説明

顕微鏡システム、カメラヘッドおよび顕微鏡フレーム

【課題】観察の状況に応じた最適な観察態様への切り換えを容易に行うことができる顕微鏡システム、該顕微鏡システムに適用されるカメラヘッド、および該カメラヘッドを保持する顕微鏡フレームを提供する。
【解決手段】ステージを載置する顕微鏡フレームと、対物レンズを取付可能であるとともに、顕微鏡フレームに対して、該顕微鏡フレームが載置する前記ステージの表面と平行な方向であって取り付けた対物レンズの光軸と直交する方向にスライド可能に嵌合されて顕微鏡フレームに取り付けられ、標本の像を撮像するカメラヘッドと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標本からの光をもとに観察用の標本の像を撮像して画像データを生成する顕微鏡システム、該顕微鏡システムに適用されるカメラヘッド、および該カメラヘッドを保持する顕微鏡フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
標本を観察する際に使用する顕微鏡の種類として、対物レンズと標本との位置関係が互いに異なる正立顕微鏡と倒立顕微鏡が知られている。正立顕微鏡と倒立顕微鏡は、互いの構造が異なるため、両者の機能を併せ持つような顕微鏡はあまり知られていなかった。
【0003】
このような状況のもと、下記特許文献1では、顕微鏡に含まれる主要なユニットが、多角形の境界面を有するケーシング部により複数の構造体に分けられ、それらが積み木のように積み重なって鏡体を構成する技術が開示されている。この技術によれば、ユーザがユニットの積み上げ方を変えることにより、正立顕微鏡や倒立顕微鏡を自由に構成することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭51−34303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、ユニットを積み上げる際の順番や向きを考慮しなければならないという問題があった。また、撮像および計測の精度を確保するためには、対物レンズ等の光軸に対して各ユニットがずれを生じないように、ユニット間の当て付けの仕方を考慮して位置調整を行う必要があるため、ユニットの組立をスムーズに行うことが難しかった。
【0006】
このように、従来技術では、観察の状況に応じた最適な観察態様への切り換えを行うことが難しかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、観察の状況に応じた最適な観察態様への切り換えを容易に行うことができる顕微鏡システム、該顕微鏡システムに適用されるカメラヘッド、および該カメラヘッドを保持する顕微鏡フレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る顕微鏡システムは、ステージ上に載置された標本からの光を対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、前記ステージを載置する顕微鏡フレームと、前記対物レンズを取付可能であるとともに、前記顕微鏡フレームに対して、該顕微鏡フレームが載置する前記ステージの表面と平行な方向であって取り付けた前記対物レンズの光軸と直交する方向にスライド可能に嵌合されて前記顕微鏡フレームに取り付けられ、前記標本の像を撮像するカメラヘッドと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る顕微鏡システムは、ステージ上に載置された標本からの光を対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、前記ステージを載置する顕微鏡フレームと、前記対物レンズを取付可能であるとともに、前記顕微鏡フレームに対してスライド可能に嵌合されて前記顕微鏡フレームに取り付けられ、前記標本の像を撮像するカメラヘッドと、を備え、前記カメラヘッドは、前記対物レンズからの光を結像する結像光学系と、前記結像光学系を通過した光を反射して光路を折り返す反射ミラーと、前記反射ミラーによって折り返された前記光路上に位置し、前記反射ミラーによって反射された光を光電変換することによって前記画像データを生成する撮像部と、を有し、前記結像光学系と前記反射ミラーとの距離は、前記撮像部と前記反射ミラーとの距離より小さいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る顕微鏡システムは、上記発明において、互いに異なる複数の顕微鏡フレームを備え、該複数の顕微鏡フレームは、前記ステージよりも上方で前記カメラヘッドを保持可能な正立フレームと、前記ステージよりも下方で前記カメラヘッドを保持可能な倒立フレームと、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るカメラヘッドは、ステージ上に載置された標本からの光を対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、前記対物レンズを取付可能であり、前記ステージを載置する顕微鏡フレームに取り付けられて前記標本の像を撮像するカメラヘッドであって、前記対物レンズを通過した光を結像する結像光学系と、前記結像光学系が結像した光を光電変換することによって前記画像データを生成する撮像部と、前記顕微鏡フレームに着脱自在に取り付けられ、前記顕微鏡フレームに取り付けられた状態で前記ステージの表面と平行な方向であって前記対物レンズの光軸と直交する方向にスライドするフレーム取付部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るカメラヘッドは、上記発明において、前記対物レンズからの光を反射して光路を折り返す反射ミラーを備え、前記撮像部は、前記反射ミラーによって折り返された光路上に位置することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るカメラヘッドは、上記発明において、前記反射ミラーと前記撮像部との間の前記光路上に、焦点距離を変更可能なズーム光学系を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るカメラヘッドは、上記発明において、前記標本へ照射する光を発生する光源と、前記光源と前記対物レンズとの間に設けられ、前記光源が発した光を、前記対物レンズを介して前記標本へ照射する照明光学系と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るカメラヘッドは、ステージ上に載置された標本からの光を前記対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、対物レンズを保持可能であり、前記ステージを載置する顕微鏡フレームに取り付けられて前記標本の像を撮像するカメラヘッドであって、前記対物レンズからの光を結像する結像光学系と、前記結像光学系を通過した光を反射して光路を折り返す反射ミラーと、前記反射ミラーによって折り返された前記光路上に位置し、前記反射ミラーによって反射された光を集光して電気信号に変換することによって前記画像データを生成する撮像部と、前記顕微鏡フレームに着脱自在に取り付けられるフレーム取付部と、を備え、前記結像光学系と前記反射ミラーとの距離は、前記撮像部と前記反射ミラーとの距離より小さいことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るカメラヘッドは、上記発明において、前記フレーム取付部は、前記顕微鏡フレームに取り付けられた状態で前記ステージの表面と平行な方向であって前記対物レンズの光軸と直交する方向にスライドすることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るカメラヘッドは、上記発明において、当該カメラヘッドの側面に設けられ、該側面と直交する軸を中心として回転可能であり、人間が視覚的または触覚的に認識可能なシンボル情報が表面に記載されたシンボル情報記載部材を有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る顕微鏡フレームは、ステージ上に載置された標本からの光を前記対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、前記対物レンズが取り付けられ、前記標本の像を撮像するカメラヘッドを取り付け可能な顕微鏡フレームであって、前記ステージの表面と直交する方向に移動可能なアームと、前記アームに設けられて前記カメラヘッドを保持するカメラヘッド保持部と、を備え、前記カメラヘッド保持部は、前記カメラヘッドを、前記ステージの表面と平行な方向であって前記対物レンズの光軸と直交する方向にスライド可能に嵌合することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る顕微鏡フレームは、上記発明において、前記カメラヘッド保持部は、前記ステージよりも上方に位置し、前記カメラヘッドを載置した状態で嵌合することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る顕微鏡フレームは、上記発明において、前記カメラヘッドを収容可能な略直方体形状をなし、一方の側面から該側面と向かい合う他方の側面へ貫通するスリーブ状のベースを有し、前記カメラヘッド保持部は、前記ステージよりも下方に位置し、前記ベースを貫通する内部領域で前記カメラヘッドを吊り下げて保持することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る顕微鏡フレームは、上記発明において、前記ベースは、少なくとも前記ステージの両端部を載置する2つのステージ載置部と、前記2つのステージ載置部の間に設けられ、該ステージ載置部の上面から窪んだ形状をなすとともに前記カメラヘッド保持部が前記カメラヘッドを保持した状態で該カメラヘッドの一部が上方へ突出可能な開口が形成された凹部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、観察の状況に応じた最適な観察態様への切り換えを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡システムの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡システムの機能構成を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係るカメラへッドの外観構成を示す側面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係る正立フレームの構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係るカメラヘッドを取り付けた状態における正立フレームの要部の構成を示す側面図である。
【図6】図6は、図5のA−A線部分断面図である。
【図7】図7は、図5において、当て付け部材を通過し、かつアームが延びる方向と平行な断面の構成を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2に係る顕微鏡システムの外観構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2に係る顕微鏡システムの機能構成を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係る倒立フレームの構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、図8の矢視B方向から見た正面図である。
