説明

顕微鏡設置用ホルダ機構及びそれに用いるマウス入力装置

【課題】 CCD撮像装置を組み込んだマウス入力装置を顕微鏡の接眼部に簡単に取り付け可能とする。
【解決手段】 CCD撮像手段を備えたマウス入力装置を顕微鏡の接眼部に装着するための顕微鏡設置用ホルダー機構である。顕微鏡1の接眼部1aに嵌合される顕微鏡装着部(外筒部35)と、マウス入力装置2の底面と接するマウス取り付け用台座31と、マウス入力装置2を取り付け固定するマウス取り付け用ピン32とを有するマウス取り付け用アダプタ3を備える。マウス入力装置2の底面に設けられた固定用孔22にマウス取り付け用ピン32を挿入係止することにより、マウス入力装置2が顕微鏡1の接眼部1aに取り付け固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCD撮像手段を備えたマウス入力装置の顕微鏡への簡易な取り付けを実現するための顕微鏡設置用ホルダー機構に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるパーソナルコンピュータ等、各種コンピュータ装置においては、画像表示装置(モニタ)に表示された画面上に座標点を示すカーソルやポインタ等を任意の位置に移動させたり、範囲指定等を行う座標入力装置としてマウス入力装置が広く用いられている。マウス入力装置は、手になじむような曲面形状とされたケース体と、前記ケース体の底面に一部露呈しケース体の操作に伴って回転するトラックボールと、ケース体の表側に配置された複数のクリックボタン等から構成されている。
【0003】
前記の構成を有するマウス入力装置では、前記ケース体を包み込むようにして把持し机上等を移動操作することで、内蔵されたトラックボールが回転する。トラックボールの回転量や回転方向は、エンコーダによって検出され、これに応じてカーソルやマウスポインタを移動させる駆動出力をコンピュータ装置へと出力する。あるいは、カーソル等がモニタ上の指定の指示位置に達した状態でクリックボタンを操作することにより、画面対応で種々の入力操作を行うことが可能である。
【0004】
近年、コンピュータ装置においては、コンピュータ本体やモニタに対して、マウス入力装置ばかりでなく、キーボードや電子ペン、スキャナー等の各種の入力装置、プリンタ等の出力装置が接続されているが、さらに外部撮像装置を接続し、画像情報を直接、且つ迅速にコンピュータ本体に取り込み、これを利用することが行われている。この場合、固定型のCCDカメラでは、撮像領域に制約が生じてしまう。また、デジタルビデオカメラやデジタルカメラ等をハブ装置等を介して接続しようとすると、システム構成が複雑なものとなる等の問題があり、操作性の点でも改善の余地を残している。
【0005】
このような状況から、マウス入力装置にCCD撮像手段を組み込み、画像情報を簡易に取り込めるようにする試みがなされている(例えば、特許文献1等を参照)。この特許文献1記載の発明では、マウス入力装置にCCD撮像装置を組み込むことで、高価なデジタルビデオカメラやデジタルカメラ等を不要とし、簡易なシステムの構築を可能としている。また、マウス入力装置にCCD撮像手段を組み込めば、簡易な移動操作により広範囲な撮像が可能であり、所望の画像情報が容易に得られ、例えば撮像した画像情報のはめ込み処理も同時に行うことができる等、操作性の向上も図られる。
【特許文献1】特開2001−282452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、撮像装置の利用形態としては、通常の画像情報の取り込みの他、特殊な画像情報、例えば顕微鏡により拡大された画像等の取り込み等にも対応し得ることがことができれば、その用途はより一層拡大するものと期待される。しかしながら、顕微鏡で拡大された画像をカメラにて撮影する場合、専用の装置やカメラが必要で、多大な設備投資が必要である。また、撮影した画像のコンピュータ装置への入力は、いくつかのステップを経て間接的に行うことになり、操作性等の点で改良が望まれる。
【0007】
本発明は、このような従来のものの有する欠点を解消するために提案されたものであり、マウス入力装置にCCD撮像手段を組み込むことによる利点を活かし、顕微鏡の拡大画像を簡易にコンピュータ装置へ入力可能とする顕微鏡設置用ホルダー機構を提供することを目的とする。また、本発明は、CCD撮像装置を組み込んだマウス入力装置を顕微鏡に簡単に取り付け可能とし、例えば焦点合わせ等も簡単に行うことが可能な顕微鏡設置用ホルダー機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る顕微鏡設置用ホルダー機構は、CCD撮像手段を備えたマウス入力装置を顕微鏡の接眼部に装着するための顕微鏡設置用ホルダー機構であって、顕微鏡の接眼部に嵌合される顕微鏡装着部と、マウス入力装置の底面と接するマウス取り付け用台座と、マウス入力装置を取り付け固定するマウス取り付け用ピンとを有するマウス取り付け用アダプタを備え、前記マウス入力装置の底面に設けられた固定用孔に前記マウス取り付け用ピンを挿入係止することにより、マウス入力装置が顕微鏡の接眼部に取り付け固定されることを特徴とする。
【0009】
