説明

高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法及び処理装置

【課題】本発明は、高濃度カルシウム、アルカリ含有排水のpHを低下させ、カルシウム濃度を効率よく低下することができ、更に排水から除去したカルシウムを有価物として再利用することができる高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を、炭酸カルシウムのペレットを充填した反応塔の下部から、炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給し、排水中のカルシウム濃度及びpHを低下させる高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法であって、処理水のpHを調整し、排水中のカルシウムを炭酸カルシウムとしてペレットに晶析させペレットを成長させながら、ペレットを粒径により分離展開させることを特徴とする高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水中に高濃度のカルシウムが含まれpHが高い排水に適用できる処理方法及び処理装置に関する。pHが高く、カルシウムを高濃度に含む排水としては、例えば、高炉スラグ排水、セメント排水などが考えられ、それらの排水のpHを低下させ、排水中のカルシウムに対して効率よく晶析反応を行う排水の処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高炉スラグ排水は塩酸で中和され、PAC(ポリ塩化アルミニウム)によって凝集処理が行われ、沈殿、放流されている。安価な硫酸でなく高価な塩酸を用いるのは、硫酸の中和ではカルシウムが析出して設備の沈殿物が増加、あるいは配管等を閉塞させるためである。しかしながら、塩酸による中和においても、他の工程からの硫化物や空気中の炭酸ガス、海水の混入などにより、炭酸イオン、硫酸イオンが排水中に持ち込まれ、流量調整槽や沈殿槽で多量の汚泥を発生させる原因となっている。
炭酸ガスを用いた中和設備も開発されているが、上記塩酸が炭酸ガスに変更になっただけで、発生するカルシウム汚泥はPACで凝集し、沈殿処理を行う必要があり、コスト削減につながらない。
また、発生した汚泥には他の成分も含まれるため、廃棄物扱いとなり、有価物にならない。
【0003】
晶析塔として現在までに、リン回収用の造粒脱リン塔や浄水場における硬度除去用のカルシウム除去塔がある。リン回収は特許文献1(特開平1−119392号公報)に公告されているMAP粒子へリン酸性リンを析出、成長させる方法である。MAPの引き抜きは定期的に行われるが、引き抜き過ぎによる処理の悪化や晶析物の貯め過ぎによる粒子の漏れなどの問題があった。
【0004】
浄水場でのカルシウムの除去塔は特許文献2(特開2001−58102号公報)に示された晶析反応装置で流動床で使用されるものである。晶析物が塔全体を流動するように循環する。塔の側面に設けられた引き抜き装置により引き抜きが行われるが、引き抜かれる晶析物中には、流動床であるため種晶となる微細な粒径のものも含まれ、反応装置内の種晶が減少する。また、晶析物が塔全体を流動するように循環するので、反応塔の粒子すべてに晶析反応が起こり、すべての粒子が大きくなっていき、次第に晶析しにくくなる。そのため、微細な種晶を追加するプロセスや、晶析物全体を交換することが必要となり、晶析塔としては効率が悪いものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−119392号公報
【特許文献2】特開2001−58102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑み成されたものであり、その目的は、高濃度カルシウム、アルカリ含有排水のpHを低下させ、カルシウム濃度を効率よく低下することができ、更に排水から除去したカルシウムを有価物として再利用することができる高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、このような課題を解決するために、高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を、炭酸カルシウムのペレットを充填した反応塔の下部から炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給し、排水中のカルシウム濃度とpHの低下を行うにあたって、処理水のpHを調整し、排水中のカルシウムを炭酸カルシウムとしてペレットに晶析させペレットを成長させながら、粒径により分離展開させることによって、再利用可能な炭酸カルシウム結晶物として回収でき、従来法で発生していた中和時の凝集汚泥、中和薬品を削減できることを見い出し本