髪ケア送風装置
【課題】 毛髪や頭皮にケアを施す有効成分を大量に発生させて送り込むことのできる髪ケア送風装置を提供する。
【解決手段】 本体ケース1と、本体ケース1に配置した送風部6と、送風部6によって空気吸入口4から吸い込んだ空気を空気吐出口5から吐出させる本体風路3と、髪ケア用の有効成分を発生させるとともに空気吐出口5から吐出される空気に乗せて該有効成分を外部に送り出す有効成分発生装置9とを具備した髪ケア送風装置とする。上記有効成分発生装置9は、絶縁スペーサ13と、絶縁スペーサ13と隣接して又は近傍に配置される電極部14とを具備し、電極部14に高電圧を印加することで、絶縁スペーサ13に沿って形成される微小空間内で放電を生じさせるものである。
【解決手段】 本体ケース1と、本体ケース1に配置した送風部6と、送風部6によって空気吸入口4から吸い込んだ空気を空気吐出口5から吐出させる本体風路3と、髪ケア用の有効成分を発生させるとともに空気吐出口5から吐出される空気に乗せて該有効成分を外部に送り出す有効成分発生装置9とを具備した髪ケア送風装置とする。上記有効成分発生装置9は、絶縁スペーサ13と、絶縁スペーサ13と隣接して又は近傍に配置される電極部14とを具備し、電極部14に高電圧を印加することで、絶縁スペーサ13に沿って形成される微小空間内で放電を生じさせるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風に乗せて有効成分を送り込むことで毛髪や頭皮にケア施す髪ケア送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風に乗せて有効成分を送り込むことで毛髪や頭皮にケア施す髪ケア送風装置として、例えば静電霧化装置を有するドライヤが提案されている(特許文献1参照)。このドライヤによれば、硝酸イオン等の有効成分を含む微小な水粒子を発生させ、送風に乗せて毛髪に送り込むことによって、毛髪を弱酸性化するという作用や、頭皮の皮脂量低減やフケ抑制といった作用が得られる。しかし、毛髪や頭皮に対して十分な作用を及ぼすという目的からいえば、更に大量の有効成分を送りだすことのできるものが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−87836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、毛髪や頭皮にケアを施す有効成分を大量に発生させて送り込むことのできる髪ケア送風装置を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の髪ケア送風装置を、本体ケース1と、本体ケース1に配置した送風部6と、送風部6によって空気吸入口4から吸い込んだ空気を空気吐出口5から吐出させる本体風路3と、髪ケア用の有効成分を発生させるとともに空気吐出口5から吐出される空気に乗せて該有効成分を外部に送り出す有効成分発生装置9とを具備したものとする。上記有効成分発生装置9は、絶縁スペーサ13と、絶縁スペーサ13と隣接して又は近傍に配置される電極部14とを具備し、電極部14に高電圧を印加することで、絶縁スペーサ13に沿って形成される微小空間内で放電を生じさせるものである。
【0006】
上記構成の髪ケア送風装置によれば、絶縁スペーサ13に沿う微小空間内において、微小なプラズマ放電を非常に高密度で発生させることができ、このプラズマ放電によって、硝酸イオン、窒素酸化物等から成る有効成分を大量に発生させることができる。これら大量の有効成分を送風に乗せて使用者の毛髪に効率的に送り込むことで、毛髪を弱酸性化するという作用や、頭皮の皮脂量低減やフケ抑制といった作用を、十分に及ぼすことが可能となる。
【0007】
上記有効成分発生装置9は、絶縁スペーサ13と、絶縁スペーサ13を挟む両側に配置される電極部14とを具備し、両側の電極部14間に高電圧を印加することで放電を生じさせるものであることが好適である。このようにすることで、放電を安定的に生じさせることができ、ひいては大量の有効成分を安定的に生成して送り込むことができる。
【0008】
このとき、上記有効成分発生装置9は、一方の電極部14を接地させるとともに他方の電極部14にマイナスの高電圧を印加するものであることが好適である。このようにすることで、硝酸イオン等の有効成分を大量に発生させることができる。
【0009】
また、上記有効成分発生装置9が放電を生じさせる微小空間は、絶縁スペーサ13に設けた貫通孔15と、絶縁スペーサ13の外周縁に形成した隙間21の、一方又は両方であることが好適である。このようにすることで、貫通孔15や隙間21といった微小空間を利用して、この空間内でプラズマ放電を高密度で発生させ、このプラズマ放電によって有効成分を大量に発生させることができる。
【0010】
また、上記有効成分発生装置9を冷却するための液溜め部30を配置していることが好適である。このようにすることで、放電によって高熱となった有効成分発生装置9の電極部14や絶縁スペーサ13を冷却し、温度上昇を抑制することができる。
【0011】
また、上記有効成分発生装置9は、本体風路3内に配置されていることが好適である。このようにすることで、放電によって高熱となった有効成分発生装置9の電極部14や絶縁スペーサ13を、表面に風を送り込むことで冷却することができる。
【0012】
このとき、上記有効成分発生装置9に設けた絶縁スペーサ13よりも上流側に液溜め部30を配置していることが好適である。このようにすることで、液溜め部30から生じる蒸気やミストによって絶縁スペーサ13等を冷却するとともに、有効成分発生装置9で生じた有効成分を蒸気やミストに付着させたうえで毛髪等に送り込むことが可能となる。
【0013】
またこのとき、上記有効成分発生装置9に設けた絶縁スペーサ13よりも下流側に液溜め部30を配置していることも好適である。このようにすることで、液溜め部30内の液体を利用して絶縁スペーサ13等を冷却するとともに、有効成分発生装置9で生じた有効成分を液溜め部30内に送り込んで溶解させたうえで、この液溜め部30内の液体を蒸気やミストの形にして毛髪等に送り込むことが可能となる。
【0014】
更にこのとき、上記液溜め部30内の液体を霧化する霧化部40を配置していることが好適である。このようにすることで、液溜め部30内で有効成分を溶解させた液体を、霧化部40によって速やかに霧化し、有効成分が溶解したミストMとして毛髪等に効率的に送り込むことができる。
【0015】
また、上記本体風路3は、流路途中より下流側を複数の分岐風路7,8に分岐させ、該複数の分岐風路7,8を、有効成分発生装置9を配置する分岐風路7と、有効成分発生装置9を配置しない分岐風路8とに分けたものであることが好適である。このようにすることで、有効成分発生装置9を配置する側の分岐風路7においては、有効成分を効率的に生じさせるために最適な風量を保ったうえで、有効成分発生装置9を配置しない側の分岐風路8によって、送風装置全体としての風量を確保することができる。
【0016】
このとき、温風発生用のヒータ10を、有効成分発生装置9を配置しない側の分岐風路8中に配置していることが好適である。このようにすることで、ヒータ10により加熱した温風を送り出すことが可能になるとともに、この温風によって有効成分やミストの生成に対して影響を及ぼすことが防止される。
【0017】
また、上記液溜め部30への液体供給手段として、空気中の水分を収集する水分収集装置36を備えることが好適である。このようにすることで、使用者に液体補給の手間を強いることなく、継続的に液体を供給することが可能となる。また、水道水を利用した場合に生じるようなスケールの付着も防止される。
【0018】
上記水分収集装置36は、空気を冷却して結露水を発生させる冷却装置32であることが好適である。このようにすることで、液溜め部30に供給するための液体を、結露水の形で速やかに生成することができる。
【0019】
また、上記本体ケース1の空気吐出口5の近傍に、毛髪にテンションを加えるためのブラシ部50を備えることも好適である。このようにすることで、ブラシ部50によって毛髪にテンションを加えながら有効成分を送り込むことができるので、毛髪に対してケアを施すことが容易となる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明は、大量の有効成分を送風に乗せて使用者の毛髪に効率的に送り込むことで、毛髪に対してしっとり感、柔らかさ、つるつる感、艶等を十分に与えることができ、頭皮に対しては皮脂量の低減やフケ抑制といった作用を十分に及ぼすことができるといった効果を奏する。
【0021】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、大量の有効成分を安定的に生成して送り込むことができるという効果を奏する。
【0022】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加えて、硝酸イオン等の有効成分を大量に発生させ、毛髪に送り込むことができるという効果を奏する。
【0023】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、微小空間として形成した貫通孔や隙間を利用してプラズマ放電を高密度で発生させ、このプラズマ放電によって有効成分を大量に発生させることができるという効果を奏する。
