説明

高圧手動ポンプユニット

【課題】手動ポンプを用いた場合において、所定の吐出容量と、高圧の吐出圧力とを得ることが可能な構造を備える、高圧手動ポンプユニットを提供する。
【解決手段】第1手動ポンプ103を用いて手動により手押しハンドル103hを用いて逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域を満たす。その後、第2手動ポンプ112を用いて、逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域に原水をさらに吐出する。第2手動ポンプ112は、第1手動ポンプ103による原水の吐出圧力よりも高い手動ポンプが用いられていることから、第1手動ポンプ103を用いて逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域に原水を吐出できない場合であっても、第2手動ポンプ112の手押しハンドル112hは可動し、逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域に高圧の原水を吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動ポンプユニットに関し、より特定的には、取水した原水を高圧状態にして吐出する高圧手動ポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧の注水を要する試験設備、浄水器(逆浸透膜浄水装置等)、水栓器具の高圧試験においては、ポンプにより取水した原水を高圧状態にして、設備等に送り込む必要がある。高圧状態を得る場合には、吐出圧力に加え吐出容量も必要となる。したがって、通常動力を用いたポンプが用いられており、手動によるポンプは存在していない。
【0003】
なお、本願に係る発明についての背景技術を、出願人の知得した一般的技術情報に基づいて説明したが、出願人の記憶する範囲において、本願の出願前までに先行技術文献情報として開示すべき情報を出願人は有しておらず、かつ、本願に先行する出願人自身の特許出願等についても認識していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、手動ポンプを用いた場合において、所定の吐出容量と、高圧の吐出圧力とを得ることが可能な構造を備える、高圧手動ポンプユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る高圧手動ポンプユニットにおいては、原水を取り込む取水口と、上記取水口が一端側に連結される第1水路と、上記第1水路の他端側に連結される第1手動ポンプと、上記第1手動ポンプの吐出側にその一端側が連結される第2水路と、上記第2水路の他端側に設けられ、原水を吐出する吐出口と、上記第1水路から分岐する第3水路と、上記第3水路の他端側に連結される第2手動ポンプと、上記第2手動ポンプの吐出側にその一端側が連結され、その他端側が上記第2水路に合流する第4水路とを備えている。
【0006】
また、上記第2水路の途中領域には、上記第1手動ポンプから上記吐出口へ向かう方向の原水の流れを許容し、その逆の方向の原水の流れを禁止する第1逆止弁が設けられ、上記第4水路の途中領域には、上記第2手動ポンプから上記吐出口へ向かう方向の原水の流れを許容し、その逆の方向の原水の流れを禁止する第2逆止弁が設けられている。
【0007】
また、上記第1手動ポンプおよび上記第2手動ポンプには、上記第1手動ポンプによる原水の吐出量が、上記第2手動ポンプによる原水の吐出量よりも多く、上記第2手動ポンプによる原水の吐出圧力は、上記第1手動ポンプによる原水の吐出圧力よりも高い手動ポンプがそれぞれ用いられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る高圧手動ポンプユニットによれば、吐出口に試験設備、浄水器(逆浸透膜浄水装置等)、水栓器具の高圧試験等の設備を連結した状態において、まず、第1手動ポンプを用いて手動により手押しハンドルを用いて設備側の貯水領域を満たす。
【0009】
第1手動ポンプは、第2手動ポンプに比べて吐出量が多い手動ポンプが用いられていることから、迅速に設備側の貯水領域を満たすことができる。設備側の貯水領域が満たされた場合には、第1手動ポンプの手押しハンドルは動かなくなる。また、吐出口側の第2水路および第4水路には、それぞれ第1逆止弁および第2逆止弁が設けられていることから、設備側の貯水領域からの原水が、第1手動ポンプおよび第2手動ポンプに逆流することはない。
【0010】
