魚の養殖に使用するための成形魚製品を生産するシステム及び方法
ソーセージのような飼料製品が、ブタの腸、コラーゲン、又はセルロース等の天然の材料から形成することができる皮を含む。当該ソーセージのような飼料製品の内容物は、イワシ、サバ、イカ等の魚種を少なくとも1つ含んだ飼料の中身、及び、当該飼料製品が与えられる魚の脂肪含有量を上げるよう、並びに、当該飼料製品の他の態様を最適化するか又は高めるよう設計された添加物を含むことができる。当該ソーセージのような飼料製品は、魚にとって飼料製品が魅力的に見えるよう設計された最適な形状、及び、飼料製品が与えられる魚のサイズに基づいた最適なサイズも含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記述された実施形態は、魚の養殖に関し、特に、高い蛋白質濃度を有する成形飼料製品の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
成長する社会における増加する需要を満たすために、世界的な魚の貯えが激減しているため、魚の養殖は、世界の食用魚の需要を満たす、より重要な役割を担っている。従来技術を使用して、種々の魚を養殖することができる。これらの魚種の一部は、実際に、管理された環境において繁殖させて完全に飼育することができる。しかし、他の種類の魚は、管理された環境において繁殖するのは経済的に実行可能ではなく、従って、捕獲し、養魚場に入れ、次に、収穫するのに適切な状態に達するまで給餌及び世話をしなければならない。そのような方法で養殖されてきた魚の一例は、クロマグロである。
【0003】
従って、クロマグロは、一般的に海で捕獲されて、魚が放出される沿岸の大きな収容囲いに生きたまま移される。次に、例えば収穫するためのサイズ等、適切な状態に達するまで、餌、一般的にはイワシが魚に与えられる。この方法で、クロマグロに対する市場の需要は、より少ない量の捕獲魚で満たすことができる。
【0004】
魚が成長する速度は、その魚に与えられる蛋白質の量、すなわち、捕獲魚に給餌されるイワシに含まれる蛋白質の量に応じる。遺憾ながら、生きたイワシは、約70〜80%が水である。従って、飼料の約70〜80%が全く蛋白質を含有していない。特定の例において、イワシは、捕獲及び冷凍され、養魚場まで移されて、解凍された後魚に与えられる。このプロセスは、魚に提供される、実際にいかなる栄養分も含む飼料の割合を減らすためのみに機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、1トンの魚に変わるためにかかる飼料は15トンほどであり得る。現在、世界中で約30トンのクロマグロが養魚場に存在し、それは、養魚場内の30トンのクロマグロに対する所望の成長速度を達成するために450トンの飼料、すなわちイワシ等が必要とされることを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ソーセージのような飼料製品は、ブタの腸、コラーゲン、又はセルロース等の天然の材料から形成することができる皮を含む。ソーセージのような飼料製品の中身は、イワシ、サバ、イカ等の魚種を少なくとも1つ、及び、飼料製品が与えられる魚の脂肪含有量を上げるよう、並びに、飼料製品の他の態様を最適化するか又は高めるよう作られた添加物を含んだ試料内容物を含むことができる。ソーセージのような飼料製品は、魚に対して当該飼料製品を魅力的に見せるよう設計された最適な形状、及び、飼料製品が与えられる魚のサイズに応じた最適なサイズも含む。
【0007】
一態様において、前記添加物は、魚の質及び色調のうち少なくとも1つを上げる、又は、魚の質及び色調のうち少なくとも1つに影響を及ぼすよう作られる。
【0008】
別の態様において、前記添加物は、飼料製品のにおい及び色調のうち少なくとも1つに影響するよう作られる。
【0009】
さらに別の態様において、前記添加物は、魚油、野菜由来の脂肪、ビタミン、オキアミ、及び魚粉のうち少なくとも1つを含む。
【0010】
前記及び他の特徴、態様、及び実施形態は、以下の「発明を実施するための形態」と題された項において、及び、付随の図面と共に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】前の年と比較した、2006〜2007シーズンに養殖されたマグロに給餌するために使用されたイワシの脂肪含有量を例示したグラフである。
【図2】養殖されたマグロの脂肪含有量を上げるよう試みる試験が行われた際の、新鮮なイワシと比較した、冷凍されたイワシに付着したまま残った魚油の量を例示したグラフである。
【図3】所望の範囲(21〜23)よりも低い状態指数(condition index)を有し、売却された製品のパーセントを例示したグラフである。
【図4】サンプルのマグロの集団のうち、所望のCI(>21)よりも低いCIを有したマグロのパーセントを例示したグラフである。
【図5】養殖されたマグロのサンプルセットにおける1回の収穫あたりのCIの変化を例示したグラフである。
【図6】サンプルのマグロの集団のうち、所望のCI(>21)を超えたCIを有したマグロのパーセントを例示したグラフである。
【図7】サンプルセットのマグロにおけるCIの分布を例示したグラフである。
【図8】小さいマグロの集団を有する囲いにおけるイワシの摂取量の差を実証する例を示したグラフである。
【図9】イワシの摂取量に対して得られたマグロの質の比較を提供している。
【図10】イワシの摂取量に対して得られたマグロの質の比較を提供している。
【図11】イワシの摂取量に対して得られたマグロの質の比較を提供している。
【図12】大きいマグロの集団及び小さいマグロの集団を有する囲いにおけるイワシの摂取量の差を実証する例を提供している。
【図13】イワシの摂取量に対して得られた質の比較を提供している。
【図14】イワシの摂取量に対して得られた質の比較を提供している。
【図15】サンプルセットのマグロに対する海の環境における状態を例示したグラフである。
【図16】サンプルセットのマグロにおける状態指数の分布を例示したグラフである。
【図17】サンプルセットのマグロにおける状態指数の分布を例示したグラフである。
【図18】サンプルセットのマグロにおける状態指数の分布を例示したグラフである。
【図19】サンプルセットのマグロにおける状態指数の分布を例示したグラフである。
【図20】04〜05、05〜06、及び06〜07シーズンのイワシの脂肪を例示したグラフである。
【図21】06〜07シーズンのイワシの脂肪を例示したグラフである。
【図22】04〜05、05〜06、及び06〜07シーズンの血液学的データを例示したグラフである。
【図23】よりストレスを受けた囲い対よりストレスの少ない囲いのマグロにおける血液学的データを例示したグラフである。
【図24】イワシの脂肪の存在を示すマグロの血中コレステロールを例示したグラフである。
【図25】サンプルセットのマグロにおける血中ヘモグロビンを例示したグラフである。
【図26】06〜07及び04〜05シーズンのイワシの摂取量における傾向を例示したグラフである。
【図27】06〜07及び04〜05シーズンのイワシの摂取量における傾向を例示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
養殖される魚、すなわちクロマグロに給餌するための成形食品を生産するシステム及び方法が以下に記述される。イワシ等の飼料は、捕獲魚に届けられる飼料1トンあたりの蛋白質の量を増やすために、ソーセージのような製品に成形される。飼料における蛋白質の割合を増やすことによって、目方で有意に少ない飼料が、所望の成長速度を達成するために必要とされる。さらに、以下で記述されるように、特定の添加物を飼料に加え、収穫される魚の脂肪含有量、質、色調等を上げることができる。
【0013】
ソーセージのような飼料製品を作製するために、イワシ、又は以下で説明されるように他の魚種が、皮内に成形され、特定の形状の特定の長さに形成される。長さ及び形状は重要である。飼料のサイズは、給餌される魚のサイズに関連づけられる。小さい魚が給餌される場合、その魚はサバ等の大きな飼料用の魚を食べることができないため、イワシ等の小さい飼料用の魚が要求される。しかし、魚が成長するに従い、飼料のサイズを大きくすることができる。このように、段階によっては、サバ等の大きな魚は大きすぎて、従って飼料用の魚としては効果的ではないことがあり得る。アンチョビ等の他の魚種は、小さすぎる場合がある。
【0014】
別の考慮すべき問題は、魚にとって飼料製品がどのように見えるかである。魚にとってその形状が容認できない場合、魚は飼料を食べない可能性がある。従って、標的となる魚に容認されるように正しい形状と長さを有する、成形されたソーセージのような飼料製品を作製する努力がなされてきた。しかし、飼料用の魚は、正しい長さと形状を有する皮に成形されるため、これは、他の種類の飼料用の魚を使用する可能性を開拓した。例えば、サバ、アンチョビ、イカ、又は他の魚をイワシと組み合わせるか、又は、それらの魚だけで使用して、成形されたソーセージのような飼料製品を作製することができる。これによって、例えば他の種類の飼料用の魚がより利用可能であるか、又は、より低コストで得ることができる場合に、潜在的に費用を抑えることができる。
【0015】