【0024】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、液溜め部を利用することで放電によって高熱となった電極部や絶縁スペーサを冷却し、温度上昇を抑制することができるという効果を奏する。
【0025】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、送風を表面に当てることで放電によって高熱となった電極部や絶縁スペーサを冷却し、温度上昇を抑制することができるという効果を奏する。
【0026】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加えて、液溜め部から生じる蒸気やミストを利用して絶縁スペーサ等を冷却することができるという効果や、有効成分発生装置で生じた有効成分を蒸気やミストに付着させたうえで毛髪等に送り込むことができるという効果を奏する。
【0027】
請求項8に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加えて、液溜め部内の液体を利用して絶縁スペーサ等を冷却することができるという効果や、有効成分発生装置で生じた有効成分を液溜め部内に送り込んで溶解させたうえで、この液溜め部内の液体を蒸気やミストの形にして毛髪等に送り込むことができるという効果を奏する。
【0028】
請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明の効果に加えて、液溜め部内で有効成分を溶解させた液体を、速やかに霧化して送り込むことができるという効果を奏する。
【0029】
請求項10に係る発明は、請求項6〜9のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、有効成分発生装置を配置する側の分岐風路では有効成分の生成に最適な風量を保ったうえで、有効成分を配置しない側の分岐風路によって送風装置全体としての風量を確保することができるという効果を奏する。
【0030】
請求項11に係る発明は、請求項10に係る発明の効果に加えて、温風を送り出すことを可能にし、且つ、この温風が有効成分やミストの生成に悪影響を及ぼすことは確実に防止することができるという効果を奏する。
【0031】
請求項12に係る発明は、請求項5、7〜9のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、液体補給の手間を強いることなく継続的に液体を供給することができ、また、スケールの付着も防止されるという効果を奏する。
【0032】
請求項13に係る発明は、請求項12に係る発明の効果に加えて、液溜め部に供給するための液体を、結露水の形で速やかに生成することができるという効果を奏する。
【0033】
請求項14に係る発明は、請求項1〜13のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、ブラシ部によって毛髪にテンションを加えながら有効成分を送り込むといった使用形態が可能となり、髪ケアを施すことが容易になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態における第1例の髪ケア送風装置の要部断面図である。
【図2】同上の髪ケア送風装置の概略説明図である。
【図3】同上の髪ケア送風装置に備える有効成分発生装置を示し、(a)は側面図、(b)は上流側から見た正面図である。
【図4】同上の有効成分発生装置の変形例を示し、(a)は側面図、(b)は上流側から見た正面図である。
【図5】同上の有効成分発生装置の他の変形例を示し、(a)は側面図、(b)は上流側から見た正面図である。
【図6】本発明の実施形態における第2例の髪ケア送風装置の要部断面図である。
【図7】同上の髪ケア送風装置の概略説明図である。
【図8】本発明の実施形態における第3例の髪ケア送風装置の要部断面図である。
【図9】同上の髪ケア送風装置の概略説明図である。
【図10】同上の髪ケア送風装置に備える有効成分発生装置の変形例を示す概略説明図である。
【図11】本発明の実施形態における第4例の髪ケア送風装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態における第1例の髪ケア送風装置の全体を示している。本例では髪ケア送風装置をドライヤとした場合を示しているが、送風により有効成分を送り込んで毛髪や頭皮にケアを施すことのできるものであればドライヤには限定されず、例えば扇風機、空気清浄機、空調設備等であってもよい。
【0036】
ドライヤである本例の髪ケア送風装置は、筒型を成す本体ケース1から、グリップ部2を折畳み自在に延設した外形を有している。本体ケース1内には本体風路3を形成しており、この本体風路3の上流端を空気吸入口4として本体ケース1の一端側に開口させ、本体風路3の下流端を空気吐出口5として本体ケース1の他端側に開口させている。空気吸入口4や空気吐出口5には、格子を設けておくことが好ましい。
【0037】
本体風路3の上流部分には、送風ファンから成る送風部6を配置しており、送風部6によって空気吸入口4から吸い込まれた外気が、本体風路3内を通過した後に空気吐出口5を通じて外部に送り出されるようになっている。本体風路3は、その流路途中より下流側を2つの分岐風路7,8に分岐させており、そのうち一方の分岐風路7に有効成分発生装置9を配置し、他方の分岐風路8には温風発生用のヒータ10を配置している。分岐風路7,8は隔壁19を介して平行に形成しており、分岐風路7側の空気吐出口5と分岐風路8側の空気吐出口5とは、隣接する位置にて同一方向に開口させている。
【0038】
グリップ部2には、風量切替スイッチ11と、風温切替スイッチ12とを備えている。風量切替スイッチ11は、送風部6により発生させる風量を切り替えるものであり、風温切替スイッチ12は、温風と冷風を切り替えるものである。これらのスイッチ11,12は、本体ケース1の側面に配置してあってもよい。
【0039】
図2には、本発明の特徴部分を明確に示すため、グリップ部2や分岐風路8の構成を省いて簡略化した形で、髪ケア送風装置の構成を示している。図示のように、本体風路3内に配置される有効成分発生装置9は、送風部6よりも下流側に位置するものであって、絶縁スペーサ13と、この絶縁スペーサ13を挟む両側に密着配置される一対の電極部14とでユニット化されている。両側の電極部14間には、高電圧印加部17によって高電圧が印加される。ここでの電圧印加には、放電の安定性を高めるためにパルス状の電圧を用いることが好適であり、その場合にはパルス幅を数十〜数百ms、周波数を数百〜数千Hz、パルス高さを−3〜−10kV程度とすることが更に好適である。
【0040】
図3にも示すように、絶縁スペーサ13は、絶縁性を有するともに高い耐熱性を有する材質(セラミック等)から成る、円板状の部材である。また、電極部14は、錆による影響が少なく且つ発熱と冷却の繰り返しに対して高い耐久性を有する材質(ステンレス等)から成る、同じく円板状の部材である。絶縁スペーサ13と電極部14には共に、その厚み方向に貫通する貫通孔15,16を中央部に形成している。両貫通孔15,16は共に0.1〜数mm程度の内径を有しており、絶縁スペーサ13と電極部14の互いの厚み方向端面を密着させた状態で、両貫通孔15,16が厚み方向に一直線状に連通するように設けている。なお、絶縁スペーサ13に電極部14を密着配置するに際しては、電極部14によって絶縁スペーサ13の貫通孔15を塞ぐことがないように設けていればよい。
【0041】
絶縁スペーサ13と電極部14の厚み方向端面の寸法は、絶縁スペーサ13よりも電極部14側を小さく設けることが好ましい。ただし、両者を同等の寸法に設けてもよいし、絶縁スペーサ13よりも電極部14側を大きく設けてもよい。また、絶縁スペーサ13や電極部14の厚み方向端面の形状についても、円形には限定されず、四角形等の他の形状であってもよい。
【0042】
以下においては、両側の電極部14のうち上流側に位置する電極部14を区別する場合に「上流側電極部14a」と呼び、この上流側電極部14aに設けた貫通孔16を「上流側貫通孔16a」と呼ぶ。また、電極部14のうち下流側に位置する電極部14を区別する場合に「下流側電極部14b」と呼び、この下流側電極部14bに設けた貫通孔16を「下流側貫通孔16b」と呼ぶ。
【0043】
本例の髪ケア送風装置において、電源スイッチを兼ねる風量切替スイッチ11をスライドさせて電源をオンにすると、制御回路部(図示せず)が送風部6を駆動させて送風を開始するとともに、高電圧印加部17を駆動させて有効成分発生装置9の上流側電極部14aと下流側電極部14bとの間に高電圧を印加させる。また、風温切替スイッチ12により温風を選択している場合には、ヒータ10への通電がオンされる。
【0044】
送風部6によって空気吸入口4から本体風路3内に導入された空気は、流路途中の分岐箇所を介して分流され、有効成分発生装置9が配置される側の分岐風路7と、ヒータ10が配置される側の分岐風路8とに送り込まれる。分岐風路7内に送り込まれた空気は、後述する有効成分発生装置9で発生した有効成分を乗せて、分岐風路7側の空気吐出口5から外部に吐出される。また、分岐風路8内に送り込まれた空気は、ヒータ10により加熱されて温風となるか或いは冷風のまま分岐風路8内を通過し、分岐風路8側の空気吐出口5から外部に吐出される。
