説明

風洞用ノズルおよび風洞装置

【課題】 供試体の空力性能を正確に計測できる風洞用ノズルおよび風洞装置を提供する。
【解決手段】 流入した気体流れを縮流させる絞り部35と、縮流された気体流れを供試体に向けて流出させる拡大部37と、を備え、拡大部37における壁面39の拡大角度は、流出する気体流れが壁面39から剥離しない角度であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風洞用ノズルおよび風洞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
供試体の空力性能を計測する際に用いられる試験装置の一種である風洞装置では、ファンにより発生させた空気等の流れ(気流)を供試体にあてる前に、当該気流の品質の向上を図っている。
具体的には、金網や整流格子(ハニカム)などを通過させたり、ノズルにより流れを縮流させたりすることで、当該気流の品質の向上が図られている。向上が図られる当該気流の品質としては、風速分布の均一度や乱れ度などが挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平1−116427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
風洞装置により計測される項目の1つに供試体に働く流体力がある。供試体に働く流体力の計測では、気流が流れる方向(以後、風軸方向と表記する。)における気流の静圧分布が、計測結果に影響を与えることが知られている。そのため、上記流体力の計測においては、大気中の気流と同様に、風軸方向に沿って気流の静圧分布を均一にすることが望ましい。なお、風軸とは、風洞装置における気流流路の中心軸(センターライン)のことをいう。
【0004】
例えば、ノズルにより気流を縮流させる従来の風洞装置では、供試体の上流側と下流側とにおいて静圧差が生じるため、上記流体力を正確に計測することが困難であった。
つまり、上述のようにノズルにより縮流された気流では、ノズル出口付近において、静圧が上流側から下流側に向かって低下する傾向にあった。これは、ノズル出口付近では、気流はノズルから流出した後も加速され続けるためである。そのため、上記従来の風洞装置では、供試体の上流側の静圧と下流側の静圧との間に圧力差が生じ、上記流体力を正確に計測することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、供試体の空力性能を正確に計測できる風洞用ノズルおよび風洞装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の風洞用ノズルは、流入した気体流れを縮流させる絞り部と、該縮流された気体流れを供試体に向けて流出させる拡大部と、を備え、該拡大部における壁面の拡大角度は、流出する気体流れが該壁面から剥離しない角度であることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、流出する気体流れの剥離が生じない拡大角度を有する拡大部を備えているため、本発明の風洞用ノズルから流出した気体流れの静圧低下を防止して、供試体の空力性能を正確に計測することができる。
絞り部において縮流されて品質が向上された気体流れは、拡大部に流入する。気体流れは拡大部から供試体に向かって流出する。拡大部を通過する気体の流速は流路面積が供試体に向かって拡大することから低下する一方、気体の静圧は流速が低下することから上昇する。つまり、拡大部において、気体流れの有する動圧が静圧に変換されるため、風洞用ノズルから流出する気体流れの静圧が上昇する。
ここで、気流品質の向上とは、風速分布の均一度を向上することや乱れ度の低減を図ること等のことである。
【0008】
また、拡大部における壁面の拡大角度を、気体流れが当該壁面から剥離しない角度とすることにより、拡大部から供試体に向かって流れる気体流れの品質の低下が防止されている。つまり、上記拡大角度が、気体流れの剥離が発生する角度である場合には、剥離により供試体に向かって流れる気体の乱れ度などが高くなり、気体流れの品質が低下する。一方、上記拡大角度が、剥離を発生させない角度である場合には、剥離による気体流れの品質低下を防止できるとともに、上述のように、風洞用ノズルから流出した気体流れの静圧低下を防止して供試体の空力性能を正確に計測することができる。
【0009】
上記発明においては、前記拡大角度が、前記絞り部および前記拡大部の風軸方向に対して5°以下の角度であることが望ましい。
