説明

非硬化型コーティング用組成物

【課題】官能基を有する変性シリコーンを使用して、且つ、基材表面への粘着性汚染物質の付着を効果的に防止又は低減することのできる非硬化型コーティング用組成物を提供すること
【解決手段】側鎖にカルボキシ基を有するカルボキシ変性シリコーンと、側鎖にエポキシ基及びオキシアルキレン基を有するエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンとを1:2〜1:30の重量比で含むことを特徴とする非硬化型コーティング用組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材表面への各種粘着物質の付着を回避するために使用される非硬化型コーティング用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、粘着剤、アスファルト、タール、プラスチック、ラバー等の粘着性物質の成形・加工時に、当該粘着性物質又は汚染物質の各種基材への付着を防止するために各種のコーティング剤が使用されている。
【0003】
例えば、冷凍食品の包装材;フライパン、パン焼き器等の食品調理用具の表面処理剤;プラスチック、ラバーを成形するための金型用離型剤;アスファルト、タール等を冷却固化させる際の板紙容器の内面処理剤;粘着テープ、圧着テープ、ワッペン等の粘着剤が塗布された基材同士の接着を防止する剥離剤として、様々なコーティング剤が使用されている。また、古紙をリサイクルして再生紙を製造する際、古紙に含まれているピッチ、タール、インキ等の各種の粘着性成分が抄紙機のプレスロール、ドライヤーロール、カンバス等に付着するのを防ぐためにもコーティング剤が使用されている。
【0004】
このようなコーティング剤には、基材に塗布後、硬化させて非付着性層を形成する硬化型と、液状のまま基材に塗布して非付着性層を形成し、硬化させることなくそのまま使用する非硬化型がある。上記の表面処理剤、内面処理剤、剥離剤は硬化型であり、一方、再生紙の製造工程で使用されるコーティング剤は非硬化型に属する。なお、上記の金型用離型剤としては硬化型及び非硬化型の両方が知られている。
【0005】
非硬化型のコーティング剤としては、例えば、以下のものが知られている。
【0006】
特開平4−130190号公報は、油性物質及び界面活性剤からなる抄紙用ドライヤー表面清浄潤滑剤を開示しており、油性物質としてポリブテン、マシン油、流動パラフィン等が挙げられている。しかし、これらの油性物質からなる非付着性層を形成するためには、多量の油性物質を必要とするため、経済的な問題を含んでいる。そこで、特開平7−292382号公報では、できるだけ油性物質量を低減しつつも十分な非付着性層を得るために、ポリジメチルシロキサンからなるシリコーンオイルが使用されている。
【0007】
ポリジメチルシロキサンからなるシリコーンオイルは、そのシロキサン主鎖の酸素原子が基材表面に、また、ケイ素結合メチル基が外側に配向するために、シリコーンオイルを抄紙機のプレスロール、ドライヤーロール、カンバス等の基材に塗布すると、当該シリコーンオイルからなる非付着性層はより強固に基材表面を被覆することになるが、実際にはそのような状態に至る前に、シリコーンオイルが抄紙工程中の紙体の方へ転移してしまい、前記基材表面に古紙中の粘着性成分が付着することがある。
【0008】
そこで、ポリジメチルシロキサンからなるシリコーンオイルに代えて、官能基を有するシリコーンオイルを使用することが提案されている。例えば、特開2000−96476号公報では、抄紙機におけるカンバスに各種のシリコーンオイルを適用することが提案されており、このシリコーンオイルとして、メチルフェニルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイルの他に、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーンオイルが例示されている。また、特開2003−213587号(特許第3388450号)公報では、抄紙工程のドライヤーロール、カンバス表面にエポキシ変性シリコーンオイル又はアミノ変性シリコーンオイルの水中油型(O/W型)エマルジョンをスプレー噴霧し、非付着性層を形成させることにより、ドライヤーロール、カンバス表面の汚れ付着防止を図る方法が提案されている。
【特許文献1】特開平4−130190号公報
【特許文献2】特開平7−292382号公報
【特許文献3】特開2000−96476号公報
【特許文献4】特開2003−213587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
たしかに、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基等の反応性に富む官能基を有する変性シリコーンオイルを抄紙機のプレスロール、ドライヤーロール、カンバス等の基材のコーティング剤として使用した場合、当該変性シリコーンオイルは、当該基材の表面への密着性が高いため、ポリジメチルシロキサンからなるシリコーンオイルよりも有用である。しかし、これらの官能基を有する変性シリコーンを使用しても、前記基材表面へのピッチ等の粘着成分の付着を直ちに十分に回避できるものではない。
【0010】
本発明は、官能基を有する変性シリコーンを使用して、且つ、基材表面への粘着物質の付着を効果的に防止又は低減することのできる非硬化型コーティング用組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、下記一般式(1):
【化1】

