靴のカスタマイズ化支援方法およびそのシステム、それにより実行されるプログラム及びその媒体
【課題】 たとえ身体の専門知識や測定の経験に乏しくても人の足の左右傾斜度合を簡便に求めると共に、既製の靴を左右傾斜した足に適合させるように調製する処理を簡易迅速に行う。
【解決手段】 左右の足で水平支持面8a、9a上に起立している人の少なくとも一方の足b1を下方から撮像し、該撮像によって得た画像に基づいて、前記一方の足の左右傾斜度合を求める。また左右傾斜度合に基づいて、予め用意された複数種類の靴用付加部材の中から、該一方の足の左右傾斜に適合する靴用付加部材を選択する。該靴用付加部材を靴の内底面と靴用中敷との間となる位置で前記内底面の踵部支持面の左右一側に固着させる。
【解決手段】 左右の足で水平支持面8a、9a上に起立している人の少なくとも一方の足b1を下方から撮像し、該撮像によって得た画像に基づいて、前記一方の足の左右傾斜度合を求める。また左右傾斜度合に基づいて、予め用意された複数種類の靴用付加部材の中から、該一方の足の左右傾斜に適合する靴用付加部材を選択する。該靴用付加部材を靴の内底面と靴用中敷との間となる位置で前記内底面の踵部支持面の左右一側に固着させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の左右傾斜度合に基づいて靴をカスタマイズ化する支援方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
足の左右傾斜に合った靴を着用することは、靴の履き心地を良くするばかりでなく、足や下肢へ無理な力が作用するのを回避して、身体の健康を維持する上でも重要である。
【0003】
従来の、足の左右傾斜度合の測定は、例えば、特許文献1及び2に開示されているように、足の背面から見たときの踵骨の上端部と下端部とを触診で確認し、両点を結ぶ線を皮膚上に描き、この線の左右傾斜角度を分度器などで測定している。
【0004】
特許文献3には、足の形状を三次元で計測するものが開示されている。この計測によって得た足の形状の三次元データに基づいて、踵部断面を含む、前後方向むきの、足の二次元断面を求め、該二次元断面の左右方向における中心線を求め、該中心線の左右傾斜角度から該足の左右傾斜度合を求めるようにするのである。
【特許文献1】特開2001−104005号公報(3頁、図2)
【特許文献2】特開2004−786号公報(4頁、図1)
【特許文献3】特開2004−305374号公報(6頁、図5など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2に開示されている方法によるときは、測定者の専門的知識や経験なくしては正確な測定を行い難いという欠点があり、また上記特許文献3に開示されている方法によるときは、三次元計測器が必要となる。このような従来の技術においては、一般の靴の小売店舗などで顧客の足の左右傾斜度合を測定し、測定結果に基づいて靴をカスタマイズ化するサービスを提供することは困難である。
【0006】
発明者は人の足の左右傾斜度合を簡易に把握する方法について鋭意、実験や研究をしている過程で、次のようなことに気づいたのである。
【0007】
即ち、人が左右の足で水平支持面上に起立している状態において、足の何れか一方を下方から見たときの該足の踵部のうち、水平支持面と密着してない箇所の平面視形状から求められる形状依存情報の大きさが定まれば、足の左右傾斜度合が一意的に特定され、形状依存情報の大きさが同じあれば個人の特質によらず左右傾斜度合は同一となって、実用上支障のない程度の精度で測定できるものとなるのである。
【0008】
本発明は、斯かる事実に基づいて創案されたものであって、その目的とするところは、たとえ身体の専門知識や測定の経験に乏しくても人の足の左右傾斜度合を必要な精度で且つ三次元計測器や分度器を使用しないでも簡便に求めることを可能にし、小売店舗における靴のカスタマイズ化を実行する支援を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカスタマイズ化支援システムは、操作者への指示を与える表示手段と、操作者がポインティングする前記表示画面の中の任意の点座標を入力する入力手段と、を有する靴のカスタマイズ化支援システムにおいて、透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像して2次元濃淡画像を得るスキャナと、被験者が足裏を前記透過板に接触させた際に前記スキャナから得られた被験者の足裏の2次元濃淡画像を取得し、前記2次元濃淡画像を前記表示手段に表示させる手段と、操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の指先先端と踵後端の位置座標を取得する位置入力手段と、被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を前記表示手段に表示させ、操作者が前記入力手段により指示した前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を取得する基準点取得手段と、前記取得した左右の取得座標に基づき被験者の足の傾きを算出して、予め定められた複数の離散値のうちいずれか選択し前記表示手段に表示する選択情報作成手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のカスタマイズ化支援方法は、スキャナの透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像し、操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標を特定し、特定された被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を描き、前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を特定し、前記特定した左右の取得座標に基づき、第1と第2の取得座標との間の距離を左右夫々算出し、靴底の踵部分の左右を半分に割った大きさから靴底左右に割ったものの半分の大きさまでの大きさの異なる板材を複数種用意し、各個人の足の傾きに対する前記複数種の板材の1又は複数の組み合わせを設定し、前記算出された左右の距離の相違に基づき前記離散値の一つを選択し、選択された板材を靴の内底に張り合わせることにより靴のカスタマイズ化を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明によれば、指示された入力項目を設定していくだけで足の左右傾斜度合を特定できることから、たとえ身体についての専門知識や測定の経験が乏しい一般小売業者においても、既製の靴を顧客の足に適合した靴を提供するサービスを実施することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明おいて、操作者とは、本実施例において支援をうける小売店舗の店員であり、被験者とは既製品靴をカスタマイズ化される小売店の顧客である。
【0013】
図1に本実施例に係る靴のカスタマイズ支援装置100を示す。カスタマイズ支援装置100は、撮像手段1、コンピュータ2、モニタ3、キーボード4、マウス5を備えおり、その機能の一部分はハードディスク24内のソフトウェアプログラム26により実現される。ソフトウェアプログラム26は、コンピュータ2が読み取り可能なCD、DVD等の媒体に記憶されて提供され、ハードディスク24に格納される。
【0014】
〈撮像手段1〉
上記 撮像手段1は、左右の足で水平支持面上に起立している人の少なくとも一方の足を下方から撮像するものである。図2は撮像手段1の具体例を示している。上面の開放された箱体6の内方にスキャナ7が撮像面を上側に配置されて収納されている。スキャナ7は、上面のガラス面に載置された対象物を2次元スキャンするフラットベッド型のイメージスキャナであって、パーソナルコンピュータ用に市販されているものが使用できる。スキャナ7は、ガラス面に対象物を載置した際にその上に被せるカバーが取り外して箱体6に設定される。箱体6の上面はスキャナ7を覆うようにガラス又は合成樹脂材などの透光板部材が固定状に配置されている。この透光板部材は、人間の体重が直接スキャナ7にかからないよう比較的強靱な材質であり、スキャナ7の上面に水平支持面8aを提供する。本実施例の使用目的においては、スキャナ7の焦点深度は、足の踝までの深さがあれば良い。
【0015】
スキャナ7は、ランプ光が当てられた人の一方の足b1からの反射光を前後方向a1へ水平移動しながらスキャンする撮像素子を具備し、撮像素子から撮像情報を出力する。
前記一方の足b1の反対側の足b2を載せるために支持台9が設けられており、その上面となる水平支持面9aは水平支持面8aと同一高さの水平面である。
図2には右の足b1を撮像するさいの状態を示しており、左の足b2を撮像する場合は箱体6と支持台9の位置を左右逆配置するか、予め右にも支持台9を設けておき左の足b2を水平支持面8a上に載せるようにする。
【0016】
図3は左右の足b1、b2で水平支持面8a、9a上に立った人の右の足b1を撮像手段1で撮像し表示画面3aに表示させた足b1の画像c1を示している。画像c1は、被験者がスキャナ7の上にそのまま足を乗せることから、スキャナ7の水平支持面8aに直接接触する部分のほかに、水平支持面8aから踝付近まで離れた位置のところの高さまで反射光が取得されて薄っすらと撮像されており、接触部分とはことなる濃淡の画像で撮像されている。この踝付近まで離れた位置まで撮像された範囲を囲む線を外形線と呼ぶ。外形線を観察するあたり、被験者が色の濃い靴下を履いていると背景との区別が付かなくなるので脱いでもらう必要がある。しかしながら被験者が肌色に近い色のストッキングを履いる状態では影響を受けない。
