説明

靴下

【課題】汗蒸れを抑制するとともに、履き心地を向上する靴下を提供する。
【解決手段】靴下100は、足裏全体を覆う底部110を備え、底部110は、弾性部材と、この弾性部材の全体を被覆すると共に弾性部材よりも高い吸水性を有する布とを有し、弾性部材と布とが接着されている。弾性部材はスポンジであり、布は綿を含むことが好ましい。また、足指付け根に位置する弾性部材の厚み及び/または土踏まずに位置する弾性部材の厚みは、他の領域に位置する弾性部材の厚みよりも大きいことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハイヒール、パンプスなどの靴を履くときに、靴擦れや汗蒸れなどを防止するために、靴下を履くことがある。このような靴下として、例えば、特表平10−512332号公報(特許文献1)、特開2006−249623号公報(特許文献2)などが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、ニット・ストッキングと、このニット・ストッキングと着用者の足との間に位置するフット・プロテクタとを備え、フット・プロテクタは着用者の足の母指球部分にだけ厚くされた緩衝領域を有する靴下が開示されている。
【0004】
特許文献2には、靴下本体の内側の足の裏全体、または足の裏の部分的な範囲に弾力性のある素材からなるプレート状物が設けられ、このプレート状物が靴下の内側の足の裏の曲面に沿って付設したポケットに出入自在とした靴下が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平10−512332号公報
【特許文献2】特開2006−249623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のフット・プロテクタは緩衝領域を有しているが、緩衝領域は母指球部分にのみ形成されているので、履き心地が十分でない場合がある。また、上記特許文献1では、緩衝領域はニット・ストッキングにナイロン糸で編み込まれることで形成されているので、汗蒸れを十分に抑制することができない。
【0007】
また、上記特許文献2の靴下では、プレート状物がポケットに出入自在であるので、プレート状物がポケットに入った状態で靴を履いて歩くと、プレート状物が移動する場合がある。このため、特許文献2の靴下では、履き心地が十分でない場合がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、汗蒸れを抑制するとともに、履き心地を向上する靴下を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の靴下は、足裏全体を覆う底部を備え、底部は、弾性部材と、この弾性部材の全体を被覆すると共に弾性部材よりも高い吸水性を有する布とを有し、弾性部材と布とが接着されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の靴下によれば、底部は弾性部材よりも高い吸水性を有する布を有するため、汗蒸れを抑制できる。
また、足裏全体を覆う底部は弾性部材を有しているので、足裏全体において弾性部材があり、かつ、布と弾性部材とが接着されているので、本発明の靴下を履いて歩く等の動作時に弾性部材が移動することを防止できる。このため、履き心地を向上できる。
よって、本発明によれば、汗蒸れを抑制するとともに、履き心地を向上する靴下を提供することができる。
【0011】
ここで、上記「底部」は、足裏の全面を覆っている場合と、足裏の略全面を覆っている場合とを含む。
【0012】
本発明の靴下において好ましくは、上記弾性部材はスポンジであり、上記布は綿を含むことを特徴とする。
【0013】
スポンジはクッション性に優れるので、履き心地をより向上できる。綿は吸水性に優れるので、汗蒸れをより抑制できる。
【0014】
本発明の靴下において好ましくは、足指付け根に位置する上記弾性部材の厚み及び/または土踏まずに位置する上記弾性部材の厚みは、他の領域に位置する上記弾性部材の厚みよりも大きいことを特徴とする。
【0015】
一般的に、パンプス等の靴を履いたときに、着用者が痛みを感じやすい箇所は足指付け根及び/または土踏まずであるので、靴下においてこの領域に対応する弾性部材の厚みを他の領域よりも厚くすることで、履き心地をより向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の靴下によれば、汗蒸れを抑制するとともに、履き心地を向上する靴下を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における靴下を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における靴下を概略的に示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態における靴下の底部の内周側を概略的に示す底面図である。
