説明

靴および靴底

【課題】 多数回の射出成形を要することなく製造できる、摩耗を判別することができる靴底および当該靴底を有した靴を提供すること。
【解決手段】床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地ブロックと、選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、当該接地ブロックの接地面よりも高さの低い連結部を設け、摩耗によって接地ブロックが磨り減った際に、前記接地ブロックと隣り合う他の接地ブロックの接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。摩耗によって接地面と連結部の高さが同じになってつながることで、耐滑性能が劣化したことを判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴および靴底に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、靴底の摩耗による使用限度を一見して正確に判別できるスリップサインを設けた射出成形ブーツが知られている(特許文献1)。当該射出成形ブーツは、ブーツ本体側の下面に形成する突起を、靴底下面に意匠形状として形成される多数の突出部のうち所望の突出部に対応する位置に配置し、さらにその高さは、前記突起の頂面が前記突出部の靴底ベース厚面と若干大または同一面となるように構成するとともに、靴底の素材は、前記突起と異なった色彩としたものである。そして、上記構造を成すために2回(段落0007)、若しくは3回(段落0009)の射出成形を行うものである。
【0003】
具体的には、上記特許文献1の段落0007に記載されたブーツの構造は、足を入れる袋部(アッパー)自体を射出成形によって構成するものであるから、ゴム長靴のような射出成形によって靴全体を形成するような靴にしか採用できないものである。
また、上記特許文献1の段落0009に記載されたブーツの構造は、2層構造の靴底を形成する必要があるので、靴底を形成するために2度の射出成形を行う必要があるものである。
【特許文献1】実用新案登録公報第2567956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の射出成形ブーツは、靴底の摩耗を判別することができる靴底を形成するために2度以上の射出成形を行う必要があるものである。本発明は、このような多数回の射出成形を行うことなく、摩耗を判別することができる靴底および当該靴底を有した靴を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る靴は、床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地ブロックと、選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、当該接地ブロックの接地面よりも高さの低い連結部を設け、摩耗によって接地ブロックが磨り減った際に、前記接地ブロックと隣り合う他の接地ブロックの接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る靴は、前記連結部が、前記接地ブロックの取り付け面を底辺とした台形状の断面を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る靴底は、足入れ部となるアッパー体の底面に接着若しくはアッパー体との一体成形によって形成される靴底であって、床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地ブロックと、選択された一組または複数組の隣り合う一対の前記接地ブロック間に、当該接地ブロックの接地面よりも高さの低い連結部を設け、摩耗によって接地ブロックが磨り減った際に、前記接地ブロックと隣り合う他の接地ブロックの接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る靴底は、前記連結部が、前記接地ブロックの取り付け面を底辺とした台形状の断面を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る靴は、床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックと、選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、互いの基台を連結する連結部を設け、摩耗によって接地体が磨り減った際に、互いに連結された基台の上面が前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る靴は、前記連結部が、前記接地ブロックの取り付け面を底辺とした台形状の断面を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る靴底は、足入れ部となるアッパー体の底面に接着若しくはアッパー体との一体成形によって形成される靴底であって、床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックと、選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、互いの基台を連結する連結部を設け、摩耗によって接地体が磨り減った際に、互いに連結された基台の上面が前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項8に係る靴底は、前記連結