説明

飲料注出装置

【課題】缶ビール等を手に持って傾けることなく、内部の飲料をグラス等に注ぐことができる飲料注出装置を提供する。
【解決手段】ビール注出装置100の注出部110は、缶ビール101内部のビールを注出口111へ導くための注出管113と、缶ビール101内部のビールを注出管113を介して注出口111まで押し出すための空気を、空気路形成部150を介して、缶ビール101内部へ供給するためのエアポンプ114とを備える。空気路形成部150は、伸縮部152と缶ビール当接部153とを備えており、伸縮部152を垂直方向に伸縮させることで、缶ビール当接部153の高さ位置を変えることができる。缶ビール当接部153の高さ位置を可変とすることで、高さの異なる350mlの缶ビールと500mlの缶ビールのいずれの上面にも、缶ビール当接部153を当接させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器入り飲料(例えば、缶ビール)の内部の飲料を注出する飲料注出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、缶ビールや缶ジュース等の缶入り飲料の内部の飲料をグラス等に注ぐ場合、通常は、まず、缶入り飲料の上面蓋部に設けられたプルタブを引き起こすことで、飲み口(注出口)を形成(開口)し、開口された飲み口が下に来るような状態で缶入り飲料を手に持って傾けることで、缶入り飲料内の飲料の注出を行っている。
【0003】
これに対して、缶入り飲料を手に持って傾けることなく、缶入り飲料の内部の飲料を、グラス等に注ぐことを可能にする飲料注出装置に対するニーズが存在する。
【0004】
なお、特開2002−337991号公報には、密封容器と、この密封容器に取り付けられる注出装置本体と、この注出装置本体に設けられる操作部と、この操作部の操作によって開閉する弁機構と、この弁機構に接続する注出口と、前記密封容器内に圧縮気体を送る加圧手段よりなり、前記密封容器に飲料容器を収納可能とし、この飲料容器の開口に揚液管を遊挿可能に構成し、かつ前記密封容器内に前記飲料容器を複数収納可能に構成すると共に、これらの飲料容器にそれぞれ揚液管が遊挿されるように構成したことを特徴とする飲料注出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−337991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、缶ビール等の容器入り飲料を手に持って傾けることなく、容器入り飲料の内部の飲料をグラス等に注ぐことができる飲料注出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料注出装置は、容器入り飲料の内部の飲料を注出するための飲料注出装置であって、前記容器入り飲料の上面に形成された注出口を介して、前記容器入り飲料の内部へ端部が挿入される注出管と、前記容器入り飲料の上面に形成された注出口を介して、前記容器入り飲料の内部へ空気を供給するための空気路を形成する空気路形成部と、前記空気路形成部によって形成された空気路内へ空気を供給する空気供給部とを備え、前記空気路形成部は、前記容器入り飲料の上面に当接して、前記空気路を形成する容器入り飲料当接部を備えることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記空気路形成部は、伸縮可能な伸縮部を備え、当該伸縮部が伸縮することで、前記容器入り飲料当接部の高さ位置を変えることができるようにしてもよい。
【0009】
また、以上の場合において、前記容器入り飲料当接部は、前記容器入り飲料の上面の縁に当接するようにしてもよい。この場合、前記容器入り飲料当接部は、前記容器入り飲料の上面の縁に底面が当接するリング部を有し、当該リング部の底面が一定の幅を有するようにしてもよい。
【0010】
また、以上の場合において、前記容器入り飲料を収容する容器入り飲料収容部と、前記容器入り飲料当接部と前記容器入り飲料収容部とに取り付けられる連結部とを更に備え、前記連結部は、前記容器入り飲料当接部を、前記容器入り飲料収容部へ収容された容器入り飲料へ押し付けるようにしてもよい。
【0011】
