説明

魚釣用リール

【課題】 本発明は、外装カバーによってケースを保護できるとともに、外装ケースが傷付いた場合は、外装ケースを交換するのみで対処することができ、経済的で、かつ交換作業を容易に行うことができる魚釣用リールを得ることにある。
【解決手段】 魚釣用リール(1)は、スプール(10)を回転自在に支持するリール本体(2)と、リール本体(2)の上部に設けられたケース(33)とを備えている。ケース(33)は、釣糸の糸長に関する情報を表示するための表示部(37)を有している。ケース(33)のうち表示部(37)を外れた領域は、外装カバー(42)で覆われている。外装カバー(42)は、リール本体(2)に取り外し可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスプールの回転に基づく釣糸の繰り出し量や巻き取り量を表示する表示部を備えた魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
釣糸の繰り出し量および巻き取り量を計測する糸長計測装置を搭載した両軸受タイプの魚釣用リールが知られている。この種の魚釣用リールでは、例えば特許文献1および特許文献2に示されるように、スプールを支持するリール本体の上部にカウンターケースが取り付けられている。
【0003】
カウンターケースは、釣糸の繰り出し量および巻き取り量を演算するCPUのような各種の電子部品を内蔵するとともに、釣糸の繰り出しおよび巻き取りに伴う糸長に関する情報を表示する表示部を備えている。
【0004】
特許文献1に開示された魚釣用リールでは、カウンターケースが水平部と垂直部とで構成されている。水平部は、上面および周面を有する偏平な箱状に形成されており、この水平部の内部に電子部品が収容されている。釣糸の糸長に関する情報を表示する表示部は、釣人が見易いように水平部の上面に配置されている。カウンターケースの水平部は、リール本体の側枠の上端部の間に跨るようにリール本体に支持されており、表示部を有する上面や周面の多くがリール本体の外に露出している。さらに、カウンターケースの垂直部は、電子部品や表示部を駆動するための電源を内蔵するとともに、リール本体の側枠と外側板との間に入り込んでいる。
【0005】
特許文献2に開示された魚釣用リールでは、カウンターケースが上面および周面を有する四角い箱状に形成されている。釣糸の糸長に関する情報を表示する表示部は、釣人が見易いようにカウンターケースの上面に配置されている。カウンターケースは、リール本体の側枠の上端部の間に跨るようにリール本体に支持されており、表示部を有する上面や周面の多くがリール本体の外に露出している。
【特許文献1】実開平7−36656号公報
【特許文献2】特開2007−267729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2に開示された従来の魚釣用リールによると、カウンターケースは、リール本体の上部から上方に向けて張り出しており、表示部を有する上面および周面の多くの領域がリール本体の外に直に露出している。
【0007】
このため、例えば実際に釣りをしたり、あるいは釣場を移動する時に、カウンターケースの上面や周面が釣場の岩等に接触することがあり、カウンターケースに傷が付くのを否めない。リール本体の外に露出しているカウンターケースが傷付いてしまうと、魚釣用リールの見栄えが悪くなる。
【0008】
さらに、カウンターケースは、丁度魚釣用リールを掴んだ手の指先が触れる領域に位置するので、カウンターケースの傷付いた部分に指先が触れた時に違和感を伴うことがあり得る。
【0009】
このため、カウンターケースの傷付きが顕著となった場合は、傷付いたカウンターケースを新たなカウンターケースと交換することが望ましいものとなる。しかしながら、カウンターケースは、CPUを含む電子部品や表示部と共に一つのモジュールとしてユニット化されているので、カウンターケースの単価が非常に高くなる。そのため、カウンターケースを交換するに当たって、費用的な面での負担が増大するのを避けることができず、経済的でない。
【0010】
しかも、衝撃に弱い電子部品や数多くの電気的接続部を内蔵した新規なカウンターケースを手作業でリール本体に組み込む必要があり、慎重かつ丁寧な作業が要求される。この結果、カウンターケースの交換に多大な手間と労力を要することになり、作業性が悪くなる。
【0011】
本発明の目的は、外装カバーによってケースを保護できるとともに、外装ケースが傷付いた場合は、外装ケースを交換するのみで対処することができ、経済的で、かつ交換作業を容易に行うことができる魚釣用リールを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る魚釣用リールは、