(式中、
Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基を表し;
Aは、カルボキシ含有基を表し;
mは0〜1000の整数を表し;
nは2〜100の整数を表す)
で表されるカルボキシ変性シリコーン、及び、
下記一般式(2):
【化2】

(式中、
Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基を表し;
Xは、エポキシ含有基を表し;
Yは、オキシエチレン含有基を表し;
pは、0又は1を表し;
qは、0又は1を表し;
xは、0〜500の整数を表し;
yは、1〜100の整数を表し;
zは、1〜300の整数を表す)
で表されるエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーン
を1:2〜1:30の重量比で含むことを特徴とする非硬化型コーティング用組成物によって達成される。
【0012】
前記カルボキシ含有基は、式:−(CH−COOZ(Zは、H、アルカリ金属又はアンモニウムを表し;lは0〜12の整数を表す)で表されることが好ましい。
【0013】
前記エポキシ含有基は、グリシドキシアルキル基、エポキシシクロアルキルアルキル基、又は、オキシラニルアルキル基であることが好ましい。
【0014】
前記オキシエチレン含有基は、式:−(CH−(OC−(OC−B(Bは、H、OH、OR、COOH又はCOOR(Rは前記のとおり)を表し、rは0〜4の整数を表し、sは1〜200の整数を表し、tは0〜200未満の整数を表し、0≦t<sである)で表されることが好ましい。
【0015】
前記重量比は、1:3〜1:20の範囲が好ましい。
【0016】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、水中油型又は油中水型のエマルジョン形態にあることが好ましい。
【0017】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、非付着性層形成用コーティング剤又は抄紙機用汚染防止剤として使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、基材表面に非付着性層を形成して、当該表面への粘着物質の付着を効果的に防止又は低減することができる。本発明の効果は、特に、カルボキシ変性シリコーンが有する基材表面への高い密着性による非付着性層形成作用と、エポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンが有する粘着物質の付着防止作用のバランスによってもたらされると考えられる。
【0019】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、非硬化性のコーティング剤として各種の基材に使用することができる。特に、抄紙機のプレスロール、ドライヤーロール、カンバス等の表面に塗布して、当該表面へのピッチ、タール、インキ等の粘着性汚染物質の付着を効果的に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、熱、水分により硬化する性質を有するものではなく、逆に硬化させる必要もなく、そのままコーティングされて本発明の効果を発揮できる組成物であって、且つ、側鎖にカルボキシ基を有するカルボキシ変性シリコーンと、側鎖にエポキシ基及びオキシアルキレン基を有するエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンとを特定の割合で含むものである。
【0021】
前記カルボキシ変性シリコーンは、下記一般式(1):
【化3】

(式中、
Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基を表し;
Aは、カルボキシ含有基を表し;
mは0〜1000の整数、好ましくはm+nが2〜1000、より好ましくは300〜1000、特に好ましくは380〜500の範囲に入るように選択された整数を表し;
nは2〜100の整数、好ましくは2〜20の整数を表す)
で表される。
【0022】
1−6アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基が挙げられる。特に、メチル基が好ましい。
【0023】
前記カルボキシ含有基は、式:−(CH−COOZ(Zは、H、アルカリ金属又はアンモニウムを表し;lは0〜12の整数、好ましくは0又は3〜11の整数を表す)で表されるものが好ましい。前記アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。組成物の安定性等の点ではXはアルカリ金属又はアンモニウムであることが好ましい。
【0024】
カルボキシ変性シリコーンには、ポリシロキサン主鎖の少なくとも側鎖にカルボキシ基を有するタイプ(側鎖型)の他に、両末端のみにカルボキシ基を有するタイプ(両末端型)があるが、本発明では側鎖型を使用する。両末端型はカルボキシ基が一分子中に2つしか存在しないため、基材表面への密着性を確保することが困難であり、側鎖型よりも使用量が増えてしまい、基材表面への密着性をコントロールし難いものとなる。一方、側鎖型はカルボキシ基が比較的多く存在するために、その使用量から、密着性を比較的コントロールしやすい。
【0025】
前記カルボキシ変性シリコーンとしては、例えば、(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]m[CH3{HOOC(CH2)2〜10}SiO]Si(CH3)3(mとnは上記のとおり。ただし、m+nは380〜500の範囲内)を使用することができる。
【0026】
前記エポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンは、下記一般式(2):
【化4】

