説明

高層階の建築現場における作業用車両管理システム及び管理プログラム並びに管理方法

【課題】 高層階の建築現場に配車し作業用車両がどのフロアに所在するのが、又は各作業用車両のバッテリ残容量状況を効率的に把握するのが困難であることと、さらに、高層建築現場作業担当が建築現場の各フロアごとに探しまわって作業用車両を探し出し、点検確認しなければならず、作業が非効率であるという課題があった。
【解決手段】高層階の建築作業現場の各フロアで作業する作業用車両を通信手段を介して管理するシステムにおいて、
各フロアの出入口近傍に備えた各ID情報を有する非接触型受発信手段と、
作業用車両に備えた該IDの非接触型受発信手段とのデータ送受信手段と、通信受段と、
作業用車両管理手段と、
前記作業用車両に備えた通信手段を介してサーバとのデータを送受信することにより、高層階の建築現場における各作業用車両の所在位置及び各作業用車両を管理することを特徴とする
【代表図】図1

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、高層建築現場の昇降リフト又はエレベーターで各フロアへ搬送される複数台の作業車(作業用車両)の管理に関し、高層建築現場のビル内に200台以上の作業車が配車された場合に、それら各管理作業車がどのフロアのどの場所に所在するかの確認、及び各作業用車両のバッテリの残容量を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
【0003】
特許文献1は、百貨店の正面玄関もしくは裏玄関、百貨店内のエレベータ、もしくはエスカレータの出入口において顧客が所持するカード内部に、CPU・メモリ機能を有するIC、ループアンテナ等を内蔵し、ICのメモリ機能部に顧客のID等が記憶される構成と、外部の情報読取アンテナ側から発信された高周波信号を内蔵のループアンテナで受信し、IC内蔵のループアンテナと外部の情報読取アンテナとの間で無線通信が行われ、無線通信によりメモリ内のID等が情報読取アンテナで読み取られる発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2は、電気自動車のバッテリの残量の検出する方法としては、電気自動車の走行時にバッテリ電圧および放電電流を測定し、計算により得られた電力を加減・積算するようにしたもの、及び、「電気自動車のバッテリ残量検出装置」として、バッテリを定電流で放電または充電を行うと、放、充電電位はバッテリの放電深度(DOD)に対して相関関係を利用した、バッテリ残量の検出を行う発明が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−187060号公報
【特許文献2】特開平6−284503号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高層階の建築現場の作業用車両は、ビルの1フロアに10台以上の作業用車両が配車し、例えば20階の高層ビルの場合は、建築現場のビル内に200台以上の作業用車両が配車され、本発明はそれら各作業用車両がどのフロアに所在するのか、又は各作業用車両のバッテリ残容量状況を効率的に把握するのが困難であるという問題があった。このような場合は、現場作業担当が建築現場の各フロアごとに各作業用車両を探し出し点検確認する必要があり非効率であった。他方、建設現場の各種作業で使われる車両等の多くはリース若しくはレンタル車両が多いことから、建築現場のビル内には同業他社の作業用車両が混在している。そのような中、それぞれの作業用車両はあるフロアの作業が終了すると、他のフロアへ移動して作業することが多く、自社の作業用車両がどこに所在するのかを容易に確認し難い問題がある。特に、建築作業現場が間仕切りされて見通しが悪いような場合は、作業用車両の所在を確認するのが、さらに困難になる問題があった。
【0007】