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を、炭酸カルシウムのペレットを充填した反応塔の下部から、炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給し、排水中のカルシウム濃度及びpHを低下させる高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法であって、処理水のpHを調整し、排水中のカルシウムを炭酸カルシウムとしてペレットに晶析させペレットを成長させながら、ペレットを粒径により分離展開させることを特徴とする高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
(2)前記ペレットを分離展開させるときの下記式で表されるペレットの展開率が60〜120%であることを特徴とする前記(1)に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
ペレットの展開率=
(分離展開時のペレットの展開高さ−初期のペレットの充填高さ)÷(初期のペレットの充填高さ)×100
(3)前記処理水のpHを8.8以上に調整することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
(4)前記反応塔に充填する炭酸カルシウムのペレットの粒径が0.3〜0.8mmであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
(5)前記炭酸ガスとして、排ガスを用いることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
(6)前記反応塔の上部に沈殿分離部を設け、微細ペレットと処理水を分離し、分離展開させたペレットの展開高さを測定し、反応塔下部に設けたペレット引き抜き手段により、成長させたペレットを引き抜き、ホッパーに受けて分離することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
(7)前記沈殿分離部の水面積負荷が15〜23m/hrであることを特徴とする前記(6)に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
(8)前記引き抜きペレットの粒径が0.5〜1.0mmであり、有価物として再利用できることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
(9)予め充填する炭酸カルシウムペレットを晶析成長させる反応塔を少なくとも有する晶析装置と、該反応塔の下部より高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給する排水供給管とを少なくとも備えた高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理装置であって、前記反応塔は炭酸カルシウムペレットを晶析成長させながら、粒径により分離展開する反応塔であることを特徴とする高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
(10)前記晶析装置が、処理水のpHを測定するpH測定器、ペレットの展開高さを測定するペレット界面計を備えることを特徴とする前記(9)記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
(11)前記晶析装置が、反応塔の上部に炭酸カルシウムペレットと処理水を分離する沈殿分離部を備えることを特徴とする前記(9)又は(10)に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
(12)前記反応塔の下部に晶析成長した炭酸カルシウムペレットを引き抜くペレット引き抜き手段を備えることを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
(13)前記ペレット引き抜き手段が、引き抜かれた炭酸カルシウムペレットを分離するホッパーを備えることを特徴とする前記(12)記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
(14)前記晶析装置が、反応塔の流入部と上部の排水の差圧を測定できる差圧計を備えることを特徴とする前記(9)〜(13)のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法及び処理装置によると、高濃度カルシウム、アルカリ含有排水のpHを低下させ、カルシウム濃度を効率よく低下することができる。また、微細な種晶を追加するプロセスや、晶析物全体を交換することも必要なく、更に排水から除去したカルシウムを有価物として再利用することができる。更に中和時の凝集汚泥の発生がなく、中和薬品を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理装置の概略図である。
