靴下
【課題】裏糸のみをタック編みする編地組織に着目することにより、パイル靴下等において伸縮性をコントロールすることができ、靴下を着用したときに足の特定部位に所望する着圧が加えられる靴下を提供する。
【解決手段】締付部は、土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に形成される。締付部は、裏糸20のみをタック編みする編地組織により形成され、裏糸タック編みの回数を増加させることにより締付力を高めることができ、締付部に所望する着圧が加えられる。
【解決手段】締付部は、土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に形成される。締付部は、裏糸20のみをタック編みする編地組織により形成され、裏糸タック編みの回数を増加させることにより締付力を高めることができ、締付部に所望する着圧が加えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏糸のみをタック編みすることにより、パイル靴下等において伸縮性をコントロールすることができ、靴下を着用したときに足の特定部位に所望する着圧が加えられるようにした靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の靴下では、締め付け領域が強力締め付け領域と通常締め付け領域とに区分され、強力締め付け領域で土踏まずのアーチ構造をサポートし、通常締め付け領域により、締付け過ぎることなく圧迫感の少ない快適な状態を実現しようとしている。
しかし、足の断面形状は非均一となっているので、足部の周方向に均一な編み組織で形成された靴下を着用した場合、足の甲部分に大きな圧力がかかり、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わらず、十分なサポート機能が得られないという問題を有していた。
また、従来の靴下では、歩行時の足の運動パフォーマンス機能を高め、身体に負担の少ない安定した歩行を補助的に支援することが難しいという問題も有していた。
このような従来の靴下が有する問題を解決するために、以下に示すような先行技術が提案されている。
【0003】
特許第4040671号公報(特許文献1)には、土踏まずを効果的にサポートすることにより、足の運動のパフォーマンス能力を高めことができ、且つ、疲労感を低減させることが可能な靴下を提供することを目的とし、編地組織により形成された靴下であって、足の甲から土踏まずに至る足の周方向にかけて、足甲部、土踏まず部、前記足甲部と前記土踏まず部とに連接される足側面部に区分された3つの領域を含み、前記靴下が着用されたときに、前記土踏まず部の締付力をXとし、前記足側面部の締付力をYとし、前記足甲部の締付力をZとしたとき、X>Y>Zとなるように、前記3つの領域の編地組織の編成が変えられ、前記土踏まず部のサポート方向は、足の縦方向でみて、前記土踏まず部から足首の方向に向けてサポートされるように、前記編地組織が編成されていることを特徴とする「靴下」が提案されている。
【0004】
また、従来の他の靴下として、脚の複数の領域ごとに編組織を異ならせて編成されたハイソックスの例が、特開2002−13005号公報(特許文献2)に記載されている。この従来のハイソックスは、略筒状体からなる脚部の前面脛部位は強圧の編組織からなり、一方脚部の背面ふくらはぎ部位は弱圧の編組織からなり、強圧の編組織と弱圧の編組織との間には中圧の編組織を有してなり、上記三段階の編組織によって伸長着用時に締付け着圧を付与して、脚における静脈流を促進しうるようにしたものである。
しかし、周方向に異なる着圧が生じるようにしている脚部については適切な血行促進性能が得られるように工夫がなされていたものの、足部については構造的に血行促進性能があまり考慮されておらず、足部に対する血行の促進が図れないことによって、靴下全体として血行促進効果が物足りないものになるという問題を有していた。
このような従来の靴下が有する問題を解決するために、以下に示すような先行技術が提案されている。
【0005】
特開2006−104599号公報(特許文献3)には、靴下足部にも着圧状態の異なる領域を複数適切に配置し、装着状態で脚及び足の部位に応じた適度の圧迫刺激を加えることができ、靴下装着部位全体にわたって強力な血行促進効果を与えられる靴下を提供することを目的とし、靴下をなす筒状編地が構造の異なる複数の編組織を靴下周方向に配置された状態に編成され、装着状態で各編組織ごとに異なる複数通りの着圧を生じさせることから、足及び脚の靴下装着部位に対し優れたフィット感を与える状態を確保しつつ、足及び脚の筋肉質部分やそうでない部分など性質の異なる各部位に対応した適切な着圧を付与でき、足及び脚各部を効率的に圧迫刺激して靴下装着部位全体の血行促進を図れ、スムーズな血流による疲労軽減等の効果をより顕著に発揮できることを特徴とする「靴下」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4040671号公報
【特許文献2】特開2002−13005号公報
【特許文献3】特開2006−104599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、本願出願人が鋭意研究を行って開発に成功したものであり、先行技術には見られなかった裏糸のみをタック編みする編地組織に着目することにより、パイル靴下等において伸縮性をコントロールすることができ、靴下を着用したときに足の特定部位に所望する着圧が加えられる靴下を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表糸としてパイル糸を編み込んだ靴下において、裏糸のみをタック編みすると共に、前記パイル糸をループ状に突出させてパイルを形成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、靴下の所定の部位に締付力を付与するための締付部を表糸としてパイル糸を編み込んだ編地組織の編成により形成した靴下において、前記締付部は裏糸のみをタック編みすると共に、前記パイル糸を内側にループ状に突出させてなるパイル組織を構成する編地組織により形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、靴下の所定の部位に締付力を付与するための締付部を編地組織の編成により形成した靴下において、前記締付部は裏糸のみをタック編みする編地組織により形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の前記締付部は、裏糸タック編みの回数を増加させることにより締付力を高めることができ、且つ、締付部に所望する着圧が加えられることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の前記締付部は、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせにより形成され、締付部内に加えられる着圧に圧力差を設けることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2乃至請求項5に記載の前記締付部は、土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明にかかる靴下は、裏糸のみをタック編みすることにより、パイル組織を形成する編地組織を編成しながら、伸縮性をコントロールすることが可能になる。また、パイル靴下において、糸の種類や裏糸タック編みの回数により、組織の経方向の伸縮性をコントロールすることが可能になる。また、裏糸タック編みのパイル組織とそれ以外の編地組織とを複合させることにより、靴下全体の各部位における伸縮性をコントロールすることが可能になる。
【0015】