【図12】図12は、フレーム取付部と倒立フレームのアームの固定構造を示す部分断面図である。
【図13】図13は、図11のC−C部分断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態4に係る顕微鏡システムの機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡システムの外観構成を示す斜視図である。図2は、本実施の形態1に係る顕微鏡システムの機能構成を示す図である。これらの図に示す顕微鏡システム1は、結像光学系と撮像光学系とが一体で形成されたカメラヘッド2と、カメラヘッド2に取り付けられて、対物レンズ3をスライド可能に保持するノーズピース4と、側面視で略C字状をなし、カメラヘッド2を上下動可能に保持する正立フレーム5(顕微鏡フレーム)と、正立フレーム5に取り付けられて標本を載置するステージ6と、顕微鏡システム1を統括的に制御する制御装置7と、を備える。カメラヘッド2、正立フレーム5および制御装置7は、相互に情報の送受信を行うために有線または無線によって通信接続されている。
【0026】
図3は、カメラへッド2の外観構成を示す側面図である。カメラヘッド2は、内部に各種機能部品を収容する筐体21と、筐体21の長手方向の一端部に取り付けられる撮像部22と、正立フレーム5に取り付けられて固定されるフレーム取付部23と、筐体21の長手方向の他端部の側面に設けられ、人間が視覚的または触覚的に認識可能なシンボル情報が記録された円形表面を有し、この円形表面が該表面の中心を通過して該表面と直交する軸の回りに回転可能なエンブレムアダプタ24(シンボル情報記載部材)と、を有する。ここでいうシンボル情報とは、例えば文字、図形、記号、絵、模様などのうちいずれか一つが含まれているような情報のことである。より具体的には、エンブレムアダプタ24には、顕微鏡システム1の商品名、機種名、製造メーカ名の少なくともいずれか一つがシンボル情報として記載されている。
【0027】
筐体21の内部構成を説明する。筐体21の内部には、ノーズピース4に取り付けられた対物レンズ3の光軸上に設けられ、対物レンズ3を通過してくる光を結像する結像光学系211と、結像光学系211から出射された光を反射してその光の光路を折り返す反射ミラー212と、反射ミラー212と撮像部22との間に設けられ、反射ミラー212が反射した光の焦点距離を変更可能なズーム光学系213と、ズーム光学系213のレンズを駆動するレンズ駆動部214と、レンズ駆動部214の駆動を制御するレンズ制御部215と、が設けられている。なお、図2では、結像光学系211およびズーム光学系213を1つのレンズによって模式的に示しているが、これらの光学系を複数のレンズによって構成することも可能である。
【0028】
筐体21の内部には、ステージ6上に載置される標本に対して照射する照明光を発生する光源216と、光源216が発生した照明光を集光する集光レンズ217と、照明光の光路を対物レンズ3の光軸に沿うように偏向させるとともに対物レンズ3からの光を透過するハーフミラー218とが設けられている。集光レンズ217およびハーフミラー218は、光源216が発した光を、対物レンズ3を介して標本へ照射する照明光学系をなしている。光源216は、ハロゲンランプ、キセノンランプまたはLED(Light Emitting Diode)等によって構成される。
【0029】
光源216、集光レンズ217およびハーフミラー218は、筐体21内部に設けられた照明光学系取付用のアダプタに取り付けられる。この取り付けの際には、図3の右側の側面であって撮像部22が取り付けられる側面の下方部分に設けられた蓋部(図示せず)を空けることによってアダプタを露出させればよい。なお、光源216は適宜交換可能である。したがって、ユーザは所望の明るさの光源216を適用することによって照明光を調整することができる。
【0030】
筐体21において、結像光学系211と反射ミラー212の中心部との距離aは、反射ミラー212の中心部と撮像部22との距離bよりも小さい(a<b)。これにより、カメラヘッド2を横長形状として正立フレーム5に取り付けた場合の高さを低く抑えることができる。したがって、顕微鏡システム1の重心を低くすることができ、転倒を防止する効果を得ることができる。
【0031】
撮像部22は、筐体を通過した光を集光する撮像レンズ221と、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等からなり、光を電気信号に光電変換して出力する撮像素子222と、撮像素子222が出力した電気信号に対してA/D変換等の所定の信号処理を施す信号処理部223と、撮像部22の動作を制御する撮像制御部224とを有する。撮像部22は、撮像制御部224の制御のもと、撮像レンズ221を介して入射した標本の像を撮像して画像データを生成し、この画像データを制御装置7へ出力する。なお、撮像レンズ221を複数のレンズによって構成することも可能である。
【0032】
撮像制御部224は、CPU等を用いて構成され、撮像部22の動作を制御する。具体的には、撮像制御部224は、撮像部22の自動ゲイン制御のON/OFF切換処理、ゲインの設定処理およびフレームレートの設定処理、AE処理、AF処理等を行って撮像部22の撮影動作を制御する。
【0033】
フレーム取付部23は、カメラヘッド2の側面であってノーズピース4が設けられる側面に形成される。フレーム取付部23は、後述する正立フレーム5のアーム53に対し、アーム53が延びる方向に沿ってスライド可能に嵌合される。具体的には、フレーム取付部23は、スライド方向と直交する断面が略台形をなし、メス型のアリ溝に嵌合可能なオスアリ形状をなしている。
【0034】