本発明の顕微鏡設置用ホルダー機構においては、前記の構成を有することから、マウス入力装置の底面に設けられた固定用孔にマウス取り付け用ピンを挿入係止するだけで、簡単にマウス入力装置が顕微鏡の接眼部に取り付け固定される。このとき、マウス入力装置の底面はマウス取り付け用台座によって支持された形になり、取り付け状態は安定なものとなる。顕微鏡の接眼部への取り付け固定においては、確実に安定な取り付け状態とすることが必要不可欠であり、これにより顕微鏡の拡大画像をブレ等を生ずることなく安定に取り込むことが可能になる。
【0010】
また、本発明の顕微鏡設置用ホルダー機構は、前記構成に加えて、前記マウス取り付け用アダプタは、顕微鏡装着部として機能する外筒部と、端部に前記マウス取り付け用台座及びマウス取り付け用ピンが設けられた内筒部とからなり、前記内筒部は、前記外筒部に対して上下動自在とされていることも特徴とする。内筒部を外筒部に対して上下動自在とすることで、焦点合わせも容易に行える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の顕微鏡設置用ホルダー機構によれば、顕微鏡の拡大画像を簡易にコンピュータ装置へ入力可能とする顕微鏡設置用ホルダー機構を実現することが可能である。すなわち、本発明の顕微鏡設置用ホルダー機構によれば、CCD撮像装置を組み込んだマウス入力装置を顕微鏡の接眼部に簡単に取り付けることが可能であり、さらには、例えば焦点合わせ等も簡単に行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用した顕微鏡設置用ホルダー機構について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本発明の顕微鏡設置用ホルダー機構は、図1に示すように、顕微鏡1の接眼部1aにCCD撮像手段を内蔵するマウス入力装置2を安定且つ簡易に取り付け可能とするものであり、具体的にはマウス取り付け用アダプタ3を介して前記マウス入力装置2を接眼部1aに取り付け固定するようになっている。
【0014】
図2は、マウス入力装置2の底面を示すものであり、当該マウス入力装置2には、撮影物を撮影するためのCCD撮像手段が内蔵されており、底面にはこのCCD撮像手段の対物レンズ21が臨んでいる。対物レンズ21を介してCCD撮像手段によって撮影した画像情報は、コンピュータに直接取り込むことが可能である。
【0015】
ここで、前記対物レンズ21の近傍には、一対の固定用孔22が設けられており、ここに後述のマウス取り付け用アダプタ3のマウス取り付け用ピンを挿入することにより、顕微鏡1への取り付け固定が行われる。なお、各固定用孔22の形状としては、マウス取り付け用ピンの頭部を挿入し得る大きさの孔部22aと、頭部の径より幅狭でピン本体より幅広なスリット部22bとを有し、これらが連通した形状とされている。
【0016】
このマウス入力装置2は、通常のマウス入力装置と同様、ケース体に例えば左クリックボタン、右クリックボタンが設けられてなるものであり、これらの操作方法も通常のマウス入力装置と同様である。ケース体は、例えばプラスチック等により形成され、その形状は、把持状態に合わせて曲面形状とされている。
【0017】
マウス入力装置2の底面には、前記対物レンズ21の他、座標情報を入力するためのトラックボール23の一部が露呈して臨んでおり、その回転によって位置情報を検出し、コンピュータに入力する。
【0018】
したがって、マウス入力装置2の内部には、図示は省略するが、トラックボール23のx軸方向、y軸方向の転がりを検出してそれぞれエンコーダに入力するためのx軸方向転がり検出ロール、y軸方向転がり検出ロールが設けられ、これらが座標入力手段として機能する。また、マウス入力装置2の内部には、さらに前記左クリックボタン及び右クリックボタンに対応して一対のクリックスイッチが設けられている。左クリックボタンや右クリックボタンの操作は、これらクリックスイッチによって電気信号に変換され、コンピュータに伝達される。
【0019】
一方、マウス取り付け用アダプタ3は、図3に示すように、顕微鏡1の接眼部1aに嵌合することにより装着されるものであり、したがって、顕微鏡1の接眼部1aよりも若干大径の筒状体として構成される。そして、その一端部(上端部)は、リング状の平坦面を有するマウス取り付け用台座31とされるとともに、前記マウス入力装置2の底面に設けられた固定用孔22に対応して、一対のマウス取り付け用ピン32が植立されている。
【0020】
マウス取り付け用ピン32は、頭部32aがピン本体32bに比べて若干大径に形成されており、この部分を前記固定用孔22に係止するようになっている。すなわち、マウス入力装置2の取り付けに際しては、先ず、マウス取り付け用ピン32の頭部32aを固定用孔22の孔部22aに挿入する。その後、マウス入力装置2のマウス取り付け用アダプタ3とを相対的に回転させ、ピン本体32bが固定用孔22のスリット部22bを挿通する位置までマウス取り付け用ピン32を移動する。この状態では、マウス取り付け用ピン32の頭部32aが係止され、その脱落が防止される。このようにしてマウス入力装置2をマウス取り付け用アダプタ3を介して顕微鏡1の接眼部1aに取り付け、マウス入力装置2の対物レンズ21と顕微鏡1の対物レンズを相対向させた状態が、図1である。
【0021】
また、マウス取り付け用アダプタ3には、前記マウス取り付け用台座31やマウス取り付け用ピン32の他、固定締め付けノブ33や上下移動用ノブ34が設けられているが、以下、これらの機能について説明する。