【図2】pHと除去カルシウム濃度の関係を示すグラフである。
【図3】反応塔の上昇流速と展開率の関係を示すグラフである。
【図4】炭酸ガスの量と晶析したカルシウムの量との関係を示すグラフである。
【図5】実施例1で用いた炭酸カルシウムの種晶と引き抜いた炭酸カルシウムペレットの顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法は、高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を、炭酸カルシウムのペレットを充填した反応塔の下部から、炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給し、排水中のカルシウム濃度とpHを低下させるにあたって、処理水のpHを調整し、排水中のカルシウムを炭酸カルシウムとしてペレットに晶析させペレットを成長させながら、粒径により分離展開させることが重要である。
【0012】
炭酸カルシウムのペレットを充填した反応塔の下部から、高濃度カルシウム、アルカリ含有排水に炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給すると、炭酸ガスによりアルカリが中和され、pHを低下させることができる。
更に、反応塔に供給された炭酸ガスを含む排水が炭酸カルシウムのペレットと接触することにより、ペレットの周りに新たに炭酸カルシウムが析出し、ペレットが成長するとともに、新たに細かなペレットも生成する。このとき、流速を調整し、細かなペレットが分離され、成長したペレットの上部に積層していくように粒径により分離展開させる。即ち、成長した粒径の大きな炭酸カルシウムペレットが反応塔の下部に、新たに生成した微細な炭酸カルシウムペレットが反応塔上部に、反応塔の下部から上部にかけて連続的に炭酸カルシウムを粒径により分離展開させることにより、カルシウムを効率的に除去し、ペレットの目詰まりを防ぐことができる。また後述するように成長したペレットを引き抜くタイミングを知ることができ、ペレットの状態を管理することができるようになる。
【0013】
上記のように炭酸カルシウムのペレットを展開させることにより、反応塔の下部の粒径の大きなペレットが成長し易くなり、晶析が進む。そして、成長した粒径の大きなペレットのみを取り出すことができるので、微細な種晶を入れるプロセスや、晶析物全体を交換する必要がない。
【0014】
炭酸カルシウムペレットを粒径により分離展開させるには、炭酸ガスを含む排水の反応塔における流速を40〜65m/hrとすることが好ましい。流速が65m/hrを超えると、ペレットを攪拌する力が強くなり、ペレットが塔全体を流動するように循環され、粒径による分離展開ができにくくなる。また、流速が40m/hrより小さいと、ペレットを攪拌する力が弱すぎるため、ペレットが反応塔の底部に留まり、ペレット粒子が互いに結合して粒径による分離展開ができにくくなり閉塞しやすい。
尚、炭酸カルシウムペレットが粒径により分離展開しているかどうかは、目視で確認することができる。分離展開している場合は、反応塔の下部から上部にかけて炭酸カルシウムのペレットがだんだん小さくなっていき、その上部に炭酸カルシウムを分離した処理水との界面が存在する。
反応塔を透明な材料で作製する、又は、反応塔が不透明な場合は、反応塔に中の状態が確認できる透明な窓を設けることにより確認してもよい。また、分離展開できる条件を、透明な反応塔を用いて確認した後、その条件の下で不透明な反応塔で行ってもよい。
【0015】
また、この時、前記ペレットを分離展開させたときの下記式で表されるペレットの展開率が60〜120%であることが好ましい。
ペレットの展開率=
(分離展開時のペレットの展開高さ−初期のペレットの充填高さ)÷(初期のペレットの充填高さ)×100
炭酸ガスを含む排水の流速が速いと、ペレットの上記展開率が大きくなり、炭酸ガスを含む排水と、ペレットとの接触時間が短くなり、カルシウムの除去率が低下する。また、線速度が小さいと、上記展開率が小さくなり、ペレット間で目詰まりを生じたり、処理できる排水の量が少なくなり、所定の水量を処理するための装置の断面積が大きくなる。
展開率を60〜120%とすることにより、効果的にカルシウムを除去することができ、またペレット間の目詰まり等を防ぐことができる。展開率は80〜120%がより好ましい。
【0016】
初期のペレットの充填高さとしては、反応塔の大きさにもよるが、0.8〜1.5mが好ましい。
分離展開時のペレットの展開高さは、ペレットを展開させた際の、ペレットとペレットを分離した処理水との界面までの高さである。
尚、本発明において「初期のペレットの充填高さ」、「分離展開時のペレット展開高さ」は、例えば図1における反応塔のように、反応塔の底部が下向きの円錐形等をなしている場合は、円錐形等の部分を除いた高さである。
