説明

順次式冷却方法及び装置

順番にそれぞれの分室(34)を通過して生産物を移動させることにより生産物を冷却する、2つ以上の分離した分室を有する冷却方法及び冷却設備であって、1つの分室における温度低下によって、生産物が分室(34)を出る際の温度がそこに入ったときの温度の約半分に減少される。本発明の利点には、冷却がより効果的なものであるという理由により、生産物を要求される温度に低下させるのに要する時間が相当短縮されることが含まれる。本発明は、新鮮な果物及び野菜、特にテーブルグレープ、等の新鮮な農作物における損傷又は劣化の頻度を減少させ、有効な保存期間を増加させるのに特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却方法及び冷却工程並びに冷却に用いられる装置及び設備を含む生産物の順次式冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に生鮮農作物と言われる新鮮な果物及び野菜は、最終消費者に新鮮な農作物を提供することを第一として収穫される必要がある。しかしながら、新鮮な農作物を収穫、即ち、摘み取るや否や、主には水分を失うことによって劣化又は分解が始まり、数日後、特に短期又は長期の保存の後には、しばしば最終消費者に販売することのできない農産物となってしまう。生鮮農作物の損傷の進行は温度に依存し、温度が高ければ高い程、損傷の進行は速くなる。
【0003】
新鮮な果物及び野菜は、通常は、成長期の最中に収穫され、これは一般的に一年で最も暖かい時期である。従って、新鮮な果物及び野菜は、通常は暑い又は少なくとも暖かい環境下で収穫される。このような条件下にあっては、果実が摘み取られると高温の外界温度に晒されることによって水分が失われて劣化が始まる。新鮮な農作物が高温に長く晒されれば晒されるほど、劣化の程度が大きくなる。しかしながら、劣化の程度は農作物が棚卸されるまで又は消費者に購入されるまで通常は明らかにならず、当事者を失望及び困惑させることになる。
【0004】
これまでも新鮮な農作物をできるだけ早く冷却する、又は収穫後に実用的にできるだけ早く冷却条件下で農作物を扱うという試みは存在したが、そのようなこれまでの方法は1つ又はそれ以上の理由によって完全に成功してはいない。
【0005】
これまで用いられてきた冷却方法の1つの欠点は、新鮮な農作物を冷却するのに要する時間、及び冷却する果物を保存するのに必要な空間である。環境又は大気を強制空冷したとしても、果物及び野菜を高い外気温度から農作物を市場に輸送できる温度に冷やすのには24時間以上かかることがある。従って、農作物を収容し24時間に渡って低温に冷却するのに必要とされる場所は、特に農作物の収穫量が多く、その殆どについて即時の冷却が必要とされる収穫集中時期には、非常に広大なものとなる。冷却された保存場所が無いために即時冷却できない収穫物は通常は消費者に販売することができず、最高値で売ることは確実に不可能で、農作物の生産者、元売人、販売者の収益を損なうことになる。
典型的に約25℃〜約35℃の温度である箱詰された果物の箱は、市場に農作物を輸送する前に農作物を約0℃〜1℃に冷やすためにラック又は類似の保存容器に約24時間保存される必要が伝統的にあり、これは農作物が冷蔵車によって典型的にこの温度で輸送されるという理由による。要求されるタイプのラック又は棚を提供するための費用は、棚の資本費用だけでなく、ラック及び他の装備品の間を循環させる空気の冷却費用によって高額なものとなる。
【0006】
全収穫物を24時間冷却するのに必要な設備を設置する物理的規模が大きいだけでなく、設備のための資本及び設備の稼動費用は非常に高額なものであり、それは生産者の利益から更に差し引かれる。従って、例えば市場へ輸送するといった農作物を更に処理できる場所の温度にまで冷却するため、現存の方法より更に狭い場所及び/又はより少ない時間で済む相対的に費用効果があり効率的な冷却システムが要求されている。
【0007】
現在用いられている冷却方法の別の問題は、冷却された空気が容器の上部及び側部のみに当たるように空気が強制的に農作物を収容する容器に対して吹きつけられることであり、容器内の農作物の冷却にばらつきが生じる結果となっている。多くの場合、上部が開放された容器に収容された農産物の最上部の1層又は数層が過剰に冷却され、一方、内部に収容された又は容器内で塊りとなった果物は冷却が不十分となる。更に、保存の間に容器内部の比較的暖かい農作物からの熱が周囲の比較的冷たい農作物に放射され、所望されるよりも長時間、農作物が平均よりも高い温度にあることになり、更に損傷が促進されて保存寿命が短くなる。冷却のばらつき及びその後の測定されない熱放射は、農作物のバッチ間のみでなく1つの容器内においても、品質及び貯蔵寿命の点で農作物の不安定性につながる。1つの容器内の農作物の不安定性は生産者の評判を相当損なうものであり、例えば、長い貯蔵寿命を有するグループと短い貯蔵寿命を有するグループの異なるグループに容器の内容物を再分類する等の農作物の更なる処理を行わない限り、生産者が最高の値を要求することは難しい。これらの更なる処理の全ては生産者の費用負担となるものである。
【0008】
従って、農作物がより均一な保存品質を有するように、生産物及び農作物のより不変性があり再現可能な冷却を得られる新鮮な農作物の収穫後の冷却及び取扱いを含む、生産物を冷却するための向上された方法、システム、アレンジメント及び/又は装置が望まれている。
【0009】
更に、農作物を保存するための高価で大規模なラック又は棚の必要性を廃し、一方、市場への輸送に対しては十分に冷却するより効率的な冷却システムが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的の一つは、より安定した保存品質を得られ、これまで可能だったよりも短い時間で農産物を冷却するような、個々の製品又は農作物を冷却する方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの実施形態において、本発明は、加工食品又は他の製品を含む、工業製品の冷却に関する。本発明は食品又は食用製品に限定される必要はなく、多種多様な食品及び非食品を包含するものである。
