説明

面材供給装置

【課題】設置面積を抑制することができ生産効率を落とすことなく段替えが可能な面材供給装置を提供する。
【解決手段】サンドイッチパネルを製造するときに使用される面材を供給するための面材ロールを設置する設置部が少なくとも3つ設けられ、選択された面材ロール設置部に設置されている面材ロールから繰り出された長尺状の面材を供給するように構成された面材供給装置であって、下方に配置される第1面材ロール設置部及び第2面材ロール設置部と、上方に設置される第3面材ロール設置部と、第3面材ロール設置部を第1面材ロール設置部もしくは第2面材ロール設置部のいずれかの上方に位置するように切り替えるための切替機構と、を備えており、上方が開放されている側の面材ロールの段替えを可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネルを製造するときに使用される面材を供給するための面材ロールが少なくとも3つ設けられ、これら面材ロールの中から選択された1つの面材ロールから繰り出された長尺状の面材を供給するように構成された面材供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかるサンドイッチパネルとしては、例えば、下記特許文献1,2に開示される硬質ポリウレタンフォーム・サンドイッチパネルが知られている。かかるサンドイッチパネルは、上面材と下面材の間にウレタンフォームを挟持した積層構造を有し、その製造方法は、面材ロールから繰り出されコンベア上に供給される下面材上に発泡原液組成物をミキサーより供給撒布し、次いで上面材を別の面材ロールから繰り出し供給し、ニップロール等により発泡原液組成物を上面材と下面材とになじませると共に厚さを均一化し、その後発泡硬化させた後に所定寸法に裁断することにより製造するものである。
【0003】
このように面材を供給するための面材供給装置が用いられているが、面材を別の種類のものに変更する場合は、面材ロールの段替えを行う必要がある。特に、少量多品種への生産に対応するためには、段替えに要する時間をできるだけ短縮させる必要がある。少量多品種に対応するには、段替えのために2つの面材ロールを用意しこれを切り替えるだけでは時間の短縮化には限界がある。そこで、3つもしくは3つ以上の面材ロールを切替できるように構成する必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−205724号公報
【特許文献2】特開2005−169699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3つ以上の面材ロールを段替え可能にするには、面材ロール設置部も少なくとも3つ必要となる。その設置態様としては、例えば、3つの面材ロールを横方向に並列に並べて設置する態様が考えられる。しかしながら、並列に並べると、設置面積が大きくなり、パネルの生産ラインも長くなるという問題点がある。
【0006】
また、面材ロールをターレット方式(回転中心周りに円周方向に沿って面材ロールを設置する方式)で設置する態様も考えられるが、設備が大掛かりとなり設備投資額が多大になるという問題点がある。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、設置面積を抑制することができ生産効率を落とすことなく段替えが可能な面材供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る面材供給装置は、
サンドイッチパネルを製造するときに使用される面材を供給するための面材ロールを設置する設置部が少なくとも3つ設けられ、選択された面材ロール設置部に設置されている面材ロールから繰り出された長尺状の面材を供給するように構成された面材供給装置であって、
下方に配置される第1面材ロール設置部及び第2面材ロール設置部と、
上方に設置される第3面材ロール設置部と、
第3面材ロール設置部を第1面材ロール設置部もしくは第2面材ロール設置部のいずれかの上方に位置するように切り替えるための切替機構と、を備えており、
上方が開放されている側の面材ロールの段替えを可能に構成したことを特徴とするものである。
【0009】
かかる構成を有する面材供給装置の作用・効果を説明する。面材を供給するための面材ロールを設置するために、少なくとも、第1面材ロール設置部、第2面材ロール設置部、第3面材ロール設置部の3つが配置される。このうち、第1・第2面材ロール設置部は下方に配置され、第3面材ロール設置部が上方に配置される。第3面材ロール設置部は、第1面材ロール設置部もしくは第2面材ロール設置部の上方に配置されるが、切替機構によりいずれかに位置させることができる。例えば、第1面材ロール設置部の上方に位置させているときは、第2面材ロール設置部において面材の段替えを行なうことができると共に、第1面材ロール設置部もしくは第3面材ロール設置部に設置されている面材ロールから面材を繰り出し供給させることができる。従って、段替えを行なうときに面材の供給を停止させなくてもよく、生産効率を低下させなくてすむ。また、第3面材ロール設置部を上方に配置するので、設置面積も抑制することができる。その結果、設置面積を抑制することができ生産効率を落とすことなく段替えが可能な面材供給装置を提供することができる。