また、以上の場合において、前記空気供給部は、エアポンプと、当該エアポンプから吐出された空気を、前記空気路形成部へ供給する空気供給路と、当該空気供給路から分岐する空気排出路とを備え、注出動作時は、前記空気排出路が閉塞され、注出動作停止時は、前記空気排出路が開放されるようにしてもよい。また、この場合において、注出動作の開始及び停止を制御するための操作部(例えば、後述するレバー)と、当該操作部と当接する第一の板ばね及び第二の板ばねとを更に備え、注出動作を開始させるように前記操作部を操作すると、前記第一の板ばねが撓んで、前記エアポンプが動作を開始すると共に、前記第二の板ばねが撓んで、前記空気排出路を閉塞するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器入り飲料を手に持って傾けることなく、容器入り飲料の内部の飲料をグラス等に注ぐことができる飲料注出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるビール注出装置の構造を説明するための正面図である。
【図2】本発明によるビール注出装置の構造を説明するための側面図である。
【図3】本発明によるビール注出装置の構造を説明するための平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】本発明によるビール注出装置の構造を説明するための正面図(その2)である。
【図7】本発明によるビール注出装置の構造を説明するための側面図(その2)である。
【図8】連結部161,162の構造を説明するための図である。
【図9】注出部110の内部構造を説明するための平面図である。
【図10】注出部110の内部構造を説明するための正面図である。
【図11】注出部110の内部構造を説明するための拡大断面図である。
【図12】注出部110の内部構造を説明するための拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、容器入り飲料としての缶入り飲料(より具体的には、缶ビール)の内部の飲料(より具体的には、ビール)の注出を行う飲料注出装置(以下、ビール注出装置という)について説明する。本ビール注出装置は、缶ビール内部に収容されたビールを、缶ビールを手に持って傾けることなく、グラス等に注ぐために利用されるものであり、形状の異なる複数の種類の缶ビール(例えば、350mlの缶ビールと500mlの缶ビール)に利用可能なものである。
【0015】
図1〜図7は、本発明によるビール注出装置の構造を説明するための図である。図1及び図6は正面図を示し、図2及び図7は側面図を示し、図3は平面図を示している。また、図4は、図3のA−A断面図を示し、図5は、図4の部分拡大図を示している。なお、図1、図2、図4及び図5は、350mlの缶ビールをセットした状態を示しており、図6及び図7は、500mlの缶ビールをセットした状態を示している。
【0016】
図1〜図3に示すように、本発明によるビール注出装置100は、注出部110と、注出部支持部120と、ベース部130と、缶ビール収容部140と、空気路形成部150と、連結部161,162とを備える。
【0017】
注出部110は、缶ビール収容部140に収容された缶ビール101内部のビールを、その端部(図1における左端部)に設けられた注出口111から注出するためのものである。注出部110は、注出動作の開始及び停止を制御するためのレバー112や、図4に示すように、缶ビール101内部のビールを注出口111へ導くための注出管113や、缶ビール101内部のビールを注出管113を介して注出口111まで押し出すための空気を、空気路形成部150を介して、缶ビール101内部へ供給するためのエアポンプ114等を備える。注出部110の詳細については後述する。
【0018】
注出部支持部120は、注出部110を、ビール注出装置100が載置される面より、一定の高さに支持する部材であって、垂直方向(図1における上下方向)に延びるように、ベース部130に立設されている。
【0019】
ベース部130は、ビール注出装置100のベースとなる部材であって、その上面中央部分に、注出部支持部120が立設されると共に、缶ビール収容部140が、水平方向(図1における左右方向)にスライド可能に取り付けられる。
【0020】
缶ビール収容部140は、注出対象となる缶ビール101を収容するものであって、缶ビール101の下部を収容可能な円筒状の形状を有するカップ部141と、ベース部130に対して、水平方向にスライド可能に取り付けられるスライド部142とを備える。本実施形態においては、缶ビール収容部140は、缶ビール101のセット等を容易にするため、ベース部130に対して、水平方向にスライド可能に構成されている。すなわち、ビール注出装置100(缶ビール収容部140)に、缶ビール101をセットする際は、缶ビール収容部140を、ベース部130から離れる方向(図1における右方向)にスライドさせることで、カップ部141の上方を開放させて、缶ビール101の収容を容易とし、缶ビール101のセットが完了したら、缶ビール収容部140を、ベース部130に近づく方向(同図における左方向)にスライドさせることで元の位置に戻して、缶ビール収容部140に収容された缶ビール101を、空気路形成部150の直下に位置させる。