【0017】
図中、符号c2は足b1の外形線を示し、符号c3は水平支持面8aに接触した部分の外周囲を囲む境界線を示し、符号c4は第2指の先端位置d1と踵部像の最後端位置d2とを結んだ直線を示す。足裏の指先先端として先端位置d1を、踵後端の位置を最後端位置d2としたとき、先端位置d1から最後端位置d2までの距離F1が足長に対応した長さとなる(平均的には第1指が長いが、被験者によっては第2指が長い場合もある。いずれにしても最長となる位置をd1とする)。また符号c5は内外の踝の最大離反位置を結んだ直線を示し、符号c6は踵部像の最後端位置d2を通る左右方向線を示し、符号c7は直線c5と直線c6との前後方向距離の略中間点(踵部像の平面視略中央箇所)を通る左右方向線を示している。左右方向線c7は後述する基準点取得手段15で位置情報を入力する点の位置を決めるさいの基準線をなすものであり、基準線c7は詳細を後述する基準線データ手段13により求められ表示画面3aに表示される。なお、直線c4、直線c5及び直線c6は表示画面3aに表示されるものではない。
【0018】
表示画面3aに表示された足b1の画像において、足b1の外形線c2よりも外側は撮像手段1のランプ光が反射されないため濃い黒色となり、外形線c2よりも内方は前記ランプ光が反射されるため比較的明るい色(濃淡)となる。したがって、操作者は外形線c2を肉眼により明確に認識できる。また足b1が水平支持面8aに接触した部分(接触箇所)である境界線c3内の部分は極めて明るい色(濃淡)になり、一方、足b1が水平支持面8aから離れた部分(非接触箇所)である外形線c2と境界線c3との間の部分は前記接触箇所に較べ、比較的暗い色になる。したがって、操作者は境界線c3を肉眼により、明確に認識できる。
【0019】
図4は図3の足b1の画像c1の一部を拡大して示したものである。いま、基準線c7と、外形線c2及び境界線c3との交点した点の位置を、図4中の左側から順に符号e1、符号e2、符号e3、符号e4で表し、符号e1、符号e2、符号e3、符号e4を基準点と呼びその位置を基準点位置と呼ぶことにする。また位置e1から位置e2までの距離を符号K1で、そして位置e3から位置e4までの距離を符号K2で表すものとする。
【0020】
図4は左右傾斜のない正常な足b1の画像を示しており、この場合は距離K1と距離K2は概ね同一となっている。一方、図5は表示画面3aに表示された不正常な足b1の踵部の画像である。図5Aは足b1が内反となっている場合の足b1の踵部の画像であるが、この場合には距離K1が距離K2よりも小さくなり、また図5Bは足b1が外反となっている場合の足b1の踵部の画像であるが、この場合には距離K2が距離K1よりも小さくなる。したがって内反又は外反の何れであっても形状情報の値は「0〜1」の範囲内の大きさとなる。
【0021】
〈コンピュータ2〉
コンピュータ2は、CPU21、主記憶22、入出力コントローラ23を有する通常のパーソナルコンピュータが利用できる。主記憶22にはCPU21により実行されるプログラム26がハードディスク24からロードされている。プログラム26は、主記憶22にロードされた際に、以下に説明する画像処理手段10、位置取得手段11、基準点取得手段15、傾斜度合認識処理手段12、基準線データ手段13、部材選択情報作成手段14の各ルーチンを有する。また、主記憶22には、後述するテーブル25が保持される。
【0022】
〈画像処理手段10〉
画像処理手段10は、モニタ3の表示画面3aに表示する情報を保持するものであり、後述する操作者への入力指示情報、操作者からの入力情報、処理結果の情報を、撮像手段1から送られた足b1又はb2の画像情報に重ね合わせてもモニタ3に表示させる。表示画面3a上に表示させる画像情報としては、多数色カラー画像情報であっても或いは無彩色などの濃淡画像情報であっても差し支えない。
【0023】
〈位置取得手段11〉
位置取得手段11は、まず、スキャナ7の存在する側の水平支持面8a上に足b1を乗せるようにガイダンスを表示画面3a上に表示させる。そして、先端位置d1と踵部像の最後端位置d2を順に入力すべきガイダンスを行い、操作者が指定する表示画面3a上の任意な点の位置情報を取得して主記憶22に記憶させるものである。操作者に対する表示画面3a上の点の位置入力のガイダンスを行ったときに、操作者がマウス5によりポイントされる位置に位置入力用マークを表示画面3a上に表示させ、操作者がマウス5をクリックして位置を指定したときにその位置にXマークを表示して表示画面3a上に固定するとともに、位置情報を取得して先端位置d1と踵部像の最後端位置d2として主記憶22に記憶する。次に入力すべき位置情報があれば、操作者へのガイダンスとともに、マウス5が次にクリックされるのを待つ。入力順をガイダンスにより指定しなくても夫々を個別に入力するようガイダンスして、第2指の先端位置d1と踵部像の最後端位置d2を入力させても良い。また、ガイダンスを行わなくても熟練した操作者であれば、画面に表示された足裏の画像自体が先端位置d1と踵部像の最後端位置d2の入力を促すガイダンスとなる。この場合、前後の入力位置の関係から先端位置d1と踵部像の最後端位置d2を推定しても良い。
【0024】
〈基準点取得手段15〉
基準点取得手段15は、位置取得手段11と同様に、操作者に対し左側から順に基準点位置を入力するようにガイダンスを行い、操作者が指定する表示画面3a上の任意な点の位置情報を、取得して主記憶22に記憶させるものである。操作者に対する表示画面3a上の点の位置入力のガイダンスを行ったときに、操作者がマウス5によりポイントされる位置に位置入力用マークを表示画面3a上に表示させ、操作者がマウス5をクリックして位置を指定したときにその位置にXマークを表示して表示画面3a上に固定するとともに、位置情報を取得して主記憶22に記憶する。次に入力すべき位置情報があれば、操作者へのガイダンスとともに、マウス5が次にクリックされるのを待つ。複数の点の位置を入力するさいはそれぞれの点に対して同様な操作が行われる。これにより希望する任意な複数の点の位置情報がコンピュータ2に入力され記憶される。入力順をガイダンスにより指定しなくても夫々の基準点位置を個別に入力するようガイダンスしても良いし、左右の位置関係から推定しても良い。尚、熟練した操作者に対しては、一々点の入力をガイダンスしなくても、後述する基準線を画面上に描画するだけで、各基準位置の入力を促すガイダンスとしても良い。
【0025】
〈傾斜度合認識処理手段12〉
傾斜度合認識処理手段12は、位置取得手段11で入力された複数の点についての位置情報に基づいて、被測定者の足の左右傾斜度合を認識する。
【0026】
次に上記した足の左右傾斜度合について説明する。
図6は左右の足b1、b2で水平支持面8a上に立った人の右の足b1を示し、Aは左側面図でBは踵部を後方から見た図である。
【0027】
足b1の左右傾斜度合とは、踵部を後方から見たときの、踵骨f1の傾きの度合をいうものであり、例えば、踵骨f1の上下方向に沿った踵中心線g1と鉛直線g2とのなす角θの大きさで定義される。踵中心線g1は、下基準点h1と上基準点h2を結んだ直線である。このさい、下基準点h1は踵骨f1の下端部高さにあり踵部の左右方向の中央となる点であり、上基準点h2は踵骨f1の上端部高さにあり踵部の左右方向の中央となる点である。
【0028】
踵中心線g1が鉛直線g2に対し左回転側或いは右回転側の何れの側へ変位しているかを特定することで、足b1の内反や外反の度合を知ることができるのであり、このさい図6Bに示すように踵中心線g1が鉛直線g2に対し左回転側へ変位した状態が、外反であり、一方、踵中心線g1が鉛直線g2に対し右回転側へ変位した状態が、内反である。
したがって前角度θは、外反の場合には、後方から見たときの鉛直線g2から踵中心線g1に至るまでの左回転側への角度をいうものであり、また内反の場合には、後方から見たときの鉛直線g2から踵中心線g1に至るまでの右回転側への角度をいうものである。
【0029】
次に対応関係データ24について説明する。
発明者等は距離K2と距離K1との関係が、足の左右傾斜度合と密接な対応関係にあることを知ったのであり、これをさらに極めるべく実験を重ねていくと、踵部の平面視略中央箇所の距離K2と距離K1との距離関係が足の左右傾斜度合との間に、誰に対しても同一の結果が安定的に得られる対応関係のあることを見だした。この対応関係をデータ化したものが対応関係データ22である
【0030】
図7は距離K2と距離K1との関係と足の左右傾斜度合との対応関係を示すグラフである。横軸はK1/K2(あるいはK2/K1)の大きさを表し、縦軸は足の左右傾斜度合の大きさを表している。 ここにおいて、後述の内反の場合には、距離K2に対する距離K1の割合である「K1/K2」の値が利用され、また外反の場合には、距離K1に対する距離K2の割合である「K2/K1」の値が利用される。
【0031】
このグラフにおいて、曲線Qが対応関係を特定するものである。このさい、例えば、左右傾斜度合(角度θ)が2度であるときのK1/K2(あるいはK2/K1)の値N1、左右傾斜度合(角度)が3度であるときのK1/K2(あるいはK2/K1)の値N2、及び、左右傾斜度合(角度)が5度であるときのK1/K2(あるいはK2/K1)の値N3を予め特定しておく。
