説明

魚眼レンズおよびこれを備える撮影装置

【課題】 像の周辺部の情報量を多く保ちつつ、比較的製造の容易な魚眼レンズを提供する。
【解決手段】 像高yと画角θと焦点距離fとの間にy=αftan(θ/β)の関係を有する魚眼レンズにおいて、物体側から1枚目および2枚目のレンズを物体側に凸面を向けた凹レンズとし、これらの凹レンズの少なくとも一方は、その物体側のレンズ面が、Rをこのレンズ面の近軸における曲率半径、Δxをこのレンズ面の有効最縁部の接線と光軸に垂直な面とがなす角の角度としたときに、次の条件を満たす非球面であるものとした。
(a)50≦(R/f)≦∞
(b)30°≦Δx≦70°

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非球面レンズを用いて構成した魚眼レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
魚眼レンズは、物体側に負のパワーを持つ凹レンズ群を設け、歪曲収差を強く発生させることにより、160度以上、一般的には180度程度の画角の画像を有限の大きさに結像することができるレンズである。このような魚眼レンズは、スチルカメラや監視カメラにおいて広範囲な空間を撮影するために多く用いられている。
【0003】
周知のように、魚眼レンズによって撮影された像の高さy(像高)と、光軸に対する光の入射角θ(画角)との間には、射影方式によって幾通りかの相関式がある(下記特許文献1参照)。魚眼レンズ全系の焦点距離をfとすると、この相関式は、射影方式に応じて次のように表すことができる。
【0004】
(1)正射影方式 …y=fsin(θ)
(2)等立体角射影方式…y=2fsin(θ/2)
(3)等距離射影方式 …y=f・θ
(4)立体射影方式 …y=2ftan(θ/2)
【0005】
これらの相関式によると、射影方式が(1)から(4)に向かうにつれ、画角θの増加に対する像高yの増加割合が多くなることがわかる。つまり、射影方式が(1)から(4)に向かうにつれ、像の周辺部における情報量が増えることになる。
【0006】
近年では、魚眼レンズを用いて撮影した画像を電子データとしてコンピュータに取り込み、歪曲収差を補正することで、通常の平面画像を生成することが多く行われている(下記特許文献2参照)。このような画像処理を行う場合には、画像周辺の情報量が多いほど補正後の画像の画質が向上するため、できるだけ上記(4)の立体射影方式を採用する魚眼レンズを利用することが好ましい。しかし、(4)の射影方式の魚眼レンズは、前群のレンズが強いメニスカス状であるため、(3)の等距離射影方式の魚眼レンズよりも設計や製造が困難であることが一般的に知られている。
【0007】
そこで、本願出願人は、射影方式をできるだけ(3)から(4)に近づけるために、過去の設計技術を利用して、y=3ftan(θ/3)となる相関式に基づき図13に示す魚眼レンズを開発した。図13は、この魚眼レンズのレンズ構成を示す説明図である。図14には、この魚眼レンズのレンズデータを示し、図15には、その諸収差(球面収差、非点収差、歪曲収差)を、図16には横収差を示した。
【0008】
しかしながら、かかる魚眼レンズにおいても、図13に示すように、そのレンズ形状は依然として強いメニスカス状であり、その製造は困難である。また、物体側にレンズが大きく飛び出した形状であるため、迷光によるゴーストやフレアの発生の原因となる場合がある。また、図15や図16に示すように、像の周辺部ほど、非点収差や横収差が大きく、良好な性能が得られたとはいえなかった。また、明るい画像を得るために大口径にすると、像の周辺部において像面湾曲やコマ収差が大きくなってしまい、画像処理によって歪曲を取り除くことが困難である。
【0009】
【特許文献1】特開2000−356739号公報
【特許文献2】特開2000−221391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した種々の課題に鑑みてなされたものであり、像の周辺部の情報量を多く保ちつつ、比較的製造の容易な魚眼レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を踏まえ、本発明の魚眼レンズを次のように構成した。すなわち、像高yと画角θと焦点距離fとの間にy=αftan(θ/β)の関係を有する魚眼レンズであって(ここで、α,βは、β≧1.5、0.9β≦α≦1.1β)、
複数のレンズにより構成され、全体として負のパワーを持ち、物体側に配置された第1レンズ群と、
像側に配置された第2レンズ群とを備え、
前記第1レンズ群は、物体側から1枚目および2枚目のレンズは、物体側に凸面を向けた凹レンズであり、該凹レンズの少なくとも一方は、その物体側のレンズ面が次の条件を満たす非球面であることを要旨としている。
(a)50≦(R/f)≦∞
(b)30°≦Δx≦70°
ただし、
R:前記レンズ面の近軸における曲率半径