このような状況において、例えば、一人乗りバッテリ駆動電気作業用車両のバッテリが充電切れを起こした場合に、その電気作業用車両を所在場所、迅速に探し出すことが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
【0009】
請求項1は、高層階の建築作業現場の各フロアで作業する作業用車両を通信手段を介して管理するシステムにおいて、各フロアの出入口近傍に備えた各ID情報を有する非接触型受発信手段と、作業用車両に備えた該IDの非接触型受発信手段とのデータ送受信手段と、通信受段と、作業用車両管理手段と、前記作業用車両に備えた通信手段を介してサーバとのデータを送受信することにより、高層階の建築現場における各作業用車両の所在位置及び各作業用車両を管理することを特徴とする。
【0010】
請求項2は、作業用車両に備えたデータ送受信手段を赤外線センサーとし、各フロアの出入口近傍に備えた各ID情報を有する非接触型受発信手段における各ID情報を判読することを特徴とする。
【0011】
請求項3は、請求項1の作業車両管理手段を、処理装置と、非接触型ID受発信データ判読装置と、作業車両のバッテリ残量検出センサと、無線LAN装置としたことを特徴とする。
【0012】
請求項4は、各フロアの出入口近傍に各ID情報を備えた該IDの非接触型受発信手段及び作業用車両における該IDの非接触型受発信手段のいずれか一方をマスター側機能とし、他方をスレーブ側機能とし、さらに受光部を前記マスター側機能若しくはスレーブ側いずれか一方が保有し、マスター側は一定時間毎にIDを送信し、スレーブ側はマスター側が送信中は待機し、送信終了後にスレーブ側から通信手段を介してサーバへ送信を開始することを特徴とする。
【0013】
請求項5は、サーバと各作業車両とのデータの送受信を、双方向の通信としたことを特徴とする。
【0014】
請求項6は、高層階の建築作業現場における各作業車両から無線LAN及び無線LANアクセスポイントを介して送信されるデータを取り込むサーバを、高層階の建築現場における各作業車両からのデータを記録保存する手段と、該入力した各作業車両からのデータから各作業車両のID及び所在位置並びにバッテリ残量を照合検索する手段と、バッテリ残量が基準量以下の作業車両へアラームを送信する手段、として機能させることを特徴する。
【0015】
請求項7は、高層階の建築現場における各作業用車両から無線LAN及び無線LANアクセスポイントを介して送信されるデータを取り込むサーバを、高層階の建築現場における各作業用車両からのデータを入力し記憶する手段と、該入力した各作業用車両からのデータから各作業用車両のID及び所在場所並びにバッテリ残量を照合検索する手段と、バッテリ残量が基準量以下の作業用車両へアラームを送信する手段、作業用車両からサーバへ一定時間毎に自己IDを送信することによる正常動作を確認する手段、として機能させることを特徴する。
【0016】
請求項8は、高層階の建築現場における各作業用車両から無線LAN及び無線LANアクセスポイント介して送信されるデータを取り込むサーバを、設定されたIDやアラームと作業用車両のIDのデータを受信した時点で、作業用車両の所在位置を記録する手段と、前記サーバが受信したデータから、作業用車両の位置を随時更新する手段と、作業用車両からのアラームの受信により、管理担当者の携帯電話等へ該作業用車両からのメッセージを送信する手段、として機能させることを特徴とする。
【0017】
請求項9は、高層階の建築現場における各作業用車両から無線LAN及び無線LANアクセスポイントを介して送信されるデータを取り込んで作業用車両の所在場所及び作業用車両のバッテリ残量をサーバによって検索処理する方法であって、高層階の建築現場における各作業用車両からのデータをサーバへ入力し記憶するステップ、サーバが前記入力した各作業用車両のデータから各作業用車両のID及び所在場所並びにバッテリ残量を照合し検索するステップ、サーバが作業用車両のバッテリ残量が予め設定した基準容量以下であるか否かを比較するステップ、とすることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
