説明

魚網用の枠部材、魚網及び曳網

【課題】エチゼンクラゲのような大型のクラゲが魚網内に入ったとしても、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網外へ排出される魚網を提供する。
【解決手段】魚網本体5と、魚網本体5の網上面2の途中の位置に設けられた排出口h1と、クラゲ遮断用の網10と、この排出口h1の形状を一定の形状に保つための第四の枠体12とを備え、第四の枠体12の、第四の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、魚網本体5の開口部側となる枠体部12bには、第四の枠体12に対して開閉可能なように枢着された第五の枠体13が設けられており、クラゲ遮断用の網10が、魚網本体の網下面3から途中位置P1から、第四の枠体12の、第四の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、魚網本体5の開口部と反対側に位置する枠体部12bに設けられており、且つ、第五の枠体13の開口部h13には、網部材19が設けられるようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚網用の枠体、魚網及び曳網に関し、特に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが魚網内に入ったとしても、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網外へ排出されるようにした魚網を作製する際に用いる魚網用の枠体、魚網及び曳網に関する。
【背景技術】
【0002】
底曳網漁業では、例えば、エチゼンクラゲのような大型のクラゲのようなクラゲが大量に入網すると、魚網が破れたり、また、船上で、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかる、という問題がある。
【0003】
クラゲと漁獲物との選別作業に時間がかかると、漁獲物の鮮度が低下し、漁獲物の商品価値が著しく低下する、という問題がある。
【0004】
このような問題を解決する技術として、既に、底曳網の曳網作業中に、魚網からクラゲだけを排出する機構を有する底曳網の研究がなされている。
【0005】
図10は、既に提案されている、そのような底曳網を模式的に示す説明図である。
【0006】
また、図11は、図10に示す底曳網が、底曳網内に入った、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを、底曳網101外へ排出する状態を、その排出口及びその近傍を中心に説明する摸式的な断面図である。
【0007】
尚、図10及び図11では、魚網本体の網目については、図示するのを省略する。
【0008】
この底曳網101は、魚網本体105と、魚網本体105の途中の位置に、網上面102から網下面103から途中の位置P101にかけて設けられたクラゲ遮断用の網110と、クラゲ遮断用の網110の後方位置の、網下面103に設けられた排出口h101と、クラゲ遮断用の網110に連続するように、且つ、排出口h101を開閉するように設けられたクラゲ誘導網113とを備える。
【0009】
クラゲ遮断用の網110の目及びクラゲ誘導網113の目の各々の大きさは、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくされている。
【0010】
この底曳網101を用いて、底曳網漁業をした場合、この底曳網101では、網上面102の途中の位置に、網上面102から網下面103にかけて設けられたクラゲ遮断用の網110の目及びクラゲ誘導網113の目が、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくされているので、この底曳網101内に入った、エチゼンクラゲのような大型のクラゲは、網上面102の途中の位置に、網上面102から網下面103から途中の位置P101にかけて設けられたクラゲ遮断用の網110にひっかかり、その後、クラゲ誘導網113の下方を通って、排出口h101から底曳網101外へと排出される。
【0011】
一方、この底曳網101では、魚網本体105の途中の位置に、網上面102から網下面103から途中の位置P101にかけて設けられたクラゲ遮断用の網110の目及びクラゲ誘導網113の目が、捕獲する漁獲物よりも大きくされているので、捕獲する漁獲物は、クラゲ遮断用の網110を通過し、袋部(図10に示す袋部101a)に追い入れられる。
【0012】
即ち、この底曳網101を用いて、底曳網漁業をすれば、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが底曳網101内に入ったとしても、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲは、排出口h101から底曳網101外へ排出されるので、網が破れたり、船上での、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかったりする、といった問題が生じない。
【0013】
また、選別作業に時間がかからないので、漁獲物の鮮度が低下し、漁獲物の商品価値が著しく低下する、という問題も生じない、とされている。
【非特許文献1】島根県水産試験場 漁海況情報 平成16年10月27日発行 トビウオ通信(10月号)、http://www2.pref.shimane.jp/suisi/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、この底曳網101には、更に、改良の余地がある。
【0015】
即ち、本発明者は、この底曳網101と同様の網を試作し、その機能試験を行った結果、この底曳網101を用いて、底曳網漁業をした場合、この底曳網101内に入った、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが、必ずしも、排出口h101から底曳網101外へと排出されない、ということを知見するに至った。
【0016】
より具体的に説明すると、底曳網101に、単に、クラゲの排出口h101を形成しただけでは、排出口h101の形状が、底曳網漁業を行っている際に、種々の形状に変形し、排出口h101の形状によっては、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出口から排出されない、といったような問題が生じ得る。
【0017】
また、エチゼンクラゲのような大型のクラゲは、底曳網101に入った場合、底曳網101の上方に移動する傾向があるため、クラゲ遮断用の網110にひっかかり、その後、クラゲ誘導網113によって、クラゲを、底曳網101の網下面103に設けられた排出口h101へ誘導するようにしても、クラゲが、排出口h101方向へは移動しない、といった問題が生じ得る。
【0018】
のみならず、底曳網101の網下面103に、単に、排出口h101を設けただけの底曳網101を用いて底曳網漁業を行った場合には、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを排出する際に、クラゲ誘導網113が、排出口h101を開いた状態になった際に、これと同時に、底曳網101内の魚も、排出口h101から海中に排出されるため、魚の漁獲量が減少する、という問題もある。
【0019】
更には、底曳網101のように、網上面102から網下面103から途中の位置P101にかけてクラゲ遮断用の網110を設けた場合には、魚体の大きい、いわゆる高級魚が、エチゼンクラゲのような大型のクラゲとともに、排出口から海中に排出されるため、魚体の大きい魚(いわゆる高級魚)の漁獲量が減少する、という問題もある。
【0020】
