説明

高周波信号測定器

【課題】
接続が容易で、かつ発振器の位相ノイズが位相測定誤差になることがない高周波信号測定器を提供する。
【解決手段】
局部発振信号により入力信号を周波数変換するチャンネル入力部を複数備え、各チャンネル入力部に異なる入力信号を入力し、各チャンネル入力部の出力をそれぞれ信号処理部に入力して測定を行う高周波信号測定器において、チャンネル入力部は入力信号を第1の入力とし、参照信号を第2の入力として入力信号と参照信号加算して出力する方向性結合器と、前記方向性結合器の出力を入力とし、基準信号に同期した少なくとも一つの局部発振信号を第2の入力とする中間周波数処理部と、前記中間周波数処理部の出力を入力とし、基準信号に同期したクロック発振器によりAD変換するAD変換器とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号を測定する測定器に関し、特にMIMO(Multi In Multi Out)やスマートアンテナ等の複数の高周波信号の間の位相差を測定する測定器に関するものである。なお、MIMOは複数のアンテナから同時に同じ周波数で異なった信号を送信し、受信側でそれらが混信した信号を分離するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に、例として2つの高周波信号の位相差と振幅差を測定する測定器の構成を示す。図5において、入力信号In1はチャンネル入力部10Aに、入力信号In2はチャンネル入力部10Bに、以下同様にチャンネル入力部が任意に接続され、入力信号InNはチャンネル入力部10Nに入力される。
【0003】
チャンネル入力部10Aは、中間周波数処理部11およびAD変換器17で構成される。中間周波数処理部11は、ミキサー12、15、帯域通過フィルタ(BPF)13、16、アンプ14で構成される。また、チャンネル入力部は中間処理回路21およびAD変換部(AD)27で構成され、中間周波数処理部21はミキサー22、25、帯域通過フィルタ(BPF)23、26およびアンプ24で構成される。
【0004】
ミキサー12と22には局部発振器18から局部発信信号が入力され、ミキサー15と25には局部発振器19から局部発信信号が入力される。また、AD変換器17と27にはクロック発振器28からサンプリングクロックが入力される。
【0005】
入力信号In1はミキサー12で第1中間周波数に変換され、BPF13で帯域外の周波数成分が除去された後、アンプ14で増幅される。そして、ミキサー15で第2中間周波数に変換され、BPF16で帯域外周波数成分が除去された後、AD変換器17でデジタル信号に変換される。
【0006】
入力信号In2〜InNも同様の処理が行われる。すなわち、ミキサー22で第1中間周波数に変換され、BPF23で帯域外の周波数成分が除去された後、アンプ24で増幅される。そして、ミキサー25で第2中間周波数に変換され、BPF26で帯域外周波数成分が除去された後、AD変換器27でデジタル信号に変換される。
【0007】
チャンネル入力部10とチャンネル入力部20の出力は信号処理回路29に入力される。信号処理回路29は入力された2つの信号の振幅および位相差を測定する。この構成では局部発振器18、19およびクロック発振器28を各入力チャンネルで共用しているので、入力信号In1〜InNの位相差がデジタル信号に変換された後も保存されるという特徴がある。
【0008】
図6に他の測定器の構成を示す。なお、図5と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。また、位相差を測定する原理は図5と同じなので、説明を省略する。図6の構成では、チャンネル入力部20Aには局部発振器31、32およびクロック発振器33が、チャンネル入力部20Bには局部発振器41、42およびクロック発振器43が、以下同様に、局部発振器とクロック発振器がチャンネル入力部20N迄の接続される各チャンネル入力部に内蔵される。
【0009】
ミキサー12には局部発振器31が、ミキサー15には局部発振器32が、AD変換器17にはクロック発振器33が接続される。同様に、ミキサー22には局部発振器41が、ミキサー25には局部発振器42が、AD変換器27にはクロック発振器43が接続され、以下同様に、局部発振器とクロック発振器がミキサー及びAD変換器に接続される。これらの局部発振器およびクロック発振器には基準クロック発振器34から基準クロックが与えられる。これらの局部発振器およびクロック発振器はこの基準クロック34に位相同期した信号を出力する。
【0010】
なお、図5及び図6のチャンネル入力部10A、20A、チャンネル入力部10B、20B、・・・・は別々の筐体に納められて通常は単一入力の入力部として用いられ、位相差測定のような複数チャンネルを要する測定の場合のみ共通の局部発信信号やサンプリングクロックを与えて測定する場合もある。
【0011】
【特許文献1】特開平3−94178号公報
【0012】
特許文献1には、ケーブルに接続された信号検出器側入力信号レベル上昇に伴って増幅率が低下する可変利得前置増幅器が用いられ、説続ケーブル伝送時に雑音が混入してSN比が低下するのを防止するために寄与する許容レベルを引き下げることにより、測定装置全体としての被測定信号における許容測定範囲を大幅に広げることができ、測定ダイナミックレンジの拡大および測定精度および感度を向上する高周波信号測定装置が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、このような測定器には、次のような課題があった。図5の測定器は、入力信号の位相差が信号処理回路29の入口まで保存されるという長所はあるが、チャンネル間で局部発信信号とサンプリングクロックを共通にする必要がある。そのため、(ミキサーの数+AD変換器の数)×チャンネル数の共通配線が必要になり、配線が困難になるという課題があった。