【0019】
図1は本発明に係るシステム全体の構成を示す図である。図2は作業用車両の構成を示すブロック図である。図3は昇降用リフト及び作業現場のフロア内の平面構成を示すブロック図である。図4は本発明に係るサーバの構成を示すブロック図である。図5は作業用車両とサーバとの通信システムのブロック図である。図6及び図7は本発明に係るプログラムの動作例を示すフローチャートである。
【0020】
本発明に係るシステムは、高層建築作業中のビル内に無線LAN(Local Area Network)を構築し、無線LANアダプタをサーバに設置することにより実現できる。また、ネットワーク内にアクセスポイントを設置することによっても実現できる。サーバは、無線LAN対応のパーソナルコンピュータ(PC)であっても実現できる。
【0021】
また、パーソナルコンピュータを無線LANを用いてネットワークに接続する際には、TCP/IP設定や無線LAN設定、暗号化設定などにより実現する。無線LAN接続は無線LAN同士が接続するタイプ(ピアツーピア)と、無線基地局(アクセスポイント)を経由して接続するタイプがあり、本発明はそれらいずれのタイプでも実現できる。さらに、本発明に係るシステムは、サーバと高層建築作業現場における作業用車両及び各箇所に設置するID発信装置とのデータ通信は双方向で実現できる(図5参照)。
【0022】
図1において、図の左側は昇降用リフト1を示し、図の右側は建物の各フロアを示す。図1では、昇降用リフト1には作業用車両2が搭載され上層のフロア又は下層フロアへ移動し、到着フロアでは矢印に示すように作業用車両2が現場へ移動し作業を行うことを示す。また、図1において、Aは高層建築作業中のビル、A1はビル1の1階フロア、A2はビル1の1階フロア、A20はビル1の20階のフロアを示し、1は昇降用リフト、1Aは発信装置、2は作業用車両、2BはID受信装置、2Cは無線LANモジュールであり、3はフロアの出入り口に設置したゲート受発信装置、4はサーバである。
【0023】
また、図1は、作業用車両2(T00001)は、現在1階で作業中であることを示し、サーバ4へ現在位置とともに車両のバッテリデータが送信されたことを示している。
同様に、2階からは作業用車両2(T00311)が作業中であることを示す。さらに20階においては点線で示す作業用車両2(T00001)が1階から移動し、20階で作業中であるとともに、その情報がサーバ4へ送信されていることを示す。
【0024】
例えば、1階のフロアIDをF001とした場合は、1階のフロアに入る作業用車両2は、フロアの出入り口に設置したゲートID受発信装置3(F001)を受信する。作業用車両2は受信したフロアのID(F001)とともに自身のID(T00001)をサーバ4へ送信する。
【0025】
他方、昇降用リフト1には、昇降用リフト1内に搬入された作業用車両2に対して識別用IDを付加する発信装置1Aを取り付けるようにしてもよい。この発信装置1Aは、リフト内に搬入又は搬出された作業用車両2のID受信装置2BにID情報を付加する。
【0026】
例えば、建築作業用現場に昇降用リフト1が5台設置されている場合において、それぞれの昇降用リフト1にL01〜L05のようにIDを設定し、そのIDを発信装置1Aへ付加する。作業用車両2(T00001)が5番目の昇降用リフト1に載ったときは、作業用車両2は昇降用リフト1のID(L005)を受信し、自身のID(T00001)をサーバ4へ送信する。これにより、サーバ4は、受信したIDから5番目の昇降用リフト1で移動中であることが確認できる。
【0027】
図2において、作業用車両2は、CPU2A、ID受信装置2B、無線LANモジュール2C、車両駆動用2Fのバッテリ残存状況を読み取るセンサ2D、そして警報ブザー2G及び警報用ランプ2Hを備えている。
【0028】