【0021】
また、カップ部141は、その外周面に、一対の突起部が、高さの異なる位置に2組設けられている。すなわち、図1及び図2に示すように、カップ部141内に350mlの缶ビール101を収容した際に利用される一対の下側突起部1411と、図6及び図7に示すように、カップ部141内に500mlの缶ビール101を収容した際に利用される一対の上側突起部1412とが設けられている。
【0022】
空気路形成部150は、注出部110から缶ビール101内部へ空気を供給等するための経路(空気路)を形成するためのものである。すなわち、注出部110のエアポンプ114から吐出された空気を、缶ビール101の上面に形成された飲み口(注出口)を介して、缶ビール101の内部へ導入等するための気密経路を形成する。
【0023】
図5に示すように、空気路形成部150は、キャップ部151と、伸縮部152と、缶ビール当接部153とを備える。
【0024】
キャップ部151は、伸縮部152の上端部に取り付けられて、伸縮部152内部へ空気を供給するための空気供給口を形成する部材である。キャップ部151は、その下端部が、注出部110の底面部1101に形成された孔に嵌め込まれて保持される。キャップ部151の下端部が、注出部110の底面部1101に形成された孔に挿入される際、キャップ部151と注出部110との間には、伸縮部152の上端部が挟持される。キャップ部151の下端部の外周面には、Oリングを装着するための溝が形成されており、当該溝に装着されたOリング1511によって、キャップ部151と伸縮部152の上端部との間が気密にシールされることになる。また、キャップ部151は、注出管113を通過させるための孔を有している。当該孔の径は、注出管113の外径よりやや小さめに形成されており、当該孔に、注出管113を押し込むことで、注出管113がキャップ部151に保持されると共に、注出管113とキャップ部151との間が気密にシールされることになる。
【0025】
伸縮部152は、蛇腹状の形状を有しており、垂直方向(図5における上下方向)に、伸縮可能な部材である。伸縮部152は、伸縮方向に一定以上の外力を加えると伸縮するが、一定以上の外力を加えない限り、伸縮方向の長さを維持して、形状を保持するように構成される。伸縮部152は、垂直方向に伸縮することで、缶ビール当接部153の高さ位置を可変とする。本実施形態では、缶ビール当接部153の高さ位置を可変とすることで、高さの異なる缶ビールの上面に、缶ビール当接部153が当接することを可能としている。すなわち、図1及び図2に示すように、背の低い350mlの缶ビールの場合は、伸縮部152が伸びることで、缶ビール当接部153の位置が下げられ、図6及び図7に示すように、背の高い500mlの缶ビールの場合は、伸縮部152が縮むことで、缶ビール当接部153の位置が上げられる。
【0026】
缶ビール当接部153は、缶ビール収容部140に収容された缶ビール101の上面に当接して、伸縮部152と缶ビール101の上面とによって、気密な空気路を形成するためのものである。
【0027】
図5に示すように、缶ビール当接部153は、シール部材154と、保持部材155とを備える。シール部材154は、リング状の部材(リング部)1541と、上端部が外側に広がった円筒状の部材(円筒部)1542を同心状に配置して連結したような形状を有しており、リング部1541の底面が、缶ビール101の上面、より具体的には、円状の縁(缶胴と缶蓋との巻締め部)に当接することで、缶ビール101の上面と、伸縮部152の内面とによって、気密な空気路を形成する。リング部1541の底面は、一定の幅を有しているので、円状縁の径がある程度異なる複数種類の缶ビール(例えば、異なるメーカーの缶ビール)について気密な空気路を形成することができるようになっている。シール部材154は、弾性を有する材料、例えば、シリコンゴムで構成される。
【0028】