【0012】
他の実施形態において、本発明は食品となり得る生産物の収穫に一般的に関連し、特に新鮮な果物、野菜等の農作物の収穫に関する。より詳細には、本発明は農産物の収穫後の処理及び加工、並びに生鮮農作物の保存及びその取扱いに関する。更に詳細には、本発明は果物、野菜等の生鮮農作物の収穫直後の冷却及び取扱いに関する。
【0013】
更なる実施形態において、本発明は、例えば収穫後に果物及び野菜を冷却するための冷却トンネル等の、保存の間に果物又は野菜の損傷又は劣化の機会を最小限にする又は減少する冷却設備の使用に関する。
【0014】
他の実施形態において、冷却トンネルは、農作物の損傷又は劣化が開始する前に農作物の保存期間を持続させるように、好ましくは順番に又は予め設定した順序で農作物を異なる所定温度に冷却するための別個の領域を提供するように、小部屋に区画化、分離化、又は区分化されており、隣接する小部屋の間には調節可能な可動遮断物が介在することが好ましい。
【0015】
本発明は、冷却がより早く、より効果的に行われるような生鮮農作物の冷却方法としての特別な適用を見出すものであり、輸送するために箱詰された農作物を適切な温度に冷却する目的で、箱詰後に果物を比較的長期間保存する必要性を除去するものである。
【0016】
本発明の一つの実施態様において、容器内に生産物を供給する工程と、容器内の生産物を冷却するために生産物を冷却環境に晒す工程とを有する生産物、特に食品又は食材、の冷却方法であって、生産物の保存特性又は特徴の変動を減少させる又は最小限にするために、実質的にほぼ均一に生産物を冷却するように容器内の個々の生産物のそれぞれを冷却環境に晒すことを特徴とする生産物の冷却方法が提供される。
【0017】
本発明の他の実施態様において、生産物を形成又は収穫する段階と、生産物を容器内に箱詰する段階と、生産物が箱詰された温度より低い温度の冷却環境に容器内の生産物を晒す工程とを有する生産物、特に食材、の劣化又は分解の程度を最小限にする及び/又は減少させる方法であって、容器には換気手段が提供されて冷却環境が容器を通過するようになっており、それによって容器内の実質的に全ての生産物が実質的に同一の冷却環境に晒され、それによって容器内の生産物の保存特性又は特徴の変動を最小限にすることを特徴とする生産物の冷却方法が提供される。
【0018】
本発明の他の実施態様において、冷却環境を提供するための少なくとも2つの隣接する区画を有する冷却構造物を用いた生産物の冷却方法であって、当該方法が、初期温度で生産物を箱詰する工程と、少なくとも部分的に冷却構造物内に位置し冷却構造物内で運転可能なコンベヤ手段の一端又はその近辺で容器を2つの隣接する区画のうちの第一区画内に配置させる工程と、初期温度及び/又は容器が移動する区画の直前に位置する区画から容器が出るときの温度より低い温度に生産物を冷却するのに充分な時間容器が冷却構造物のそれぞれの区画に少なくとも留まるように、コンベヤ上の容器を冷却構造物の区画を間欠的に順番に移動させるためにコンベヤを定期的に運転する段階とを有し、容器内の生産物が、生産物の保存特性を高め及び/又は生産物を保存に適した温度に冷却するのに必要な時間を減少させるように容器を通過する冷却環境によって、実質的にほぼ均一に生産物を冷却させる冷却環境に晒される生産物の冷却方法が提供される。
【0019】
典型的に、上記方法は、生産物が収穫される周囲温度よりも低い温度の冷却環境に移送容器内の生産物を晒すことによって生産物を適度の温度に前もって冷却する付加段階を含む。
【0020】
より典型的には、容器と移送容器とは異なるものである。更に典型的には、冷却環境の温度は生産物が前冷却される減少された周囲温度よりも低いものである。
【0021】
典型的に、生産物は生産又は加工された生産物或いは生鮮品である。より典型的に、生産物は、新鮮な果物又は野菜、パン製品、或いは暖かく又は熱く製造され、更なる処理、加工、保存、移送、分配等の前に冷却することが要求される他の新鮮な又は加工された食品である。
【0022】
典型的に、冷却環境は周囲温度よりも低い温度の環境である。より典型的に、冷却環境は、農作物を異なる温度で包含する異なる部分、区画、部位、区域、等を有する。より典型的に、冷却環境は約15℃未満、好ましくは約12℃未満、更に好ましくは約8℃未満の温度である。より典型的に冷却環境は約4℃未満の温度である。最も好ましくは、温度は約0℃〜1℃である。しかしながら、生産物を冷凍しないことが好ましく、特に生産物の部分、例えばブドウの茎は凍らせるべきではないが、ブドウの茎が損傷を受けないという条件で、湿度、圧力等の他の環境要素にも依存して、ある状況下では0℃を僅かに下回る温度も許容される。
【0023】
典型的に、冷却環境とは環境を冷却する空気である。より典型的に、空気冷却環境は強制空気流、好ましくはファン強制空気流である。典型的に、ファンはチューブ軸流ファンである。一般的に、ファンの大きさ、タイプ、パワー等には幅があり、約50ワットのパワーから約数キロワットのパワーであることが好ましい。より典型的には、農作物のそれぞれのアイテム又は部分が個々に冷却され、好ましくはそれぞれの生産物が実質的に同一の環境に晒されるように、空気の圧力は農作物を通すように空気を強制するのに充分なものである。更に典型的には、環境は、湿性又は湿分を含まない環境或いは全体の設備における異なる部分で両方の環境が組み合されたものである。典型的に、冷却環境の相対湿度は、空気冷却コイルの温度差、冷却速度、及び冷却コイルに凝縮する湿分の量によって決定される。相対湿度及び冷却の長さは、典型的に新鮮な農作物から蒸発する湿分の量を決定する。典型的に、冷却には約2時間、好ましくは約1時間程度を要する。
【0024】
典型的に、食材は農作物である。より典型的には、農作物は新鮮な農作物である。更に典型的には、新鮮な農作物は果物又は野菜である。より典型的には、新鮮な果物はブドウ、好ましくはテーブルグレープ、更に好ましくは、プレミアム品質のテーブルグレープである。
【0025】