次に、第2手動ポンプを用いて、設備側のタンク等の貯水領域に原水をさらに吐出する。第2手動ポンプは、第1手動ポンプによる原水の吐出圧力よりも高い手動ポンプが用いられていることから、第1手動ポンプを用いて設備側の貯水領域に原水を吐出できない場合であっても、第2手動ポンプを用いて設備側の貯水領域に原水を吐出することができる。その結果、設備側の貯水領域に高圧の原水を吐出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1における高圧手動ポンプユニットの回路図である。
【図2】実施の形態2における高圧手動ポンプユニットの回路図である。
【図3】実施の形態2における高圧手動ポンプユニットの概観構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0013】
また、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。
【0014】
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明に基づいた実施の形態1における高圧手動ポンプユニット1について説明する。この高圧手動ポンプユニット1は、後述の吐出口116を逆浸透膜浄水装置200に連結して、逆浸透膜浄水装置200に高圧(約70MPa)の原水を送り込むことを目的としている。なお、図1は、実施の形態1における高圧手動ポンプユニット1の回路図である。
【0015】
高圧手動ポンプユニット1は、原水を取り込む取水口101を有し、この取水口101には、第1水路102の一端側が連結されている。第1水路102の他端側には、第1手動ポンプ103が連結されている。この第1手動ポンプ103の吐出側には、第2水路104の一端側が連結されている。
【0016】
第2水路104の他端側には、原水を吐出する吐出口116が設けられ、この吐出口116には、逆浸透膜浄水装置200が連結されている。また、第2水路104の途中領域には、第1手動ポンプ103から吐出口116へ向かう方向の原水の流れを許容し、その逆の方向の原水の流れを禁止する第1逆止弁105が設けられている。
【0017】
一方、第1水路102の分岐点D1には、第1水路102から分岐する第3水路111の一端側が連結され、この第3水路111の他端側には第2手動ポンプ112が連結されている。また、この第2手動ポンプ112の吐出側には、第4水路113の一端側が連結されている。
【0018】
第4水路113の他端側は、第2水路104の合流ポイントD2に連結されている。また、第4水路113の途中領域には、第2手動ポンプ112から吐出口116へ向かう方向の原水の流れを許容し、その逆の方向の原水の流れを禁止する第2逆止弁114が設けられている。
【0019】
次に、上記高圧手動ポンプユニット1に用いられる第1手動ポンプ103および第2手動ポンプ112について説明する。第1手動ポンプ103および第2手動ポンプ112には、第1手動ポンプ103による原水の吐出量が、第2手動ポンプ112による原水の吐出量よりも多く、第2手動ポンプ112による原水の吐出圧力は、第1手動ポンプ103による原水の吐出圧力よりも高い手動ポンプがそれぞれ用いられている。
【0020】
具体的には、逆浸透膜浄水装置200のメンブレンモジュールの大きさが、直径約5cm〜約10cm、長さが約30cm〜約100cm程度の場合、第1手動ポンプ103に求められる原水の吐出圧力は約0.5Mpa、原水の吐出量は約150cm/ストロークである。一方、第2手動ポンプ112求められる原水の吐出圧力は約70Mpa、原水の吐出量は約2〜3cm/ストロークである。
【0021】
(作用・効果)
上記構成からなる高圧手動ポンプユニット1によれば、吐出口116に逆浸透膜浄水装置200を連結した状態において、まず、第1手動ポンプ103を用いて手動により手押しハンドル103hを上下させて逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域を満たす。
【0022】
第1手動ポンプ103は、第2手動ポンプ112に比べて吐出量が多い手動ポンプが用いられていることから、迅速に逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域を満たすことができる。逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域が満たされた場合には、第1手動ポンプ103の手押しハンドル103hは動かなく(重く)なる。
【0023】