Δx:前記レンズ面の有効最縁部の接線と光軸に垂直な面とがなす角の角度
【0012】
この魚眼レンズにおいて、上記条件式(a)は、非球面としたレンズ面の光軸付近における曲率を緩やかにするための条件である。上限値を無限大としたのは、光軸付近においてレンズが平面になることを妨げないためである。R/fの値がかかる条件式(a)を満たせば、レンズ面が物体側に大きく突出することを抑えることができるため、迷光によるフレアやゴーストの発生が抑制され、また、製造が比較的容易となる。なお、このような効果をより向上させるためには、R/fの下限値を90、上限値を100とすることもできる。
【0013】
上記条件式(a)が、光軸付近の曲率を緩やかにするための条件であるのに対して、上記条件式(b)は、レンズの周辺部の曲率を高めるための条件である。Δxの値がこの条件式(b)を満たすことにより、像の周辺部の情報量を多くすることができる。
【0014】
また、像高yと画角θと焦点距離fとの間にy=αftan(θ/β)の関係を有し、αとβとを、それぞれ、
β≧1.5
0.9β≦α≦1.1β
であるものとしたのは、上述した等距離射影方式よりも像の周辺の情報量を多くするためである。通常、αとβとは一致する関係を有するものであるが、実際の設計上、若干、値をずらした方が収差特性が向上する場合があるため、αに対してある程度の許容範囲を設けている。なお、βの値は、像の周辺の情報量を確保するために、上限値を3.5とすることができる。
【0015】
また、本発明は、上述した魚眼レンズを備える撮影装置としても構成することができる。すなわち、かかる撮影装置は、上記魚眼レンズと、上記魚眼レンズによって集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、前記固体撮像素子によって変換された画像信号を出力する画像出力部とを備えることを要旨とする。
【0016】
このような撮影装置によれば、像の周辺部の情報量が多い画像を撮影可能であるため、広範囲な空間を隅々まで容易に視認することができる。固体撮像素子としては、例えば、CCD(電荷結合素子)イメージセンサや、CMOSイメージセンサを利用することができる。
【0017】
また、この撮影装置は、更に、前記画像出力部から出力された画像信号を画像データとして入力し、該画像データに対して歪曲収差を補正するための所定の画像処理を施す画像処理部を備えるものとしてもよい。
【0018】
このような構成の撮影装置によれば、上述した魚眼レンズによって撮影された画像の周辺部は豊富な情報量を有するため、歪曲収差の補正時にデータの補間部分を少なくすることができ、補正後の画像の画質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について実施例に基づき次の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.監視カメラシステム:
【0020】
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例である魚眼レンズ100の構成を示す説明図である。魚眼レンズ100は、図示するように、物体側に配置された第1レンズ群110と、像側に配置され、絞り122を含む第2レンズ群120とにより構成されている。この魚眼レンズ100の後側には、フィルタ511と、CCD(電荷結合素子)512とが配置される。
【0021】
第1レンズ群110は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた2枚の凹メニスカスレンズ111,112と、両凹レンズ113と、2枚のレンズを接合してなる接合レンズ114とにより構成される。
【0022】
この第1レンズ群110において、凹メニスカスレンズ111,112と両凹レンズ113とは、180度近い画角から入射する光束を段階的に光軸に平行な方向へ曲げる機能を有している。また、接合レンズ114は、かかる光束を第2レンズ群120に導く機能を有している。
【0023】
第2レンズ群120は、物体側から順に、2枚のレンズを接合してなる接合レンズ121と、絞り122と、3枚のレンズを接合してなる接合レンズ123と、凸レンズ124とから構成される。これらのレンズは、第1レンズ群110を通過した光束をCCD512上に結像させる働きを有する。
【0024】
図2は、これらのレンズのレンズデータを示す説明図である。図中、面番号は、各レンズのレンズ面に対して物体側から順番に一意の数値を割り当てた番号である。すなわち、凹メニスカスレンズ111の物体側のレンズ面が面番号1となり、その像側のレンズ面が面番号2となる。ただし、この面番号には、絞り122とフィルタ511も同一の番号体系に組み込まれている。以下の説明では、例えば、面番号1の付されたレンズ面のことを、「レンズ面1」と記載する場合がある。
【0025】