【図4】図1〜図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における靴下を着用した状態を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜図5を参照して、本発明の一実施の形態における靴下について説明する。なお、図1〜図5は、右足用の靴下を図示している。
【0019】
図1〜図3に示すように、本実施の形態における靴下100は、底部110と、この底部110と接続された側部120と、底部110と側部120とが縫合された縫合部130と、側部120と縫合された履き口部140とを備えている。
【0020】
底部110は、足裏全体を覆う。なお、底部110は、足裏の全面を覆っていてもよく、足裏の略全面を覆っていてもよい(図5参照)。
【0021】
図4に示すように、底部110は、弾性部材110aと、この弾性部材110aの全体を被覆する布110bとを有している。底部110において、弾性部材110aと布110bとは接着されている。つまり、弾性部材110aと布110bとは、接着剤により接着されており、弾性部材110aと布110bとの間には接着層が形成されている。弾性部材110aの表面及び裏面全体に接着層は形成されていてもよく、弾性部材110aの表面及び裏面の少なくとも一部に接着層は形成されていてもよい。弾性部材110aが布110b内で移動することを十分に抑制する観点から、弾性部材110aの表面及び裏面全体に接着層が形成されていることが好ましい。
【0022】
さらに本実施の形態では、弾性部材110aと布110bとは、それぞれの外周側で縫合されている。図1〜図4に示すように、弾性部材110aと布110bとが縫合される領域は、縫合部130を形成している。このように、本実施の形態では、弾性部材110aと布110bとは接着・縫合されている。
【0023】
弾性部材110aは、クッション性を有する部材であり、スポンジであることが好ましい。弾性部材110aには、通気性を高めるために、穴が形成されていてもよい(図示せず)。穴は1つであってもよく、複数であってもよい。また、弾性部材110aにおいて、穴は、全体に形成されていてもよく、部分的に形成されていてもよい。穴が部分的に形成されている場合には、通気性をより高める観点から、弾性部材110aにおいて相対的に厚みが大きい箇所に形成されていることが好ましい。
布110bは、弾性部材110aよりも高い吸水性を有しており、吸水性繊維で構成され、綿を含んでいることが好ましく、綿100%であることがより好ましい。
弾性部材110a及び布110bは、単一の材料で構成されていてもよく、複数の材料(複数層)で構成されていてもよい。
【0024】
図3及び図4に示すように、足指付け根(母指球)に位置する底部111を構成する弾性部材の厚み及び/または土踏まずに位置する底部112を構成する弾性部材の厚みは、他の領域に位置する弾性部材の厚みよりも大きい。言い換えると、足指付け根に沿うように形成された弾性部材の厚み及び/または土踏まずに沿うように形成された弾性部材の厚みは、他の領域に位置する弾性部材の厚みよりも大きい。
【0025】
具体的には、図3に示すように、足指付け根に位置する底部111を構成する弾性部材の厚みは、指先に位置する底部111を構成する弾性部材の厚みよりも大きい。
図4に示すように、土踏まずに位置する底部112を構成する弾性部材の厚みは、土踏まずの外側に位置する底部を構成する弾性部材の厚みよりも大きい。また、図2に示すように、土踏まずに位置する底部112を構成する弾性部材の厚みは、かかとに位置する底部を構成する弾性部材の厚みよりも大きい。
また、足指付け根に位置する弾性部材の厚みと指先に位置する弾性部材の厚みとの差は、土踏まずに位置する弾性部材の厚みと土踏まずの外側に位置する弾性部材の厚みとの差よりも大きい。
【0026】
底部110と接続された側部120は、足の甲の少なくとも一部を覆う。底部110と側部120との接続手段は特に限定されないが、例えば縫合により接続されている。
側部120の下端は、弾性部材110a及び布110bを含む底部110の外周縁と縫合されている。つまり、側部120と、弾性部材110aと、布110bとで、縫合部130を構成している。