【0010】
本発明によれば、上記拡大角度を、風軸方向に対して5°以下の角度とすることで、上記気体の流れが拡大部の壁面から剥離することを防止し、本発明の風洞用ノズルから流出する気体流れの品質低下を防止することができる。
【0011】
上記発明においては、前記拡大角度が、前記絞り部および前記拡大部の風軸方向に対して0.5°以上、2°以下の角度であることが望ましい。
【0012】
本発明によれば、上記拡大角度を、風軸方向に対して0.5°以上、2°以下とすることで、本発明の風洞用ノズルから流出する気体流れにおける、例えば、風軸線上の静圧分布を、風軸に略平行な軸線上に沿って均一化することができる。なお、静圧分布を均一化するのは上述の風軸線上であってもよいし、風軸と略平行な他の軸線上の静圧分布であってもよい。
【0013】
上記発明においては、前記拡大角度が、前記絞り部および前記拡大部の風軸方向に対して3°以上、5°以下の角度であることが望ましい。
【0014】
本発明によれば、上記拡大角度を、風軸方向に対して3°以上、5°以下とすることで、本発明の風洞用ノズルから流出する気体流れにおける断面平均静圧分布を、風軸方向に沿って均一化することができる。本発明の風洞用ノズルは断面平均静圧分布を均一化できるため、風軸や風軸に平行な軸線上の静圧分布のみを均一化する方法と比較して、より品質の高い気体流れを供試体に当てることができる。
【0015】
上記発明においては、前記拡大部における風軸方向の長さが、前記絞り部の気体流入側の端部から前記拡大部の気体流出側の端部までの長さに対して、1%以上、5%以下の長さであることが望ましい。
【0016】
本発明によれば、拡大部の風軸方向の長さを、絞り部および拡大部を合わせた長さに対して、1%以上の長さとすることで拡大部から流出した後の気体流れの加速を抑制し、静圧低下が防止される。一方、拡大部の風軸方向の長さを、絞り部および拡大部を合わせた長さに対して、5%以下の長さとすることで流出する気体流れの静圧低下を防止するとともに、風洞用ノズルの大型化が防止される。
【0017】
上記発明においては、前記拡大部における風軸方向の長さが、前記絞り部の気体流入側の端部から前記拡大部の気体流出側の端部までの長さに対して、ほぼ2%の長さであることが望ましい。
【0018】
本発明によれば、拡大部の風軸方向の長さを、絞り部および拡大部を合わせた長さに対して、ほぼ2%の長さとすることで流出する気体流れの静圧低下を防止と、風洞用ノズルの大型化の防止との両立が図られる。
【0019】
本発明の風洞装置は、供試体が配置される測定部と、該測定部に配置された前記供試体に向けて気体を流出させる風洞用ノズルと、該風洞用ノズルから流出した気体が流入されるコレクタと、該コレクタに流入した気体を前記風洞用ノズルに送風する送風部と、を備え、前記風洞用ノズルは、請求項1から請求項6のいずれかに記載の風洞用ノズルであることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、本発明の風洞用ノズルを備えているため、供試体の空力性能を正確に計測できる。
送風部により風洞用ノズルに送風された気体は、風洞用ノズルから測定部を通ってコレクタに向かって流出される。この風洞用ノズルには、上記発明の風洞用ノズルが用いられているため、測定部には品質の高い気体流れが形成される。コレクタに流入した基体は、送風部により再び風洞用ノズルに送風される。測定部には供試体が配置されるため、供試体には品質の高い気体流れが当てられ供試体の空力性能が正確に計測される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の風洞用ノズルおよび風洞装置によれば、流出する気体流れの剥離が生じない拡大角度を有する拡大部を備えているため、風洞用ノズルから流出した気体流れの増速を抑えることにより、供試体に当てられる気体流れの静圧低下を防止して供試体の空力性能を正確に計測できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る風洞装置ついて図1から図8を参照して説明する。
図1は、本実施形態の風洞装置の全体構成を説明する概略図である。
本実施形態においては風洞装置1を、図1に示すように、回流形風洞装置に適用して説明する。
風洞装置1は、供試体3が配置される測定部5と、第1拡散胴(コレクタ)7と、第1屈曲胴9と、第1異形胴11と、第2屈曲胴13と、送風部15と、第2異形胴17と、第2拡散胴19と、第3屈曲胴21と、第4屈曲胴23と、整流胴25と、縮流胴(風洞用ノズル)27とから構成された循環流路29を備えている。また、循環流路29の各角部に位置する第1屈曲胴9と、第2屈曲胴13と、第3屈曲胴21と、第4屈曲胴には、気流の乱れを抑制する変流翼31がそれぞれに設けられている。