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであって、網内に入った、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを排出口から網外へ、より一層、排出されやすく、且つ、漁獲量も減少し難い魚網、そのような魚網を作製する際に用いる魚網用の枠体、及び、そのような魚網を備える曳網を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に記載の、魚網用の枠部材は、魚網本体の網上面に設けた排出口の形状を一定に保つための第一の枠体と、第一の枠体の、第一の枠体を前記魚網本体に取り付けた後に、魚網本体の開口部側となる枠体部に、第一の枠体に対して開閉可能なように枢着された第二の枠体と、第一の枠体の、第一の枠体を前記魚網に取り付けた後に、魚網本体の開口部側となる枠体部に、第一の枠体に対し、後方に行くに従って下方に位置するように設けられた、クラゲ遮断用の網を取り付ける第三の枠体と、第一の枠体を魚網本体に取り付けた後に、第一の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端の各々と、第三の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端の各々とを連接する一対の接続部材とを備え、第一の枠体を魚網本体に取り付けた後に、第一の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部、第三の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部及び一対の連接部材により形成される枠体の目の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくし、且つ、第二の枠体の開口部には、網部材が設けられるようにされている。
【0022】
請求項2に記載の魚網は、魚網本体と、魚網本体の網上面の途中の位置に設けられた排出口と、クラゲ遮断用の網とを備え、魚網本体の網上面の途中の位置に設けられた排出口には、この排出口の形状を一定の形状に保つための第四の枠体が取り付けられており、第四の枠体の、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網本体の開口部側となる枠体部には、第四の枠体に対して開閉可能なように枢着された第五の枠体が設けられており、クラゲ遮断用の網が、魚網本体の網下面又は網下面の途中位置から、第四の枠体の、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網本体の開口部と反対側に位置する枠体部に設けられており、且つ、第五の枠体の開口部には、網部材が設けられるようにされている。
【0023】
請求項3に記載の魚網は、請求項2に記載の魚網の、第四の枠体の、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網本体の開口部側となる枠体部には、第四の枠体に対し、後方に行くに従って下方に位置するように設けられた、クラゲ遮断用の網を取り付ける第六の枠体が更に設けられており、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、第四の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端と、第六の枠体の前記魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端には、これらを連接する一対の接続部材が設けられており、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、第四の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部、第六の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部及び一対の連接部材により形成される枠体の目の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくし、クラゲ遮断用の網が、魚網本体の網下面又は網下面の途中位置から、第六の枠体の、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網の開口部と反対側に位置する枠体部に設けられている。
【0024】
請求項4に記載の魚網は、請求項2又は請求項3に記載の魚網の、クラゲ遮断用の網の目が、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくされている。
【0025】
請求項5に記載の魚網は、請求項2〜4のいずれかに記載の魚網の、第四の枠体に、浮力調整部材を取り付けた。
【0026】
請求項6に記載の魚網は、請求項2〜5のいずれかに記載の魚網の、第五の枠体の、第五の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網の開口部側と反対側に位置する枠体部に、第五の枠体を開くためのロープを接続した。
【0027】
請求項7に記載の魚網は、請求項2〜6のいずれかに記載の魚網の、第五の枠体に、重りを取り付けた。
【0028】
請求項8に記載の曳網は、請求項2〜7のいずれかに記載の魚網を備える。
【0029】
ここで、本明細書で用いる用語、「曳網」は、底曳網、船曳網その他の曳網を意味する。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に記載の魚網用の枠部材は、魚網の網上面に設けた排出口の形状を形成する第一の枠体を備えているので、この魚網用の枠部材の第一の枠体を、魚網の排出口に取り付けることで、魚網の排出口の形状を一定形状に保つことができる。
【0031】
この結果、この魚網用の枠部材を備え、魚網に設けた排出口の形状を、この魚網用の枠部材を構成する第一の枠体を用いて一定の形状に形成するようにした魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、排出口の形状が種々の形状に変形することが無いので、例えば、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出口から、魚網外へ、スムーズに排出される。
【0032】
また、この魚網用の枠部材は、網上面に排出口を備える魚網の排出口を第一の枠体を用いて一定の形状に形成するようにして使用するものであるので、この魚網用の枠部材を備え、魚網に設けた排出口の形状を、この魚網用の枠部材を構成する第一の枠体を用いて一定の形状に形成するようにした魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが魚網内に入った場合、そのようなクラゲは、魚網の上方に移動する傾向があるので、この傾向に従って、クラゲが排出口から、魚網の外にスムーズに排出される。
【0033】
のみならず、この魚網用の枠部材は、第一の枠体を魚網に取り付けた後に、第一の枠体の魚網の開口部の反対側に位置する枠体部、第三の枠体の魚網の開口部の反対側に位置する枠体部及び一対の連接部材により形成される枠体の目の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくしているので、第二の枠体が、エチゼンクラゲを排出する際に、排出口を開いた状態にした際に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲは、排出口から魚網の外に排出されるが、エチゼンクラゲのような大型のクラゲより小さい魚介類は、第一の枠体の魚網の開口部の反対側に位置する枠体部、第三の枠体の魚網の開口部の反対側に位置する枠体部及び一対の連接部材により形成される開口部を通過して、袋部に追い入れられる。
【0034】