また、本発明にかかる靴下の締付部は、裏糸のみをタック編みする編地組織により形成されているので、締付部では所望する着圧が加わり十分なサポート機能が得られ、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。このため、本発明にかかる靴下によれば、足の特定部位にピンポイントで任意の着圧が加えられるので、足の運動のパフォーマンス能力を高め、且つ、疲労感を低減させることができる。
また、本発明にかかる靴下の締付部は、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
また、本発明にかかる靴下の締付部は、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせにより形成することができるので、締付部内に加えられる着圧に圧力差を設けることが可能になる。この場合は、締付部内における着圧コントロールを細分化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図2】図1に示す編地組織の平面図である。
【図3】2回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図4】図3に示す編地組織の平面図である。
【図5】3回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図6】図5に示す編地組織の平面図である。
【図7】4回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図8】図7に示す編地組織の平面図である。
【図9】5回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図10】図9に示す編地組織の平面図である。
【図11】1回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図12】2回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図13】3回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図14】4回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図15】5回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図16】1回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図17】2回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図18】3回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図19】4回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図20】5回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図21】1回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図22】2回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図23】3回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図24】4回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図25】5回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図26】パイル糸を編み込んだ1回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図27】パイル糸を編み込んだ3回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図28】パイル挿入編組織を形成する部位の第1例を示す説明図である。
【図29】パイル挿入編組織を形成する部位の第2例を示す説明図である。
【図30】パイル挿入編組織を形成する部位の第3例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態について、図面を参酌しながら説明する。
【0018】
本発明にかかる靴下は、丸編により編成された筒状編地のうち足装着状態における踵及び爪先に対応する部分を縫製加工して靴下形状とするものであり、靴下としての形状については説明を省略する。
また、本発明にかかる靴下は、サッカー、テニス、ゴルフ、ウォーキングなどのスポーツ用靴下に適用されるものであり、これ以外にも、レディース靴下、メンズ靴下、カジュアル靴下およびビジネス靴下等にも幅広く適用され得る。
【0019】
本発明は、裏糸のみをタック編みする編地組織に着目することにより、靴下を着用したときに足の特定部位に所望する着圧が加えられる靴下を提供することが可能になった。
ここで、タック編みとは、生地を編成する時に、一時ある編み目を作らないで、次のコースを編むときに一緒に編み目を作るもので、編針から編み目を脱出させないので針のフック又は針幹の前の編み目とともに保持し、次の給糸により編み目を形成する時に同時に2つの編み目をくぐって編糸を引き出して新しい編み目を作った組織のことをいう。また、タック編みを行う場合は、表糸10と裏糸20を同時にタックするのが一般的である(図16乃至図25参照)。
以下、裏糸タックの編地組織の実施例1〜5を挙げて具体的に説明する。なお、実施例では裏糸タックの回数が1〜5回のものについて順次説明するが、裏糸タックの回数はこれらの実施例に限定されるものではなく、6回以上であってもよい。
【0020】
(実施例1)
図1は1回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図2は図1に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを1回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図1及び図2に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に1目おきに1目ずつ配置されている。
また、図11は1回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/1回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(43.2hpa)と(B)タック反対側の着圧(34.2hpa)を比較すると差異(9.0hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/1回)の編地組織(図21参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(26.9hpa)と(B)タック反対側の着圧(26.9hpa)に差異(0hpa)はみられなかった。
以上より、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0021】
(実施例2)
図3は2回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図4は図3に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを2回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図3及び図4に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に2目おきに2目ずつ配置されている。