符号Rは、そのレンズ面の曲率半径を示しており、物体側に凸の場合は正の値をとり、物体側に凹の場合は負の値をとる。また、符号Dは、そのレンズ面と次のレンズ面までの光軸上の間隔(単位はミリメートル)を示している。従って、面番号1に対する間隔D1は、凹メニスカスレンズ111の光軸上の厚みを示しており、面番号2に対する間隔D2は、凹メニスカスレンズ111と凹メニスカスレンズ112との間の距離を示している。
【0026】
更に、図2において、符号Ndは、d線(波長587.56nm)における各レンズの屈折率を示しており、符号νdは、同じくd線における各レンズのアッベ数を示している。
【0027】
図中、「*」を付した面番号は、そのレンズ面が非球面であることを示している。つまり、本実施例では、凹メニスカスレンズ111の物体側のレンズ面1が非球面であることを表している。図の下部には、この非球面の円錐係数Kの値と、非球面係数A4〜A10の値を示している。かかる非球面の形状は、非球面と光軸との交点を原点として光軸方向への距離をX、光軸からの垂直方向への高さをH、曲率をCとすれば、次の定義式によって表すことができる。
【0028】
【数1】

【0029】
以上のように構成された魚眼レンズ100は、図2の上部に示すように、焦点距離fは1.816mm、Fナンバは2.8、画角2ωは182°、像高特性はy=3ftan(θ/3)であり、この式からの誤差は1%以内であった。
【0030】
また、この魚眼レンズ100の最も物体側に配置された凹メニスカスレンズ111のレンズ面1は、
R/f=96.06
Δx=35.9°
であり、上記条件式(a)および(b)を満たしていた。ここで、Rは、レンズ面1の光軸付近における曲率半径を示している。また、Δxは、図1に示すように、レンズ面1の有効最縁部の接線と光軸に垂直な面とがなす角の角度を示している。
【0031】
図3は、C線(波長:656.27nm)、d線(波長:587.56nm)、F線(波長:486.13nm)、g線(波長:435.84nm)における魚眼レンズ100の球面収差と非点収差と歪曲収差とを示す説明図であり、図4は、横収差を示す説明図である。図3中における符号Tは、その特性がタンゼンシャル光線(メリジオナル光線)に対するものであり、符号Sは、サジタル光線に対するものであることを示している。これらの図で示すように本実施例の魚眼レンズ100は、図15および図16に示した従来の魚眼レンズの収差特性に比べ、像の周辺部における非点収差や横収差が大きく改善されている。そのため、全画角に亘って明瞭な像を撮影することが可能になる。
【0032】
図5は、本実施例の魚眼レンズ100によって撮影される像のイメージを示す説明図である。かかる図では、画角10°毎の像高の変化を同心円によって表している。図5(a)は、等距離射影方式(y=f・θ)を採用する魚眼カメラによって撮影される像のイメージであり、図5(b)は、本実施例の魚眼レンズ100によって撮影される像のイメージである。図示するように、等距離射影方式の魚眼レンズでは、同心円同士の間隔が常に一定であるのに対して、本実施例の魚眼レンズ100では、像の周辺部に行くほど、同心円の間隔が広くなっている。そのため、像の周辺部に多くの情報量を有することになる。
【0033】
また、本実施例の魚眼レンズ100では、図1に示したように、凹メニスカスレンズ111の物体側のレンズ面1を非球面としたため、図13に示した従来の魚眼レンズに比べて、物体側へのレンズの飛び出しが抑えられており、像側のレンズの凹度も弱くなっている。そのため、レンズの製造や取り扱いが容易になり、更に、迷光によるゴーストやフレアの発生を抑制することができる。
【0034】
B.第2実施例:
図6は、本発明の第2実施例の魚眼レンズ200の構成を示す説明図である。かかる第2実施例の魚眼レンズ200も、第1実施例の魚眼レンズ100と同様に、第1レンズ群210と第2レンズ群220とにより構成される。
【0035】
本実施例の第1レンズ群210は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた3枚の凹メニスカスレンズ211,212,213と、2枚のレンズを接合してなる接合レンズ214とにより構成される。
【0036】
また、本実施例の第2レンズ群220は、物体側から順に、2枚のレンズを接合してなる接合レンズ221と、絞り222と、凸レンズ223と、2枚のレンズを接合してなる接合レンズ224と、凸レンズ225とにより構成される。
【0037】
図7は、これらのレンズのレンズデータを示す説明図である。図示するように、本実施例においてもレンズ面1は非球面であり、図の下部にその非球面係数を示している。
【0038】
以上のように構成された魚眼レンズ200は、図7の上部に示すように、焦点距離fは1.55mm、Fナンバは2.8、画角2ωは182°、像高特性はy=2ftan(θ/2)であり、この式からの誤差は1%以内であった。
【0039】
また、この魚眼レンズ200の最も物体側に配置された凹メニスカスレンズ211のレンズ面1は、