ノーズピース4は、カメラヘッド2に対して対物レンズ3の光軸と直交する方向にスライド自在に対物レンズ3を保持している。図2に示す場合、対物レンズ3のスライド機構は手動式を想定しているが、電動式とすることも可能である。また、レンズ保持部として、ノーズピースの代わりにレボルバを適用してもよい。
【0035】
次に、正立フレーム5の構成を説明する。図4は、正立フレーム5の構成を示す斜視図である。図5は、カメラヘッド2を取り付けた状態における正立フレーム5の要部の構成を示す側面図である。正立フレーム5は、ステージ6を載置するベース51と、ベース51の長手方向の一端部に設けられ、ベース51の底面と直交する方向に立設される鏡柱52と、鏡柱52の表面であってベース51と対向する側の表面からベース51の底面と略平行に延出し、カメラヘッド2を保持するとともに鏡柱52の高さ方向に沿って上下動可能なアーム53と、鏡柱52の表面に設けられ、アーム53の上下動をガイドするガイド54と、鏡柱52の側面に取り付けられる2つのカバー部材55と、アーム53を上下動させるアーム駆動部56と、ベース51に載置されたステージ6を駆動するステージ駆動部57と、アーム駆動部56およびステージ駆動部57の動作を制御するフレーム制御部58と、を有する。なお、図5は、カバー部材55を取り外した状態の側面図である。
【0036】
アーム53は、フレーム取付部23をスライド可能に保持するカメラヘッド保持部531を有する。具体的には、カメラヘッド保持部531は、メス型のアリ溝状をなしており、オスアリ形状をなすフレーム取付部23と嵌合する。ここで、カメラヘッド保持部531は、正立フレーム5に対して、該正立フレーム5が載置するステージ6の表面と平行な方向であり、かつカメラヘッド2に取り付けられた対物レンズ3の光軸と直交する方向にスライド可能に嵌合される。
【0037】
図4に示すように、カメラヘッド保持部531は、ベース51側から目視することができる。以上の構成を有するアーム53は、観察または撮像のためにカメラヘッド2を取り付けた状態で上下動させても十分な耐振動性および剛性を保つように構成されている。
【0038】
アーム駆動部56は、モータと、モータによって駆動するラックアンドピニオンまたはボールネジを用いて実現される。アーム駆動部56は、ラックアンドピニオンまたはボールネジにおける直線の動きによってアーム53をガイド54に沿って上下動させる。なお、アーム駆動部56を手動式としてもよい。
【0039】
図6は、図5のA−A線部分断面図である。図6に示すように、アーム53には、その外側面からカメラヘッド保持部531の側面まで貫通する貫通孔532が形成されている。貫通孔532は、アーム53の外側面に面した開口を有する大径部532aと、大径部532aに連通し、大径部532aよりも径が小さい小径部532bと、カメラヘッド保持部531のアリ溝の側面を貫通して形成した開口部532cとを有する。
【0040】
大径部532aには、略円柱形状をなすコマ201が嵌め込まれている。コマ201は、アーム53に嵌め込んだ状態で小径部532bと連通するように形成された貫通孔202と、アーム53に嵌め込んだ状態でカメラヘッド保持部531のアリ溝と滑らかに連なるように形成された切り欠き203とを有する。貫通孔202は、ビス301を螺合可能な小径部202aと、ビス301の頭部を収容可能であり、小径部202aより径が大きい大径部202bとを有する。コマ201をアーム53に嵌め込んだ状態で互いに連通するアーム53の小径部532bとコマ201の貫通孔202の小径部202aは等しい径を有し、カメラヘッド2をアーム53に固定するためのビス301を螺合可能である。
【0041】
カメラヘッド保持部531の底面であって、アーム53の根元付近の底面には、カメラヘッド2をスライドさせて嵌合させた場合の位置決めを行う当て付け部材59が設けられている。図7は、図5において、当て付け部材59を通過し、かつアーム53が延びる方向と平行な断面の構成を示す図である。図7に示す場合、当て付け部材59は、アーム53に設けられた穴部533に螺合されるビスである。なお、当て付け部材59は、カメラヘッド2に当接してカメラヘッド2の位置決めを行うことができればいかなるものでもよく、ビスである必要はない。
【0042】
ステージ6は、ステージ駆動部57の駆動によって正立フレーム5のベース51の上面と平行な2次元平面内で移動自在に構成されている。
【0043】
次に、制御装置7の構成を説明する。制御装置7は、撮像部22の信号処理部223から送られてくる画像データに基づいて画像処理を行う画像処理部71と、制御装置7の動作指示信号を含む各種情報の入力を受け付ける入力部72と、撮像部22が撮像した画像を含む各種情報を表示可能な表示部73と、撮像部22が撮像した画像情報、顕微鏡システム1に実行させる動作プログラム等の各種情報を記憶する記憶部74と、CPU等を用いて実現され、制御装置7自身を含む顕微鏡システム1全体の動作を統括的に制御する制御部75と、を有する。
【0044】
画像処理部71は、撮像部22から送信されてくる画像データに対して、所定の画像処理を施して表示部73で表示する表示画像を生成する。具体的には、画像処理部71は、画像データに対して、オプティカルブラック減算処理、ホワイトバランス調整処理、同時化処理、カラーマトリクス演算処理、γ補正処理、色再現処理およびエッジ強調処理等を含む画像処理を行う。画像処理部71は、画像データを所定の方式で圧縮し、圧縮した画像データを記憶部74へ出力する。ここでの圧縮形式は、たとえば静止画の場合にはJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式等である。また、動画の場合の圧縮形式は、MP4(H.264)方式等である。
【0045】
入力部72は、キーボード、マウス、ジョイスティックおよび各種スイッチ等を用いて構成され、各種スイッチの操作入力に応じた操作信号を制御部75に出力する。
【0046】