(式中、
Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基を表し;
Xは、エポキシ含有基を表し;
Yは、オキシエチレン含有基を表し;
pは、0又は1を表し;
qは、0又は1を表し;
xは、0〜500の整数、好ましくは0〜120の整数、より好ましくは3〜50の整数を表し;
yは、1〜100の整数、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは1〜5の整数を表し;
zは、1〜300の整数、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは1〜5の整数を表す)
で表される。
【0027】
前記エポキシ含有基は、ポリシロキサン主鎖の側鎖には必ず存在するが、末端には必ずしも存在しなくともよい。前記エポキシ含有基がポリシロキサン主鎖の末端のみに存在することはない。エポキシ含有基は、特に限定されるものではないが、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロアルキルアルキル基;オキシラニルメチル基、2−オキシラニルエチル基、4−オキシラニルブチル基、8−オキシラニルオクチル基等のオキシラニルアルキル基が好ましく、グリシドキシアルキル基、エポキシシクロアルキルアルキル基がより好ましく、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が特に好ましい。
【0028】
前記オキシエチレン含有基は、式:−(CH−(OC−(OC−B(Bは、H、OH、OR、COOH又はCOOR(Rは前記のとおり)を表し、rは0〜4の整数、好ましくは2〜4の整数を表し、sは1〜200の整数、好ましくは5〜100の整数、より好ましくは10〜50の整数を表し、tは0〜200未満の整数、好ましくは0〜100未満の整数、より好ましくは0〜10未満の整数を表し、0≦t<sである)で表されるものが好ましい。この式の定義からも明らかなように、オキシエチレン含有基は、オキシプロピレン基を含んでもよいが、オキシプロピレン基が存在する場合は、オキシエチレン基/オキシプロピレン基の比は1を超えることが好ましく、また、オキシプロピレン基が存在しないことがより好ましい。したがって、上記式においては、t=0が特に好ましい。
【0029】
前記エポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンとしては、例えば、 (CH3)3SiO((CH3)2SiO)3〜503((CH3)X’SiO)1〜5((CH3)Y’SiO)1〜5Si(CH3)3 式中、X’=γ−グリシドキシプロピル基を表し、Y’= -(CH2)3-(OCH2CH2)10〜50-OHを表す)を使用することができる。
【0030】
一般式(2)で表されるエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンオイルに代えて、エポキシ変性シリコーンオイルとオキシアルキレン変性シリコーンオイルとの混合物を使用することも考えられる。しかしながら、本発明の非硬化型コーティング用組成物を抄紙機で使用する場合は、オキシアルキレン基が有する湿紙への親和性とエポキシ基が有する紙、ピッチ等の粘着汚染物質成分に対する付着防止性を併せ持つエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンオイルを使用する方が、実際の工程において抄紙直後のピッチ等の粘着成分を含む濡れた紙表面のプレスロール等への付着防止性を考慮すると、好都合である。
【0031】
また、本発明の非硬化型コーティング用組成物を抄紙機で使用する場合、一般式(2)で表されるエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンのオキシアルキレン部位がポリオキシエチレン基で構成されている方が、抄紙機のプレスロール、ドライヤーロール、カンバスの表面への非付着性の点で好ましい。
【0032】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、一般式(1)のカルボキシ変性シリコーンと一般式(2)のエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンとを公知の方法により混合して製造することができる。混合割合は、一般式(1)のカルボキシ変性シリコーン:一般式(2)のエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンの重量比で、1:2〜1:30の範囲であるが、1:3〜1:20の範囲がより好ましい。
【0033】
本発明の非硬化型コーティング用組成物では、一般式(1)のカルボキシ変性シリコーンと一般式(2)のエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンを併用することにより、それぞれが有する、基材表面への密着性による非付着性層の形成能及びピッチ等の粘着性汚染物質成分への付着防止能による、離型効果を発現することができる。
【0034】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、有機溶剤に溶解して使用してもよいが、環境への負荷を軽減するために、水中油型又は油中水型のエマルジョン形態とすることが好ましい。この場合、一般式(1)のカルボキシ変性シリコーンと一般式(2)のエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンとの混合物に水及び乳化剤を加えて乳化してもよいが、一般式(1)のカルボキシ変性シリコーン及び一般式(2)のエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーンのそれぞれに水及び乳化剤を加えて予め乳化した後に、両者を混合して、エマルジョン形態の非硬化型コーティング用組成物とすることもできる。このときの乳化方法は、通常行われている手段・設備にて行われることができる。
【0035】
前記エマルジョンの調製用の乳化剤としては、シリコーンエマルジョンの調製に使用される任意の乳化剤が使用可能であり、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性のいずれの乳化剤をも使用することができる。乳化剤は単独で使用されてもよく2種類以上のものを併用してもよい。
【0036】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、飽和若しくは不飽和高級脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸ナトリウム等)、長鎖アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸等)及びその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、長鎖アルカンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、長鎖アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルアルキルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が挙げられる。上記の塩として、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、アンモニウム塩が挙げられるが、ナトリウム塩が好ましい。