R/f=90.32
Δx=54.2°
であり、上記条件式(a)および(b)を満たしていた。
【0040】
図8は、魚眼レンズ200の球面収差と非点収差と歪曲収差とを示す説明図であり、図9は、横収差を示す説明図である。図示するように本実施例の魚眼レンズ200においても、第1実施例の魚眼レンズ100と同様に、図15および図16に示した従来の魚眼レンズの収差特性に比べて、像の周辺部における非点収差や横収差が大きく改善されている。そのため、全画角に亘って明瞭な像を撮影することが可能になる。
【0041】
図10は、本実施例の魚眼レンズ200によって撮影される像のイメージを示す説明図である。図10(a)は、等距離射影方式(y=f・θ)によって撮影される像のイメージであり、図10(b)は、本実施例の魚眼レンズ200によって撮影される像のイメージである。図示するように、本実施例の魚眼レンズ200においても、像の周辺部に行くほど、同心円の間隔が広くなっている。そのため、像の周辺部において豊富な情報量を有することになる。
【0042】
また、本実施例の魚眼レンズ200は、第1実施例の魚眼レンズ100と同様に、凹メニスカスレンズ211の物体側のレンズ面1を非球面としたため、図13に示した従来の魚眼レンズに比べて、物体側へのレンズの飛び出しが抑えられており、像側のレンズの凹度も弱くなっている(図6参照)。そのため、レンズの製造や取り扱いが容易になり、更に、迷光によるゴーストやフレアの発生を抑制することができる。
【0043】
C.監視カメラシステム:
次に、第1実施例もしくは第2実施例の魚眼レンズを備えた監視カメラシステムについて説明する。
【0044】
図11は、監視カメラシステム500の概略構成を示す説明図である。監視カメラシステム500は、天井に下向きに設置された監視カメラ装置510と、コンピュータ520とによって構成される。
【0045】
監視カメラ装置510は、魚眼レンズ100もしくは魚眼レンズ200と、フィルタ511とCCD512と画像出力回路513とを備えている。魚眼レンズによって集光された光は、フィルタ511を通ってCCD512上に結像する。CCD512は、こうして結像された光を画像信号に変換する。画像出力回路513は、CCD512からこの画像信号を読み込み、コンピュータ520に出力する。画像信号は、コンポジット信号やSビデオ信号、アナログRGB信号など、種々の態様によって出力することができる。また、画像出力回路513によってビットマップ形式やJPEG形式の画像データを生成し、かかる画像データをコンピュータ520に転送するものとしてもよい。
【0046】
コンピュータ520は、監視カメラ装置510から出力された画像信号を画像データとして入力すると、予めインストールされた画像処理プログラムを用いて、画像中の歪曲収差を補正し、通常の平面画像に変換する。こうして生成した平面画像はモニタ上に表示を行う。
【0047】
図12は、コンピュータ520が実行する処理のフローチャートである。まず、コンピュータ520は、監視カメラ装置510から画像信号を入力すると(ステップS10)、かかる画像信号をコンピュータ520が取り扱い可能なRGB形式の画像データに変換する(ステップS20)。そして、魚眼レンズの像高特性を表す相関式(魚眼レンズ100の場合は、y=3ftan(θ/3)、魚眼レンズ200の場合は、y=2ftan(θ/2))を用いつつ、この画像データに対して歪曲収差を補正するための画像処理を施す(ステップS30)。そして、最後にモニタ上に補正後の画像を表示する(ステップS40)。コンピュータ520は、以上の処理を繰り返して実行する。
【0048】
コンピュータ520は、かかる処理を、例えば、1/30秒程度毎に実行可能であれば、モニタ上に滑らかな動画として表示を行うことができる。また、上記ステップS30において利用する相関式は、例えば、予めユーザに入力させるか、所定のリストの中から選択させるものとすることができる。こうすることにより、監視カメラ装置510が備える魚眼レンズの種類に応じて最適な歪曲補正を行うことができる。
【0049】
以上のように構成した監視カメラシステム500によれば、魚眼レンズ100,200によって撮影された画像は、その周辺部の情報量が多いため、監視者は撮影された空間の周辺まで容易に監視できるようになる。また、魚眼レンズ100,200によって撮影された画像は周辺部の情報量が多く、歪曲補正時にデータの補間を行う部分を少なくすることができるため、補正後の画像の画質が向上することになる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態についていくつかの実施例に基づき説明したが、本発明はこのような実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0051】