なお、吐出口側の第2水路104および第4水路113には、それぞれ第1逆止弁105および第2逆止弁114が設けられていることから、逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域からの原水が、第1手動ポンプ103および第2手動ポンプ112に逆流することはない。
【0024】
次に、第2手動ポンプ112を用いて、逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域に原水をさらに吐出する。第2手動ポンプ112は、第1手動ポンプ103による原水の吐出圧力よりも高い手動ポンプが用いられていることから、第1手動ポンプ103を用いて逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域に原水を吐出できない場合であっても、第2手動ポンプ112の手押しハンドル112hは可動し、逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域に原水を吐出することができる。その結果、逆浸透膜浄水装置200側の貯水領域に高圧の原水を吐出することが可能となる。
【0025】
このようにして、本実施の形態おける高圧手動ポンプユニット1を用いて取水した原水を逆浸透膜浄水装置200に吐出することで、原水の逆浸透膜浄水装置200による濾過が可能となる。その結果、災害時等動力を用いることができない状況下においても、人力により、海水の真水への濾過、汚泥水の真水への濾過が可能となる。
【0026】
なお、本実施の形態において、第1手動ポンプ103に要求される吐出量、および第2手動ポンプ112に要求される吐出圧は、逆浸透膜浄水装置200側において原水を濾過するために要求されるパラメータであることから、逆浸透膜浄水装置200側の仕様に応じて、第1手動ポンプ103および第2手動ポンプ112の仕様は決定されるものである。
【0027】
(実施の形態2)
次に、図2を参照して、本発明に基づいた実施の形態2における高圧手動ポンプユニット1Aについて説明する。なお、図2は、実施の形態2における高圧手動ポンプユニット1Aの回路図である。
【0028】
この高圧手動ポンプユニット1Aの基本的構成は、上記実施の形態1における高圧手動ポンプユニット1と同じであり、相違点は、第1水路102にフィルタ部材が設けられている点、および、第3水路111において第2手動ポンプ112に並列にパイロット弁142が設けられている点にある。
【0029】
フィルタ部材は、原水に含まれる異物を原水から取り除くことを目的し、取水口101と分岐点D1との間の第1水路102の取水口101側に第1フィルタ部材131が設けられ、分岐点D1側に第2フィルタ部材132が設けられている。
【0030】
第2フィルタ部材132は、第1フィルタ部材131により取り除かれる異物よりも細かい異物を原水から取り除くことを目的としており、たとえば、第1フィルタ部材131には、メッシュフィルタが採用され、第2フィルタ部材132には、セディメントフィルタが採用される。
【0031】
また、パイロット弁142は、第4水路(113)の水圧が所定圧力以上の値になった場合に、水圧を第3水路111側に逃がすために設けられる。
【0032】
図3に、実施の形態における高圧手動ポンプユニット1Aの概観構成を示す。第1水路102の取水口101には、第1フィルタ部材131として、目の粗さが150メッシュの金網が取り付けられている。また、第1水路102と本体装置150との間には、第2フィルタ部材132として、目の粗さが5μm〜10μm程度の、円筒形状のセディメントフィルタが設けられている。本体装置150には、手押しハンドル151が設けられ、手押しハンドル151を操作することで、取水口101から原水が本体装置150内部に取り込まれる。
【0033】
本体装置150内部には、第1手動ポンプ103および第2手動ポンプ112を含む、図2に示す点線で囲まれたユニットが組み込まれており、一つの手押しハンドル151の操作により、最初に第1手動ポンプ103が可動し、その後、第2手動ポンプ112が可動する構成が採用されている。
【0034】
(作用・効果)
上記構成からなる高圧手動ポンプユニット1Aによっても、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。さらに、第1フィルタ部材131および第2フィルタ部材132を設けることで、原水(汚水等)に含まれる異物のポンプへの混入を防ぐことで、ポンプの故障を防止することができる。また、パイロット弁142を設けておくことで、ポンプ回路の破損を未然に防止することが可能となる。