【0037】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0038】
両性界面活性剤としては、イミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0039】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド類、ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類等が挙げられる。
【0040】
本発明の非硬化型コーティング用組成物には、その目的を害さない範囲で、任意の添加剤を配合してもよい。前記添加剤としては、例えば、粘度調節剤、pH調整剤、消泡剤等が挙げられる。添加剤の種類・配合量は、本発明の非硬化型コーティング用組成物の用途に応じて、適宜調整することができる。
【0041】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、各種基材のコーティング剤として使用することができる。本発明のコーティング剤は、基材表面に塗布されることにより、当該基体表面に非付着性層を形成する。これにより、基材表面への各種の物質の付着が防止乃至低減され、当該基体表面の汚染を防止することができる。基材表面へのコーティング剤の塗布量及びコーティング剤中の非硬化型コーティング用組成物の濃度は、基材の種類、大きさ等によって適宜変更することができる。
【0042】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、抄紙機の汚染防止剤として特に好適に使用することができる。
【0043】
図1は、抄紙機の一般的な乾燥工程の一例を示す概略断面図である。一般に、乾燥工程においては、図示しないプレス工程から搬送されてきたウェブ状の湿紙体Wが、加熱されたドライヤーロール1と回転するトップカンバス7との間に供給され、トップカンバス7による圧力でドライヤーロール1の表面に押し付けられて、ドライヤーロール1の熱を吸収する。次に、トップカンバス7の回転により湿紙体Wはドライヤーロール1の表面から離れ、ドライヤーロール2とボトムカンバス8との間に供給される。ここで、湿紙体Wは、ボトムカンバス8による圧力でドライヤーロール2の表面に押しつけられ、ドライヤーロール2の熱を更に吸収する。そして、ボトムカンバス8の回転により湿紙体Wはドライヤーロール2の表面を離れてトップカンバス7とドライヤーロール3との間に供給され、上記の工程が繰り返される。このように、トップカンバス7とボトムカンバス8の回転により湿紙体Wはドライヤーロール1、2、3、4、5、6の表面に順次押しつけられ、各ドライヤーロールの熱を吸収して徐々に乾燥されていく。
【0044】
湿紙体Wには、パルプ原料自体に含まれるピッチ、タールや、古紙原料に含まれていたインキ等の各種の成分が含まれている。これらの成分は、粘着性を有するものが多いので、ドライヤーロール1、2、3、4、5、6、並びに、トップカンバス7及びボトムカンバス8に何らのコーティングを施さずに抄紙を行うと、湿紙体Wがドライヤーロール1、2、3、4、5、6、並びに、トップカンバス7及びボトムカンバス8に圧接する際に、これらの表面に前記成分が付着して当該表面を汚染する。汚染されたドライヤーロール及びカンバスには湿紙体Wが過度に付着し、焼き付き及び断紙が発生するので、ドクターブレード等によるドライヤーロール及びカンバス表面の清掃作業が必要となる。しかし、清掃作業を行うには抄紙機を停止する必要があるので、紙製品の生産効率が著しく低下する。
【0045】
そこで、本発明の非硬化型コーティング用組成物を、ドライヤーロール及び/又はカンバスの表面に塗布することにより、非付着性層を当該表面に形成して、その汚染を効果的に防止乃至低減することができる。具体的には、その塗布量が、本発明の非硬化型コーティング用組成物を20%含有するエマルジョンに調整し、その塗布液換算で0.1〜50cc/分、好ましくは1〜20cc/分となるように非硬化型コーティング用組成物をスプレーすることが好ましい。
【0046】
図1に示す例では、湿紙体Wに接触する前のトップカンバス7及びボトムカンバス8の表面に非硬化型コーティング用組成物をそれぞれスプレーS1及びスプレーS2により塗布する。また、ドライヤーロール1の表面にも、スプレーS3によって非硬化型コーティング用組成物がスプレー塗布される。スプレーS1、S2、S3は固定式でもよく、また、カンバス及びドライヤーロールの幅方向に移動可能とされていてもよい。ドライヤーロール2、3、4、5、6の表面にも非硬化型コーティング用組成物をスプレー塗布することが好ましいが、ドライヤーロール1の表面に塗布すれば、ドライヤーロール1から湿紙体Wに転移した一部の非硬化型コーティング用組成物がドライヤーロール2、3、4、5、6の表面に転移するので、ドライヤーロール1の表面のみにスプレー塗布してもよい。
【0047】
このように、本発明の非硬化型コーティング用組成物をドライヤーロール及びカンバスの表面に塗布することにより、当該表面へのピッチ、タール、インキ等の汚染物質の付着を効果的に防止乃至低減することができるので、当該表面の清掃頻度を少なくして、紙製品の生産性を向上させることができる。
【0048】
なお、図1は抄紙機の乾燥工程のみを示しているが、抄紙機においてプレスローラによって湿紙をプレスしてウェブ状の湿紙体を製造するプレス工程においても、本発明の非硬化型コーティング用組成物を使用することもできる。この場合は、前記プレスローラの表面に本発明の非硬化型コーティング用組成物をスプレー等で塗布することにより、当該プレスローラの表面の汚染を防止することができる。このようにして、本発明の非硬化型コーティング用組成物は抄紙機の汚染防止剤として好適に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の非硬化型コーティング用組成物は、例えば、プラスチック、ラバーを成形するための金型等の各種基材のコーティング剤(例えば、離型剤)として、幅広い分野で使用することができる。特に、本発明の非硬化型コーティング用組成物は、抄紙機で使用されるプレスロール、ドライヤーロール、カンバス等へのピッチ、タール、インキ等の汚染物質の付着を防止又は低減するための抄紙機用汚染防止剤として好適に使用することができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に例証するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例において使用した官能性シリコーン成分は以下のとおりである。
【0051】
カルボキシオイルA(側鎖カルボキシ変性シリコーン):
【化5】

