説明

面付鎌錠

【課題】破壊力に対し容易に変形して鎌片と譲受との係止関係を維持し、防犯上好適な面付鎌錠を提供する。
【解決手段】開き戸Bの戸先側の屋内側面に取付ける錠枠1に、屋内において回動操作可能にして主軸7を見込み方向に横設し、該主軸7に前記錠枠1に設けた窓口を出入して戸枠Aの屋内側面に設けた錠受10を係離する鎌片8の基部片8bを取付ける。前記窓口を設けた中央部片1aと該中央部片1aに相対して連設した一対の側部片1bを備えて成る錠枠1の前記開き戸Bに止着する一方の前記側部片を介して前記開き戸Bに見込み方向に重ねる他方の前記側部片1bに、前記錠受10に係止したときの前記鎌片8の上下両端縁8´,8´´が見込み方向に重なり合う切込み11,11´を前記窓口13に連通させて設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は面付鎌錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
具体例を挙げるまでもなく面付鎌錠は公知である。概し、面付鎌錠は、開き戸の戸先側の屋内側面に取付ける錠枠に屋内面側から回動(開閉)操作可能にして主軸を横設し、該主軸に前記錠枠に設けた窓口を出入して戸枠の屋内側面に設けた錠受を係離する鎌片の基部を取付けた構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来構造のものは、バール等で開き戸に屋外側から破壊力を負荷すると(こじ開けようとすると)、該破壊力は前記開き戸の開き方向に負荷されるものではあるが、開き戸の破壊に伴う、鎌錠(錠枠)の変形(破壊)時に錠片を主軸を軸として回動し、錠受から離れ、容易に、開き戸が開放可能となり、不当な侵入者の期待するところとなり勝ちであった。
【0004】
そのため、この破壊力に対処する(防犯効果を得る)ために、破壊力の負荷によって錠片が容易に回動しないように様々な装置が付加されることになり、必然的に構造が複雑となって製品を比較的高価格で提供せざるを得ないこととなっている。
【0005】
本発明は、簡単な構造で破壊力に対応し、防犯上好適な面付鎌錠を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開き戸の戸先側の屋内側面に取付ける錠枠に屋内において回動操作可能にして主軸を見込み方向に横設し、該主軸に前記錠枠に設けた窓口を出入して戸枠の屋内側面に設けた錠受を係離する鎌片の基部を取付けた面付鎌錠において、前記錠枠は前記窓口を設けた中央部片と該中央部片に相対して連設した一対の側部片を備え、該錠枠の前記開き戸に止着する一方の前記側部片を介して前記開き戸に見込み方向に重ねる他方の前記側部片には、前記錠受に係止したときの前記鎌片の上下両端縁が見込み方向に重なり合う切込みを前記窓口に連通させて設けた構成とするのである。
【作用効果】
【0007】
鎌片を錠受に係止した施錠状態時に開き戸に屋外側から破壊力を加えると(こじ開けようとすると)、開き戸に対する開き方向の外力が錠枠の一方の側部片に設けた切込み間に負荷され変形し易くなり、鎌片の基部を取付けた主軸の回動前に該一方の側片部が変形屈曲し、鎌片の回動を妨げ、該鎌片と錠受との係止関係を維持し、防犯性能の優れた面付鎌錠を提供できる。
【実施例】
【0008】
図面は本発明に係る面付鎌錠の一実施例を示し、図1は施錠状態の一部欠截正面図、図2は図1の横断面図、図3は錠枠の側面図、図4は破壊した状態の斜視図である。
【0009】
図中、1は錠枠で、錠枠1は中央部片1aの両側に一対の側部片1b,1b´を相対して連設した断面コ形状の枠体で成り、一方の側部片1b´の長手方向の両側に固定ねじ2用の透孔3を設け、該透孔3に一致するドライバー等の工具挿通用の透孔4を他の一方の側部片1bに設け、これら透孔3,4間の内側には前記側部片1b,1b´間にして一対の補強杆5,5を架設して構成したものである。
【0010】
この錠枠1の、一方の前記側部片1bには、該側部片1bの外側(屋内側)から摘み6に突設した主軸7を貫通させ、該主軸7先端を前記側部片1b,1b´間に介在させた鎌片8の基部片8bと座金9に順次貫通させて座金9にかしめ止めして、前記鎌片8を基部片8bにおいて回動自在に取付けてある。
【0011】
鎌片8は前記基部片8bにほぼL字形の係止部片8aを連設して構成し、基部片8bを、前記の通り、主軸7に取付けて、主軸7に一体にした前記摘み6の操作によって主軸7に伴われて回動するものである。
【0012】