【0045】
ここで、有効成分発生装置9での有効成分の生成について、更に詳述する。両電極部14間に高電圧を印加した有効成分発生装置9においては、上流側貫通孔16aと絶縁スペーサ13の貫通孔15と下流側貫通孔16bとから成る一連の放電貫通孔18内において、マイクロメータサイズの微小なプラズマ(以下「マイクロプラズマ」という)が高密度で生成される。
【0046】
この微小空間である放電貫通孔18内で生じるマイクロプラズマ放電により、硝酸イオン、窒素酸化物、ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等の各種成分が発生する。各種成分の発生バランスは、放電条件等を適宜調整することで調整可能である。本例の有効成分発生装置9の場合、特に硝酸イオンや窒素酸化物等の窒素成分を有効成分として優位に発生させ、毛髪を弱酸性化するという作用や、頭皮の皮脂量低減やフケ抑制といった作用を及ぼすように設ける。
【0047】
上記有効成分を発生させるための放電としては、数百μA〜数十mA程度の放電を生じさせることが好ましい。この放電により、電極部14の温度は数十〜数百℃程度上昇することになる。しかし、本例のように有効成分発生装置9を本体風路3内に配置してあることで、送風部6からの送風が電極部14や絶縁スペーサ13の表面に送り込まれ、温度上昇が抑制される。
【0048】
分岐風路7では、有効成分発生装置9と本体ケース1との間に、風路となる隙間20を設けてある。そのため、上流側から送り込まれた空気の一部が有効成分発生装置9の放電貫通孔18内を通過したうえで下流側に至るとともに、上流側から送り込まれた空気の残り部分が、上記隙間20を通って有効成分発生装置9を迂回したうえで下流側に至るようになっている。
【0049】
放電貫通孔18内を通過する空気は、放電により発生した有効成分を順次下流側へと押し出すように働き、隙間20を通過する空気は、放電貫通孔18内から放出された有効成分を乗せて外部に送り出すように働く。なお、隙間20を設けない構造とし、分岐風路7に送り込まれた空気の全てが放電貫通孔18を通過するように設けてもよい。
【0050】
放電貫通孔18内を通過する空気の風速は0.1〜50m/s程度が好ましい。この風速が遅くなるほど、一定時間内での単位体積あたりの放電によるエネルギが高くなり、硝酸イオン等の有効成分の生成は進むことになる。そのため、毛髪や頭皮への作用を高めるためには、風速を10m/s以下(即ち0.1〜10m/s)に抑えることが更に好ましい。
【0051】
上記構成から成る本例の髪ケア送風装置によれば、分岐風路8側の空気吐出口5から吐出される温風又は冷風を使用者の毛髪に当てると同時に、分岐風路7側の空気吐出口5から送り出される大量の有効成分を毛髪に当てることができる。分岐風路7側から送り出される大量の有効成分は、上記分岐風路8側から吐出される温風又は冷風にも乗って、毛髪に対して効率的に送り込まれる。
【0052】
図4には、有効成分発生装置9の変形例を示している。図示の変形例は、図3等に示した例のように絶縁スペーサ13の厚み方向の両側に電極部14を配置するのではなく、絶縁スペーサ13の厚み方向の片側にのみ電極部14を配置した例である。具体的には、風路中に配してある絶縁スペーサ13の上流側端面に対して、電極部14を密着配置させ、絶縁スペーサ13の貫通孔15と電極部14の貫通孔16とを連通させて放電貫通孔18を形成している。この変形例の場合、図3等に示した例の場合よりも更に高電圧を電極部14に印加することにより、微小径の放電貫通孔18内にてマイクロプラズマ放電を生じさせ、有効成分を生成することができる。なお、絶縁スペーサ13の下流側にのみ電極部14を配置した構成であってもよい。
【0053】
図5には、有効成分発生装置9の他の変形例を示している。図示の変形例においては、上流側および下流側貫通孔16a,16bと絶縁スペーサ13の貫通孔15とから成る放電貫通孔18を、複数(ここでは五個)形成している。複数の放電貫通孔18はいずれも断面形状や寸法が同一の丸孔となっているが、各放電貫通孔18の断面形状や寸法を適宜相違させることにより、流路中の圧力損失をコントロールすることや、下流側における生成物の空間分布を均一化させる又は濃度分布を設けるといったことが可能である。断面形状としては、円形のほかに四角形、スリット状等が考えられる。
【0054】
更に、図示の変形例においては、絶縁スペーサ13と本体ケース1の分岐風路7内周面との間に、マイクロプラズマ放電を生じさせる微小空間を成す隙間21を形成している。
上記隙間21の幅は、0.1〜数mm程度の範囲内で設けてあることが好ましい。絶縁スペーサ13の外周縁に上記隙間21を全周に亘って形成したことで、複数の放電貫通孔18と、これらを囲んでリング状に形成される上記隙間21との両方において、マイクロプラズマ放電を生じさせることができる。上記放電を生じさせるためには、放電貫通孔18と上記隙間21の少なくとも一方を備えてあればよい。なお、図5に示す変形例の構成を、図4に示す変形例に採用することも好適である。
【0055】
ところで、図3等に示す例や図5に示す変形例のように、絶縁スペーサ13の両側に電極部14を配置した構成の有効成分発生装置9にあっては、一方の電極部14を接地させるとともに他方の電極部14にマイナスの高電圧を印加することが、有効成分の生成量を十分に確保するという点で好ましい。なお、マイナスの高電圧を印加する側の電極部14は、上流側電極部14aであることが更に好ましい。
【0056】
これに対して、例えば一方の電極部14にプラス、他方の電極部14にマイナスを印加した場合には、有効成分として生成された硝酸イオン等がプラス側の電極部14に吸着されてしまう。また、一方の電極部14を接地させるとともに他方の電極部14にプラスの高電圧を印加した場合には、硝酸イオン等の有効成分の生成量を十分に発生させることができない。
【0057】
次に、本発明の実施形態における第2例の髪ケア送風装置について説明する。図6には、本例の髪ケア送風装置の全体を示している。また、図7には、第1例の図2と同様に、本例の特徴部分を明確に示すため、グリップ部2や分岐風路8の構成を省いて簡略化した形で、本例の髪ケア送風装置の構成を示している。なお、上記した第1例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、本例の特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0058】
本例の髪ケア送風装置は、本体風路3内に位置する有効成分発生装置9の絶縁スペーサ13および電極部14よりも上流側に、液溜め部30を配置している点を特徴としている。本例の液溜め部30は、ペルチェ素子31を用いた冷却装置32から成る。冷却装置32は、複数設けてあるペルチェ素子31の放熱側に放熱フィン33を接続させ、該ペルチェ素子31の冷却側に冷却板34を接続させた構造である。冷却板34の冷却面35は、本体風路3(分岐風路7)における有効成分発生装置9よりも上流側の部分に露出させており、冷却面35にて生じた結露が該冷却面35上に水滴となって溜められるようになっている。また、本体風路3の有効成分発生装置9を配置している部分(分岐風路7)には、更に別の放熱風路37を分岐させており、この放熱風路37内に冷却装置32の放熱フィン33を露出させている。
【0059】
即ち、本例では空気を冷却して冷却面35上に結露水を発生させる冷却装置32によって、空気中の水分を収集する水分収集装置36を形成している。そして、この冷却装置32から成る水分収集装置36が、液体を溜めおく液溜め部30と、液溜め部30に液体を供給する液体供給手段とを兼ねるようになっている。
【0060】
なお、図示はしないが、例えばタンク等から成る液溜め部30を水分収集装置36とは別に備えておき、この水分収集装置36で収集した水分を、パイプや多孔質部材を介して液溜め部30にまで搬送する構造であってもよい。また、水分収集装置36の構造は、シリカゲルやゼオライト等の吸湿剤を用いて空気中の水分を回収および放出させる構造等の、他の構造であってもよい。
【0061】
そして、本例では有効成分発生装置9の上流側に液溜め部30を配置したことにより、放電によって加熱された電極部14や絶縁スペーサ13を、更に効率的に冷却することができる。液溜め部30は電極部14や絶縁スペーサ13と接触させてもよいが、ここでは有効成分発生装置9から上流側に距離を隔てた箇所に液溜め部30(具体的には結露を生じさせる冷却面35)を位置させ、送風部6からの送風によって液溜め部30の液体を気化又は霧化させた状態で下流側の有効成分発生装置9に送り込み、電極部14や絶縁スペーサ13を冷却するように設けている。また、液溜め部30の液体を気化又は霧化させて有効成分発生装置9に送り込むことで、有効成分を水蒸気やミストに付着させたうえで毛髪等に送り込むことができるという効果も得られる。
【0062】
次に、本発明の実施形態における第3例の髪ケア送風装置について説明する。図8には、本例の髪ケア送風装置の全体を示している。また、図9には、第1例の図2や第2例の図6と同様に、グリップ部2や分岐風路8の構成を省いて簡略化した形で、本例の髪ケア送風装置の構成を示している。なお、上記した第1例や第2例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、本例の特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0063】