保持部材155は、円筒状の部材(円筒部)1551の内部にリング状の部材(リング部)1552を配置して連結したような形状を有しており、リング部1552の中央の孔に嵌め込まれるシール部材154を保持するものである。保持部材155のリング部1552の中央の孔にシール部材154の円筒部1542が嵌め込まれる際、保持部材155とシール部材154との間には、伸縮部152の下端部が挟持される。また、図2等に示すように、保持部材155の円筒部1551の外周面には、一対の突起部1553が設けられており、当該一対の突起部1553に取り付けられる一対の連結部161,162によって、保持部材155が、缶ビール101の方向へ引っ張られ、保持部材155と共に、シール部材154が缶ビール101へ押し付けられることになる。その結果、保持部材155と伸縮部152の下端部との間、伸縮部152の下端部とシール部材154との間、シール部材154と缶ビール101の縁上面との間それぞれが気密にシールされることになる。
【0029】
連結部161,162は、缶ビール当接部153と缶ビール収容部140との両者に取り付けられて、缶ビール当接部153を、缶ビール収容部140に収容された缶ビール101に押し付けるための部材である。図8は、連結部161,162の構造を説明するための図である。同図に示すように、連結部161,162はそれぞれ、その上端部に長孔1611,1621が形成されると共に、その下端部に、径の異なる2つの円孔を連結したような形状を有する孔1612,1622が形成されている。
【0030】
連結部161,162は、その上端部に形成された長孔1611,1621を介して、缶ビール当接部153の保持部材155(の円筒部1551)の外周面に形成された一対の突起部1553に回動自在に取り付けられる。更に、連結部161,162はそれぞれ、その下端部に形成された孔1612,1622を介して、缶ビール収容部140のカップ部141の外周面に形成された突起部に取り付けられる。すなわち、図1に示すように、カップ部141に350mlの缶ビール101を収容した場合は、下側突起部1411に取り付けられ、図6に示すように、カップ部141に500mlの缶ビール101を収容した場合は、上側突起部1412に取り付けられる。
【0031】
連結部161,162を、缶ビール収容部140のカップ部141の外周面に形成された突起部1411,1412に取り付ける際は、まず、連結部161,162の下端部に形成された孔1612,1622の大径の円孔部分(大径部)に、下側突起部1411又は上側突起部1412を挿入し、次に、連結部161,162の下端部をスライドさせることで、下側突起部1411又は上側突起部1412(の根本部分)が小径の円孔部分(小径部)に嵌り込むようにする。下側突起部1411又は上側突起部1412が、連結部161,162の下端部に形成された孔1612,1622の小径部に嵌り込んだ状態においては、缶ビール当接部153は、連結部161,162を介して、缶ビール101の方向(図1における下方向)に引っ張られ、シール部材154が缶ビール101に対して押し付けられて、気密なシールが実現されることになる。
【0032】
次に、注出部110の詳細について説明する。
【0033】
図9〜図12は、注出部110の内部構造を説明するための図である。図9は、平面図を示し、図10は正面図を示し、図11及び図12は、拡大断面図を示す。なお、図10〜図12は、レバー112を倒した状態を示している。
【0034】
前述したように、注出部110は、注出動作の開始及び停止を制御するためのレバー112と、缶ビール101内部のビールを注出口111へ導くための注出管113と、空気路形成部150を介して、缶ビール101内部へ空気を供給するためのエアポンプ114を備える。更に、注出部110は、図9及び図10に示すように、空気吐出チューブ201、分岐継手202、空気供給チューブ203、空気供給継手204、空気排出チューブ205、板ばね部211、電極212、板ばね電極保持部213を備える。
【0035】
なお、簡単のため、図示は省略してあるが、注出部110は、ビール注出装置100の動作に必要な電力を供給するための電池(本実施形態では、単三電池2本)や配線等も備えている。
【0036】
レバー112は、回転軸1121を中心に回動可能な部材であって、図1に示したような直立した状態から、図10に示すように、前方(同図における左方)へ向かって一定角度以上倒すと、ビール注出装置100の注出動作が開始され、前方へ倒された状態から、元の直立状態に戻すと、ビール注出装置100の注出動作が停止することになる。
【0037】