【0032】
この場合において、対応関係データ22は、K1/K2(あるいはK2/K1)の値がN1以上でN2未満であるときは、足の左右傾斜度合は小であり、また特K1/K2(あるいはK2/K1)の値がN2以上でN3未満であるときは、足の左右傾斜度合は中であり、またK1/K2(あるいはK2/K1)の値がN3以上であるときは、足の左右傾斜度合は大であると離散的に判定するのに使用される。
【0033】
〈基準線データ手段13〉
基準線データ手段13は、位置取得部11のガイダンスにより取得された位置情報の中から足b1の第2指先端位置d1と踵後端位置d2から距離F1を特定し、距離F1に基づいて基準線c7を表示画面3aに描画するよう画像処理手段10に指示する。
表示画面3aに表示された足b1の画像における踵部像の最後端位置d2から基準線c7までの距離をK3とすると、距離F1に対する距離K3の割合である「K3/F1」の値は、足が誰のものであるかに拘わらず略同一である。よって、基準線データ手段13は「K3/F1」が固定値として設定されており、特定した距離F1に基づきK3を演算し、基準線c7を表示させるものである。
基準線c7は、被験者の足b1がスキャナ7に対して方向a1(図2)の方向に略平行に置くように操作者が指示していることを前提として、方向a1に対して垂直に描画される。
【0034】
なお、上記した基準線c7の表示方法は一例に過ぎず、例えば第2指先端位置d1と踵後端位置d2の傾きによってc7をそれに合わせて傾くように描画しても差し支えない。
【0035】
〈部材選択情報作成手段14〉
部材選択情報作成手段14は、予め用意された複数種類の靴用付加部材の中から前記一方の足b1の左右傾斜度合(角度θ)に適合する靴用付加部材を選択するための部材選択情報を作成する。
具体的には、予め用意された複数種類の靴用付加部材と、足の左右傾斜度合及び足サイズとの対応関係が予め主記憶22にテーブル25として記憶されており、このテーブル25を参照して部材選択情報を作成する。
【0036】
図8は靴用付加部材を示すものでAは斜視図でBはX1−X1の断面図である。靴用付加部材は形態の異なる4種類のパッドp1、p2、p3、p4が用意される。その何れもが、ゴム程度の弾性を有し且つ厚さを2又は3mmいずれかの板状であって、その形状は、大きいもので靴の内底面を左右に割ったものの半分の大きさであり、小さなものは踵に部分の内底面を左右に割った大きさである。大きな部材から小さな部材までの種類の異なる部材を数種類用意するのである。また図8Bに示すように、本体部材16aの上面及び下面に糊剤16bを塗布されると共に糊剤16bを介して上下面のそれぞれに剥離紙16cが貼着されている。
【0037】
図9は予め用意された複数種類のパッドp1、p2、p3、p4と、足の左右傾斜度合及び足長との対応関係を示す部材選択情報S1、S3、S5、L2、L3、L5を示している。図中の右に行くほど左右傾斜度合が大きくなり、下に行くほど足長が長くなる。パッドp1、p2、p3、p4は、靴の規制品サイズ(足の全長を5mm刻みに設定されたもの)によって夫々用意するのではなく、大まかにLサイズ(大)、Sサイズ(小)に2種類に分けて夫々に用意されている。ここに、全長は足の前後方向に沿った方向a1の長さをいう。このような部材選択情報がテーブル25に予め設定されている。
【0038】
パッドp1、p2、p3、p4は、その使用枚数、厚さt及び全長は足の左右傾斜度合の小、中、大によって異なったものが、1又は複数選択される。具体的には次のとおりである。即ち、足の左右傾斜度合が小であるときはパッドp1又はp3が1枚使用される。パッドp1又はp3は、厚さが2mmで、全長L1が最も短く略10cm程度、幅B1は2cm程度である。また足の左右傾斜度合が中であるときはパッドp2又はp4が1枚使用される。パッドp2又はp4は厚さが3mmで、全長L11はL1よりも幾分長く、幅B11もB1より大きく3cm程度である。また足の左右傾斜度合が大であるときは、足の左右傾斜度合が小であるときに使用される1枚のパッドp1又はp3と、足の左右傾斜度合が中であるときに使用される1枚のパッドp2又はp4とからなる2枚が使用され、該使用のさいはこれら2枚が段重ねされてその合計厚さは5mmとなる。
【0039】
足の左右傾斜度合については、外反又は内反の何れの場合においても、左右傾斜度合が小である角度θの範囲は2度以上で3度未満であり、また左右傾斜度合が中である角度θの範囲は3度以上で5度未満であり、また左右傾斜度合が大である角度θの範囲は5度以上である。
【0040】
部材選択情報作成手段14は、足の左右傾斜度合、及び、距離F1から算出される足長に基づいて、図9に示すテーブル25の中からそれら左右傾斜度合及び足長に適合した靴用付加部材(パッド)を選択するための部材選択情報を特定する。
【0041】
部材選択情報は、足長が小で足の左右傾斜角度が小であるときは「s2」、また足長が小で足の左右傾斜角度が中であるときは「s3」、また足長が小で足の左右傾斜角度が大であるときは「s5」であり、また足長が大で足の左右傾斜角度が小であるときは「L2」、また足長が大で足の左右傾斜角度が中であるときは「L3」、また足長が大で足の左右傾斜角度が大であるときは「L5」である。部材選択情報作成手段14により選択された情報は、画像処理手段10に渡され表示画面2a上に表示される。
【0042】
次に、靴の小売店において実施される靴のカスタマイズ化サービスにつき、本実施例の装置の動作を元に図10を参照して説明する。
【0043】
先ずステップ1(s1)において、位置取得手段11が実行され操作者に対するガイダンスがモニタ2に表示される。はじめのガイダンスは、スキャナ7の存在する側の水平支持面8a上に足b1を乗せるように促すものである。このガイダンスを見た操作者は、靴の購入を希望する被験者に対して、スキャナ7上に足を乗せることを指示する。
【0044】
図2に示すように、一方の足b1をスキャナ7の存在する側の水平支持面8a上に載せ、他方の足b2を他側の水平支持面9a上に載せ、左右の足b1、b2で水平支持面8a、9a上に自然に立つよう、被験者に対して指示するようにガイダンスを表示する。一方の足b1の前後方向と、スキャナ7の撮像素子の移動方向a1とは、目視でほぼ正確と認識される程度の精度で合致させる。操作者を予め装置の使用説明により教育しておけば、このガイダンスを省略しても良い。
【0045】
ステップ2(s2)において、操作者に対してスキャナ7を作動させるようにガイダンスにより促す。
【0046】
ステップ3(s3)において、画像処理手段10はスキャナ7から画像情報を受け取って表示画面3aに足の画像を表示する。
【0047】
ステップ4(s4)において、位置取得手段11は位置入力用マークを表示画面3a上に表示させ、操作者に対してマウス5を操作することにより、足の画像の中でどの位置が2つの位置d1、d2に対応するものであるかを指定するようガイダンスを表示する。このガイダンスに促され、操作者は、位置d1、d2と観察されるそれぞれに対し位置入力用表示マークを合致させてクリックする。これにより位置取得手段11は2つの位置d1、d2についての位置情報を入力し主記憶22に記憶させる。
【0048】
ステップ5(s5)に移行し、基準線データ手段13が距離F1を算出し、距離F1に基づいて表示画面3aに基準線c7を表示させる。
【0049】
ステップ6(s6)において、基準点取得手段15は位置入力用マークを表示画面3a上に表示させ、操作者に対してマウス5を操作することにより、表示画面3aの基準線c7上のどの位置が4つの位置e1、e2、e3、e4に対応する位置であるかを指定するようにガイダンスを表示する。操作者は、このガイダンスに促されて位置e1、e2、e3、e4と観察されるそれぞれに対し位置入力用表示マークを合致させてクリックする。
これにより位置取得手段11は各位置e1、e2、e3、e4についての位置情報を入力し主記手段22に記憶させる。
【0050】
ステップ7(s7)に移行し、傾斜度合認識表示出力手段12は顧客の一方の足b1の左右傾斜度合(角度θ)を認識する。このさい、必要であれば、左右傾斜度合を角度や、大、中、小などの文字により表示画面3a上に表示させてもよい。
【0051】
次にステップ8(s8)に移行し、部材選択情報作成手段14が前記画像c1上の距離F1(足長に対応するもの)と足d1の左右傾斜度合とに基づいて、顧客の一方の足d1に適合するパッドp1、p2、p3、p4を選択するための部材選択情報を認識し表示画面3aに表示させる。
なお、一方の足b1についてのパッドp1、p2、p3、p4が特定されたときは、他方の足b2について前記一方の足b1の場合に準じた手順を行うことにより該他方の足b2についてのパッドp1、p2、p3、p4が特定される。
これにより、操作者においては、靴のカスタマイズ化に必要な情報が取得できたことになる。
【0052】
次に、選択されたパッドp1、p2、p3、p4を使用して靴を調整する処理について図11及び図12を参照して説明する。図11はパッドで調整された靴を示しAは側面図でBはx2−x2部の切断端面図であり、図12はパッドの使用状態説明図である。
【0053】
足の左右傾斜がないとして製造された既製の靴の中から顧客の足のサイズに合うものが選定されているとする。この選定された靴に対して、上記手順で選択されたパッド(p1、p2、p3、p4のうちの何れか1枚または種類の異なる複数枚によるものであり、以下、特定パッドという)が使用されるのであり、特定パッドは図11に示すように、靴の内底面m1と靴用中敷n1との間箇所で内底面m1の踵支持面部の左右一側に固着される。