部が、前記接地ブロックの取り付け面を底辺とした台形状の断面を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項9に係る靴は、床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックを有し、選択された一または複数の接地ブロックの基台上に、独立して支持された隣り合う前記接地体を連結する高さの低い連結部を設け、摩耗によって接地体が磨り減った際に、前記連結された接地体の接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項10に係る靴底は、足入れ部となるアッパー体の底面に接着若しくはアッパー体との一体成形によって形成される靴底であって、床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックを有し、選択された一または複数の接地ブロックの基台上に、独立して支持された隣り合う前記接地体を連結する高さの低い連結部を設け、摩耗によって接地体が磨り減った際に、前記連結された接地体の接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。
【0015】
請求項11に係る靴は、床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックを有し、
選択された一または複数の接地ブロックの基台上に、独立して支持された隣り合う前記接地体を連結する高さの低い第一の連結部を設け、選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、互いの基台を連結する第二の連結部を設け、摩耗によって接地体が磨り減った際に、前記連結された接地体の接地面が、互いに前記第一の連結部を介してつながるように構成し、摩耗によって接地体が消滅した際に、互いに連結された基台の上面が前記第二の連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項12に係る靴底は、足入れ部となるアッパー体の底面に接着若しくはアッパー体との一体成形によって形成される靴底であって、床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックを有し、選択された一または複数の接地ブロックの基台上に、独立して支持された隣り合う前記接地体を連結する高さの低い第一の連結部を設け、選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、互いの基台を連結する第二の連結部を設け、摩耗によって接地体が磨り減った際に、前記連結された接地体の接地面が、互いに前記第
一の連結部を介してつながるように構成し、摩耗によって接地体が消滅した際に、互いに連結された基台の上面が前記第二の連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る靴および靴底は、摩耗によって耐滑性能が低下する目安として、靴底面に複数設けた接地ブロックの接地面が、摩耗の進行に伴ってつながって見えるようになる。このように、摩耗の程度を客観的に可視化することで、使用者に対して靴の交換時期等を予測若しくは知らせることができるという効果を有している。
【0018】
特に、直方体等の形状が単純な接地ブロックを複数配列した耐滑性の高い靴底の場合、耐滑性の劣化はブロックの摩耗状態に比例してゆるやかに進行する。このような接地ブロックの摩耗を台形状の断面を有する連結部材によって視認する構造では、接地ブロックの摩耗の進行に伴って連結部材も摩耗して、接地面の面積が次第に大きく見えるようになる。このように、接地面が次第に大きく見える構造によって、使用者に対して靴の交換を促すことができるという効果を有している。
また、接地ブロックを接地体と該接地体が倒れずに接地面が地面に確実に接地するような機能を持つ基体によって構成した場合には、接地体と基体それぞれに連結部を設けることにより、摩耗の進行状態を段階的に表すことができるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明に係る靴1の説明図であり、図1(a)は側面図、図1(b)は底面図を表している。
靴底の形態には、主として一層底または二層底と称される形態がある。一層底の一つの形態としては、射出成形、加圧成形等によって単体として靴底部材を形成し、当該靴底部材をアッパーの底面に接着剤を用いて接着することで靴を形成するものがある。また、一層底の形態として、アッパーを靴底形成用の金型に装着して、射出成形等によってアッパーの下部に靴底部材を一体的に形成するものもある。さらに、二層底の一つの形態としては、射出成形、加圧成形等によって単体として靴底部材を形成し、当該単体の靴底部材とアッパーとの間に射出成形または加圧成形によってクッション層を形成することにより形成するものがある。
【0020】
上記一層底または二層底のいずれの場合であっても、床面との接触部を有する靴底部材は成型金型を用いて形成される。図1に示した靴1は、二層底として靴底部を形成した例を表している。同図に示す靴1は、はじめに硬度が調整されたゴム、ウレタン等の熱可塑性素材によって靴底部材2を形成し、次いで靴底部材2とアッパー体3との間に発泡性ゴム、発泡性ウレタン等を充填してクッション層4を設けたものである。図1(a)においてA−A’線で囲った部分は、図1(b)において示したA−A’線で示した靴底部材2の部分断面図を表している。
【0021】
また、靴1は水や油によって濡れた床面において滑りにくい、高い耐滑性能を有する靴として形成されたものであり、靴底を構成する靴底部材2は、靴底面とほぼ同形状を成すシート状の基部6上に複数の接地ブロック7を形成したものとなっている。各接地ブロック7は、前後方向(歩行方向)および左右方向に広がる、行列状に配列された直方体状の突起として形成されている。各接地ブロック7は、接地面となる先端面が凹凸の無い平滑面として形成されており、当該平滑面から基部6方向に垂下する側壁の角度がほぼ直角(90度±2度)に形成され、かつ可能な限りにおいて接地面と側壁の成す角縁が丸みの無い角を成すように形成されたものである。
【0022】
前記靴底部材2の前足底部と踵部の一部には、隣り合う接地ブロック7同士を連結する
ように形成した連結部8(8a、8b、8c)が部分的に設けられている。連結部8は、基部6を底面とする台形状に形成(基部6と一体成形)された突起であり、上面9の位置が各接地ブロック7の約半分程度の高さ(以後、特に注記のない限り、接地ブロックの靴への取り付け部から接地ブロックの接地面への方向を高さとするものとする)となるように設けられている。
図2(a)は、図1(a)におけるB矢視部の斜視図であり、接地ブロック7aおよび7b間に設けられた連結部8aと、接地ブロック7cおよび7d間に設けられた連結部8bを表している。通常の耐滑性能を発揮する状態では、各連結部8aおよび連結部8bの高さは、接地ブロック7a〜7dの各接地面10よりも低く、床面と接しないようになっている。
【0023】
接地ブロックが磨り減って接地面10が低くなると、次第に連結部8の上面9との差が少なくなる。そして、接地ブロック7が初期状態の高さから半分程度の高さになると、接地面10と連結部8の上面9が同一の高さとなり、接地面と上面9がつながりH文字形状のような合成された接地面を形成する。
図2(b)は、図2(a)に示すC矢視部の説明図であり、上記のように接地ブロック7が磨り減り、接地面10と連結部8の上面9がつながった状態を表している。そして、前述したように連結部8は基部6に向かってすそ野を広げるように台形状の断面を有しているので、接地面10および連結部8の上面9の摩耗が進行すると、次第に上面9の幅が広くなる。図2(c)は、図2(b)と比較して接地面10および連結部8の上面9の摩耗が進行し、連結部8の上面9の幅が広くなった状態を表している。
【0024】
接地ブロック7は、床面に水や油がある場合、接地面10周囲の角によって、水や油を排除して隣接する接地ブロック7間の溝に排出する。そして、水や油が排除された床面と接地面10が接することで耐滑性能を発揮するものである。このように、靴1の耐滑性能は、接地ブロック7が水や油の排除と、排除した水や油の排出が正常に機能することにより発揮されるものである。
しかし、接地ブロック7が摩耗して高さが低くなると、次第に接地ブロック7の床面に対する追従性が低下して水や油の排除機能が不十分になり、隣接する接地ブロック間に設けられている溝の容積も減少して水や油の排出が不十分になる。その結果、耐滑性能も劣化する。
【0025】
本実施の形態に係る靴1は、接地ブロック7の摩耗状態を連結部8の上面9との対比によって判断することができる。すなわち、接地ブロック7の接地面10が、それぞれ独立して見えている場合には、摩耗の程度が少なく所定の耐滑性能を備えているが、接地面10と連結部8の上面9がつながった状態になると、接地ブロック7の摩耗によって耐滑性能が低下したと判断することができる。
そして、さらに接地面10の摩耗が進行するに従って、連結部8の上面9の幅(面積)が大きくなり、耐滑性能のさらなる劣化を使用者に対して認識させることができ、靴1の使用中止や取り替えを促すことができるようになっている。
【0026】
なお、連結部8(8a,8b,8c)は前述のとおり基部6に向かってすそ野を拡げるように台形状の断面を有している。前述のような耐滑性能の高い靴は食品工場などで使用されるが、床に落ちた食品を踏みつけた場合に溝が埋まってしまうと耐滑性能を発揮しなくなる。しかし、連結部8を台形にしておくと靴を履いた作業者の歩行で溝内の食品が取れやすく、また、人為的に溝内食品の除去作業を行う際にも作業が行いやすいという効果を有する。なお、台形状断面の斜辺は、基部6に対して45度程度の角度とする事が最も望ましかった。
【0027】
図3は、本発明に係る靴の他の実施例に関する説明図であり、図3(a)は靴21の側
面図、図3(b)は底面図を表している。同図に示した靴21は、所謂一層底として形成された靴底部を有したものである。
当該靴21に用いている靴底部材22は、独立した単体の靴底として成型金型を用いて形成されたものである。そして、当該靴底部材22は、別途縫製等によって立体的に形成されたアッパー28の底面にホットメルトやその他の接着剤を用いて強固に接着されたものとなっている。
【0028】
当該靴21も前述した靴1と同様に、水や油によって濡れた床面において滑りにくい、高い耐滑性能を有する靴であり、靴底部材22の表面に複数の接地ブロック23を形成したものとなっている。
各接地ブロック23の基本形状は、靴底部材22の表面に向かってすそ野が広がるように形成した台形状の基台24を設け、当該台形状の基台24の上面にさらに立方体状の2個の接地体25を設けたものである。そして、当該接地ブロック23は、靴の前後方向に向かう中心線に沿って、規則的に配列されている。なお、靴底面の外周部位に設けた接地ブロック23は、多少の形状の相違はあるものの、中心付近に設けた前記の基本形状と概ね近似した構造を有している。
各接地ブロック23の上部に形成した接地体25は、先端に接地面26となる凹凸の無い平滑面と、当該平滑面から基台24方向に垂下する角度がほぼ直角(90度±2度)に形成された側壁を有し、かつ可能な限りにおいて接地面26と側壁の成す角縁が丸みの無い角を有するように形成されたものである。
【0029】
前記靴底部材22の前足底部と踵部の一部には、隣り合う接地ブロック23の基台24同士を連結するように形成した連結部27(27a、27b、27c)が設けられている。当該連結部27は、基台24の高さと同じ高さに形成された断面が台形状の突起として形成されている。
図4(a)は、図3(a)におけるE矢視部の斜視図であり、接地ブロック23aおよび23b間に設けられた連結部27aを表している。
【0030】
接地体25が磨り減って接地面26が低くなると、次第に連結部27の上面29との差が少なくなる。そして、接地体25が完全に消滅して基台24の上面が表出すると連結部27の上面29と同一高さになり、基台24の上面と連結部27の上面29がつながった形状が現れる。
図4(b)は、図3(a)に示すE矢視部の説明図であり、上記のように接地体25が磨り減り、基台24の上面と連結部27の上面29がつながった状態を表している。
【0031】
接地体25は、床面に水や油がある場合、接地面26周囲の角によって、水や油を隣接する接地体25との間に排除し、水や油が排除された床面と接地面26が接することで耐滑性能を発揮するものである。このような靴21の耐滑性能は、接地体25が正常に機能することにより発揮されるものである。
しかし、接地体25が摩耗して高さが低くなると、次第に接地体25の床面に対する追従性が低下し、水や油の排除機能が低下する。そして、接地面26が磨り減って基台24の上面と連結部27の上面29がつながった状態では、ほぼ初期の耐滑性能が発揮できなくなる。
【0032】
本実施の形態に係る靴21は、接地体25の摩耗状態を連結部27の上面29によって判断することができる。すなわち、接地体25の接地面26がそれぞれ独立して見えている場合には、所定の耐滑性能を備えているが、接地体25が磨り減って基台24の上面と連結部27の上面29がつながった状態では耐滑性能が低下したことを表している。
【0033】
図5は、さらに他の実施例に関する説明図である。図5(a)に示した接地ブロックは
、図4(a)に示した接地ブロックとその大部分において共通する。以下共通部位には、同一符号を付して説明する。
図5(a)に示した接地ブロックは、前記図4(a)に示した接地ブロックと同様に、台形状の基台24の上に、2個の接地体25を間隔をあけて平行に設けたものを基本的な形態としている。また、基台24同士を連結するように形成した連結部27も、適宜選択された位置に設けられている。
【0034】
図5(a)に示した接地ブロックが図4(a)に示した接地ブロックと異なる点は、基台24の上に設けた2個の接地体26の中間に、さらに連結部(第一の連結体)30を設けた点である。連結部30は、基台24の上面からの接地体25の約半分程度の高さとなるように形成した直方体状の突起である。
図5(a)に示した初期の状態から、接地体26が摩耗してその高さが略半分程度になると接地体25の表面と連結部30の上面との差がなくなり、両者はつながった一つの平面となる。すなわち、図4(b)に示すように、基台24上に残存している2つの接地体が中央でつながり、H文字型の接地面を成すようになっている。すなわち、接地体がこのようなH文字型の接地面を成すことで、接地体25が約半分程度にまで摩耗したことを使用者に認識させることができる。
【0035】
そして、上記2つの接地体25が中央でつながった後、さらに接地体の摩耗が進行すると、前述した図4(b)に示した状態と同じく、基台24の上面と連結部27(第二の連結体)の上面29がつながった状態となり(図5(c))、耐滑性能が低下したことを表すようになっている。
当該実施例では、摩耗状態を認識させる目的で、高さの異なる2種類(2種類以上でも差し支えがない)の連結体(第一の連結体、第二の連結体)を有しており、摩耗の進行状況を段階的に表すことができるようになっている。したがって、耐滑靴の取り替えの時期をある程度予測することができるものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、靴および靴底に利用可能であり、特に高い耐滑性を持つ靴および靴底に適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る靴の説明図である(第1実施例)。
【図2】本発明に係る靴の靴底に関する説明図である(第1実施例)。
【図3】本発明に係る靴の説明図である(第2実施例)。
【図4】本発明に係る靴の靴底に関する説明図である(第2実施例)。
【図5】本発明に係る靴の靴底に関する説明図である(第3実施例)。
【符号の説明】
【0038】
1 靴
2 靴底部材
3 アッパー体
4 クッション層
6 基部
7 接地ブロック
8(8a、8b、8c) 連結部
9 上面
7a〜7d 接地ブロック
10 接地面
21 靴
22 靴底部材
23 接地ブロック
24 基台
25 接地体
26 接地面
27(27a、27b、27c) 連結部
28 アッパー
29 上面
30 連結部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地ブロックと、
選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、当該接地ブロックの接地面よりも高さの低い連結部を設け、
摩耗によって接地ブロックが磨り減った際に、前記接地ブロックと隣り合う他の接地ブロックの接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする靴。