本例の髪ケア送風装置は、本体風路3内に位置する有効成分発生装置9の絶縁スペーサ13および電極部14よりも下流側に、液溜め部30を配置している点を特徴としている。液溜め部30は、有効成分発生装置9の放電貫通孔18の下流端と連通するように形成されたパイプ状のものであり、更に、この液溜め部30内に溜められた液体を霧化する霧化部40を備えている。
【0064】
霧化部40は超音波振動子41を有したものであり、液溜め部30から供給された液体を超音波振動により霧化させたうえで空気吐出口5から外部に放出するようになっている。なお、霧化部40としては上記構成に限定されず、表面弾性波を利用して霧化させる構造、加圧して壁面に叩き付ける構造、ポンプを用いてスプレー状に噴霧させる構造、静電霧化を利用する構造(図10に基づいて後述する変形例参照)等の、他の構造であってもよい。霧化部40に替えて、液溜め部30内の液体を風や熱を利用して気化させたうえで外部に放出させる気化部(図示せず)を備えてもよい。
【0065】
また、液溜め部30内に液体を供給する液体供給手段として、第2例と同様の冷却装置32を、冷却側と放熱側の配置を逆にして備えている。冷却装置32の冷却面35と液溜め部30との間には液体供給管42を配置しており、冷却面35で生成された結露水を、液体供給管42を介して液溜め部30にまで順次供給するようになっている。なお、液体供給管42の代わりに、フェルト等の繊維状の部材や、発泡性材料やセラミックから成る多孔質部材を配置して液体を搬送するように設けてもよい。
【0066】
本例では有効成分発生装置9の下流側に液溜め部30を配置することにより、放電により加熱された電極部14や絶縁スペーサ13を冷却することができる。特に本例では下流側電極部14bに液溜め部30を接触させているため、下流側電極部14bを特に効率的に冷却させることができる。なお、放電貫通孔18は上記したように非常に微小径であるため、液溜め部30内の液体が放電貫通孔18内に侵入することは防止される。
【0067】
そして、本例では有効成分発生装置9で発生した有効成分が液溜め部30内に直接的に送り込まれ、液溜め部30内の液体に有効成分を溶解させた後に、霧化部40にて霧化させる構造になっている。そのため、外部に向けて、有効成分が濃縮して溶解された状態のミストMが放出される。ところで、有効成分である硝酸イオンや窒素酸化物が水に溶解することにより、硝酸が生成される。つまり、外部に放出されるミストMは硝酸を含むミストとなり、毛髪を弱酸性化するという作用や、頭皮の皮脂量を低減し且つフケを抑制するという作用や、毛髪や頭皮に水分を補給して水分量を増大させるという作用を奏する。
【0068】
図10に示す有効成分発生装置9の変形例は、静電霧化現象を利用して液溜め部3内の液体を霧化させる構造である。この例の場合、絶縁スペーサ13の上流側に上流側電極部14aを密着配置するとともに、該絶縁スペーサ13の下流側にタンク型の液溜め部3を密着配置させ、絶縁スペーサ13の貫通孔15と上流側貫通孔16aとから成る放電貫通孔18の下流端を、液溜め部3内に連通させている。液溜め部3内には下流側電極部14bを配置しており、液溜め部3内に貯留される液体を介して、上流側電極部14aと下流側電極部14bとの間で放電を生じるようになっている。このように、絶縁スペーサ13と隣接する液溜め部30内に電極部14を配置する構成においては、電極部14は絶縁スペーサ13に密着させる必要はなく、絶縁スペーサ13の近傍に配置していればよい。
【0069】
そして、この変形例では、液溜め部3内の下流側電極部14bが静電霧化用の電極を兼ねている。液溜め部3からは、液溜め部3内の液体を静電霧化用に順次供給するための液搬送部43を突設しており、毛細管現象によって液搬送部43の先端にまで搬送された液体に対して、下流側電極部14bが静電霧化用の高電圧を印加するようになっている。
【0070】
液搬送部43の先端に搬送された液体は、高電圧印加によってテイラーコーンを生じ、静電霧化現象によって弾けるように多量のミストMを順次発生させる。このように、霧化部40として、液溜め部30内の液体を静電霧化により霧化させる構成を採用することで、有効成分が溶解した液体を、粒径が非常に小さく且つ帯電したミストMとして外部に放出できるといった利点がある。なお、静電霧化用の電極は、下流側電極部14bとは別に設けてあってもよい。
【0071】
次に、本発明の実施形態における第4例の髪ケア送風装置について説明する。図11には、本例の髪ケア送風装置の全体を示している。上記した第1例〜第3例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、本例の特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0072】
本例の髪ケア送風装置は、ブラシ部50を備えたヘアドライヤである。この髪ケア送風装置においては、本体ケース1がグリップ部2を兼ねている。
【0073】
本例においても本体風路3の分岐部分を、有効成分発生装置9を配置した分岐風路7と、ヒータ10を配置した分岐風路8とに分けており、有効成分発生装置9を配置した分岐風路7の空気吐出口5を囲む位置に、一対のブラシ部50を備えている。また、ヒータ10を配置した分岐風路8の空気吐出口5は、ブラシ部50の根本部分に多数の空気孔として開口させてある。
【0074】
ブラシ部50は毛髪を梳かすものであり、毛髪に対して適度な摩擦抵抗を付与する材質(樹脂、金属、木材等)を用いて成形している。上記構成のヘアドライヤによれば、空気吐出口5を挟む両側のブラシ部50で毛髪を梳いてテンションを加えながら、該毛髪に対して空気吐出口5から有効成分を当てることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 本体ケース
3 本体風路
4 空気吸入口
5 空気吐出口
6 送風部
7 分岐風路
8 分岐風路
9 有効成分発生装置
10 ヒータ
13 絶縁スペーサ
14 電極部
15 貫通孔
21 隙間
30 液溜め部
32 冷却装置
36 水分収集装置
40 霧化部
50 ブラシ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、風に乗せて有効成分を送り込むことで毛髪や頭皮にケア施す髪ケア送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風に乗せて有効成分を送り込むことで毛髪や頭皮にケア施す髪ケア送風装置として、例えば静電霧化装置を有するドライヤが提案されている(特許文献1参照)。このドライヤによれば、硝酸イオン等の有効成分を含む微小な水粒子を発生させ、送風に乗せて毛髪に送り込むことによって、毛髪を弱酸性化するという作用や、頭皮の皮脂量低減やフケ抑制といった作用が得られる。しかし、毛髪や頭皮に対して十分な作用を及ぼすという目的からいえば、更に大量の有効成分を送りだすことのできるものが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−87836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、毛髪や頭皮にケアを施す有効成分を大量に発生させて送り込むことのできる髪ケア送風装置を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の髪ケア送風装置を、本体ケース1と、本体ケース1に配置した送風部6と、送風部6によって空気吸入口4から吸い込んだ空気を空気吐出口5から吐出させる本体風路3と、髪ケア用の有効成分を発生させるとともに空気吐出口5から吐出される空気に乗せて該有効成分を外部に送り出す有効成分発生装置9とを具備したものとする。上記有効成分発生装置9は、絶縁スペーサ13と、絶縁スペーサ13と隣接して又は近傍に配置される電極部14とを具備し、電極部14に高電圧を印加することで、絶縁スペーサ13に沿って形成される微小空間内で放電を生じさせるものである。
【0006】
上記構成の髪ケア送風装置によれば、絶縁スペーサ13に沿う微小空間内において、微小なプラズマ放電を非常に高密度で発生させることができ、このプラズマ放電によって、硝酸イオン、窒素酸化物等から成る有効成分を大量に発生させることができる。これら大量の有効成分を送風に乗せて使用者の毛髪に効率的に送り込むことで、毛髪を弱酸性化するという作用や、頭皮の皮脂量低減やフケ抑制といった作用を、十分に及ぼすことが可能となる。
【0007】
上記有効成分発生装置9は、絶縁スペーサ13と、絶縁スペーサ13を挟む両側に配置される電極部14とを具備し、両側の電極部14間に高電圧を印加することで放電を生じさせるものであることが好適である。このようにすることで、放電を安定的に生じさせることができ、ひいては大量の有効成分を安定的に生成して送り込むことができる。
【0008】
このとき、上記有効成分発生装置9は、一方の電極部14を接地させるとともに他方の電極部14にマイナスの高電圧を印加するものであることが好適である。このようにすることで、硝酸イオン等の有効成分を大量に発生させることができる。
【0009】