表示部73は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなる表示パネルを用いて構成される。なお、表示部73の表示画面上に、外部からの物体の接触に応じた信号の入力を受け付けるタッチパネルを設けることにより、このタッチパネルを入力部72の一部として機能させてもよい。このようなタッチパネルとして、抵抗膜方式、静電容量方式および光学方式等のいずれの方式を適用することも可能である。
【0047】
記憶部74は、制御装置7の内部に固定的に設けられるフラッシュメモリおよびRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現される。記憶部74は、撮像部22が生成して画像処理部71が処理を施した画像データ、顕微鏡システム1に実行させる各種プログラム、プログラムの実行中に使用される各種データを記憶する。
【0048】
以上の構成を有する顕微鏡システム1において、カメラヘッド2をアーム53に取り付ける際には、フレーム取付部23の端部のうち撮像部22に近い端部である後端部をカメラヘッド保持部531の先端部に嵌め入れてからカメラヘッド2をアーム53の基端部へ向けてスライドさせていく。これにより、フレーム取付部23の後端部は、カメラヘッド保持部531の端部のうち鏡柱52に近い端部である基端部側へ挿入していく。その後、フレーム取付部23の後端部が当て付け部材59と当接する状態に達した場合、コマ201に形成された貫通孔202の小径部202aおよびアーム53に形成された貫通孔532の小径部532bにビス301を螺合することによってカメラヘッド2をアーム53に対して固定する。これにより、カメラヘッド2は、アーム53とともに安定した上下動を行うことが可能となる。
【0049】
アーム53を上下動させる際には、フレーム制御部58が、アーム駆動部56に対して駆動信号(アーム駆動部56がモータの場合には所定のパルス)を発生させる。この駆動信号のもととなる信号はフレーム制御部58が制御部75から受信する。制御部75は、例えば入力部72が受け付けた指示信号に基づいて制御信号を発生する。
【0050】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、ステージを載置する顕微鏡フレームと、対物レンズを取付可能であるとともに、顕微鏡フレームに対して、該顕微鏡フレームが載置するステージの表面と平行な方向であって取り付けた対物レンズの光軸と直交する方向にスライド可能に嵌合されて顕微鏡フレームに取り付けられ、標本の像を撮像するカメラヘッドと、を備えているため、観察の状況に応じた最適な観察態様への切り換えを容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施の形態1によれば、カメラヘッドが光学系を一体で有しているため、カメラヘッドを取りつける際の光軸の調整が不要であり、取り付けが容易である。したがって、観察の方向や標本の大きさに応じた最適な観察態様への切り換えを、撮像および計測の精度を維持したまま実現することができる。
【0052】
また、本実施の形態1によれば、結像光学系と反射ミラーとの距離が、反射ミラーと撮像部との距離よりも小さいため、カメラヘッドを正立フレームに取り付けた場合の高さを低く抑えることができる。したがって、顕微鏡システムの重心を低くすることができ、転倒を防止することができる。
【0053】
また、本実施の形態1によれば、カメラヘッドの反射ミラーで光路を折り返すため、カメラヘッド全体をコンパクトに構成することができる。
【0054】
一般に、光学系の途中で光路を折り返す場合には、一回折り返すたびに鏡像が生じる。このため、目視による観察を行う場合には、鏡像を解消するように折り返し回数を設定しなければならない。これに対し、撮像部が撮像した画像を用いた観察を行う場合には、画像処理によって鏡像を補正することができるため、光学系での折り返し回数に制約はない。したがって、本実施の形態1によれば、カメラヘッドの設計の自由度が増加するという効果も得られる。
【0055】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る顕微鏡システムの外観構成を示す斜視図である。図9は、本実施の形態2に係る顕微鏡システムの機能構成を示す図である。図8および図9に示す顕微鏡システム8は、カメラヘッド2と、ノーズピース4と、制御装置7と、カメラヘッド2を上下動可能に保持する倒立フレーム9(顕微鏡フレーム)と、倒立フレーム9に取り付けられて標本を載置するステージ10と、を備える。
【0056】
図8に示す場合、カメラヘッド2の上下は、実施の形態1の場合(図1等を参照)と逆転している。これに対して、エンブレムアダプタ24に記載されているシンボル情報の上下は、図1等に示すものと同じである。これは、カメラヘッド2を倒立フレーム9に取り付けた際に、ユーザがエンブレムアダプタ24の上下を、図1に示す状態から180度回転させたからである。このように、エンブレムアダプタ24をカメラヘッド2の上下に合わせて回転させることにより、カメラヘッド2がどのような状態で顕微鏡フレームに取り付けられているかが明確になる。また、エンブレムアダプタ24に記載されているシンボル情報を視認しやすい位置に調整することができる。
【0057】
図10は、倒立フレーム9の構成を示す斜視図である。図11は、図8の矢視B方向から見た正面図であり、カメラヘッド2を取り付けた状態における倒立フレーム9の要部の構成を示す図である。以下、図8〜図11を参照して倒立フレーム9の構成を説明する。倒立フレーム9は、ステージ10を載置するベース91と、ベース91の底面と直交する方向に立設される鏡柱92と、鏡柱92の表面を一辺とするL字状をなして延び、カメラヘッド2を保持するとともに鏡柱92の高さ方向に沿って上下動可能なアーム93と、アーム93の上下動をガイドするガイド94と、アーム93を駆動するアーム駆動部95と、ベース91に設置されたステージ10を駆動するステージ駆動部96と、アーム駆動部95およびステージ駆動部96の動作を制御するフレーム制御部97と、を有する。
