発生した磁束がサーミスタ63に鎖交しにくくなるため、2次コイル71の磁束がサーミスタ63に及ぼす影響を小さくすることができる。また、サーミスタ63自身の温度の上昇度合いを小さくすることができる。
【0065】
(8)非接触給電装置1においては、ポット型磁性体110の膨出部113として円筒形状のものが設けられているとともに、この膨出部113の径方向の中央部分に孔114が設けられている。また、孔114にサーミスタ63が設けられている。
【0066】
この構成によれば、1次コイル61の中心側で発生した磁束が円筒形状の膨出部113を通過するため、膨出部113として円筒形状以外のものが設けられる場合と比較して、磁束が一部分に集中することを抑制することができる。
【0067】
(9)1次コイル61の中心側に発生する磁束の密度は、1次コイル61の径方向外側に発生する磁束の密度よりも高い。上記(8)の構成によれば、磁束の密度が高い1次コイル61の中心側にサーミスタ63を設けているため、金属異物に起因する筐体頂壁62の温度の上昇をより適切に検出することができる。
【0068】
(10)非接触給電装置1においては、1次コイル61および2次コイル71として円形状のものが設けられている。
1次コイル61および2次コイル71の少なくとも一方として、円形状とは異なる形状のものを採用したとき、充電装置20に対する電動歯ブラシ10の回転角度を基準角度に設定したときに磁束の伝達効率が高くなる。このため、電動歯ブラシ10を充電装置20に載せたときの相対的な回転位置のずれに起因して磁束の伝達効率が大きく低下する。
【0069】
この点、非接触給電装置1の上記構成によれば、充電装置20に対する電動歯ブラシ10の回転角度をいずれの角度に設定しても、1次コイル61と2次コイル71との相対的な関係が実質的に同じものとなる。このため、充電装置20に対する電動歯ブラシ10の配置の仕方に起因して充電効率が低下することを抑制することができる。
【0070】
(11)非接触給電装置1においてポット型磁性体110は、1次コイル61の外周を取り囲む円柱状の外周部112と、同コイル61の円形空間61Cに配置される膨出部113とを含む。この構成によれば、磁束密度の高い1次コイル61の中心側に膨出部113が設けられているため、1次コイル61から2次コイル71への磁束の伝送効率を高めることができる。
【0071】
(12)磁路を形成する磁性体の形状が円柱形状とは異なるもの、すなわち四角柱形状の磁性体のようにエッジを有する場合、エッジの部分に磁束が集中するため、1次側送電装置60から2次側受電装置70への磁束の伝送効率が低下するおそれがある。
【0072】
この点、非接触給電装置1においては、膨出部113の孔114として円柱形状のものが設けられている。これにより、磁束が一部分に集中することを抑制することができる。すなわち、1次側送電装置60から2次側受電装置70への磁束の伝送効率の低下を抑制することができる。
【0073】
(13)非接触給電装置1においては、1次コイル61の円形空間61Cにポット型磁性体110の膨出部113が設けられているとともに、サーミスタ63として筐体頂壁62の温度を検出するものが孔114に設けられている。この構成によれば、温度を検出するためのセンサとしてサーミスタ63が設けられているため、コストの増大を抑制することができる。
【0074】
(第2実施形態)
図6および図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態の非接触給電装置1は、第1実施形態の非接触給電装置1の一部を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態の非接触給電装置1においては、第1実施形態のポット型磁性体110に代えて、EER型磁性体130が設けられている。また平板型磁性体120に代えて、EER型磁性体130が設けられている。
【0075】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0076】
図6を参照して、電力伝送部50の詳細な構成について説明する。
1次側送電装置60は、直流電源E1(図5参照)からの電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次コイル61と、1次コイル61に発生した磁束の磁路を形成する第1磁性体としてのEER型磁性体130とを含む。また、充電装置筐体21の頂壁としての筐体頂壁62と、筐体頂壁62の温度を検出するサーミスタ63とを含む。
【0077】
2次側受電装置70は、1次コイル61の交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次コイル71と、2次コイル71に発生した磁束の磁路を形成する第2磁性体としてのEER型磁性体130と、歯ブラシ筐体14の底壁としての筐体底壁72とを含む。
【0078】
図7を参照して、EER型磁性体130の構造について説明する。
EER型磁性体130は、矩形状の底壁部131と、底壁部131の長手方向の両端部に設けられた矩形状の一対の外壁部132と、底壁部131の中心部分に設けられた円柱形状の膨出部133とを含む。各外壁部132の膨出部133側の面は、曲面として形成されている。