また、上記有効成分発生装置9が放電を生じさせる微小空間は、絶縁スペーサ13に設けた貫通孔15と、絶縁スペーサ13の外周縁に形成した隙間21の、一方又は両方であることが好適である。このようにすることで、貫通孔15や隙間21といった微小空間を利用して、この空間内でプラズマ放電を高密度で発生させ、このプラズマ放電によって有効成分を大量に発生させることができる。
【0010】
また、上記有効成分発生装置9を冷却するための液溜め部30を配置していることが好適である。このようにすることで、放電によって高熱となった有効成分発生装置9の電極部14や絶縁スペーサ13を冷却し、温度上昇を抑制することができる。
【0011】
また、上記有効成分発生装置9は、本体風路3内に配置されていることが好適である。このようにすることで、放電によって高熱となった有効成分発生装置9の電極部14や絶縁スペーサ13を、表面に風を送り込むことで冷却することができる。
【0012】
このとき、上記有効成分発生装置9に設けた絶縁スペーサ13よりも上流側に液溜め部30を配置していることが好適である。このようにすることで、液溜め部30から生じる蒸気やミストによって絶縁スペーサ13等を冷却するとともに、有効成分発生装置9で生じた有効成分を蒸気やミストに付着させたうえで毛髪等に送り込むことが可能となる。
【0013】
またこのとき、上記有効成分発生装置9に設けた絶縁スペーサ13よりも下流側に液溜め部30を配置していることも好適である。このようにすることで、液溜め部30内の液体を利用して絶縁スペーサ13等を冷却するとともに、有効成分発生装置9で生じた有効成分を液溜め部30内に送り込んで溶解させたうえで、この液溜め部30内の液体を蒸気やミストの形にして毛髪等に送り込むことが可能となる。
【0014】
更にこのとき、上記液溜め部30内の液体を霧化する霧化部40を配置していることが好適である。このようにすることで、液溜め部30内で有効成分を溶解させた液体を、霧化部40によって速やかに霧化し、有効成分が溶解したミストMとして毛髪等に効率的に送り込むことができる。
【0015】
また、上記本体風路3は、流路途中より下流側を複数の分岐風路7,8に分岐させ、該複数の分岐風路7,8を、有効成分発生装置9を配置する分岐風路7と、有効成分発生装置9を配置しない分岐風路8とに分けたものであることが好適である。このようにすることで、有効成分発生装置9を配置する側の分岐風路7においては、有効成分を効率的に生じさせるために最適な風量を保ったうえで、有効成分発生装置9を配置しない側の分岐風路8によって、送風装置全体としての風量を確保することができる。
【0016】
このとき、温風発生用のヒータ10を、有効成分発生装置9を配置しない側の分岐風路8中に配置していることが好適である。このようにすることで、ヒータ10により加熱した温風を送り出すことが可能になるとともに、この温風によって有効成分やミストの生成に対して影響を及ぼすことが防止される。
【0017】
また、上記液溜め部30への液体供給手段として、空気中の水分を収集する水分収集装置36を備えることが好適である。このようにすることで、使用者に液体補給の手間を強いることなく、継続的に液体を供給することが可能となる。また、水道水を利用した場合に生じるようなスケールの付着も防止される。
【0018】
上記水分収集装置36は、空気を冷却して結露水を発生させる冷却装置32であることが好適である。このようにすることで、液溜め部30に供給するための液体を、結露水の形で速やかに生成することができる。
【0019】
また、上記本体ケース1の空気吐出口5の近傍に、毛髪にテンションを加えるためのブラシ部50を備えることも好適である。このようにすることで、ブラシ部50によって毛髪にテンションを加えながら有効成分を送り込むことができるので、毛髪に対してケアを施すことが容易となる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明は、大量の有効成分を送風に乗せて使用者の毛髪に効率的に送り込むことで、毛髪に対してしっとり感、柔らかさ、つるつる感、艶等を十分に与えることができ、頭皮に対しては皮脂量の低減やフケ抑制といった作用を十分に及ぼすことができるといった効果を奏する。
【0021】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、大量の有効成分を安定的に生成して送り込むことができるという効果を奏する。
【0022】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加えて、硝酸イオン等の有効成分を大量に発生させ、毛髪に送り込むことができるという効果を奏する。
【0023】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、微小空間として形成した貫通孔や隙間を利用してプラズマ放電を高密度で発生させ、このプラズマ放電によって有効成分を大量に発生させることができるという効果を奏する。
【0024】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、液溜め部を利用することで放電によって高熱となった電極部や絶縁スペーサを冷却し、温度上昇を抑制することができるという効果を奏する。
【0025】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、送風を表面に当てることで放電によって高熱となった電極部や絶縁スペーサを冷却し、温度上昇を抑制することができるという効果を奏する。
【0026】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加えて、液溜め部から生じる蒸気やミストを利用して絶縁スペーサ等を冷却することができるという効果や、有効成分発生装置で生じた有効成分を蒸気やミストに付着させたうえで毛髪等に送り込むことができるという効果を奏する。
【0027】
請求項8に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加えて、液溜め部内の液体を利用して絶縁スペーサ等を冷却することができるという効果や、有効成分発生装置で生じた有効成分を液溜め部内に送り込んで溶解させたうえで、この液溜め部内の液体を蒸気やミストの形にして毛髪等に送り込むことができるという効果を奏する。
【0028】
請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明の効果に加えて、液溜め部内で有効成分を溶解させた液体を、速やかに霧化して送り込むことができるという効果を奏する。
【0029】
請求項10に係る発明は、請求項6〜9のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、有効成分発生装置を配置する側の分岐風路では有効成分の生成に最適な風量を保ったうえで、有効成分を配置しない側の分岐風路によって送風装置全体としての風量を確保することができるという効果を奏する。
【0030】
請求項11に係る発明は、請求項10に係る発明の効果に加えて、温風を送り出すことを可能にし、且つ、この温風が有効成分やミストの生成に悪影響を及ぼすことは確実に防止することができるという効果を奏する。
【0031】
請求項12に係る発明は、請求項5、7〜9のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、液体補給の手間を強いることなく継続的に液体を供給することができ、また、スケールの付着も防止されるという効果を奏する。
【0032】
請求項13に係る発明は、請求項12に係る発明の効果に加えて、液溜め部に供給するための液体を、結露水の形で速やかに生成することができるという効果を奏する。
【0033】
請求項14に係る発明は、請求項1〜13のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、ブラシ部によって毛髪にテンションを加えながら有効成分を送り込むといった使用形態が可能となり、髪ケアを施すことが容易になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態における第1例の髪ケア送風装置の要部断面図である。
【図2】同上の髪ケア送風装置の概略説明図である。
【図3】同上の髪ケア送風装置に備える有効成分発生装置を示し、(a)は側面図、(b)は上流側から見た正面図である。
【図4】同上の有効成分発生装置の変形例を示し、(a)は側面図、(b)は上流側から見た正面図である。
【図5】同上の有効成分発生装置の他の変形例を示し、(a)は側面図、(b)は上流側から見た正面図である。
【図6】本発明の実施形態における第2例の髪ケア送風装置の要部断面図である。
【図7】同上の髪ケア送風装置の概略説明図である。
【図8】本発明の実施形態における第3例の髪ケア送風装置の要部断面図である。
【図9】同上の髪ケア送風装置の概略説明図である。
【図10】同上の髪ケア送風装置に備える有効成分発生装置の変形例を示す概略説明図である。
【図11】本発明の実施形態における第4例の髪ケア送風装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態における第1例の髪ケア送風装置の全体を示している。本例では髪ケア送風装置をドライヤとした場合を示しているが、送風により有効成分を送り込んで毛髪や頭皮にケアを施すことのできるものであればドライヤには限定されず、例えば扇風機、空気清浄機、空調設備等であってもよい。