【0058】
ベース91は、カメラヘッド2の挿入方向(図10、図11のY軸方向)に沿って一方の側面から該側面と向かい合う他方の側面へ貫通するスリーブ状をなしている。ベース91は、ステージ10の両端部をそれぞれ載置する2つのステージ載置部911と、2つのステージ載置部911の間に設けられ、ステージ10に面する開口が形成され、ステージ載置部911の上面から窪んだ形状をなす凹部912とを有する。凹部912が上述した形状を有しているため、ユーザが倒立フレーム9の側面から顕微鏡システム8を見た場合、ユーザは対物レンズ3を目視することができる(図8を参照)。したがって、ユーザは、凹部912を介して側方から対物レンズ3の倍率や、対物レンズ3とステージ10上の標本との距離を目視によって確認することができる。
【0059】
ベース91の側面には、カメラヘッド2をアーム93へ取り付ける際にビス止めを行う工具の先端部を挿通するための挿通孔913が設けられている。
【0060】
アーム93は、ベース91を貫通する内部領域でカメラヘッド2を吊り下げて保持するカメラヘッド保持部931を有する。カメラヘッド保持部931は、アーム93が延びる方向に沿って穿設されたメス型のアリ溝形状をなし、オスアリ形状をなすフレーム取付部23をスライド可能に嵌合保持する。
【0061】
図12は、フレーム取付部23とアーム93の固定構造を示す部分断面図である。アーム93には、その外側面からカメラヘッド保持部931の側面まで貫通する貫通孔932が形成されている。貫通孔932は、アーム93の外側面に面した開口を有する大径部932aと、大径部932aに連通し、大径部932aよりも径が小さい小径部932bと、アリ溝の側面を貫通して形成した開口部932cとを有する。
【0062】
大径部932aには、略円柱形状をなすコマ401が嵌め込まれている。コマ401は、アーム93に嵌め込んだ状態で小径部932bと連通するように貫通された貫通孔402と、アーム93に嵌め込んだ状態でアーム93のアリ溝と同じ滑らかに連なるように形成された切り欠き403とを有する。コマ401をアーム93に嵌め込んだ状態で互いに連通するアーム93の小径部932bとコマ401の貫通孔402は等しい径を有し、カメラヘッド2をアーム93に固定するためのビス501を螺合可能である。
【0063】
アーム93のY軸方向正の向きに沿って前端、後端を定めるとき、カメラヘッド保持部931の底面であって、アーム93の後端部付近の底面には、カメラヘッド2をスライドさせて嵌合させた場合の位置決めを行う当て付け部材98が設けられている。図13は、図11のC−C線部分断面図であり、当て付け部材98の構成を示す図である。図13に示す場合、当て付け部材98は、アーム93に設けられた穴部933に螺合されるビスである。本実施の形態2においても、当て付け部材98は、カメラヘッド2に当接してカメラヘッド2の位置決めを行うことができればいかなるものでもよく、ビスである必要はない。
【0064】
以上の構成を有する顕微鏡システム8において、カメラヘッド2をアーム93に取り付ける際には、倒立フレーム9の正面側からカメラヘッド2の後端部を倒立フレーム9の内部空間へ挿入し、その後端部をカメラヘッド保持部931の先端部に嵌め入れてからカメラヘッド2をアーム93に対してスライドさせていく。その後、フレーム取付部23の後端部が当て付け部材98と当接する状態に達した場合、コマ401に形成された貫通孔402およびアーム53に形成された貫通孔932の小径部932bにビス501を螺合することによってカメラヘッド2をアーム93に対して固定する。これにより、カメラヘッド2は、アーム93とともに安定した上下動を行うことが可能となる。
【0065】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、観察の方向や標本の大きさに応じた最適な観察態様への切り換えを撮像および計測の精度を維持したまま容易に行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態2によれば、結像光学系と反射ミラーとの距離が、反射ミラーと撮像部との距離よりも小さいため、倒立フレームであってもステージを高くすることなく取り付けることが可能となる。
【0067】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る顕微鏡システムは、実施の形態1、2で共通のカメラヘッド2と、実施の形態1で説明した正立フレーム5と、実施の形態2で説明した倒立フレーム9とを備えたことを特徴とする。
【0068】
本実施の形態3に係る顕微鏡システムにおいて、ユーザは標本、その他の様々な条件に応じて正立と倒立で最適な観察方法を観察のたびに選択することができる。したがって、ユーザは、所望の観察方法によって標本の観察を行うことができる。
【0069】
また、本実施の形態3によれば、光学系を一体で有するカメラヘッドと、このカメラヘッドを取り付け可能であって互いに異なる複数の顕微鏡フレームとによって顕微鏡システムを構成した場合、各顕微鏡フレームに対してカメラヘッドを取り付ける際に光軸の調整が不要であり、切り換えが容易である。したがって、顕微鏡フレームごとにカメラヘッドを用意しなくて済み、低コスト化および高効率化を実現することができる。
【0070】
なお、本実施の形態3にかかる顕微鏡システムは、カメラヘッドを共通に使用することができる顕微鏡フレームであればいかなる種類の顕微鏡フレームを具備してもよく、顕微鏡フレームの数にも制限はない。
【0071】
(実施の形態4)
図14は、本発明の実施の形態4に係る顕微鏡システムの機能構成を示す図である。同図に示す顕微鏡システム101は、カメラヘッド102と、カメラヘッド102を取り付ける正立フレーム5とを有する。