また、図12は2回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/2回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(47.5hpa)と(B)タック反対側の着圧(35.6hpa)を比較すると差異(11.9hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/2回)の編地組織(図22参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(28.6hpa)と(B)タック反対側の着圧(28.6hpa)に差異(0hpa)はみられなかった。
以上より、上述した実施例1と同様に、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0022】
(実施例3)
図5は3回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図6は図5に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1〜2と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを3回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図5及び図6に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に3目おきに3目ずつ配置されている。
また、図13は3回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/3回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(56.9hpa)と(B)タック反対側の着圧(35.9hpa)を比較すると大きな差異(21.0hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/3回)の編地組織(図23参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(29.3hpa)と(B)タック反対側の着圧(29.3hpa)に差異(0hpa)はみられなかった。
以上より、上述した実施例1〜2と同様に、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0023】
(実施例4)
図7は4回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図8は図7に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1〜3と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを4回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図7及び図8に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に4目おきに4目ずつ配置されている。
また、図14は4回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/4回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(58.9hpa)と(B)タック反対側の着圧(34.6hpa)を比較すると大きな差異(24.3hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/4回)の編地組織(図24参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(32.9hpa)と(B)タック反対側の着圧(28.9hpa)に若干の差異(4.0hpa)がみられた。
以上より、上述した実施例1〜3と同様に、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0024】
(実施例5)
図9は5回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図10は図9に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1〜4と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを5回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図9及び図10に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に5目おきに5目ずつ配置されている。
また、図15は5回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/5回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(66.2hpa)と(B)タック反対側の着圧(35.2hpa)を比較すると大きな差異(31.0hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/5回)の編地組織(図25参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(36.2hpa)と(B)タック反対側の着圧(31.3hpa)に若干の差異(4.9hpa)がみられた。
以上より、上述した実施例1〜4と同様に、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0025】
また、本発明にかかる靴下の締付部は、上述した実施例1〜5に示すように同じ回数の裏糸タック編みの編地組織により形成されるものに限定されず、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせ(図示省略)により形成してもよい。この場合、締付部内において加えられる着圧に圧力差を設けることが可能になり、締付部内における着圧コントロールを細分化することができる。また、この場合においても、編地の中にゴム糸を挿入することにより、ゴム糸の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られることから、着圧を集中させる部分と分散させる部分の差をより顕著にすることができる。
【0026】
次に、表糸としてパイル糸を編み込んだ靴下において、裏糸のみをタック編みすることにより、パイルを形成する靴下について説明する。
【0027】
従来より、靴下の裏側に、パイルを形成したパイル靴下が知られている。例えば、底部裏側にパイルを形成した底パイル靴下は、それを着用して歩いたり或いは走ったりすると、足裏に掛かる衝撃が緩和され、足への負担が少なくなるという利点を持っている。また、足裏と靴下本体とがパイルを介して接触しているため、足裏からの発汗が、パイルの比較的大きい間隙中に蒸散され、足が蒸れにくく、また足の濡れ感が少なくなるという利点も有している。本発明にかかる靴下は、表糸としてパイル糸を編み込んだ靴下において、裏糸のみをタック編みすると共に、パイル糸をループ状に突出させてパイルを形成することにより、パイル組織を形成する編地組織を編成することが可能になる。また、パイル靴下において、糸の種類や裏糸タック編みの回数により、組織の経方向の伸縮性をコントロールすることが可能になる。また、裏糸タック編みのパイル組織とそれ以外の編地組織とを複合させることにより、靴下全体の各部位における伸縮性をコントロールすることが可能になる。