【0022】
マウス取り付け用アダプタ3は、前記の通り顕微鏡1の接眼部1aに嵌合される筒状体として構成されるが、本例では、単なる筒状体とされるのではなく、図4に示すような外筒部35と内筒部36とからなる2重構造を有している。そして、これらは互いにスライド移動可能であり、外筒部35が顕微鏡1の接眼部1aに嵌合されるとともに、内筒部36に前記マウス取り付け用台座31やマウス取り付け用ピン32が形成されている。
【0023】
前記固定締め付けノブ33は、マウス取り付け用アダプタ3の外筒部35を顕微鏡1の接眼部1aに取り付け固定するためのものであり、これを締め付けることにより、顕微鏡装着部として機能する外筒部35が顕微鏡1に対してネジ止め固定される。
【0024】
一方、外筒部35と内筒部36の間には、ラックギア37とピニオンギアとの噛合わせによるスライド機構が設けられており、前記上下移動用ノブ34を回転操作することにより、内筒部36が外筒部35に対して上下動する。この上下動により、マウス入力装置2の対物レンズ21と顕微鏡1の対物レンズとの間の距離を調整することが可能になり、焦点合わせが可能となる。
【0025】
以上のように、本発明の顕微鏡設置用ホルダー機構によれば、マウス取り付け用アダプタ3を顕微鏡1の接眼部1aに嵌合するとともに、マウス取り付け用アダプタ3に設けられたマウス取り付け用ピン32をマウス入力装置2に設けられた固定用孔23に挿入し、回転操作するだけで簡単にマウス入力装置2の顕微鏡1の接眼部1aへの取り付け固定が可能である。このとき、マウス入力装置2の底面がマウス取り付け用台座31によって支持され、取り付け状態が極めて安定なものとすることができる。さらに、上下移動用ノブ34の回転操作によって、焦点合わせも簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】マウス入力装置をマウス取り付け用アダプタを介して顕微鏡の接眼部に装着した状態を示す概略側面図である。
【図2】マウス入力装置の概略底面図である。
【図3】マウス取り付け用アダプタの概略斜視図である。
【図4】マウス取り付け用アダプタのスライド機構を説明する図である。
【符号の説明】
【0027】
1 顕微鏡、1a 接眼部、2 マウス入力装置、3 マウス取り付け用アダプタ、21 対物レンズ、22 固定用孔、22a 孔部、22b スリット部、23 トラックボール、31 マウス取り付け用台座、32 マウス取り付け用ピン、32a 頭部、32b ピン本体、33 固定締め付けノブ、34 上下移動用ノブ、35 外筒部、36 内筒部、37 ラックギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCD撮像手段を備えたマウス入力装置を顕微鏡の接眼部に装着するための顕微鏡設置用ホルダー機構であって、
顕微鏡の接眼部に嵌合される顕微鏡装着部と、マウス入力装置の底面と接するマウス取り付け用台座と、マウス入力装置を取り付け固定するマウス取り付け用ピンとを有するマウス取り付け用アダプタを備え、
前記マウス入力装置の底面に設けられた固定用孔に前記マウス取り付け用ピンを挿入係止することにより、マウス入力装置が顕微鏡の接眼部に取り付け固定されることを特徴とする顕微鏡設置用ホルダー機構。
【請求項2】
前記マウス取り付け用ピンは、所定の太さを有するピン本体と、これよりも大径を有する頭部とから構成され、
前記マウス入力装置の底面に設けられた固定用孔は、前記マウス取り付け用ピンの頭部を挿入し得る大きさの孔部と、頭部の径より幅狭でピン本体より幅広なスリット部が連通して形成されていることを特徴とする請求項1記載の顕微鏡設置用ホルダー機構。
【請求項3】
前記マウス取り付け用アダプタは、顕微鏡装着部として機能する外筒部と、端部に前記マウス取り付け用台座及びマウス取り付け用ピンが設けられた内筒部とからなり、
前記内筒部は、前記外筒部に対して上下動自在とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の顕微鏡設置用ホルダー機構。
【請求項4】
前記外筒部は、顕微鏡接眼部に当該外筒部をネジ止め固定する固定締め付けノブを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の顕微鏡設置用ホルダー機構。
【請求項5】
前記外筒部と内筒部は、ラックギア及びピニオンギアにより上下動自在とされており、前記外筒部に上下移動用ノブが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の顕微鏡設置用ホルダー機構。
【請求項6】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のホルダー機構に装着されることを特徴とするマウス入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−72496(P2006−72496A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252544(P2004−252544)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】