【0072】
カメラヘッド102は、内部に各種機能部品を格納する筐体103と、筐体103の長手方向の一端部に取り付けられる撮像部104と、カメラヘッド2と正立フレーム5に取り付けられて固定されるフレーム取付部105と、筐体103の長手方向の他端部に取り付けられ、顕微鏡システム1の商品名、機種名、製造メーカ名の少なくともいずれか一つを記載したエンブレムアダプタ106と、を有する。
【0073】
筐体103の内部構成を説明する。筐体103の内部には、対物レンズ3の光軸上に設けられ、対物レンズ3からの光を結像する結像光学系121と、対物レンズ3を介してステージ6に載置される標本を照明する照明光を発生する光源122と、光源122が発生した照明光を集光する集光レンズ123と、照明光の光路を対物レンズ3の光軸に沿って偏向させるとともに対物レンズ3からの光を透過するハーフミラー124とが設けられている。
【0074】
撮像部104は、筐体を通過した光を集光する撮像レンズ141と、光を電気信号に変換して出力する撮像素子142と、撮像素子142が出力した電気信号に対してA/D変換等の所定の信号処理を施す信号処理部143と、撮像部104の動作を制御する撮像制御部144とを有する。
【0075】
カメラヘッド102は、実施の形態1で説明したカメラヘッド2と異なり、ズームレンズを有しない。したがって、対物レンズ3を通過してくる光の光路を折り返さずに撮像部22で結像することができる。
【0076】
以上説明したカメラヘッド102以外の顕微鏡システム101の構成は、実施の形態1に係る顕微鏡システム1の構成と同じである。
【0077】
なお、カメラヘッド102に関しても、倒立フレームへの取付が可能であることはいうまでもない。
【0078】
以上説明した本発明の実施の形態4によれば、上述した実施の形態1と同様、観察の方向や標本の大きさに応じた最適な観察態様への切り換えを撮像および計測の精度を維持したまま容易に行うことができる。
【0079】
また、本実施の形態4によれば、カメラヘッドがズーム光学系を有していないため、対物レンズを通過する光の光路を折り返さずに撮像部に到達させることができ、構成が単純である。
【0080】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した三つの実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本発明において、カメラヘッドに照明用の光源および該光源を標本に照射するための光学系を設けなくてもよい。
【0081】
また、本発明において、カメラヘッドのフレーム取付部がメス型のアリ溝をなす一方、顕微鏡フレームのカメラヘッド保持部がオスアリ形状をなすようにしてもよい。また、フレーム取付部とカメラヘッド保持部がなすスライド機構として、ここで説明した以外の公知の技術を適用することが可能である。
【0082】
また、以上の説明において用いた「直交」、「平行」という文言は、幾何学的な意味での「直交」、「平行」だけでなく、微小な誤差を有する場合も含むものである。
【0083】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものである。
【符号の説明】
【0084】
1 顕微鏡システム
2、102 カメラヘッド
3 対物レンズ
4 ノーズピース
5 正立フレーム
6 ステージ
7 制御装置
8 顕微鏡システム
9 倒立フレーム
10 ステージ
21、103 筐体
22、104 撮像部
23、105 フレーム取付部
24、106 エンブレムアダプタ
51、91 ベース
52、92 鏡柱
53、93 アーム
54、94 ガイド
55 カバー部材
56、95 アーム駆動部
57、96 ステージ駆動部
58、97 フレーム制御部
59、98 当て付け部材
71 画像処理部
72 入力部
73 表示部
74 記憶部
75 制御部
121、211 結像光学系
122、216 光源
123、217 集光レンズ
124、218 ハーフミラー
141、221 撮像レンズ
142、222 撮像素子
143、223 信号処理部
144、224 撮像制御部
201、401 コマ
202、402、532、932 貫通孔
202a、532b、932b 小径部
202b、532a、932a 大径部
212 反射ミラー
213 ズーム光学系
214 レンズ駆動部
215 レンズ制御部
301、501 ビス
531 カメラヘッド保持部
532c、932c 開口部
533、933 穴部
911 ステージ載置部
912 凹部
913 挿通孔
931 カメラヘッド保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージ上に載置された標本からの光を対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、
前記ステージを載置する顕微鏡フレームと、
前記対物レンズを取付可能であるとともに、前記顕微鏡フレームに対して、該顕微鏡フレームが載置する前記ステージの表面と平行な方向であって取り付けた前記対物レンズの光軸と直交する方向にスライド可能に嵌合されて前記顕微鏡フレームに取り付けられ、前記標本の像を撮像するカメラヘッドと、
を備えたことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項2】
ステージ上に載置された標本からの光を対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、
前記ステージを載置する顕微鏡フレームと、
前記対物レンズを取付可能であるとともに、前記顕微鏡フレームに対してスライド可能に嵌合されて前記顕微鏡フレームに取り付けられ、前記標本の像を撮像するカメラヘッドと、
を備え、