【0014】
特に、チャンネル入力部毎に筐体を別する構成の場合は、各入力部の間に多くの配線が必要になり、実現が難しいという課題があった。
【0015】
図6の構成は、各チャンネル入力部間で共有される信号は基準クロックのみであるので接続が容易になるという特徴があるが、各チャンネル入力部毎に発振器を内蔵しているので、これらの発振器の位相ノイズがチャンネル間の位相測定誤差になって表れ、測定精度が低下してしまうという課題があった。
【0016】
従って本発明の目的は、接続が容易で、かつ発振器の位相ノイズが位相測定誤差になることがない高周波信号測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような課題を達成するために、請求項1記載の発明は、局部発振信号により入力信号を周波数変換するチャンネル入力部を複数備え、各チャンネル入力部に異なる入力信号を入力し、各チャンネル入力部の出力をそれぞれ信号処理部に入力して測定を行う高周波信号測定器において、チャンネル入力部は入力信号を第1の入力とし、参照信号を第2の入力として入力信号と参照信号加算して出力する方向性結合器と、前記方向性結合器の出力を入力とし、基準信号に同期した少なくとも一つの局部発振信号を第2の入力とする中間周波数処理部と、前記中間周波数処理部の出力を入力とし、基準信号に同期したクロック発振器によりAD変換するAD変換器とを備える。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記信号処理部は、前記チャンネル入力部の出力をそれぞれ入力し、各前記入力信号と前記参照信号を分離する複数の帯域分離フィルタと、前記帯域分離フィルタが分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定する位相/時間差測定回路と、前記帯域分離フィルタが分離した少なくとも一つの入力信号と前記位相/時間差測定回路の出力を入力とし、この信号を位相変調および時間軸補正する補正回路と、前記補正回路の出力または、前記帯域分離フィルタが分離した入力信号と前記補正回路の出力を入力とし、これらの信号の位相差を測定する信号処理回路とを備える。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記信号処理部は、前記チャンネル入力部の出力をそれぞれ入力し、各前記入力信号と前記参照信号を分離する複数の帯域分離フィルタと、前記帯域分離フィルタが分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定する位相/時間差測定回路と、前記帯域分離フィルタが分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定するとともに、この測定結果を前記局部発振器または前記クロック発振器の少なくとも1つを位相変調するとともに入力信号の時間軸補正を行う位相/時間差測定回路と、前記帯域分離フィルタが分離した少なくとも一つの入力信号と前記位相/時間差測定回路の出力を入力とし、この信号を位相変調および時間軸補正する補正回路と、前記補正回路の出力または、前記帯域分離フィルタが分離した入力信号と前記補正回路の出力を入力とし、これらの信号の位相差を測定する信号処理回路とを備える。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3記載の発明において、前記参照信号の周波数帯域を、前記第1および第2の入力信号の帯域外に設定したことを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4記載の発明において、前記参照信号として、周波数の異なる少なくとも2つの正弦波を用いることを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4記載の発明において、前記参照信号として、AM変調信号を用いることを特徴とする。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項4記載の発明において、前記参照信号としてスペクトラム拡散された信号を用い、前記信号処理部は、前記チャンネル入力部の出力をそれぞれ入力し、各前記入力信号を逆拡散して前記参照信号を分離する複数の逆拡散器と、前記逆拡散器が分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定する位相/時間差測定回路と、前記帯域分離フィルタが分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定する位相/時間差測定回路と、前記帯域分離フィルタが分離した少なくとも一つの入力信号と前記位相/時間差測定回路の出力を入力とし、この信号を位相変調および時間軸補正する補正回路と、前記補正回路の出力または、前記帯域分離フィルタが分離した入力信号と前記補正回路の出力を入力とし、これらの信号の位相差を測定する信号処理回路とを備える。