【0079】
膨出部133の径方向の中央部分には、膨出部133の長手方向において底壁部131および膨出部133を貫通する孔134が設けられている。膨出部133および孔134は、1次コイル61および2次コイル71の配列方向に沿うように設けられている。孔134の先端部分にはサーミスタ63が設けられている。
【0080】
各外壁部132は、1次コイル61の径方向外側に発生した磁束を束ねるための部位として設けられている。膨出部133は、1次コイル61の径方向中心側に発生した磁束を束ねるための部位として設けられている。
【0081】
2次側受電装置70のEER型磁性体130としては、膨出部の構造が異なる点を除いて1次側送電装置60のEER型磁性体130と実質的に同じ構造が採用されている。すなわち、2次側受電装置70のEER型磁性体130には、孔が形成されていない中実構造の膨出部135が設けられている。
【0082】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわちセンサに対する磁束の影響を小さくすることができる旨の効果、および(2)〜(9)および(11)〜(13)の効果に準じた効果に加えて、以下の(14)の効果が得られる。
【0083】
(14)非接触給電装置1においてEER型磁性体130は、1次コイル61の外周に位置する矩形状の外壁部132と、同コイル61の円形空間61Cに配置される膨出部133とを含む。この構成によれば、磁束密度の高い1次コイル61の中心側に膨出部133が設けられているため、1次コイル61から2次コイル71への磁束の伝送効率を高めることができる。
【0084】
(第3実施形態)
図8および図9を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態の非接触給電装置1は、第1実施形態の非接触給電装置1の一部を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態の非接触給電装置1においては、第1実施形態のポット型磁性体110に代えて、EE型磁性体140が設けられている。また平板型磁性体120に代えて、EE型磁性体140が設けられている。
【0085】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0086】
図8を参照して、電力伝送部50の詳細な構成について説明する。
1次側送電装置60は、直流電源E1(図5参照)からの電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次コイル61と、1次コイル61に発生した磁束の磁路を形成する第1磁性体としてのEE型磁性体140とを含む。また、充電装置筐体21の頂壁としての筐体頂壁62と、筐体頂壁62の温度を検出するサーミスタ63とを含む。
【0087】
2次側受電装置70は、1次コイル61の交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次コイル71と、2次コイル71に発生した磁束の磁路を形成する第2磁性体としてのEE型磁性体140と、歯ブラシ筐体14の底壁としての筐体底壁72とを含む。
【0088】
図9を参照して、EE型磁性体140の構造について説明する。
EE型磁性体140は、矩形状の底壁部141と、底壁部141の長手方向の両端部に設けられた矩形形状の一対の外壁部142と、底壁部141の中心部分に設けられた矩形状の膨出部143とを含む。
【0089】
膨出部143の径方向の中央部分には、膨出部143の長手方向において底壁部141および膨出部143を貫通する孔144が設けられている。膨出部143および孔144は、1次コイル61および2次コイル71の配列方向に沿うように設けられている。孔144の先端部分にはサーミスタ63が設けられている。
【0090】
各外壁部142は、1次コイル61の径方向外側に発生した磁束を束ねるための部位として設けられている。膨出部143は、1次コイル61の径方向中心側に発生した磁束を束ねるための部位として設けられている。
【0091】
2次側受電装置70のEE型磁性体140としては、膨出部の構造が異なる点を除いて1次側送電装置60のEE型磁性体140と実質的に同じ構造が採用されている。すなわち、2次側受電装置70のEE型磁性体140には、孔が形成されていない中実構造の膨出部145が設けられている。
【0092】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわちセンサに対する磁束の影響を小さくすることができる旨の効果、および(2)〜(6)および(11)および(13)の効果に準じた効果に加えて、以下の(15)の効果が得られる。
【0093】
(15)非接触給電装置1においてEE型磁性体140は、1次コイル61の外周に位置する矩形状の外壁部142と、同コイル61の円形空間61Cに配置される膨出部143とを含む。この構成によれば、磁束密度の高い1次コイル61の中心側に膨出部143が設けられているため、1次コイル61から2次コイル71への磁束の伝送効率を高めることができる。