【0052】
カルボキシオイルB(両末端カルボキシ変性シリコーン):
【化6】

【0053】
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンM(側鎖エポキシ・ポリオキシエチレン変性シリコーン):
【化7】

【0054】
X’=γ−グリシドキシプロピル基
Y’= -(CH2)3-(OCH2CH2)12-OH
【0055】
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンN(側鎖エポキシ・ポリオキシプロピレン変性シリコーン):
【化8】

【0056】
X’=γ−グリシドキシプロピル基
Y”= -(CH2)3-(OCH2CH2CH2)12-OH
【0057】
エポキシ変性シリコーン:
【化9】

【0058】
X’=γ−グリシドキシプロピル基
【0059】
ポリエーテル変性シリコーン:
【化10】

【0060】
Y’ ’ ’ = -(CH2)3-(OCH2CH2O)18- (OCH2 CH2CH2)18-OH
【0061】
(実施例1)
プロペラ型撹拌機を取り付けた容器に、カルボキシオイルAとエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMとを1:7(2重量部:14重量部)の混合割合で加えて300rpmで5分間撹拌した。更にノニオン型乳化剤(ポリオキシエチレンアルキレンエーテル)5重量部を配合し、300rpmで5分間撹拌後、水78.94重量部を加えて、更に60分撹拌を継続した。その後、300rpmで撹拌しつつ、pH調整剤(カルボン酸ナトリウム)0.06重量部を配合した。3分後に青白色半透明なエマルジョンを得た。
【0062】
(実施例1')
カルボキシオイルAとエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMとをそれぞれ別々にエマルジョン化してから混合する以外は実施例1と同様にして青白色半透明なエマルジョンを得た。
【0063】
(比較例1)
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMをエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンNに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0064】
(比較例2)
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMをエポキシ変性シリコーンに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0065】
(比較例3)
カルボキシオイルA、エポキシ変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンを1:3.5:3.5の割合で混合した以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0066】
(比較例4)
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMをポリエーテル変性シリコーンに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0067】
(比較例5)
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMをジメチルポリシロキサン(1000cts)に置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0068】
(比較例6)
カルボキシオイルAをカルボキシオイルBに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0069】
(比較例7)
カルボキシオイルAをカルボキシオイルBに置き換え、且つ、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMをエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンNに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0070】
(比較例8)
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMをカルボキシオイルAに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0071】
(比較例9)
カルボキシオイルA及びエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMを全てカルボキシオイルBに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0072】
(比較例10)
カルボキシオイルAをエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0073】
(比較例11)
カルボキシオイルA及びエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMを全てエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンNに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0074】
(比較例12)
カルボキシオイルA及びエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMを全てエポキシ変性シリコーンに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0075】
(比較例13)
カルボキシオイルA及びエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMを全てポリエーテル変性シリコーンに置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0076】