レバー112の下端部1122は、概ね、横倒しにした円柱状の形状を有し、下端部1122の中心に、回転軸1121を挿入するための孔が形成されている。また、下端部1122の板ばね部211と対向する面には、断面がV字状の切り欠きが形成されており、レバー112が直立状態にある際、当該切り欠きに、板ばね部211の先端に形成された折り曲げ部が嵌り込むことで、レバー112が安定することになる。
【0038】
注出管113は、細長い管(チューブ)状の形状を有し、その一端が、缶ビール101の上面に形成された飲み口を介して、缶ビール101の内部に挿入されて、缶ビール101の底面まで達すると共に、その他端が、ビール注出装置100(注出部110)の注出口111を構成するものである。注出管113は、例えば、シリコンゴムで構成される。
【0039】
本実施形態においては、缶ビール101の上面蓋部に形成された飲み口(より正確には、当該飲み口と、当該飲む口に挿入された注出管113との間の隙間)を介して、缶ビール101の内部へ空気を送り込み、缶ビール101の内部の圧力を高めることで、缶ビール101内部のビールを、注出管113を介して、注出口111へ押し出す。
【0040】
エアポンプ114は、電力が供給されて動作を開始すると、周囲の空気を吸込口から取り込んで、吐出口から吐き出す電動ポンプである。エアポンプ114の吐出口は、空気吐出チューブ201を介して、分岐継手202と接続されている。
【0041】
空気吐出チューブ201は、エアポンプ114から吐出された空気を、分岐継手202に供給するための管状の部材であって、その一端が、エアポンプ114の吐出口に接続されると共に、その他端が、分岐継手202に接続されている。
【0042】
分岐継手202は、エアポンプ114から吐出された空気の流れを2つに分岐させるものであり、それぞれ連通した3つの端部を有し、第一の端部に、空気吐出チューブ201が接続される一方で、第二の端部に、空気供給チューブ203が接続され、第三の端部に、空気排出チューブ205が接続される。すなわち、エアポンプ114から吐出された空気は、空気吐出チューブ201及び分岐継手202を介して、空気供給チューブ203に供給されると共に、空気吐出チューブ201及び分岐継手202を介して、空気排出チューブ205に供給されることになる。
【0043】
空気供給チューブ203は、空気吐出チューブ201及び分岐継手202を介して、エアポンプ114から供給される空気を、空気路形成部150に供給するための管状の部材であって、その一端が、分岐継手202に接続される一方で、その他端が、空気路形成部150のキャップ部151に装着された空気供給継手204に接続される。
【0044】
空気供給継手204は、空気供給チューブ203とキャップ部151とを連通させるための部材であって、互いに連通する2つの端部が直角をなすように配置されており、一方の端部に、空気供給チューブ203が接続され、他方の端部(下端部)が、キャップ部151に形成された空気供給口に嵌め込まれる。図5に示すように、空気供給継手204の下端部の外周面には、Oリングを装着するための溝が形成されており、当該溝に装着されたOリング2041によって、空気供給継手204とキャップ部151との間が気密にシールされることになる。
【0045】
空気排出チューブ205は、ビール注出装置100の注出動作を停止させた際に、缶ビール101内に高圧状態で溜まっている空気を逃がして、缶ビール101内の圧力を低下させるための管状の部材であって、一方の端部が、分岐継手202に接続されると共に、他方の端部が、板ばね部211の下方に配置される。当該他方の端部は、ビール注出装置100の注出動作を開始させるために、レバー112を前方に倒した際、下方に押されて撓む板ばね(より具体的には、後述する第二の板ばね2112)によって、押しつぶされて、閉塞することになる。その結果、エアポンプ114から吐出された空気は、空気排出チューブ205を介して外部に逃げることなく、空気供給チューブ203等を介して、空気路形成部150に供給されることになる。一方、ビール注出装置100の注出動作を停止させるために、レバー112を前方に倒した状態から元の直立状態に戻すと、空気排出チューブ205の他方の端部は開放されて、缶ビール101の内部と外部とが連通することとなり、その結果、缶ビール101内の高圧の空気は、空気路形成部150、空気供給チューブ203及び空気排出チューブ205等を介して、外部に排出されることになる。従って、ビール注出装置100の注出動作を停止させるため、エアポンプ114の動作を停止させると、缶ビール101内部の圧力が即座に低下することとなり、注出口111からのビールの注出を即座に停止させることが可能となる。