この鎌片8の前記係止部片8aは、摘み6の前記操作により前記錠枠1内から側部片1b,1b´間を通じて出入し、該側部片1b,1b´間、すなわち、出入用の窓口13を、錠枠1の前記中央部片1aを開口して設け、該窓口13を通じて錠枠1より突出する鎌片8の、先端の係止部片8aは錠受10の受部片10aに係止して開き戸Bを施錠する。
【0013】
この施錠時すなわち鎌片8(の係止部片8a)を錠受10(の受部片10a)に係止したとき、鎌片8は全体としてほぼ水平に配されるが、このときの鎌片8基部片8bの上下両縁8´,8´´と見込み方向に重なり合うようにして、該鎌片8を回動自在に取付けた、錠枠1の、一方の前記側部片1bに、開口端が前記窓口13に連通する、上下の切込み11,11´を設け、該切込11,11´間を舌状部片12としてある。
【0014】
舌状部片12は、屈曲して容易に変形するようにして前記側部片1b(錠枠1)に設けたもので、この舌状部片12を構成する、前記切込11,11´の深さ(長さ)を深くする程、容易な屈曲変形を期待できる。
【0015】
切込み11,11´は直線上にしてあるが、曲線状でも不都合はなく、要は、適宜の深さを成し、かつ、鎌片8の上下両端縁8´,8´が切込み11,11´間において舌状部片12に見込み方向に重なり合えば良いのである。
【0016】
前記錠受10は、取付部片10bの長手方向に沿う一端の中央部分に取付部片10bに対して折曲状にして前記受部片10aを連設し、該受部片10aの自由端に前記取付部片10bに相対する補強部片10cを連設した、断面コ形枠体で成り、補強部片10cと取付部片10b間に、前記錠枠1と同様にして補強杆14を架設し、取付部片10bの長手方向の両側には固定ねじ15用の透孔16を設けたものである。
【0017】
しかし、開き戸B側に固定ねじ2を用いて鎌片8を回動自在に装置した錠枠1を、戸枠A側に錠受10を固定ねじ15を用いてそれぞれ固着して用いるのであって、摘み6の操作によって主軸7を回動させ、これに取付けた鎌片8の係止部片8aを窓口13を通じて錠枠1より突出させて錠受10の受部片10aに係止させることにより施錠状態を得られる。
【0018】
この状態で開き戸Bに対し、殊に、開き戸Bの施錠部と認められる鎌片8と錠受10との係止部に屋外側からバール等による破壊力が負荷されると(開き戸Bをこじ開けようとすると)、鎌片8に見込み方向(屋外方向)へと外力が与えられるため鎌片8は錠枠1の、一方の側部片1bを押圧することになり、その押圧力は切込み11,11´間の側部片1b部分、舌状部片12に負荷されるため該部分(切込み11,11´間の側部片部分)は屈曲変形し、該屈曲変形と共に前記押圧力によって鎌片8も屈曲変形し、側部片1b,1b´間より屋内方向に突出、すなわち、側部片1bと見付け方向に重なり合うことになり、前記主軸7を中心とする鎌片8の回動力(外力による)に対し、それを規制し、鎌片8と錠受10の係止状態は保たれ、前記の破壊力に対処して開き戸Bの開放の妨害状態を得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】施錠状態の一部欠截正面図。
【図2】図1の横断面図。
【図3】錠枠の側面図。
【図4】破壊した状態の斜視図。
【符号の説明】
【0020】
1 錠枠
1a 中央部片
1b,1b´ 側部片
7 主軸
8 鎌片
10 錠受
11,11´ 切込み
13 窓口
A 戸枠
B 開き戸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開き戸の戸先側の屋内側面に取付ける錠枠に屋内において回動操作可能にして主軸を見込み方向に横設し、該主軸に前記錠枠に設けた窓口を出入して戸枠の屋内側面に設けた錠受を係離する鎌片の基部を取付けた面付鎌錠において、前記錠枠は前記窓口を設けた中央部片と該中央部片に相対して連設した一対の側部片を備え、該錠枠の前記開き戸に止着する一方の前記側部片を介して前記開き戸に見込み方向に重ねる他方の前記側部片には、前記錠受に係止したときの前記鎌片の上下両端縁が見込み方向に重なり合う切込みを前記窓口に連通させて設けた、面付鎌錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−63555(P2006−63555A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244864(P2004−244864)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)