【0054】
この固着にさいしては、例えば、靴用中敷n1を靴の内底面m1から部分的に剥がし、この状態で剥離紙16cの剥離された状態の特定パッドを内底面m1の踵支持面部の左右一側に接着して固定させ、この後、靴用中敷n1を元位置に戻すように変位させ特定パッドの上面に押さえつけて接着させる。2枚のパッドを使用する場合は、小さなパッドを下にし、大きなパッドを小さなパッドの全面を被せるようにする。このさい、靴の中心線の方に大きなパッドが小さなパッドから乗り出すようにした方が被験者に段差を感じさせ難くする。
【0055】
靴を履き心地のよい状態に調整したいときは、足裏と靴用中敷n1の上面とを馴染みよくするように処理する。このため、上記足の左右傾斜から足が内反であると判定された場合は、該特定パッドを踵部下面の内側の真下箇所、即ち図12に示す右足用の靴wの場合には図中の左半分範囲r1内に固定させる。一方、上記とは逆に足が外反であると判定された場合は、特定パッドを上下反転して踵部下面の外側の真下箇所、即ち図12に示す右足用の靴の場合には図中の右半分範囲r2内に固定させる。
【0056】
さらに、足の左右傾斜度合が小であるときは1枚のパッドp1又はp3を固定し、また該傾斜度合が中であるときは一枚のパッドp2又はp4を固定し、また該傾斜度合が大であるときは例えば図12Aに示すように1枚のパッドp1又はp3、及び、1枚のパッドp2又はp4を段重ね状に固定する。
【0057】
上記実施例に対して、次のように変形することができる。
(1)基準線c7は図3における直線c5と直線c6を認識させ、これら直線c5、c6から求めてもよい。
【0058】
(2)図7に示す値N1、N2、N3や、足の左右傾斜の角度θの程度を示す大、中、小のそれぞれの区分の範囲や、区分の数は任意に変更して差し支えない。
【0059】
(3)足の左右傾斜度から、図7に示す対応関係を示す印刷物などを使用して人為的に、該足の左右傾斜度合に対応したパッドp1、p2、p3、p4を特定することも差し支えない。
【0060】
(4)プログラム26にて実現された画像処理手段10、位置取得手段11、基準点取得手段15、傾斜度合認識処理手段12、基準線データ手段13、部材選択情報作成手段14を、ファーム、ワイヤードロジック等のハードウェアによって実現しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施例に係るカスタマイズ支援装置100の説明図である。
【図2】足撮像手段1の使用状態を示す斜視図である。
【図3】左右の足で水平支持面上に立った人の右の足の画像などを示した図である。
【図4】左右傾斜のない正常な足の一部の画像などを示した図である。
【図5】不正常な踵部の画像などを示す図である。
【図6】左右の足で水平支持面上に立った人の右の足を示し、Aは左側面図でBは踵部を後方から見た図である。
【図7】特定形状依存情報と足の左右傾斜度合との対応関係を示すグラフである。
【図8】パッドを示すものでAは斜視図でBはX1−X1の断面図である。
【図9】パッドと、足の左右傾斜度合及び足長との対応関係データを示す図である。
【図10】左右傾斜のない正常な足の一部の画像などを示した図である。
【図11】パッドで調整された靴を示しAは側面図でBはx2−x2部の切断端面図である。
【図12】パッドの使用状態説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 撮像手段
3 表示手段
3a 表示面部
7 スキャナ
8a 水平支持面
9a 水平支持面
11 位置入力手段
12 傾斜度合認識出力手段
13 基準線認識表示手段
14 部材選択情報作成手段
15 部材情報表示手段
16b 糊剤
16c 剥離紙
100 足の左右傾斜度合判定装置
θ 左右傾斜度合を示す角度
K1 一側の非接触箇所像の左右方向長さ
K2 他側の非接触箇所像の左右方向長さ
b1 右の足
b2 左の足
c5 足の左右の踝を結んだ直線
c7 左右方向線(基準線)
d2 踵部の平面視略最後端位置
e1〜e4 4つの特定点
m1 靴の内底面
n1 靴用中敷
p1〜p4 靴用付加部材
w 靴
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の左右傾斜度合に基づいて靴をカスタマイズ化する支援方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
足の左右傾斜に合った靴を着用することは、靴の履き心地を良くするばかりでなく、足や下肢へ無理な力が作用するのを回避して、身体の健康を維持する上でも重要である。
【0003】
従来の、足の左右傾斜度合の測定は、例えば、特許文献1及び2に開示されているように、足の背面から見たときの踵骨の上端部と下端部とを触診で確認し、両点を結ぶ線を皮膚上に描き、この線の左右傾斜角度を分度器などで測定している。
【0004】
特許文献3には、足の形状を三次元で計測するものが開示されている。この計測によって得た足の形状の三次元データに基づいて、踵部断面を含む、前後方向むきの、足の二次元断面を求め、該二次元断面の左右方向における中心線を求め、該中心線の左右傾斜角度から該足の左右傾斜度合を求めるようにするのである。
【特許文献1】特開2001−104005号公報(3頁、図2)
【特許文献2】特開2004−786号公報(4頁、図1)
【特許文献3】特開2004−305374号公報(6頁、図5など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2に開示されている方法によるときは、測定者の専門的知識や経験なくしては正確な測定を行い難いという欠点があり、また上記特許文献3に開示されている方法によるときは、三次元計測器が必要となる。このような従来の技術においては、一般の靴の小売店舗などで顧客の足の左右傾斜度合を測定し、測定結果に基づいて靴をカスタマイズ化するサービスを提供することは困難である。
【0006】
発明者は人の足の左右傾斜度合を簡易に把握する方法について鋭意、実験や研究をしている過程で、次のようなことに気づいたのである。
【0007】
即ち、人が左右の足で水平支持面上に起立している状態において、足の何れか一方を下方から見たときの該足の踵部のうち、水平支持面と密着してない箇所の平面視形状から求められる形状依存情報の大きさが定まれば、足の左右傾斜度合が一意的に特定され、形状依存情報の大きさが同じあれば個人の特質によらず左右傾斜度合は同一となって、実用上支障のない程度の精度で測定できるものとなるのである。
【0008】
本発明は、斯かる事実に基づいて創案されたものであって、その目的とするところは、たとえ身体の専門知識や測定の経験に乏しくても人の足の左右傾斜度合を必要な精度で且つ三次元計測器や分度器を使用しないでも簡便に求めることを可能にし、小売店舗における靴のカスタマイズ化を実行する支援を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカスタマイズ化支援システムは、操作者への指示を与える表示手段と、操作者がポインティングする前記表示画面の中の任意の点座標を入力する入力手段と、を有する靴のカスタマイズ化支援システムにおいて、透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像して2次元濃淡画像を得るスキャナと、被験者が足裏を前記透過板に接触させた際に前記スキャナから得られた被験者の足裏の2次元濃淡画像を取得し、前記2次元濃淡画像を前記表示手段に表示させる手段と、操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の指先先端と踵後端の位置座標を取得する位置入力手段と、被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を前記表示手段に表示させ、操作者が前記入力手段により指示した前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を取得する基準点取得手段と、前記取得した左右の取得座標に基づき被験者の足の傾きを算出して、予め定められた複数の離散値のうちいずれか選択し前記表示手段に表示する選択情報作成手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のカスタマイズ化支援方法は、スキャナの透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像し、操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標を特定し、特定された被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を描き、前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を特定し、前記特定した左右の取得座標に基づき、第1と第2の取得座標との間の距離を左右夫々算出し、靴底の踵部分の左右を半分に割った大きさから靴底左右に割ったものの半分の大きさまでの大きさの異なる板材を複数種用意し、各個人の足の傾きに対する前記複数種の板材の1又は複数の組み合わせを設定し、前記算出された左右の距離の相違に基づき前記離散値の一つを選択し、選択された板材を靴の内底に張り合わせることにより靴のカスタマイズ化を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明によれば、指示された入力項目を設定していくだけで足の左右傾斜度合を特定できることから、たとえ身体についての専門知識や測定の経験が乏しい一般小売業者においても、既製の靴を顧客の足に適合した靴を提供するサービスを実施することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明おいて、操作者とは、本実施例において支援をうける小売店舗の店員であり、被験者とは既製品靴をカスタマイズ化される小売店の顧客である。