【0046】
板ばね部211は、それぞれ独立に変形可能な3つの板ばねを備えた部材であって、その後端部が、板ばね電極保持部213に固定されて、その先端部分が弾性変形可能に保持されている。板ばね部211が備える各板ばねは、細長い矩形状の平板の先端部分を、後端から先端に向かって、まず、上方に向けて折り曲げ、次に、下方に向けて折り曲げ、更に、上方に向けて折り曲げたような形状を有している。すなわち、側面視において、上方に向かって山型に折り曲げ、更に、下方に向かって山型に折り曲げたような形状を有している。各板ばねの頂部が上方に向かった山型部分が、直立状態にあるレバー112の下端部1122に形成されたV字状の切り欠きに嵌り込むことになる。
【0047】
板ばね部211が備える3つの板ばねのうち、第一の板ばね2111が、エアポンプ114への電力の供給のオン/オフを制御するためのスイッチとして使用され、第二の板ばね2112が、前述した空気排出チューブ205の端部の閉塞及び開放を実現するための部材として使用される。第三の板ばねについては、本発明には直接関係しないので、説明は省略する。
【0048】
電極212は、細長い矩形平板状の形状を有する部材であって、第一の板ばね2111の下方に、第一の板ばね2111と並行に配置されるよう、その後端部が板ばね電極保持部213に固定されるものである。電極212は、第一の板ばね2111と共に、エアポンプ114への電力の供給のオン/オフを制御するためのスイッチを構成するもので、レバー112が一定角度以上倒されると、図11に示すように、レバー112の下端部1122に押されて撓んだ第一の板ばね2111の先端が電極212と当接して、第一の板ばね2111と電極212とが導通状態となり、エアポンプ114への電力の供給が開始されるようになる。また、その状態から、レバー112が元の直立状態に戻されると、第一の板ばね2111は、撓んだ状態から元の状態に戻って、第一の板ばね2111と電極212とは、非接触状態(すなわち、非導通状態)となり、エアポンプ114への電力の供給が停止される。
【0049】
一方、第二の板ばね2112の下方には、前述したように、空気排出チューブ205が配置されており、レバー112が一定角度以上倒されると、図12に示すように、レバー112の下端部1122に押されて撓んだ第二の板ばね2112の先端が空気排出チューブ205に当接して、空気排出チューブ205を押しつぶして、空気排出チューブ205の端部を閉塞させる。また、その状態から、レバー112が元の直立状態に戻されると、第二の板ばね2112は、撓んだ状態から元の状態に戻って、第二の板ばね2112と空気排出チューブ205とは非接触状態となり、空気排出チューブ205の端部が開放される。
【0050】
次に、以上のような構成を有するビール注出装置100の動作について説明する。
【0051】
まず、注出対象となる缶ビール101を、ビール注出装置100へセットする。すなわち、まず、缶ビール収容部140を、カップ部141が空気路形成部150の真下に位置する初期状態から引き出すため、ベース部130から離れる方向にスライドさせる。なお、この時、缶ビール当接部153は、予め、上方に押し上げることで、伸縮部152を縮めた状態で上方に保持させておく。
【0052】
缶ビール収容部140の引き出しが完了すると、次に、プルタブを引き起こして、飲み口を形成した缶ビール101を、缶ビール収容部140のカップ部141へセットする。
【0053】
飲み口を形成した缶ビール101の缶ビール収容部140のカップ部141へのセットが完了すると、次に、注出管113の端部を、缶ビール101の上面蓋部に形成された飲み口を介して、缶ビール101内部へ挿入する。
【0054】
注出管113の端部の缶ビール101内部への挿入が完了すると、次に、缶ビール101がセットされた缶ビール収容部140を、ベース部130に近づく方向にスライドさせることで、初期状態に戻す。
【0055】