飼料用の魚をソーセージのような飼料製品に成形することによって、製品内の水分の量を抑えることができ、製品内の蛋白質の量を有意に上げることができる。従って、魚に届けられる蛋白質及びカロリーの量を有意に上げることができ、はるかに速い期間ではるかに大きく魚が成長するのを可能にする。これによって、有意に少ない飼料製品が所望の成長を達成するのに必要とされるため、さらにコストを有意に抑えることができる。さらに、魚が保持される必要がある期間はより短く、運転経費も減らすことができる。あるいは、魚を同じ期間置いておくことができるが、より大きな魚を育てることができる。
【0016】
さらに、成形製品は、冷凍するか、又は、世界中どこにでも輸送することができる。より少ない製品を輸送する必要があるため、輸送費も有意に減らすことができる。より能率的には、成形飼料製品を届けるために自動化された給餌技術も展開することができ、運転経費及び人件費をさらに減らすことができる。例えば、現在、新鮮なイワシが囲いの中に放出され、魚がそのイワシを食べているのを確実にするために誰かが監視している。魚が食べるのを止めたと観察者が気づくと、次に、囲いの中への飼料用の魚の供給は停止される。飼料用の魚は新鮮であるため、囲いの中へと届けるための機構は限られている。しかし、成形飼料製品であれば、異なる、より自動化された機構を利用可能にすることができる。例えば、所定量の成形製品を種々の収容囲いの中へ届ける分路(shunt)システムを作ることができる。1人の観察者が囲いの全てを主として観察し、飼料製品が食べられているのを確実にする、及び、魚が食べるのを止めた時をモニターするのを可能にするためにカメラを展開することができる。従って、自動化されたシステムを中央の位置から制御して労働の量を、及び、給餌プロセスに関与する主観性をある程度減らすことができる。
【0017】
特定の実施形態において、添加物を成形製品と共に含むことができる。例えば、脂肪の割合を上げるために魚油を含むことができ、魚のサイズ、及び、特定の例においては魚の質を上げることができる。さらに、魚の健康及び質を高めるために、ビタミンを成形製品に添加することができる。特定の実施形態において、収穫された魚の色を改善するために添加物を含むことができる。例えば、クロマグロの脂肪含有量を上げることによって、収穫された魚に特有な赤い色を減らす恐れがある。例えばオキアミを含むことは、前記特有の赤い色を戻すのに実際に寄与することができる。他の実施形態において、魚粉等の他の添加物も加えることができる。このように、より少ない飼料製品で所望の成長速度を得ることができるだけでなく、収穫された魚の総合的な質及び魅力も実質的に高めることができる。
【0018】
本明細書に記述されたシステム及び方法の結果として、有意なコスト節約及び増産を種々の養殖される魚に対して達成することができる。上記の実施形態は主としてクロマグロに関しているけれども、他のバリエーションの成形飼料製品の使用を介して、他の魚も本明細書に記述されたシステム及び方法から利益を得ることができるということは当業者には明らかである。例えば、サケ、様々な種類の淡水及び海水性のバス、黄色の尾を持つ魚等の他の魚も、その標的となる魚に対して特異的に開発された、成形された魚の飼料から利益を得ることができる。
【0019】
この点において、魚種によって給餌特徴が異なるということに留意されたい。例えば、一部の魚は視覚によって、他の魚は嗅覚によってより餌を食べる。従って、成形飼料製品は、上記のように最適な形状及び長さを得るだけでなく、最適な色、及び、一部の例においては最適な臭いも得るよう設計することができる。例えば、添加物を成形飼料製品に加えて、最適な給餌を確実にするために所望の色を得ることができる。他の実施形態では、成形飼料製品に香りを添加することができる。例えば、皮に香りを添加して最適な給餌を達成することができる。
【0020】
他の実施形態では、アルジネートされた(algenate)飼料製品を飼育するために飼料を藻類製品に混ぜ合わせることができる。そのような製品は、使用に先立ちより長持ちすることができ、皮の必要性を取り除くことができる。
【0021】
以下の説明は、正しい濃度及び材料、並びに、上記のような飼料製品の有効性を決定するよう関与したいくつかの実験に関する。
【0022】
従来の方法で養殖されているマグロにおける脂肪の減少に取り組むよう、この問題が売却される低価格なマグロに対して直接の影響を有していると仮定して、以下に記述される実験を関与させた。第一に、前の2シーズンに対して2006−2007シーズンから、イワシの脂肪の割合における比較研究を実行し、イワシにおける脂肪の減少はマグロにおける脂肪の減少に直接影響し、この問題は冬の間に主にもたらされたという結論に達した。
【0023】
野菜及び動物由来の脂肪をイワシに添加することを含めた試験を行い、ついに、脂肪添加における種々の形態及び提案が示唆されたと報告した。これらの提議の中で、コーティングされた新鮮なイワシベースの固形飼料の提案が、以下で詳細に説明されるように強調された。
【0024】
次に、給餌を1日2回から1日3回に変更した。同様に以下で詳細に記述される実験用の囲いにおいて1日3回新鮮なイワシを用いた給餌の結果として、及び、コーティングされたイワシを用いた給餌の結果として、状態指数(conditions index)における改善を得た。
【0025】
マグロにおける脂肪の減少に影響した要因を突きとめるために徹底した研究を実行することが必要であり、それによって、収穫されたマグロの状態指数における詳細な分析(重量と長さとの関係)、イワシにおける脂肪の分析、及び、血液分析を行った。この実験も、以下で詳細に記述される。
【0026】
50%のマグロが21以下の指数で実際に売却され(22以上の状態指数は脂肪において最適であるとみなされる)、マグロにおける脂肪の減少という問題を引き起こした要因は、(1)イワシにおける低い割合の脂肪、(2)イワシ摂取の減少であるという結論に達した。
【0027】
11/2Torrey millを入手し、例えば上記のような新鮮なイワシベースの固形飼料を、ビタミン、魚粉、及び/又は魚油と共に作製した。種々のサイズを試験し、95%の容認でマグロに与えた。
【0028】
1つの実験として1つの囲いに約460匹のマグロを置き、新鮮なイワシベースの固形飼料の投与に先立ち最初の重量及び長さを記録する目的のためにマークするという大規模な実験を行った。
【0029】
毎日少なくとも200キログラムのイワシの固形飼料をすりつぶし、混ぜ合わせ、さらに詰め込む機能を有した機械を入手し、以下で記述されるように新鮮なイワシの飼料からの変化によってマグロにストレスを与えることを回避するために徐々に投与してイワシの固形飼料を用いた給餌を開始した。新鮮なイワシベースの固形飼料を用いた給餌における満足のいく結果も以下で記述されるように得た。
【0030】
固形飼料の詰め物及び皮のコスト分析を行い、それは以下で詳しく述べられる。
【0031】
第一に、肥育されているマグロの質に対してイワシの質が影響を及ぼすかどうかを見る目的のため、上記のように、イワシの脂肪含有量の一年の傾向における分析を異なるシーズンにおいて行った。
【0032】
06−07シーズンにおいて、10月を除いて、イワシの脂肪含有量が前の年と比較してかなり減少したことが図1において見ることができる。さらに、マグロに対する飼料として使用されるイワシの脂肪含有量にとって、11月、12月、及び1月は重要な月であると見ることができる。
【0033】
このデータから、脂肪含有量の下落を回避するために、いくつかの予防対策を開発した。(1)与えられているイワシを動物が活用し、海の底への有機汚染の原因になり得る飼料の無駄を生じていないことを確信するという目的のために、給餌間の間隔を考慮して給餌頻度を増やす(マグロの消化系を通り抜ける食物性のボーラスに対する時間の試験を実行する必要がある)。(2)ビタミンの濃度を上げる。マグロのビタミン要求量に従い、現在マグロに投与されている1日量を上げる。(3)野菜由来の脂肪でイワシを質的に向上させる。マグロにおける一定の脂肪の質を供給するための管理の方法は、野菜由来の脂肪でイワシを質的に向上させることである。マグロにとって好都合であり、水質を損なわない適用における最適な量及び適切な方法が決定されるべきであり、この点に関して試験を行った。
【実施例1】
【0034】
<イワシにおける脂肪添加実験>
種々のサイズの新鮮なイワシ及び冷凍したイワシに魚油を添加する試験を行った。図2において、新鮮なイワシに比べ、冷凍したイワシに最大量の魚油が付着したまま残ったことが認められ、その解釈は、魚の脂肪がより低い温度で凝固され、従ってより優れた付着能力を有する傾向があるということである。
【0035】
新鮮なイワシに対する魚油の付着という問題を解決するために、野菜(ヤシの葉、ヤシの実)由来の脂肪及び動物由来の油(ラード)とのこの魚油の混合物にたよった。
【0036】
表1には、魚油と野菜及び動物由来の脂肪との混合物における種々の実験が示されている。
【0037】
【表1】
油及び脂肪を飼料に添加する方法をいくつか試して、脂肪をマグロに添加する最良の方法に関して結論を引きだした。
【0038】
(A)新鮮なイワシに対するイワシのコーティング手順(魚粉との油−脂肪混合物の添加)
1.魚油とラードとの混合物(バージへと送る前に研究所によって作製された混合物)を水気を切られた新鮮なイワシに添加する。
2.7%のカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合した魚粉を、すでに脂肪の混合物を含有した新鮮なイワシの上にふりかける。