【0013】
図1に本実施例に係る靴のカスタマイズ支援装置100を示す。カスタマイズ支援装置100は、撮像手段1、コンピュータ2、モニタ3、キーボード4、マウス5を備えおり、その機能の一部分はハードディスク24内のソフトウェアプログラム26により実現される。ソフトウェアプログラム26は、コンピュータ2が読み取り可能なCD、DVD等の媒体に記憶されて提供され、ハードディスク24に格納される。
【0014】
〈撮像手段1〉
上記 撮像手段1は、左右の足で水平支持面上に起立している人の少なくとも一方の足を下方から撮像するものである。図2は撮像手段1の具体例を示している。上面の開放された箱体6の内方にスキャナ7が撮像面を上側に配置されて収納されている。スキャナ7は、上面のガラス面に載置された対象物を2次元スキャンするフラットベッド型のイメージスキャナであって、パーソナルコンピュータ用に市販されているものが使用できる。スキャナ7は、ガラス面に対象物を載置した際にその上に被せるカバーが取り外して箱体6に設定される。箱体6の上面はスキャナ7を覆うようにガラス又は合成樹脂材などの透光板部材が固定状に配置されている。この透光板部材は、人間の体重が直接スキャナ7にかからないよう比較的強靱な材質であり、スキャナ7の上面に水平支持面8aを提供する。本実施例の使用目的においては、スキャナ7の焦点深度は、足の踝までの深さがあれば良い。
【0015】
スキャナ7は、ランプ光が当てられた人の一方の足b1からの反射光を前後方向a1へ水平移動しながらスキャンする撮像素子を具備し、撮像素子から撮像情報を出力する。
前記一方の足b1の反対側の足b2を載せるために支持台9が設けられており、その上面となる水平支持面9aは水平支持面8aと同一高さの水平面である。
図2には右の足b1を撮像するさいの状態を示しており、左の足b2を撮像する場合は箱体6と支持台9の位置を左右逆配置するか、予め右にも支持台9を設けておき左の足b2を水平支持面8a上に載せるようにする。
【0016】
図3は左右の足b1、b2で水平支持面8a、9a上に立った人の右の足b1を撮像手段1で撮像し表示画面3aに表示させた足b1の画像c1を示している。画像c1は、被験者がスキャナ7の上にそのまま足を乗せることから、スキャナ7の水平支持面8aに直接接触する部分のほかに、水平支持面8aから踝付近まで離れた位置のところの高さまで反射光が取得されて薄っすらと撮像されており、接触部分とはことなる濃淡の画像で撮像されている。この踝付近まで離れた位置まで撮像された範囲を囲む線を外形線と呼ぶ。外形線を観察するあたり、被験者が色の濃い靴下を履いていると背景との区別が付かなくなるので脱いでもらう必要がある。しかしながら被験者が肌色に近い色のストッキングを履いる状態では影響を受けない。
【0017】
図中、符号c2は足b1の外形線を示し、符号c3は水平支持面8aに接触した部分の外周囲を囲む境界線を示し、符号c4は第2指の先端位置d1と踵部像の最後端位置d2とを結んだ直線を示す。足裏の指先先端として先端位置d1を、踵後端の位置を最後端位置d2としたとき、先端位置d1から最後端位置d2までの距離F1が足長に対応した長さとなる(平均的には第1指が長いが、被験者によっては第2指が長い場合もある。いずれにしても最長となる位置をd1とする)。また符号c5は内外の踝の最大離反位置を結んだ直線を示し、符号c6は踵部像の最後端位置d2を通る左右方向線を示し、符号c7は直線c5と直線c6との前後方向距離の略中間点(踵部像の平面視略中央箇所)を通る左右方向線を示している。左右方向線c7は後述する基準点取得手段15で位置情報を入力する点の位置を決めるさいの基準線をなすものであり、基準線c7は詳細を後述する基準線データ手段13により求められ表示画面3aに表示される。なお、直線c4、直線c5及び直線c6は表示画面3aに表示されるものではない。
【0018】
表示画面3aに表示された足b1の画像において、足b1の外形線c2よりも外側は撮像手段1のランプ光が反射されないため濃い黒色となり、外形線c2よりも内方は前記ランプ光が反射されるため比較的明るい色(濃淡)となる。したがって、操作者は外形線c2を肉眼により明確に認識できる。また足b1が水平支持面8aに接触した部分(接触箇所)である境界線c3内の部分は極めて明るい色(濃淡)になり、一方、足b1が水平支持面8aから離れた部分(非接触箇所)である外形線c2と境界線c3との間の部分は前記接触箇所に較べ、比較的暗い色になる。したがって、操作者は境界線c3を肉眼により、明確に認識できる。
【0019】
図4は図3の足b1の画像c1の一部を拡大して示したものである。いま、基準線c7と、外形線c2及び境界線c3との交点した点の位置を、図4中の左側から順に符号e1、符号e2、符号e3、符号e4で表し、符号e1、符号e2、符号e3、符号e4を基準点と呼びその位置を基準点位置と呼ぶことにする。また位置e1から位置e2までの距離を符号K1で、そして位置e3から位置e4までの距離を符号K2で表すものとする。
【0020】
図4は左右傾斜のない正常な足b1の画像を示しており、この場合は距離K1と距離K2は概ね同一となっている。一方、図5は表示画面3aに表示された不正常な足b1の踵部の画像である。図5Aは足b1が内反となっている場合の足b1の踵部の画像であるが、この場合には距離K1が距離K2よりも小さくなり、また図5Bは足b1が外反となっている場合の足b1の踵部の画像であるが、この場合には距離K2が距離K1よりも小さくなる。したがって内反又は外反の何れであっても形状情報の値は「0〜1」の範囲内の大きさとなる。
【0021】
〈コンピュータ2〉
コンピュータ2は、CPU21、主記憶22、入出力コントローラ23を有する通常のパーソナルコンピュータが利用できる。主記憶22にはCPU21により実行されるプログラム26がハードディスク24からロードされている。プログラム26は、主記憶22にロードされた際に、以下に説明する画像処理手段10、位置取得手段11、基準点取得手段15、傾斜度合認識処理手段12、基準線データ手段13、部材選択情報作成手段14の各ルーチンを有する。また、主記憶22には、後述するテーブル25が保持される。
【0022】
〈画像処理手段10〉
画像処理手段10は、モニタ3の表示画面3aに表示する情報を保持するものであり、後述する操作者への入力指示情報、操作者からの入力情報、処理結果の情報を、撮像手段1から送られた足b1又はb2の画像情報に重ね合わせてもモニタ3に表示させる。表示画面3a上に表示させる画像情報としては、多数色カラー画像情報であっても或いは無彩色などの濃淡画像情報であっても差し支えない。
【0023】
〈位置取得手段11〉
位置取得手段11は、まず、スキャナ7の存在する側の水平支持面8a上に足b1を乗せるようにガイダンスを表示画面3a上に表示させる。そして、先端位置d1と踵部像の最後端位置d2を順に入力すべきガイダンスを行い、操作者が指定する表示画面3a上の任意な点の位置情報を取得して主記憶22に記憶させるものである。操作者に対する表示画面3a上の点の位置入力のガイダンスを行ったときに、操作者がマウス5によりポイントされる位置に位置入力用マークを表示画面3a上に表示させ、操作者がマウス5をクリックして位置を指定したときにその位置にXマークを表示して表示画面3a上に固定するとともに、位置情報を取得して先端位置d1と踵部像の最後端位置d2として主記憶22に記憶する。次に入力すべき位置情報があれば、操作者へのガイダンスとともに、マウス5が次にクリックされるのを待つ。入力順をガイダンスにより指定しなくても夫々を個別に入力するようガイダンスして、第2指の先端位置d1と踵部像の最後端位置d2を入力させても良い。また、ガイダンスを行わなくても熟練した操作者であれば、画面に表示された足裏の画像自体が先端位置d1と踵部像の最後端位置d2の入力を促すガイダンスとなる。この場合、前後の入力位置の関係から先端位置d1と踵部像の最後端位置d2を推定しても良い。
【0024】
〈基準点取得手段15〉
基準点取得手段15は、位置取得手段11と同様に、操作者に対し左側から順に基準点位置を入力するようにガイダンスを行い、操作者が指定する表示画面3a上の任意な点の位置情報を、取得して主記憶22に記憶させるものである。操作者に対する表示画面3a上の点の位置入力のガイダンスを行ったときに、操作者がマウス5によりポイントされる位置に位置入力用マークを表示画面3a上に表示させ、操作者がマウス5をクリックして位置を指定したときにその位置にXマークを表示して表示画面3a上に固定するとともに、位置情報を取得して主記憶22に記憶する。次に入力すべき位置情報があれば、操作者へのガイダンスとともに、マウス5が次にクリックされるのを待つ。複数の点の位置を入力するさいはそれぞれの点に対して同様な操作が行われる。これにより希望する任意な複数の点の位置情報がコンピュータ2に入力され記憶される。入力順をガイダンスにより指定しなくても夫々の基準点位置を個別に入力するようガイダンスしても良いし、左右の位置関係から推定しても良い。尚、熟練した操作者に対しては、一々点の入力をガイダンスしなくても、後述する基準線を画面上に描画するだけで、各基準位置の入力を促すガイダンスとしても良い。