空気は、電動機33により回転駆動された送風部15により、測定部5に向かって送風される。具体的には、気流は送風部15から第2異形胴17、第2拡散胴19、第3屈曲胴21、第4屈曲胴23、整流胴25および縮流胴27の順に流れて測定部5に流入する。測定部5を流れた気流は、第1拡散胴7、第1屈曲胴9、第1異形胴11および第2屈曲胴13の順に流れて送風部15に流入する。送風部15に流入した気流は再び測定部5に向かって送風され、上述の順に循環流路29を循環する。
【0023】
ここで、本実施形態の特徴である縮流胴27の構成について説明する。
図2は、図1の縮流胴の構成を説明する部分拡大図である。
縮流胴27には、図2に示すように、絞り部35と、拡大部37とが設けられている。本実施形態においては、縮流胴27の風軸に対する断面形状が矩形に形成された場合に適用して説明する。そのため、絞り部35および拡大部37についても、断面形状が矩形に形成された場合に適用して説明する。なお、縮流胴27(絞り部35および拡大部37)の断面形状は、上述のように矩形に限られることなく、丸形や八角形であってもよく、特に限定するものではない。
【0024】
絞り部35は、縮流胴27の上流側(図2の左側)端部に形成され、気流の流路断面積が下流方向(図2の右方向)に向かって減少するように形成された部分である。気流は縮流胴27の上流側に隣接する整流胴25から絞り部35に流入し、絞り部35を流れる間に縮流される。
【0025】
図3は、図1の測定部から縮流胴側を見た図である。図4は、図2の縮流動胴の他の実施例の構成を説明する部分拡大図である。
拡大部37は、縮流胴27の下流側(図2の右側)端部に形成され、気流の流路断面積が下流方向に向かって増加するように形成された部分である。拡大部37を形成する4つの壁面39(上下の壁面および左右の壁面)は、風軸CLに対して角度αを有するように傾斜されている。
角度αは、測定部5における静圧分布の均一化方法により異なる。具体的には、図3に示すように、測定部5における風軸CLの軸線(センターライン)上の静圧分布を風軸CL方向に沿って均一化させる場合には、角度αは、図2に示すように0.5°以上、2°以下の範囲に設定される。一方、図3に示すように、測定部5における流路断面Sの平均静圧を風軸CL方向に沿って均一化させる場合には、角度αは、図4に示すように3°以上、5°以下の範囲に設定される。
また、図2に示すように、拡大部37における風軸CLの軸線方向長さLは、縮流胴27の長さに対して1%以上、5%以下の範囲内に収まるように形成されている。絞り部35から拡大部37に流入した気流は、減速されて縮流胴27の下流側に隣接する測定部5に向かって流出する。本実施形態においては、この測定部5の周囲に壁面が設けられていない場合に適用して説明する。
【0026】
図5は、図2の縮流胴の別の実施形態を説明する図である。
なお、上述のように床面が設けられていない測定部5に向かって気流を流出させる場合には、拡大部37を形成する全ての壁面を傾斜させてもよいし、図5に示すように測定部5に床面Fが形成されている場合には、床面Fと連続する拡大部37の壁面には傾斜が設けられなくてもよく、特に限定するものではない。図5に示す拡大部37Aの場合には、残りの3つの壁面(上の壁面および左右の壁面)のみが傾斜する壁面とされている。
【0027】
次に、上記の構成からなる風洞装置1における作用について、図1を参照しながら説明する。
本実施形態の風洞装置1を用いて供試体3の空力性能を計測する場合には、上述したように、循環流路29を循環する気流が形成される。循環する気流は縮流胴27から測定部5に流出し、測定部5に配置された供試体3に当てられる。その後、気流は第1拡散胴7に流入し、循環流路29を循環し続ける。
供試体3には、供試体3に働く力やモーメント等を計測する天秤装置等の計測機器(図示せず)が取り付けられており、気流が当てられた際の供試体3の空力特性が測定される。
【0028】
ここで、本実施形態の特徴である測定部5における縮流胴27近傍の静圧分布について説明する。
図6は、図1の縮流胴、測定部および第1拡散胴の構成を説明する図である。