本発明の他の実施態様において、食材を冷却するための冷却設備であって、2つ以上の分離された又は分離可能な分室又は区画を備えた設備が提供される。一般的に、少なくとも1つの冷却トンネルが存在し、典型的には1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の冷却トンネルが存在する。より典型的には、それぞれの冷却トンネルは少なくとも1つの分室を有する。更に典型的には、多数又は複数の分離した分室又は小室が存在する。より典型的には、1つのトンネルに、4〜8つの分室、好ましくは6つの分室が存在する。更に典型的には、それぞれの分室には1つ以上の遮断物、好ましくは可動遮断物が備えられる。より典型的には、それぞれの分室は比較的暖かい農作物を受け入れ、比較的冷たい農作物を排出する小室を形成する。
【0026】
典型的には、本発明の冷却設備は、冷却される生産物の単一の層を有する単一層設備、或いは1つの層が他の層の上に位置する、又は互いに重なった又は積み上げられた関係にある2つ以上の層を有する複数層設備である。より典型的には、冷却空気が重なった層の間を、横側からと共に上又は下から或いはその両方から強制されて流れる。更に典型的には、冷却空気は異なる層の間及び周囲を循環する。
【0027】
典型的に、容器には1つ以上の換気手段が備えられる。より典型的には、換気手段は容器を通る空気流を提供又は許容する。更に典型的には、容器は排気手段を含む。典型的には、換気手段及び/又は排気手段は、空気がそこを通って箱を循環及び/又は再循環する1つ以上のスロット、隙間、穿孔、又は開口部を有する。更に典型的には、開口部は容器の側面、又は底面、又はその両方に設けられる。好ましくは、開口部は底面のみに設けられる。更に典型的には、換気手段は底面の約20%〜25%まで、好ましくは約15%まで、より好ましくは約3〜13%、更に好ましくは約10%、最も好ましくは約5%の底面積を占める。
【0028】
典型的に、開口部は如何なる適切な大きさ、形、向き、等であってもよい。より典型的には、開口部はスロットであり、幅が約6〜12mmで長さが約50〜200mmであることが好ましく、長さが約80〜120mmであることがより好ましい。より典型的には、開口部を、例えば列状、典型的には箱を不必要に弱めないように互いに間隔を開けた千鳥状の列といった、如何なるアレンジメント、レイアウト、又はパターン、で配置することが可能である。開口部は、横方向、縦方向、又は箱の側面及び互いに対して角度をつけてといった、全ての方向に延伸させることが可能である。開口部は連続したもの或いは間にデバイダ、スペーサ又はその類似物が介在する2つ以上の部分又は区画からなる不連続のものであることができる。一つの実施形態において、箱がコンベヤに引掛かる危険性を最小限にするために、スロットの端は丸められている。更に典型的には、開口部は冷却空気が容器を通過することを可能にする。より典型的には、スロットは、個々のアイテム又は構成部分が実質的に同一の冷却環境に晒されるように、冷却空気が容器内の個々の生産物又は農作物の部分又はアイテムを通過させるようにする。典型的には、それぞれの容器には2つ、3つ、4つ又はそれ以上の開口部及び/又はガイドが設けられる。より典型的には、容器は箱、好ましくはポリスチレン、スタイロフォーム等のプラスチック材料、或いは厚紙又は合成及び天然材料を含むリサイクル材料、から製造される箱である。
【0029】
典型的に、箱の側面には気流が容器を通過するように方向付けするバッフル、ディフレクタ、シール又はガイドが設けられる。より典型的には、ガイドは空気流が容器を通過するように方向付ける、又は空気流が容器を通過するよう強制するために容器をシールする、フラップ、プレート、羽部、翼部又はそれらの類似物である。典型的に、フラップ等はトンネルの壁に蝶番で取り付けられ、コンベヤに沿って箱が移動する際に旋回移動によって箱に接触/離脱するようになっており、箱が動いている場合にシール・フラップは箱から離れており、一方、箱が冷却されている場合にシール・フラップは箱の側面に接触する。より典型的には、1つのシール・フラップが全ての分室又は小室を通して延伸しており、フラップが動くと同時に箱に接触するようになっている。
【0030】
一般に、コンベヤは、空気がコンベヤ及びコンベヤの上に位置する箱を通して流れるオープン・コンベヤである。典型的には、コンベヤはリンクチェーン・コンベヤ又はその類似物である。典型的にはコンベヤは金属又は弾性材料又は2つ以上の異なる材料からなる複合体から形成される。より典型的には、コンベヤはチェーン、好ましくは自転車チェーン又はその類似物である。更に典型的には、その上に箱を支持するために間隔を空けて平行に位置する2つ以上の分離したチェーンが存在する。典型的には容器内の農作物の重量は、容器とコンベヤとの接触を保つ又はコンベヤの移動と共に容器を移送するのに充分なものである。典型的には、チェーンには磨耗パッド、より典型的には弾性又はフレキシブル磨耗パッドが備えられている。
【0031】
典型的に、コンベヤはローラの配列を含み、典型的には個々のローラの間には間隔が空けられ、より典型的にはローラは並列関係で間隔を空けて配置される。より典型的には、ローラは、駆動ローラ等の電動ローラである。
【0032】
典型的には、コンベヤは間欠的に及び/又は連続的に作動される。典型的にはコンベヤは定期的に、順に作動する。典型的に作動の時間間隔は、0.1〜約10分、好ましくは約0.1〜約5分、より好ましくは約0.5〜約3分、最も好ましくは約1.0〜約2.5分である。
【0033】
典型的に、コンベヤは一回の移動につき、およそ容器の長さ又は小室の長さ移動する。典型的に、それぞれの小室において、それぞれの小室内にある箱の列と同じ数の移動が行われる。より典型的には、コンベヤは一回の移動につき、およそ1つの箱の長さ分移動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明を、ぶどう等の新鮮な果物を、その果物を通過させる前の冷却時間を相当減少させる仕様で冷却環境下で処理して箱詰する一の形態の冷却トンネルを有する一の形態の取扱いセンター又は設備を特に参照して記述するが、本発明の範囲は記述されるアレンジメントに限定されるものではなく、本発明の範囲はむしろ食材を冷却するための他の方法及び他の装置、食用にならない工業製品を含む果物及び野菜以外の材料を処理する様々な方法及び装置の使用、特に保存の際及び保存の間に農作物に発生する有害条件を減少させる又は最小限にするために冷却環境等の誘導環境下において材料を扱う他の態様、を包含するより広範囲なものである。