【0025】
〈傾斜度合認識処理手段12〉
傾斜度合認識処理手段12は、位置取得手段11で入力された複数の点についての位置情報に基づいて、被測定者の足の左右傾斜度合を認識する。
【0026】
次に上記した足の左右傾斜度合について説明する。
図6は左右の足b1、b2で水平支持面8a上に立った人の右の足b1を示し、Aは左側面図でBは踵部を後方から見た図である。
【0027】
足b1の左右傾斜度合とは、踵部を後方から見たときの、踵骨f1の傾きの度合をいうものであり、例えば、踵骨f1の上下方向に沿った踵中心線g1と鉛直線g2とのなす角θの大きさで定義される。踵中心線g1は、下基準点h1と上基準点h2を結んだ直線である。このさい、下基準点h1は踵骨f1の下端部高さにあり踵部の左右方向の中央となる点であり、上基準点h2は踵骨f1の上端部高さにあり踵部の左右方向の中央となる点である。
【0028】
踵中心線g1が鉛直線g2に対し左回転側或いは右回転側の何れの側へ変位しているかを特定することで、足b1の内反や外反の度合を知ることができるのであり、このさい図6Bに示すように踵中心線g1が鉛直線g2に対し左回転側へ変位した状態が、外反であり、一方、踵中心線g1が鉛直線g2に対し右回転側へ変位した状態が、内反である。
したがって前角度θは、外反の場合には、後方から見たときの鉛直線g2から踵中心線g1に至るまでの左回転側への角度をいうものであり、また内反の場合には、後方から見たときの鉛直線g2から踵中心線g1に至るまでの右回転側への角度をいうものである。
【0029】
次に対応関係データ24について説明する。
発明者等は距離K2と距離K1との関係が、足の左右傾斜度合と密接な対応関係にあることを知ったのであり、これをさらに極めるべく実験を重ねていくと、踵部の平面視略中央箇所の距離K2と距離K1との距離関係が足の左右傾斜度合との間に、誰に対しても同一の結果が安定的に得られる対応関係のあることを見だした。この対応関係をデータ化したものが対応関係データ22である
【0030】
図7は距離K2と距離K1との関係と足の左右傾斜度合との対応関係を示すグラフである。横軸はK1/K2(あるいはK2/K1)の大きさを表し、縦軸は足の左右傾斜度合の大きさを表している。 ここにおいて、後述の内反の場合には、距離K2に対する距離K1の割合である「K1/K2」の値が利用され、また外反の場合には、距離K1に対する距離K2の割合である「K2/K1」の値が利用される。
【0031】
このグラフにおいて、曲線Qが対応関係を特定するものである。このさい、例えば、左右傾斜度合(角度θ)が2度であるときのK1/K2(あるいはK2/K1)の値N1、左右傾斜度合(角度)が3度であるときのK1/K2(あるいはK2/K1)の値N2、及び、左右傾斜度合(角度)が5度であるときのK1/K2(あるいはK2/K1)の値N3を予め特定しておく。
【0032】
この場合において、対応関係データ22は、K1/K2(あるいはK2/K1)の値がN1以上でN2未満であるときは、足の左右傾斜度合は小であり、また特K1/K2(あるいはK2/K1)の値がN2以上でN3未満であるときは、足の左右傾斜度合は中であり、またK1/K2(あるいはK2/K1)の値がN3以上であるときは、足の左右傾斜度合は大であると離散的に判定するのに使用される。
【0033】
〈基準線データ手段13〉
基準線データ手段13は、位置取得部11のガイダンスにより取得された位置情報の中から足b1の第2指先端位置d1と踵後端位置d2から距離F1を特定し、距離F1に基づいて基準線c7を表示画面3aに描画するよう画像処理手段10に指示する。
表示画面3aに表示された足b1の画像における踵部像の最後端位置d2から基準線c7までの距離をK3とすると、距離F1に対する距離K3の割合である「K3/F1」の値は、足が誰のものであるかに拘わらず略同一である。よって、基準線データ手段13は「K3/F1」が固定値として設定されており、特定した距離F1に基づきK3を演算し、基準線c7を表示させるものである。
基準線c7は、被験者の足b1がスキャナ7に対して方向a1(図2)の方向に略平行に置くように操作者が指示していることを前提として、方向a1に対して垂直に描画される。
【0034】
なお、上記した基準線c7の表示方法は一例に過ぎず、例えば第2指先端位置d1と踵後端位置d2の傾きによってc7をそれに合わせて傾くように描画しても差し支えない。
【0035】
〈部材選択情報作成手段14〉
部材選択情報作成手段14は、予め用意された複数種類の靴用付加部材の中から前記一方の足b1の左右傾斜度合(角度θ)に適合する靴用付加部材を選択するための部材選択情報を作成する。
具体的には、予め用意された複数種類の靴用付加部材と、足の左右傾斜度合及び足サイズとの対応関係が予め主記憶22にテーブル25として記憶されており、このテーブル25を参照して部材選択情報を作成する。
【0036】
図8は靴用付加部材を示すものでAは斜視図でBはX1−X1の断面図である。靴用付加部材は形態の異なる4種類のパッドp1、p2、p3、p4が用意される。その何れもが、ゴム程度の弾性を有し且つ厚さを2又は3mmいずれかの板状であって、その形状は、大きいもので靴の内底面を左右に割ったものの半分の大きさであり、小さなものは踵に部分の内底面を左右に割った大きさである。大きな部材から小さな部材までの種類の異なる部材を数種類用意するのである。また図8Bに示すように、本体部材16aの上面及び下面に糊剤16bを塗布されると共に糊剤16bを介して上下面のそれぞれに剥離紙16cが貼着されている。
【0037】
図9は予め用意された複数種類のパッドp1、p2、p3、p4と、足の左右傾斜度合及び足長との対応関係を示す部材選択情報S1、S3、S5、L2、L3、L5を示している。図中の右に行くほど左右傾斜度合が大きくなり、下に行くほど足長が長くなる。パッドp1、p2、p3、p4は、靴の規制品サイズ(足の全長を5mm刻みに設定されたもの)によって夫々用意するのではなく、大まかにLサイズ(大)、Sサイズ(小)に2種類に分けて夫々に用意されている。ここに、全長は足の前後方向に沿った方向a1の長さをいう。このような部材選択情報がテーブル25に予め設定されている。
【0038】
パッドp1、p2、p3、p4は、その使用枚数、厚さt及び全長は足の左右傾斜度合の小、中、大によって異なったものが、1又は複数選択される。具体的には次のとおりである。即ち、足の左右傾斜度合が小であるときはパッドp1又はp3が1枚使用される。パッドp1又はp3は、厚さが2mmで、全長L1が最も短く略10cm程度、幅B1は2cm程度である。また足の左右傾斜度合が中であるときはパッドp2又はp4が1枚使用される。パッドp2又はp4は厚さが3mmで、全長L11はL1よりも幾分長く、幅B11もB1より大きく3cm程度である。また足の左右傾斜度合が大であるときは、足の左右傾斜度合が小であるときに使用される1枚のパッドp1又はp3と、足の左右傾斜度合が中であるときに使用される1枚のパッドp2又はp4とからなる2枚が使用され、該使用のさいはこれら2枚が段重ねされてその合計厚さは5mmとなる。
【0039】
足の左右傾斜度合については、外反又は内反の何れの場合においても、左右傾斜度合が小である角度θの範囲は2度以上で3度未満であり、また左右傾斜度合が中である角度θの範囲は3度以上で5度未満であり、また左右傾斜度合が大である角度θの範囲は5度以上である。
【0040】
部材選択情報作成手段14は、足の左右傾斜度合、及び、距離F1から算出される足長に基づいて、図9に示すテーブル25の中からそれら左右傾斜度合及び足長に適合した靴用付加部材(パッド)を選択するための部材選択情報を特定する。
【0041】
部材選択情報は、足長が小で足の左右傾斜角度が小であるときは「s2」、また足長が小で足の左右傾斜角度が中であるときは「s3」、また足長が小で足の左右傾斜角度が大であるときは「s5」であり、また足長が大で足の左右傾斜角度が小であるときは「L2」、また足長が大で足の左右傾斜角度が中であるときは「L3」、また足長が大で足の左右傾斜角度が大であるときは「L5」である。部材選択情報作成手段14により選択された情報は、画像処理手段10に渡され表示画面2a上に表示される。
【0042】
次に、靴の小売店において実施される靴のカスタマイズ化サービスにつき、本実施例の装置の動作を元に図10を参照して説明する。
【0043】
先ずステップ1(s1)において、位置取得手段11が実行され操作者に対するガイダンスがモニタ2に表示される。はじめのガイダンスは、スキャナ7の存在する側の水平支持面8a上に足b1を乗せるように促すものである。このガイダンスを見た操作者は、靴の購入を希望する被験者に対して、スキャナ7上に足を乗せることを指示する。
【0044】
図2に示すように、一方の足b1をスキャナ7の存在する側の水平支持面8a上に載せ、他方の足b2を他側の水平支持面9a上に載せ、左右の足b1、b2で水平支持面8a、9a上に自然に立つよう、被験者に対して指示するようにガイダンスを表示する。一方の足b1の前後方向と、スキャナ7の撮像素子の移動方向a1とは、目視でほぼ正確と認識される程度の精度で合致させる。操作者を予め装置の使用説明により教育しておけば、このガイダンスを省略しても良い。