【0036】
ドライヤである本例の髪ケア送風装置は、筒型を成す本体ケース1から、グリップ部2を折畳み自在に延設した外形を有している。本体ケース1内には本体風路3を形成しており、この本体風路3の上流端を空気吸入口4として本体ケース1の一端側に開口させ、本体風路3の下流端を空気吐出口5として本体ケース1の他端側に開口させている。空気吸入口4や空気吐出口5には、格子を設けておくことが好ましい。
【0037】
本体風路3の上流部分には、送風ファンから成る送風部6を配置しており、送風部6によって空気吸入口4から吸い込まれた外気が、本体風路3内を通過した後に空気吐出口5を通じて外部に送り出されるようになっている。本体風路3は、その流路途中より下流側を2つの分岐風路7,8に分岐させており、そのうち一方の分岐風路7に有効成分発生装置9を配置し、他方の分岐風路8には温風発生用のヒータ10を配置している。分岐風路7,8は隔壁19を介して平行に形成しており、分岐風路7側の空気吐出口5と分岐風路8側の空気吐出口5とは、隣接する位置にて同一方向に開口させている。
【0038】
グリップ部2には、風量切替スイッチ11と、風温切替スイッチ12とを備えている。風量切替スイッチ11は、送風部6により発生させる風量を切り替えるものであり、風温切替スイッチ12は、温風と冷風を切り替えるものである。これらのスイッチ11,12は、本体ケース1の側面に配置してあってもよい。
【0039】
図2には、本発明の特徴部分を明確に示すため、グリップ部2や分岐風路8の構成を省いて簡略化した形で、髪ケア送風装置の構成を示している。図示のように、本体風路3内に配置される有効成分発生装置9は、送風部6よりも下流側に位置するものであって、絶縁スペーサ13と、この絶縁スペーサ13を挟む両側に密着配置される一対の電極部14とでユニット化されている。両側の電極部14間には、高電圧印加部17によって高電圧が印加される。ここでの電圧印加には、放電の安定性を高めるためにパルス状の電圧を用いることが好適であり、その場合にはパルス幅を数十〜数百ms、周波数を数百〜数千Hz、パルス高さを−3〜−10kV程度とすることが更に好適である。
【0040】
図3にも示すように、絶縁スペーサ13は、絶縁性を有するともに高い耐熱性を有する材質(セラミック等)から成る、円板状の部材である。また、電極部14は、錆による影響が少なく且つ発熱と冷却の繰り返しに対して高い耐久性を有する材質(ステンレス等)から成る、同じく円板状の部材である。絶縁スペーサ13と電極部14には共に、その厚み方向に貫通する貫通孔15,16を中央部に形成している。両貫通孔15,16は共に0.1〜数mm程度の内径を有しており、絶縁スペーサ13と電極部14の互いの厚み方向端面を密着させた状態で、両貫通孔15,16が厚み方向に一直線状に連通するように設けている。なお、絶縁スペーサ13に電極部14を密着配置するに際しては、電極部14によって絶縁スペーサ13の貫通孔15を塞ぐことがないように設けていればよい。
【0041】
絶縁スペーサ13と電極部14の厚み方向端面の寸法は、絶縁スペーサ13よりも電極部14側を小さく設けることが好ましい。ただし、両者を同等の寸法に設けてもよいし、絶縁スペーサ13よりも電極部14側を大きく設けてもよい。また、絶縁スペーサ13や電極部14の厚み方向端面の形状についても、円形には限定されず、四角形等の他の形状であってもよい。
【0042】
以下においては、両側の電極部14のうち上流側に位置する電極部14を区別する場合に「上流側電極部14a」と呼び、この上流側電極部14aに設けた貫通孔16を「上流側貫通孔16a」と呼ぶ。また、電極部14のうち下流側に位置する電極部14を区別する場合に「下流側電極部14b」と呼び、この下流側電極部14bに設けた貫通孔16を「下流側貫通孔16b」と呼ぶ。
【0043】
本例の髪ケア送風装置において、電源スイッチを兼ねる風量切替スイッチ11をスライドさせて電源をオンにすると、制御回路部(図示せず)が送風部6を駆動させて送風を開始するとともに、高電圧印加部17を駆動させて有効成分発生装置9の上流側電極部14aと下流側電極部14bとの間に高電圧を印加させる。また、風温切替スイッチ12により温風を選択している場合には、ヒータ10への通電がオンされる。
【0044】
送風部6によって空気吸入口4から本体風路3内に導入された空気は、流路途中の分岐箇所を介して分流され、有効成分発生装置9が配置される側の分岐風路7と、ヒータ10が配置される側の分岐風路8とに送り込まれる。分岐風路7内に送り込まれた空気は、後述する有効成分発生装置9で発生した有効成分を乗せて、分岐風路7側の空気吐出口5から外部に吐出される。また、分岐風路8内に送り込まれた空気は、ヒータ10により加熱されて温風となるか或いは冷風のまま分岐風路8内を通過し、分岐風路8側の空気吐出口5から外部に吐出される。
【0045】
ここで、有効成分発生装置9での有効成分の生成について、更に詳述する。両電極部14間に高電圧を印加した有効成分発生装置9においては、上流側貫通孔16aと絶縁スペーサ13の貫通孔15と下流側貫通孔16bとから成る一連の放電貫通孔18内において、マイクロメータサイズの微小なプラズマ(以下「マイクロプラズマ」という)が高密度で生成される。
【0046】
この微小空間である放電貫通孔18内で生じるマイクロプラズマ放電により、硝酸イオン、窒素酸化物、ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等の各種成分が発生する。各種成分の発生バランスは、放電条件等を適宜調整することで調整可能である。本例の有効成分発生装置9の場合、特に硝酸イオンや窒素酸化物等の窒素成分を有効成分として優位に発生させ、毛髪を弱酸性化するという作用や、頭皮の皮脂量低減やフケ抑制といった作用を及ぼすように設ける。
【0047】
上記有効成分を発生させるための放電としては、数百μA〜数十mA程度の放電を生じさせることが好ましい。この放電により、電極部14の温度は数十〜数百℃程度上昇することになる。しかし、本例のように有効成分発生装置9を本体風路3内に配置してあることで、送風部6からの送風が電極部14や絶縁スペーサ13の表面に送り込まれ、温度上昇が抑制される。
【0048】
分岐風路7では、有効成分発生装置9と本体ケース1との間に、風路となる隙間20を設けてある。そのため、上流側から送り込まれた空気の一部が有効成分発生装置9の放電貫通孔18内を通過したうえで下流側に至るとともに、上流側から送り込まれた空気の残り部分が、上記隙間20を通って有効成分発生装置9を迂回したうえで下流側に至るようになっている。
【0049】
放電貫通孔18内を通過する空気は、放電により発生した有効成分を順次下流側へと押し出すように働き、隙間20を通過する空気は、放電貫通孔18内から放出された有効成分を乗せて外部に送り出すように働く。なお、隙間20を設けない構造とし、分岐風路7に送り込まれた空気の全てが放電貫通孔18を通過するように設けてもよい。
【0050】
放電貫通孔18内を通過する空気の風速は0.1〜50m/s程度が好ましい。この風速が遅くなるほど、一定時間内での単位体積あたりの放電によるエネルギが高くなり、硝酸イオン等の有効成分の生成は進むことになる。そのため、毛髪や頭皮への作用を高めるためには、風速を10m/s以下(即ち0.1〜10m/s)に抑えることが更に好ましい。
【0051】
上記構成から成る本例の髪ケア送風装置によれば、分岐風路8側の空気吐出口5から吐出される温風又は冷風を使用者の毛髪に当てると同時に、分岐風路7側の空気吐出口5から送り出される大量の有効成分を毛髪に当てることができる。分岐風路7側から送り出される大量の有効成分は、上記分岐風路8側から吐出される温風又は冷風にも乗って、毛髪に対して効率的に送り込まれる。
【0052】
図4には、有効成分発生装置9の変形例を示している。図示の変形例は、図3等に示した例のように絶縁スペーサ13の厚み方向の両側に電極部14を配置するのではなく、絶縁スペーサ13の厚み方向の片側にのみ電極部14を配置した例である。具体的には、風路中に配してある絶縁スペーサ13の上流側端面に対して、電極部14を密着配置させ、絶縁スペーサ13の貫通孔15と電極部14の貫通孔16とを連通させて放電貫通孔18を形成している。この変形例の場合、図3等に示した例の場合よりも更に高電圧を電極部14に印加することにより、微小径の放電貫通孔18内にてマイクロプラズマ放電を生じさせ、有効成分を生成することができる。なお、絶縁スペーサ13の下流側にのみ電極部14を配置した構成であってもよい。
【0053】
図5には、有効成分発生装置9の他の変形例を示している。図示の変形例においては、上流側および下流側貫通孔16a,16bと絶縁スペーサ13の貫通孔15とから成る放電貫通孔18を、複数(ここでは五個)形成している。複数の放電貫通孔18はいずれも断面形状や寸法が同一の丸孔となっているが、各放電貫通孔18の断面形状や寸法を適宜相違させることにより、流路中の圧力損失をコントロールすることや、下流側における生成物の空間分布を均一化させる又は濃度分布を設けるといったことが可能である。断面形状としては、円形のほかに四角形、スリット状等が考えられる。
【0054】