【0017】
また、反応塔の上部には微細ペレットと処理水を分離するため、新たに析出した種晶を沈殿させるのに適した沈殿分離部を設けるとともに、下部にペレットの引き抜き手段を設け、成長させたペレットを引き抜き、ホッパーに受けて分離するようにしてもよい。
前記微細ペレットと分離された処理水は、反応塔から排出される。排出された処理水は、一般の排水として下水に流すことができるが、pHが9.0を超える場合は更に処理を施すことが好ましい。pHを低減させる処理としては、既にカルシウム濃度が低くなっているので、安価な硫酸を用いて中和することができる。また、更に必要な処理を施した上で再利用することもできる。
運転時間とともにペレットが積み重なり、反応塔下部の成長したペレット層も厚くなることで、ペレット全体が上部に膨れあがるようにペレットの界面が上昇する。その界面の高さをペレット界面計で検出して、ペレット引き抜くことにより、ペレットによる目詰まりを防ぐことができる。
【0018】
一定量以上の粒子の流出については上部に新たに形成される微細ペレットが流出しない水面積負荷を有する沈殿分離部を設置し、かつペレットの展開高さを計測しながら下部のペレットを引き抜くことで防止することができる。逆に成長して肥大化する下部のペレットはこれも全体のペレットの状況を計測しながら、反応塔の下部から自動でペレットを引き抜くことにより、反応塔の目詰まりを防止しながら、過剰な引き抜きも防止することができる。
【0019】
従来の晶析塔を用いた処理方法はペレットの引き抜きに際し、そのタイミングに合理的な基準がなく、経験的に毎週、所定量引き抜いたり、決まった時間で引き抜いたりしたため、ペレットの過不足が生じ、ペレットが不足すると、種晶が不足して小さな結晶ができても種晶核との衝突が起こりにくくなり結晶化が進まず、細かな粒子が流出したり、また、貯めすぎて粒子が逆に流出したりして処理性能が不安定になっていた。加えて、一定の稼動期間継続後は、目詰まり防止やカルシウムの除去率向上のために、微細な種晶を追加するプロセスや、晶析物全体を交換することが必要であった。
本発明では、ペレットを分離展開させ、その展開高さを検出してペレットの成長の程度を知ることができるので、ペレットを引き抜くタイミングを知ることができ、合理的にペレットの引き抜きを行うことができる。ペレットを合理的に引き抜くことにより、反応塔の目詰まりを防ぐことができると共に、ペレットの過不足が生じたり、種晶が不足して細かな粒子が流出したり、また、貯めすぎて粒子が逆に流出したりして処理性能が不安定になることを防ぐことができる。加えて、目詰まり防止やカルシウムの除去率向上のために、微細な種晶を追加するプロセスや、晶析物全体を交換することも必要ない。
【0020】
また、引き抜いたペレットは、粒径がそろっているので、ペレットを分離するホッパーでの水切りもよく、含水率が低く、また、理由は定かではないが、純度も高く、有価物として再利用可能である。
また、引き抜くペレットの粒径がそろっていることにより、引き抜いたペレットは、乾燥や脱水工程を行わなくても、放置するだけでペレットの含水率を15〜30%に調整することができ、脱硫添加剤、路盤改良材、排水処理材などとして再利用可能である。
【0021】
また、前記沈殿分離部は、微細ペレットを沈殿させるために、排水の流速は反応塔における流速よりも遅くなることが好ましく、沈殿分離部の横断面積は反応塔の横断面積よりも大きくなることが好ましい。
また、前記沈殿分離部の水面積負荷が15〜23m/hrであることが好ましい。
炭酸カルシウム粒子の沈降速度はストークスの計算から下表のようであり、球形とした場合、0.09mmの粒径のものがオーバーフローしないように設計することが望ましい。
この粒径が流出すると除去率がプラス10%以上悪化する。
【0022】
【表1】

【0023】
【数1】

【0024】
したがって、沈殿分離部の水面積負荷が23m/hrを超える場合は、細かなペレットが流出して処理水のカルシウム濃度は上昇する。また、15m/hrよりも小さいと微細な濁度成分、例えば、原水中の比重が炭酸カルシウムより小さな不純物(有機物等)や粒径が小さな不純物(金属水酸化物等)が反応塔に残留し、引き抜いたペレットに混入したり、沈殿部分が大きくなりすぎ、バランスが悪くなる不具合がある。
尚、本発明では、水面積負荷は、流出する処理水の量を沈殿分離部の水面の面積で除して求めた。
【0025】
反応塔内の炭酸ガスを含む排水は成長するペレット同士が結合して、目詰まりが生じないよう、また、上部からペレットが流出しないように以下のように制御することが好ましい。