以下、パイル糸を編み込んだ裏糸タックの編地組織の実施例6〜7を挙げて具体的に説明する。なお、実施例では裏糸タックの回数が1回と3回のものについて説明するが、裏糸タックの回数はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例6)
図26は、パイル糸を編み込んだ1回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位にパイル挿入編組織(締付部)が形成されている。
上記のパイル挿入編組織は、表糸としてパイル糸100を編み込んだ編地組織の編成により形成され、具体的には、裏糸110のみを1回タック編みすると共に、パイル糸100を内側にループ状に突出させてパイル120を形成する編地組織により構成されている。
ここで、裏糸タックのみ(タック回数/1回)の効果については、上述した実施例1と同様の効果が得られる。
図28は、パイル挿入編組織を形成する部位の第1例を示す説明図である。靴下の甲側部において上記編地組織からなるパイル挿入編組織200を形成した場合、裏糸タックの編地組織を用いることにより、組織の動きが制約され、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、その部位の圧迫が強調され、サポート効果を発現することが可能になる。また、靴下の裏面は、パイル組織となっているため、強力な圧迫にも係わらず、ソフト感のあるサポートとなる。
図29は、パイル挿入編組織を形成する部位の第2例を示す説明図である。靴下の土踏まず部において上記編地組織からなるパイル挿入編組織210を形成した場合、裏糸タックの編地組織を用いることにより、組織の動きが制約され、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、その部位の圧迫が強調され、サポート効果を発現することが可能になる。また、靴下の裏面は、パイル組織となっているため、強力な圧迫にも係わらず、ソフト感のあるサポートとなる。
図30は、パイル挿入編組織を形成する部位の第3例を示す説明図である。靴下の足首部において上記編地組織からなるパイル挿入編組織220を形成した場合、裏糸タックの編地組織を用いることにより、組織の動きが制約され、足首部の周方向の均一なサポートが可能となり、またズレ落ち防止効果も発現することが可能になる。また、靴下の裏面は、パイル組織となっているため、強力な圧迫にも係わらず、ソフト感のあるサポートとなる。
【0029】
(実施例7)
図27は、パイル糸を編み込んだ3回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例3と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位にパイル挿入編組織(締付部)が形成されている。
上記のパイル挿入編組織は、表糸としてパイル糸100を編み込んだ編地組織の編成により形成され、具体的には、裏糸110のみを3回タック編みすると共に、パイル糸100を内側にループ状に突出させてパイル120を形成する編地組織により構成されている。
ここで、裏糸タックのみ(タック回数/3回)の効果については、上述した実施例3と同様の効果が得られる。また、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなるので、締め付け力をパイルに分散させることによって締め付け感を緩和することが可能になる。
また、本発明にかかる靴下のパイル挿入編組織(締付部)は、上述した実施例6〜7に示すように同じ回数の裏糸タック編みの編地組織により形成されるものに限定されず、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせ(図示省略)により形成してもよい。
【0030】
本発明にかかる靴下の効果を確認するために行った試験方法及び結果について説明する。
(試験項目)着圧測定試験
(試験目的)裏糸のみをタック編みする編地組織が足部に加える着圧にどれ位の効果を発揮するかを検証することを目的とする。
(試験方法)表裏糸同時タック(タック回数/1回〜5回)と裏糸タックのみ(タック回数/1回〜5回)の各試料を製作し、円周30cmにおけるタック編み組織の部分とその反対側の部分の着圧を測定する。本試料は、表糸に綿アクリル混紡糸を使用し、裏糸にFTYを使用し、編地の中にゴム糸を挿入している(図11乃至図15、図21乃至図25参照)。
(試験結果)表裏糸同時タック(タック回数/1回〜5回)の着圧測定結果(各4回測定結果の平均値)を表1に示す。裏糸タックのみ(タック回数/1回〜5回)の着圧測定結果(各4回測定結果の平均値)を表2に示す。なお、単位は、mm/Hgをhpaに変換している。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表1に示すとおり、表裏糸同時タックの編地組織については、(A)タック側と(B)タック反対側における着圧を比較してもあまり差異はみられなかった。また、タック回数を増加させた場合には、(A)タック側の着圧は少し高まり、(B)タック反対側の着圧も若干高まることが確認できた。
【0034】
表2に示すとおり、裏糸タックのみの編地組織については、(A)タック側と(B)タック反対側における着圧を比較すると、大きな差異がみられた。また、タック回数を増加させた場合には、(A)タック側の着圧はタック回数に比例して順次高くなり、一方、(B)タック反対側の着圧はほとんど変わらないことが確認できた。
【符号の説明】
【0035】
10 表糸
20 裏糸
30 ゴム糸
100 パイル糸
110 裏糸
120 パイル
200 パイル挿入編組織(締付部)
210 パイル挿入編組織(締付部)
220 パイル挿入編組織(締付部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏糸のみをタック編みすることにより、パイル靴下等において伸縮性をコントロールすることができ、靴下を着用したときに足の特定部位に所望する着圧が加えられるようにした靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の靴下では、締め付け領域が強力締め付け領域と通常締め付け領域とに区分され、強力締め付け領域で土踏まずのアーチ構造をサポートし、通常締め付け領域により、締付け過ぎることなく圧迫感の少ない快適な状態を実現しようとしている。
しかし、足の断面形状は非均一となっているので、足部の周方向に均一な編み組織で形成された靴下を着用した場合、足の甲部分に大きな圧力がかかり、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わらず、十分なサポート機能が得られないという問題を有していた。
また、従来の靴下では、歩行時の足の運動パフォーマンス機能を高め、身体に負担の少ない安定した歩行を補助的に支援することが難しいという問題も有していた。
このような従来の靴下が有する問題を解決するために、以下に示すような先行技術が提案されている。
【0003】
特許第4040671号公報(特許文献1)には、土踏まずを効果的にサポートすることにより、足の運動のパフォーマンス能力を高めことができ、且つ、疲労感を低減させることが可能な靴下を提供することを目的とし、編地組織により形成された靴下であって、足の甲から土踏まずに至る足の周方向にかけて、足甲部、土踏まず部、前記足甲部と前記土踏まず部とに連接される足側面部に区分された3つの領域を含み、前記靴下が着用されたときに、前記土踏まず部の締付力をXとし、前記足側面部の締付力をYとし、前記足甲部の締付力をZとしたとき、X>Y>Zとなるように、前記3つの領域の編地組織の編成が変えられ、前記土踏まず部のサポート方向は、足の縦方向でみて、前記土踏まず部から足首の方向に向けてサポートされるように、前記編地組織が編成されていることを特徴とする「靴下」が提案されている。