【0035】
なお、上記各実施の形態においては、高圧手動ポンプユニット1,1Aに、高圧の吐出水を必要とする逆浸透膜浄水装置を連結する場合について説明したが、逆浸透膜浄水装置に限定されるものでなく、設備側のタンク等の貯水領域に高圧の原水を吐出する必要がある装置に対して、本発明に基づく高圧手動ポンプユニットを適用することが可能である。たとえば、水栓器具の高圧試験に本発明に基づく高圧手動ポンプユニットを適用した場合には、手動により高圧状態が得ることができるため、高水圧の微調整を容易に実現させることができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 高圧手動ポンプユニット、101 取水口、102 第1水路、103 第1手動ポンプ、104 第2水路、105 第1逆止弁、111 第3水路、112 第2手動ポンプ、113 第4水路、114 第2逆止弁、116 吐出口、131 第1フィルタ部材、132 第2フィルタ部材、142 パイロット弁、151 手押しハンドル、200 逆浸透膜浄水装置、D1 分岐点、D2 合流ポイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を取り込む取水口(101)と、
前記取水口(101)が一端側に連結される第1水路(102)と、
前記第1水路(102)の他端側に連結される第1手動ポンプ(103)と、
前記第1手動ポンプ(103)の吐出側にその一端側が連結される第2水路(104)と、
前記第2水路(104)の他端側に設けられ、原水を吐出する吐出口(116)と、
前記第1水路(102)から分岐する第3水路(111)と、
前記第3水路(111)の他端側に連結される第2手動ポンプ(112)と、
前記第2手動ポンプ(103)の吐出側にその一端側が連結され、その他端側が前記第2水路(104)に合流する第4水路(113)と、を備え、
前記第2水路(104)の途中領域には、前記第1手動ポンプ(103)から前記吐出口(116)へ向かう方向の原水の流れを許容し、その逆の方向の原水の流れを禁止する第1逆止弁(105)が設けられ、
前記第4水路(113)の途中領域には、前記第2手動ポンプ(112)から前記吐出口(116)へ向かう方向の原水の流れを許容し、その逆の方向の原水の流れを禁止する第2逆止弁(114)が設けられ、
前記第1手動ポンプ(103)および前記第2手動ポンプ(112)には、前記第1手動ポンプ(103)による原水の吐出量が、前記第2手動ポンプ(112)による原水の吐出量よりも多く、前記第2手動ポンプ(112)による原水の吐出圧力は、前記第1手動ポンプ(103)による原水の吐出圧力よりも高い手動ポンプがそれぞれ用いられる、高圧手動ポンプユニット。
【請求項2】
前記第1手動ポンプ(103)は、ダイヤフラムポンプまたはギヤポンプであり、
前記第2手動ポンプ(112)は、ピストンポンプまたはプランジャポンプである、請求項1に記載の高圧手動ポンプユニット。
【請求項3】
前記取水口(101)と前記第1水路(102)の前記第3水路(111)の分岐点(D1)との間の前記第1水路(102)には、原水に含まれる異物を原水から取り除くためのフィルタ部材(131,132)がさらに設けられる、請求項1または2に記載の高圧手動ポンプユニット。
【請求項4】
前記フィルタ部材は、前記取水口(101)側に設けられる第1フィルタ部材(131)と、前記分岐点(D1)側に設けられ、前記第1フィルタ部材(131)により取り除かれる異物よりも細かい異物を原水から取り除くための第2フィルタ部材(132)とを含む、請求項3に記載の高圧手動ポンプユニット。
【請求項5】
前記第3水路(111)と前記第4水路(113)との間において、前記第2手動ポンプ(112)に並列に配置され、前記第3水路(111)の水圧が所定圧力以上の値になった場合に、水圧を前記第3水路(111)側に逃がすためのパイロット弁(142)がさらに設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の高圧手動ポンプユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−185418(P2010−185418A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31193(P2009−31193)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(500460771)
【Fターム(参考)】