【0035】
本発明をテーブルグレープを収穫し、取扱う1つの例を参照して説明するが、本発明の範囲はテーブルグレープ又は生鮮農作物に限定されるものではなく、むしろ本発明の範囲は、すべての生産物又は材料を人工的な環境、特に冷却環境に晒し、この環境下で材料を取扱い又は処理することを包含するものである。
【0036】
図1は、本発明の装置及び方法が実施される取扱い設備が設置されたテーブルグレープを栽培するための農場又はブドウ園の1つの典型的レイアウトを概略的に示すものである。
【0037】
符号6で示される土地は、テーブルグレープを生産するためのブドウ木の列12と箱詰倉庫、冷蔵貯蔵庫等の形態の取扱いセンター16とを有するブドウ園又はその類似物10と共に提供される。通常はブドウが熟する暑い季節の適当な時期に、テーブルグレープが収穫される。この段階で、熟したブドウはその大きさ及び状態に関係なく全ての房が摘み取られる。必然的に、ブドウの大きさ、品質、状態は、1つの房においても房ごとにおいても異なる。最上級のブドウとして販売されるテーブルグレープにおいては、ブドウの外側に付いている花が維持されることが望ましく、これはテーブルグレープの大手の買手は花があることがブドウの品質を示すものであると考えており、同時にブドウに魅力的な外見を提供するものであるという理由による。それ故、後続のブドウの取扱いはブドウから花が取れてしまうことを最小限にするようなものであるべきである。この要件を満たすためには、通常は、ブドウの機械的な取扱い及び運搬を最小限にすることが要求される。従って、ブドウの扱いは主に手作業となる。
【0038】
ブドウは摘み取られた後に適切な入れ物(図示せず)に入れられ、果実取扱いセンター16に運搬される。そのような入れ物は「収穫容器」と呼ばれる。畑でブドウを摘む人々によってクレートに入れられたブドウを収容した冷却、冷蔵、又は冷凍車両を含む、例えば、電動機付き車両及び/又はクレート、手押し車、等のブドウを取扱いセンターに運搬するための全ての好適な、所望される又は適切な手段を用いることができる。必要があれば、電動車両が出入用道路14を通って取扱いセンターにアクセスすることができる。
【0039】
取扱いセンター16は、一時保存セクション18又は予冷セクションと呼ぶことのできる第一セクション等の多数の分離したセクションを含む。特定の機能、ガスチャンバー又はガス部屋等が要求される場合には、任意に他の前処理セクションが設けられる。畑から運搬された後、取扱いセンター16に到着すると、ブドウはまず収穫容器が強制空冷に晒される予冷セクション又はその近辺に置かれる。収穫容器はそこから箱詰セクション22として知られる第二セクションに移動され、そこでは個々のブドウが収穫容器から移動され、その種類、大きさ、品質、状態、他の特性又は特徴に基づいて、ほぼ同一又は類似の特性、特徴、又は品質を有するブドウに分類、等級付され、容器に入れられる。取扱いセンター16は典型的には約25℃〜約35℃の温度である周囲温度より低い温度の総合環境に調整されており、これは、特にブドウが一時的に予冷セクション18に保存される場合には、ブドウが取扱いセンターに到着すると直ぐにブドウを初期冷却するように冷却プロセスを開始するためである。ブドウが取扱いセンターに入ると直ぐに冷却し、箱詰所で分別して箱詰するのを待つ間にも冷却することができるように、予冷セクションには、例えば、Thermfresh(登録商標)製等の冷却機が備えられていることが好ましい。摘み取り後のブドウは出来るだけ短い時間で取扱いセンターに到着し、摘み取り後に出来るだけ早くブドウの冷却を開始することが、特に暑い又は暖かい気候においては、劣化又は損傷を最小限にする又は減少させるために望ましい。予冷及び/又は箱詰セクションにおいて、一般的に、ブドウの温度が、予冷によって約25℃〜約35℃の周囲温度から約8℃〜16℃、一般的には約12℃〜16℃に低下される。
【0040】
一般的に、農作物の箱詰セクション22及び/又は予冷セクション18における滞留時間は、約8時間、一般的には約4時間、より一般的には約2〜3時間である。
【0041】
ブドウを適切な容器に仕分けし等級付けを行った後、一般的には長軸方向に設置される運搬システム26又はその類似手段、及び一般的に横軸方向に設置される運搬システムであるエンドレスベルト又はその類似物28によって、容器を冷却セクション30である取扱いセンター16の第二セクションに送る。個々の運搬システムは、冷却される特定の生産物への使用に適切な幾つもの異なる形態を取ることが可能である。
【0042】
一つの実施形態において、冷却セクション30は、ブドウの容器を箱詰セクション22から保存セクション40である取扱いセンターの更なるセクションへ運搬するための運搬システムを有する冷却トンネルアレンジメント32と共に提供される。全ての適切な運搬システムを用いることが可能である。一つの特に有益な運搬システムは、冷却空気をコンベヤーの周囲及びコンベヤー上のブドウの箱に循環させる、例えば、リンクチェーン・アレンジメント、典型的には自転車チェーン、等のオープン・システムを含むものである。特に好ましいコンベヤーの形態は、その上に載せられたブドウの箱を支持するために直列で又は同調して作動する少なくとも2つの分離した自転車チェーンを含むものである。移送される箱の数に応じて、幾つものコンベヤー・チェーンを大体平行に間隔を空けて配置することができる。チェーンは、好ましくは弾性又は衝撃吸収性材料から製造される、有効な場所に配置される磨耗パッドと共に提供される。更に、一杯になった箱の重量は箱とチェーンとの接触を維持するのに充分なものであり、チェーンの個々のリンクが箱の下表面を噛んで把持するように、スチレン又はその類似物等の比較的柔軟及び/又は変形可能なプラスティック材料から箱が製造された場合は特にそうである。他の実施形態において、運搬システムは互いに間隔を空けて平行に配置される1つ以上のローラーの列を含むものである。特に好ましいローラーの形態は、電動ローラーである。