図1及び図3に示すように高層建築用作業中のビルAにおける昇降用リフト1のゲート付近には昇降用リフト1からフロアに搬入された作業用車両2に識別用IDを付加する発信装置3を取り付ける。例えば、無線ICタグ(RF ID:Radio Frequency Identification)を昇降用リフト1の入口付近に備えつけてもよい。この場合、各作業用車両2にリーダー/ライターを設置する。作業用車両2に備えつけたリーダー/ライターのフィールド内に昇降用リフト1が入ると、どのフロアの昇降リフトのID(管理番号)であるかを読み取られサーバ(PC)4へ送信する。
【0029】
そして、図3に示すように、フロアがAからDゾーンに間仕切られ、フロアID発信装置3とゾーンを識別するゾーンID発信装置3A〜3Dが設置されている。例えば、無線ICタグ(RF ID)をフロアのゾーンの入口付近に備えつけた場合は、各作業用車両2に設置したリーダー/ライターのフィールド内にゾーンの入口に入ると、どのフロアのどのゾーンID(管理番号)であるかを読み取られサーバ(PC)4へ送信される。これによって、作業用車両2がどのフロアのどのゾーンにいるのか、その居場所が確認できる。
【0030】
また、作業用車両2に取り付けた作業用車両発信装置2Bには、昇降用リフト1の識別用IDが付加され、続いて昇降用リフト1のゲート付近に設置したID発信装置3のフロアのIDを付加される。逆に、フロアから昇降用リフト1へ搬出される場合は、ゲート付近のID発信装置3から作業用車両2に識別IDが付加され、乗り入れた昇降用リフト1内の発信装置1Aの識別IDが付加するようにしてもよい。また、ゾーンID発信装置3A〜3Dから作業用車両発信装置2Bにゾーンの識別IDが付加される。これにより、何階のどのゾーンからどの作業用車両2が出て、昇降用リフト1に搬送され移動しているかを認識できる。
【0031】
図4に示すように、サーバ4は、CPU41、ROM42、RAM43、外部インターフェース44、記憶装置45、通信装置46及びその他の装置を備えるデスクトップ型又はノートブック型のパーソナルコンピュータである。ROM42及び記憶装置45には本発明に係るデータを処理に必要なプログラムが記憶される。また、記憶装置45には、作業用車両2から送信されるデータが逐次記録される。
【0032】
サーバ4は、作業用車両2からの受信データを受信した日時が記録されることにより、作業用車両2の居場所と時刻が管理できる。
【0033】
サーバ4は、作業用車両コード,所属コード、エレベータ、フロアID、ゾーンID,バッテリ残存状況など作業用車両2から送信されるデータを通信装置46を介して受信し、受信した作業用車両2のデータを記憶装置45に逐次記録し保存する。
【0034】
サーバ4は、初期設定して、次の昇降機に取付けたID発信機の識別子の設定、フロアのゲートに取付けたID発信機の識別子の設定、作業用車両2に取付けたID発信機の識別子の設定、作業用車両2からの定期ID送信に対するタイムアウト時間などを設定する。
【0035】
サーバ4は、作業用車両2から受信したデータのうち、バッテリ残存状況データを予め設定したバッテリ残存量基準データと照合し、例えば、残存時間が1時間未満の作業用車両2に対してアラーム(警報)を発信できるように設定する。また、バッテリー監視装置(図示しない)を各作業用車両2に備え付け、一定の基準値以下の残存である場合にアラームが発信されるようにしてもよい。
【0036】
図5に示すように、サーバ4から作業用車両2へのアラームは、無線LANを介して作業用車両2の無線モジュール2Cへ送信し、作業用車両2のアラームランプを点滅させ現場担当者の確認を補助する。さらに、予め登録する作業担当の携帯電話5へバッテリ異常の作業用車両2の現在位置を送信する。
【0037】
本発明に係るサーバ4は管理プログラムの実行により動作し、その動作例を図6に示すフローチャートを参照し説明する。
【0038】
サーバ4は作業用車両2から送信されたサーバ4へインプットされた情報を逐次書き込み登録する(ステップS1、S2)。
【0039】
サーバ4は入力した複数の作業用車両2からのデータから各作業用車両2のID及び所在場所並びにバッテリ残量を照合検索する(ステップS3)。
【0040】