炭酸ガス量は処理水のpHが8.8以上になるように注入することが望ましい。pHが小さくなるように炭酸ガスを多量に注入すると、晶析した炭酸カルシウムが重炭酸カルシウムとなって溶解し、カルシウムの除去率が低下する。そのため、pHを低下させることと、汚泥の元となるカルシウムを除去することの両立を考慮すると、pH8.8以上で処理することが好ましい。pH8.8以上にすることにより、従来の中和凝集処理の方式と同程度にカルシウムを除去することができる。例えば原水300mg/Lのカルシウムに対して処理水のカルシウム濃度が120mg/L以下とすることができる。
【0026】
また、本発明の処理方法によると、従来の方法で、炭酸ガス中和を行う場合に比べ、少ない炭酸ガス量で中和処理が可能であることが分かった。
ペレットを分離展開させ、カルシウムを結晶物として除去することにより、効率よく中和反応を促進するものと考えられる。具体的には従来法の炭酸ガス中和では、pH12の水酸化カルシウム溶液、4m3/hrの中和に必要な炭酸ガス量は、実用上29L/min程度必要になるが、今回の晶析法では最大8L/minであったので効率が高いことがわかる。
炭酸ガスの量は、排水の性状により異なることが考えられるが、例えば、スラグ排水では炭酸ガス/排水量が、0.12〜0.15となるように炭酸ガスを添加することが好ましい。
【0027】
さらには、充填するカルシウム粒子の粒径は0.3mm〜0.8mmが好ましく、0.3mm〜0.6mmがもっとも適しており、安定した運転が可能となる。0.8mmを超えると目詰まりが発生し易くなる。
また、引き抜くペレットの粒子の粒径は0.5mm〜1.0mmが好ましく、さらには0.7〜1.0mmがより好ましく、安定した運転が可能となる。
尚、この粒径はスケールの付いた顕微鏡により結晶を観察すること、目幅の決まったふるいで分別することで測定することができる。
顕微鏡観察における粒径は、ペレット粒子が真円ではない場合は、粒子の周の2点を結ぶ長さにおいて、最も長い長さを粒径とした。
【0028】
炭酸ガスの供給は液化炭酸ガスを用いることもできるが、地球温暖化で問題となっているボイラーや発電機などから生じる炭酸ガスを代用してもよく、この場合カルシウムペレットを充填した反応塔に吹き込むことで、炭酸カルシウムとして炭酸ガスを回収することができ、生成された炭酸カルシウムは脱硫塔や地盤改良材、廃水処理剤などとして再利用可能であり、温暖化防止にも役立つ。
【0029】
また、従来の処理方法では、流入する原水水質が変動しても、一定量の薬品を注入し、凝集しているため、薬剤費の無駄があった。本発明によると、反応効率の高いpH範囲で炭酸ガスの量を調整することができるので、炭酸ガス(薬剤)の無駄を防止することができる。更に、本発明の処理方法では、一般の凝集剤等を用いる必要もないので、薬剤費を削減することができる。
さらには、中和凝集沈殿の汚泥は不純物が混入し、産業廃棄物であったが、本発明の処理方法により得られるペレットは、再利用が可能な結晶物として得ることができる。
【0030】
本発明に係る高濃度カルシウム、アルカリ含有排水としては、例えば、カルシウムを50mg/L以上含み、pH8.8以上の排水が好ましく、高炉スラグ排水、セメント排水などが挙げられる。
前記高炉スラグ排水とは、高炉スラグの洗浄水などの排水であり、セメント排水とは、セメントの粉末を含むセメント工場や土木施工現場におけるセメント洗浄水などの排水を言う。
【0031】
本発明の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法、及び処理装置を図面を用いて更に詳細に説明する。
本発明の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理装置は、予め充填する炭酸カルシウムペレットを晶析成長させる反応塔を少なくとも有する晶析装置と、該反応塔の下部より高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給する排水供給管とを少なくとも備えた高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理装置であって、前記反応塔は炭酸カルシウムペレットを、晶析成長させながら、粒径により分離展開する反応塔である。
前記晶析装置は、好ましくは、処理水のpHを測定するpH測定器、ペレットの展開高さを測定するペレット界面計を備え、更に反応塔上部に炭酸カルシウムペレットと処理水を分離する沈殿分離部を備えることが好ましい。また、本発明の処理装置は、反応塔下部に晶析成長した炭酸カルシウムペレットを引き抜くペレット引き抜き手段を備え、ペレット引き抜き手段により引き抜かれた炭酸カルシウムペレットを分離するホッパーを有していることが好ましい。
【0032】