更に、図示の変形例においては、絶縁スペーサ13と本体ケース1の分岐風路7内周面との間に、マイクロプラズマ放電を生じさせる微小空間を成す隙間21を形成している。
上記隙間21の幅は、0.1〜数mm程度の範囲内で設けてあることが好ましい。絶縁スペーサ13の外周縁に上記隙間21を全周に亘って形成したことで、複数の放電貫通孔18と、これらを囲んでリング状に形成される上記隙間21との両方において、マイクロプラズマ放電を生じさせることができる。上記放電を生じさせるためには、放電貫通孔18と上記隙間21の少なくとも一方を備えてあればよい。なお、図5に示す変形例の構成を、図4に示す変形例に採用することも好適である。
【0055】
ところで、図3等に示す例や図5に示す変形例のように、絶縁スペーサ13の両側に電極部14を配置した構成の有効成分発生装置9にあっては、一方の電極部14を接地させるとともに他方の電極部14にマイナスの高電圧を印加することが、有効成分の生成量を十分に確保するという点で好ましい。なお、マイナスの高電圧を印加する側の電極部14は、上流側電極部14aであることが更に好ましい。
【0056】
これに対して、例えば一方の電極部14にプラス、他方の電極部14にマイナスを印加した場合には、有効成分として生成された硝酸イオン等がプラス側の電極部14に吸着されてしまう。また、一方の電極部14を接地させるとともに他方の電極部14にプラスの高電圧を印加した場合には、硝酸イオン等の有効成分の生成量を十分に発生させることができない。
【0057】
次に、本発明の実施形態における第2例の髪ケア送風装置について説明する。図6には、本例の髪ケア送風装置の全体を示している。また、図7には、第1例の図2と同様に、本例の特徴部分を明確に示すため、グリップ部2や分岐風路8の構成を省いて簡略化した形で、本例の髪ケア送風装置の構成を示している。なお、上記した第1例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、本例の特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0058】
本例の髪ケア送風装置は、本体風路3内に位置する有効成分発生装置9の絶縁スペーサ13および電極部14よりも上流側に、液溜め部30を配置している点を特徴としている。本例の液溜め部30は、ペルチェ素子31を用いた冷却装置32から成る。冷却装置32は、複数設けてあるペルチェ素子31の放熱側に放熱フィン33を接続させ、該ペルチェ素子31の冷却側に冷却板34を接続させた構造である。冷却板34の冷却面35は、本体風路3(分岐風路7)における有効成分発生装置9よりも上流側の部分に露出させており、冷却面35にて生じた結露が該冷却面35上に水滴となって溜められるようになっている。また、本体風路3の有効成分発生装置9を配置している部分(分岐風路7)には、更に別の放熱風路37を分岐させており、この放熱風路37内に冷却装置32の放熱フィン33を露出させている。
【0059】
即ち、本例では空気を冷却して冷却面35上に結露水を発生させる冷却装置32によって、空気中の水分を収集する水分収集装置36を形成している。そして、この冷却装置32から成る水分収集装置36が、液体を溜めおく液溜め部30と、液溜め部30に液体を供給する液体供給手段とを兼ねるようになっている。
【0060】
なお、図示はしないが、例えばタンク等から成る液溜め部30を水分収集装置36とは別に備えておき、この水分収集装置36で収集した水分を、パイプや多孔質部材を介して液溜め部30にまで搬送する構造であってもよい。また、水分収集装置36の構造は、シリカゲルやゼオライト等の吸湿剤を用いて空気中の水分を回収および放出させる構造等の、他の構造であってもよい。
【0061】
そして、本例では有効成分発生装置9の上流側に液溜め部30を配置したことにより、放電によって加熱された電極部14や絶縁スペーサ13を、更に効率的に冷却することができる。液溜め部30は電極部14や絶縁スペーサ13と接触させてもよいが、ここでは有効成分発生装置9から上流側に距離を隔てた箇所に液溜め部30(具体的には結露を生じさせる冷却面35)を位置させ、送風部6からの送風によって液溜め部30の液体を気化又は霧化させた状態で下流側の有効成分発生装置9に送り込み、電極部14や絶縁スペーサ13を冷却するように設けている。また、液溜め部30の液体を気化又は霧化させて有効成分発生装置9に送り込むことで、有効成分を水蒸気やミストに付着させたうえで毛髪等に送り込むことができるという効果も得られる。
【0062】
次に、本発明の実施形態における第3例の髪ケア送風装置について説明する。図8には、本例の髪ケア送風装置の全体を示している。また、図9には、第1例の図2や第2例の図6と同様に、グリップ部2や分岐風路8の構成を省いて簡略化した形で、本例の髪ケア送風装置の構成を示している。なお、上記した第1例や第2例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、本例の特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0063】
本例の髪ケア送風装置は、本体風路3内に位置する有効成分発生装置9の絶縁スペーサ13および電極部14よりも下流側に、液溜め部30を配置している点を特徴としている。液溜め部30は、有効成分発生装置9の放電貫通孔18の下流端と連通するように形成されたパイプ状のものであり、更に、この液溜め部30内に溜められた液体を霧化する霧化部40を備えている。
【0064】
霧化部40は超音波振動子41を有したものであり、液溜め部30から供給された液体を超音波振動により霧化させたうえで空気吐出口5から外部に放出するようになっている。なお、霧化部40としては上記構成に限定されず、表面弾性波を利用して霧化させる構造、加圧して壁面に叩き付ける構造、ポンプを用いてスプレー状に噴霧させる構造、静電霧化を利用する構造(図10に基づいて後述する変形例参照)等の、他の構造であってもよい。霧化部40に替えて、液溜め部30内の液体を風や熱を利用して気化させたうえで外部に放出させる気化部(図示せず)を備えてもよい。
【0065】
また、液溜め部30内に液体を供給する液体供給手段として、第2例と同様の冷却装置32を、冷却側と放熱側の配置を逆にして備えている。冷却装置32の冷却面35と液溜め部30との間には液体供給管42を配置しており、冷却面35で生成された結露水を、液体供給管42を介して液溜め部30にまで順次供給するようになっている。なお、液体供給管42の代わりに、フェルト等の繊維状の部材や、発泡性材料やセラミックから成る多孔質部材を配置して液体を搬送するように設けてもよい。
【0066】
本例では有効成分発生装置9の下流側に液溜め部30を配置することにより、放電により加熱された電極部14や絶縁スペーサ13を冷却することができる。特に本例では下流側電極部14bに液溜め部30を接触させているため、下流側電極部14bを特に効率的に冷却させることができる。なお、放電貫通孔18は上記したように非常に微小径であるため、液溜め部30内の液体が放電貫通孔18内に侵入することは防止される。
【0067】
そして、本例では有効成分発生装置9で発生した有効成分が液溜め部30内に直接的に送り込まれ、液溜め部30内の液体に有効成分を溶解させた後に、霧化部40にて霧化させる構造になっている。そのため、外部に向けて、有効成分が濃縮して溶解された状態のミストMが放出される。ところで、有効成分である硝酸イオンや窒素酸化物が水に溶解することにより、硝酸が生成される。つまり、外部に放出されるミストMは硝酸を含むミストとなり、毛髪を弱酸性化するという作用や、頭皮の皮脂量を低減し且つフケを抑制するという作用や、毛髪や頭皮に水分を補給して水分量を増大させるという作用を奏する。
【0068】
図10に示す有効成分発生装置9の変形例は、静電霧化現象を利用して液溜め部3内の液体を霧化させる構造である。この例の場合、絶縁スペーサ13の上流側に上流側電極部14aを密着配置するとともに、該絶縁スペーサ13の下流側にタンク型の液溜め部3を密着配置させ、絶縁スペーサ13の貫通孔15と上流側貫通孔16aとから成る放電貫通孔18の下流端を、液溜め部3内に連通させている。液溜め部3内には下流側電極部14bを配置しており、液溜め部3内に貯留される液体を介して、上流側電極部14aと下流側電極部14bとの間で放電を生じるようになっている。このように、絶縁スペーサ13と隣接する液溜め部30内に電極部14を配置する構成においては、電極部14は絶縁スペーサ13に密着させる必要はなく、絶縁スペーサ13の近傍に配置していればよい。
【0069】
そして、この変形例では、液溜め部3内の下流側電極部14bが静電霧化用の電極を兼ねている。液溜め部3からは、液溜め部3内の液体を静電霧化用に順次供給するための液搬送部43を突設しており、毛細管現象によって液搬送部43の先端にまで搬送された液体に対して、下流側電極部14bが静電霧化用の高電圧を印加するようになっている。
【0070】
液搬送部43の先端に搬送された液体は、高電圧印加によってテイラーコーンを生じ、静電霧化現象によって弾けるように多量のミストMを順次発生させる。このように、霧化部40として、液溜め部30内の液体を静電霧化により霧化させる構成を採用することで、有効成分が溶解した液体を、粒径が非常に小さく且つ帯電したミストMとして外部に放出できるといった利点がある。なお、静電霧化用の電極は、下流側電極部14bとは別に設けてあってもよい。