サーバ4はバッテリ残量が基準量以下であることを検出する(ステップS4)。
【0041】
サーバ4はステップS4にて基準量以下の場合(YESの場合は)、アラームを発信するステップS5。
【0042】
さらに、サーバ4からアラームを受信した作業用車両2のランプ用のスイッチをオンし、ランプ点滅させる(ステップS6)。これにより作業現場でバッテリ残量が基準量以下の作業用車両2を発見できる。
【0043】
他方、サーバ4は作業担当者の携帯電話5の電話番号を検出し、携帯電話5へ作業用車両2の所在フロアとゾーンのメールを発信する(ステップS7)。
【0044】
上記ステップ5から7の作業が終了した後は、受信データを更新保存し、データ受信作業の継続を実行する(ステップS8)。
【0045】
(第2の実施形態)
サーバ4の実施形態として、アラームが発生した場合のメール送信、携帯電話5等への通信(状態監視やアラーム送信)、作業用車両との相互通信(無線LAN等による)により、作業用車両への指示をサーバ4へのメール送信等により、作業用車両2にアラーム表示やブザー等の制御を実行できるようにする。
【0046】
そして、作業用車両の位置表示は次の動作により、サーバ4あるいは作業担当者が携行する端末装置(PDA)あるいは携帯電話5へ作業用車両2の位置を表示する。まず、作業用車両2からの無線データ受信、作業用車両2から、作業用車両2が各ID発信機1A、3、3A、3B等を通過した時点で無線によりデータ送信を行い、これをサーバ4に接続されたデータ受信装置で受取るようにする。
【0047】
さらに、作業用車両2は、自己診断により充電不足その他の不具合(操縦者の異常通報ボタン等でも可)が発生した時点で、アラームをサーバ4へ送信する。同時にアラーム表示やブザー等で、外部からの識別を可能する。サーバ4との通信が双方向(無線LAN等)の場合は、サーバ4への指示により、作業用車両2のランプ点滅表示2Hや警報ブザー2G等の制御を可能にする。
【0048】
高層建築作業ビルAの各フロアには、ネットワーク内に1箇所若しくは複数箇所にネットワークアダプタ(図示しない)を設置し、フロア階数番号及びゾーン番号を設定し、それらをサーバ4へ送信することも可能である(図3参照)。フロア内で作業用車両2が移動し、フロア内に設置したゾーンID発信装置3A〜3Dを通過すると、作業用車両2はそれらゾーンID発信装置3A〜3Dが発信する識別IDを受信し、フロアのゾーンが識別でき、作業用車両2の所在するフロアのゾーンもサーバ4へ送信される。これにより、作業管理者は携帯電話5もしくは携帯端末装置(PDA)から作業用車両2の所在位置及び車両状況を確認することもできる。
【0049】
さらに、本発明は高層建築作業ビルAの外部に存在する建設作業事務所に、無線LANと接続するサーバ(図示せず)を設置し、作業用車両2の所在フロアを監視するようにしてもよい。図5に示すように無線LAN用アクセスポイント(AP)6を複数設置して(AP1〜APn)、無線LANにより接続することも可能である。
【0050】
図4及び図5に示すように、作業用車両2からは、無線LANモジュール2B及び無線LANのアクセスポイント6を介してサーバ4へ現在の場所情報がデータとして送信される。さらに、それらのデータには、バッテリの残量状況もサーバ4へ送信される
【0051】
サーバ4に送信され取り込まれるデータは、「昇降用リフトのID、車両ID及び車両の状態のデータ」、または、「フロアゲート近傍のID、車両ID及び車両の状態のデータ」、さらに、「ゲートのID、車両ID、フロアゾーンID及び車両の状態」等の各データが組み合わせたものとして送信される。
【0052】
サーバ4の動作をさらに説明すると、サーバ4はデータの更新があった場合に複数回のデータ送信を行い、データの送信間隔を、作業用車両2のID毎に個別に設定することも可能である。これにより、片方向通信によるデータの衝突や環境によるデータの伝送不具合を防止できる。
【0053】
双方向通信の場合は、受信するデータ衝突の防止や、データ受信の確認メッセージの受信により、より確実に通信可能となる(無線LAN等の標準規格準拠IEEE802.11)。