(第4実施形態)
図10および図11を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
【0094】
本実施形態の非接触給電装置1は、第1実施形態の非接触給電装置1の一部を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態の非接触給電装置1においては、第1実施形態のポット型磁性体110に代えて、EI型磁性体150が設けられている。また平板型磁性体120に代えて、EI型磁性体150が設けられている。
【0095】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0096】
図10を参照して、電力伝送部50の詳細な構成について説明する。
1次側送電装置60は、直流電源E1(図5参照)からの電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次コイル61と、1次コイル61に発生した磁束の磁路を形成する第1磁性体としてのEI型磁性体150とを含む。また、充電装置筐体21の頂壁としての筐体頂壁62と、筐体頂壁62の温度を検出するサーミスタ63とを含む。
【0097】
2次側受電装置70は、1次コイル61の交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次コイル71と、2次コイル71に発生した磁束の磁路を形成する第2磁性体としてのEI型磁性体150と、歯ブラシ筐体14の底壁としての筐体底壁72とを含む。
【0098】
図11を参照して、EI型磁性体150の構造について説明する。
EI型磁性体150は、矩形状の底壁部151と、底壁部151の長手方向の両端部に設けられた矩形形状の一対の外壁部152と、底壁部151の中心部分に設けられた矩形状の膨出部153とを含む。なお、EI型磁性体150の構造は、膨出部高さHAをEE型磁性体140よりも大きくしたものに相当し、その他の点については実質的にEE型磁性体140と同じものが採用されている。
【0099】
膨出部153の径方向の中央部分には、膨出部153の長手方向において底壁部151および膨出部153を貫通する孔154が設けられている。膨出部153および孔154は、1次コイル61および2次コイル71の配列方向に沿うように設けられている。孔154の先端部分にはサーミスタ63が設けられている。
【0100】
各外壁部152は、1次コイル61の径方向外側に発生した磁束を束ねるための部位として設けられている。膨出部153は、1次コイル61の径方向中心側に発生した磁束を束ねるための部位として設けられている。
【0101】
2次側受電装置70のEI型磁性体150としては、膨出部の構造が異なる点を除いて1次側送電装置60のEI型磁性体150と実質的に同じ構造が採用されている。すなわち、2次側受電装置70のEI型磁性体150には、孔が形成されていない中実構造の膨出部155が設けられている。
【0102】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわちセンサに対する磁束の影響を小さくすることができる旨の効果、および(2)〜(6)および(11)および(13)の効果に準じた効果が得られる。
【0103】
(16)非接触給電装置1においてEI型磁性体150は、1次コイル61の外周に位置する矩形状の外壁部152と、同コイル61の円形空間61Cに配置される膨出部153とを含む。この構成によれば、磁束密度の高い1次コイル61の中心側に膨出部153が設けられているため、1次コイル61から2次コイル71への磁束の伝送効率を高めることができる。
【0104】
(第5実施形態)
図12を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態の非接触給電装置1は、第1実施形態の非接触給電装置1の一部を次のように変更したものとして構成されている。
【0105】
第1実施形態の非接触給電装置1は、サーミスタ63により検出される筐体頂壁62の温度(推定温度T)と基準温度TXとの比較の結果に基づいて、1次コイルL1への電力の供給態様を制御している。
【0106】
これに対して本実施形態の非接触給電装置1は、サーミスタ63により検出される筐体頂壁62の温度と、サーミスタ64により検出される1次側送電装置60の回路基板の温度との比較の結果に基づいて、1次コイルL1への電力の供給態様を制御している。
【0107】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0108】
図12に示されるように、1次側送電装置60には回路基板の温度を検出するための素子として、サーミスタ64および固定抵抗R6が設けられている。制御回路33には、サーミスタ63に印加される電圧(以下、「第1電圧VS1」)およびサーミスタ64に印加される電圧(以下、「第2電圧VS2」)がそれぞれ入力される。
【0109】