【0071】
次に、本発明の実施形態における第4例の髪ケア送風装置について説明する。図11には、本例の髪ケア送風装置の全体を示している。上記した第1例〜第3例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、本例の特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0072】
本例の髪ケア送風装置は、ブラシ部50を備えたヘアドライヤである。この髪ケア送風装置においては、本体ケース1がグリップ部2を兼ねている。
【0073】
本例においても本体風路3の分岐部分を、有効成分発生装置9を配置した分岐風路7と、ヒータ10を配置した分岐風路8とに分けており、有効成分発生装置9を配置した分岐風路7の空気吐出口5を囲む位置に、一対のブラシ部50を備えている。また、ヒータ10を配置した分岐風路8の空気吐出口5は、ブラシ部50の根本部分に多数の空気孔として開口させてある。
【0074】
ブラシ部50は毛髪を梳かすものであり、毛髪に対して適度な摩擦抵抗を付与する材質(樹脂、金属、木材等)を用いて成形している。上記構成のヘアドライヤによれば、空気吐出口5を挟む両側のブラシ部50で毛髪を梳いてテンションを加えながら、該毛髪に対して空気吐出口5から有効成分を当てることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 本体ケース
3 本体風路
4 空気吸入口
5 空気吐出口
6 送風部
7 分岐風路
8 分岐風路
9 有効成分発生装置
10 ヒータ
13 絶縁スペーサ
14 電極部
15 貫通孔
21 隙間
30 液溜め部
32 冷却装置
36 水分収集装置
40 霧化部
50 ブラシ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、本体ケースに配置した送風部と、送風部によって空気吸入口から吸い込んだ空気を空気吐出口から吐出させる本体風路と、髪ケア用の有効成分を発生させるとともに空気吐出口から吐出される空気に乗せて該有効成分を外部に送り出す有効成分発生装置とを具備する髪ケア送風装置であって、上記有効成分発生装置は、絶縁スペーサと、絶縁スペーサと隣接して又は近傍に配置される電極部とを具備し、電極部に高電圧を印加することで、絶縁スペーサに沿って形成される微小空間内で放電を生じさせるものであることを特徴とする髪ケア送風装置。
【請求項2】
上記有効成分発生装置は、絶縁スペーサと、絶縁スペーサを挟む両側に配置される電極部とを具備し、両側の電極部間に高電圧を印加することで放電を生じさせるものであることを特徴とする請求項1記載の髪ケア送風装置。
【請求項3】
上記有効成分発生装置は、一方の電極部を接地させるとともに他方の電極部にマイナスの高電圧を印加するものであることを特徴とする請求項2記載の髪ケア送風装置。
【請求項4】
上記有効成分発生装置が放電を生じさせる微小空間は、絶縁スペーサに設けた貫通孔と、絶縁スペーサの外周縁に形成した隙間の、一方又は両方であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項5】
上記有効成分発生装置を冷却するための液溜め部を配置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項6】
上記有効成分発生装置は、本体風路内に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項7】
上記有効成分発生装置に設けた絶縁スペーサよりも上流側に、液溜め部を配置していることを特徴とする請求項6記載の髪ケア送風装置。
【請求項8】
上記有効成分発生装置に設けた絶縁スペーサよりも下流側に、液溜め部を配置していることを特徴とする請求項6記載の髪ケア送風装置。
【請求項9】
上記液溜め部内の液体を霧化する霧化部を配置していることを特徴とする請求項8記載の髪ケア送風装置。
【請求項10】
上記本体風路は、流路途中より下流側を複数の分岐風路に分岐させ、該複数の分岐風路を、有効成分発生装置を配置する分岐風路と、有効成分発生装置を配置しない分岐風路とに分けたものであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項11】
温風発生用のヒータを、有効成分発生装置を配置しない側の分岐風路中に配置していることを特徴とする請求項10記載の髪ケア送風装置。
【請求項12】
上記液溜め部への液体供給手段として、空気中の水分を収集する水分収集装置を備えることを特徴とする請求項5、7〜9のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項13】
上記水分収集装置は、空気を冷却して結露水を発生させる冷却装置であることを特徴とする請求項12記載の髪ケア送風装置。
【請求項14】
上記本体ケースの空気吐出口の近傍に、毛髪にテンションを加えるためのブラシ部を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項1】
本体ケースと、本体ケースに配置した送風部と、送風部によって空気吸入口から吸い込んだ空気を空気吐出口から吐出させる本体風路と、髪ケア用の有効成分を発生させるとともに空気吐出口から吐出される空気に乗せて該有効成分を外部に送り出す有効成分発生装置とを具備する髪ケア送風装置であって、上記有効成分発生装置は、絶縁スペーサと、絶縁スペーサと隣接して又は近傍に配置される電極部とを具備し、電極部に高電圧を印加することで、絶縁スペーサに沿って形成される微小空間内で放電を生じさせるものであることを特徴とする髪ケア送風装置。
【請求項2】
上記有効成分発生装置は、絶縁スペーサと、絶縁スペーサを挟む両側に配置される電極部とを具備し、両側の電極部間に高電圧を印加することで放電を生じさせるものであることを特徴とする請求項1記載の髪ケア送風装置。
【請求項3】
上記有効成分発生装置は、一方の電極部を接地させるとともに他方の電極部にマイナスの高電圧を印加するものであることを特徴とする請求項2記載の髪ケア送風装置。
【請求項4】
上記有効成分発生装置が放電を生じさせる微小空間は、絶縁スペーサに設けた貫通孔と、絶縁スペーサの外周縁に形成した隙間の、一方又は両方であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項5】
上記有効成分発生装置を冷却するための液溜め部を配置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項6】
上記有効成分発生装置は、本体風路内に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項7】
上記有効成分発生装置に設けた絶縁スペーサよりも上流側に、液溜め部を配置していることを特徴とする請求項6記載の髪ケア送風装置。
【請求項8】
上記有効成分発生装置に設けた絶縁スペーサよりも下流側に、液溜め部を配置していることを特徴とする請求項6記載の髪ケア送風装置。
【請求項9】
上記液溜め部内の液体を霧化する霧化部を配置していることを特徴とする請求項8記載の髪ケア送風装置。
【請求項10】
上記本体風路は、流路途中より下流側を複数の分岐風路に分岐させ、該複数の分岐風路を、有効成分発生装置を配置する分岐風路と、有効成分発生装置を配置しない分岐風路とに分けたものであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項11】
温風発生用のヒータを、有効成分発生装置を配置しない側の分岐風路中に配置していることを特徴とする請求項10記載の髪ケア送風装置。
【請求項12】
上記液溜め部への液体供給手段として、空気中の水分を収集する水分収集装置を備えることを特徴とする請求項5、7〜9のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【請求項13】
上記水分収集装置は、空気を冷却して結露水を発生させる冷却装置であることを特徴とする請求項12記載の髪ケア送風装置。
【請求項14】
上記本体ケースの空気吐出口の近傍に、毛髪にテンションを加えるためのブラシ部を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の髪ケア送風装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−51780(P2010−51780A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40656(P2009−40656)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【分割の表示】特願2008−217411(P2008−217411)の分割
【原出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【分割の表示】特願2008−217411(P2008−217411)の分割
【原出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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