3.これらのイワシを1日あたり2から3回マグロに給餌する。
投与量:1トンのイワシあたり、100kgの魚油−ラード混合物及び50kgの魚粉。
【0039】
(B)冷凍したイワシに魚油を添加する手順
1.少なくとも−20℃で新鮮なイワシを冷凍する。
2.冷凍したイワシに魚油を添加する。
3.10分間魚油をイワシの上に置いておく。
4.冷凍したイワシ−魚油をマグロに給餌する。
投与量:10%から20%の脂肪をイワシに添加することができる。1トンのイワシあたり、100kgから200kgの魚油。
【0040】
(C)魚油を有したイワシの固形飼料の製造手順
1.新鮮なイワシ又は冷凍したイワシをすりつぶす。
2.20から30%までの魚油を添加する。
3.混合物を均質化する。
4.混合物をセルロースの固形飼料に詰め込む。
5.60グラムの重量で、10cmの長さにカットする。
6.1日あたり2回マグロに給餌する。
1トンの混合物=700から800kgのイワシと200から300kgの魚油。
【0041】
(D)魚油を有した魚粉の固形飼料の製造手順
1.700から800キロの魚粉を量る。
2.20から30%(200から300キロ)までの魚油を添加する。
3.混合物を均質化する。
4.混合物をセルロースの固形飼料に詰め込む。
5.60グラムの重量で、10cmの長さの断片にカットする。
6.1日あたり2回マグロに給餌する。
20から30%の脂肪に等しい。
【0042】
(E)セルロースのカプセルに入れられた、魚油を有する新鮮なイワシ
1.セルロースの外皮に新鮮なイワシを挿入する。
2.10から15gの魚油を添加する。
3.気泡を取り除く。
4.外皮を結ぶ。
20から30%の脂肪に等しい。
【0043】
肉食魚は10%未満のセルロースを消化し(Stoskopt、1993)、カプセルの割合は4%であり、それによって、セルロースのカプセルは魚において消化可能であると信じられている。
【0044】
上記の方法を使用した試験に基づき、魚油で質的に向上された湿った新鮮なイワシ又は冷凍のイワシベースの固形飼料を使用すること、又は、魚油による質的向上を有した乾燥した魚粉ベースの固形飼料を使用すること、すなわち、方法C、D、及びEは、マグロに脂肪を添加するのに最もうまくいくと決定された。さらに、飼料における脂肪の割合の制御を可能にし、従って、マグロの脂肪における変動を除去又は減らした。
【0045】
以下で、マグロにおける脂肪の減少に影響する要因を決定するために実行された研究の結果、及び、どのようにして集団の分布を右に動かすか、結果としてより重いキログラムのマグロ、より多くの脂肪、及びより優れた質を有することに関して結果として生じた決定を詳しく述べている。
【0046】
図3を参照し、マグロに蓄積された脂肪の状態を示すために最も適切なツールとして状態指数(CI=体重/L3)を考慮すると、売却された製品の50%が所望の範囲(21−23)よりも低い状態指数を有していたことに気づくことができる。
【0047】
図4及び5に関して、1つの囲いあたりの状態指数の分布が示されている。最も典型的な囲いのみが示されており、示されることになる重要性があるマグロの集団におけるCIの一般的な状態を可能にしている。
【0048】
図4において、大部分(66%)のマグロの集団が所望のCI(>21)よりも低いCIを有していたことを見ることができ、その原因は以下で詳細に説明される。
【0049】
図5では、1回の収穫あたりのCIの変動が示されている。例えば、7月14日の処理は非常に低いCIを示しているが、一方で、7月20日のプロセスにおけるCIは、前の収穫よりもはるかに優れていた。これは、収穫するための網を配置する瞬間に最も強いマグロは逃げ、従って、最後に収穫されることになるという事実のためである。
【0050】
図6では、大部分(75.5%)のマグロの集団が所望のCI(>21)よりも高いCIを示したことを見ることができる。図7では、CIの分布が囲いを通してより均一であったことも見ることができ、それは、各収穫に対して示される特性において反映されている。例えば、10月19日、23日、及び27日の収穫は、図5の囲い1に示された特性と比較して、より均一であり、21のCIにより近い。
【0051】
肥育中に、マグロの集団が所望のCIに非常に近いCIを示した囲いがあったということに留意することが重要である。例えば、囲い8(図6参照)、及び、大きい割合のマグロの集団が所望のCIに達しなかった囲い、例えば囲い1(図4参照)があった。
【0052】
マグロにおけるイワシの摂取量に影響を及ぼす要因は多くあり、従って、囲い中の集団の行動に対して重大な影響を有したもののみが言及される。
【0053】
図8は、小さいマグロの集団を有する囲いにおけるイワシの摂取量の差を実証する例を提供している。類似のマグロの集団を有した3つの囲いがグラフ上に描かれており、同じ密度(1つの囲いあたりのマグロの数)を有しているにもかかわらず、給餌行動(1匹のマグロあたりに摂取されるイワシのkg)は異なっていることが認められる。
【0054】
図9〜11は、イワシの摂取量に対して得られるマグロの質の比較を提供する。
【0055】
図12は、大きいマグロの集団及び小さいマグロの集団を有する囲いにおけるイワシの摂取量の差を実証する例を提供している。密度(1つの囲いあたりの生物の数)に対する影響がある場合、1つの囲いあたりのマグロの量がより多く、従って、提供されるイワシがより多くの生物間で分けられるという事実のため、囲いC12はより低い摂取量を有しており、囲いC8では、マグロ間での食物に対する競争がより少ないという事実のため1匹のマグロあたりの摂取量がより多いことを見ることができる。
【0056】
図13及び14は、イワシの摂取量に対して得られる質の比較を提供する。多いイワシの摂取量(図13参照)及び少ないイワシの摂取量(図14参照)を有した囲いにおけるCIの分布が示されており、CI分布の率は、どのように給餌が質に影響を及ぼしているかを示している。囲い8において、マグロの集団の多く(75.5%)が21のCIを超え、囲い12では、所望のCIを有したマグロの量がはるかに少なかった(57.8%)。
【0057】
図15は、マグロに対する海の環境の状態を例示している。図15では、1つの囲いあたりのイワシの摂取量という点で、個体数による影響を受けていることに加えて、到着日及び肥育の期間等の要因も、得られた質に対してかなりの影響を有していたことを見ることができる(このことは、さらに後に示される)。
【0058】
囲い1において、傾向線は非常に少ない肥育日数を示し、肥育の途中において摂取量の減少があり、これは、得られた状態指数に疑問の余地なく反映されている(図16参照)。囲い11及び16では、最大の1匹のマグロあたりのイワシの摂取量に達するのにどちらも3ヶ月(6月20日〜9月26日)かかったことが傾向線によって示されている。さらに、10月24日から始まり、生物はその摂取量を減らし始めた。囲い16.1では、給餌頻度を増やすという推薦を受けた囲いであったとすると、非常に異なる傾向が認められ、この理由から、傾向線が上昇していることを見ることができる。
【0059】
上述の囲いにおける状態指数の分布が、図16〜19に示されている。
【0060】
図16〜19において見ることができるように、囲い11は、(その小さい集団のため)多い摂取量を示した。図は、シーズンの終わりでどのくらい少ないイワシの摂取量(及び脂肪の減少)が、囲い11、16、及び16.1における集団の60%によって達成された状態指数を生じたかも実証している。
【0061】
さらに、囲い16で検出された少ない摂取量にもかかわらず、囲い11及び16は類似のCI分布を有し、これは、船積み由来のマグロの取り扱い、給餌、及び、イワシ摂取量情報の管理等、摂取量に影響を及ぼしている他の要因があることを示している。
【0062】
図20は、04〜05、05〜06、及び06〜07シーズンのイワシの脂肪を例示した。図20において、05〜06シーズンはイワシの脂肪が最大であったこと、及び、一般に、シーズン04〜05と06〜07は、8月、9月、及び10月の重大な月を除いて全般的に類似したことが明らかに認められる。
【0063】
図21は、06〜07シーズンのイワシの脂肪を例示している。6月から9月の間、イワシにおいて7%及び8%の脂肪を維持することが必要であり、その割合が減る場合は、給餌頻度を上げる必要がある。一般に、図21は、06〜07シーズンのイワシにおける脂肪の割合の変動を示しており、10月のわずかな回復及び12月の注目すべき減少と共に、8月と9月の月に最も注目すべきである。
【0064】
図22は、04〜05、05〜06、及び06〜07シーズンの血液学的データを例示している。900の血液試料の分析をクロマグロにおいて行い、グルコース、コレステロール、及びヘモグロビンの平均値を3つのシーズンから提供した。グルコースは、魚におけるストレスレベルを示しており、血糖濃度が上がるに従い、ストレスレベルも上がっている。クロマグロにおける通常のグルコースレベルは、100〜120mg/dLである。
【0065】
平均して、04〜05シーズンと06〜07シーズンは類似しているが、囲いのそれぞれが別々に分析される場合、図23において、最もストレスを加えられた囲いは7−1、12、17、11、及び16であり、他のシーズンと比較して高い150mg/dLを超えるレベルを有していることに気づくことができる。最もストレスの少ないマグロは、囲い1、4、2、13−1、14、及び8である。囲い7−1、12、17、11、及び16は、囲い1、4、2、13−1、14、及び8から地理的に分けられていた。
【0066】
170mg/dlに及ぶ高いグルコース値は、一度も示されなかった。これに寄与する要因は、(1)多すぎる移動、及び、(2)アシカの存在の増加である。
【0067】
マグロの血中コレステロールは、イワシの脂肪の存在を示しており、このシーズンにおいて、通常(200〜240mg/dl)よりも低いレベルが現れ、クロマグロにおける血中コレステロール値は、図24で見られるように、90mg/dlまでに及んだ。
【0068】
図25は、クロマグロの血中ヘモグロビンを例示した。ヘモグロビンは、マグロの栄養不良のレベルを示す血液蛋白質である。この06〜07シーズンと比較して前のシーズンにおいて低い値が観察されている。これによって、蛋白質が豊富なイワシでマグロが養われたこと、及び、マグロの組織の色合いにおける結果が、ヘモグロビン、すなわち赤筋によって影響されることが示されている。
【0069】
06〜07シーズン及び04〜05シーズンにおけるイワシの摂取量の傾向が図26及び27に示されており、このシーズンにおけるイワシの摂取量の傾向は、04〜05シーズンに対して減少したことを見ることができる。
【0070】
油、魚粉、及びビタミン等の天然の添加物を有する新鮮なイワシに基づいた、調製される固形飼料の設計が次に記述される。第一に、起源が天然であり食用に適するという最も重要な特徴を有した材料を捜し出し、最高の材料は天然のブタの腸及び/又はコラーゲンの外皮であるという結果を提供した。
【0071】
次に、エネルギー消費及び囲いで観察された状態を考慮して、マグロの栄養要求性に基づき固形飼料の処方を設計し、例えば、79.5%が蛋白質、20%が脂肪、及び0.5%がビタミンであった。固形飼料の理想的なサイズを決定するために、現場で行った実験を考慮にいれ、最適なサイズは、3〜4cmの直径で長さ約8cmであった。
【0072】
固形飼料の外皮は、マグロによって容認及び摂取されるべきであり、低コスト、現場での取り扱いに耐性、及び、詰め込み易いべきである。各固形飼料は、質のよい材料を含有し、その領域で捕獲されるイワシと比較して、より量の多い栄養分(脂肪、蛋白質、及びビタミン)をマグロに提供しているべきである。
【0073】
1つの例において、固形飼料の材料は:
新鮮なイワシ 60.2%、
魚粉 19.57%、
魚油 19.57%、
クリルミール(Kreel meal)及びビタミン 0.602%
を含む。
【0074】
【表2】
3種類の固形飼料、(a)20キロ未満のマグロのために設計した小型の固形飼料(30〜40g)、(b)20から30キロのマグロのために設計した中型の固形飼料(40〜50g)、(c)30キロを超えるマグロのために設計した大型の固形飼料(50〜70g)を製造することができる。
【0075】
表3には、市場で見つかる固形飼料を製造するための異なる種類の外皮が、その生産能力、単位あたりのコスト、及び、生産される固形飼料の重さ(トン)と共に示されている。最も高価な外皮は、ドイツ製の製品であると仮定するとコラーゲンであると気づくことができ、その特徴は、マグロが食べて消化できるということである。2番目に高価な外皮は、天然のブタの腸であり、これも同様にマグロが食べて消化でき、最後に、最も経済的な選択肢は、マグロによって消化されないという欠点が存在するけれども、セルロースの外皮である。
【0076】
従って、所望の特徴を有した最も経済的な選択肢は、天然のブタの腸である。
【0077】
【表3】
表4には、1つの例の実施形態に従い固形飼料の詰め物(ペースト)を製造するのに必要とされる材料の費用が示されている。使用される割合を考慮して、最も高価な材料は、魚粉及び魚油である。しかし、新鮮なイワシが80%の水分を維持していることが重要であり、これは、7%の水分を有し、飼料を濃厚飼料にしている魚粉よりも低いコストを有している理由である(表6を参照)。
【0078】
【表4】
表5には、詰め物の価格は一定であり、変化するのは外皮の費用であると考慮して、固形飼料の製造における生産費が記述されている。
【0079】
【表5】
表6では、固形飼料がイワシの5.5倍の脂肪及び1.5から2倍の蛋白質を示していることを見ることができる。イワシは1トンあたり70ドルに達するが、固形飼料の詰め物は308.6ドルという費用であり、脂肪及び蛋白質においては6〜7倍豊富である。従って、1トンあたり70ドルのイワシを6から7倍すると、308.6ドルの固形飼料と比較して、同じイワシの費用を420から490ドルに変える。
【0080】
冷凍されたイワシは、約300ドルという原価を有しており、所望される20%の脂肪を有していないと考慮される場合、1トンの固形飼料の詰め物(308.6ドル)に等しいものを作るために、2から3トンの冷凍されたイワシ(600〜900ドル)が購入されなければならないであろう。従って、固形飼料の詰め物(ペースト)が、新鮮なイワシ及び冷凍されたイワシと比較して適しており、一貫した栄養素(脂肪及び蛋白質)の質及び量も保証されている。
【0081】
【表6】
固形飼料のペーストの生産費は、新鮮なイワシ及び冷凍されたイワシと比較して低い。天然の外皮を使用した場合に費用は上がり、このため、アルギン酸ナトリウム及びゼラチンを増粘剤として使用することが好ましい場合がある。
【0082】
本発明の特定の実施形態が記述されてきたけれども、上記の実施形態は単なる例であることが理解される。従って、本発明は、記述された実施形態に基づき限定されるべきではない。正しくは、本明細書に記述された本発明の範囲は、上記の説明及び付随の図面と共に見られた場合、以下に続く特許請求の範囲に照らしてのみ限定されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本明細書に記述された実施形態は、魚の養殖に関し、特に、高い蛋白質濃度を有する成形飼料製品の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
成長する社会における増加する需要を満たすために、世界的な魚の貯えが激減しているため、魚の養殖は、世界の食用魚の需要を満たす、より重要な役割を担っている。従来技術を使用して、種々の魚を養殖することができる。これらの魚種の一部は、実際に、管理された環境において繁殖させて完全に飼育することができる。しかし、他の種類の魚は、管理された環境において繁殖するのは経済的に実行可能ではなく、従って、捕獲し、養魚場に入れ、次に、収穫するのに適切な状態に達するまで給餌及び世話をしなければならない。そのような方法で養殖されてきた魚の一例は、クロマグロである。
【0003】
従って、クロマグロは、一般的に海で捕獲されて、魚が放出される沿岸の大きな収容囲いに生きたまま移される。次に、例えば収穫するためのサイズ等、適切な状態に達するまで、餌、一般的にはイワシが魚に与えられる。この方法で、クロマグロに対する市場の需要は、より少ない量の捕獲魚で満たすことができる。
【0004】
魚が成長する速度は、その魚に与えられる蛋白質の量、すなわち、捕獲魚に給餌されるイワシに含まれる蛋白質の量に応じる。遺憾ながら、生きたイワシは、約70〜80%が水である。従って、飼料の約70〜80%が全く蛋白質を含有していない。特定の例において、イワシは、捕獲及び冷凍され、養魚場まで移されて、解凍された後魚に与えられる。このプロセスは、魚に提供される、実際にいかなる栄養分も含む飼料の割合を減らすためのみに機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、1トンの魚に変わるためにかかる飼料は15トンほどであり得る。現在、世界中で約30トンのクロマグロが養魚場に存在し、それは、養魚場内の30トンのクロマグロに対する所望の成長速度を達成するために450トンの飼料、すなわちイワシ等が必要とされることを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ソーセージのような飼料製品は、ブタの腸、コラーゲン、又はセルロース等の天然の材料から形成することができる皮を含む。ソーセージのような飼料製品の中身は、イワシ、サバ、イカ等の魚種を少なくとも1つ、及び、飼料製品が与えられる魚の脂肪含有量を上げるよう、並びに、飼料製品の他の態様を最適化するか又は高めるよう作られた添加物を含んだ試料内容物を含むことができる。ソーセージのような飼料製品は、魚に対して当該飼料製品を魅力的に見せるよう設計された最適な形状、及び、飼料製品が与えられる魚のサイズに応じた最適なサイズも含む。
【0007】
一態様において、前記添加物は、魚の質及び色調のうち少なくとも1つを上げる、又は、魚の質及び色調のうち少なくとも1つに影響を及ぼすよう作られる。
【0008】
別の態様において、前記添加物は、飼料製品のにおい及び色調のうち少なくとも1つに影響するよう作られる。
【0009】
さらに別の態様において、前記添加物は、魚油、野菜由来の脂肪、ビタミン、オキアミ、及び魚粉のうち少なくとも1つを含む。
【0010】
前記及び他の特徴、態様、及び実施形態は、以下の「発明を実施するための形態」と題された項において、及び、付随の図面と共に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】前の年と比較した、2006〜2007シーズンに養殖されたマグロに給餌するために使用されたイワシの脂肪含有量を例示したグラフである。
【図2】養殖されたマグロの脂肪含有量を上げるよう試みる試験が行われた際の、新鮮なイワシと比較した、冷凍されたイワシに付着したまま残った魚油の量を例示したグラフである。
【図3】所望の範囲(21〜23)よりも低い状態指数(condition index)を有し、売却された製品のパーセントを例示したグラフである。
【図4】サンプルのマグロの集団のうち、所望のCI(>21)よりも低いCIを有したマグロのパーセントを例示したグラフである。
【図5】養殖されたマグロのサンプルセットにおける1回の収穫あたりのCIの変化を例示したグラフである。
【図6】サンプルのマグロの集団のうち、所望のCI(>21)を超えたCIを有したマグロのパーセントを例示したグラフである。
【図7】サンプルセットのマグロにおけるCIの分布を例示したグラフである。
【図8】小さいマグロの集団を有する囲いにおけるイワシの摂取量の差を実証する例を示したグラフである。
【図9】イワシの摂取量に対して得られたマグロの質の比較を提供している。
【図10】イワシの摂取量に対して得られたマグロの質の比較を提供している。
【図11】イワシの摂取量に対して得られたマグロの質の比較を提供している。
【図12】大きいマグロの集団及び小さいマグロの集団を有する囲いにおけるイワシの摂取量の差を実証する例を提供している。
【図13】イワシの摂取量に対して得られた質の比較を提供している。
【図14】イワシの摂取量に対して得られた質の比較を提供している。
【図15】サンプルセットのマグロに対する海の環境における状態を例示したグラフである。
【図16】サンプルセットのマグロにおける状態指数の分布を例示したグラフである。
【図17】サンプルセットのマグロにおける状態指数の分布を例示したグラフである。
【図18】サンプルセットのマグロにおける状態指数の分布を例示したグラフである。
【図19】サンプルセットのマグロにおける状態指数の分布を例示したグラフである。
【図20】04〜05、05〜06、及び06〜07シーズンのイワシの脂肪を例示したグラフである。
【図21】06〜07シーズンのイワシの脂肪を例示したグラフである。
【図22】04〜05、05〜06、及び06〜07シーズンの血液学的データを例示したグラフである。
【図23】よりストレスを受けた囲い対よりストレスの少ない囲いのマグロにおける血液学的データを例示したグラフである。
【図24】イワシの脂肪の存在を示すマグロの血中コレステロールを例示したグラフである。
【図25】サンプルセットのマグロにおける血中ヘモグロビンを例示したグラフである。
【図26】06〜07及び04〜05シーズンのイワシの摂取量における傾向を例示したグラフである。
【図27】06〜07及び04〜05シーズンのイワシの摂取量における傾向を例示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
養殖される魚、すなわちクロマグロに給餌するための成形食品を生産するシステム及び方法が以下に記述される。イワシ等の飼料は、捕獲魚に届けられる飼料1トンあたりの蛋白質の量を増やすために、ソーセージのような製品に成形される。飼料における蛋白質の割合を増やすことによって、目方で有意に少ない飼料が、所望の成長速度を達成するために必要とされる。さらに、以下で記述されるように、特定の添加物を飼料に加え、収穫される魚の脂肪含有量、質、色調等を上げることができる。
【0013】
ソーセージのような飼料製品を作製するために、イワシ、又は以下で説明されるように他の魚種が、皮内に成形され、特定の形状の特定の長さに形成される。長さ及び形状は重要である。飼料のサイズは、給餌される魚のサイズに関連づけられる。小さい魚が給餌される場合、その魚はサバ等の大きな飼料用の魚を食べることができないため、イワシ等の小さい飼料用の魚が要求される。しかし、魚が成長するに従い、飼料のサイズを大きくすることができる。このように、段階によっては、サバ等の大きな魚は大きすぎて、従って飼料用の魚としては効果的ではないことがあり得る。アンチョビ等の他の魚種は、小さすぎる場合がある。
【0014】
別の考慮すべき問題は、魚にとって飼料製品がどのように見えるかである。魚にとってその形状が容認できない場合、魚は飼料を食べない可能性がある。従って、標的となる魚に容認されるように正しい形状と長さを有する、成形されたソーセージのような飼料製品を作製する努力がなされてきた。しかし、飼料用の魚は、正しい長さと形状を有する皮に成形されるため、これは、他の種類の飼料用の魚を使用する可能性を開拓した。例えば、サバ、アンチョビ、イカ、又は他の魚をイワシと組み合わせるか、又は、それらの魚だけで使用して、成形されたソーセージのような飼料製品を作製することができる。これによって、例えば他の種類の飼料用の魚がより利用可能であるか、又は、より低コストで得ることができる場合に、潜在的に費用を抑えることができる。
【0015】
飼料用の魚をソーセージのような飼料製品に成形することによって、製品内の水分の量を抑えることができ、製品内の蛋白質の量を有意に上げることができる。従って、魚に届けられる蛋白質及びカロリーの量を有意に上げることができ、はるかに速い期間ではるかに大きく魚が成長するのを可能にする。これによって、有意に少ない飼料製品が所望の成長を達成するのに必要とされるため、さらにコストを有意に抑えることができる。さらに、魚が保持される必要がある期間はより短く、運転経費も減らすことができる。あるいは、魚を同じ期間置いておくことができるが、より大きな魚を育てることができる。
【0016】
さらに、成形製品は、冷凍するか、又は、世界中どこにでも輸送することができる。より少ない製品を輸送する必要があるため、輸送費も有意に減らすことができる。より能率的には、成形飼料製品を届けるために自動化された給餌技術も展開することができ、運転経費及び人件費をさらに減らすことができる。例えば、現在、新鮮なイワシが囲いの中に放出され、魚がそのイワシを食べているのを確実にするために誰かが監視している。魚が食べるのを止めたと観察者が気づくと、次に、囲いの中への飼料用の魚の供給は停止される。飼料用の魚は新鮮であるため、囲いの中へと届けるための機構は限られている。しかし、成形飼料製品であれば、異なる、より自動化された機構を利用可能にすることができる。例えば、所定量の成形製品を種々の収容囲いの中へ届ける分路(shunt)システムを作ることができる。1人の観察者が囲いの全てを主として観察し、飼料製品が食べられているのを確実にする、及び、魚が食べるのを止めた時をモニターするのを可能にするためにカメラを展開することができる。従って、自動化されたシステムを中央の位置から制御して労働の量を、及び、給餌プロセスに関与する主観性をある程度減らすことができる。
【0017】
特定の実施形態において、添加物を成形製品と共に含むことができる。例えば、脂肪の割合を上げるために魚油を含むことができ、魚のサイズ、及び、特定の例においては魚の質を上げることができる。さらに、魚の健康及び質を高めるために、ビタミンを成形製品に添加することができる。特定の実施形態において、収穫された魚の色を改善するために添加物を含むことができる。例えば、クロマグロの脂肪含有量を上げることによって、収穫された魚に特有な赤い色を減らす恐れがある。例えばオキアミを含むことは、前記特有の赤い色を戻すのに実際に寄与することができる。他の実施形態において、魚粉等の他の添加物も加えることができる。このように、より少ない飼料製品で所望の成長速度を得ることができるだけでなく、収穫された魚の総合的な質及び魅力も実質的に高めることができる。
【0018】
本明細書に記述されたシステム及び方法の結果として、有意なコスト節約及び増産を種々の養殖される魚に対して達成することができる。上記の実施形態は主としてクロマグロに関しているけれども、他のバリエーションの成形飼料製品の使用を介して、他の魚も本明細書に記述されたシステム及び方法から利益を得ることができるということは当業者には明らかである。例えば、サケ、様々な種類の淡水及び海水性のバス、黄色の尾を持つ魚等の他の魚も、その標的となる魚に対して特異的に開発された、成形された魚の飼料から利益を得ることができる。
【0019】
この点において、魚種によって給餌特徴が異なるということに留意されたい。例えば、一部の魚は視覚によって、他の魚は嗅覚によってより餌を食べる。従って、成形飼料製品は、上記のように最適な形状及び長さを得るだけでなく、最適な色、及び、一部の例においては最適な臭いも得るよう設計することができる。例えば、添加物を成形飼料製品に加えて、最適な給餌を確実にするために所望の色を得ることができる。他の実施形態では、成形飼料製品に香りを添加することができる。例えば、皮に香りを添加して最適な給餌を達成することができる。
【0020】
他の実施形態では、アルジネートされた(algenate)飼料製品を飼育するために飼料を藻類製品に混ぜ合わせることができる。そのような製品は、使用に先立ちより長持ちすることができ、皮の必要性を取り除くことができる。
【0021】
以下の説明は、正しい濃度及び材料、並びに、上記のような飼料製品の有効性を決定するよう関与したいくつかの実験に関する。
【0022】
従来の方法で養殖されているマグロにおける脂肪の減少に取り組むよう、この問題が売却される低価格なマグロに対して直接の影響を有していると仮定して、以下に記述される実験を関与させた。第一に、前の2シーズンに対して2006−2007シーズンから、イワシの脂肪の割合における比較研究を実行し、イワシにおける脂肪の減少はマグロにおける脂肪の減少に直接影響し、この問題は冬の間に主にもたらされたという結論に達した。
【0023】
野菜及び動物由来の脂肪をイワシに添加することを含めた試験を行い、ついに、脂肪添加における種々の形態及び提案が示唆されたと報告した。これらの提議の中で、コーティングされた新鮮なイワシベースの固形飼料の提案が、以下で詳細に説明されるように強調された。
【0024】
次に、給餌を1日2回から1日3回に変更した。同様に以下で詳細に記述される実験用の囲いにおいて1日3回新鮮なイワシを用いた給餌の結果として、及び、コーティングされたイワシを用いた給餌の結果として、状態指数(conditions index)における改善を得た。
【0025】
マグロにおける脂肪の減少に影響した要因を突きとめるために徹底した研究を実行することが必要であり、それによって、収穫されたマグロの状態指数における詳細な分析(重量と長さとの関係)、イワシにおける脂肪の分析、及び、血液分析を行った。この実験も、以下で詳細に記述される。
【0026】
50%のマグロが21以下の指数で実際に売却され(22以上の状態指数は脂肪において最適であるとみなされる)、マグロにおける脂肪の減少という問題を引き起こした要因は、(1)イワシにおける低い割合の脂肪、(2)イワシ摂取の減少であるという結論に達した。
【0027】
11/2Torrey millを入手し、例えば上記のような新鮮なイワシベースの固形飼料を、ビタミン、魚粉、及び/又は魚油と共に作製した。種々のサイズを試験し、95%の容認でマグロに与えた。
【0028】
1つの実験として1つの囲いに約460匹のマグロを置き、新鮮なイワシベースの固形飼料の投与に先立ち最初の重量及び長さを記録する目的のためにマークするという大規模な実験を行った。
【0029】
毎日少なくとも200キログラムのイワシの固形飼料をすりつぶし、混ぜ合わせ、さらに詰め込む機能を有した機械を入手し、以下で記述されるように新鮮なイワシの飼料からの変化によってマグロにストレスを与えることを回避するために徐々に投与してイワシの固形飼料を用いた給餌を開始した。新鮮なイワシベースの固形飼料を用いた給餌における満足のいく結果も以下で記述されるように得た。
【0030】
固形飼料の詰め物及び皮のコスト分析を行い、それは以下で詳しく述べられる。
【0031】
第一に、肥育されているマグロの質に対してイワシの質が影響を及ぼすかどうかを見る目的のため、上記のように、イワシの脂肪含有量の一年の傾向における分析を異なるシーズンにおいて行った。
【0032】
06−07シーズンにおいて、10月を除いて、イワシの脂肪含有量が前の年と比較してかなり減少したことが図1において見ることができる。さらに、マグロに対する飼料として使用されるイワシの脂肪含有量にとって、11月、12月、及び1月は重要な月であると見ることができる。
【0033】
このデータから、脂肪含有量の下落を回避するために、いくつかの予防対策を開発した。(1)与えられているイワシを動物が活用し、海の底への有機汚染の原因になり得る飼料の無駄を生じていないことを確信するという目的のために、給餌間の間隔を考慮して給餌頻度を増やす(マグロの消化系を通り抜ける食物性のボーラスに対する時間の試験を実行する必要がある)。(2)ビタミンの濃度を上げる。マグロのビタミン要求量に従い、現在マグロに投与されている1日量を上げる。(3)野菜由来の脂肪でイワシを質的に向上させる。マグロにおける一定の脂肪の質を供給するための管理の方法は、野菜由来の脂肪でイワシを質的に向上させることである。マグロにとって好都合であり、水質を損なわない適用における最適な量及び適切な方法が決定されるべきであり、この点に関して試験を行った。
【実施例1】
【0034】
<イワシにおける脂肪添加実験>
種々のサイズの新鮮なイワシ及び冷凍したイワシに魚油を添加する試験を行った。図2において、新鮮なイワシに比べ、冷凍したイワシに最大量の魚油が付着したまま残ったことが認められ、その解釈は、魚の脂肪がより低い温度で凝固され、従ってより優れた付着能力を有する傾向があるということである。
【0035】
新鮮なイワシに対する魚油の付着という問題を解決するために、野菜(ヤシの葉、ヤシの実)由来の脂肪及び動物由来の油(ラード)とのこの魚油の混合物にたよった。
【0036】
表1には、魚油と野菜及び動物由来の脂肪との混合物における種々の実験が示されている。
【0037】
【表1】
油及び脂肪を飼料に添加する方法をいくつか試して、脂肪をマグロに添加する最良の方法に関して結論を引きだした。
【0038】
(A)新鮮なイワシに対するイワシのコーティング手順(魚粉との油−脂肪混合物の添加)
1.魚油とラードとの混合物(バージへと送る前に研究所によって作製された混合物)を水気を切られた新鮮なイワシに添加する。
2.7%のカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合した魚粉を、すでに脂肪の混合物を含有した新鮮なイワシの上にふりかける。
3.これらのイワシを1日あたり2から3回マグロに給餌する。
投与量:1トンのイワシあたり、100kgの魚油−ラード混合物及び50kgの魚粉。
【0039】
(B)冷凍したイワシに魚油を添加する手順
1.少なくとも−20℃で新鮮なイワシを冷凍する。
2.冷凍したイワシに魚油を添加する。
3.10分間魚油をイワシの上に置いておく。
4.冷凍したイワシ−魚油をマグロに給餌する。
投与量:10%から20%の脂肪をイワシに添加することができる。1トンのイワシあたり、100kgから200kgの魚油。
【0040】
(C)魚油を有したイワシの固形飼料の製造手順
1.新鮮なイワシ又は冷凍したイワシをすりつぶす。
2.20から30%までの魚油を添加する。
3.混合物を均質化する。
4.混合物をセルロースの固形飼料に詰め込む。
5.60グラムの重量で、10cmの長さにカットする。
6.1日あたり2回マグロに給餌する。
1トンの混合物=700から800kgのイワシと200から300kgの魚油。
【0041】
(D)魚油を有した魚粉の固形飼料の製造手順
1.700から800キロの魚粉を量る。
2.20から30%(200から300キロ)までの魚油を添加する。
3.混合物を均質化する。
4.混合物をセルロースの固形飼料に詰め込む。
5.60グラムの重量で、10cmの長さの断片にカットする。
6.1日あたり2回マグロに給餌する。
20から30%の脂肪に等しい。
【0042】
(E)セルロースのカプセルに入れられた、魚油を有する新鮮なイワシ
1.セルロースの外皮に新鮮なイワシを挿入する。
2.10から15gの魚油を添加する。
3.気泡を取り除く。
4.外皮を結ぶ。
20から30%の脂肪に等しい。
【0043】
肉食魚は10%未満のセルロースを消化し(Stoskopt、1993)、カプセルの割合は4%であり、それによって、セルロースのカプセルは魚において消化可能であると信じられている。
【0044】
上記の方法を使用した試験に基づき、魚油で質的に向上された湿った新鮮なイワシ又は冷凍のイワシベースの固形飼料を使用すること、又は、魚油による質的向上を有した乾燥した魚粉ベースの固形飼料を使用すること、すなわち、方法C、D、及びEは、マグロに脂肪を添加するのに最もうまくいくと決定された。さらに、飼料における脂肪の割合の制御を可能にし、従って、マグロの脂肪における変動を除去又は減らした。
【0045】
以下で、マグロにおける脂肪の減少に影響する要因を決定するために実行された研究の結果、及び、どのようにして集団の分布を右に動かすか、結果としてより重いキログラムのマグロ、より多くの脂肪、及びより優れた質を有することに関して結果として生じた決定を詳しく述べている。
【0046】
図3を参照し、マグロに蓄積された脂肪の状態を示すために最も適切なツールとして状態指数(CI=体重/L3)を考慮すると、売却された製品の50%が所望の範囲(21−23)よりも低い状態指数を有していたことに気づくことができる。
【0047】
図4及び5に関して、1つの囲いあたりの状態指数の分布が示されている。最も典型的な囲いのみが示されており、示されることになる重要性があるマグロの集団におけるCIの一般的な状態を可能にしている。
【0048】
図4において、大部分(66%)のマグロの集団が所望のCI(>21)よりも低いCIを有していたことを見ることができ、その原因は以下で詳細に説明される。
【0049】
図5では、1回の収穫あたりのCIの変動が示されている。例えば、7月14日の処理は非常に低いCIを示しているが、一方で、7月20日のプロセスにおけるCIは、前の収穫よりもはるかに優れていた。これは、収穫するための網を配置する瞬間に最も強いマグロは逃げ、従って、最後に収穫されることになるという事実のためである。
【0050】
図6では、大部分(75.5%)のマグロの集団が所望のCI(>21)よりも高いCIを示したことを見ることができる。図7では、CIの分布が囲いを通してより均一であったことも見ることができ、それは、各収穫に対して示される特性において反映されている。例えば、10月19日、23日、及び27日の収穫は、図5の囲い1に示された特性と比較して、より均一であり、21のCIにより近い。
【0051】
肥育中に、マグロの集団が所望のCIに非常に近いCIを示した囲いがあったということに留意することが重要である。例えば、囲い8(図6参照)、及び、大きい割合のマグロの集団が所望のCIに達しなかった囲い、例えば囲い1(図4参照)があった。
【0052】
マグロにおけるイワシの摂取量に影響を及ぼす要因は多くあり、従って、囲い中の集団の行動に対して重大な影響を有したもののみが言及される。
【0053】
図8は、小さいマグロの集団を有する囲いにおけるイワシの摂取量の差を実証する例を提供している。類似のマグロの集団を有した3つの囲いがグラフ上に描かれており、同じ密度(1つの囲いあたりのマグロの数)を有しているにもかかわらず、給餌行動(1匹のマグロあたりに摂取されるイワシのkg)は異なっていることが認められる。
【0054】
図9〜11は、イワシの摂取量に対して得られるマグロの質の比較を提供する。
【0055】
図12は、大きいマグロの集団及び小さいマグロの集団を有する囲いにおけるイワシの摂取量の差を実証する例を提供している。密度(1つの囲いあたりの生物の数)に対する影響がある場合、1つの囲いあたりのマグロの量がより多く、従って、提供されるイワシがより多くの生物間で分けられるという事実のため、囲いC12はより低い摂取量を有しており、囲いC8では、マグロ間での食物に対する競争がより少ないという事実のため1匹のマグロあたりの摂取量がより多いことを見ることができる。
【0056】
図13及び14は、イワシの摂取量に対して得られる質の比較を提供する。多いイワシの摂取量(図13参照)及び少ないイワシの摂取量(図14参照)を有した囲いにおけるCIの分布が示されており、CI分布の率は、どのように給餌が質に影響を及ぼしているかを示している。囲い8において、マグロの集団の多く(75.5%)が21のCIを超え、囲い12では、所望のCIを有したマグロの量がはるかに少なかった(57.8%)。
【0057】
図15は、マグロに対する海の環境の状態を例示している。図15では、1つの囲いあたりのイワシの摂取量という点で、個体数による影響を受けていることに加えて、到着日及び肥育の期間等の要因も、得られた質に対してかなりの影響を有していたことを見ることができる(このことは、さらに後に示される)。
【0058】
囲い1において、傾向線は非常に少ない肥育日数を示し、肥育の途中において摂取量の減少があり、これは、得られた状態指数に疑問の余地なく反映されている(図16参照)。囲い11及び16では、最大の1匹のマグロあたりのイワシの摂取量に達するのにどちらも3ヶ月(6月20日〜9月26日)かかったことが傾向線によって示されている。さらに、10月24日から始まり、生物はその摂取量を減らし始めた。囲い16.1では、給餌頻度を増やすという推薦を受けた囲いであったとすると、非常に異なる傾向が認められ、この理由から、傾向線が上昇していることを見ることができる。
【0059】
上述の囲いにおける状態指数の分布が、図16〜19に示されている。
【0060】
図16〜19において見ることができるように、囲い11は、(その小さい集団のため)多い摂取量を示した。図は、シーズンの終わりでどのくらい少ないイワシの摂取量(及び脂肪の減少)が、囲い11、16、及び16.1における集団の60%によって達成された状態指数を生じたかも実証している。
【0061】
さらに、囲い16で検出された少ない摂取量にもかかわらず、囲い11及び16は類似のCI分布を有し、これは、船積み由来のマグロの取り扱い、給餌、及び、イワシ摂取量情報の管理等、摂取量に影響を及ぼしている他の要因があることを示している。
【0062】
図20は、04〜05、05〜06、及び06〜07シーズンのイワシの脂肪を例示した。図20において、05〜06シーズンはイワシの脂肪が最大であったこと、及び、一般に、シーズン04〜05と06〜07は、8月、9月、及び10月の重大な月を除いて全般的に類似したことが明らかに認められる。
【0063】
図21は、06〜07シーズンのイワシの脂肪を例示している。6月から9月の間、イワシにおいて7%及び8%の脂肪を維持することが必要であり、その割合が減る場合は、給餌頻度を上げる必要がある。一般に、図21は、06〜07シーズンのイワシにおける脂肪の割合の変動を示しており、10月のわずかな回復及び12月の注目すべき減少と共に、8月と9月の月に最も注目すべきである。
【0064】
図22は、04〜05、05〜06、及び06〜07シーズンの血液学的データを例示している。900の血液試料の分析をクロマグロにおいて行い、グルコース、コレステロール、及びヘモグロビンの平均値を3つのシーズンから提供した。グルコースは、魚におけるストレスレベルを示しており、血糖濃度が上がるに従い、ストレスレベルも上がっている。クロマグロにおける通常のグルコースレベルは、100〜120mg/dLである。
【0065】
平均して、04〜05シーズンと06〜07シーズンは類似しているが、囲いのそれぞれが別々に分析される場合、図23において、最もストレスを加えられた囲いは7−1、12、17、11、及び16であり、他のシーズンと比較して高い150mg/dLを超えるレベルを有していることに気づくことができる。最もストレスの少ないマグロは、囲い1、4、2、13−1、14、及び8である。囲い7−1、12、17、11、及び16は、囲い1、4、2、13−1、14、及び8から地理的に分けられていた。
【0066】
170mg/dlに及ぶ高いグルコース値は、一度も示されなかった。これに寄与する要因は、(1)多すぎる移動、及び、(2)アシカの存在の増加である。
【0067】
マグロの血中コレステロールは、イワシの脂肪の存在を示しており、このシーズンにおいて、通常(200〜240mg/dl)よりも低いレベルが現れ、クロマグロにおける血中コレステロール値は、図24で見られるように、90mg/dlまでに及んだ。
【0068】
図25は、クロマグロの血中ヘモグロビンを例示した。ヘモグロビンは、マグロの栄養不良のレベルを示す血液蛋白質である。この06〜07シーズンと比較して前のシーズンにおいて低い値が観察されている。これによって、蛋白質が豊富なイワシでマグロが養われたこと、及び、マグロの組織の色合いにおける結果が、ヘモグロビン、すなわち赤筋によって影響されることが示されている。
【0069】
06〜07シーズン及び04〜05シーズンにおけるイワシの摂取量の傾向が図26及び27に示されており、このシーズンにおけるイワシの摂取量の傾向は、04〜05シーズンに対して減少したことを見ることができる。
【0070】
油、魚粉、及びビタミン等の天然の添加物を有する新鮮なイワシに基づいた、調製される固形飼料の設計が次に記述される。第一に、起源が天然であり食用に適するという最も重要な特徴を有した材料を捜し出し、最高の材料は天然のブタの腸及び/又はコラーゲンの外皮であるという結果を提供した。
【0071】
次に、エネルギー消費及び囲いで観察された状態を考慮して、マグロの栄養要求性に基づき固形飼料の処方を設計し、例えば、79.5%が蛋白質、20%が脂肪、及び0.5%がビタミンであった。固形飼料の理想的なサイズを決定するために、現場で行った実験を考慮にいれ、最適なサイズは、3〜4cmの直径で長さ約8cmであった。
【0072】
固形飼料の外皮は、マグロによって容認及び摂取されるべきであり、低コスト、現場での取り扱いに耐性、及び、詰め込み易いべきである。各固形飼料は、質のよい材料を含有し、その領域で捕獲されるイワシと比較して、より量の多い栄養分(脂肪、蛋白質、及びビタミン)をマグロに提供しているべきである。
【0073】
1つの例において、固形飼料の材料は:
新鮮なイワシ 60.2%、
魚粉 19.57%、
魚油 19.57%、
クリルミール(Kreel meal)及びビタミン 0.602%
を含む。
【0074】
【表2】
3種類の固形飼料、(a)20キロ未満のマグロのために設計した小型の固形飼料(30〜40g)、(b)20から30キロのマグロのために設計した中型の固形飼料(40〜50g)、(c)30キロを超えるマグロのために設計した大型の固形飼料(50〜70g)を製造することができる。
【0075】
表3には、市場で見つかる固形飼料を製造するための異なる種類の外皮が、その生産能力、単位あたりのコスト、及び、生産される固形飼料の重さ(トン)と共に示されている。最も高価な外皮は、ドイツ製の製品であると仮定するとコラーゲンであると気づくことができ、その特徴は、マグロが食べて消化できるということである。2番目に高価な外皮は、天然のブタの腸であり、これも同様にマグロが食べて消化でき、最後に、最も経済的な選択肢は、マグロによって消化されないという欠点が存在するけれども、セルロースの外皮である。
【0076】
従って、所望の特徴を有した最も経済的な選択肢は、天然のブタの腸である。
【0077】
【表3】
表4には、1つの例の実施形態に従い固形飼料の詰め物(ペースト)を製造するのに必要とされる材料の費用が示されている。使用される割合を考慮して、最も高価な材料は、魚粉及び魚油である。しかし、新鮮なイワシが80%の水分を維持していることが重要であり、これは、7%の水分を有し、飼料を濃厚飼料にしている魚粉よりも低いコストを有している理由である(表6を参照)。
【0078】
【表4】
表5には、詰め物の価格は一定であり、変化するのは外皮の費用であると考慮して、固形飼料の製造における生産費が記述されている。
【0079】
【表5】
表6では、固形飼料がイワシの5.5倍の脂肪及び1.5から2倍の蛋白質を示していることを見ることができる。イワシは1トンあたり70ドルに達するが、固形飼料の詰め物は308.6ドルという費用であり、脂肪及び蛋白質においては6〜7倍豊富である。従って、1トンあたり70ドルのイワシを6から7倍すると、308.6ドルの固形飼料と比較して、同じイワシの費用を420から490ドルに変える。
【0080】
冷凍されたイワシは、約300ドルという原価を有しており、所望される20%の脂肪を有していないと考慮される場合、1トンの固形飼料の詰め物(308.6ドル)に等しいものを作るために、2から3トンの冷凍されたイワシ(600〜900ドル)が購入されなければならないであろう。従って、固形飼料の詰め物(ペースト)が、新鮮なイワシ及び冷凍されたイワシと比較して適しており、一貫した栄養素(脂肪及び蛋白質)の質及び量も保証されている。
【0081】
【表6】
固形飼料のペーストの生産費は、新鮮なイワシ及び冷凍されたイワシと比較して低い。天然の外皮を使用した場合に費用は上がり、このため、アルギン酸ナトリウム及びゼラチンを増粘剤として使用することが好ましい場合がある。
【0082】
本発明の特定の実施形態が記述されてきたけれども、上記の実施形態は単なる例であることが理解される。従って、本発明は、記述された実施形態に基づき限定されるべきではない。正しくは、本明細書に記述された本発明の範囲は、上記の説明及び付随の図面と共に見られた場合、以下に続く特許請求の範囲に照らしてのみ限定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーセージのような飼料製品であって、
皮、
少なくとも1つの魚種を含む飼料の中身、
当該飼料製品が与えられる魚の脂肪含有量を上げるよう設計された添加物、
前記魚に対して当該飼料製品を魅力的に見せるよう設計された形状、及び、
当該飼料製品が与えられる前記魚のサイズに基づいたサイズ、
を含むソーセージのような飼料製品。
【請求項2】
前記飼料の中身が、イワシ、サバ、アンチョビ、及びイカのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項3】
前記添加物が、前記魚の質及び色調のうち少なくとも1つを上げる、又は、前記魚の質及び色調のうち少なくとも1つに影響を及ぼすようさらに構成される、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項4】
前記添加物が、当該飼料製品のにおい及び色調のうち少なくとも1つに影響するようさらに設計される、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項5】
前記添加物が、魚油、野菜由来の脂肪、ビタミン、オキアミ、及び魚粉のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項6】
前記皮が、腸、コラーゲン、及びセルロースのうち少なくとも1つから製造される、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項7】
3つのサイズ、小型、中型、及び大型のうち1つで製造される、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項8】
前記小型のサイズが、30〜40グラムといったおおよその範囲内である、請求項7に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項9】
前記小型のサイズが、40〜50グラムといったおおよその範囲内である、請求項7に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項10】
前記小型のサイズが、50〜70グラムといったおおよその範囲内である、請求項7に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項11】
前記飼料の中身が、当該飼料製品の内容物のうち約60.2パーセントを含む、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項12】
前記添加物が、当該飼料製品の内容物のうち約40パーセントを含む、請求項11に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項13】
前記添加物が、魚粉、魚油、クリルミール及びビタミンを含む、請求項12に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項14】
前記魚油が約19.6パーセント含む、請求項13に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項15】
前記魚粉が約19.6パーセント含む、請求項13に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項16】
前記クリルミール及びビタミンが約0.6パーセント含む、請求項13に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項1】
ソーセージのような飼料製品であって、
皮、
少なくとも1つの魚種を含む飼料の中身、
当該飼料製品が与えられる魚の脂肪含有量を上げるよう設計された添加物、
前記魚に対して当該飼料製品を魅力的に見せるよう設計された形状、及び、
当該飼料製品が与えられる前記魚のサイズに基づいたサイズ、
を含むソーセージのような飼料製品。
【請求項2】
前記飼料の中身が、イワシ、サバ、アンチョビ、及びイカのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項3】
前記添加物が、前記魚の質及び色調のうち少なくとも1つを上げる、又は、前記魚の質及び色調のうち少なくとも1つに影響を及ぼすようさらに構成される、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項4】
前記添加物が、当該飼料製品のにおい及び色調のうち少なくとも1つに影響するようさらに設計される、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項5】
前記添加物が、魚油、野菜由来の脂肪、ビタミン、オキアミ、及び魚粉のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項6】
前記皮が、腸、コラーゲン、及びセルロースのうち少なくとも1つから製造される、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項7】
3つのサイズ、小型、中型、及び大型のうち1つで製造される、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項8】
前記小型のサイズが、30〜40グラムといったおおよその範囲内である、請求項7に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項9】
前記小型のサイズが、40〜50グラムといったおおよその範囲内である、請求項7に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項10】
前記小型のサイズが、50〜70グラムといったおおよその範囲内である、請求項7に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項11】
前記飼料の中身が、当該飼料製品の内容物のうち約60.2パーセントを含む、請求項1に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項12】
前記添加物が、当該飼料製品の内容物のうち約40パーセントを含む、請求項11に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項13】
前記添加物が、魚粉、魚油、クリルミール及びビタミンを含む、請求項12に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項14】
前記魚油が約19.6パーセント含む、請求項13に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項15】
前記魚粉が約19.6パーセント含む、請求項13に記載のソーセージのような飼料製品。
【請求項16】
前記クリルミール及びビタミンが約0.6パーセント含む、請求項13に記載のソーセージのような飼料製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2010−521971(P2010−521971A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554720(P2009−554720)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/057542
【国際公開番号】WO2008/116015
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509263685)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/057542
【国際公開番号】WO2008/116015
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509263685)
【Fターム(参考)】
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