前記カメラヘッドは、
前記対物レンズからの光を結像する結像光学系と、
前記結像光学系を通過した光を反射して光路を折り返す反射ミラーと、
前記反射ミラーによって折り返された前記光路上に位置し、前記反射ミラーによって反射された光を光電変換することによって前記画像データを生成する撮像部と、
を有し、
前記結像光学系と前記反射ミラーとの距離は、前記撮像部と前記反射ミラーとの距離より小さいことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項3】
互いに異なる複数の顕微鏡フレームを備え、
該複数の顕微鏡フレームは、
前記ステージよりも上方で前記カメラヘッドを保持可能な正立フレームと、
前記ステージよりも下方で前記カメラヘッドを保持可能な倒立フレームと、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
ステージ上に載置された標本からの光を対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、前記対物レンズを取付可能であり、前記ステージを載置する顕微鏡フレームに取り付けられて前記標本の像を撮像するカメラヘッドであって、
前記対物レンズを通過した光を結像する結像光学系と、
前記結像光学系が結像した光を光電変換することによって前記画像データを生成する撮像部と、
前記顕微鏡フレームに着脱自在に取り付けられ、前記顕微鏡フレームに取り付けられた状態で前記ステージの表面と平行な方向であって前記対物レンズの光軸と直交する方向にスライドするフレーム取付部と、
を備えたことを特徴とするカメラヘッド。
【請求項5】
前記対物レンズからの光を反射して光路を折り返す反射ミラーを備え、
前記撮像部は、前記反射ミラーによって折り返された光路上に位置することを特徴とする請求項4に記載のカメラヘッド。
【請求項6】
前記反射ミラーと前記撮像部との間の前記光路上に、焦点距離を変更可能なズーム光学系を備えたことを特徴とする請求項5に記載のカメラヘッド。
【請求項7】
前記標本へ照射する光を発生する光源と、
前記光源と前記対物レンズとの間に設けられ、前記光源が発した光を、前記対物レンズを介して前記標本へ照射する照明光学系と、
を備えたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のカメラヘッド。
【請求項8】
ステージ上に載置された標本からの光を前記対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、対物レンズを保持可能であり、前記ステージを載置する顕微鏡フレームに取り付けられて前記標本の像を撮像するカメラヘッドであって、
前記対物レンズからの光を結像する結像光学系と、
前記結像光学系を通過した光を反射して光路を折り返す反射ミラーと、
前記反射ミラーによって折り返された前記光路上に位置し、前記反射ミラーによって反射された光を集光して電気信号に変換することによって前記画像データを生成する撮像部と、
前記顕微鏡フレームに着脱自在に取り付けられるフレーム取付部と、
を備え、
前記結像光学系と前記反射ミラーとの距離は、前記撮像部と前記反射ミラーとの距離より小さいことを特徴とするカメラヘッド。
【請求項9】
前記フレーム取付部は、
前記顕微鏡フレームに取り付けられた状態で前記ステージの表面と平行な方向であって前記対物レンズの光軸と直交する方向にスライドすることを特徴とする請求項8に記載のカメラヘッド。
【請求項10】
当該カメラヘッドの側面に設けられ、該側面と直交する軸を中心として回転可能であり、人間が視覚的または触覚的に認識可能なシンボル情報が表面に記載されたシンボル情報記載部材を有することを特徴とする請求項4〜9のいずれか一項に記載のカメラヘッド。
【請求項11】
ステージ上に載置された標本からの光を前記対物レンズによって集光し、この集光した光をもとに前記標本の像を撮像することによって観察用の画像データを生成する顕微鏡システムにおいて、前記対物レンズが取り付けられ、前記標本の像を撮像するカメラヘッドを取り付け可能な顕微鏡フレームであって、
前記ステージの表面と直交する方向に移動可能なアームと、
前記アームに設けられて前記カメラヘッドを保持するカメラヘッド保持部と、
を備え、
前記カメラヘッド保持部は、
前記カメラヘッドを、前記ステージの表面と平行な方向であって前記対物レンズの光軸と直交する方向にスライド可能に嵌合することを特徴とする顕微鏡フレーム。
【請求項12】
前記カメラヘッド保持部は、
前記ステージよりも上方に位置し、前記カメラヘッドを載置した状態で嵌合することを特徴とする請求項11に記載の顕微鏡フレーム。
【請求項13】
前記カメラヘッドを収容可能な略直方体形状をなし、一方の側面から該側面と向かい合う他方の側面へ貫通するスリーブ状のベースを有し、
前記カメラヘッド保持部は、前記ステージよりも下方に位置し、前記ベースを貫通する内部領域で前記カメラヘッドを吊り下げて保持することを特徴とする請求項11に記載の顕微鏡フレーム。
【請求項14】
前記ベースは、
少なくとも前記ステージの両端部を載置する2つのステージ載置部と、
前記2つのステージ載置部の間に設けられ、該ステージ載置部の上面から窪んだ形状をなすとともに前記カメラヘッド保持部が前記カメラヘッドを保持した状態で該カメラヘッドの一部が上方へ突出可能な開口が形成された凹部と、
を有することを特徴とする請求項13に記載の顕微鏡フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−73000(P2013−73000A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211635(P2011−211635)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】