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項6記載の発明において、前記中間周波数処理部は、入力された信号を中間周波数に変換し、この中間周波数信号から帯域外の周波数成分を除去する操作を少なくとも2回行うようにしたことを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至請求項8記載の発明において、前記入力信号と前記参照信号を信号合成器で加算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数の入力信号に同じ参照信号を加算し、中間周波数に変換して帯域外の周波数成分を除去した後参照信号を分離して、この参照信号を用いて測定回路で発生する位相差及び時間差を測定して、これをキャンセルするようにした。
【0027】
中間周波数に変換するミキサーに局部発信信号を供給する局部発振器やAD変換器にサンプリングクロックを供給するクロック発振器の位相ノイズをキャンセルすることができる。このため、チャンネルの入力部毎にこれらの発振器を搭載しても、測定精度が低下しないという効果がある。
【0028】
また、各チャンネルの入力部で共通な信号は参照信号と基準クロックのみなので、チャンネル間の接続が容易になるという効果もある。さらに、各発振器の位相ノイズだけでなく、信号を増幅するアンプやBPFによって発生する位相差をもキャンセルできるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は本発明に係る高周波測定器の一実施例を示す構成図である。なお、図5又は図6と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図1において、50はチャンネル入力部であり、方向性結合器51,中間周波数処理部11、AD変換器17、局部発振器31、32およびクロック発振器33で構成されている。34は基準クロック発振器であり、局部発振器31、32およびクロック発振器33に基準クロックを供給する。71は参照信号発生器であり、参照信号を方向性結合器51に供給する。
【0030】
入力信号In1は方向性結合器51に入力される。入力信号In1と参照信号発生器71から供給された参照信号は方向性結合器51で加算され、中間周波数処理部11に出力される。中間周波数処理部11の出力はAD変換器17でデジタル信号に変換される。
【0031】
60はチャンネル入力部であり、方向性結合器61,中間周波数処理部21、AD変換器27、局部発振器41、42およびクロック発振器43で構成されている。局部発振器41、42およびクロック発振器43には基準クロック発振器34から基準クロックが供給され、方向性結合器61には参照信号発生器71から参照信号が供給される。以下、同様の構成によるチャンネル入力部が、入力信号InNを入力するチャンネル入力部70まで任意に複数接続される。
【0032】
80は信号処理部であり、帯域分離フィルタ81〜82N、位相/時間差測定回路83、補正回路84および信号処理回路85で構成される。
【0033】
帯域分離フィルタ81には、AD変換器17の出力が入力され、方向性結合器51で加算された入力信号In1と参照信号を分離して出力する。帯域分離フィルタ82Aには、AD変換器27の出力が入力され、方向性結合器61で加算された入力信号In2と参照信号を分離して出力する。以下同様に、チャンネル入力部70までの各チャンネル入力部において、それぞれ図示を省略した帯域分離フィルタに各AD変換器の出力が入力され、方向性結合器で加算された入力信号と参照信号を分離して出力する。
【0034】
位相/時間差測定回路83には、帯域分離フィルタ81〜82Nで分離された参照信号が入力され、これらの参照信号の位相差及び時間差を測定して出力する。この位相差及び時間差は、チャンネル入力部50〜70で発生した位相の差及び各チャンネル間の伝搬時間の差を表している。この位相差は、各チャンネル入力部に設けられている局部発振器31、32、41、42・・・・およびクロック発振器33、43・・・・の位相ノイズによって発生する。
【0035】
補正回路84A〜84Nには位相/時間差測定回路83の出力および帯域分離フィルタ82A〜82Nで分離された入力信号In2〜InNが入力される。補正回路84A〜84Nは、位相/時間差測定回路83の位相差測定出力によって、帯域分離フィルタ82A〜82Nで分離された入力信号In2〜InNに位相変調をかけ、各チャンネル入力部で発生する位相差をキャンセルする。同時に、位相/時間差測定回路83の時間差測定出力により、帯域分離フィルタ82A〜82Nで分離された入力信号In2〜InNに時間進みまたは遅れを付加し、入力部で発生する時間差をキャンセルする。
【0036】
信号処理回路85は帯域分離フィルタ81で分離された補正回路84の出力および他のチャンネル入力部からの入力信号In2を除いた入力信号が入力される。信号処理回路85は、入力された信号の位相差を演算して出力する。
【0037】
すなわち、位相差を求める入力信号に同じ参照信号を加算し、これらの加算信号をそれぞれ中間周波数に落として処理した後、デジタル信号に変換する。このデジタル信号から参照信号を分離してその位相差及び時間差を求め、分離した入力信号の一方をこの位相差信号で逆位相変調して位相差をキャンセルし、さらに時間差信号で逆の時間進み、遅れを付加して時間差をキャンセルした後、この補正した信号と分離した他方の入力信号の位相差を求める。
【0038】