本発明の排水処理装置の一例を図1に示す。本発明の排水処理装置は、予め充填する炭酸カルシウムのペレットを晶析成長させる反応塔を少なくとも有する晶析装置であり、図1に示すように、適切な炭酸ガスを含む排水を反応塔の下部から導入し、反応塔に充填したペレットに新たに炭酸カルシウムを析出せしめ、排水からカルシウムを除去するとともにpHを低下させ、なおかつ晶析物を回収して再利用を行うための装置である。図1に示す排水処理装置は、反応塔4(例えば、寸法:φ300mm×3300mmH)を有する晶析装置と、高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給する排水供給管9とを備え、更に処理水のpHを測定するpH測定器20と、ペレットの展開高さを測定するペレット界面計21とを有し、更に、反応塔の上部に沈殿分離部5(例えば、寸法:φ500mm×1200mmH)と、反応塔下部にペレット引き抜き手段であるペレット引き抜き管11を有する。反応塔は、内部のペレットの状態を確認できるように、透明な材料を用いて作製した。
【0033】
反応塔4には高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を導入する排水供給管9が接続し、排水供給弁10の手前でペレット引き抜き管11と連結する。原水である排水に、原水ポンプ3より先で炭酸ガス導入管7が接続し、炭酸ガスが導入された排水が排水供給管9により反応塔下部より供給される。
図1において、反応塔4及び沈殿分離部5は断面円形の装置を示したが、これに限らず断面が多角形であってもよい。また図1において、反応塔の底部は下向きの円錐形をなしており、排水導入管及びペレット引き抜き管は下向きの円錐形の頂点に設けられているが、これに限らずこれらは反応塔の下部のどこに設けられていても良く、排水導入管とペレット引き抜き管は分けて設けることもできる。しかし、ペレットを分離展開させること、成長したペレットを分離することを考慮すると、排水導入管とペレット引き抜き管は、反応塔の底部に設けられていることが好ましく、更に反応塔底部が円錐又は角錐となっており、排水導入管及びペレット引き抜き管はその頂点に設けられていることが好ましい。
また、沈殿分離部も分離した微細なペレットを反応塔に戻すことを考慮すると、沈殿分離部の反応塔に接続する部分は図1に示すように斜面となっていることが好ましい。
沈殿分離部の大きさは微粒子が反応塔に戻りやすいように反応塔の断面に対して45度以上の角度で結合することが望ましい。また、沈殿部の高さは微粒子が揺動しがたくするため、直胴部で50cm以上が好ましい。
反応塔の高さは、ペレットを展開させた際に、ペレットが展開した界面と沈殿分離部の入り口とが、ある程度距離を有していることが好ましい。
また、反応塔の高さはペレットを0.8〜1.2m充填するため、2.6m以上必要であり、余裕をみて3m以上にすることが望ましい。
また、反応塔の断面の大きさは、処理する排水の量により選択することができるが、例えば、断面が円形の場合、その径は10cm〜3m位である。その場合、沈殿分離部断面の径は15cm〜5m程度が好ましい。
【0034】
反応塔4には0.3mm〜0.8mmのペレットを充填し、適当量の炭酸ガスを含む排水を反応塔4の下部から、例えば線速度40〜65m/hrで導入する。すると、ペレットが膨れ、ペレットの界面が上昇する。最初はペレット全体が流動しているが、しばらくすると、ペレットが粒径により分離展開し始める。炭酸ガスを含んだ排水がペレットと接触することにより、ペレットの周りに新たに炭酸カルシウムが析出し、ペレットが成長する。また、ペレットが成長するとともに、新たに細かなペレットも生成し、流速によって沈殿分離部5に運ばれ、流速が減速することで細かなペレットは分離され、成長したペレットの上部に積層していき、ペレットが分離展開する。反応塔の下部から導入された排水は、水面積負荷15〜23m/hrの沈殿分離部5を経て、新たに生成される微細なペレットを沈降分離せしめた後、処理水22となる。この時ペレットの展開高さをペレット界面計で検出し、好ましくは展開率が60〜120%となるよう調整し、処理水のpHを測定し、炭酸ガスの量を調整する。
【0035】
運転時間とともにペレットが積み重なり、反応塔4下部の成長したペレット層も厚くなることで、ペレット全体が上部に膨れあがるようにペレットの界面が上昇する。その界面の高さをペレット界面計21で検出して、ペレット引き抜き弁12を開き、ペレット引き抜き管11を通して、排水とともにペレットをホッパー14に引き抜く。ペレット界面が所定の位置にくるまでペレットを引き抜く。ペレットの界面計は赤外線や超音波式のものがあるが、それ以外のものでも界面が検出できるものであればよい。また、ペレットの引き抜きはペレットの界面が所定の位置にくるまでの時間を測定しておき、設定時間で引き抜くようにしてもよい。例えば、超音波式のペレット界面計を用いた場合、界面計からペレットの界面までの距離が測定される。所定の展開率となるペレットの界面までの距離を検知し、そのときペレットの引き抜きを所定の界面の位置まで自動で行うように設定しておくことができ、自動的に引き抜きを行うことができる。
【0036】
引き抜き時間が長すぎると、ペレットを引き抜き過ぎ、ペレットとの接触時間が短くなるため、処理水のカルシウム濃度が高くなる。また、引き抜かなければペレットの界面が上昇し、沈殿分離槽から微細なペレットが流出して、処理水のカルシウム濃度が上昇する。
ペレットの引き抜きはペレットの展開層の高さによって、ペレットの成長を制御するが、予期しない事態に備え、反応塔4の流入部に圧力センサー25、反応塔上部に圧力センサー26を設けて、その差圧の変化を監視して、ペレット充填層の閉塞防止を行うことができる。変化量が0.005MPa以上になると強制引抜を実施するとよい。引抜時間は上記界面計による引抜時間の半分以下が適当である。0.005MPa以上になるとペレットの底部の閉塞が起こり、原水の通水が困難となる。
また、処理水22のpHはpH計20により炭酸ガス弁8を調節して8.8以上に維持することで、カルシウムの回収効率を上げることができる。pHが8.8よりも低くなると、カルシウムの除去性が低下し、処理水のカルシウム濃度が高くなる。
【0037】
炭酸ガスの注入手段として、図1には液化炭酸ガスボンベ6を用いたが、炭酸ガスが供給できるのであればその限りではなく、ボイラーや発電機の排ガスを供給することもできる。ただし、空気中の炭酸ガスは濃度が低いため空気散気による晶析は適さない。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
塔径30cm、塔長2.7m、下部が高さ20cmの逆円錐である塩化ビニル製の透明な反応塔と、径が0.5mの沈殿分離部を有する図1に示すような晶析装置用い、反応塔内に粒径0.5mmのペレットを高さ100cmとなるように充填した。液化炭酸ガスボンベを用いて、炭酸ガス量/排水量比率0.12、排水量4m3/hrの条件で、炭酸ガスを吹き込みながら上向流で排水を供給した。反応塔内の上昇流速は56m/hr、沈殿分離部の水面積負荷は20m/hrであった。この時、ペレットが粒子サイズにより分離展開していることを確認した。展開率は80%であり、処理水のpHは8.9となった。
分離展開させてから、ペレット全体が上部に膨れあがるようにペレットの界面が上昇したので、8時間後にペレット界面が24cm上昇したところで、ペレット引き抜き管を通して、ペレット界面が元の位置にくるまでペレットを引き抜き、ホッパーで分離した。
以下、同様の運転を24時間行い、24Lの晶析物を得た。
尚、用いた排水のカルシウム濃度は300mg/L、pHは12であり、処理水のカルシウム濃度は120mg/Lであった。
最初に反応塔に充填したペレット、及び引き抜いたペレットの電子顕微鏡写真を図に示す。引き抜いたペレットは最初に充填したペレットより大きくなっており、また粒径が揃っていることが分かる。
また引き抜いたペレットは粒径0.8〜1.0mmに成長した炭酸カルシウム結晶であり、その成分の分析結果を下表に示す。ホッパー内のペレットは、そのまま3日間放置すると含水率が30%以下になり、特に乾燥工程を要することなく、そのまま再利用することができた。また、溶出試験、含有試験ともに有害物質は検出されず、均一な粒径でなって、脱硫添加剤、路盤改良材、排水処理材として再利用可能であった。溶出試験、含有試験はそれぞれ、環境庁告示第46号付表に基づく方法、環境庁告示第19号付表に基づく方法にて行った。
【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
[実施例2]
実施例1において、炭酸ガスの量を変え、処理水のpHを変化させた以外は実施例1と同様にして、除去カルシウム濃度を求めた結果、図2のような関係となった。尚、炭酸ガスについては、ほとんど反応塔内で吸収されてしまうため、炭酸ガス量を変えても展開率にはあまり変化はしなかった。
pHが7より小さくなると、カルシウムの除去率が低下した。pHを8.8以上とすることにより、180mg/Lの除去量が得られることがわかる。
【0042】
[実施例3]
実施例1において、上昇流速を42〜70m/hrまで変化させた以外は実施例1と同様にして、充填ペレットの展開率を調べた。また、そのときのカルシウム粒子の流出も調査した。
上昇流速と展開率は図3のような関係があり、上昇流速が65m/hrを超えると、展開率が急激に上昇し、微粒子が沈殿分離部に移り、70m/hr時(沈殿分離部水面積負荷25m/hr)では微粒子がオーバーフローした。
展開率0.6未満では底部の種晶に析出したカルシウム微粒子が固着し閉塞が見られた。
【0043】
[実施例4]
実施例1において、炭酸ガス量/排水量の比率を変更した以外は実施例1と同様にして、晶析物の生成量と炭酸ガス量/排水量の比率を検討した。炭酸ガス量/排水量の比率と晶析物の生成量は図4のような関係があり炭酸ガス量/排水量が0.12のとき晶析物の生成量が最大となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高濃度カルシウム、アルカリ含有排水を、炭酸カルシウムのペレットを充填した反応塔の下部から、炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給し、排水中のカルシウム濃度及びpHを低下させる高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法であって、処理水のpHを調整し、排水中のカルシウムを炭酸カルシウムとしてペレットに晶析させペレットを成長させながら、ペレットを粒径により分離展開させることを特徴とする高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
【請求項2】
前記ペレットを分離展開させるときの下記式で表されるペレットの展開率が60〜120%であることを特徴とする請求項1に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
ペレットの展開率=
(分離展開時のペレットの展開高さ−初期のペレットの充填高さ)÷(初期のペレットの充填高さ)×100
【請求項3】
前記処理水のpHを8.8以上に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
【請求項4】
前記反応塔に充填する炭酸カルシウムのペレットの粒径が0.3〜0.8mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
【請求項5】
前記炭酸ガスとして、排ガスを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
【請求項6】
前記反応塔の上部に沈殿分離部を設け、微細ペレットと処理水を分離し、分離展開させたペレットの展開高さを測定し、反応塔下部に設けたペレット引き抜き手段により、成長させたペレットを引き抜き、ホッパーに受けて分離することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
【請求項7】
前記沈殿分離部の水面積負荷が15〜23m/hrであることを特徴とする請求項6に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
【請求項8】
前記引き抜きペレットの粒径が0.5〜1.0mmであり、有価物として再利用できることを特徴とする請求項6又は7に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理方法。
【請求項9】
予め充填する炭酸カルシウムペレットを晶析成長させる反応塔を少なくとも有する晶析装置と、該反応塔の下部より高濃度カルシウム、アルカリ含有排水に炭酸ガスを吹き込みながら上向流で供給する排水供給管とを少なくとも備えた高濃度カルシウム、アルカリ含有排水の処理装置であって、前記反応塔は炭酸カルシウムペレットを晶析成長させながら、粒径により分離展開する反応塔であることを特徴とする高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
【請求項10】
前記晶析装置が、処理水のpHを測定するpH測定器、ペレットの展開高さを測定するペレット界面計を備えることを特徴とする請求項9記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
【請求項11】
前記晶析装置が、反応塔の上部に炭酸カルシウムペレットと処理水を分離する沈殿分離部を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
【請求項12】
前記反応塔の下部に晶析成長した炭酸カルシウムペレットを引き抜くペレット引き抜き手段を備えることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
【請求項13】
前記ペレット引き抜き手段が、引き抜かれた炭酸カルシウムペレットを分離するホッパーを備えることを特徴とする請求項12記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。
【請求項14】
前記晶析装置が、反応塔の流入部と上部の排水の差圧を測定できる差圧計を備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の高濃度カルシウム、アルカリ含有排水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−81886(P2013−81886A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222518(P2011−222518)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【出願人】(000191135)株式会社日本海水 (19)
【Fターム(参考)】