【0010】
本発明に係る前記切替機構は、面材ロールをレールに沿って移動させるものであることが好ましい。
【0011】
レールにより面材ロールを移動するものであり、移動をスムーズに行なうことができると共に、構成も簡素化することができる。
【0012】
本発明に係る前記切替機構は、支点周りに面材ロールを揺動させるものであることが好ましい。
【0013】
これにより、面材ロールを支点周りに揺動させることで、第1面材ロール設置部もしくは第2面材ロール設置部の上方に選択的に位置を切り替えることができる。
【0014】
本発明において、第1の面材ロールから第2の面材ロールへと切り換えるに際し、現在駆動されている第1の面材ロールの面材に対して、第2の面材ロールの面材を接触させる面材連結手段を備えていることが好ましい。
【0015】
現在駆動されている第1の面材ロールに対して第2の面材ロールを接触させて連結させることで、第2の面材ロールに対して駆動力が伝達され、第2の面材ロールを供給することができる。また、第1の面材ロールは、適宜のタイミングでカットすればよく、これにより、第1の面材ロールから第2の面材ロールへと連続的に切替を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る面材供給装置は、好適には、硬質ポリウレタンフォーム・サンドイッチパネルを製造するときに使用されるものである。かかるサンドイッチパネルの製造工程を簡単に説明する。サンドイッチパネルは、上面材と下面材の間にウレタンフォームを挟持した積層構造を有している。そこで、上面材と下面材を連続的に供給するための面材供給装置が必要となる。面材ロールを繰り出してコンベア上に供給される下面材上に発泡原液組成物をミキサーより供給撒布し、次いで上面材を別の面材ロールから繰り出し供給し、ニップロール等により発泡原液組成物を上面材と下面材とになじませると共に厚さを均一化し、その後発泡硬化させた後に所定寸法に裁断することにより製造される。
【0017】
上記面材としては、クラフト紙等の紙、樹脂フィルム、アルミフォイル等が使用可能であり、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルムやアルミフォイルをラミネートした積層面材であってもよく、本発明としては特定の材質に限定されるものではない。
【0018】
本発明に係る面材供給装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、面材供給装置の構成を示す概略図である。図1にも示すように、面材ロールを設置するための設置部が3つ設けられており、第1面材ロール設置部1A、第2面材ロール設置部1B、第3面材ロール設置部1Cが設けられている。第1・第2面材ロール設置部1A,1Bは、下方に配置され、第3面材ロール設置部1Cは、上方に配置される。第1・第2面材ロール設置部1A,1Bは、夫々固定された位置にあるが、第3面材ロール設置部1Cは、第1面材ロール設置部1Aの上方もしくは第2面材ロール設置部1Bの上方のいずれかに位置するように切り替えることができる。
【0019】
図1においては、第1面材ロール設置部1Aの上方に第3面材ロール設置部1Cが位置している状態である。この状態で、第2面材ロール設置部1Bは、その上方に空間が形成されており、これを利用して第2面材ロール2Bを別の面材ロールに段替えすることができる。第2面材ロール2Bの段替えを行なうときには、第1面材ロール2Aもしくは第3面材ロール2Cから面材が供給されており、生産ラインを停止させる必要はない。
【0020】
ここで、第1面材ロール2Aから第3面材ロール2Cへの切替について説明する。図2は、現在第1面材ロール2Aから面材3Aが繰り出され供給されている状態を示している。ローラ4,6は面材3Aのガイド用であり、不図示の駆動源により繰り出し駆動される。ローラ4に対向するようにローラ5が配置されている。第3面材ロール2Cから面材3Cが少し繰り出された状態であり、垂直下方に垂れ下がっている。その先端部には、両面テープ7が貼り付けられており、ローラ4,5を互いに近接させる。これにより、面材3A,3Cが互いに連結し、面材3Cが面材3Aと共に繰り出し供給されていく。その後、面材3Aを幅方向に切断し、面材3Aの供給を停止させることで、面材3Cのみが供給されることになる。切断は、自動切断機構を用いることで、安全にかつ確実に行なうことができる。これにより、面材3Aから面材3Cへの切替動作が完了する。なお、両面テープ7ではなく、接着剤としてホットメルトなどを塗布してもよい。
【0021】
従って、ローラ4及びローラ5と、これらローラ4,5を互いに近接・離間させる機構は面材連結手段として機能する。ローラ4,5を近接・離間させる機構については、適宜の機構を用いることができる。
【0022】
また、面材を供給するための駆動源としては、下手側に配置されるダブルコンベアにより構成することができ、面材ロールから面材を引っ張り出すような形で供給される。さらに、面材ロールの中心軸には張力をコントロールするためのクラッチ機構が設けられる。
【0023】
次に、第3面材ロール設置部1Cの位置を切り替えるための切替機構について図3、図4により説明する。図3は、レール8を設け、このレール8に沿って面材ロール2Cをスライド移動させるようにした構成である。レール8は、LMリニアガイド機構などで構成することができる。面材ロール2Cの移動は、手動操作でも自動操作でもよい。例えば、ラック・ピニオンの機構を利用してスライド移動させることができる。図3に示す状態では、第1面材ロール設置部1Aにおいて第1面材ロール2Aの段替えを行なうことができる。
【0024】
図4は、第3面材ロール設置部1Cを揺動させる機構を示している。すなわち、揺動支点10を中心に揺動可能な揺動レバー11が設けられており、その揺動レバー11の上端面11aに第3面材ロール設置部1Cが設けられる。揺動レバー11を駆動するためのシリンダー12が設けられており、シリンダー12を駆動することで、第3面材ロール設置部1Cを第1面材ロール設置部1Aの上方か第2面材ロール設置部1Bの上方に位置させることができる。なお、シリンダー12以外のアクチュエータを使用することもできる。
【0025】
図5は、面材ロール2Cを使用している間に、第1面材ロール設置部1Aにおいて、面材ロール2Aを取り出し、別の面材ロール2A’に段替えするときの様子を示す図である。
【0026】
図6は、第3面材ロール2Cから第2面材ロール2Bへの切替を示す図である。面材の切替方法については、図2で示したのと同様の構成で行なうことができる。
【0027】
本実施形態において面材の切替は2A,2B,2Cの間で相互に行なうことができる。
【0028】
<別実施形態>
本実施形態では、面材ロール設置部は3つ配置されているが、4つ以上を配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】面材供給装置の構成を示す概念図
【図2】面材連結手段の構成を示す概念図
【図3】切替機構の構成を示す概念図
【図4】切替機構の構成を示す概念図
【図5】面材ロールの段替えを示す図
【図6】面材の切替の様子を示す図
【符号の説明】
【0030】
1A 第1面材ロール設置部
1B 第2面材ロール設置部
1C 第3面材ロール設置部
2A 第1面材ロール
2B 第2面材ロール
2C 第3面材ロール
4,5,6 ローラ
8 レール
11 揺動レバー
12 シリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンドイッチパネルを製造するときに使用される面材を供給するための面材ロールを設置する設置部が少なくとも3つ設けられ、選択された面材ロール設置部に設置されている面材ロールから繰り出された長尺状の面材を供給するように構成された面材供給装置であって、
下方に配置される第1面材ロール設置部及び第2面材ロール設置部と、
上方に設置される第3面材ロール設置部と、
第3面材ロール設置部を第1面材ロール設置部もしくは第2面材ロール設置部のいずれかの上方に位置するように切り替えるための切替機構と、を備えており、
上方が開放されている側の面材ロールの段替えを可能に構成したことを特徴とする面材供給装置。
【請求項2】
前記切替機構は、面材ロールをレールに沿って移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の面材供給装置。
【請求項3】
前記切替機構は、支点周りに面材ロールを揺動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の面材供給装置。
【請求項4】
第1の面材ロールから第2の面材ロールへと切り換えるに際し、現在駆動されている第1の面材ロールの面材に対して、第2の面材ロールの面材を接触させる面材連結手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の面材供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−213994(P2008−213994A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51784(P2007−51784)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】