【0045】
ステップ2(s2)において、操作者に対してスキャナ7を作動させるようにガイダンスにより促す。
【0046】
ステップ3(s3)において、画像処理手段10はスキャナ7から画像情報を受け取って表示画面3aに足の画像を表示する。
【0047】
ステップ4(s4)において、位置取得手段11は位置入力用マークを表示画面3a上に表示させ、操作者に対してマウス5を操作することにより、足の画像の中でどの位置が2つの位置d1、d2に対応するものであるかを指定するようガイダンスを表示する。このガイダンスに促され、操作者は、位置d1、d2と観察されるそれぞれに対し位置入力用表示マークを合致させてクリックする。これにより位置取得手段11は2つの位置d1、d2についての位置情報を入力し主記憶22に記憶させる。
【0048】
ステップ5(s5)に移行し、基準線データ手段13が距離F1を算出し、距離F1に基づいて表示画面3aに基準線c7を表示させる。
【0049】
ステップ6(s6)において、基準点取得手段15は位置入力用マークを表示画面3a上に表示させ、操作者に対してマウス5を操作することにより、表示画面3aの基準線c7上のどの位置が4つの位置e1、e2、e3、e4に対応する位置であるかを指定するようにガイダンスを表示する。操作者は、このガイダンスに促されて位置e1、e2、e3、e4と観察されるそれぞれに対し位置入力用表示マークを合致させてクリックする。
これにより位置取得手段11は各位置e1、e2、e3、e4についての位置情報を入力し主記手段22に記憶させる。
【0050】
ステップ7(s7)に移行し、傾斜度合認識表示出力手段12は顧客の一方の足b1の左右傾斜度合(角度θ)を認識する。このさい、必要であれば、左右傾斜度合を角度や、大、中、小などの文字により表示画面3a上に表示させてもよい。
【0051】
次にステップ8(s8)に移行し、部材選択情報作成手段14が前記画像c1上の距離F1(足長に対応するもの)と足d1の左右傾斜度合とに基づいて、顧客の一方の足d1に適合するパッドp1、p2、p3、p4を選択するための部材選択情報を認識し表示画面3aに表示させる。
なお、一方の足b1についてのパッドp1、p2、p3、p4が特定されたときは、他方の足b2について前記一方の足b1の場合に準じた手順を行うことにより該他方の足b2についてのパッドp1、p2、p3、p4が特定される。
これにより、操作者においては、靴のカスタマイズ化に必要な情報が取得できたことになる。
【0052】
次に、選択されたパッドp1、p2、p3、p4を使用して靴を調整する処理について図11及び図12を参照して説明する。図11はパッドで調整された靴を示しAは側面図でBはx2−x2部の切断端面図であり、図12はパッドの使用状態説明図である。
【0053】
足の左右傾斜がないとして製造された既製の靴の中から顧客の足のサイズに合うものが選定されているとする。この選定された靴に対して、上記手順で選択されたパッド(p1、p2、p3、p4のうちの何れか1枚または種類の異なる複数枚によるものであり、以下、特定パッドという)が使用されるのであり、特定パッドは図11に示すように、靴の内底面m1と靴用中敷n1との間箇所で内底面m1の踵支持面部の左右一側に固着される。
【0054】
この固着にさいしては、例えば、靴用中敷n1を靴の内底面m1から部分的に剥がし、この状態で剥離紙16cの剥離された状態の特定パッドを内底面m1の踵支持面部の左右一側に接着して固定させ、この後、靴用中敷n1を元位置に戻すように変位させ特定パッドの上面に押さえつけて接着させる。2枚のパッドを使用する場合は、小さなパッドを下にし、大きなパッドを小さなパッドの全面を被せるようにする。このさい、靴の中心線の方に大きなパッドが小さなパッドから乗り出すようにした方が被験者に段差を感じさせ難くする。
【0055】
靴を履き心地のよい状態に調整したいときは、足裏と靴用中敷n1の上面とを馴染みよくするように処理する。このため、上記足の左右傾斜から足が内反であると判定された場合は、該特定パッドを踵部下面の内側の真下箇所、即ち図12に示す右足用の靴wの場合には図中の左半分範囲r1内に固定させる。一方、上記とは逆に足が外反であると判定された場合は、特定パッドを上下反転して踵部下面の外側の真下箇所、即ち図12に示す右足用の靴の場合には図中の右半分範囲r2内に固定させる。
【0056】
さらに、足の左右傾斜度合が小であるときは1枚のパッドp1又はp3を固定し、また該傾斜度合が中であるときは一枚のパッドp2又はp4を固定し、また該傾斜度合が大であるときは例えば図12Aに示すように1枚のパッドp1又はp3、及び、1枚のパッドp2又はp4を段重ね状に固定する。
【0057】
上記実施例に対して、次のように変形することができる。
(1)基準線c7は図3における直線c5と直線c6を認識させ、これら直線c5、c6から求めてもよい。
【0058】
(2)図7に示す値N1、N2、N3や、足の左右傾斜の角度θの程度を示す大、中、小のそれぞれの区分の範囲や、区分の数は任意に変更して差し支えない。
【0059】
(3)足の左右傾斜度から、図7に示す対応関係を示す印刷物などを使用して人為的に、該足の左右傾斜度合に対応したパッドp1、p2、p3、p4を特定することも差し支えない。
【0060】
(4)プログラム26にて実現された画像処理手段10、位置取得手段11、基準点取得手段15、傾斜度合認識処理手段12、基準線データ手段13、部材選択情報作成手段14を、ファーム、ワイヤードロジック等のハードウェアによって実現しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施例に係るカスタマイズ支援装置100の説明図である。
【図2】足撮像手段1の使用状態を示す斜視図である。
【図3】左右の足で水平支持面上に立った人の右の足の画像などを示した図である。
【図4】左右傾斜のない正常な足の一部の画像などを示した図である。
【図5】不正常な踵部の画像などを示す図である。
【図6】左右の足で水平支持面上に立った人の右の足を示し、Aは左側面図でBは踵部を後方から見た図である。
【図7】特定形状依存情報と足の左右傾斜度合との対応関係を示すグラフである。
【図8】パッドを示すものでAは斜視図でBはX1−X1の断面図である。
【図9】パッドと、足の左右傾斜度合及び足長との対応関係データを示す図である。
【図10】左右傾斜のない正常な足の一部の画像などを示した図である。
【図11】パッドで調整された靴を示しAは側面図でBはx2−x2部の切断端面図である。
【図12】パッドの使用状態説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 撮像手段
3 表示手段
3a 表示面部
7 スキャナ
8a 水平支持面
9a 水平支持面
11 位置入力手段
12 傾斜度合認識出力手段
13 基準線認識表示手段
14 部材選択情報作成手段
15 部材情報表示手段
16b 糊剤
16c 剥離紙
100 足の左右傾斜度合判定装置
θ 左右傾斜度合を示す角度
K1 一側の非接触箇所像の左右方向長さ
K2 他側の非接触箇所像の左右方向長さ
b1 右の足
b2 左の足
c5 足の左右の踝を結んだ直線
c7 左右方向線(基準線)
d2 踵部の平面視略最後端位置
e1〜e4 4つの特定点
m1 靴の内底面
n1 靴用中敷
p1〜p4 靴用付加部材
w 靴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者への指示を与える表示手段と、操作者がポインティングする前記表示画面の中の任意の点座標を入力する入力手段と、を有する靴のカスタマイズ化支援システムにおいて、
透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像して2次元濃淡画像を得るスキャナと、
被験者が足裏を前記透過板に接触させた際に前記スキャナから得られた被験者の足裏の2次元濃淡画像を取得し、前記2次元濃淡画像を前記表示手段に表示させる手段と、
操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の指先先端と踵後端の位置座標を取得する位置入力手段と、
被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を前記表示手段に表示させ、操作者が前記入力手段により指示した前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を取得する基準点取得手段と、
前記取得した左右の取得座標に基づき被験者の足の傾きを算出して、予め定められた複数の離散値のうちいずれか選択し前記表示手段に表示する選択情報作成手段とを有することを特徴とするカスタマイズ化支援システム。
【請求項2】
請求項1のカスタマイズ化支援システムにおいて、前記基準点取得手段は、前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の座標位置を前記入力手段により入力するよう操作者にガイダンスを前記表示手段に表示させる手段を有することを特徴とするカスタマイズ化支援システム。
【請求項3】
請求項1のカスタマイズ化支援システムにおいて、前記基準点取得手段は、操作者が入力した前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の座標位置を前記2次元濃淡画像に重ね合わせて前期表示手段に表示させる手段を有することを特徴とするカスタマイズ化支援システム。