【0004】
また、従来の他の靴下として、脚の複数の領域ごとに編組織を異ならせて編成されたハイソックスの例が、特開2002−13005号公報(特許文献2)に記載されている。この従来のハイソックスは、略筒状体からなる脚部の前面脛部位は強圧の編組織からなり、一方脚部の背面ふくらはぎ部位は弱圧の編組織からなり、強圧の編組織と弱圧の編組織との間には中圧の編組織を有してなり、上記三段階の編組織によって伸長着用時に締付け着圧を付与して、脚における静脈流を促進しうるようにしたものである。
しかし、周方向に異なる着圧が生じるようにしている脚部については適切な血行促進性能が得られるように工夫がなされていたものの、足部については構造的に血行促進性能があまり考慮されておらず、足部に対する血行の促進が図れないことによって、靴下全体として血行促進効果が物足りないものになるという問題を有していた。
このような従来の靴下が有する問題を解決するために、以下に示すような先行技術が提案されている。
【0005】
特開2006−104599号公報(特許文献3)には、靴下足部にも着圧状態の異なる領域を複数適切に配置し、装着状態で脚及び足の部位に応じた適度の圧迫刺激を加えることができ、靴下装着部位全体にわたって強力な血行促進効果を与えられる靴下を提供することを目的とし、靴下をなす筒状編地が構造の異なる複数の編組織を靴下周方向に配置された状態に編成され、装着状態で各編組織ごとに異なる複数通りの着圧を生じさせることから、足及び脚の靴下装着部位に対し優れたフィット感を与える状態を確保しつつ、足及び脚の筋肉質部分やそうでない部分など性質の異なる各部位に対応した適切な着圧を付与でき、足及び脚各部を効率的に圧迫刺激して靴下装着部位全体の血行促進を図れ、スムーズな血流による疲労軽減等の効果をより顕著に発揮できることを特徴とする「靴下」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4040671号公報
【特許文献2】特開2002−13005号公報
【特許文献3】特開2006−104599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、本願出願人が鋭意研究を行って開発に成功したものであり、先行技術には見られなかった裏糸のみをタック編みする編地組織に着目することにより、パイル靴下等において伸縮性をコントロールすることができ、靴下を着用したときに足の特定部位に所望する着圧が加えられる靴下を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表糸としてパイル糸を編み込んだ靴下において、裏糸のみをタック編みすると共に、前記パイル糸をループ状に突出させてパイルを形成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、靴下の所定の部位に締付力を付与するための締付部を表糸としてパイル糸を編み込んだ編地組織の編成により形成した靴下において、前記締付部は裏糸のみをタック編みすると共に、前記パイル糸を内側にループ状に突出させてなるパイル組織を構成する編地組織により形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、靴下の所定の部位に締付力を付与するための締付部を編地組織の編成により形成した靴下において、前記締付部は裏糸のみをタック編みする編地組織により形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の前記締付部は、裏糸タック編みの回数を増加させることにより締付力を高めることができ、且つ、締付部に所望する着圧が加えられることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の前記締付部は、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせにより形成され、締付部内に加えられる着圧に圧力差を設けることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2乃至請求項5に記載の前記締付部は、土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明にかかる靴下は、裏糸のみをタック編みすることにより、パイル組織を形成する編地組織を編成しながら、伸縮性をコントロールすることが可能になる。また、パイル靴下において、糸の種類や裏糸タック編みの回数により、組織の経方向の伸縮性をコントロールすることが可能になる。また、裏糸タック編みのパイル組織とそれ以外の編地組織とを複合させることにより、靴下全体の各部位における伸縮性をコントロールすることが可能になる。
【0015】
また、本発明にかかる靴下の締付部は、裏糸のみをタック編みする編地組織により形成されているので、締付部では所望する着圧が加わり十分なサポート機能が得られ、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。このため、本発明にかかる靴下によれば、足の特定部位にピンポイントで任意の着圧が加えられるので、足の運動のパフォーマンス能力を高め、且つ、疲労感を低減させることができる。
また、本発明にかかる靴下の締付部は、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
また、本発明にかかる靴下の締付部は、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせにより形成することができるので、締付部内に加えられる着圧に圧力差を設けることが可能になる。この場合は、締付部内における着圧コントロールを細分化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図2】図1に示す編地組織の平面図である。
【図3】2回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図4】図3に示す編地組織の平面図である。
【図5】3回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図6】図5に示す編地組織の平面図である。
【図7】4回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図8】図7に示す編地組織の平面図である。
【図9】5回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図10】図9に示す編地組織の平面図である。