従って、この魚網用の枠部材を備え、魚網に設けた排出口の形状を、この魚網用の枠部材を構成する第一の枠体を用いて一定の形状に形成するようにした魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、主に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲだけが排出口から、魚網外へ、スムーズに排出され、エチゼンクラゲのような大型のクラゲよりも小さい大きさの魚介類は、袋部に追い入れられることとなるので、魚介類の漁獲量が減少する、という問題は生じず、むしろ、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、網外へエチゼンクラゲが排出された分、一網作業当たりの魚の漁獲量が増加する。
【0035】
請求項2に記載の魚網では、第四の枠体を、魚網の網上面に設けた排出口に取り付けることで、魚網の網上面に設けた排出口の形状が変化しないようにしている。
【0036】
この結果、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業船や曳網漁業等中に、排出口の形状が種々の形状に変形することが無いので、エチゼンクラゲのような大型のクラゲだけが排出口から、魚網外へ、スムーズに排出される。
【0037】
また、この魚網は、網上面に排出口を備え、魚網の排出口を、第四の枠体を用いて一定の形状に形成しているので、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが魚網内に入った場合、クラゲは、一般に、魚網の上方に移動する傾向があるので、この傾向に従って、クラゲが排出口から、魚網の外にスムーズに排出される。
【0038】
また、この魚網では、網上面に排出口に、第四の枠体に対して開閉可能なように枢着された第五の枠体を設けているので、魚網内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、網上面に排出口の近傍に漂っている場合に、第五の枠体を、第四の枠体に対して開いた状態にすることで、魚網内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲを、網上面に設けた排出口から魚網外へ排出できる。
【0039】
のみならず、この魚網では、クラゲ遮断用の網を、魚網本体の網下面又は網下面の途中位置から、第四の枠体の、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網本体の開口部と反対側に位置する枠体部に設けているので、クラゲは、一般に、魚網の上方に移動する傾向があるので、この傾向に従って、魚網内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲは、排出口から、魚網の外にスムーズに排出される。
【0040】
従って、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが大量に入網しても、網上面に設けた排出口から、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網外へスムーズに排出されるので、魚網が破れることがない。
【0041】
且つ、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行った後、この魚網を船上に引き上げた際に、魚網内には、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが殆どいないので、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかるという問題が生じない。
【0042】
この結果、クラゲと漁獲物との選別作業に殆ど時間がかからないため、この魚網を用いると、漁獲物の鮮度が低下しないので、漁獲物の商品価値が著しく低下する、という問題が生じない。
【0043】
のみならず、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、そのような漁業中に、主にエチゼンクラゲのような大型のクラゲだけが排出口から、魚網外へ、スムーズに排出され、エチゼンクラゲよりも小さい大きさの魚介類は、袋部に追い入れられることとなるので、魚介類の漁獲量が減少する、という問題は生じず、むしろ、漁業中に、魚網外へエチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出された分、一網作業当たりの魚の漁獲量が増加する。
【0044】
更に、この魚網において、クラゲ遮断用の網を、網下面から網上面に設けられた排出口にかけて設けるのではなく、クラゲ遮断用の網を、網下面の途中位置から、網上面に設けられた排出口にかけて設けるようにした場合には、魚体の大きい、いわゆる底物と称される高級魚は、網下面と、クラゲ遮断用の網との間の隙間を通って、袋部に追い入れられることになるので、いわゆる底物と称される高級魚が、エチゼンクラゲのような大型のクラゲとともに、排出口から海中に排出されることが無い。
【0045】
請求項3に記載の魚網では、請求項2に記載の魚網と同様、第四の枠体を、魚網の網上面に設けた排出口に取り付けることで、魚網の網上面に設けた排出口の形状が変化しないようにしている。
【0046】
この結果、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、排出口の形状が種々の形状に変形することが無いので、クラゲが排出口から、網外へ、スムーズに排出される。
【0047】
また、この魚網は、網上面に排出口を備え、魚網の排出口を、第四の枠体を用いて一定の形状に形成しているので、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが魚網内に入った場合、クラゲには魚網の上方に移動する傾向があるので、この傾向に従って、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出口から、魚網の外にスムーズに排出される。
【0048】
また、この魚網では、網上面に排出口に、第四の枠体に対して開閉可能なように枢着された第五の枠体を設けているので、魚網内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、網上面に排出口の近傍に漂っている場合に、第五の枠体を、第四の枠体に対して開いた状態にすることで、魚網内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲを、網上面に設けた排出口から魚網外へ排出できる。
【0049】
のみならず、この魚網では、クラゲ遮断用の網を、魚網本体の網下面又は網下面から途中位置から、第四の枠体の、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網本体の開口部と反対側に位置する枠体部に設けているので、クラゲは、一般に、魚網の上方に移動する傾向があるので、この傾向に従って、魚網内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、排出口から、魚網の外にスムーズに排出される。
【0050】
従って、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが大量に入網しても、網上面に設けた排出口から、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網外へスムーズに排出されるので、魚網が破れることがない。
【0051】
且つ、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行った後、この魚網を船上に引き上げた際に、魚網内には、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが殆どいないので、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかるという問題が生じない。
【0052】
この結果、クラゲと漁獲物との選別作業に殆ど時間がかからないため、この魚網を用いると、漁獲物の鮮度が低下しないので、漁獲物の商品価値が著しく低下する、という問題が生じない。