【請求項4】
請求項1のカスタマイズ化支援システムにおいて、前記選択情報作成手段は、前記取得した第1と第2の取得座標との間の距離を左右夫々算出する手段と、前記算出された左右の距離の相違に基づき前記離散値の一つを選択する手段を有することを特徴とするカスタマイズ化支援システム。
【請求項5】
スキャナから得た2次元濃淡画像に基づいて靴のカスタマイズ化支援方法において、
透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像し、
操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標を特定し、
特定された被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を描き、
前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を特定し、
前記特定した左右の取得座標に基づき、第1と第2の取得座標との間の距離を左右夫々算出し、
靴底の踵部分の左右を半分に割った大きさから靴底左右に割ったものの半分の大きさまでの大きさの異なる板材を複数種用意し、各個人の足の傾きに対する前記複数種の板材の1又は複数の組み合わせを設定し、
前記算出された左右の距離の相違に基づき前記離散値の一つを選択し、選択された板材を靴の内底に張り合わせることにより靴のカスタマイズ化を行うことを特徴とするカスタマイズ化支援方法。
【請求項6】
請求項5のカスタマイズ化支援方法において、前記板材は、表裏面に糊剤が付着しており、前記靴の内底に張り合わせる際には、靴の内底を剥ぎ、その中に選択された板材の組み合わせを張着させるものであることを特徴とするカスタマイズ化支援方法。
【請求項7】
画面の中の任意の点座標を入力する入力手段と、透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像して2次元濃淡画像を得るスキャナとを有し、靴のカスタマイズ化情報を出力するコンピュータに実行されるカスタマイズ化支援プログラムにおいて、
被験者が足裏を前記透過板に接触させた際に前記スキャナから得られた被験者の足裏の2次元濃淡画像を取得し、前記2次元濃淡画像を前記表示手段に表示させ、
操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の指先先端と踵後端の位置座標を取得し、
被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を前記表示手段に表示させ、操作者が前記入力手段により指示した前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を取得し、
前記取得した左右の取得座標に基づき被験者の足の傾きを算出して、予め定められた複数の離散値のうちいずれか選択し前記表示手段に表示する処理をコンピュータに実行させることを特徴とするカスタマイズ化支援プログラム。
【請求項8】
請求項7のカスタマイズ化支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項1】
操作者への指示を与える表示手段と、操作者がポインティングする前記表示画面の中の任意の点座標を入力する入力手段と、を有する靴のカスタマイズ化支援システムにおいて、
透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像して2次元濃淡画像を得るスキャナと、
被験者が足裏を前記透過板に接触させた際に前記スキャナから得られた被験者の足裏の2次元濃淡画像を取得し、前記2次元濃淡画像を前記表示手段に表示させる手段と、
操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の指先先端と踵後端の位置座標を取得する位置入力手段と、
被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を前記表示手段に表示させ、操作者が前記入力手段により指示した前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を取得する基準点取得手段と、
前記取得した左右の取得座標に基づき被験者の足の傾きを算出して、予め定められた複数の離散値のうちいずれか選択し前記表示手段に表示する選択情報作成手段とを有することを特徴とするカスタマイズ化支援システム。
【請求項2】
請求項1のカスタマイズ化支援システムにおいて、前記基準点取得手段は、前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の座標位置を前記入力手段により入力するよう操作者にガイダンスを前記表示手段に表示させる手段を有することを特徴とするカスタマイズ化支援システム。
【請求項3】
請求項1のカスタマイズ化支援システムにおいて、前記基準点取得手段は、操作者が入力した前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の座標位置を前記2次元濃淡画像に重ね合わせて前期表示手段に表示させる手段を有することを特徴とするカスタマイズ化支援システム。
【請求項4】
請求項1のカスタマイズ化支援システムにおいて、前記選択情報作成手段は、前記取得した第1と第2の取得座標との間の距離を左右夫々算出する手段と、前記算出された左右の距離の相違に基づき前記離散値の一つを選択する手段を有することを特徴とするカスタマイズ化支援システム。
【請求項5】
スキャナから得た2次元濃淡画像に基づいて靴のカスタマイズ化支援方法において、
透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像し、
操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標を特定し、
特定された被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を描き、
前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を特定し、
前記特定した左右の取得座標に基づき、第1と第2の取得座標との間の距離を左右夫々算出し、
靴底の踵部分の左右を半分に割った大きさから靴底左右に割ったものの半分の大きさまでの大きさの異なる板材を複数種用意し、各個人の足の傾きに対する前記複数種の板材の1又は複数の組み合わせを設定し、
前記算出された左右の距離の相違に基づき前記離散値の一つを選択し、選択された板材を靴の内底に張り合わせることにより靴のカスタマイズ化を行うことを特徴とするカスタマイズ化支援方法。
【請求項6】
請求項5のカスタマイズ化支援方法において、前記板材は、表裏面に糊剤が付着しており、前記靴の内底に張り合わせる際には、靴の内底を剥ぎ、その中に選択された板材の組み合わせを張着させるものであることを特徴とするカスタマイズ化支援方法。
【請求項7】
画面の中の任意の点座標を入力する入力手段と、透過板の表側に接触した被写体に対して透過板裏側から光を照射し、透過板通して得られる反射光を撮像して2次元濃淡画像を得るスキャナとを有し、靴のカスタマイズ化情報を出力するコンピュータに実行されるカスタマイズ化支援プログラムにおいて、
被験者が足裏を前記透過板に接触させた際に前記スキャナから得られた被験者の足裏の2次元濃淡画像を取得し、前記2次元濃淡画像を前記表示手段に表示させ、
操作者が前記入力手段により入力された被験者の足裏の指先先端と踵後端の位置座標を取得し、
被験者の足裏の先端と踵後端の位置座標に基づき、踵から踝に相当する位置の間で足裏を左右に横切る基準線を前記表示手段に表示させ、操作者が前記入力手段により指示した前記基準線と左右の取得画像外形が交差する左右の第1の座標位置及び、前記基準線と足裏接触輪郭が交差する左右の第2の座標位置を取得し、
前記取得した左右の取得座標に基づき被験者の足の傾きを算出して、予め定められた複数の離散値のうちいずれか選択し前記表示手段に表示する処理をコンピュータに実行させることを特徴とするカスタマイズ化支援プログラム。
【請求項8】
請求項7のカスタマイズ化支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−165589(P2009−165589A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5760(P2008−5760)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【特許番号】特許第4161327号(P4161327)
【特許公報発行日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(508014279)株式会社ナカムラ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【特許番号】特許第4161327号(P4161327)
【特許公報発行日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(508014279)株式会社ナカムラ (1)
【Fターム(参考)】
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