制御回路33は、第1電圧VS1に基づいてサーミスタ63の温度としての推定温度Tを算出する。また、第2電圧VS2に基づいてサーミスタ64の温度(以下、「基板推定温度TB」)を算出する。そして、推定温度Tと基板推定温度TBとの差が基準温度差TZ以上の旨判定したとき、1次コイルL1への電力の供給を中断する。すなわち、ゲート電圧に基づく各スイッチング素子F1〜F4のオンおよびオフの切り替えを中断する。これにより、1次コイルL1に交番電力が誘起されなくなるため、2次電池15の充電が中断される。一方、推定温度Tと基板推定温度TBとの差が基準温度差TZ未満の旨判定したとき、1次コイルL1への電力の供給を継続する。
【0110】
通常状態のとき、第1電圧VS1および第2電圧VS2は、それぞれ雰囲気温度の変化等に応じて同様の変化傾向を示す。すなわち、通常状態においては第1電圧VS1と第2電圧VS2との差が略一定の大きさに維持される。
【0111】
異常状態のとき、第1電圧VS1が筐体頂壁62の温度上昇に応じて変化する。一方、筐体頂壁62から離れた部位にサーミスタ64が設けられているため、筐体頂壁62の温度上昇に対する第2電圧VS2の変化傾向は、筐体頂壁62の温度上昇に対する第1電圧VS1の変化傾向とは異なるものとなる。基本的には、筐体頂壁62の温度上昇に応じて第1電圧VS1が増大する一方で第2電圧VS2が実質的に変化しない傾向となる。
【0112】
このため、非接触給電装置1の状態が異常状態および通常状態のいずれにあるかについては、第1電圧VS1と第2電圧VS2との差、すなわち推定温度Tと基板推定温度TBとの差に基づいて判定することができる。そこで制御回路33は、上記のとおり推定温度Tと基板推定温度TBとの差に基づいて1次コイルL1への電力の供給態様を制御している。
【0113】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわちセンサに対する磁束の影響を小さくすることができる旨の効果、および(2)〜(13)の効果に準じた効果が得られる。
【0114】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態に例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0115】
・上記第1実施形態では、2次側厚さHDを膨出部高さHAおよび底壁部厚さHBよりも小さくしたが、2次側厚さHDを膨出部高さHAおよび底壁部厚さHBの少なくとも一方よりも大きくすることもできる。この場合にも、1次側厚さHCが2次側厚さHDよりも大きいときには、第1実施形態の(7)の効果が得られる。
【0116】
・上記第1実施形態では、2次側厚さHDを1次側厚さHCよりも小さくしたが、2次側厚さHDを1次側厚さHCよりも大きくすることもできる。この場合、第1実施形態の(7)の効果が得られない点を除いては、同実施形態の効果と同様の効果が得られる。
【0117】
・上記第1実施形態では、膨出部113に円形状の孔114を設けているが、孔114の形状は円形に限られない。例えば、円形状の孔に代えて矩形状の孔を形成することもできる。
【0118】
・上記第1実施形態において、平板型磁性体120の膨出部対応部121に1次側送電装置60に向けて突出する膨出部を設けることもできる。
・上記第1実施形態では、制御回路33において筐体頂壁62の温度としての推定温度Tを算出し、推定温度Tと基準温度TXとの比較の結果に基づいて1次コイルL1への電力の供給態様を制御しているが、これを次のように変更することもできる。
【0119】
すなわち制御回路33は、サーミスタ63に印加される電圧が基準電圧以上のとき、すなわち異常状態の旨推定されるとき、1次コイルL1への電力の供給を中断する。一方、サーミスタ63に印加される電圧が基準電圧未満のとき、すなわち通常状態の旨推定されるとき、1次コイルL1への電力の供給を継続する。
【0120】
・上記第5実施形態では、制御回路33において筐体頂壁62および回路基板の温度を算出し、これらの比較の結果に基づいて1次コイルL1への電力の供給態様を制御しているが、これを次のように変更することもできる。
【0121】
すなわち、制御回路33とは別に設けられたコンパレータに対して、第1電圧VS1および第2電圧VS2を入力する。コンパレータは、第1電圧VS1と第2電圧VS2との差が判定値以上のとき、制御回路33に対して異常時出力電圧VCを出力する。一方、第1電圧VS1と第2電圧VS2との差が判定値未満のとき、制御回路33に対して異常時出力電圧VCよりも大きい通常時出力電圧VDを出力する。
【0122】
制御回路33は、コンパレータの出力電圧が異常時出力電圧VCのとき、すなわち異常状態の旨推定されるとき、1次コイルL1への電力の供給を中断する。一方、コンパレータの出力電圧が通常時出力電圧VDのとき、すなわち通常状態の旨推定されるとき、1次コイルL1への電力の供給を継続する。
【0123】
・上記各実施形態において、1次側送電装置60の第1磁性体の種類を次のように変更することもできる。すなわち、各実施形態の第1磁性体に代えて、ポット型磁性体110、EER型磁性体130、EE型磁性体140、EI型磁性体150、EF磁性体およびETD磁性体のいずれかを用いることもできる。EF磁性体またはETD磁性体を用いる場合には、各実施形態の第1磁性体と同様に膨出部にセンサを配置するための孔が設けられる。