【図11】1回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図12】2回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図13】3回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図14】4回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図15】5回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図16】1回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図17】2回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図18】3回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図19】4回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図20】5回表裏糸同時タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図21】1回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図22】2回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図23】3回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図24】4回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図25】5回表裏糸同時タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。
【図26】パイル糸を編み込んだ1回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図27】パイル糸を編み込んだ3回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
【図28】パイル挿入編組織を形成する部位の第1例を示す説明図である。
【図29】パイル挿入編組織を形成する部位の第2例を示す説明図である。
【図30】パイル挿入編組織を形成する部位の第3例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態について、図面を参酌しながら説明する。
【0018】
本発明にかかる靴下は、丸編により編成された筒状編地のうち足装着状態における踵及び爪先に対応する部分を縫製加工して靴下形状とするものであり、靴下としての形状については説明を省略する。
また、本発明にかかる靴下は、サッカー、テニス、ゴルフ、ウォーキングなどのスポーツ用靴下に適用されるものであり、これ以外にも、レディース靴下、メンズ靴下、カジュアル靴下およびビジネス靴下等にも幅広く適用され得る。
【0019】
本発明は、裏糸のみをタック編みする編地組織に着目することにより、靴下を着用したときに足の特定部位に所望する着圧が加えられる靴下を提供することが可能になった。
ここで、タック編みとは、生地を編成する時に、一時ある編み目を作らないで、次のコースを編むときに一緒に編み目を作るもので、編針から編み目を脱出させないので針のフック又は針幹の前の編み目とともに保持し、次の給糸により編み目を形成する時に同時に2つの編み目をくぐって編糸を引き出して新しい編み目を作った組織のことをいう。また、タック編みを行う場合は、表糸10と裏糸20を同時にタックするのが一般的である(図16乃至図25参照)。
以下、裏糸タックの編地組織の実施例1〜5を挙げて具体的に説明する。なお、実施例では裏糸タックの回数が1〜5回のものについて順次説明するが、裏糸タックの回数はこれらの実施例に限定されるものではなく、6回以上であってもよい。
【0020】
(実施例1)
図1は1回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図2は図1に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを1回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図1及び図2に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に1目おきに1目ずつ配置されている。
また、図11は1回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/1回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(43.2hpa)と(B)タック反対側の着圧(34.2hpa)を比較すると差異(9.0hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/1回)の編地組織(図21参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(26.9hpa)と(B)タック反対側の着圧(26.9hpa)に差異(0hpa)はみられなかった。
以上より、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0021】
(実施例2)
図3は2回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図4は図3に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを2回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図3及び図4に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に2目おきに2目ずつ配置されている。
また、図12は2回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/2回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(47.5hpa)と(B)タック反対側の着圧(35.6hpa)を比較すると差異(11.9hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/2回)の編地組織(図22参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(28.6hpa)と(B)タック反対側の着圧(28.6hpa)に差異(0hpa)はみられなかった。
以上より、上述した実施例1と同様に、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0022】
(実施例3)
図5は3回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図6は図5に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1〜2と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを3回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図5及び図6に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に3目おきに3目ずつ配置されている。
また、図13は3回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/3回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(56.9hpa)と(B)タック反対側の着圧(35.9hpa)を比較すると大きな差異(21.0hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/3回)の編地組織(図23参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(29.3hpa)と(B)タック反対側の着圧(29.3hpa)に差異(0hpa)はみられなかった。
以上より、上述した実施例1〜2と同様に、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0023】
(実施例4)