缶ビール収容部140を初期状態に戻したら、次に、缶ビール当接部153を押し下げて、缶ビール当接部153(シール部材154)の底面を、缶ビール収容部140(カップ部141)にセットされた缶ビール101の上面に当接させる。そして、連結部161,162によって、缶ビール当接部153と缶ビール収容部140とを連結する。すなわち、まず、缶ビール当接部153の保持部材155の外周面に設けられた突起部1553に取り付けられている連結部161,162の下端部に形成された孔1612,1622の大径部に、カップ部141の外周面に設けられた突起部(350mlの缶ビールの場合は、下側突起部1411、500mlの缶ビールの場合は、上側突起部1412)を通過させてから、連結部161,162の下端部をスライドさせることで、カップ部141の外周面に設けられた突起部(の根本部分)を、連結部161,162の下端部に形成された孔1612,1622の小径部に嵌め込む。カップ部141の外周面に設けられた突起部1411,1412が、連結部161,162の下端部に形成された孔1612,1622の小径部に嵌め込まれた状態においては、缶ビール当接部153は、連結部161,162によって下方へ引っ張られ、缶ビール当接部153のシール部材154が、缶ビール101の上面(縁)に押し付けられて、缶ビール当接部153のシール部材154と缶ビール101の上面(縁)との間が気密にシールされる。
【0056】
以上のようにして、缶ビール101の上面と空気路形成部150とによって、気密な空気路を形成したら、次に、缶ビール101内部のビールの注出を開始するため、ビールを注ぐためのグラス等を、ビール注出装置100の注出口111の下に位置させた上で、レバー112を前方へ倒す。
【0057】
レバー112を前方へ倒すと、回転軸1121を中心に回転するレバー112の下端部1122によって、板ばね部211の第一の板ばね2111及び第二の板ばね2112が下方に押される。そして、レバー112が所定の角度以上倒されると、第一の板ばね2111の先端部が、対向する位置に配置された電極212と当接し、その結果、エアポンプ114への電力の供給が開始されて、エアポンプ114が動作を開始すると共に、第二の板ばね2112の先端部が、対向する位置に配置された空気排出チューブ205の端部を押しつぶして閉塞させる。その結果、エアポンプ114から吐出された空気は、空気排出チューブ205の端部から漏れ出すことなく、空気供給チューブ203等を介して、空気路形成部150内へ供給される。
【0058】
空気路形成部150内へ供給された空気は、缶ビール101の上面に形成された飲み口(より正確には、当該飲み口と、当該飲む口に挿入された注出管113との間の隙間)を介して、缶ビール101の内部へ送り込まれる。その結果、缶ビール101の内部の圧力が高まり、当該圧力の高まりによって、缶ビール101内のビールが、注出管113の介して、注出口111から押し出され、グラス等へビールが注がれることになる。
【0059】
必要な量のビールの注出が完了したら、レバー112を直立状態に戻す。レバー112を直立状態に戻すと、レバー112の下端部1122によって押されていた第一の板ばね2111及び第二の板ばね2112が、元の状態に戻る。その結果、第一の板ばね2111の先端部と電極212とが非接触状態となり、エアポンプ114への電力の供給が停止されて、エアポンプ114が動作を停止すると共に、第二の板ばね2112の先端部と空気排出チューブ205の端部とが非接触状態となって、空気排出チューブ205の端部が開放され、その結果、缶ビール101の内部に押し込まれていた空気が、空気路形成部150、空気供給チューブ203、空気排出チューブ205等を介して、外部へ排出される。
【0060】
このように、レバー112を直立状態に戻すと、エアポンプ114が停止されると共に、缶ビール101内の空気を外部へ排出するための経路が形成されるので、缶ビール101の内部の圧力が即座に低くなり、注出口111からのビールの注出が即座に停止されることになる。
【0061】
以上、詳細に説明したように、上述したビール注出装置100によれば、缶ビール101を手に持って傾けることなく、缶ビール101内のビールをグラス等に注ぐことが可能となる。
【0062】
また、上述したビール注出装置100においては、伸縮部152を伸び縮みさせることで、缶ビール当接部153の高さ位置を自由に変えることができるので、高さが異なる缶ビール101(例えば、350mlの缶ビールと500mlの缶ビール)について利用することができる。
【0063】
また、上述したビール注出装置100においては、一定の幅を有する缶ビール当接部153(シール部材154)の底面を、缶ビール101の上面の縁に当接させることで、缶ビール101内部へ空気を導入等するための空気路を形成しているので、円状縁の径がある程度異なる缶ビール101(例えば、異なるメーカーの缶ビール)についても利用することができる。
【0064】