例えば、上述した種々のレンズはガラスによって形成してもよいし、プラスチックによって形成するものとしてもよい。また、第1実施例および第2実施例では、最も物体側に位置するレンズの物体側のレンズ面を非球面としたが、物体側から2番目に位置するレンズ(凹メニスカスレンズ112、凹メニスカスレンズ212)の物体側のレンズ面を非球面としてもよい。また、両者のレンズを非球面とすることもできる。
【0052】
また、魚眼レンズ100,200は、監視カメラシステム500のほかにも、スチルカメラやビデオカメラ、資料提示装置などに利用することが可能である。その他、魚眼レンズ100,200を用いれば、撮影方向を逆転させて2枚の画像を撮影することにより、360°全方位の空間を撮影することができる。そのため、かかる2枚の画像をコンピュータを用いて合成することで、バーチャルリアリティ空間を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施例である魚眼レンズ100の構成を示す説明図である。
【図2】魚眼レンズ100のレンズデータを示す説明図である。
【図3】魚眼レンズ100の球面収差と非点収差と歪曲収差とを示す説明図である。
【図4】魚眼レンズ100の横収差を示す説明図である。
【図5】魚眼レンズ100によって撮影される像のイメージを示す説明図である。
【図6】第2実施例の魚眼レンズ200の構成を示す説明図である。
【図7】魚眼レンズ200のレンズデータを示す説明図である。
【図8】魚眼レンズ200の球面収差と非点収差と歪曲収差とを示す説明図である。
【図9】魚眼レンズ200の横収差を示す説明図である。
【図10】魚眼レンズ200によって撮影される像のイメージを示す説明図である。
【図11】監視カメラシステム500の概略構成を示す説明図である。
【図12】コンピュータ520が実行する処理のフローチャートである。
【図13】従来の魚眼レンズのレンズ構成を示す説明図である。
【図14】従来の魚眼レンズのレンズデータを示す説明図である。
【図15】従来の魚眼レンズの球面収差と非点収差と歪曲収差とを示す説明図である。
【図16】従来の魚眼レンズの横収差を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
100,200…魚眼レンズ
110,210…第1レンズ群
120,220…第2レンズ群
500…監視カメラシステム
510…監視カメラ装置
511…フィルタ
512…CCD
520…コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像高yと画角θと焦点距離fとの間にy=αftan(θ/β)の関係を有する魚眼レンズであって(ここで、α,βは、β≧1.5、0.9β≦α≦1.1β)、
複数のレンズにより構成され、全体として負のパワーを持ち、物体側に配置された第1レンズ群と、
像側に配置された第2レンズ群とを備え、
前記第1レンズ群は、物体側から1枚目および2枚目のレンズは、物体側に凸面を向けた凹レンズであり、該凹レンズの少なくとも一方は、その物体側のレンズ面が次の条件を満たす非球面である魚眼レンズ。
(a)50≦(R/f)≦∞
(b)30°≦Δx≦70°
ただし、
R:前記レンズ面の近軸における曲率半径
Δx:前記レンズ面の有効最縁部の接線と光軸に垂直な面とがなす角の角度
【請求項2】
撮影装置であって、
魚眼レンズと、
前記魚眼レンズによって集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子によって変換された画像信号を出力する画像出力部とを備え、
前記魚眼レンズは、
像高yと画角θと焦点距離fとの間にy=αftan(θ/β)の関係を有しており(ここで、α,βは、β≧1.5、0.9β≦α≦1.1β)、
複数のレンズにより構成され、全体として負のパワーを持ち、物体側に配置された第1レンズ群と、
像側に配置された第2レンズ群とを備え、
前記第1レンズ群は、物体側から1枚目および2枚目のレンズは、物体側に凸面を向けた凹レンズであり、該凹レンズの少なくとも一方は、その物体側のレンズ面が次の条件を満たす非球面である
撮影装置。
(a)50≦(R/f)≦∞
(b)30°≦Δx≦70°
ただし、
R:前記レンズ面の近軸における曲率半径
Δx:前記レンズ面の有効最縁部の接線と光軸に垂直な面とがなす角の角度
【請求項3】
請求項2に記載の撮影装置であって、
更に、前記画像出力部から出力された画像信号を画像データとして入力し、該画像データに対して歪曲収差を補正するための所定の画像処理を施す画像処理部
を備える撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−98942(P2006−98942A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287151(P2004−287151)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】