【0043】
冷却トンネル32は、ブドウに対して主要な冷却を提供するために冷却空気をブドウに吹き付ける1つ以上のチューブ軸流ファンを更に有する。
【0044】
一つの実施形態において、冷却トンネルは順番に直線上に並んだ6つの分離可能な区画34又は小室に分けられており、ブドウの箱が箱詰セクション22から保存セクション40に運搬される際にそれぞれの区画を順番に通るようにされている。遮断物36がトンネルを6つの小室に分けるように間隔を空けて設置される。後でより詳細に説明されるように、遮断物は、固定遮断物、調節可能遮断物、又は可動遮断物であることができる。
【0045】
冷却トンネルのそれぞれの区画の上には、所定温度及び所定速度、並びに相対湿度、圧力、速度、等の他の所定条件で冷却空気を区画に提供するための空調又は冷却設備が配される。全ての適切な冷蔵又は冷却設備を使用することが可能である。特に好ましい設備は上空の空気を下方にブドウの箱及び運搬システムを通して吹き降ろし、適切なリターンシステムによって冷蔵設備又は冷却設備に循環させるものである。このような形で、個々の農作物を冷却するように、冷却空気が運搬システム上の箱の上及び中を通って吹き付けられる。
【0046】
それぞれの小室には1つ以上のファンが備えられており、それぞれのファンは数ワットから数キロワットのものである。それぞれのファンは、一般的には約50ワット〜10キロワット、より典型的には約50〜100ワットである。
【0047】
典型的な空気流量は、1キログラムのブドウに対して毎秒10リットルまでの空気量である。空気流量は、好ましくは約0.5〜約10リットル/kg/秒、より好ましくは1〜5リットル/kg/秒、更に好ましくは1〜3リットル/kg/秒であり、最も好ましい流量は約2リットル/kg/秒である。空気の温度は後に説明される要件に従って選択することができる。更に、幾つかの実施形態においては冷却トンネル中に湿分を加える必要はない。しかしながら、必要又は望ましい場合には湿分を加えることが可能である。
【0048】
一つの実施例において、冷却設備の1つ又はそれ以上のセクション全体に間隔をおいて位置するノズル又はその類似物を通して水を連続的又は間欠的に噴射するスプレー・システムを有することによって、湿度が制御又は増加される。
【0049】
冷却セクションの特に好ましい実施形態において、4列に配列された20箱のブドウが存在し、それぞれの列には5つの箱があることによって20箱からなるグループを形成する。20箱からなる1つのグループはそれぞれの区画内に位置し、全ての箱が1つの区画から次の区画に同時に移動する。従って、20箱のグループ各々がそれぞれの区画に保持される。更に、各々のグループ内において、隣接するそれぞれの側壁と隣接するそれぞれの端壁のように、20箱の全てが隣接する箱との間に実質的に間隔がないように接する関係にある。これは冷却空気が箱を通って流れるようにすることによって内容物を冷却する効果がある。
【0050】
1グループ当り20箱を運搬する単一の運搬システムがあっても良いし、収穫及び/又は取扱いセンターの規模に応じて、それぞれのコンベヤが1グループ当り20箱を運搬する2つ又はそれ以上の運搬システムを並べて配しても良い。従って、それぞれの区画に、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のコンベヤが存在するか否かによって、それぞれの区画が20、40、60、80、又はそれ以上の箱を有することが可能である。図2において、それぞれに6つの区分がある、並んで設置された4つのコンベヤ38が示されている。
【0051】
冷却トンネル32の操作の一つの実施形態において、最初の20個の箱は並列に隣接するように第一小室内に配置され、ブドウの温度が初期温度の約半分の温度になるように所定の時間保持される。一例として、約16℃の温度で箱詰セクション2から到着するブドウは、第一区画内において約8℃に冷却される。空気の温度及び流速は、この温度低下が達成されるように調節される。この第一区画においては全ての農作物が同じ温度にまで低下しない可能性もあり、区画内の気流に制限が少ない場所と比較して、気流に対して増加された背圧がある場所ではブドウの房と房の間に僅かな温度差がある場合がある。しかしながら、全ての温度差は冷却トンネルを更に移動することによって均等化される。第一区画内のブドウの温度が平均して所定の初期温度の半分の温度になると、コンベヤが自動的に作動して、更に温度が低下するように冷却される第二区画に全てのブドウの箱を移動させる。第二区画の冷却条件は、要求される温度低下に応じて、第一区画の冷却条件と同一又は相違するものであることができる。第一グループの箱が第一小室から第二小室に移動すると同時に、新しい20箱のグループが第一区画内のコンベヤに載せられ、再び第一区画内のブドウの温度が約16℃の初期温度から約8℃まで冷却されるように冷却気流に晒される。
【0052】
1つの小室内に箱が置かれる時間は、一般的には約0.1〜約30分であり、好ましくは約0.5〜20分であり、より好ましくは約3〜15分であり、更に好ましくは約5〜12分であり、最も好ましくは約8〜10分である。
【0053】
小室内で箱を冷却する所定時間経過後に、区画2内のブドウの箱を区画3内に移動させ、同時に区画1内の箱を区画2に移動させて区画1が新しい20箱のグループを受け入れられるようにコンベヤを作動させる。従って、コンベヤは約10分毎に間欠的に作動して、全ての箱を6つの区画それぞれに同時に移動させる。この実施形態において、コンベヤの一回の移動は並んでいる4つの箱の端から端の長さに大体相当し、約1.5〜2.0mになる。しかしながら、移動は箱の大きさに依存する。
【0054】
従って、全ての箱はそれらが順次、それぞれの区画を通って進行することにより、同一の冷却に晒される。冷却トンネルのコンベヤは、その日の全ての生産物の箱の各々が6つの区画のそれぞれを順次通過して要求される温度に冷却されるまで、間欠的に作動される。