また、上述したビール注出装置100においては、ビールの注出を停止させる際、エアポンプ114の動作を停止させると共に、缶ビール101内部の空気を排出する経路を形成するようにしているので、ビールの注出を即座に停止させることができる。
【符号の説明】
【0065】
100 ビール注出装置
101 缶ビール
110 注出部
1101 底面部
111 注出口
112 レバー
1121 回転軸
1122 下端部
113 注出管
114 エアポンプ
120 注出部支持部
130 ベース部
140 缶ビール収容部
141 カップ部
1411 下側突起部
1412 上側突起部
142 スライド部
150 空気路形成部
151 キャップ部
1511 Oリング
152 伸縮部
153 缶ビール当接部
154 シール部材
1541 リング部
1542 円筒部
155 保持部材
1551 円筒部
1552 リング部
1553 突起部
161,162 連結部
1611,1621 長孔
1612,1622 孔
201 空気吐出チューブ
202 分岐継手
203 空気供給チューブ
204 空気供給継手
2041 Oリング
205 空気排出チューブ
211 板ばね部
2111 第一の板ばね
2112 第二の板ばね
212 電極
213 板ばね電極保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器入り飲料の内部の飲料を注出するための飲料注出装置であって、
前記容器入り飲料の上面に形成された注出口を介して、前記容器入り飲料の内部へ端部が挿入される注出管と、
前記容器入り飲料の上面に形成された注出口を介して、前記容器入り飲料の内部へ空気を供給するための空気路を形成する空気路形成部と、
前記空気路形成部によって形成された空気路内へ空気を供給する空気供給部と
を備え、
前記空気路形成部は、前記容器入り飲料の上面に当接して、前記空気路を形成する容器入り飲料当接部を備える
ことを特徴とする飲料注出装置。
【請求項2】
前記空気路形成部は、伸縮可能な伸縮部を備え、
当該伸縮部が伸縮することで、前記容器入り飲料当接部の高さ位置を変えることができる
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料注出装置。
【請求項3】
前記容器入り飲料当接部は、前記容器入り飲料の上面の縁に当接する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料注出装置。
【請求項4】
前記容器入り飲料当接部は、前記容器入り飲料の上面の縁に底面が当接するリング部を有し、当該リング部の底面が一定の幅を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の飲料注出装置。
【請求項5】
前記容器入り飲料を収容する容器入り飲料収容部と、
前記容器入り飲料当接部と前記容器入り飲料収容部とに取り付けられる連結部と
を更に備え、
前記連結部は、前記容器入り飲料当接部を、前記容器入り飲料収容部へ収容された容器入り飲料へ押し付ける
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料注出装置。
【請求項6】
前記空気供給部は、
エアポンプと、
当該エアポンプから吐出された空気を、前記空気路形成部へ供給する空気供給路と、
当該空気供給路から分岐する空気排出路とを備え、
注出動作時は、前記空気排出路が閉塞され、注出動作停止時は、前記空気排出路が開放される
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料注出装置。
【請求項7】
注出動作の開始及び停止を制御するための操作部と、
当該操作部と当接する第一の板ばね及び第二の板ばねと
を更に備え、
注出動作を開始させるように前記操作部を操作すると、
前記第一の板ばねが撓んで、前記エアポンプが動作を開始すると共に、
前記第二の板ばねが撓んで、前記空気排出路を閉塞する
ことを特徴とする請求項6に記載の飲料注出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−240682(P2012−240682A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109060(P2011−109060)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(311007202)アサヒビール株式会社 (36)
【出願人】(503422284)株式会社シャンティ (3)
【Fターム(参考)】