【0124】
上記に例示した各磁性体は第1磁性体として採用することのできる磁性体の一例であり、さらに別の形状の磁性体を第1磁性体として設けることもできる。要するに、膨出部を有する磁性体であり、かつセンサを配置するための孔が膨出部に形成されている磁性体であれば、第1磁性体としての形状は適宜変更することができる。
【0125】
・上記各実施形態において、2次側受電装置70の第2磁性体の種類を次のように変更することもできる。すなわち、各実施形態の第2磁性体に代えて、ポット型磁性体110、平板型磁性体120、EER型磁性体130、EE型磁性体140、EI型磁性体150、EF磁性体およびETD磁性体のいずれかを用いることもできる。また、ポット型磁性体110、EER型磁性体130、EE型磁性体140およびEI型磁性体150について、膨出部の孔を省略したものを用いることもできる。また、EF磁性体またはETD磁性体を用いる場合には、第1磁性体と同様に膨出部に孔を設けることもできる。
【0126】
上記に例示した各磁性体は第2磁性体として採用することのできる磁性体の一例であり、さらに別の形状の磁性体を第2磁性体として設けることもできる。要するに、1次側送電装置60および2次側受電装置70のうちの前者にのみセンサを設ける構成においては、第2磁性体の形状を適宜変更することができる。また、2次側受電装置70にセンサを設ける構成においては、膨出部を有する磁性体であり、かつセンサを配置するための孔が膨出部に形成されている磁性体であれば、第2磁性体としての形状は適宜変更することができる。
【0127】
・上記第2〜第4実施形態では、膨出部に孔が形成されていない点を除いては同じ形状の磁性体を1次側送電装置60および2次側受電装置70のそれぞれに設けたが、孔の有無以外についても互いに形状の異なる磁性体を各装置に設けることもできる。第2〜第4実施形態において2次側受電装置70に平板型磁性体120を設ける場合、1次側厚さHCを2次側厚さHDよりも大きくすることにより、第1実施形態の(7)の効果に準じた効果が得られる。
【0128】
・上記各実施形態では、1次側送電装置60にサーミスタ63を設けたが、これに代えてまたは加えて、2次側受電装置70にサーミスタ63を設けることもできる。この場合、2次側受電装置70の磁性体としては膨出部を有するもの、例えばポット型磁性体110、EER型磁性体130、EE型磁性体140およびEI型磁性体150いずれかを用いることが好ましい。また、膨出部の孔にサーミスタを設けることにより、2次側受電装置70に設けたサーミスタについて上記各実施形態の効果に準じた効果が得られる。
【0129】
・上記各実施形態では、状態の変化を検出するセンサとしてサーミスタ63を備える非接触給電装置1の構成について例示したが、サーミスタ63に代えてまたは加えて別のセンサを備えることもできる。その場合の一例を以下の(A)および(B)に示す。
【0130】
(A)磁束を検出するホール素子を1次側送電装置60に設ける。また、2次側受電装置70においてホール素子と対応する位置に磁石を設ける。この構成によれば、ホール素子の出力電圧が磁石の磁束に応じて変化するため、電動歯ブラシ10が充電装置20に載せられたことをホール素子の出力電圧に基づいて検出することができる。そこで、制御回路33により次の制御を行うことにより、電動歯ブラシ10の充電の開始および終了のタイミングを適切に制御することができる。
【0131】
制御回路33は、ホール素子の出力電圧が判定値よりも大きい旨判定したとき、すなわち電動歯ブラシ10が充電装置20に載せられていると予測されるとき、電力伝送部50による2次電池15の充電を開始する。一方、ホール素子の出力電圧が判定値以下の旨判定したとき、すなわち充電装置20上に電動歯ブラシ10がないと予測されるとき、電力伝送部50による2次電池15の充電を終了する。
【0132】
(B)受光素子としての1次側フォトダイオードを1次側送電装置60に設ける。また、発光素子としての2次側フォトダイオードを2次側受電装置70に設ける。この構成によれば、1次側フォトダイオードの出力電圧が2次側フォトダイオードからの光の受光量に応じて変化するため、電動歯ブラシ10が充電装置20に載せられているか否かを1次側フォトダイオードの出力電圧に基づいて検出することができる。そこで、制御回路33により次の制御を行うことにより、電動歯ブラシ10の充電の開始および終了のタイミングを適切に制御することができる。
【0133】
制御回路33は、1次側フォトダイオードの出力電圧が判定値よりも大きい旨判定したとき、すなわち電動歯ブラシ10が充電装置20に載せられていると予測されるとき、電力伝送部50による2次電池15の充電を開始する。一方、1次側フォトダイオードの出力電圧が判定値以下の旨判定したとき、すなわち充電装置20上に電動歯ブラシ10がないと予測されるとき、電力伝送部50による2次電池15の充電を終了する。
【0134】
・上記各実施形態では、フルブリッジ回路31としてスイッチング素子F1〜F4を含むものを採用したが、フルブリッジ回路31の構成はこれに限られるものではない。要するに、共振回路32の1次コイルL1に交番電力を誘起することができるものであれば、例えばスイッチング素子F1〜F4を省略した形態のフルブリッジ回路を採用することもできる。