【0054】
サーバ4は、作業用車両2に対して、表示あるいはブザー等による動作を指示し、作業担当者は、メンテナンスが終了した作業用車両2をサーバ4に登録することにより、作業用車両2を通常の管理モード(管理状態)復帰にできる。さらに、双方向通信の場合は、携帯電話5もしくは携帯端末装置(PDA)からのメールで、上記操作を行うようにすることもできる。
【0055】
作業用車両2から定期的にデータ送信を行わせることにより、作業用車両2に不具合が発生した場合は、サーバ4のデータ受信のタイムアウトを検出して作業用車両2の不具合発生を検出できる。この場合、作業用車両2から一定時間内(例えば20分間)応答が無くなった時点で不具合と判断するようにしてもよい(図7参照)。
【0056】
本発明に係る第2の実施形態でのサーバ4の管理プログラムのデータ受信のタイムアウト動作例を図7に示すフローチャートを参照し説明する。
【0057】
サーバ4は作業用車両2から送信されたサーバ4へインプットされた情報を逐次書き込み登録する(ステップS9)。
【0058】
サーバ4は入力した作業用車両2から一定時間内(例えば20分間)応答の有無を点検する(ステップS10)。
【0059】
サーバ4はステップS10で一定時間内(例えば20分間)に応答が無い場合(NO)は、アラームを発信する(ステップ11:図6に示すステップS5と同じ動作である。)。
【0060】
さらに、サーバ4からアラームを受信した作業用車両2のランプ用のスイッチをオンし、ランプ点滅させる(ステップS12:図6示すステップS6と同じ動作である。)。
【0061】
サーバ4は作業担当者の携帯電話5の電話番号又はメールアドレスを検出し、携帯電話5へ作業用車両2の所在フロアとゾーンのメールを発信する(ステップS13:図6に示すステップS7と同じ動作である。)。
【0062】
上記ステップ11から13の作業が終了した後は、受信データを更新保存し、データ受信作業の継続を実行する(図6に示すステップS8と同じ動作である。)。
【0063】
さらに、昇降用リフト1のID取得のタイミングとゲートIDの取得タイミグを各ID発信機のマスタースレーブ機能により検出することとし、昇降用リフト1やゲートに設置されたID発信機の不具合や動作不良を検出することもできる。
【0064】
昇降用リフト1のID送信をゲートID発信機からのデータを検出してから動作を開始することにより、昇降機の電源の省電力化も実現できる。
【発明の効果】
【0065】
本発明は、昇降リフト又はエレベーターにより高層建築現場に搬送され各フロアで作業する複数台の作業用車両を自動的に探し出し、建築現場の作業用車両の所在場所及びバッテリ情報等を迅速に確認でき、高層建築作業現場における安全性も提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るシステム全体の構成を示す図。
【図2】作業用車両の構成を示すブロック図。
【図3】昇降用リフト及び作業現場のフロア内の平面構成を示すブロック図。
【図4】サーバの構成を示すブロック図。

【符号の説明】
Aは高層建築作業中のビル
A1はビル1の1階フロア
A2はビル1の1階フロア
A20ビル1の20階フロア
1は昇降用リフト
1Aは発信装置
2は作業用車両
2AはCPU
2BはID受信装置
2Cは無線LANモジュール
2Dはセンサー
3はフロアゲート発信装置
4はサーバ
5は携帯電話
6はアクセスポイント(AP)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層階の建築作業現場の各フロアで作業する作業用車両を通信手段を介して管理するシステムにおいて、
各フロアの出入口近傍に備えた各ID情報を有する非接触型受発信手段と、
作業用車両に備えた該IDの非接触型受発信手段とのデータ送受信手段と、通信受段と、
作業用車両管理手段と、