各チャンネル入力部で発生する位相差を参照信号で測定し、この位相差をキャンセルするようにしたので、各チャンネル入力部に異なった発振器を用いても、これらの発振器出力の位相ノイズが測定誤差に表れることがなくなる。
【0039】
なお、この実施例では、中間周波数処理部11、21はミキサーとBPFの組を2組有した2段構成になっているが、1段のみあるいは3段以上の構成とすることもできる。3段以上にする場合、各々のミキサーには局部発振器が接続され、これらの局部発振器には基準クロック発生器34から基準クロックが供給される。
【0040】
また、図1の実施例では帯域分離フィルタ82Aで分離した入力信号In2を補正回路84に入力するようにしたが、他の帯域分離フィルタが分離した入力信号を入力するようにしても良い。例えば、帯域分離フィルタ81が分離した入力信号In1を入力するようにした場合、信号処理回路85には補正回路84の出力と分離された入力信号In1を除いた他の入力信号とが入力される。また、BPF81で分離した入力信号In1とBPF82Aで分離した入力信号In2の両方で補正回路84に入力するようにしても良い。この場合、信号処理回路85には補正回路84の出力が入力される。
【0041】
図2に、参照信号として周波数の異なる2つの正弦波を用いた場合の、方向性結合器51、61の出力スペクトルを示す。図2において、Aは入力信号のスペクトル、Bは参照信号のスペクトルである。このように、参照信号の帯域を入力信号の帯域の帯域外とすることにより、容易に帯域分離フィルタ81〜82Nで参照信号を分離することができる。なお、図2では参照信号の帯域Bを入力信号の帯域Aより高く設定したが、低く設定してもよい。要は、入力信号と参照信号の帯域が重ならないようにすればよい。また、参照信号は必ずしも正弦波でなくてもよい。
【0042】
図3に本発明の他の実施例を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図3において、チャンネル入力部50の53はクロック発振器であり、基準クロック発生器34の出力である基準クロックが入力され、この基準クロックに位相同期したサンプリングクロックをAD変換器17に出力する。また、このクロック発振器53は、外部から位相変調をかけることができるようになっている。
【0043】
この実施例では、位相/時間差測定回路83の位相差測定出力でクロック発振器53A〜53Nの出力に逆の位相変調をかけ、チャンネル入力部60とその他のチャンネル入力部で発生する位相差をキャンセルする。また、帯域分離フィルタ82A〜82Nで分離した入力信号In2〜InNを補正回路84A〜84Nに入力する。このようにすると、補正回路84A〜84Nの中に位相変調器が不要になる。
【0044】
なお、この実施例ではクロック発振器53の出力クロックを位相変調するようにしたが、クロック発振器43あるいは局部発振器31、32、41、42出力に位相変調をかけるようにしてもよい。
【0045】
図4に更に他の実施例を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図4において、72はスペクトラム拡散された参照信号を出力する参照信号発生器であり、その出力は方向性結合器51、61・・・・に入力される。方向性結合器51は入力信号In1と参照信号発生器72の出力を加算して、中間周波数処理部11に出力する。また、方向性結合器61は入力信号In2と参照信号発生器72の出力を加算して、中間周波数処理部21に出力する。同様に、チャンネル入力部70までの任意に接続されたチャンネル入力部に備えられている図示を省略した方向性結合器は入力信号と参照信号発生器72の出力を加算して、中間周波数処理部に出力する。
【0046】
86〜87Nは逆拡散器であり、それぞれAD変換器17、27・・・・の出力が入力される。逆拡散器86〜87Nは入力された信号を逆拡散し、参照信号と入力信号を分離する。このようにすると、入力信号と参照信号として、同じ周波数帯域の信号を用いることができる。
【0047】
なお、図4実施例では位相/時間差測定回路83の出力を補正回路84に入力し、分離した入力信号を位相変調するようにしたが、図3の実施例のように、ミキサーに局部発振信号を供給する局部発振器、あるいはAD変換器にサンプリングクロックを供給するクロック発振器の出力を位相変調するようにしてもよい。
【0048】
また、これらの実施例では2つの入力信号の位相差を求めるようにしたが、入力信号の数を3以上とし、これらの信号相互間の位相差を求めるようにしてもよい。この場合、全ての入力信号に同じ参照信号を加算し、帯域分離フィルタ/逆拡散器で参照信号を分離し、この参照信号から各チャンネル入力部で発生する位相差及び時間差を求め、入力信号の位相差及び時間差を補正すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】入力信号と参照信号のスペクトルを表す特性図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図5】従来の高周波信号測定器の構成図である。
【図6】従来の高周波信号測定器の構成図である。
【符号の説明】
【0050】
10A〜10N チャンネル入力部
20A〜20N チャンネル入力部
50、60、70 チャンネル入力部
51、61 方向性結合器
11、21 中間周波数処理部
17、27 AD変換器
31、32、41、42 局部発振器
33、43、53A〜53N クロック発振器