【0053】
のみならず、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、そのような漁業中に、主にエチゼンクラゲのような大型のクラゲだけが排出口から、網外へ、スムーズに排出され、エチゼンクラゲのような大型のクラゲよりも小さい大きさの魚介類は、袋部に追い入れられることとなるので、魚介類の漁獲量が減少する、という問題は生じず、むしろ、漁業中に、網外へエチゼンクラゲが排出された分、一網作業当たりの魚の漁獲量が増加する。
【0054】
更に、この魚網において、クラゲ遮断用の網を、網下面から網上面に設けられた排出口にかけて設けるのではなく、クラゲ遮断用の網を、網下面から途中位置から、網上面に設けられた排出口にかけて設けるようにした場合には、魚体の大きい、いわゆる底物と称される高級魚は、網下面と、クラゲ遮断用の網との間の隙間を通って、袋部に追い入れられることになるので、いわゆる底物と称される高級魚が、エチゼンクラゲとともに、排出口から海中に排出されることが無い。
【0055】
のみならず、この魚網では、請求項2に記載の魚網の、第四の枠体の、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網本体の開口部側となる枠体部には、第四の枠体に対し、後方に行くに従って下方に位置するように設けられた、クラゲ遮断用の網を取り付ける第六の枠体を更に設け、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、第四の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端と、第六の枠体の前記魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端には、これらを連接する一対の接続部材が設けられており、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、第四の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部、第六の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部及び一対の連接部材により形成される枠体の目の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくし、クラゲ遮断用の網が、魚網本体の網下面又は網下面の途中位置から、第六の枠体の、第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網の開口部と反対側に位置する枠体部に設けているので、第五の枠体が、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを排出する際に、排出口を開いた状態にした際に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲは、排出口から魚網の外に排出されるが、エチゼンクラゲのような大型のクラゲより小さい魚介類は、第四の枠体の魚網の開口部の反対側に位置する枠体部、第六の枠体の魚網の開口部の反対側に位置する枠体部及び一対の連接部材により形成される開口部を通過して、袋部に追い入れられる。
【0056】
従って、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、主に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲだけが排出口から、魚網外へ、スムーズに排出され、エチゼンクラゲのような大型のクラゲよりも小さい大きさの魚介類は、袋部に追い入れられることとなるので、魚介類の漁獲量が減少する、という問題は生じず、むしろ、底曳網漁業中に、網外へエチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出された分、一網作業当たりの魚の漁獲量が増加する。
【0057】
請求項4に記載の魚網では、クラゲ遮断用の網の目が、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくしているので、この魚網を用いれば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲは、クラゲ遮断用の網の目に引っかかり、網上面に設けた排出口から網外へ排出される一方、捕獲する漁獲物は、袋部に追い込まれる。
【0058】
この結果、この魚網を用いれば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが大量に入網しても、網上面に設けた排出口から網外へ排出される結果、魚網が壊れることがない。
【0059】
且つ、この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行った後、この魚網を船上に引き上げた際に、魚網内には、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが殆どいないので、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかるという問題が生じない。
【0060】
この結果、この魚網を用いれば、クラゲと漁獲物との選別作業に殆ど時間がかからないため、この魚網を用いると、漁獲物の鮮度が低下しないので、漁獲物の商品価値が著しく低下する、という問題が生じない。
【0061】
請求項5に記載の魚網では、魚網用の枠部材が例えば重量物で構成され、船の速度によって、網上部の魚網用の枠部材が、下方に沈み込むような場合、魚網用の枠部材を構成する第四の枠体に、浮力調整部材を取り付け、網上部の魚網用の枠部材が、下方に沈み込むことを防止できる。
【0062】
請求項6に記載の魚網では、第五の枠体の、第四の枠体を魚網に取り付けた後に、魚網の開口部側と反対側に位置する枠部に、第五の枠体を開くためのロープを接続しているので、網を漁船に上げる前に、網の上面に設けた排出口の近傍に、入網したエチゼンクラゲのような大型のクラゲが漂ってきたような場合、作業員(漁師等)は、船上からそのような状況を観察した場合、ロープを引っ張ることで、第五の枠体を、網上面に設けた排出口に対し開いた状態にすることで、魚網内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲを魚網外へ排出することができる。
【0063】
この魚網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが大量に入網しても、ロープを引っ張ることで、第五の枠体を、網上面に設けた排出口に対し開いた状態にし、網上面に設けた排出口から、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲを、網外へスムーズに排出することができるので、網が破れることがない。
【0064】
且つ、この魚網を用いれば、底曳網漁業や船曳網漁業中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが大量に入網しても、ロープを引っ張ることで、第五の枠体を、網上面に設けた排出口に対し開いた状態にし、網上面に設けた排出口から、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲを、魚網外へ排出しているので、底曳網漁業や船曳網漁業等を行った後、この魚網を船上に引き上げた際に、魚網内には、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが殆どいないので、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかるという問題が生じない。
【0065】