【請求項2】
前記連結部が、前記接地ブロックの取り付け面を底辺とした台形状の断面を有していることを特徴とする請求項1記載の靴。
【請求項3】
足入れ部となるアッパー体の底面に接着若しくはアッパー体との一体成形によって形成される靴底であって、
床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地ブロックと、
選択された一組または複数組の隣り合う一対の前記接地ブロック間に、当該接地ブロックの接地面よりも高さの低い連結部を設け、
摩耗によって接地ブロックが磨り減った際に、前記接地ブロックと隣り合う他の接地ブロックの接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする靴底。
【請求項4】
前記連結部が、前記接地ブロックの取り付け面を底辺とした台形状の断面を有していることを特徴とする請求項3記載の靴底。
【請求項5】
床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックと、
選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、互いの基台を連結する連結部を設け、
摩耗によって接地体が磨り減った際に、互いに連結された基台の上面が前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする靴。
【請求項6】
前記連結部が、前記接地ブロックの取り付け面を底辺とした台形状の断面を有していることを特徴とする請求項5記載の靴。
【請求項7】
足入れ部となるアッパー体の底面に接着若しくはアッパー体との一体成形によって形成される靴底であって、
床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックと、
選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、互いの基台を連結する連結部を設け、
摩耗によって接地体が磨り減った際に、互いに連結された基台の上面が前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする靴底。
【請求項8】
前記連結部が、前記接地ブロックの取り付け面を底辺とした台形状の断面を有していることを特徴とする請求項7記載の靴底。
【請求項9】
床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックを有し、
選択された一または複数の接地ブロックの基台上に、独立して支持された隣り合う前記接地体を連結する高さの低い連結部を設け、
摩耗によって接地体が磨り減った際に、前記連結された接地体の接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする靴。
【請求項10】
足入れ部となるアッパー体の底面に接着若しくはアッパー体との一体成形によって形成される靴底であって、
床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックを有し、
選択された一または複数の接地ブロックの基台上に、独立して支持された隣り合う前記接地体を連結する高さの低い連結部を設け、
摩耗によって接地体が磨り減った際に、前記連結された接地体の接地面が、互いに前記連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする靴底。
【請求項11】
床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックを有し、
選択された一または複数の接地ブロックの基台上に、独立して支持された隣り合う前記接地体を連結する高さの低い第一の連結部を設け、
選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、互いの基台を連結する第二の連結部を設け、
摩耗によって接地体が磨り減った際に、前記連結された接地体の接地面が、互いに前記第一の連結部を介してつながるように構成し、
摩耗によって接地体が消滅した際に、互いに連結された基台の上面が前記第二の連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする靴。
【請求項12】
足入れ部となるアッパー体の底面に接着若しくはアッパー体との一体成形によって形成される靴底であって、
床面に対する接地面を形成した互いに独立して立設する複数の接地体と、当該接地体を支持する基台によって構成された複数の接地ブロックを有し、
選択された一または複数の接地ブロックの基台上に、独立して支持された隣り合う前記接地体を連結する高さの低い第一の連結部を設け、
選択された一組または複数組の隣り合う前記接地ブロック間に、互いの基台を連結する第二の連結部を設け、
摩耗によって接地体が磨り減った際に、前記連結された接地体の接地面が、互いに前記第一の連結部を介してつながるように構成し、
摩耗によって接地体が消滅した際に、互いに連結された基台の上面が前記第二の連結部を介してつながるように構成したことを特徴とする靴底。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−22719(P2010−22719A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190239(P2008−190239)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】