前記作業用車両に備えた通信手段を介してサーバとのデータを送受信することにより、高層階の建築現場における各作業用車両の所在位置及び各作業用車両を管理することを特徴とする高層階の建築作業現場における作業用車両管理システム。
【請求項2】
請求項1の作業用車両に備えたデータ送受信手段を赤外線センサーとし、各フロアの出入口近傍に備えた各ID情報を有する非接触型受発信手段における各ID情報を判読することを特徴とする高層階の建築作業現場における作業用車両管理システム。
【請求項3】
請求項1の作業車両管理手段を、処理装置と、非接触型ID受発信データ判読装置と、作業車両のバッテリ残量検出センサと、無線LAN装置としたことを特徴とする高層階の建築作業現場における作業用車両管理システム。
【請求項4】
請求項1の各フロアの出入口近傍に各ID情報を備えた該IDの非接触型受発信手段及び作業用車両における該IDの非接触型受発信手段のいずれか一方をマスター側機能とし、他方をスレーブ側機能とし、さらに受光部を前記マスター側機能若しくはスレーブ側いずれか一方が保有し、マスター側は一定時間毎にIDを送信し、スレーブ側はマスター側が送信中は待機し、送信終了後にスレーブ側から通信手段を介してサーバへ送信を開始することを特徴とする請求項1から請求項3記載の高層階の建築作業現場における作業用車両管理システム。
【請求項5】
サーバと各作業車両とのデータの送受信を、双方向の通信としたことを特徴とする請求項1から請求項4記載の高層階の建築作業現場における作業用車両管理システム。
【請求項6】
高層階の建築作業現場における各作業車両から無線LAN及び無線LANアクセスポイントを介して送信されるデータを取り込むサーバを、
高層階の建築現場における各作業車両からのデータを記録保存する手段と、
該入力した各作業車両からのデータから各作業車両のID及び所在位置並びにバッテリ残量を照合検索する手段と、
バッテリ残量が基準置以下の作業車両へアラームを送信する手段、
として機能させるための高層階の建築作業現場における作業用車両管理プログラム。
【請求項7】
高層階の建築現場における各作業用車両から無線LAN及び無線LANアクセスポイントを介して送信されるデータを取り込むサーバを、
高層階の建築現場における各作業用車両からのデータを入力し記憶する手段と、
該入力した各作業用車両からのデータから各作業用車両のID及び所在場所並びにバッテリ残量を照合検索する手段と、
バッテリ残量が基準量以下の作業用車両へアラームを送信する手段、
作業用車両からサーバへ一定時間毎に自己IDを送信することによる正常動作を確認する手段、
として機能させるための高層階の建築作業現場における作業用車両管理プログラム。
【請求項8】
高層階の建築現場における各作業用車両から無線LAN及び無線LANアクセスポイント介して送信されるデータを取り込むサーバを、
設定されたIDやアラームと作業用車両のIDのデータを受信した時点で、作業用車両の所在位置を記録する手段と、
前記サーバが受信したデータから、作業用車両の位置を随時更新する手段と、
作業用車両からのアラームの受信により、管理担当者の携帯電話もしくは携帯端末装置へ該作業用車両からのメッセージを送信する手段として機能させるための高層建築現場の作業用車両管理プログラム。
【請求項9】
高層階の建築現場における各作業用車両から無線LAN及び無線LANアクセスポイントを介して送信されるデータを取り込んで作業用車両の所在場所及び作業用車両のバッテリ残量をサーバによって検索処理する方法であって、
高層階の建築現場における各作業用車両からのデータをサーバへ入力し記憶するステップ、
サーバが前記入力した各作業用車両のデータから各作業用車両のID及び所在場所並びにバッテリ残量を照合し検索するステップ、
サーバが作業用車両のバッテリ残量が予め設定した基準容量以下であるか否かを比較するステップ、
とからなる高層階の建築現場の作業用車両管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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