図7は4回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図8は図7に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1〜3と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを4回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図7及び図8に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に4目おきに4目ずつ配置されている。
また、図14は4回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/4回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(58.9hpa)と(B)タック反対側の着圧(34.6hpa)を比較すると大きな差異(24.3hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/4回)の編地組織(図24参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(32.9hpa)と(B)タック反対側の着圧(28.9hpa)に若干の差異(4.0hpa)がみられた。
以上より、上述した実施例1〜3と同様に、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0024】
(実施例5)
図9は5回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図、図10は図9に示す編地組織の平面図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1〜4と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に締付力を付与するための締付部が形成されている。
上記の締付部は、裏糸20のみを5回タック編みする編地組織により形成されている。具体的には、締付部は、図9及び図10に示すように、タック編み部分と平編み部分とから形成され、タック編み部分と平編み部分は、それぞれ針方向に1目おきに1目ずつ配置され、コース方向に5目おきに5目ずつ配置されている。
また、図15は5回裏糸タック(ゴム糸挿入)の編地組織の例を示す組織図である。図示するように、編地の中にゴム糸30を挿入することにより、ゴム糸30の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られる。
裏糸タックのみ(タック回数/5回)の効果については、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、(A)タック側の着圧(66.2hpa)と(B)タック反対側の着圧(35.2hpa)を比較すると大きな差異(31.0hpa)がみられた。
一方、表裏糸同時タック(タック回数/5回)の編地組織(図25参照)の場合には、後述する着圧測定結果(表1)に示すように、(A)タック側の着圧(36.2hpa)と(B)タック反対側の着圧(31.3hpa)に若干の差異(4.9hpa)がみられた。
以上より、上述した実施例1〜4と同様に、例えば、靴下の土踏まず部において上記編地組織からなる締付部を形成した場合、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わり、締付部以外では圧迫感を軽減することが可能になる。
また、着圧測定結果(表2)に示すように、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなることから、足の特定部位ごとに裏糸タックの回数が異なる編地組織を形成して締付力の強弱をつけながら任意の着圧を加えることが可能になる。
【0025】
また、本発明にかかる靴下の締付部は、上述した実施例1〜5に示すように同じ回数の裏糸タック編みの編地組織により形成されるものに限定されず、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせ(図示省略)により形成してもよい。この場合、締付部内において加えられる着圧に圧力差を設けることが可能になり、締付部内における着圧コントロールを細分化することができる。また、この場合においても、編地の中にゴム糸を挿入することにより、ゴム糸の周方向に対する締付力が加わり上記編地組織の変化による着圧効果がより容易に得られることから、着圧を集中させる部分と分散させる部分の差をより顕著にすることができる。
【0026】
次に、表糸としてパイル糸を編み込んだ靴下において、裏糸のみをタック編みすることにより、パイルを形成する靴下について説明する。
【0027】
従来より、靴下の裏側に、パイルを形成したパイル靴下が知られている。例えば、底部裏側にパイルを形成した底パイル靴下は、それを着用して歩いたり或いは走ったりすると、足裏に掛かる衝撃が緩和され、足への負担が少なくなるという利点を持っている。また、足裏と靴下本体とがパイルを介して接触しているため、足裏からの発汗が、パイルの比較的大きい間隙中に蒸散され、足が蒸れにくく、また足の濡れ感が少なくなるという利点も有している。本発明にかかる靴下は、表糸としてパイル糸を編み込んだ靴下において、裏糸のみをタック編みすると共に、パイル糸をループ状に突出させてパイルを形成することにより、パイル組織を形成する編地組織を編成することが可能になる。また、パイル靴下において、糸の種類や裏糸タック編みの回数により、組織の経方向の伸縮性をコントロールすることが可能になる。また、裏糸タック編みのパイル組織とそれ以外の編地組織とを複合させることにより、靴下全体の各部位における伸縮性をコントロールすることが可能になる。
以下、パイル糸を編み込んだ裏糸タックの編地組織の実施例6〜7を挙げて具体的に説明する。なお、実施例では裏糸タックの回数が1回と3回のものについて説明するが、裏糸タックの回数はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例6)
図26は、パイル糸を編み込んだ1回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例1と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位にパイル挿入編組織(締付部)が形成されている。
上記のパイル挿入編組織は、表糸としてパイル糸100を編み込んだ編地組織の編成により形成され、具体的には、裏糸110のみを1回タック編みすると共に、パイル糸100を内側にループ状に突出させてパイル120を形成する編地組織により構成されている。
ここで、裏糸タックのみ(タック回数/1回)の効果については、上述した実施例1と同様の効果が得られる。
図28は、パイル挿入編組織を形成する部位の第1例を示す説明図である。靴下の甲側部において上記編地組織からなるパイル挿入編組織200を形成した場合、裏糸タックの編地組織を用いることにより、組織の動きが制約され、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、その部位の圧迫が強調され、サポート効果を発現することが可能になる。また、靴下の裏面は、パイル組織となっているため、強力な圧迫にも係わらず、ソフト感のあるサポートとなる。
図29は、パイル挿入編組織を形成する部位の第2例を示す説明図である。靴下の土踏まず部において上記編地組織からなるパイル挿入編組織210を形成した場合、裏糸タックの編地組織を用いることにより、組織の動きが制約され、後述する着圧測定結果(表2)に示すように、その部位の圧迫が強調され、サポート効果を発現することが可能になる。また、靴下の裏面は、パイル組織となっているため、強力な圧迫にも係わらず、ソフト感のあるサポートとなる。