34 基準クロック発振器
71、72 参照信号発生器
80 信号処理部
81、82A〜82N 帯域分離フィルタ
83 位相/時間差測定回路
84A〜84N 補正回路
85 信号処理回路
86、87A、87N 逆拡散器
In1〜InN 入力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部発振信号により入力信号を周波数変換するチャンネル入力部を複数備え、各チャンネル入力部に異なる入力信号を入力し、各チャンネル入力部の出力をそれぞれ信号処理部に入力して測定を行う高周波信号測定器において、
チャンネル入力部は入力信号を第1の入力とし、参照信号を第2の入力として入力信号と参照信号加算して出力する方向性結合器と、
前記方向性結合器の出力を入力とし、基準信号に同期した少なくとも一つの局部発振信号を第2の入力とする中間周波数処理部と、
前記中間周波数処理部の出力を入力とし、基準信号に同期したクロック発振器によりAD変換するAD変換器と、
を備えることを特徴とする高周波信号測定器。
【請求項2】
前記信号処理部は、
前記チャンネル入力部の出力をそれぞれ入力し、各前記入力信号と前記参照信号を分離する複数の帯域分離フィルタと、
前記帯域分離フィルタが分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定する位相/時間差測定回路と、
前記帯域分離フィルタが分離した少なくとも一つの入力信号と前記位相/時間差測定回路の出力を入力とし、この信号を位相変調および時間軸補正する補正回路と、
前記補正回路の出力または、前記帯域分離フィルタが分離した入力信号と前記補正回路の出力を入力とし、これらの信号の位相差を測定する信号処理回路と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の高周波信号測定器。
【請求項3】
前記信号処理部は、
前記チャンネル入力部の出力をそれぞれ入力し、各前記入力信号と前記参照信号を分離する複数の帯域分離フィルタと、
前記帯域分離フィルタが分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定する位相/時間差測定回路と、
前記帯域分離フィルタが分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定するとともに、この測定結果を前記局部発振器または前記クロック発振器の少なくとも1つを位相変調するとともに入力信号の時間軸補正を行う位相/時間差測定回路と、
前記帯域分離フィルタが分離した少なくとも一つの入力信号と前記位相/時間差測定回路の出力を入力とし、この信号を位相変調および時間軸補正する補正回路と、
前記補正回路の出力または、前記帯域分離フィルタが分離した入力信号と前記補正回路の出力を入力とし、これらの信号の位相差を測定する信号処理回路と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の高周波信号測定器。
【請求項4】
前記参照信号の周波数帯域を、前記第1および第2の入力信号の帯域外に設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の高周波信号測定器。
【請求項5】
前記参照信号として、周波数の異なる少なくとも2つの正弦波を用いることを特徴とする請求項1乃至4記載の高周波信号測定器。
【請求項6】
前記参照信号として、AM変調信号を用いることを特徴とする請求項1乃至4記載の高周波信号測定器。
【請求項7】
前記参照信号としてスペクトラム拡散された信号を用い、
前記信号処理部は、
前記チャンネル入力部の出力をそれぞれ入力し、各前記入力信号を逆拡散して前記参照信号を分離する複数の逆拡散器と、
前記逆拡散器が分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定する位相/時間差測定回路と、
前記帯域分離フィルタが分離した参照信号がそれぞれ入力され、前記参照信号の位相差および時間差を測定する位相/時間差測定回路と、
前記帯域分離フィルタが分離した少なくとも一つの入力信号と前記位相/時間差測定回路の出力を入力とし、この信号を位相変調および時間軸補正する補正回路と、
前記補正回路の出力または、前記帯域分離フィルタが分離した入力信号と前記補正回路の出力を入力とし、これらの信号の位相差を測定する信号処理回路と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の高周波信号測定器。
【請求項8】
前記中間周波数処理部は、入力された信号を中間周波数に変換し、この中間周波数信号から帯域外の周波数成分を除去する操作を少なくとも2回行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の高周波信号測定器。
【請求項9】
前記入力信号と前記参照信号を信号合成器で加算することを特徴とする請求項1乃至請求項8記載の高周波信号測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−300804(P2006−300804A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124676(P2005−124676)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】