冷却トンネルの典型的な温度減少を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
ブドウの箱は、一般的に横方向に設置されたコンベヤ・ライン、エンドレスベルト、等の手段42によって、最後又は6番目の区画から冷却トンネル32の末端又はその近辺に位置する保存エリア40に移動される。保存エリア40において、箱はパレットに載せられ、パレット44は湿分を保持し、箱の温度を約0.0〜0.5℃の間に維持するようにプラスチック・フィルム又はその類似物によってラップされる。個々の箱は、湿分が箱の底のスロットから逃げないようにし、箱の断熱性を補助するようにラップされる。ラップされた箱は直接パレット上に置かれ、そこからは開放ドック48を通ってほぼ即座に輸送することができる。このように、箱をラック又は棚に保存する必要がなく、既に0℃〜0.5℃に冷却されていることから、市場に輸送するために24時間もかけて充分に冷却する必要は全くない。ラップされたペレット又は他の生産物を保存するための更なる冷蔵室が冷蔵保存エリア50内に設けられている。
【0057】
この実施形態において、取扱いセンター内での農作物の移動が図1に矢印の向きによって示されており、ブドウ園から運ばれた容器の導入を示す矢印Aから開始され、開放ドック48を通る矢印Bで終結する。
【0058】
一つの実施形態において、小室を形成する遮断物は可動式であり、例えば、冷却トンネルを6つの区画に分割する垂直方向に移動可能なカーテン、障壁、又はパーティション等である。この実施形態において、そのような可動遮断物が7つあり、そのうち2つはトンネルの両端にあり、5つがトンネルを6つの区画に分けている。可動遮断物はその下表面又はその類似物が、箱の上表面、特に箱の端又は選択された箱の列の間、に接するまで下降させることができる。一般的に、必要がある場合に遮断物を数センチ昇降させる。区画を流れる冷却空気が個々の遮断物の周囲の箱又はブドウを通して流れ、箱のスロットを通過して出るように、弾性物質から形成されるシールが可動遮断物の下端に沿って提供されて区画を密封する。
【0059】
一つの実施形態において、シールは一般的にD字型をした主にプラスチック材料、ゴム性材料、等から形成される圧縮性の或いは弾性的又は伸縮自在に変形可能な細長片又はロールであり、可動遮断物の下端に沿って或いはそれに付着して用いられる。箱がコンベヤ上にある場合には遮断物を上昇させてその下を箱が通過するようにすることができ、従って、遮断物と箱との間には隙間があり、その後、上昇位置から箱に接触するように下降させて小室を封止する。図3に示す一つの実施形態において、縦方向に延伸するフラップ60が提供され、箱64に対する接触及び非接触が可能となるように、図3に矢印Yによって示されるように蝶番によって約50〜80°の回転又は移動が許容されるように壁62に取り付けられており、箱64が静止している場合にはフラップ60が配列された箱と接触して冷却空気が箱を通るようにし、箱が移動している場合にはフラップが回転して箱から離れることによって箱がコンベヤの方向に沿って移動できるようになっている。
【0060】
他の実施形態において、異なる大きさの箱が冷却設備を移動できるように、遮断物の幅を調節することが可能である。更なる実施形態において、遮断物の操作によって移動する熱量を最小限にするために、遮断物を動かした後の隙間又は空間、特に幅、の大きさを調節することが可能である。
【0061】
冷却トンネルの他の実施形態は以下のアレンジメントを包含するものである。冷却トンネルが個々のコンベヤ、例えば図2に示されるようにそれぞれが6つの分画に区切られた4つのコンベヤ、に分割される。この実施形態において、コンベヤは2.5分毎におよそ一つの箱の長さ、即ち、約450mm程度移動する。この実施例においては、小室内の全ての箱が同時に1つの小室から次の小室に移動する代わりに、全ての箱が一つの位置から隣接する位置に同時に移動する。従って、コンベヤは長い距離を1回で移動する代わりに5回の短い距離を移動し、小室内の箱は同じ時間だけ小室内にあって上述の実施形態と同じ冷却環境に晒されることになる。この実施形態において、最初の横方向ライン又はブドウの箱の列は小室内の第一位置に沿って小室1内のコンベヤに搭載される。所定のインターバルの後、箱の列を第二位置に移動させるためにコンベヤが約1箱分の距離を移動する。空所となった第一位置には次のボックスの列が載せられる。所定のインターバル時間が過ぎると、コンベヤが次の位置に箱を移動させ、これは農作物を要求される温度にまで冷却するように全ての箱がトンネルの一端から他の端まで移動するまで続く。
【0062】
この実施例において、農作物が入れられた最初の箱の列の前に、15個の空の箱が置かれる。このように、それぞれの箱が順次にそれぞれの小室を通過し、小室1から始まって小室6で終結するまで定期的に移動することによって、それぞれの小室及び全体に要求される温度にまで冷却されるに充分な時間それぞれの小室内に留まる。冷却の終了時に15個の空の箱が農作物の5つの箱からなる最後の列に加えられる。
【0063】
特に図4を参照して、換気手段を有する本願の容器の一つの形態を説明する。この実施形態において、容器がその底部の通気パターンの一形状と共に提供される。容器70は、平面状底部72及び平面状底部72から実質的に垂直に延伸する4つの側壁74を含む上部が開放された箱の形態を有する。底部72には、冷却空気が容器70を通過することを可能にするスロット76の形態の開放部が配置されている。一つの実施形態において、代替のスロット76の配置として、全てのスロット76が実質的に平行の関係で実質的に長さ方向に実質的に間隔をおいて配置される。スロット76は実質的に直線的なものとして示されているが、容器の保存及び移送を可能とする保全性、強度、剛性等を維持でき、かつ、気流を循環させて容器を通過させるものであれば、開放部の目的に応じて全ての適切な大きさ及び/又は形状を取ることができ、全ての適切なアレンジメント又はパターンであることが可能である。
【0064】
冷却設備の任意の特徴は、農作物を必要に応じて気体雰囲気に晒すための、例えば、ガス処理室、ガスチャンバー、密閉された大気圧室、等の前処理エリア又は包囲空間の存在である。ガス処理の一例として、果物又は野菜の熟成を手助けすることが挙げられる。ガス処理の他の例として、農作物が輸出等される予定の場合に要求されるくん蒸処理が挙げられる。
【0065】
本発明の利点には、冷却空気を箱の周囲ではなく箱の中を通すことによって冷却をより効果的なものにするという理由によって、果物又は他の新鮮な農作物を要求される温度に冷却するのに要する時間を相当減少させることが含まれる。これは果物に一定の保存特性が発揮されるように、果物をより安定した条件に晒すことになる。本発明の冷却方法はより迅速なものである。大容量の保存棚又はラックを準備する必要はない。
【0066】
記述した実施形態を説明によって更に向上させたが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、ここに開示された全ての新規な特徴及び新規な特徴の組み合わせを含む多くの変更を行うことが可能である。
【0067】
斯界の当業者は、ここに記述された発明を特に説明された以外のものに変更及び修正することが可能であることを理解するであろう。本発明はその趣旨及び範囲内のそのような全ての変更及び修正を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の取扱いセンターが栽培所又は農場に位置する一つのアレンジメントを上から示す平面概略図である。
【図2】本発明が設置され、冷却方法が実施される取扱いセンター装置のアレンジメントの一形態のレイアウトを上から示す平面概略図である。
【図3】冷却トンネルの側壁のフラップシールの一形態を示す図である
【図4】本発明の冷却工程の間に農作物を収容するのに使用することのできる容器の一形態の底部の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
16 取扱いセンター
18 一時保存セクション
22 箱詰セクション
30 冷却セクション
32 冷却トンネル
34 分室(区画)
36 遮断物
38 コンベヤ
40 保存セクション
44 パレット
48 開放ドック
50 冷蔵保存エリア
60 フラップ
64 箱
70 容器
72 底部
76 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に生産物を供給する工程と、容器内の生産物を冷却するために生産物を冷却環境に晒す工程とを有する生産物、特に食品又は食材、の冷却方法であって、生産物の保存特性又は特徴の変動を減少させる又は最小限にするために、実質的にほぼ均一に生産物を冷却するように容器内の個々の生産物のそれぞれを冷却環境に晒すことを特徴とする生産物の冷却方法。
【請求項2】
生産物を形成又は収穫する段階と、生産物を容器内に箱詰する段階と、生産物が箱詰された温度より低い温度の冷却環境に容器内の生産物を晒す工程とを有する生産物、特に食材、の劣化又は分解の程度を最小限にする及び/又は減少させる方法であって、容器には換気手段が提供されて冷却環境が容器を通過するようになっており、それによって容器内の実質的に全ての生産物が実質的に同一の冷却環境に晒され、それによって容器内の生産物の保存特性又は特徴の変動を最小限にすることを特徴とする生産物の冷却方法。
【請求項3】
冷却環境を提供するための少なくとも2つの隣接する区画を有する冷却構造物を用いた生産物の冷却方法であって、当該方法が、初期温度で生産物を箱詰する工程と、少なくとも部分的に冷却構造物内に位置し冷却構造物内で運転可能なコンベヤ手段の一端又はその近辺で容器を2つの隣接する区画のうちの第一区画内に配置させる工程と、初期温度及び/又は容器が移動する区画の直前に位置する区画から容器が出るときの温度より低い温度に生産物を冷却するのに充分な時間容器が冷却構造物のそれぞれの区画に少なくとも留まるように、コンベヤ上の容器を冷却構造物の区画を間欠的に順番に移動させるためにコンベヤを定期的に運転する段階とを有し、容器内の生産物が、生産物の保存特性を高め及び/又は生産物を保存に適した温度に冷却するのに必要な時間を減少させるように容器を通過する冷却環境によって、実質的にほぼ均一に生産物を冷却させる冷却環境に晒される生産物の冷却方法。
【請求項4】
生産物を冷却するための冷却設備であって、生産物を定期的に分室を通って移動させることによって生産物が冷却環境に晒されるように、生産物を1つの分室から他の分室に順に移動させるように設置された2つ以上の分離された又は分離可能な分室又は区画を備えた冷却設備。
【請求項5】
付加された前処理区画、又は周囲温度より低い温度の冷却環境に生産物を晒すことによって生産物を適度の温度に前もって冷却する付加段階、を含むことを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却設備又は冷却方法。
【請求項6】
生産物が、製造された又は加工された生産物或いは生鮮品を含む食用又は非食用生産物であることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項7】
冷却環境が、約15℃未満、好ましくは約12℃未満、好ましくは8℃未満、より好ましくは4℃未満、最も好ましくは約0〜−1℃、の温度のように異なる温度に生産物を晒すための異なる部分、区画、部位、区域等を有することを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却設備又は冷却方法。
【請求項8】
冷却環境が、強制空気流、好ましくはファン強制空気流、より好ましくはチューブ軸流ファンによって提供されることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項9】
冷却環境が湿潤環境又は湿分を含まない環境であることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項10】
冷却環境の相対湿度が、空気冷却コイルの温度差、冷却速度、及び設備の冷却区画のそれぞれに提供される冷却コイルに凝縮する湿分の量によって決定されることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項11】
1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の冷却分室を含む少なくとも1つの冷却トンネルが存在することを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項12】
単一の冷却層又は一方が他方の上に位置する2つの重なり層のような複数の冷却層が存在することを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項13】
冷却分室において生産物が容器内に位置し、容器には1つ以上の換気手段が提供されて容器内を気流が通過し、容器内の個々のアイテムそれぞれを実質的に冷却することを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項14】
換気手段が、容器の底部及び/又は壁部に設けられ、空気がそこを通って箱を循環及び/又は再循環する1つ以上のスロット、隙間、穿孔、開口、又は通路を有することを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項15】
気流が容器を通過するように方向付けするバッフル、ディフレクタ、シール又はガイドが容器の側部に設けられ、当該ガイドは空気流が容器を通過するように方向付ける、又は空気流が容器を通過するよう強制するために容器をシールする、フラップ、プレート、羽部、翼部又はそれらの類似物であることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項16】
ガイドが容器に対して旋回移動できるように設置される又は蝶番で取り付けられることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項17】
分室がコンベヤの周囲に設けられ、分室を通って生産物を移送するコンベヤシステムが分室に設けられていることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項18】
コンベヤがリンクチェーン・コンベヤ又は分離した構成要素を有するローラ・コンベヤの形態のオープン・コンベヤであることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項19】
コンベヤが間欠的に又は連続的に作動することを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項20】
コンベヤが、約0.1〜約10分、好ましくは約0.1〜5分、より好ましくは約0.5〜3分、最も好ましくは約1〜約2・5分、の間隔で定期的に作動することを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項21】
生産物がテーブルグレープであることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項22】
冷却トンネルが順番に並んだ6つの分離可能な分室又は小室に分けられており、生産物の容器がトンネルを移送される際にそれぞれの分室を順に通過することを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項23】
トンネルを分室に分割する複数の遮断物が間隔を置いて配置され、当該遮断物は、分室からの熱損失を妨げる又は最小限にするように配置された固定遮断物、調節可能遮断物、又は可動遮断物であることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項24】
分室のそれぞれに冷却空気流が供給され、気流の速度が、トンネル内で処理される生産物1キログラムに対して毎秒10リットルまでの空気量、好ましくは0.5〜約10 l/kg/s、より好ましくは1〜5 l/kg/s、より好ましくは1〜3 l/kg/s、最も好ましくは約2 l/kg/s、であることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項25】
第一分室において温度が約16℃〜約20℃に減少されることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項26】
容器が分室に約0.1〜約30分、好ましくは約0.5〜20分、より好ましくは約3〜15分、更に好ましくは約5〜12分、最も好ましくは約8〜10分、留まることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項27】
第一分室内の温度が約16℃〜約8℃、第二分室内の温度が約8℃〜約4℃、第三分室内の温度が約4℃〜約2℃、第四分室内の温度が約2℃〜約1℃、第五分室内の温度が約1℃〜0.5℃、第六分室内の温度が約0.5℃〜約0℃、に減少されることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項28】
分室のそれぞれに少なくとも1つの熱損失を防ぐためにシールされた遮断物が設けられ、当該遮断物にはシールが提供されることを特徴とする上記請求項何れか一項に記載の冷却方法又は冷却設備。
【請求項29】
添付された図面を参照しここに実質的に記述される冷却方法又は冷却設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−504824(P2008−504824A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519569(P2007−519569)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001010
【国際公開番号】WO2006/005120
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(507008275)パンデュラ・ファームズ・ピーティーワイ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】