スプールを回転自在に支持するリール本体と、リール本体の上部に設けられたケースとを備えている。ケースは、釣糸の糸長に関する情報を表示するための表示部を有し、このケースのうち表示部を外れた領域は、外装カバーで覆われている。外装カバーは、リール本体に取り外し可能に支持されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示部を有するケースを外装カバーで保護しているので、魚釣用リールを使用している時に傷付き易いのは、ケースよりも外装カバーとなる。そのため、外装カバーが傷付いた場合には、この外装カバーのみを交換すればよく、単価の高いケースはそのまま繰り返し使用することができる。したがって、ケース周りの外観を良くする際の経済的な負担が少なくて済むとともに、外装カバーの交換時の作業性も改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図5に基づいて説明する。
【0015】
図1および図2は、両軸受タイプの魚釣用リール1を開示している。魚釣用リール1は、リール本体2を備えている。リール本体2は、釣竿取り付け部3を介して図示しない釣竿のリールシートに固定される。
【0016】
リール本体2は、フレーム4と左右の外側板5a,5bとで構成されている。フレーム4は、左右の側枠4a,4bと載置部6とを備えている。側枠4a,4bは、魚釣用リール1の幅方向に間隔を存して向かい合っている。載置部6は、側枠4a,4bの前端部の間に跨る板状をなすとともに、フレーム4の前端上部に位置している。載置部6は、平坦な上面6aを有し、この上面6aはフレーム4の上方に露出している。
【0017】
さらに、フレーム4の前端上部にフロントガード7が固定されている。フロントガード7は、載置部6を下方から覆うように側枠4a,4bの間に跨るとともに、載置部6よりもフレーム4の前方に向けて張り出している。
【0018】
左側の外側板5aは、左側の側枠4aにねじ止め、嵌合等の公知の手段により固定されている。外側板5aは、側枠4aを左側方から覆うとともに、この側枠4aとの間にセンサ収容室8を形成している。右側の外側板5bは、右側の側枠4bにねじ止め、嵌合等の公知の手段により固定されている。外側板5bは、側枠4bを右側方から覆うとともに、この側枠4bとの間にギヤ室9を形成している。
【0019】
リール本体2にスプール10が回転自在に支持されている。スプール10は、スプール軸11と、スプール軸11と一体に回転する釣糸巻回胴部12と、釣糸巻回胴部12の軸方向に沿う両端に位置する一対のフランジ13a,13bとを備えている。スプール軸11の一端は、軸受14を介してフレーム4の側枠4aに回転自在に支持されている。スプール軸10の他端は、他の軸受15を介してフレーム4の側枠4bに回転自在に支持されている。そのため、フレーム4の側枠4a,4bは、スプール10の釣糸巻回胴部12を間に挟んで互いに向かい合っている。
【0020】
図1に示すように、リール本体2のギヤ室9にピニオンギヤ17、ハンドル軸18およびクラッチ駆動部材19が収容されている。ピニオンギヤ17は、スプール軸11と同軸状に配置されているとともに、スプール軸11に噛み合う係合位置と、スプール軸11から切り離される係合解除位置との間で移動可能となっている。
【0021】
ハンドル軸18は、ピニオンギヤ17と平行に配置されている。ハンドル軸18は、ドラグ機構を内蔵するドライブギヤ20を支持している。ドライブギヤ20は、ギヤ室9内でピニオンギヤ17と噛み合っている。
【0022】
ハンドル軸18は、右側の外側板5bを貫通してリール本体2の外に突出している。ハンドル軸18の突出端部にドラグ調整用のスタードラグ21およびハンドル22が取り付けられている。ハンドル22は、釣糸をスプール10に巻き取る時に釣人が手で操作するためのものであり、スタードラグ21と隣り合っている。
【0023】
クラッチ駆動部材19は、ピニオンギヤ17を係合位置又は係合解除位置に移動させるためのものであり、常にピニオンギヤ17と噛み合っている。クラッチ駆動部材19は、釣人がクラッチレバー23を押し下げた時に、ピニオンギヤ17を係合解除位置に移動させる。この移動により、スプール10がハンドル軸18から切り離されて自由状態に切り換わり、スプール10からの釣糸の繰り出しが可能となる。
【0024】
スプール10が自由状態の時に、釣人がハンドル22を釣糸巻き取り方向へ回すと、図示しない周知の復帰機構の作動によりクラッチ駆動部材19がピニオンギヤ17を係合解除位置から係合位置に向けて移動させる。この移動により、ハンドル軸18からスプール軸11に至るトルク伝達経路が形成されて、スプール10が釣糸巻き取り状態に切り換わる。そのため、ハンドル22を回した時に、ハンドル軸18のトルクがドライブギヤ20からピニオンギヤ17を介してスプール軸11に伝わり、スプール10が釣糸を巻き取る方向に回転する。
【0025】
図1および図2に示すように、魚釣用リール1は、スプール10の回転に伴う釣糸の繰り出し量および巻き取り量を計測する糸長計測ユニット25を搭載している。糸長計測ユニット25は、スプール10の回転数および回転方向を検出する検出装置26と、釣糸の繰り出し量および巻き取り量を含む釣糸の糸長に関する情報を表示する表示装置27とを備えている。
【0026】