側部120は、例えば、連続した布で形成され、この布が背面側で縫合された接続領域121を有している。
【0027】
側部120は、底部110の厚みよりも薄い。
側部120は、薄手の布であることが好ましく、例えば、綿、アクリル、ナイロン、及びウレタンの内の少なくとも1種を含む布である。
【0028】
側部120と縫合された履き口部140は、足を挿入する入り口である。履き口部140は、例えばゴムと、このゴムを被覆したレース等の布とを有している。
【0029】
続いて、図1〜図5を参照して、本実施の形態における靴下100の効果について説明する。
【0030】
図1及び図2に示す靴下100の履き口部140から足を挿入して、靴下100を履くと、図5に示すように、底部110は足裏の略全体を覆う。この底部110は弾性部材110aを有しているので、足裏の略全面において弾性部材110aが配置され、かつ、側部120と縫合された布110bと、弾性部材110aとが接着されているので、靴下100を履いて歩いた場合であっても弾性部材110aが移動することを防止できる。このため、靴下100の履き心地を向上できる。
また、底部110は弾性部材110aよりも吸水性を有する布110bを有するため、汗を吸水できるので、靴下100を装着して靴を履いた状態等において、汗蒸れを抑制できる。
よって、本実施の形態の靴下100によれば、汗蒸れを抑制できるとともに、履き心地を向上できる。
【0031】
なお、本実施の形態の靴下100を履くことにより、靴と足との間に靴下100が位置するため、靴擦れを抑制できる。
【0032】
本実施の形態において、弾性部材110aはスポンジであり、上記布110bは綿を含むことが好ましい。スポンジはクッション性に優れるので、履き心地をより向上できる。綿は吸水性に優れるので、通気性を向上できるとともに、汗蒸れをより抑制できる。
【0033】
本実施の形態では、図5に示すように、足指付け根に位置する弾性部材の厚み及び/または土踏まずに位置する弾性部材の厚みは、他の領域に位置する弾性部材110aの厚みよりも大きい。このように、底部110は、パンプス等の靴を履いたときに、着用者が痛みを感じやすい箇所に位置する弾性部材110aの厚みが大きい、立体的な構造を有しているので、履き心地をより向上することができる。
また、足指付け根に位置する弾性部材の厚みが他の領域に位置する弾性部材の厚みよりも大きい場合、靴下100を装着して靴を履いて歩く等の動作時には、足が靴の中ですべることを抑制できるので、靴擦れをより抑制できる。
【0034】
また、本実施の形態の靴下100は、弾性部材110a、布110b、及び側部120が縫合された縫合部130を備えている。これにより、底部110が足裏全体を被覆でき、かつ側部120が足の甲を安定して保持できる。このため、靴下100を着用して歩く等の動作時に、靴下100が脱げにくくなる。
【0035】
ここで、本実施の形態では、靴下として、足の甲側が多く露出するフットカバーを例に挙げて説明したが、本発明の靴下はフットカバーに限定されない。本発明の靴下は、甲の全体を覆うソックス、ハイソックス、ストッキング等を含む。
【0036】
今回開示された実施の形態すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
100 靴下、110,111,112 底部、110a 弾性部材、110b 布、120 側部、121 接続領域、130 縫合部、140 履き口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏全体を覆う底部を備え、
前記底部は、弾性部材と、前記弾性部材の全体を被覆すると共に前記弾性部材よりも高い吸水性を有する布とを有し、前記弾性部材と前記布とが接着されていることを特徴とする、靴下。
【請求項2】
前記弾性部材はスポンジであり、
前記布は綿を含むことを特徴とする、請求項1に記載の靴下。
【請求項3】
足指付け根に位置する前記弾性部材の厚み及び/または土踏まずに位置する前記弾性部材の厚みは、他の領域に位置する前記弾性部材の厚みよりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の靴下。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−53383(P2013−53383A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191435(P2011−191435)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】