請求項7に記載の魚網では、魚網用の枠部材を構成する第五の枠体が過度に網上部の排出口を開いた状態にするような場合に、魚網用の枠部材を構成する第五の枠体の重量を、重りを取り付けることで、排出口から、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを排出するのに適した重さになるように調整できる。
【0066】
請求項8に記載の曳網は、請求項2〜7のいずれかに記載の魚網を備えるので、この曳網を用いれば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが大量に魚網内に入ったとしても、網上面に設けた排出口から網外へ排出される結果、魚網が壊れることがない。
【0067】
且つ、この曳網を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行った後、この魚網を船上に引き上げた際に、魚網内には、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが殆どいないので、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかるという問題が生じない。
【0068】
この結果、この曳網を用いれば、クラゲと漁獲物との選別作業に殆ど時間がかからないため、この魚網を用いると、漁獲物の鮮度が低下しないので、漁獲物の商品価値が著しく低下する、という問題が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
以下、本発明に係る魚網及び魚網用の枠部材の一例について、図面を参照しながら、更に、詳しく説明する。
【0070】
図1は、本発明に係る魚網の一例の構成を模式的に示す構成図である。
【0071】
尚、図1では、魚網の内部構造を説明するために、網目の一部については図示するのを省略している。
【0072】
この魚網1は、網上面2と、網下面3と、一対の網側面4、4とを備える袋状の網本体5を備える。
【0073】
網下面3の前方側(この魚網1を魚船(図示せず。)で引き回した際に、魚網1の入り口側)には、沈子6・・・が取り付けられ、網上面2の前方側(この魚網1を魚船(図示せず。)で引き回した際に、魚網1の入り口側)及び一対の網側面4、4の前方側(この魚網1を魚船(図示せず。)により引き回した際に、魚網本体5の入り口側)には、浮子7・・・が取り付けられている。
【0074】
また、8、8で示す部材は、魚船(図示せず。)と魚網1とを繋ぐ、魚網曳用ロープを示している。
【0075】
また、9で示す部材は、魚網本体5の入り口部分の開口を確保するために必要により設けられる棒(ビーム)を示している。
【0076】
この魚網1の以上の構成は、従来の底曳網の構成と同様であるが、この魚網1は、以下の構成を備える点で、従来の底曳網及び図9に示す魚網101と異なっている。
【0077】
即ち、この魚網1は、網上面2に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを排出するための排出口h1を備え、この排出口h1には、魚網用の枠部材11が取り付けられている。
【0078】
次に、魚網用の枠部材11の構成について、説明する。
【0079】
図2は、魚網用の枠部材11の構成を概略的に示す斜視図であり、図3は、図2に示す魚網用の枠部材11をその上方から下方に見た状態を概略的に示す平面図である。
【0080】
尚、図3中では、魚網用の枠部材11中、網部材については図示するのを省略し、枠部材のみを図示している。
【0081】
また、図4は、図2に示す魚網用の枠部材11を、図3中、矢印Ar1方向に見た状態を概略的に示す側面図である。
【0082】
また、図5は、図2に示す魚網用の枠部材11を、図3中、矢印Ar2方向に見た状態を概略的に示す正面図である。
【0083】
この魚網用の枠部材11は、魚網1の網上面2に設けた排出口h1の形状を一定に形成するための第一の枠体12と、第一の枠体12の、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、魚網本体5の開口部側(この魚網1を魚船(図示せず。)により引き回した際に、魚網1の入り口側)に、第一の枠体12の枠体部12aに対して開閉可能なように枢着された第二の枠体13と、第一の枠体12の、魚網1の開口部側(この魚網1を魚船(図示せず。)により引き回した際に、魚網1の入り口側)から後方に行くに従って、第一の枠体12に対して、下方に位置するように設けられた、クラゲ遮断用の網(図1中に示す、クラゲ遮断用の網10)を取り付ける第三の枠体14と、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、第一の枠体12の魚網本体5の開口部(この魚網1を魚船(図示せず。)により引き回した際の、魚網1の入り口)の反対側に位置する枠体部12bの両端の各々と、第三の枠体14の魚網1の開口部(この魚網1を魚船(図示せず。)で引き回した際に、魚網1の入り口)の反対側に位置する枠体部の両端14aの各々とを連接する一対の接続部材15、15とを備える。
【0084】
更に、この魚網用の枠部材11では、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、第一の枠体12の魚網1の開口部(この魚網1を魚船(図示せず。)により引き回した際の、魚網1の入り口)の反対側に位置する枠体部12b、第三の枠体14の魚網1の開口部(この魚網1を魚船(図示せず。)で引き回した際の、魚網1の入り口)の反対側に位置する枠体部14b及び一対の連接部材15、15により形成される枠体16の目17、17の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくしている。
【0085】
尚、18で示す部材は、枠体16を補強することや、目17の大きさをエチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくするために設けられる補強材(棒)を示している。
【0086】
且つ、この魚網用の枠部材11では、第二の枠体13の開口部(図3に示す、開口部h13)には、網部材(図2に示す網部材19)が設けられる(取り付ける)ようにされている。
【0087】
尚、図3中、13aで示す部材は、網部材(図2に示す網部材19)を取り付ける、網部材取付枠を示している。
【0088】
また、図2中、20で示す部材は、浮力調整部材(この例では、浮き)を示している。
【0089】
この魚網1では、浮力調整部材(この例では、浮き)20は、第一の枠体12に取り付けできるようになっている。
【0090】
この浮力調整部材(この例では、浮き)20は、魚介類を採るために、魚網1を、漁船(図示せず。)により引き回した際に、魚網用の枠部材11が、その重量によって、下方に沈み込むような場合に、第一の枠体12に、適当個を取り付けることで、網上部の魚網用の枠部材が、下方に沈み込むことを防止するために使用するものである。
【0091】
また、図2中、21で示す部材は、重りを示している。
【0092】
この魚網1では、重り21は、第二の枠体13に取り付けできるようになっている。
【0093】
この重り21は、魚網用の枠部材11を構成する第二の枠体13が過度に網上面2の排出口h1を開いた状態にするような場合に、適当個の重り21を第二の枠体13に取り付けることで、第二の枠体13の重さを、排出口h1から、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを排出するのに適した重さに調整するために使用するものである。
【0094】
また、図3中、13cで示す部材は、重り21を取り付けるための、重り取付け部材(棒)を示しており、重り取付け部材(棒)は、第三の枠体13の、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、第一の枠体12の魚網1の開口部(この魚網1を魚船(図示せず。)により引き回した際の、魚網1の入り口)の反対側に位置する枠体部13bに設けられる。