(比較例14)
カルボキシオイルA及びエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMを全てポリジメチルシロキサン(1000cts)に置き換えた以外は実施例1を繰り返して、乳白色のエマルジョンを得た。
【0077】
[評価1]
ステンレススチール板(150mmx50mm)を用意し、100℃に加熱した。その後、加熱されたスレンレススチール板の片面に、実施例1、実施例1'及び比較例1〜14のエマルジョンを約0.06gスプレーし、キムワイプで均一に塗布した。塗布後すぐに市販布粘着テープ(寺岡製作所製 No.159、幅50mm、長さ100mm)を、手のひらで押え空気を抜きながら、塗布面に貼り付けた。そして105℃のオーブンで25分放置した後、布粘着テープを素手で勢いよく剥がし、そのときの剥離の軽重を手の感覚で、次の4段階:
1.極めて軽くはがれ、はがされた面も良好である(極めて良好)
2.容易にはがれ、はがされた面も再使用な程度である(良好)
3.はがれるが、はがされたアトの面は再使用が無理な状態である(使用不可)
4.はがすことができないか、強引にはがしても再使用は不能である(密着)
で評価した。対照として、エマルジョンを塗布しない場合についても評価した。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
表1の結果から、側鎖にカルボキシ基を有するカルボキシオイルA、及び、側鎖にエポキシ基及びポリオキシエチレン基を有するエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMの組み合わせが良好な剥離性を示し、実用に耐えうる非付着性層を基材上に形成することが分かる。一方、両末端のみにカルボキシ基を有するカルボキシオイルB、及び、側鎖にエポキシ基及びポリオキシプロピレン基を有するエポキシ・ポリエーテル変性シリコーNを使用した例は剥離性が劣り、実用に耐えない非付着性層が形成されていることが分かる。
【0080】
(実施例2〜9及び比較例15〜17)
カルボキシオイルAとエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMとの配合割合を表2に示すように変更(表2中、括弧内の数値はgを表す)した以外は実施例1を繰り返して乳白色のエマルジョンを得た。得られたエマルジョンについて上記と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
表2の結果から、カルボキシオイルAとエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンMとの混合比率(重量比)を1:2〜1:30の範囲とすると良好な剥離性を示し、中でも1:3〜1:20の範囲が剥離性に特に優れていることが分かる。
【0083】
[評価2]
図1に示す乾燥工程を有する抄紙機を使用して、下記の抄紙条件で実施例1のエマルジョンの効果を検証した。結果を以下に示す。
【0084】
(抄紙条件1)
抄造品種:白板紙
坪量:300〜550g/m
抄紙幅:2000mm
エマルジョン散布場所:ドライヤーロール1
エマルジョン散布量:170cc/分(実施例1の青白色半透明エマルジョンをさらに水で100倍希釈した液)
エマルジョン散布添加方法:固定式散布ノズル11箇所
抄紙速度:700〜1300m/分
効果:ドライヤーロール表面の汚れが改善された。具体的には、当該エマルジョン未使用時にはドクターブレードによるドライヤーロール表面の清掃を月3回要していたが、本発明のエマルジョン使用により、清掃回数は2ヶ月に1回に減少した。これにより、操業中断回数が格段に減少し、明らかに作業効率が向上した。
【0085】
(抄紙条件2)
抄造品種:中芯原紙
日産:520t
坪量:160〜180g/m
抄紙幅:4400mm
エマルジョン散布場所:ドライヤーロール1
エマルジョン散布量:5cc/分(実施例1の青白色半透明エマルジョンをさらに水で4倍希釈した液)
エマルジョン散布方法:自走式散布ノズル1箇所
抄紙速度:最大500m/分
効果:それまで使用していたポリジメチルシロキサンオイルベースのエマルジョン(比較例14で使用のもの)よりも低添加量で汚れ付着防止を実現することができた。具体的には、ポリジメチルシロキサンベースのエマルジョン使用時にはドクターブレードによるドライヤーロール表面の清掃が月1回必要であったが、本発明のエマルジョン(固形分量を同一とした)を使用時には清掃作業は半年間不要であった。これにより、操業中断回数が格段に減少し、明らかに作業効率が向上した。また、紙とドライヤーロール表面との接着部分がほとんど無くなり、紙質への影響がなくなったため、抄紙速度を上げることができた。
【0086】
(抄紙条件3)
抄造品種:ライナー紙
坪量:180〜200g/m
抄紙幅:4000mm
エマルジョン散布場所:カンバス
エマルジョン散布量:800cc/分(実施例1の青白色半透明エマルジョンをさらに水で100倍希釈した液)
エマルジョン散布方法:固定式散布ノズル16個
抄紙速度:800〜900m/分
効果:従来より使用していたアミノ変性シリコーンベース(アミノ当量3800で粘度1800cpsのアミノ基含有ポリジメチルシロキサン)のエマルジョンより紙粉、ピッチ等の汚れの付着が極めて少なくなり乾燥効率及び紙質の向上が得られた。その結果、抄紙速度を5%上げることが可能となった。
【0087】
本発明のエマルジョンは、ポリジメチルシロキサンをベースとした一般的なエマルジョンに比べて、抄紙工程におけるドライヤーロール表面での汚れ付着防止、及び、ドライヤーロール表面への紙付着防止効果が優れている。したがって、本発明のエマルジョンは、抄紙工程において紙粉及びピッチなどのドライヤーロール表面への付着を防止し、紙品質及び紙生産性を改善できる抄紙機の汚染防止剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】抄紙機の一般的な乾燥工程の一例を示す概略断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