【0135】
・上記各実施形態では、共振回路32としてスイッチング素子F1〜F4を含むフルブリッジ回路31の中間点に1次コイルL1を含むものを用いたが、交番電力を生成することのできるものであれば各実施形態の共振回路32に代えて採用することもできる。
【0136】
・上記各実施形態では、スイッチング素子F1〜F4として電界効果トランジスタを用いたが、交番電力を生成するスイッチング素子であれば電界効果トランジスタに限らず他の素子を用いることができる。
【0137】
・上記各実施形態では、電動歯ブラシ10および充電装置20を含む非接触給電装置1として本発明を具体化した例を示したが、他の電動装置およびその充電装置を含む非接触給電装置として本発明を具体化することもできる。その他の電動装置としては、例えば携帯電話、コードレス電話機、電気かみそり、腕時計およびノートパソコンが挙げられる。
【符号の説明】
【0138】
1…非接触給電装置、60…1次側送電装置、61…1次コイル、63…サーミスタ(センサ)、70…2次側受電装置、71…2次コイル、110…ポット型磁性体(第1磁性体)、113…膨出部、114…孔、120…平板型磁性体(第2磁性体)、130…EER型磁性体(第1磁性体)、133…膨出部、134…孔、140…EE型磁性体(第1磁性体)、143…膨出部、144…孔、150…EI型磁性体(第1磁性体)、153…膨出部、154…孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給を受けて交番磁束を発生する1次コイルを含む1次側送電装置と、前記1次コイルの交番磁束を受けて誘導電流を発生する2次コイルを含む2次側受電装置と、状態の変化を検出するためのセンサとを含む非接触給電装置において、
前記1次コイルに対応して前記1次側送電装置に設けられる第1磁性体と、前記2次コイルに対応して前記2次側受電装置に設けられる第2磁性体とをさらに含むこと、
前記第1磁性体および前記第2磁性体の少なくとも一方には、前記1次コイルおよび前記2次コイルの配列方向に延びる孔を有する膨出部が設けられていること、
前記センサが前記孔に設けられていること
を特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記1次コイルの中心部分の空間に前記第1磁性体の膨出部が設けられていること、
前記センサがこの膨出部の孔に設けられていること
を特徴とする非接触給電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の非接触給電装置において、
前記第1磁性体において前記膨出部が設けられている部分の厚さを1次側厚さとし、前記第2磁性体において前記第1磁性体の膨出部に対応する部分の厚さを2次側厚さとしたとき、この2次側厚さが前記1次側厚さよりも小さいこと
を特徴とする非接触給電装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の非接触給電装置において、
前記第1磁性体の膨出部として円筒形状のものが設けられていること、
この膨出部の径方向の中央部分に前記孔が設けられていること
を特徴とする非接触給電装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の非接触給電装置において、
前記1次コイルおよび前記2次コイルとして円形状のものが設けられていること
を特徴とする非接触給電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の非接触給電装置において、
前記第1磁性体および前記第2磁性体の少なくとも一方としてポット型磁性体が設けられていること、
このポット型磁性体は、対応するコイルの外周を取り囲む円柱状の外周部と、同コイルの中心部分の空間に配置される前記膨出部と、同コイルに対して他方のコイルとは反対側に設けられて前記外周部と前記膨出部とを互いに接続する底壁部とを含むものであること
を特徴とする非接触給電装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の非接触給電装置において、
前記孔として円柱形状のものが形成されていること
を特徴とする非接触給電装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の非接触給電装置において、
前記1次コイルの中心部分の空間に前記第1磁性体の膨出部が設けられていること、
前記センサとして前記1次側送電装置の温度を検出するものが前記膨出部の孔に設けられていること
を特徴とする非接触給電装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の非接触給電装置において、
前記1次コイルの中心部分の空間に前記第1磁性体の膨出部が設けられていること、
前記センサとして前記2次側受電装置の状態の変化を検出するものが前記膨出部の孔に設けられていること
を特徴とする非接触給電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate