顔撮影装置
【課題】 異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、同一条件での撮影を行うことが可能な顔撮影装置を提供する。
【解決手段】 顔を撮影する撮影手段と、顔を除くいずれかの頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、この頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、この保持条件を設定する保持条件設定手段と、この保持条件設定手段の保持条件を保持データとして記憶するデータ記憶手段と、この保持データに基づいて、頭部の保持条件を変更可能とする保持条件調整手段と、を備えている。
【解決手段】 顔を撮影する撮影手段と、顔を除くいずれかの頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、この頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、この保持条件を設定する保持条件設定手段と、この保持条件設定手段の保持条件を保持データとして記憶するデータ記憶手段と、この保持データに基づいて、頭部の保持条件を変更可能とする保持条件調整手段と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の状態を診断する場合などに使用される顔撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる顔撮影装置は、美容皮膚科、美容外科、形成外科などにおいて使用されており、定期的に人の顔を撮影することで肌の状態の経時的な変化を観察し、化粧品や肌治療の効果を確認する目的で使用されている(例えば、下記特許文献1)。具体的には、得られた顔画像からシミ・シワ・毛穴・色ムラなどの評価を行なうものであり、さらには、紫外線を使用したポルフィリン・かくれジミなどの評価も行なわれている。このような肌状態の評価を行なうために、以前に撮影した顔画像と今回撮影した顔画像とを画像処理技術(ソフトウェア)を用いて比較することが行なわれている。従って、以前の顔画像と現在の顔画像が同じ条件で撮影されている必要がある。つまり、顔を含む頭部の位置が正確に把握し、その位置を再現できるようにすること必要となる。
【0003】
このため、例えば、図10に示すような顔面撮像装置101が提案されている。具体的には、この装置101を使用する場合、まず、顎載台116の高さと、額押え117の高さ及び前後位置を標準的な位置にセットし、撮像装置103を撮像位置Poに位置させ、照明装置104の光源113を点灯させた状態で、顧客・患者の顔を遮光ボックス102の開口部105から中に入れ、遮光カーテンを垂らした状態で撮像装置103をオンさせ、その画像をモニタ(図示せず)に映し出す。この状態で、顔の位置を調整する必要がなければそのまま撮像処理を行い、調整する場合は顎載台116の高さと、額押え117の高さ及び前後位置をスケールで読み取り、これを記録して撮像処理を行う。なお、ここで114は拡散板、119は照度調整装置を示す(例えば、下記特許文献1)。
【0004】
また、図11に示すような、撮影条件が変わっても頭部を精度よく所定位置で断層画像を撮影するために用いられる断層画像撮影用固定具210が提案されている。具体的には、顔面を把持する顔面装着部220が顔面の骨格形状と対応した形状を有しているので、これを顔面に装着すると、顔面表皮を介在させて顔面骨格に装着していることになる。この状態で、顔面装着部220をCT用テーブル240に固定手段により固定すると、頭部は所定の位置に精度よく固定されることになる。又、顔面装着部220は顔面表皮を介在させて顔面骨格に装着されているので、この顔面装着部に断層撮影位置の基準となる基準位置を表示する基準位置表示手段を設けると、この基準位置表示手段は顔面装着部220を介して顔面骨格に断層撮影位置の基準を表示することになる。更に、顔面装着部220に所定の間隔で造影材を設けているので、断層撮影により得た断層画像から画像自身の歪み等を知ることができる。ここで、230は頭載置部、231は頭装着部、222および234は面ファスナを示す(例えば、下記特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−148540号公報
【特許文献2】特開平07−67871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図10のような顔撮影装置においては、顔の固定は、額と顎の2点の固定であったため、左右位置を固定することは困難であった。また、この状態で、顎の支点が少しずれる場合があり、額の支点についても顔が動くとずれる場合がある。このため、毎回同じアングルで撮影を行いたいにも拘らず、毎回微妙なずれが出ることから、同じ位置に顔を載置するためには、もう1つの、頭部の固定機構あるいは調整機構が必要とされる。また、額と顎およびその周辺について隠れることとなり、撮影したい顔の一部が撮影できない。また、顔を移動すれば、再現よく撮影できないことがある。
【0007】
また、図11のような撮影用固定具を用いて行う場合には、頭部の固定はしっかりできるが、撮影したい顔の一部が隠れることとなり、光の反射を用いて撮影する場合には不適当である。また、撮影箇所に応じて固定具を交換する方法も可能であるが、操作が煩雑化し、再現性が問題となることがある。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、撮影したい顔部分を隠すことなく、同一条件での撮影を行うことが可能な顔撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る顔撮影装置は、
顔を除くいずれかの頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、
この頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、この保持条件を設定する保持条件設定手段と、
この保持条件設定手段の保持条件を保持データとして記憶するデータ記憶手段と、
この保持データに基づいて、頭部の保持条件を変更可能とする保持条件調整手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成による顔撮影装置の作用・効果について説明する。頭部保持手段により顔を除くいずれかの頭部(以下、本文では「頭部」といい、顔を含む場合にはその旨を表す。)を所定位置に保持し、撮影手段により顔の撮影を行う。この撮影を行う時に、頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、得られた保持データをデータ記憶手段に記憶させておく。後日、同じ人物の顔画像を撮影する場合には、データ記憶手段に記憶されているその人物についての保持データを読み出す。この保持データに基づいて、前回と同じ撮影条件を再現できるように保持条件設定手段により頭部の保持条件の設定を可能にさせるものである。
【0011】
つまり、従前の一般的な額と顎の2点保持あるいは顔面の把持などによる固定法方法との比較検証の結果、本発明者は、頭部を保持することが、(a)顔の撮影に影響を及ぼさない部位の保持であること、(b)変動の少ない固定の維持に必要な保持部の大きさが十分に確保できること、(c)被撮影者が有する個性を再現しやすいこと、を満たすものであり、頭部の形状あるいは保持部との接点についての定量的な情報をデータ化することができ、同一条件での撮影を行うために必要な条件を満たすことを見出した。従って、データ化された被撮影者の頭部の情報を基に頭部の保持条件を調整することによって、顔と撮影手段の相対的な位置関係を精度よく再現することができる。その結果、異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、同一条件での撮影を行うことが可能な顔撮影装置を提供することができる。従って、被撮影者の肌の評価を、正確に行うことが可能となる。
【0012】
本発明において、前記頭部保持手段が、頭部全面で、または頭部全面を縦横に分割した複数の点あるいは面で、頭部の保持条件をデータ化する機能を有するとともに、前記保持データを基に頭部の保持条件を再現して頭部を保持する機能を備えていることが好ましい。
【0013】
従前の顔保持手段では、顔の向きなど前回との微妙な相違が生じることは避けがたい。本発明は、頭部保持手段の機能として、頭部の載置とともに、頭部全面あるいは複数のポイントにおける保持条件をデータ化し、そのデータを前回のデータと比較して、後述するいくつかの手段によって、前回の保持条件を再現するように各ポイントでの頭部の位置調整を行い、顔の向きなどを修正できるようにしたものである。これにより、撮影手段と顔との相対的な位置関係をより精度よく再現することができる。
【0014】
本発明において、前記頭部保持手段と撮影手段が、等距離離隔し、移動可能な状態で連結されていることが好ましい。
【0015】
顔の撮影は、正面、左右の側面を含む数方向から行われ、撮影手段と顔との相対的な位置関係は一定条件であることが求められる。本発明は、頭部を保持することによって、撮影手段と顔との相対的な位置関係の再現を図るものであり、撮影方向を変更する場合においても、その機能が維持されることが好ましい。従って、例えば、頭部保持手段と撮影手段が、頭頂部を中心として移動可能な状態で連結することによって、両者を等距離離隔した条件で撮影方向を変更することが可能となる。これにより、異なる撮影方向においても、撮影手段と顔との相対的な位置関係をより精度よく再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る顔撮影装置の好適な実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、顔撮影装置の内部構成を示す横断面図を示し、図2は、図1に示す顔撮影装置の縦断面図である。
【0017】
この顔撮影装置Aは、美容皮膚科、美容外科、形成外科などにおいて使用されている。定期的あるいは適度な期間を開けて人の顔を撮影することで肌の状態の経時的な変化を観察し、化粧品や肌治療の効果を確認する目的で使用される。この装置は、得られた顔画像からシミ・シワ・毛穴・色ムラなどの評価を行なう機能を有し、さらには、紫外線を使用したポルフィリン・かくれジミなどの評価を行なうこともできる。
【0018】
<顔撮影装置の構成>
図1において、顔撮影装置Aは、略立方体形状の筐体1を備えており、顔の撮影を行う時は筐体1内の所定箇所に頭部を保持させた状態で行い、室内光などが筐体1内部に侵入しにくいような構造が採用されている(構成例1)。顔撮影装置Aは、少なくとも(1)頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、(2)顔に可視光と紫外線を照射する照射手段と、(3)この顔を撮影する撮影手段と、(4)この頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、この保持条件を設定する保持条件設定手段、(5)この保持条件設定手段の保持条件を保持データとして記憶するデータ記憶手段と、(6)頭部の保持条件を変更可能とする保持条件調整手段と、から構成され、さらに(7)カメラ回転移動機構や(8)これらをコントロールする制御手段によって、各構成要素を機能的に動作させている。
【0019】
顔撮影装置において要求される(a)顔の撮影に影響を及ぼさない部位の保持であること、(b)変動の少ない固定の維持に必要な保持部の大きさが十分に確保できること、(c)被撮影者が有する個性を再現しやすいこと、という条件を頭部の保持によって、実現可能であるためである。また、頭部の形状あるいは保持部との接点については、後述するいくつかの方法によって、数値化された客観的な情報として定量的にデータ化できることから、保持状態を繰り返し再現することが可能となった。
【0020】
顔撮影装置Aは、筐体1の正面には開口部1aが形成されており、ここから頭部全体を挿入させる。人の頭部を所定位置に保持するための頭部保持手段として、頭部載置部2と頭部保持部3が設けられ、人が仰臥して、頭部保持部3に頭部を載置する。あるいは、人が仰臥した状態で筐体1が移動し、頭部全体を覆うようにする。また、開口部1aからの外光進入を防止するためにカーテン1bが設けられる。図1では、頭部の中でも、後頭部を保持した場合を例示する。後頭部は、頭部全体を保持し易く安定性が高いことから好ましく、後述するように、頭頂部などによる保持も好適である。次に、顔撮影装置Aを構成する各要素について詳述する。
【0021】
(1)頭部保持手段
顔撮影装置Aにおける頭部保持手段は、頭部載置部2による頭部の載置という基本的な機能とともに、頭部保持部3において、保持条件の検出あるいはおよび頭部の位置調整機能を有する。つまり、頭部保持部3は、人の頭部の大きさや形状などの個性に対応できるように、頭部全面で、または頭部全面を縦横に分割した複数の点あるいは面で、頭部との接触部の形状が変化するように構成されている。と同時に、接触部の形状の変化を、変換手段によって、データ化する。さらに、メモリされた既知の被撮影者の保持データと比較し、前回との相違があれば、接触部あるいは非接触部の形状を変化させ、前回の保持状態に修正する。具体的に、以下に例示する変換手段によって、保持状態を保持データに変換する方法、および保持状態を変化させる方法について詳述する。
【0022】
(1−1)空気の取り込み自在な複数の隔室からなる頭部保持部
頭部保持手段は、頭部の載置という基本的な機能とともに、保持条件のデータ化、前回のデータとの比較、および頭部の位置調整、という各機能を有するものである。具体的には、頭部の載置部分が、空気の取り込み自在な複数の隔室からなり空気保持状態を変化する機構を備えることによって、こうした機能を確保することができる。つまり、頭部を載置したときの所定の部位に設けられた隔室あるいは隔室からの流路に圧力計を設けることによって、その部位での頭部保持条件のデータ化が可能となる。さらに隔室内部の圧力を調整することによって、前回データと同一の空気状態を作り出すことが可能となる。これにより、操作者や被験者を煩わすことなく、自動的にスムーズに同じ撮影条件を再現させることができる。
【0023】
具体的には、図3に例示するように、頭部保持部3は、全面を縦横に分割した複数の隔室Daa,Dab,・・Dnn(「Dnn」と略し、以下各隔室に関連する表示を「流路nn」、「圧力計Gnn」、「ポンプPnn」「バルブVnn」と表示する)からなり、該隔室内部の空気状態を変化させる機能を備えている。具体的には、図3(C)に例示するように、各隔室あるいは隔室からの流路nnに、圧力計Gnn、およびポンプPnnを配設し、頭部の載置に伴う空気圧の変動(圧力上昇)を圧力計Gnnによって測定し、その出力をデータ化して保持データとし、同時に隔室内部の空気圧が前回値と同じになるように、ポンプPnnあるいはバルブVnnを駆動させ、調整する。各隔室Dnnにおいて、こうした調整が行われることによって、頭部保持部3全体として、前回の保持状態を再現することができる。
【0024】
また、隔室Dnnの圧力計Gnnによる空気圧の測定に代え、隔室Dnnに歪センサ(図示せず)を配設し、頭部の押圧によって生じる歪量を測定し、その出力をデータ化して保持データとして、同様に隔室内部の空気圧を調整して保持状態を再現することができる。
【0025】
(1−2)伸縮自在な複数のピンからなる頭部保持部
頭部保持手段における保持条件のデータ化および頭部の位置調整という機能は、隔室の空気圧以外に機械的に実現することも可能であり、具体的には、頭部にかかる多数のピンからなる頭部保持手段を用い、ピンの突出状態によって保持状態のデータ化を図り、ピンの突出状態を制御することによって頭部保持形状を変化させることができる。これによって、前回データと同一の保持状態を作り出すことが可能となり、操作者や被験者を煩わすことなく、自動的にスムーズに同じ撮影条件を再現させることができる。
【0026】
具体的には、図4に例示するように、頭部保持部3は、全面を縦横に分割した複数の点に配設されたピンBaa,Bab,・・Bnn(以下「Bnn」と略す)およびこれに連結するアクチュエータAaa,Aab,・・Ann(以下「Ann」と略す)からなり、ピンBnnは突出状態を変化させる伸縮機能を備えている。具体的には、図4(B)に例示するように、各ピンBnnの一端部が頭部の載置に伴い、収縮した量をアクチュエータAnnによって測定し、その出力をデータ化して保持データとし、同時にピンBnnの収縮量が前回値と同じになるように、アクチュエータAnnを駆動させ、ピンBnnの収縮量を調整する。各ピンBnnにおいて、こうした調整が行われることによって、頭部保持部3全体として、前回の保持状態を再現することができる。この場合、アクチュエータAnnからの出力を基に、アクチュエータAnnの入力を制御する方法を採ることができることから、単一の変換手段によって目的とする頭部の保持状態の再現を図ることができるという点において優位である。
【0027】
また、アクチュエータAnnに代え、ピンBnnの移動量を光学センサ(図示せず)によって測定し、その出力をデータ化して保持データとし、ピンBnnの突出状態の調整を(1−1)同様にピンBnnに接続した流路内部の空気圧によって行うことも可能である。ピンBnnの位置を調整して保持状態を再現することができる。
【0028】
(2)照射手段
顔を照明するための光源8が筐体1内の複数個所に配置されている。光源8は、顔の位置を中心として円周方向に沿って顔に面するように配置されていると共に、図2に示すように、上方にも複数個所に配置される。光源8には、可視光を照射する光源と紫外線を照射するブラックライトがあり、目的に応じて使い分けもしくは両方が使用される。可視光を照射する光源8は、ハロゲンランプ、蛍光灯、LEDなど適宜のものを使用することができる。光源8として、フラッシュ光源を使用してもよい。複数の方向からの撮影画像によって肌の評価が行われ、連続的に撮影する必要がない場合や、短時間の紫外線照射が好ましいことからも、フラッシュ機能を有する光源8が好適な場合が多い。
【0029】
光源8から照射される光を均一に拡散するための拡散板9が光源8と顔の間に配置される。拡散板9は、図1に示す横断面形状は円弧形状(半円形状)であり、ガイドプレート7と同心状に形成されている。図2に示すように、拡散板9は、顔の正面だけでなく天井部と底面部にも配置されており、従って、この拡散板9により顔が包囲されるような形態となる。なお、拡散板9は、半円形でなくてもよく、多角形、楕円形状を呈していてもよい。撮影カメラ4は、拡散板9の背後側に移動することになるため、正面位置Poと側面位置P1,P2において撮影を可能にするため矩形の開口部9aが形成される。
【0030】
(3)撮影手段
顔を撮影するための撮像手段として撮影カメラ4が設けられており、カメラ支持体5に保持されている。また、カメラ支持体5には測距センサー6も取り付けられており、撮影カメラ4のちょうど真上に位置しており撮影カメラ4と顔との相対的な距離データを取得可能に構成されている。図1に示すように、撮影カメラ4による顔の撮影位置は、正面位置Poと左右の側面位置P1、P2の3箇所が設定されている。正面位置Poは、ちょうど撮影カメラ4が顔と向かい合う位置であり、側面位置P1,P2は正面位置Poに対して45゜に設定された位置である。ただし、この45゜という角度については、この数値に限定されるものではなく、他の角度に設定してもよく、また、側面位置P1,P2も2箇所だけでなく、更に多くの側面位置が設定されていてもよい。例えば、30°,45゜,60゜,75゜に設定されていてもよい。
【0031】
このように、複数個所での顔画像を撮影するために、撮影カメラ4は、顔位置を中心として回転移動できるように構成されている。撮影カメラ4の回転中心Bは、頭頂部の上部近傍に設定されている。頭頂部を中心として移動可能な状態で連結することによって、顔と撮影カメラ4を等距離離隔した条件で撮影方向を変更することが可能となる。撮影カメラ4を回転移動させるための円弧状ガイドプレート7も設けられている。
【0032】
撮影カメラ4は、デジタルカメラが使用されるが、どのようなタイプのものを使用してもよい。必要に応じてビデオ機能を有するものを使用してもよく、静止画像を撮影可能なビデオカメラを使用してもよい。また、フォトダイオードやフォトセルなどの光センサーを配設したCCDセンサーあるいはCCDカメラを使用することも可能である。
【0033】
(4)保持条件設定手段
保持条件設定手段は、頭部保持部3に設けられた変換手段(具体的には、上記(1−1)における圧力計GnnやアクチュエータAnnなど)からの出力を頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化するものである。また、再度の撮影時において保持データを基に、頭部保持手段に対して、その保持条件を設定するものであり、これら両方機能を有することによって、再現性よく顔撮影装置Aにおける頭部の位置取りを行うことができる。従って、操作者や被験者を煩わすことなく、自動的にスムーズに同じ撮影条件を再現させることができる。
【0034】
(5)データ記憶手段
データ記憶手段は、上記変換手段からの保持データを含め、顔撮影装置Aを構成する各手段の入力データあるいは出力データを記憶させるものである。具体的なデータ記憶手段は後述するが、例えば、保持データについては、保持データ保存部に記憶されるとともに、得られた保持データを基に撮影時の頭部の保持状態(例えば、上記(1−1)における隔室を用いた場合には、分割された各隔室の圧力)が算出され、さらに算出された保持状態が設定される。このとき、上記(1−1)における算出された隔室Dnnの圧力や上記(1−2)におけるピンBnnの収縮量も各々データ記憶手段において体系的に記憶され、次回の同一人物の顔撮影の時に、それらのデータを用いて再現性の高い撮影条件を形成することができる。
【0035】
(6)保持条件調整手段
保持条件調整手段は、同一条件での撮影を行うことができるように、頭部の保持条件を調整し、設定する機能を備えている。例えば、上記(1−1)における算出された隔室Dnnの圧力や上記(1−2)におけるピンBnnの収縮量などを挙げることができる。
【0036】
(7)カメラ回転移動機構
撮影カメラ4は、回転移動機構によって顔の撮影方向に移動される。回転中心Bには駆動モータ10と駆動軸11が設けられており、この駆動軸11にアーム12が連結される。アーム12の先端部12aに連結軸13が垂直方向に植設され、この連結軸13の上部先端にカメラ支持体5が結合される。カメラ支持体5は、側面視で略コの字形状を有しており、コの字形状の内側に撮影カメラ4が配置され、上部に測距センサー6が取り付けられる。従って、撮影カメラ4の移動と共に測距センサー6も共に移動する。
【0037】
アーム12の先端には、ローラ15が回転自在に保持されている。このローラ15がガイドプレート7上を回転可能な構造を有し、これにより、撮影カメラ4をスムーズに回転移動させることができる。なお、撮影カメラ4の回転移動機構については、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。
【0038】
測距センサー6は、顔と撮影カメラ4の距離を計測するためのセンサーである。測距センサー6は、光学式や超音波式などの公知のセンサーを使用することができる。顔画像を撮影する場合、以前に撮影した顔画像と今回撮影した顔画像とを比較することで肌治療等の効果を確認するため、同一の撮影条件で撮影する必要がある。顔の角度などが前回と変わった状態で撮影されると、対応させるべきシミ・シワなどの位置が異なってしまい正確な評価ができなくなるからである。そこで、測距センサー6により顔の主要なポイントと撮影カメラ4との測距データを取得して記憶させ、次回撮影カメラ4で撮影する時にその測距データに基づいて撮影カメラ4の位置を設定し、日が変わったとしても、最初と同じ撮影条件を再現できるようにしている。
【0039】
<顔撮影装置の制御機能>
図1に示す制御装置20は、顔撮影装置Aの動作を制御する機能と、撮影カメラ4により撮影された顔画像に関する画像処理を行う機能を有する。モニター21には、撮影された顔画像が表示される。キーボード22は、顔撮影装置Aに対する種々の動作指令入力や画像処理を行なうための種々の動作指令やデータ入力などを行なう。制御装置20、モニター21、キーボード22は、汎用のコンピュータ(パソコン)により構成してもよい。
【0040】
次に、顔撮影装置Aの主要な制御機能について、図5の制御ブロック図により説明する。コントローラ30は、顔撮影装置Aを統括的に制御する機能を提供するものであり、CPU、メモリ、その他の必要なプログラム等により構成される。
【0041】
照明制御部31は、光源8の点灯・消灯制御を行なう。光源8は、顔画像の撮影を行う時に点灯される。可視光と紫外線を使い分ける場合に、そのいずれを点灯させるのか、あるいは両方を点灯させるのかについての制御も行われる。フラッシュ機能を有する場合には、その点灯時間あるいは点灯する時間間隔を制御する。
【0042】
カメラ位置制御部32は、撮影カメラ4を正面位置Po,側面位置P1,P2の各位置に停止させるための移動制御を行うものであり、駆動モータ10に対する動作指令を行なう。撮影カメラ4を所定の位置に停止させるために、カメラ位置センサー33が設けられている。カメラ位置センサー33としては、上記3つの撮影位置を検出するためのセンサーが設けられており、例えば、アーム12の位置を光センサーやマイクロスイッチなどにより検出するように構成できる。また、上記3つの撮影位置だけではなく、それらの中間的な位置も検出することができるようにしている。例えば、駆動モータ10に連動して回転するエンコーダからの信号や、駆動モータ10(パルスモータ)へ供給する駆動パルスのカウント値などに基づいて、細かいステップで撮影カメラ4の位置を検出することができる。従って、撮影カメラ4が移動可能な全範囲について位置検出を行なうことができる。また、基本的には、撮影カメラ4の位置制御は、上記3つの撮影位置で停止させるように行なわれるが、さらに、測距センサー6による測距データに基づいて、微調整が行なわれる。すなわち、前述のように前回の撮影時と同じ撮影条件となるように、撮影カメラ4の位置を各撮影位置において微調整する。なお、光源8を撮影カメラ4に近接する位置に配設し、撮影カメラ4とともに移動することも可能である。
【0043】
カメラ制御部34は、撮影カメラ4の動作を制御するものであり、具体的には、光源8の点灯に合せて、シャッターを切ることで顔画像の撮影を行う。顔画像の撮影は、上記3つの撮影位置において夫々行われる。微調整の必要がある場合は、微調整が完了した後に撮影が行われる。
【0044】
測距センサー制御部35は、測距センサー6に対する制御を行う。測距センサー6は、顔の複数個所の測距を行なうことができるように構成される。複数個所の測距を行なうために、測距センサー6の位置を前後左右に微小移動させる機構を設けておくことが好ましい。多点測距を行なうことのできるセンサーであれば、かかる機構は時に設けなくてもよい。
【0045】
顔画像データ保存部36は、撮影カメラ4により撮影された顔画像データが保存される。顔画像データは、デジタルのカラー画像データであり、JPEG等の適宜のファイル形式で保存される。顔画像データは、正面画像・左右側面画像ごとに保存され、人物を特定する人物ID(識別情報)・撮影年月日と共に保存される。
【0046】
測距データ保存部37は、測距データを記憶するデータ記憶手段として機能するものであり、測距ポイントを表わす測距ポイントIDと、人物IDと関連付けて測距データが保存される。コントローラ30は、撮像位置設定手段30aとしての機能を有しており、測距データ保存部37に保存されている測距データに基づいて、カメラ位置制御部32に指令を出し、撮影カメラ4を前回と同じ撮影条件となる位置へ移動させる。
【0047】
画像処理部38は、顔画像データに基づいて、肌治療などの効果を確認するために必要なソフトウェアにより構成される。具体的には、前回撮影した顔画像と今回撮影した顔画像との比較を画像処理技術を用いて行い、例えば、顔の特定部位におけるシミやシワなどの大きさ形状の比較、面積の算出、変色の度合いの解析などを行なう機能を有する。これらの解析結果についてはデータ化されて記憶部に記憶される。
【0048】
保持データ保存部39は、保持データを記憶するデータ記憶手段として機能するものであり、人物IDと関連付けて保持データが保存される。保持データとしては、従来あるいは今回の変換手段からの出力、および、例えば頭部載置前後の隔室Dnnの圧力やピンBnnの収縮量(アクチュエータAnnの入出力)などが含まれる。設定コントローラ30は、保持条件設定手段30bとしての機能を有しており、保持データ保存部39に保存されている保持データに基づいて、保持制御部40に指令を出し、例えば隔室Dnnの圧力やピンBnnの収縮量が前回と同じ撮影条件となるように調整させる。なお、初めての撮影で保持データがない場合のために、予め標準的な保持データを準備することも好ましい。つまり、予め複数の被験者に頭部を頭部保持部3に保持し、そのときの平均的な保持データおよび異常な状況での保持データを把握し、許容範囲を設定することによって、初めての撮影の場合に被撮影者の載置の適正を確認することができる。
【0049】
保持制御部40は、頭部保持部3からの出力をデータ化し、保持データとするとともに、設定コントローラ30からの指令の基づき、頭部保持部3の動作を制御するものである。具体的には、例えば隔室Dnnに係る圧力計Gnnからの出力をデータ化し、ポンプPnnあるいはバルブVnnを調整し、隔室Dnnの圧力制御を行う。また、ピン4nnに係るアクチュエータAnnからの出力をデータ化し、アクチュエータAnnの入力を調整し、ピンBnnの収縮量の制御を行う。
【0050】
<顔撮影装置の操作および動作>
次に、顔画像の撮影を行う時の操作および動作を、図6Aおよび図6Bのフローチャートにより説明する。ここでは、頭部保持部3が、複数の隔室Dnnからなる場合を例として説明する。
【0051】
(1)頭部の保持
まず、図6Aに示すように、顔撮影装置Aの開口部1aから頭部全体を挿入し、頭部保持部3に頭部を保持させる(S1)。次に、頭部保持部3により頭部の複数個所の保持データを取得する(S2)。
今回の撮影が最初であれば(S3)、測定された保持データを保持データ保存部37に保存させて、次回の撮影時に利用できるようにする(S7)。
今回の撮影が初めてでない場合は、その人物についての保持データを保持データ保存部37から読み出す(S4)。
この読み出された保持データと、ステップS2で測定した保持データに基づいて、設定されている頭部の保持状態が正しいか否かを判定する(S5)。これは対応する分割された領域あるいは隔室Dnnの保持データ同士を比較することで行い、全ての保持データが一致した場合に頭部の保持状態は正しいものと判断する。すなわち、保持データが全て一致すれば、前回と同じ撮影条件が再現できたものと判定することができる。
頭部の保持状態が正しくないと判定された場合は、頭部の保持条件の微調整を行なう(S6)。頭部の保持条件の微調整は、ポンプPnnあるいはバルブVnnを調整することで行なわれる。
【0052】
(2)カメラ位置の調整
次に、図6Bに示すように、撮影カメラ4を撮影位置に設定すべく、駆動モータ10により駆動させる(S8)。最初の撮影位置は、正面位置Poになるように設定されている。
次に、測距センサー6により顔の複数個所の測距データを取得する(S9)。
今回の撮影が最初であれば(S10)、測定された測距データを測距データ保存部37に保存させて、次回の撮影時に利用できるようにする(S14)。
今回の撮影が初めてでない場合は、その人物についての測距データを測距データ保存部37から読み出す(S11)。
この読み出された測距データと、ステップS9で測定した測距データに基づいて、設定されているカメラ位置が正しいか否かを判定する(S12)。これは対応する部位の測距データ同士を比較することで行い、全ての測距データが一致した場合にカメラ位置は正しいものと判断する。すなわち、測距データが全て一致すれば、前回と同じ撮影条件が再現できたものと判定することができる。
カメラ位置が正しくないと判定された場合は、カメラ位置の微調整を行なう(S13)。カメラ位置の微調整も、駆動モータ10を駆動することで行なわれる。微調整する場合、撮影カメラ4を現在の位置から右方向に移動させるか左方向に移動させるかについて決める必要がある。この点については、各測距データ同士の比較からどちらの方向にずれているかを判断できるため、これに基づいて決定することができる。リアルタイムで測距データを取得しながら撮影カメラ4を移動させることで、効率よく正しい位置に設定させることができる。
【0053】
(3)顔画像の撮影
撮影カメラ4が正しい位置に設定されると、カメラ制御部34により撮影カメラ4を動作させて、顔画像の撮影を行う(S15)。撮影された顔画像データは、顔画像データ保存部36に保存される(S16)。1つの撮影位置における撮影が終了したら、他の撮影位置へ移動する必要があるか否かを判断する(S17)。必要があれば、ステップS8に戻り、同様の動作が繰り返される。必要がなければ、動作は終了する。
【0054】
(4)以上の動作によって、撮影時の頭部つまり顔を、今回の撮影が初めての場合は、予め設定された適切な撮影条件となる保持条件に調整し、今回の撮影が初めてでない場合は、前回と同じ撮影条件の保持条件に調整することによって、異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、同一条件での撮影を行うことが可能となる。なお、今回の撮影が初めてでない場合において、保持条件を前回と同じ撮影条件に調整することも可能である。
【0055】
<別実施形態1>
上記構成例1においては、撮影条件が前回と同一になるように、頭部保持手段において採取した頭部の保持データを基に、頭部の保持状態の調整を行なっているが、これに代えて頭部の保持状態を成型するように構成してもよい(構成例2)。顔撮影装置Aは、少なくとも(1a)成型を用いて頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、(2)照射手段と、(3)撮影手段と、から構成され、さらに(7)カメラ回転移動機構や(8)これらをコントロールする制御手段によって、各構成要素を機能的に動作させている。基本的には、構成例1と同様、図1および図2に例示する構成を使用することができる。
【0056】
顔撮影装置において、頭部保持手段の頭部の保持条件の同一性を確保し撮影条件の再現を図るには、上記のように、頭部の保持条件をデータ化した保持データを基に、頭部の保持状態を調整する方法とともに、成型手段によって頭部の保持状態を写し取る方法が可能である。つまり、(1)頭部の形状は被撮影者が有する個性を再現しやすく、(2)損傷等がなければ経時的にも保存性が高いことから、この成型を用いることによって、後日、同じ人物の顔画像を撮影する場合であっても、前回と同じ撮影条件を再現できるように保持条件設定手段により頭部を保持することができる。また、成型手段は、頭部保持手段と一体化することも可能であるが、被撮影者に対応した成型の交換あるいは頭部保持手段の可動性の確保などをスムーズに行うために別体とし、同一位置に固定可能な構造にすることが好ましい。
【0057】
つまり、既述のような、顔撮影装置において要求される(a)〜(c)という条件に加え、(d)損傷等がなければ経時的にも保存性が高いことから、成型を用いることによって、後日同じ人物の顔画像を撮影する場合であっても、前回と同じ撮影条件を再現することが可能である。このとき、頭部保持手段として、人が仰臥して頭部を載置する頭部保持部3において成型することが好ましい。頭部保持手段を頭部載置部2と頭部保持部3に分けて構成することによって、小容量の成型とすることができ、保存が容易となる。以下に、具体的に、頭部の保持状態を成型する方法例を詳述する。
【0058】
(1a−1)石膏あるいは発泡ウレタンなど不可逆成型材からなる成型
成型手段によって頭部の保持状態を写し取ることは、頭部保持手段の頭部の保持条件の同一性を確保し撮影条件の再現を図るために好適な方法の1つである。具体的に保持状態を写し取る方法としては、石膏あるいは発泡ウレタンなどのような不可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法がある。安定で、保存性の高い成型によって、再現性の高い確実な頭部の保持が可能となる点において優れている。
【0059】
具体的には、図7(A)および(B)に例示するように、石膏あるいは発泡ウレタンなど不可逆成型材から構成された頭部保持部3から、図7(C)に例示するように、頭部全体の形状3sを正確に成型として取り出すことができる。従って、こうした成型を用いることによって、頭部保持部3全体として、前回の保持状態を再現することができる。
【0060】
具体的には、石膏を用いる場合において、予め未硬化の石膏を流し込んだ頭部保持部3に頭部を載置し、所定時間加温条件下で静置することによって、成型を完成することができる。また、発泡ウレタンを用いる場合において、予め頭部保持部3下面から浮いた状態で頭部を載置し、発泡原料を速やかに流入し、所定時間加温条件下で静置することによって、成型を完成することができる。あるいは、石膏同様、予め未硬化状態で、頭部を載置することも可能である。発泡ウレタン以外にも速硬化性の不可逆成型材であれば、これに限定されるものではないが、操作性の容易な点において発泡ウレタンが優れている。このとき頭部載置面には柔軟性のあるフィルム等によって石膏あるいは発泡ウレタンをカバーすることによって、被撮影者の汚れ防止とともに、石膏あるいは発泡ウレタン自体の損傷や汚染を防止することができる。
【0061】
頭部の保持状態を写し取る方法としては、石膏などのような不可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法以外に、形状記憶合金を用い、形状を固定した時の温度と同一温度条件となったときに、その形状が再現できる可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法がある。さらに、頭部全体を形状記憶合金で再現させる方法と頭部を複数の部位に分割し各々の部位の形状を再現し全体の形状を形成させる方法がある。いずれも再現性の高い確実な頭部の保持が可能となる点において優れている。
【0062】
(1−2)形状記憶合金からなる成型
頭部の保持状態を写し取る方法としては、石膏などのような不可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法以外に、形状記憶合金を用い、形状を固定した時の温度と同一温度条件となったときに、その形状が再現できる可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法がある。さらに、頭部全体を形状記憶合金で再現させる方法と頭部を複数の部位に分割し各々の部位の形状を再現し全体の形状を形成させる方法がある。いずれも再現性の高い確実な頭部の保持が可能となる点において優れている。
【0063】
つまり、頭部全体の形状を成型する方法として、成型時差異に使用する場合に、以前に形状を固定した時の温度と同一温度条件となったときに、その形状が再現できる可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法が好ましい。可逆成型材として機能を有する形状記憶合金を挙げることができる。つまり、図8(A)に例示するように、未使用時には平板体3fであり、頭部を載置したときに体温によって、図8(B)に例示するように、記憶された形状3mを形成することによって、再現性の高い確実な頭部の保持が可能となる。
【0064】
なお、上記成型のいずれにおいても、必ずしも後頭部や顔を除く頭部だけではなく、特定の方向からの撮影を定期的に行う場合には、その方向にあった顔の一部を含む頭部、例えば額や顎を含めた頭側部を成型することも可能であり、成型はこうした自由度がある点において好ましい。
【0065】
また、構成例2のような成型を用いる構成と、構成例1のような頭部の保持データを用いる構成を組み合わせた構成も好適である。具体的には、一次的に成型によって頭部の位置取りを決定し、顔の方向や頭の上下左右の微調整を保持データを基に行うことによって、さらに再現性の高い保持状態の確保が可能となる。
【0066】
<別実施形態2>
上記実施形態においては、撮影条件が前回と同一になるように、頭部保持手段において採取した頭部の保持データを基に、頭部の保持状態の調整を行なっているが、これに代えて頭部の保持状態を袋状の頭部保持体によって設定するように構成してもよい(構成例3)。顔撮影装置Aは、少なくとも(1b)袋状の頭部保持体を用いて頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、(2)照射手段と、(3)撮影手段と、から構成され、さらに(7)カメラ回転移動機構や(8)これらをコントロールする制御手段によって、各構成要素を機能的に動作させている。
【0067】
上記のように、顔撮影装置は、顔の位置を再現よく保持することが重要である。本発明における頭部保持手段は、空気の出し入れが可能な袋状の頭部保持体を有し、頭部を含めた頭部全体が、その頭部保持手段の中心に位置するように機能する。つまり、頭部保持手段の中心と頭部の中心を一致させることによって、常に顔を同一の位置にすることができる。特に撮影手段を頭部保持手段と接合した場合には、該頭部保持手段の中心を基点として撮影手段を移動することによって、常に顔と撮影手段を等距離に維持することが可能となり、再現性の高い撮影、さらには肌の評価を行うことが可能となる。
【0068】
具体的には、図9(A)および(B)に例示するように、ヘルメット状の頭部保持部3が、頭部の半面をカバーする構造を有するとともに、頭部保持部3の内部に、頭頂部、後頭部および両側面から袋状体3bが配設される構成となっている。袋状体3bに空気が挿入されると、3方向からの押圧によって、頭部全体が、頭部保持部3の略中央に位置取りができるようになる。これによって、同一人については、常に同一位置に再現よく位置取りされ、再現性の高い保持状態の確保が可能となる。
【0069】
この方法によれば、構成例1や2のように、被撮影者が、必ずしも仰臥して頭部保持部3に頭部を載置する必要なく、塔頂部を上部にして撮影することが可能である。また、頭部保持部3と撮影手段がアーム等によって接続され、頭頂部を中心として回転移動可能な構造を軽量で形成した場合には、ヘルメット式に被撮影者に、顔撮影装置Aを装着した状態での撮影も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】顔撮影装置の内部構成を示す横断面図
【図2】顔撮影装置の内部構成を示す縦断面図
【図3】頭部保持部の一例の構成を示す概略図
【図4】頭部保持部の他の一例の構成を示す概略図
【図5】顔撮影装置の制御機能を示すブロック図
【図6A】顔撮影装置の作動フローチャート
【図6B】顔撮影装置の作動フローチャート
【図7】不可逆成型材からなる成型手段の一例の構成を示す概略図
【図8】可逆成型材からなる成型手段の一例の構成を示す概略図
【図9】構成例3における頭部保持部の一例の構成を示す概略図
【図10】従来の顔撮影装置を例示する概略図
【図11】従来の撮影用固定具を例示する概略図
【符号の説明】
【0071】
1 筐体
2 頭部載置部
3 頭部保持部
4 撮影カメラ
5 カメラ保持体
6 測距センサー
7 円弧状ガイドプレート
8 光源
9 拡散板
20 制御装置
30 コントローラ
30a 撮像位置設定手段
30b 可視光設定手段
31 照明制御部
32 カメラ位置制御部
33 カメラ位置センサー
34 カメラ制御部
35 測距センサー制御部
36 顔画像データ保存部
37 測距データ保存部
38 画像処理部
39 保持データ保存部
40 保持制御部
A 顔撮影装置
Po 正面位置
P1,P2 側面位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の状態を診断する場合などに使用される顔撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる顔撮影装置は、美容皮膚科、美容外科、形成外科などにおいて使用されており、定期的に人の顔を撮影することで肌の状態の経時的な変化を観察し、化粧品や肌治療の効果を確認する目的で使用されている(例えば、下記特許文献1)。具体的には、得られた顔画像からシミ・シワ・毛穴・色ムラなどの評価を行なうものであり、さらには、紫外線を使用したポルフィリン・かくれジミなどの評価も行なわれている。このような肌状態の評価を行なうために、以前に撮影した顔画像と今回撮影した顔画像とを画像処理技術(ソフトウェア)を用いて比較することが行なわれている。従って、以前の顔画像と現在の顔画像が同じ条件で撮影されている必要がある。つまり、顔を含む頭部の位置が正確に把握し、その位置を再現できるようにすること必要となる。
【0003】
このため、例えば、図10に示すような顔面撮像装置101が提案されている。具体的には、この装置101を使用する場合、まず、顎載台116の高さと、額押え117の高さ及び前後位置を標準的な位置にセットし、撮像装置103を撮像位置Poに位置させ、照明装置104の光源113を点灯させた状態で、顧客・患者の顔を遮光ボックス102の開口部105から中に入れ、遮光カーテンを垂らした状態で撮像装置103をオンさせ、その画像をモニタ(図示せず)に映し出す。この状態で、顔の位置を調整する必要がなければそのまま撮像処理を行い、調整する場合は顎載台116の高さと、額押え117の高さ及び前後位置をスケールで読み取り、これを記録して撮像処理を行う。なお、ここで114は拡散板、119は照度調整装置を示す(例えば、下記特許文献1)。
【0004】
また、図11に示すような、撮影条件が変わっても頭部を精度よく所定位置で断層画像を撮影するために用いられる断層画像撮影用固定具210が提案されている。具体的には、顔面を把持する顔面装着部220が顔面の骨格形状と対応した形状を有しているので、これを顔面に装着すると、顔面表皮を介在させて顔面骨格に装着していることになる。この状態で、顔面装着部220をCT用テーブル240に固定手段により固定すると、頭部は所定の位置に精度よく固定されることになる。又、顔面装着部220は顔面表皮を介在させて顔面骨格に装着されているので、この顔面装着部に断層撮影位置の基準となる基準位置を表示する基準位置表示手段を設けると、この基準位置表示手段は顔面装着部220を介して顔面骨格に断層撮影位置の基準を表示することになる。更に、顔面装着部220に所定の間隔で造影材を設けているので、断層撮影により得た断層画像から画像自身の歪み等を知ることができる。ここで、230は頭載置部、231は頭装着部、222および234は面ファスナを示す(例えば、下記特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−148540号公報
【特許文献2】特開平07−67871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図10のような顔撮影装置においては、顔の固定は、額と顎の2点の固定であったため、左右位置を固定することは困難であった。また、この状態で、顎の支点が少しずれる場合があり、額の支点についても顔が動くとずれる場合がある。このため、毎回同じアングルで撮影を行いたいにも拘らず、毎回微妙なずれが出ることから、同じ位置に顔を載置するためには、もう1つの、頭部の固定機構あるいは調整機構が必要とされる。また、額と顎およびその周辺について隠れることとなり、撮影したい顔の一部が撮影できない。また、顔を移動すれば、再現よく撮影できないことがある。
【0007】
また、図11のような撮影用固定具を用いて行う場合には、頭部の固定はしっかりできるが、撮影したい顔の一部が隠れることとなり、光の反射を用いて撮影する場合には不適当である。また、撮影箇所に応じて固定具を交換する方法も可能であるが、操作が煩雑化し、再現性が問題となることがある。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、撮影したい顔部分を隠すことなく、同一条件での撮影を行うことが可能な顔撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る顔撮影装置は、
顔を除くいずれかの頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、
この頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、この保持条件を設定する保持条件設定手段と、
この保持条件設定手段の保持条件を保持データとして記憶するデータ記憶手段と、
この保持データに基づいて、頭部の保持条件を変更可能とする保持条件調整手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成による顔撮影装置の作用・効果について説明する。頭部保持手段により顔を除くいずれかの頭部(以下、本文では「頭部」といい、顔を含む場合にはその旨を表す。)を所定位置に保持し、撮影手段により顔の撮影を行う。この撮影を行う時に、頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、得られた保持データをデータ記憶手段に記憶させておく。後日、同じ人物の顔画像を撮影する場合には、データ記憶手段に記憶されているその人物についての保持データを読み出す。この保持データに基づいて、前回と同じ撮影条件を再現できるように保持条件設定手段により頭部の保持条件の設定を可能にさせるものである。
【0011】
つまり、従前の一般的な額と顎の2点保持あるいは顔面の把持などによる固定法方法との比較検証の結果、本発明者は、頭部を保持することが、(a)顔の撮影に影響を及ぼさない部位の保持であること、(b)変動の少ない固定の維持に必要な保持部の大きさが十分に確保できること、(c)被撮影者が有する個性を再現しやすいこと、を満たすものであり、頭部の形状あるいは保持部との接点についての定量的な情報をデータ化することができ、同一条件での撮影を行うために必要な条件を満たすことを見出した。従って、データ化された被撮影者の頭部の情報を基に頭部の保持条件を調整することによって、顔と撮影手段の相対的な位置関係を精度よく再現することができる。その結果、異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、同一条件での撮影を行うことが可能な顔撮影装置を提供することができる。従って、被撮影者の肌の評価を、正確に行うことが可能となる。
【0012】
本発明において、前記頭部保持手段が、頭部全面で、または頭部全面を縦横に分割した複数の点あるいは面で、頭部の保持条件をデータ化する機能を有するとともに、前記保持データを基に頭部の保持条件を再現して頭部を保持する機能を備えていることが好ましい。
【0013】
従前の顔保持手段では、顔の向きなど前回との微妙な相違が生じることは避けがたい。本発明は、頭部保持手段の機能として、頭部の載置とともに、頭部全面あるいは複数のポイントにおける保持条件をデータ化し、そのデータを前回のデータと比較して、後述するいくつかの手段によって、前回の保持条件を再現するように各ポイントでの頭部の位置調整を行い、顔の向きなどを修正できるようにしたものである。これにより、撮影手段と顔との相対的な位置関係をより精度よく再現することができる。
【0014】
本発明において、前記頭部保持手段と撮影手段が、等距離離隔し、移動可能な状態で連結されていることが好ましい。
【0015】
顔の撮影は、正面、左右の側面を含む数方向から行われ、撮影手段と顔との相対的な位置関係は一定条件であることが求められる。本発明は、頭部を保持することによって、撮影手段と顔との相対的な位置関係の再現を図るものであり、撮影方向を変更する場合においても、その機能が維持されることが好ましい。従って、例えば、頭部保持手段と撮影手段が、頭頂部を中心として移動可能な状態で連結することによって、両者を等距離離隔した条件で撮影方向を変更することが可能となる。これにより、異なる撮影方向においても、撮影手段と顔との相対的な位置関係をより精度よく再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る顔撮影装置の好適な実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、顔撮影装置の内部構成を示す横断面図を示し、図2は、図1に示す顔撮影装置の縦断面図である。
【0017】
この顔撮影装置Aは、美容皮膚科、美容外科、形成外科などにおいて使用されている。定期的あるいは適度な期間を開けて人の顔を撮影することで肌の状態の経時的な変化を観察し、化粧品や肌治療の効果を確認する目的で使用される。この装置は、得られた顔画像からシミ・シワ・毛穴・色ムラなどの評価を行なう機能を有し、さらには、紫外線を使用したポルフィリン・かくれジミなどの評価を行なうこともできる。
【0018】
<顔撮影装置の構成>
図1において、顔撮影装置Aは、略立方体形状の筐体1を備えており、顔の撮影を行う時は筐体1内の所定箇所に頭部を保持させた状態で行い、室内光などが筐体1内部に侵入しにくいような構造が採用されている(構成例1)。顔撮影装置Aは、少なくとも(1)頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、(2)顔に可視光と紫外線を照射する照射手段と、(3)この顔を撮影する撮影手段と、(4)この頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、この保持条件を設定する保持条件設定手段、(5)この保持条件設定手段の保持条件を保持データとして記憶するデータ記憶手段と、(6)頭部の保持条件を変更可能とする保持条件調整手段と、から構成され、さらに(7)カメラ回転移動機構や(8)これらをコントロールする制御手段によって、各構成要素を機能的に動作させている。
【0019】
顔撮影装置において要求される(a)顔の撮影に影響を及ぼさない部位の保持であること、(b)変動の少ない固定の維持に必要な保持部の大きさが十分に確保できること、(c)被撮影者が有する個性を再現しやすいこと、という条件を頭部の保持によって、実現可能であるためである。また、頭部の形状あるいは保持部との接点については、後述するいくつかの方法によって、数値化された客観的な情報として定量的にデータ化できることから、保持状態を繰り返し再現することが可能となった。
【0020】
顔撮影装置Aは、筐体1の正面には開口部1aが形成されており、ここから頭部全体を挿入させる。人の頭部を所定位置に保持するための頭部保持手段として、頭部載置部2と頭部保持部3が設けられ、人が仰臥して、頭部保持部3に頭部を載置する。あるいは、人が仰臥した状態で筐体1が移動し、頭部全体を覆うようにする。また、開口部1aからの外光進入を防止するためにカーテン1bが設けられる。図1では、頭部の中でも、後頭部を保持した場合を例示する。後頭部は、頭部全体を保持し易く安定性が高いことから好ましく、後述するように、頭頂部などによる保持も好適である。次に、顔撮影装置Aを構成する各要素について詳述する。
【0021】
(1)頭部保持手段
顔撮影装置Aにおける頭部保持手段は、頭部載置部2による頭部の載置という基本的な機能とともに、頭部保持部3において、保持条件の検出あるいはおよび頭部の位置調整機能を有する。つまり、頭部保持部3は、人の頭部の大きさや形状などの個性に対応できるように、頭部全面で、または頭部全面を縦横に分割した複数の点あるいは面で、頭部との接触部の形状が変化するように構成されている。と同時に、接触部の形状の変化を、変換手段によって、データ化する。さらに、メモリされた既知の被撮影者の保持データと比較し、前回との相違があれば、接触部あるいは非接触部の形状を変化させ、前回の保持状態に修正する。具体的に、以下に例示する変換手段によって、保持状態を保持データに変換する方法、および保持状態を変化させる方法について詳述する。
【0022】
(1−1)空気の取り込み自在な複数の隔室からなる頭部保持部
頭部保持手段は、頭部の載置という基本的な機能とともに、保持条件のデータ化、前回のデータとの比較、および頭部の位置調整、という各機能を有するものである。具体的には、頭部の載置部分が、空気の取り込み自在な複数の隔室からなり空気保持状態を変化する機構を備えることによって、こうした機能を確保することができる。つまり、頭部を載置したときの所定の部位に設けられた隔室あるいは隔室からの流路に圧力計を設けることによって、その部位での頭部保持条件のデータ化が可能となる。さらに隔室内部の圧力を調整することによって、前回データと同一の空気状態を作り出すことが可能となる。これにより、操作者や被験者を煩わすことなく、自動的にスムーズに同じ撮影条件を再現させることができる。
【0023】
具体的には、図3に例示するように、頭部保持部3は、全面を縦横に分割した複数の隔室Daa,Dab,・・Dnn(「Dnn」と略し、以下各隔室に関連する表示を「流路nn」、「圧力計Gnn」、「ポンプPnn」「バルブVnn」と表示する)からなり、該隔室内部の空気状態を変化させる機能を備えている。具体的には、図3(C)に例示するように、各隔室あるいは隔室からの流路nnに、圧力計Gnn、およびポンプPnnを配設し、頭部の載置に伴う空気圧の変動(圧力上昇)を圧力計Gnnによって測定し、その出力をデータ化して保持データとし、同時に隔室内部の空気圧が前回値と同じになるように、ポンプPnnあるいはバルブVnnを駆動させ、調整する。各隔室Dnnにおいて、こうした調整が行われることによって、頭部保持部3全体として、前回の保持状態を再現することができる。
【0024】
また、隔室Dnnの圧力計Gnnによる空気圧の測定に代え、隔室Dnnに歪センサ(図示せず)を配設し、頭部の押圧によって生じる歪量を測定し、その出力をデータ化して保持データとして、同様に隔室内部の空気圧を調整して保持状態を再現することができる。
【0025】
(1−2)伸縮自在な複数のピンからなる頭部保持部
頭部保持手段における保持条件のデータ化および頭部の位置調整という機能は、隔室の空気圧以外に機械的に実現することも可能であり、具体的には、頭部にかかる多数のピンからなる頭部保持手段を用い、ピンの突出状態によって保持状態のデータ化を図り、ピンの突出状態を制御することによって頭部保持形状を変化させることができる。これによって、前回データと同一の保持状態を作り出すことが可能となり、操作者や被験者を煩わすことなく、自動的にスムーズに同じ撮影条件を再現させることができる。
【0026】
具体的には、図4に例示するように、頭部保持部3は、全面を縦横に分割した複数の点に配設されたピンBaa,Bab,・・Bnn(以下「Bnn」と略す)およびこれに連結するアクチュエータAaa,Aab,・・Ann(以下「Ann」と略す)からなり、ピンBnnは突出状態を変化させる伸縮機能を備えている。具体的には、図4(B)に例示するように、各ピンBnnの一端部が頭部の載置に伴い、収縮した量をアクチュエータAnnによって測定し、その出力をデータ化して保持データとし、同時にピンBnnの収縮量が前回値と同じになるように、アクチュエータAnnを駆動させ、ピンBnnの収縮量を調整する。各ピンBnnにおいて、こうした調整が行われることによって、頭部保持部3全体として、前回の保持状態を再現することができる。この場合、アクチュエータAnnからの出力を基に、アクチュエータAnnの入力を制御する方法を採ることができることから、単一の変換手段によって目的とする頭部の保持状態の再現を図ることができるという点において優位である。
【0027】
また、アクチュエータAnnに代え、ピンBnnの移動量を光学センサ(図示せず)によって測定し、その出力をデータ化して保持データとし、ピンBnnの突出状態の調整を(1−1)同様にピンBnnに接続した流路内部の空気圧によって行うことも可能である。ピンBnnの位置を調整して保持状態を再現することができる。
【0028】
(2)照射手段
顔を照明するための光源8が筐体1内の複数個所に配置されている。光源8は、顔の位置を中心として円周方向に沿って顔に面するように配置されていると共に、図2に示すように、上方にも複数個所に配置される。光源8には、可視光を照射する光源と紫外線を照射するブラックライトがあり、目的に応じて使い分けもしくは両方が使用される。可視光を照射する光源8は、ハロゲンランプ、蛍光灯、LEDなど適宜のものを使用することができる。光源8として、フラッシュ光源を使用してもよい。複数の方向からの撮影画像によって肌の評価が行われ、連続的に撮影する必要がない場合や、短時間の紫外線照射が好ましいことからも、フラッシュ機能を有する光源8が好適な場合が多い。
【0029】
光源8から照射される光を均一に拡散するための拡散板9が光源8と顔の間に配置される。拡散板9は、図1に示す横断面形状は円弧形状(半円形状)であり、ガイドプレート7と同心状に形成されている。図2に示すように、拡散板9は、顔の正面だけでなく天井部と底面部にも配置されており、従って、この拡散板9により顔が包囲されるような形態となる。なお、拡散板9は、半円形でなくてもよく、多角形、楕円形状を呈していてもよい。撮影カメラ4は、拡散板9の背後側に移動することになるため、正面位置Poと側面位置P1,P2において撮影を可能にするため矩形の開口部9aが形成される。
【0030】
(3)撮影手段
顔を撮影するための撮像手段として撮影カメラ4が設けられており、カメラ支持体5に保持されている。また、カメラ支持体5には測距センサー6も取り付けられており、撮影カメラ4のちょうど真上に位置しており撮影カメラ4と顔との相対的な距離データを取得可能に構成されている。図1に示すように、撮影カメラ4による顔の撮影位置は、正面位置Poと左右の側面位置P1、P2の3箇所が設定されている。正面位置Poは、ちょうど撮影カメラ4が顔と向かい合う位置であり、側面位置P1,P2は正面位置Poに対して45゜に設定された位置である。ただし、この45゜という角度については、この数値に限定されるものではなく、他の角度に設定してもよく、また、側面位置P1,P2も2箇所だけでなく、更に多くの側面位置が設定されていてもよい。例えば、30°,45゜,60゜,75゜に設定されていてもよい。
【0031】
このように、複数個所での顔画像を撮影するために、撮影カメラ4は、顔位置を中心として回転移動できるように構成されている。撮影カメラ4の回転中心Bは、頭頂部の上部近傍に設定されている。頭頂部を中心として移動可能な状態で連結することによって、顔と撮影カメラ4を等距離離隔した条件で撮影方向を変更することが可能となる。撮影カメラ4を回転移動させるための円弧状ガイドプレート7も設けられている。
【0032】
撮影カメラ4は、デジタルカメラが使用されるが、どのようなタイプのものを使用してもよい。必要に応じてビデオ機能を有するものを使用してもよく、静止画像を撮影可能なビデオカメラを使用してもよい。また、フォトダイオードやフォトセルなどの光センサーを配設したCCDセンサーあるいはCCDカメラを使用することも可能である。
【0033】
(4)保持条件設定手段
保持条件設定手段は、頭部保持部3に設けられた変換手段(具体的には、上記(1−1)における圧力計GnnやアクチュエータAnnなど)からの出力を頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化するものである。また、再度の撮影時において保持データを基に、頭部保持手段に対して、その保持条件を設定するものであり、これら両方機能を有することによって、再現性よく顔撮影装置Aにおける頭部の位置取りを行うことができる。従って、操作者や被験者を煩わすことなく、自動的にスムーズに同じ撮影条件を再現させることができる。
【0034】
(5)データ記憶手段
データ記憶手段は、上記変換手段からの保持データを含め、顔撮影装置Aを構成する各手段の入力データあるいは出力データを記憶させるものである。具体的なデータ記憶手段は後述するが、例えば、保持データについては、保持データ保存部に記憶されるとともに、得られた保持データを基に撮影時の頭部の保持状態(例えば、上記(1−1)における隔室を用いた場合には、分割された各隔室の圧力)が算出され、さらに算出された保持状態が設定される。このとき、上記(1−1)における算出された隔室Dnnの圧力や上記(1−2)におけるピンBnnの収縮量も各々データ記憶手段において体系的に記憶され、次回の同一人物の顔撮影の時に、それらのデータを用いて再現性の高い撮影条件を形成することができる。
【0035】
(6)保持条件調整手段
保持条件調整手段は、同一条件での撮影を行うことができるように、頭部の保持条件を調整し、設定する機能を備えている。例えば、上記(1−1)における算出された隔室Dnnの圧力や上記(1−2)におけるピンBnnの収縮量などを挙げることができる。
【0036】
(7)カメラ回転移動機構
撮影カメラ4は、回転移動機構によって顔の撮影方向に移動される。回転中心Bには駆動モータ10と駆動軸11が設けられており、この駆動軸11にアーム12が連結される。アーム12の先端部12aに連結軸13が垂直方向に植設され、この連結軸13の上部先端にカメラ支持体5が結合される。カメラ支持体5は、側面視で略コの字形状を有しており、コの字形状の内側に撮影カメラ4が配置され、上部に測距センサー6が取り付けられる。従って、撮影カメラ4の移動と共に測距センサー6も共に移動する。
【0037】
アーム12の先端には、ローラ15が回転自在に保持されている。このローラ15がガイドプレート7上を回転可能な構造を有し、これにより、撮影カメラ4をスムーズに回転移動させることができる。なお、撮影カメラ4の回転移動機構については、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。
【0038】
測距センサー6は、顔と撮影カメラ4の距離を計測するためのセンサーである。測距センサー6は、光学式や超音波式などの公知のセンサーを使用することができる。顔画像を撮影する場合、以前に撮影した顔画像と今回撮影した顔画像とを比較することで肌治療等の効果を確認するため、同一の撮影条件で撮影する必要がある。顔の角度などが前回と変わった状態で撮影されると、対応させるべきシミ・シワなどの位置が異なってしまい正確な評価ができなくなるからである。そこで、測距センサー6により顔の主要なポイントと撮影カメラ4との測距データを取得して記憶させ、次回撮影カメラ4で撮影する時にその測距データに基づいて撮影カメラ4の位置を設定し、日が変わったとしても、最初と同じ撮影条件を再現できるようにしている。
【0039】
<顔撮影装置の制御機能>
図1に示す制御装置20は、顔撮影装置Aの動作を制御する機能と、撮影カメラ4により撮影された顔画像に関する画像処理を行う機能を有する。モニター21には、撮影された顔画像が表示される。キーボード22は、顔撮影装置Aに対する種々の動作指令入力や画像処理を行なうための種々の動作指令やデータ入力などを行なう。制御装置20、モニター21、キーボード22は、汎用のコンピュータ(パソコン)により構成してもよい。
【0040】
次に、顔撮影装置Aの主要な制御機能について、図5の制御ブロック図により説明する。コントローラ30は、顔撮影装置Aを統括的に制御する機能を提供するものであり、CPU、メモリ、その他の必要なプログラム等により構成される。
【0041】
照明制御部31は、光源8の点灯・消灯制御を行なう。光源8は、顔画像の撮影を行う時に点灯される。可視光と紫外線を使い分ける場合に、そのいずれを点灯させるのか、あるいは両方を点灯させるのかについての制御も行われる。フラッシュ機能を有する場合には、その点灯時間あるいは点灯する時間間隔を制御する。
【0042】
カメラ位置制御部32は、撮影カメラ4を正面位置Po,側面位置P1,P2の各位置に停止させるための移動制御を行うものであり、駆動モータ10に対する動作指令を行なう。撮影カメラ4を所定の位置に停止させるために、カメラ位置センサー33が設けられている。カメラ位置センサー33としては、上記3つの撮影位置を検出するためのセンサーが設けられており、例えば、アーム12の位置を光センサーやマイクロスイッチなどにより検出するように構成できる。また、上記3つの撮影位置だけではなく、それらの中間的な位置も検出することができるようにしている。例えば、駆動モータ10に連動して回転するエンコーダからの信号や、駆動モータ10(パルスモータ)へ供給する駆動パルスのカウント値などに基づいて、細かいステップで撮影カメラ4の位置を検出することができる。従って、撮影カメラ4が移動可能な全範囲について位置検出を行なうことができる。また、基本的には、撮影カメラ4の位置制御は、上記3つの撮影位置で停止させるように行なわれるが、さらに、測距センサー6による測距データに基づいて、微調整が行なわれる。すなわち、前述のように前回の撮影時と同じ撮影条件となるように、撮影カメラ4の位置を各撮影位置において微調整する。なお、光源8を撮影カメラ4に近接する位置に配設し、撮影カメラ4とともに移動することも可能である。
【0043】
カメラ制御部34は、撮影カメラ4の動作を制御するものであり、具体的には、光源8の点灯に合せて、シャッターを切ることで顔画像の撮影を行う。顔画像の撮影は、上記3つの撮影位置において夫々行われる。微調整の必要がある場合は、微調整が完了した後に撮影が行われる。
【0044】
測距センサー制御部35は、測距センサー6に対する制御を行う。測距センサー6は、顔の複数個所の測距を行なうことができるように構成される。複数個所の測距を行なうために、測距センサー6の位置を前後左右に微小移動させる機構を設けておくことが好ましい。多点測距を行なうことのできるセンサーであれば、かかる機構は時に設けなくてもよい。
【0045】
顔画像データ保存部36は、撮影カメラ4により撮影された顔画像データが保存される。顔画像データは、デジタルのカラー画像データであり、JPEG等の適宜のファイル形式で保存される。顔画像データは、正面画像・左右側面画像ごとに保存され、人物を特定する人物ID(識別情報)・撮影年月日と共に保存される。
【0046】
測距データ保存部37は、測距データを記憶するデータ記憶手段として機能するものであり、測距ポイントを表わす測距ポイントIDと、人物IDと関連付けて測距データが保存される。コントローラ30は、撮像位置設定手段30aとしての機能を有しており、測距データ保存部37に保存されている測距データに基づいて、カメラ位置制御部32に指令を出し、撮影カメラ4を前回と同じ撮影条件となる位置へ移動させる。
【0047】
画像処理部38は、顔画像データに基づいて、肌治療などの効果を確認するために必要なソフトウェアにより構成される。具体的には、前回撮影した顔画像と今回撮影した顔画像との比較を画像処理技術を用いて行い、例えば、顔の特定部位におけるシミやシワなどの大きさ形状の比較、面積の算出、変色の度合いの解析などを行なう機能を有する。これらの解析結果についてはデータ化されて記憶部に記憶される。
【0048】
保持データ保存部39は、保持データを記憶するデータ記憶手段として機能するものであり、人物IDと関連付けて保持データが保存される。保持データとしては、従来あるいは今回の変換手段からの出力、および、例えば頭部載置前後の隔室Dnnの圧力やピンBnnの収縮量(アクチュエータAnnの入出力)などが含まれる。設定コントローラ30は、保持条件設定手段30bとしての機能を有しており、保持データ保存部39に保存されている保持データに基づいて、保持制御部40に指令を出し、例えば隔室Dnnの圧力やピンBnnの収縮量が前回と同じ撮影条件となるように調整させる。なお、初めての撮影で保持データがない場合のために、予め標準的な保持データを準備することも好ましい。つまり、予め複数の被験者に頭部を頭部保持部3に保持し、そのときの平均的な保持データおよび異常な状況での保持データを把握し、許容範囲を設定することによって、初めての撮影の場合に被撮影者の載置の適正を確認することができる。
【0049】
保持制御部40は、頭部保持部3からの出力をデータ化し、保持データとするとともに、設定コントローラ30からの指令の基づき、頭部保持部3の動作を制御するものである。具体的には、例えば隔室Dnnに係る圧力計Gnnからの出力をデータ化し、ポンプPnnあるいはバルブVnnを調整し、隔室Dnnの圧力制御を行う。また、ピン4nnに係るアクチュエータAnnからの出力をデータ化し、アクチュエータAnnの入力を調整し、ピンBnnの収縮量の制御を行う。
【0050】
<顔撮影装置の操作および動作>
次に、顔画像の撮影を行う時の操作および動作を、図6Aおよび図6Bのフローチャートにより説明する。ここでは、頭部保持部3が、複数の隔室Dnnからなる場合を例として説明する。
【0051】
(1)頭部の保持
まず、図6Aに示すように、顔撮影装置Aの開口部1aから頭部全体を挿入し、頭部保持部3に頭部を保持させる(S1)。次に、頭部保持部3により頭部の複数個所の保持データを取得する(S2)。
今回の撮影が最初であれば(S3)、測定された保持データを保持データ保存部37に保存させて、次回の撮影時に利用できるようにする(S7)。
今回の撮影が初めてでない場合は、その人物についての保持データを保持データ保存部37から読み出す(S4)。
この読み出された保持データと、ステップS2で測定した保持データに基づいて、設定されている頭部の保持状態が正しいか否かを判定する(S5)。これは対応する分割された領域あるいは隔室Dnnの保持データ同士を比較することで行い、全ての保持データが一致した場合に頭部の保持状態は正しいものと判断する。すなわち、保持データが全て一致すれば、前回と同じ撮影条件が再現できたものと判定することができる。
頭部の保持状態が正しくないと判定された場合は、頭部の保持条件の微調整を行なう(S6)。頭部の保持条件の微調整は、ポンプPnnあるいはバルブVnnを調整することで行なわれる。
【0052】
(2)カメラ位置の調整
次に、図6Bに示すように、撮影カメラ4を撮影位置に設定すべく、駆動モータ10により駆動させる(S8)。最初の撮影位置は、正面位置Poになるように設定されている。
次に、測距センサー6により顔の複数個所の測距データを取得する(S9)。
今回の撮影が最初であれば(S10)、測定された測距データを測距データ保存部37に保存させて、次回の撮影時に利用できるようにする(S14)。
今回の撮影が初めてでない場合は、その人物についての測距データを測距データ保存部37から読み出す(S11)。
この読み出された測距データと、ステップS9で測定した測距データに基づいて、設定されているカメラ位置が正しいか否かを判定する(S12)。これは対応する部位の測距データ同士を比較することで行い、全ての測距データが一致した場合にカメラ位置は正しいものと判断する。すなわち、測距データが全て一致すれば、前回と同じ撮影条件が再現できたものと判定することができる。
カメラ位置が正しくないと判定された場合は、カメラ位置の微調整を行なう(S13)。カメラ位置の微調整も、駆動モータ10を駆動することで行なわれる。微調整する場合、撮影カメラ4を現在の位置から右方向に移動させるか左方向に移動させるかについて決める必要がある。この点については、各測距データ同士の比較からどちらの方向にずれているかを判断できるため、これに基づいて決定することができる。リアルタイムで測距データを取得しながら撮影カメラ4を移動させることで、効率よく正しい位置に設定させることができる。
【0053】
(3)顔画像の撮影
撮影カメラ4が正しい位置に設定されると、カメラ制御部34により撮影カメラ4を動作させて、顔画像の撮影を行う(S15)。撮影された顔画像データは、顔画像データ保存部36に保存される(S16)。1つの撮影位置における撮影が終了したら、他の撮影位置へ移動する必要があるか否かを判断する(S17)。必要があれば、ステップS8に戻り、同様の動作が繰り返される。必要がなければ、動作は終了する。
【0054】
(4)以上の動作によって、撮影時の頭部つまり顔を、今回の撮影が初めての場合は、予め設定された適切な撮影条件となる保持条件に調整し、今回の撮影が初めてでない場合は、前回と同じ撮影条件の保持条件に調整することによって、異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、同一条件での撮影を行うことが可能となる。なお、今回の撮影が初めてでない場合において、保持条件を前回と同じ撮影条件に調整することも可能である。
【0055】
<別実施形態1>
上記構成例1においては、撮影条件が前回と同一になるように、頭部保持手段において採取した頭部の保持データを基に、頭部の保持状態の調整を行なっているが、これに代えて頭部の保持状態を成型するように構成してもよい(構成例2)。顔撮影装置Aは、少なくとも(1a)成型を用いて頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、(2)照射手段と、(3)撮影手段と、から構成され、さらに(7)カメラ回転移動機構や(8)これらをコントロールする制御手段によって、各構成要素を機能的に動作させている。基本的には、構成例1と同様、図1および図2に例示する構成を使用することができる。
【0056】
顔撮影装置において、頭部保持手段の頭部の保持条件の同一性を確保し撮影条件の再現を図るには、上記のように、頭部の保持条件をデータ化した保持データを基に、頭部の保持状態を調整する方法とともに、成型手段によって頭部の保持状態を写し取る方法が可能である。つまり、(1)頭部の形状は被撮影者が有する個性を再現しやすく、(2)損傷等がなければ経時的にも保存性が高いことから、この成型を用いることによって、後日、同じ人物の顔画像を撮影する場合であっても、前回と同じ撮影条件を再現できるように保持条件設定手段により頭部を保持することができる。また、成型手段は、頭部保持手段と一体化することも可能であるが、被撮影者に対応した成型の交換あるいは頭部保持手段の可動性の確保などをスムーズに行うために別体とし、同一位置に固定可能な構造にすることが好ましい。
【0057】
つまり、既述のような、顔撮影装置において要求される(a)〜(c)という条件に加え、(d)損傷等がなければ経時的にも保存性が高いことから、成型を用いることによって、後日同じ人物の顔画像を撮影する場合であっても、前回と同じ撮影条件を再現することが可能である。このとき、頭部保持手段として、人が仰臥して頭部を載置する頭部保持部3において成型することが好ましい。頭部保持手段を頭部載置部2と頭部保持部3に分けて構成することによって、小容量の成型とすることができ、保存が容易となる。以下に、具体的に、頭部の保持状態を成型する方法例を詳述する。
【0058】
(1a−1)石膏あるいは発泡ウレタンなど不可逆成型材からなる成型
成型手段によって頭部の保持状態を写し取ることは、頭部保持手段の頭部の保持条件の同一性を確保し撮影条件の再現を図るために好適な方法の1つである。具体的に保持状態を写し取る方法としては、石膏あるいは発泡ウレタンなどのような不可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法がある。安定で、保存性の高い成型によって、再現性の高い確実な頭部の保持が可能となる点において優れている。
【0059】
具体的には、図7(A)および(B)に例示するように、石膏あるいは発泡ウレタンなど不可逆成型材から構成された頭部保持部3から、図7(C)に例示するように、頭部全体の形状3sを正確に成型として取り出すことができる。従って、こうした成型を用いることによって、頭部保持部3全体として、前回の保持状態を再現することができる。
【0060】
具体的には、石膏を用いる場合において、予め未硬化の石膏を流し込んだ頭部保持部3に頭部を載置し、所定時間加温条件下で静置することによって、成型を完成することができる。また、発泡ウレタンを用いる場合において、予め頭部保持部3下面から浮いた状態で頭部を載置し、発泡原料を速やかに流入し、所定時間加温条件下で静置することによって、成型を完成することができる。あるいは、石膏同様、予め未硬化状態で、頭部を載置することも可能である。発泡ウレタン以外にも速硬化性の不可逆成型材であれば、これに限定されるものではないが、操作性の容易な点において発泡ウレタンが優れている。このとき頭部載置面には柔軟性のあるフィルム等によって石膏あるいは発泡ウレタンをカバーすることによって、被撮影者の汚れ防止とともに、石膏あるいは発泡ウレタン自体の損傷や汚染を防止することができる。
【0061】
頭部の保持状態を写し取る方法としては、石膏などのような不可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法以外に、形状記憶合金を用い、形状を固定した時の温度と同一温度条件となったときに、その形状が再現できる可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法がある。さらに、頭部全体を形状記憶合金で再現させる方法と頭部を複数の部位に分割し各々の部位の形状を再現し全体の形状を形成させる方法がある。いずれも再現性の高い確実な頭部の保持が可能となる点において優れている。
【0062】
(1−2)形状記憶合金からなる成型
頭部の保持状態を写し取る方法としては、石膏などのような不可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法以外に、形状記憶合金を用い、形状を固定した時の温度と同一温度条件となったときに、その形状が再現できる可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法がある。さらに、頭部全体を形状記憶合金で再現させる方法と頭部を複数の部位に分割し各々の部位の形状を再現し全体の形状を形成させる方法がある。いずれも再現性の高い確実な頭部の保持が可能となる点において優れている。
【0063】
つまり、頭部全体の形状を成型する方法として、成型時差異に使用する場合に、以前に形状を固定した時の温度と同一温度条件となったときに、その形状が再現できる可逆成型材を用いて写し取った成型を固定化する方法が好ましい。可逆成型材として機能を有する形状記憶合金を挙げることができる。つまり、図8(A)に例示するように、未使用時には平板体3fであり、頭部を載置したときに体温によって、図8(B)に例示するように、記憶された形状3mを形成することによって、再現性の高い確実な頭部の保持が可能となる。
【0064】
なお、上記成型のいずれにおいても、必ずしも後頭部や顔を除く頭部だけではなく、特定の方向からの撮影を定期的に行う場合には、その方向にあった顔の一部を含む頭部、例えば額や顎を含めた頭側部を成型することも可能であり、成型はこうした自由度がある点において好ましい。
【0065】
また、構成例2のような成型を用いる構成と、構成例1のような頭部の保持データを用いる構成を組み合わせた構成も好適である。具体的には、一次的に成型によって頭部の位置取りを決定し、顔の方向や頭の上下左右の微調整を保持データを基に行うことによって、さらに再現性の高い保持状態の確保が可能となる。
【0066】
<別実施形態2>
上記実施形態においては、撮影条件が前回と同一になるように、頭部保持手段において採取した頭部の保持データを基に、頭部の保持状態の調整を行なっているが、これに代えて頭部の保持状態を袋状の頭部保持体によって設定するように構成してもよい(構成例3)。顔撮影装置Aは、少なくとも(1b)袋状の頭部保持体を用いて頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、(2)照射手段と、(3)撮影手段と、から構成され、さらに(7)カメラ回転移動機構や(8)これらをコントロールする制御手段によって、各構成要素を機能的に動作させている。
【0067】
上記のように、顔撮影装置は、顔の位置を再現よく保持することが重要である。本発明における頭部保持手段は、空気の出し入れが可能な袋状の頭部保持体を有し、頭部を含めた頭部全体が、その頭部保持手段の中心に位置するように機能する。つまり、頭部保持手段の中心と頭部の中心を一致させることによって、常に顔を同一の位置にすることができる。特に撮影手段を頭部保持手段と接合した場合には、該頭部保持手段の中心を基点として撮影手段を移動することによって、常に顔と撮影手段を等距離に維持することが可能となり、再現性の高い撮影、さらには肌の評価を行うことが可能となる。
【0068】
具体的には、図9(A)および(B)に例示するように、ヘルメット状の頭部保持部3が、頭部の半面をカバーする構造を有するとともに、頭部保持部3の内部に、頭頂部、後頭部および両側面から袋状体3bが配設される構成となっている。袋状体3bに空気が挿入されると、3方向からの押圧によって、頭部全体が、頭部保持部3の略中央に位置取りができるようになる。これによって、同一人については、常に同一位置に再現よく位置取りされ、再現性の高い保持状態の確保が可能となる。
【0069】
この方法によれば、構成例1や2のように、被撮影者が、必ずしも仰臥して頭部保持部3に頭部を載置する必要なく、塔頂部を上部にして撮影することが可能である。また、頭部保持部3と撮影手段がアーム等によって接続され、頭頂部を中心として回転移動可能な構造を軽量で形成した場合には、ヘルメット式に被撮影者に、顔撮影装置Aを装着した状態での撮影も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】顔撮影装置の内部構成を示す横断面図
【図2】顔撮影装置の内部構成を示す縦断面図
【図3】頭部保持部の一例の構成を示す概略図
【図4】頭部保持部の他の一例の構成を示す概略図
【図5】顔撮影装置の制御機能を示すブロック図
【図6A】顔撮影装置の作動フローチャート
【図6B】顔撮影装置の作動フローチャート
【図7】不可逆成型材からなる成型手段の一例の構成を示す概略図
【図8】可逆成型材からなる成型手段の一例の構成を示す概略図
【図9】構成例3における頭部保持部の一例の構成を示す概略図
【図10】従来の顔撮影装置を例示する概略図
【図11】従来の撮影用固定具を例示する概略図
【符号の説明】
【0071】
1 筐体
2 頭部載置部
3 頭部保持部
4 撮影カメラ
5 カメラ保持体
6 測距センサー
7 円弧状ガイドプレート
8 光源
9 拡散板
20 制御装置
30 コントローラ
30a 撮像位置設定手段
30b 可視光設定手段
31 照明制御部
32 カメラ位置制御部
33 カメラ位置センサー
34 カメラ制御部
35 測距センサー制御部
36 顔画像データ保存部
37 測距データ保存部
38 画像処理部
39 保持データ保存部
40 保持制御部
A 顔撮影装置
Po 正面位置
P1,P2 側面位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔を撮影する撮影手段と、
顔を除くいずれかの頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、
この頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、この保持条件を設定する保持条件設定手段と、
この保持条件設定手段の保持条件を保持データとして記憶するデータ記憶手段と、
この保持データに基づいて、頭部の保持条件を変更可能とする保持条件調整手段と、
を備えていることを特徴とする顔撮影装置。
【請求項2】
前記頭部保持手段が、頭部全面で、または頭部全面を縦横に分割した複数の点あるいは面で、頭部の保持条件をデータ化する機能を有するとともに、前記保持データを基に頭部の保持条件を再現して頭部を保持する機能を備えていることを特徴とする請求項1記載の顔撮影装置。
【請求項3】
前記頭部保持手段と撮影手段が、等距離離隔し、移動可能な状態で連結されていることを特徴とする請求項1または2記載の顔撮影装置。
【請求項1】
顔を撮影する撮影手段と、
顔を除くいずれかの頭部を所定位置に保持させる頭部保持手段と、
この頭部保持手段の頭部の保持条件をデータ化し、この保持条件を設定する保持条件設定手段と、
この保持条件設定手段の保持条件を保持データとして記憶するデータ記憶手段と、
この保持データに基づいて、頭部の保持条件を変更可能とする保持条件調整手段と、
を備えていることを特徴とする顔撮影装置。
【請求項2】
前記頭部保持手段が、頭部全面で、または頭部全面を縦横に分割した複数の点あるいは面で、頭部の保持条件をデータ化する機能を有するとともに、前記保持データを基に頭部の保持条件を再現して頭部を保持する機能を備えていることを特徴とする請求項1記載の顔撮影装置。
【請求項3】
前記頭部保持手段と撮影手段が、等距離離隔し、移動可能な状態で連結されていることを特徴とする請求項1または2記載の顔撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−173237(P2008−173237A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8291(P2007−8291)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
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