図30は、パイル挿入編組織を形成する部位の第3例を示す説明図である。靴下の足首部において上記編地組織からなるパイル挿入編組織220を形成した場合、裏糸タックの編地組織を用いることにより、組織の動きが制約され、足首部の周方向の均一なサポートが可能となり、またズレ落ち防止効果も発現することが可能になる。また、靴下の裏面は、パイル組織となっているため、強力な圧迫にも係わらず、ソフト感のあるサポートとなる。
【0029】
(実施例7)
図27は、パイル糸を編み込んだ3回裏糸タックの編地組織の例を示す組織図である。
本実施例の靴下は、上述した実施例3と同様に土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位にパイル挿入編組織(締付部)が形成されている。
上記のパイル挿入編組織は、表糸としてパイル糸100を編み込んだ編地組織の編成により形成され、具体的には、裏糸110のみを3回タック編みすると共に、パイル糸100を内側にループ状に突出させてパイル120を形成する編地組織により構成されている。
ここで、裏糸タックのみ(タック回数/3回)の効果については、上述した実施例3と同様の効果が得られる。また、裏糸タックの回数が増加するとタック側の着圧が高くなるので、締め付け力をパイルに分散させることによって締め付け感を緩和することが可能になる。
また、本発明にかかる靴下のパイル挿入編組織(締付部)は、上述した実施例6〜7に示すように同じ回数の裏糸タック編みの編地組織により形成されるものに限定されず、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせ(図示省略)により形成してもよい。
【0030】
本発明にかかる靴下の効果を確認するために行った試験方法及び結果について説明する。
(試験項目)着圧測定試験
(試験目的)裏糸のみをタック編みする編地組織が足部に加える着圧にどれ位の効果を発揮するかを検証することを目的とする。
(試験方法)表裏糸同時タック(タック回数/1回〜5回)と裏糸タックのみ(タック回数/1回〜5回)の各試料を製作し、円周30cmにおけるタック編み組織の部分とその反対側の部分の着圧を測定する。本試料は、表糸に綿アクリル混紡糸を使用し、裏糸にFTYを使用し、編地の中にゴム糸を挿入している(図11乃至図15、図21乃至図25参照)。
(試験結果)表裏糸同時タック(タック回数/1回〜5回)の着圧測定結果(各4回測定結果の平均値)を表1に示す。裏糸タックのみ(タック回数/1回〜5回)の着圧測定結果(各4回測定結果の平均値)を表2に示す。なお、単位は、mm/Hgをhpaに変換している。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表1に示すとおり、表裏糸同時タックの編地組織については、(A)タック側と(B)タック反対側における着圧を比較してもあまり差異はみられなかった。また、タック回数を増加させた場合には、(A)タック側の着圧は少し高まり、(B)タック反対側の着圧も若干高まることが確認できた。
【0034】
表2に示すとおり、裏糸タックのみの編地組織については、(A)タック側と(B)タック反対側における着圧を比較すると、大きな差異がみられた。また、タック回数を増加させた場合には、(A)タック側の着圧はタック回数に比例して順次高くなり、一方、(B)タック反対側の着圧はほとんど変わらないことが確認できた。
【符号の説明】
【0035】
10 表糸
20 裏糸
30 ゴム糸
100 パイル糸
110 裏糸
120 パイル
200 パイル挿入編組織(締付部)
210 パイル挿入編組織(締付部)
220 パイル挿入編組織(締付部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表糸としてパイル糸を編み込んだ靴下において、裏糸のみをタック編みすると共に、前記パイル糸をループ状に突出させてパイルを形成することを特徴とする靴下。
【請求項2】
靴下の所定の部位に締付力を付与するための締付部を表糸としてパイル糸を編み込んだ編地組織の編成により形成した靴下において、前記締付部は裏糸のみをタック編みすると共に、前記パイル糸を内側にループ状に突出させてなるパイル組織を構成する編地組織により形成されていることを特徴とする靴下。
【請求項3】
靴下の所定の部位に締付力を付与するための締付部を編地組織の編成により形成した靴下において、前記締付部は裏糸のみをタック編みする編地組織により形成されていることを特徴とする靴下。
【請求項4】
前記締付部は、裏糸タック編みの回数を増加させることにより締付力を高めることができ、且つ、締付部に所望する着圧が加えられることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の靴下。
【請求項5】
前記締付部は、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせにより形成され、締付部内に加えられる着圧に圧力差を設けることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の靴下。
【請求項6】
前記締付部は、土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の靴下。
【請求項1】
表糸としてパイル糸を編み込んだ靴下において、裏糸のみをタック編みすると共に、前記パイル糸をループ状に突出させてパイルを形成することを特徴とする靴下。
【請求項2】
靴下の所定の部位に締付力を付与するための締付部を表糸としてパイル糸を編み込んだ編地組織の編成により形成した靴下において、前記締付部は裏糸のみをタック編みすると共に、前記パイル糸を内側にループ状に突出させてなるパイル組織を構成する編地組織により形成されていることを特徴とする靴下。
【請求項3】
靴下の所定の部位に締付力を付与するための締付部を編地組織の編成により形成した靴下において、前記締付部は裏糸のみをタック編みする編地組織により形成されていることを特徴とする靴下。
【請求項4】
前記締付部は、裏糸タック編みの回数を増加させることにより締付力を高めることができ、且つ、締付部に所望する着圧が加えられることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の靴下。
【請求項5】
前記締付部は、裏糸タック編みの回数が異なる編地組織の組み合わせにより形成され、締付部内に加えられる着圧に圧力差を設けることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の靴下。
【請求項6】
前記締付部は、土踏まず部、ふくらはぎ部、足首部、甲側部その他の部位の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせの部位に形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の靴下。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−237087(P2012−237087A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101721(P2012−101721)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(591128383)株式会社キタイ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(591128383)株式会社キタイ (5)
【Fターム(参考)】
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