ここでは、図6に示すように、測定部5に床面Fが設けられた実施形態における、測定部5における風軸CLの軸線(センターライン)上の静圧(以後、ライン静圧と表記する。)の風軸CL方向に沿った分布と、流路断面の平均静圧(以後、断面平均静圧と表記する。)の風軸CL方向に沿った分布と、について説明する(図3参照)。
なお、断面平均静圧を求める際に用いられる流路断面Sは、図3に示すように、縮流胴27における拡大部37の出口側端面よりも小さく設定されている。
【0029】
図7は、図1の測定部におけるライン静圧分布を説明するグラフである。
図7において、A点は測定部5における縮流胴27の近傍の点であり、B点はA点から第1拡散胴7側に所定距離だけ離れた点である(図6参照。)。所定距離は、供試体3が配置される可能性のある領域の風軸CLに沿う方向の長さである。
また、図7において、L1は拡大部37の壁面39の角度αが0°の場合(従来の場合)におけるライン静圧分布を示している。同様に、L2は壁面39の角度αが1°の場合、L3は角度αが3°の場合におけるライン静圧分布を示している。
図7に示すように、ライン静圧分布は、壁面39の角度αが増加するにつれて右下がりのグラフ(L1)から右上がりのグラフ(L3)に変化する。これは、壁面39の角度αが増加するにつれて、拡大部37を通過する気流の流速低下が大きくなるためであり、縮流胴27を流出した後の気流流速の増加が抑制され、ライン静圧が増加するためである。
【0030】
壁面39の角度αが1°の場合には、図7に示すようにライン静圧分布を示すグラフ(L2)が略水平(ライン静圧が略一定)となり、従来の場合(L1)と比較して、品質の高い気流が測定部5に形成されていることが分かる。一方、壁面39の角度αが3°の場合には、気流の下流側に進むにつれてライン静圧が高くなるため、供試体3に働く抗力などが小さく測定される可能性があり、品質の高い気流が形成されていないことが分かる。
【0031】
図8は、図1の測定部における断面平均静圧分布を説明するグラフである。
図8において、CS1は拡大部37の壁面39の角度αが1°の場合における断面平均静圧分布を示している。同様に、CS2は壁面39の角度αが3°の場合、CS3は角度αが5°の場合における断面平均静圧分布を示している。
図8に示すように、断面平均静圧分布は、壁面39の角度αが増加するにつれて断面平均静圧が全体的に上昇するとともに、断面平均静圧が略一定に近づく。これは、ライン静圧の場合と同様に、壁面39の角度αが増加するにつれて、縮流胴27を流出した後の気流流速の増加が抑制され、断面平均静圧が増加するためである。
【0032】
壁面39の角度αが3°の場合には、図8に示すように断面平均静圧分布を示すグラフ(CS2)が、より角度αが小さい場合(α=1°の場合)と比較して、略水平(断面平均静圧が略一定)に近づき、品質の高い気流が測定部5に形成されていることが分かる。
さらに、壁面39の角度αが5°になると、断面平均静圧分布を示すグラフ(CS3)は、より略水平(断面平均静圧が略一定)に近づき、品質の高い気流が測定部5に形成されていることが分かる。
【0033】
上記の構成によれば、流出する気体流れの剥離が生じない角度αを有する拡大部37を備えているため、本実施形態の風洞装置1は、縮流胴27から流出した気体流れの静圧低下を防止して、供試体3の空力性能を正確に計測することができる。
絞り部35において縮流されて品質が向上された気体流れは、拡大部37に流入する。気体流れは拡大部37から供試体3に向かって流出する。拡大部37を通過する気体の流速は流路面積が拡大部37に向かって拡大することから低下する一方、気体の静圧は流速が低下することから上昇する。つまり、拡大部37において、気体流れの有する動圧が静圧に変換されるため、縮流胴27から流出する気体流れの静圧が上昇する。
【0034】
また、拡大部37における壁面39の角度αを、気体流れが壁面39から剥離しない角度とすることにより、拡大部37から供試体3に向かって流れる気体流れの品質の低下が防止されている。つまり、角度αが、気体流れの剥離が発生する角度である場合には、剥離により供試体3に向かって流れる気体の乱れ度などが高くなり、気体流れの品質が低下する。一方、角度αが、剥離を発生させない角度である場合には、剥離による気体流れの品質低下を防止できるとともに、上述のように、縮流胴27から流出した気体流れの静圧低下を防止して供試体3の空力性能を正確に計測することができる。
【0035】
本実施形態の風洞装置1は、角度αを風軸CL方向に対して0.5°以上、2°以下とすることで、縮流胴27から流出する気体流れにおけるライン静圧分布を、風軸CLに略平行な軸線上に沿って均一化することができる。なお、静圧分布を均一化するのは上述の風軸線上のライン静圧分布であってもよいし、風軸CLと略平行な他の軸線上の静圧分布であってもよい。