(式中、
Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基を表し;
Aは、カルボキシ含有基を表し;
mは0〜1000の整数を表し;
nは2〜100の整数を表す)
で表されるカルボキシ変性シリコーン、及び、
下記一般式(2):
【化2】

(式中、
Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基を表し;
Xは、エポキシ含有基を表し;
Yは、オキシエチレン含有基を表し;
pは、0又は1を表し;
qは、0又は1を表し;
xは、0〜500の整数を表し;
yは、1〜100の整数を表し;
zは、1〜300の整数を表す)
で表されるエポキシ・オキシアルキレン変性シリコーン
を1:2〜1:30の重量比で含むことを特徴とする非硬化型コーティング用組成物。
【請求項2】
前記カルボキシ含有基が式:−(CH−COOZ(Zは、H、アルカリ金属又はアンモニウムを表し;lは0〜12の整数を表す)で表される、請求項1記載の非硬化型コーティング用組成物。
【請求項3】
前記エポキシ含有基が、グリシドキシアルキル基、エポキシシクロアルキルアルキル基、又は、オキシラニルアルキル基である、請求項1又は2記載の非硬化型コーティング用組成物。
【請求項4】
前記オキシエチレン含有基が式:−(CH−(OC−(OC−B(Bは、H、OH、OR、COOH又はCOOR(Rは前記のとおり)を表し、rは0〜4の整数を表し、sは1〜200の整数を表し、tは0〜200未満の整数を表し、0≦t<sである)で表される、請求項1乃至3のいずれかに記載の非硬化型コーティング用組成物。
【請求項5】
前記重量比が1:3〜1:20である、請求項1乃至4のいずれかに記載の非硬化型コーティング用組成物。
【請求項6】
水中油型又は油中水型のエマルジョン形態にある、請求項1乃至5のいずれかに記載の非硬化型コーティング用組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の非硬化型コーティング用組成物を含む非付着性層形成用コーティング剤。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の非硬化型コーティング用組成物を含む抄紙機用汚染防止剤。

【図1】
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【公開番号】特開2010−100697(P2010−100697A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271825(P2008−271825)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【出願人】(000108546)株式会社タイホーコーザイ (28)
【Fターム(参考)】