【0095】
また、図1中、22で示す部材は、ロープを示しており、このロープ22は、第二の枠体13の、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、魚網1の開口部側と反対側に位置する枠体部(図3及び図4の各々に示す枠体部13b)と、魚網1の開口部(入り口)側上面の漁船との間を接続するように設けられる。
【0096】
尚、図3及び図4中に、23で示す部材は、ロープ22を取り付けるために、第二の枠体13の、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、魚網1の開口部側と反対側に位置する枠体部(図3及び図4の各々に示す枠体部13b)に設けられたロープ取付具を示している。
【0097】
尚、エチゼンクラゲのような大型のクラゲは、既に述べたように、重さが200kg、カサの直径が1m以上の大型のクラゲであるので、クラゲ遮断用の網10の目及び枠体16の目17、17の大きさは、例えば、約1m以下60cm以上×約1m以下60cm程度、より好ましくは、幅を約1m以下60cm以上、高さを15cm以上20cm以下にする。
【0098】
次に、魚網1の使用法を例示的に説明する。
【0099】
この魚網1は、例えば、底曳網漁業や船曳網漁業その他の曳網として使用する。
【0100】
底曳網漁業や船曳網漁業をする際には、魚網1と漁船(図示せず。)との間を魚網曳用ロープ8、8を用いて接続し、魚網1を漁船(図示せず。)により海中を引き回す。
【0101】
図6は、魚網1の通常の状態を、魚網本体5の網上面2に設けた排出口h1及びこの部分を中心に示す模式的な断面図であり、また、図7は、魚網1が、魚網1内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲを魚網1外へ排出する状態を、魚網本体5の網上面2に設けた排出口h1及びこの部分を中心に示す模式的な断面図である。
【0102】
尚、図6及び図7の各々において、魚網本体5の網目については、図示するのを省略している。
【0103】
この魚網1は、通常は、図6に示すように、排出口h1は、第二の枠体13によって閉じられた状態になっている。
【0104】
一方、魚網1中にエチゼンクラゲのような大型のクラゲが入り、魚網1中に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網1を漁船に上げる前に、網の上面に設けた排出口の近傍に、入網したエチゼンクラゲのような大型のクラゲが漂ってきたような場合、作業員(漁師等)は、船上からそのような状況を観察した場合、ロープ22を引っ張ることで、第二の枠体13を、第一の枠体12に対して開いた状態にすることで、魚網1内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲを、網上面2に設けた排出口h1から魚網1外へ排出できる。
【0105】
この魚網1では、第一の枠体12を、魚網本体5の網上面2に設けた排出口h1に取り付けることで、魚網本体5の網上面2に設けた排出口h1の形状が変化しないようにしている。
【0106】
この結果、この魚網1を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、排出口h1の形状が種々の形状に変形することが無いので、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出口h1から、魚網1外へ、スムーズに排出される。
【0107】
また、この魚網1は、魚網本体5の網上面2に排出口h1を備え、魚網本体5の排出口h1を、第一の枠体12を用いて一定の形状に形成しているので、この魚網1を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが網内に入った場合、クラゲは魚網1の上方に移動する傾向があるので、この傾向に従って、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出口h1から、魚網1の外にスムーズに排出される。
【0108】
従って、この魚網1を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが大量に魚網1中に入ったとしても、網上面2に設けた排出口h1から、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網1外へスムーズに排出されるので、魚網1が破れることがない。
【0109】
且つ、この魚網1を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行った後、この魚網1を船上に引き上げた際に、魚網1内には、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが殆どいないので、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかるという問題が生じない。
【0110】
この結果、クラゲと漁獲物との選別作業に殆ど時間がかからないため、この魚網1を用いると、漁獲物の鮮度が低下しないので、漁獲物の商品価値が著しく低下する、という問題が生じない。
【0111】
のみならず、この魚網1を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、そのような漁業中に、主にエチゼンクラゲのような大型のクラゲだけが排出口h1から、魚網1外へ、スムーズに排出され、エチゼンクラゲのような大型のクラゲよりも小さい大きさの魚は、袋部(図1に示す袋部1a)に追い入れられることとなるので、魚の漁獲量が減少する、という問題は生じず、むしろ、漁業中に、魚網1外へエチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出された分、一網作業当たりの魚の漁獲量が増加する。
【0112】
更に、この魚網1では、クラゲ遮断用の網10を、網下面3から網上面2に設けられた排出口h1にかけて設けるのではなく、クラゲ遮断用の網10を、網下面3から途中位置(図6及び図7に示す網側面4、4の網底面P1、P1から所定の高さ離れた位置)から、網上面2に設けた排出口h1にかけて設けるようにしているので、魚体の大きい、いわゆる底物と称される高級魚は、網下面3と、クラゲ遮断用の網10との間の隙間(図6及び図7に示す隙間Sp)を通って、袋部(図1に示す袋部1a)に追い入れられることになるので、いわゆる底物と称される高級魚が、エチゼンクラゲのような大型のクラゲとともに、排出口h1から海中に排出されることが無い。
【0113】
のみならず、この魚網1には、第一の枠体12の、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、魚網本体5の開口部側となる枠体部12aには、第一の枠体12に対し、後方に行くに従って下方に位置するように設けられた、クラゲ遮断用の網を取り付ける第三の枠体14を更に設け、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、第一の枠体12の魚網本体5の開口部の反対側に位置する枠体部12bの両端と、第三の枠体14の魚網本体5の開口部の反対側に位置する枠体部14bの両端には、これらを連接する一対の接続部材15、15が設けられている。
【0114】
且つ、この魚網1では、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、第一の枠体12の魚網本体5の開口部の反対側に位置する枠体部12b、第三の枠体14の魚網本体5の開口部の反対側に位置する枠体部14b及び一対の連接部材15、15により形成される枠体16の目17、17の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくし、クラゲ遮断用の網10を、魚網本体5の網下面3から途中位置P1から、第三の枠体14の、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、魚網1の開口部と反対側に位置する枠体部14bに設けているので、第二の枠体13が、魚網1内に入った、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを魚網1外へ排出する際に、排出口h1を開いた状態にした際に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲは、排出口h1から魚網1の外に排出されるが、エチゼンクラゲのような大型のクラゲより小さい魚は、第一の枠体12の魚網1の開口部の反対側に位置する枠体部12b、第三の枠体14の魚網1の開口部の反対側に位置する枠体部14b及び一対の連接部材5、5により形成される枠体17、を通過して、袋部(図1中に示す袋部1a)に追い入れられる。
【0115】
従って、この魚網1を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行えば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、主に、魚網1内に入った、エチゼンクラゲのような大型のクラゲだけが排出口h1から、魚網1外へ、スムーズに排出され、エチゼンクラゲのような大型のクラゲよりも小さい大きさの魚は、袋部(図1中に示す袋部1a)に追い入れられることとなるので、魚の漁獲量が減少する、という問題は生じず、むしろ、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、魚網1外へ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが排出された分、一網作業当たりの魚の漁獲量が増加する。
【0116】
また、この魚網1では、クラゲ遮断用の網10の目が、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくしているので、この魚網1を用いれば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲは、クラゲ遮断用の網10の目に引っかかり、網上面2に設けた排出口h1から魚網1外へ排出される一方、捕獲する漁獲物は、袋部(図1中に示す袋部1a)に追い込まれる。
【0117】
この結果、この魚網1を用いれば、底曳網漁業や船曳網漁業等中に、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが大量に魚網1内に入ったとしても、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲは、網上面2に設けた排出口h1から網外へ排出される結果、魚網1が壊れることがない。
【0118】
且つ、この魚網1を用い、底曳網漁業や船曳網漁業等を行った後、この魚網1を船上に引き上げた際に、魚網1内には、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが殆どいないので、クラゲと漁獲物との選別作業に手間がかかるという問題が生じない。
【0119】
この結果、この魚網1を用いれば、クラゲと漁獲物との選別作業に殆ど時間がかからないため、この魚網1を用いると、漁獲物の鮮度が低下しないので、漁獲物の商品価値が著しく低下する、という問題が生じない。
【0120】
尚、上記した発明の実施の形態中で説明した、魚網1は、本発明に係る魚網を説明するために用いたものであって、本発明に係る魚網は、魚網1に限定されることはない。
【0121】
図8は、本発明に係る魚網の他の一例を魚網本体の網上面に設けた排出口及びこの部分を中心に示す模式的な断面図である。
【0122】
尚、図8において、魚網本体5の網目については、図示するのを省略している。
【0123】
この魚網1Aは、魚網1とは、以下の構成が異なる以外は、魚網1と同様の構成を備えるので、図8中に示す魚網1Aの構成部材中、魚網1の構成部材に相当する構成部材については、魚網1の構成部材と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0124】
この魚網1Aは、クラゲ遮断用の網10を、網下面3から網上面2に設けられた排出口h1にかけて設けている点で、魚網1と、その構成が異なっている。
【0125】
より具体的に説明すると、この魚網1Aでは、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、第一の枠体12の魚網本体5の開口部の反対側に位置する枠体部12b、第三の枠体14の魚網本体5の開口部の反対側に位置する枠体部14b及び一対の連接部材15、15により形成される枠体16の目17、17の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくし、クラゲ遮断用の網10を、魚網本体5の網下面3から、第三の枠体14の、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、魚網1の開口部と反対側に位置する枠体部14bに設けている。
【0126】
また、図9は、本発明に係る魚網の他の一例を魚網本体の網上面に設けた排出口及びこの部分を中心に示す模式的な断面図である。
【0127】
尚、図9において、魚網本体5の網目については、図示するのを省略している。
【0128】
この魚網1Bは、魚網1とは、以下の構成が異なる以外は、魚網1と同様の構成を備えるので、図8中に示す魚網1Bの構成部材中、魚網1の構成部材に相当する構成部材については、魚網1の構成部材と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0129】
この魚網1Bは、魚網用の枠部材11の代わりに、魚網用の枠部材21を用いている点で、魚網1とはその構成が異なっている。
【0130】
より具体的に説明すると、この魚網1Bは、第一の枠体12と、第一の枠体12を開閉する第2の枠体13とを備えている点では、魚網1と同様の構成を備えるが、第三の枠体14が無い点で、魚網1とは、その構成が異なっている。
【0131】
また、この魚網1Bは、クラゲ遮断用の網10を、魚網本体5の網下面3又は網下面3から途中の位置(図6及び図7に示す途中位置P1を参照)から、第一の枠体12を魚網本体5に取り付けた後に、第一の枠体12の魚網本体5の開口部の反対側に位置する枠体部12bにかけて設けている点で、魚網1とは、その構成が異なっている。
【0132】
上記した魚網1A及び魚網1Bも、魚網1と同様、魚網1A、1B内に入った、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを、魚網本体5の網上面2に設けられている排出口h1から排出することができる。
【0133】
また、上記した発明の実施の形態では、魚網1内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲを魚網本体5の網上面2に設けられている排出口h1から排出する際に、ロープ22を引っ張ることで、第二の枠体13を排出口h1に対し、開いた状態にした例を示したが、図2に示す重り21を適当個用いることで、ロープ22を設けることなく、適当個の重り21により、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網本体5の網上面2に設けられている排出口h1に来ると、第二の枠体13が、勝手に、排出口h1に対し、開いた状態にし、排出口h1から魚網1外へ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを排出するようにしても良い。
【0134】
尚、本明細書では、第一の枠体、第二の枠体、第三の枠体、第四の枠体、第五の枠体及び第六の枠体という用語を用いているが、これは、これらの部材を、便宜上、そのように規定したものであり、第一の枠体と第四の枠体とは等価な関係にある部材であり、第二の枠体と第五の枠体とは等価な関係にある部材であり、また、第三の枠体と第六の枠体とは等価な関係にある部材であることを付記しておく。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明に係る魚網用の枠体は、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが魚網内に入ったとしても、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網外へ排出されるようにした魚網を作製する際に用いるものであり、本発明に係る魚網及び曳網は、エチゼンクラゲのような大型のクラゲが魚網内に入ったとしても、そのようなエチゼンクラゲのような大型のクラゲが、魚網外へ排出されるので、産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明に係る魚網の一例の構成を模式的に示す構成図である。
【図2】本発明に係る魚網用の枠部材の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す魚網用の枠部材をその上方から下方に見た状態を概略的に示す平面図である。
【図4】図2に示す魚網用の枠部材を、図3中、矢印Ar1方向に見た状態を概略的に示す側面図である。
【図5】図2に示す魚網用の枠部材を、図3中、矢印Ar2方向に見た状態を概略的に示す正面図である。
【図6】図1に示す魚網の通常の状態を、魚網本体の網上面に設けた排出口及びこの部分を中心に示す模式的な断面図である。
【図7】図1に示す魚網が、魚網内に入ったエチゼンクラゲのような大型のクラゲを魚網外へ排出する状態を、魚網本体の網上面に設けた排出口及びこの部分を中心に示す模式的な断面図である。
【図8】本発明に係る魚網の他の一例を魚網本体の網上面に設けた排出口及びこの部分を中心に示す模式的な断面図である。
【図9】本発明に係る魚網の他の一例を魚網本体の網上面に設けた排出口及びこの部分を中心に示す模式的な断面図である。
【図10】従来の底曳網を模式的に示す説明図である。
【図11】図10に示す底曳網が、底曳網内に入った、エチゼンクラゲのような大型のクラゲを、底曳網101外へ排出する状態を、その排出口及びその近傍を中心に説明する摸式的な断面図である。
【符号の説明】
【0137】
1、1A、1B 魚網
2 網上面
3 網下面
4 網側面
5 魚網本体
6 沈子
7 浮子
8 魚網曳用ロープ
11、21 魚網用の枠部材
12 第一の枠体
12b、13b、14b 枠体部
13 第二の枠体
13a 網部材取付枠
14 第三の枠体
15 接続部材
16 枠体
17 枠体の目
19 網部材
20 浮力調整部材
21 重り
22 ロープ
23 ロープ取付具
h1 排出口
h13 第二の枠体の開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚網本体の網上面に設けた排出口の形状を一定に保つための第一の枠体と、
前記第一の枠体の、前記第一の枠体を前記魚網本体に取り付けた後に、前記魚網本体の開口部側となる枠体部に、前記第一の枠体に対して開閉可能なように枢着された第二の枠体と、
前記第一の枠体の、前記第一の枠体を前記魚網に取り付けた後に、前記魚網本体の開口部側となる枠体部に、前記第一の枠体に対し、後方に行くに従って下方に位置するように設けられた、クラゲ遮断用の網を取り付ける第三の枠体と、
前記第一の枠体を魚網本体に取り付けた後に、前記第一の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端の各々と、前記第三の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端の各々とを連接する一対の接続部材とを備え、
前記第一の枠体を魚網本体に取り付けた後に、前記第一の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部、前記第三の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部及び前記一対の連接部材により形成される枠体の目の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくし、且つ、
前記第二の枠体の開口部には、網部材が設けられるようにされている、魚網用の枠部材。
【請求項2】
魚網本体と、
前記魚網本体の網上面の途中の位置に設けられた排出口と、
クラゲ遮断用の網とを備え、
前記魚網本体の網上面の途中の位置に設けられた排出口には、この排出口の形状を一定の形状に保つための第四の枠体が取り付けられており、
前記第四の枠体の、前記第四の枠体を前記魚網本体に取り付けた後に、前記魚網本体の開口部側となる枠体部には、前記第四の枠体に対して開閉可能なように枢着された第五の枠体が設けられており、
前記クラゲ遮断用の網が、前記魚網本体の網下面又は網下面の途中位置から、前記第四の枠体の、前記第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、前記魚網本体の開口部と反対側に位置する枠体部に設けられており、且つ、
前記第五の枠体の開口部には、網部材が設けられるようにされている、魚網。
【請求項3】
前記第四の枠体の、前記第四の枠体を前記魚網本体に取り付けた後に、前記魚網本体の開口部側となる枠体部には、前記第四の枠体に対し、後方に行くに従って下方に位置するように設けられた、クラゲ遮断用の網を取り付ける第六の枠体が更に設けられており、
前記第四の枠体を前記魚網本体に取り付けた後に、前記第四の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端と、前記第六の枠体の前記魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部の両端には、これらを連接する一対の接続部材が設けられており、
前記第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、前記第四の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部、前記第六の枠体の魚網本体の開口部の反対側に位置する枠体部及び前記一対の連接部材により形成される枠体の目の大きさを、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくし、
前記クラゲ遮断用の網が、前記魚網本体の網下面又は網下面の途中位置から、前記第六の枠体の、前記第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、前記魚網の開口部と反対側に位置する枠体部に設けられている、請求項2に記載の魚網。
【請求項4】
前記クラゲ遮断用の網の目が、捕獲する漁獲物よりも大きく、且つ、エチゼンクラゲのような大型のクラゲの大きさよりも小さくされている、請求項2又は請求項3に記載の魚網。
【請求項5】
前記第四の枠体に、浮力調整部材を取り付けた、請求項2〜4のいずれかに記載の魚網。
【請求項6】
前記第五の枠体の、前記第四の枠体を魚網本体に取り付けた後に、魚網の開口部側と反対側に位置する枠体部に、前記第五の枠体を開くためのロープを接続した、請求項2〜5のいずれかに記載の魚網。
【請求項7】
前記第五の枠体に、重りを取り付けた、請求項2〜6のいずれかに記載の魚網。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれかに記載の魚網を備える、曳網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−28929(P2007−28929A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213237(P2005−213237)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(505278447)
【Fターム(参考)】