また、本実施形態の風洞装置1は、角度αを風軸CL方向に対して3°以上、5°以下とすることで、縮流胴27から流出する気体流れにおける断面平均静圧分布を、風軸CL方向に沿って均一化することができる。本実施形態の縮流胴27は断面平均静圧分布を均一化できるため、風軸CLや風軸CLに平行な軸線上の静圧分布のみを均一化する方法と比較して、より品質の高い気体流れを供試体3に当てることができる。
【0036】
拡大部37の風軸CL方向の長さを、縮流胴27の長さに対して1%以上の長さとすることで拡大部37から流出した後の気体流れの加速を抑制し、静圧低下が防止される。一方、拡大部37の風軸CL方向の長さを、縮流胴27の長さに対して、5%以下の長さとすることで流出する気体流れの静圧低下を防止するとともに、縮流胴27の大型化が防止される。
特に、拡大部37の風軸CL方向の長さを、縮流胴27の長さに対して略2%の長さとすることで流出する気体流れの静圧低下を防止と、縮流胴27の大型化の防止との両立が図られる。
【0037】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、本発明の風洞装置を回流形風洞装置に適用して説明したが、本発明は回流形風洞装置に限られることなく、その他各種の風洞装置に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の風洞装置の全体構成を説明する概略図である。
【図2】図1の縮流胴の構成を説明する部分拡大図である。
【図3】図1の測定部から縮流胴側を見た図である。
【図4】図2の縮流動胴の他の実施例の構成を説明する部分拡大図である。
【図5】図2の縮流胴の別の実施形態を説明する図である。
【図6】図1の縮流胴、測定部および第1拡散胴の構成を説明する図である。
【図7】図1の測定部におけるライン静圧分布を説明するグラフである。
【図8】図1の測定部における断面平均静圧分布を説明するグラフである。
【符号の説明】
【0039】
1 風洞装置
5 測定部
7 第1拡散胴(コレクタ)
15 送風部
27 縮流胴(風洞用ノズル)
35 絞り部
37 拡大部
39 壁面
CL 風軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入した気体流れを縮流させる絞り部と、
該縮流された気体流れを供試体に向けて流出させる拡大部と、を備え、
該拡大部における壁面の拡大角度は、流出する気体流れが該壁面から剥離しない角度であることを特徴とする風洞用ノズル。
【請求項2】
前記拡大角度が、前記絞り部および前記拡大部の風軸方向に対して5°以下の角度であることを特徴とする請求項1記載の風洞用ノズル。
【請求項3】
前記拡大角度が、前記絞り部および前記拡大部の風軸方向に対して0.5°以上、2°以下の角度であることを特徴とする請求項2記載の風洞用ノズル。
【請求項4】
前記拡大角度が、前記絞り部および前記拡大部の風軸方向に対して3°以上、5°以下の角度であることを特徴とする請求項2記載の風洞用ノズル。
【請求項5】
前記拡大部における風軸方向の長さが、前記絞り部の気体流入側の端部から前記拡大部の気体流出側の端部までの長さに対して、1%以上、5%以下の長さであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の風洞用ノズル。
【請求項6】
前記拡大部における風軸方向の長さが、前記絞り部の気体流入側の端部から前記拡大部の気体流出側の端部までの長さに対して、ほぼ2%の長さであることを特徴とする請求項5記載の風洞用ノズル。
【請求項7】
供試体が配置される測定部と、
該測定部に配置された前記供試体に向けて気体を流出させる風洞用ノズルと、
該風洞用ノズルから流出した気体が流入されるコレクタと、
該コレクタに流入した気体を前記風洞用ノズルに送風する送風部と、を備え、
前記風洞用ノズルは、請求項1から請求項6のいずれかに記載の風洞用ノズルであることを特徴とする風洞装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−51718(P2008−51718A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229786(P2006−229786)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】