検出装置26は、一対のマグネット28a,28bと、例えばホール素子やリードスイッチを用いた磁気センサ29と、を有している。マグネット28a,28bは、スプール10の左側のフランジ13aに固定されて、フレーム4の左側の側枠4aと隣り合っている。マグネット28a,28bは、スプール軸11を間に挟んでフランジ13aの径方向に振り分けて配置されている。そのため、マグネット28a,28bは、スプール軸11を中心とする同一の回転軌跡を描いてスプール10と一緒に回転するようになっている。
【0027】
磁気センサ29は、センサボックス31の内部に収容されている。センサボックス31は、フレーム4の側枠4aの外側面に複数の止めねじ32を介して固定されており、リール本体2のセンサ収容室8に収容されている。磁気センサ29は、マグネット28a,28bが描く回転軌跡と向かい合っている。
【0028】
そのため、スプール10の回転に伴ってマグネット28a,28bが磁気センサ29の上を横切ると、磁気センサ29は、スプール10の回転方向およびスプール10の回転数を判定する際の基準となる検出信号を出力する。
【0029】
図2および図3に示すように、表示装置27はカウンターケース33を備えている。カウンターケース33は、例えばステンレスのような金属材料により形成されている。カウンターケース33は、リール本体2の幅方向に延びる箱状をなしており、底面33a、上面33bおよび四つの周面33cを有している。
【0030】
底面33aは、凹凸のないフラットな面となっている。周面33cは、上面33bの周縁から底面33aの周縁に向けて下向きに延びている。上面33bと周面33cとで規定される角部に上面33bよりも一段低い段差35が形成されている。段差35は、カウンターケース33の周方向に連続している。
【0031】
カウンターケース33は、CPUを含む複数の電子部品が実装されたプリント回路板36と液晶表示パネル37とを内蔵している。プリント回路板36は、フラットケーブル38を介して検出装置26の磁気センサ29に電気的に接続されている。フラットケーブル38は、リール本体2のセンサ収容室8を通して配線されている。
【0032】
液晶表示パネル37は、表示部の一例であり、カウンターケース33の上面33bに形成した窓39を通じてカウンターケース33の外に露出している。さらに、カウンターケース33の上面33bには、モード切替スイッチ40が配置されている。
【0033】
検出装置26の磁気センサ29から出力される検出信号は、フラットケーブル38を介してプリント回路板36のCPUに取り込まれる。CPUは、検出信号に基づいてスプール10の回転方向を判定するとともに、スプール10の回転数から釣糸の繰り出し長さ又は巻き取り長さを演算する。この演算により得られた釣糸の糸長計測値は、液晶表示パネル37の上に数値で表示される。
【0034】
図2に示すように、カウンターケース33は、リール本体2の載置部6の上面6aに載置されるとともに、この上面6aの上に外装カバー42を介して固定されている。外装カバー42は、例えば合成樹脂材料により形成されている。外装カバー42は、カウンターケース33の周面33cを取り囲む枠体43を備えている。
【0035】
枠体43は、フレーム4の載置部6の外周部の上に載置されている。枠体43の前端部はフロントガード7に連続するとともに、枠体43の左側部および右側部はフレーム4の側枠4a,4bに連続している。さらに、枠体43の後端部は、スプール10の直前に位置している。
【0036】
枠体43は、開口部44と一対の延出部45a,45bとを有している。開口部44は、カウンターケース33の上面33bを露出させるためのものであり、この開口部44を規定する枠体43の縁部44aがカウンターケース33の段差35に嵌まり込んでいる。枠体43の縁部44aが段差35に嵌まり込んだ状態では、枠体43の上面43aがカウンターケース33の上面33bと同一平面上に位置するようになっている。
【0037】
延出部45a,45bは、開口部44の後方に位置している。一方の延出部45aは、枠体43の後端の左側部から後方に向けて突出されて、フレーム4の側枠4aの上部に連続している。他方の延出部45bは、枠体43の後端の右側部から後方に突出されて、フレーム4の側枠4bの上部に連続している。
【0038】
そのため、フレーム4の載置部6の上面6aに外装カバー42を載置すると、外装カバー42の枠体43および延出部45a,45bがフレーム4に連続して、このフレーム4との一体感が得られるようになっている。
【0039】
図2および図4に示すように、枠体43の前端部に係止爪47が形成されている。係止部47は第1の係合部の一例であり、枠体43の前端部から下向きに突出している。さらに、延出部45a,45bの外側部に夫々フランジ部48a,48bが形成されている。フランジ部48a,48bは第2の係合部の一例であり、延出部45a,45bから枠体43の側方に張り出している。
【0040】
係止爪47は、載置部6の前端とフロントガード7との間に挿入されて、載置部6の前端に取り外し可能に引っ掛かっている。図5に示すように、右側のフランジ部48bは、フレーム4の側枠4bの上面に重なり合うとともに、この側枠4bの上面と外側板5bの上縁部との間で挟み込まれている。左側のフランジ部48aは、図示を省略するが、側枠4aの上面と外側板5aの上縁部との間で挟み込まれている。
【0041】
したがって、外装カバー42は、係止爪47およびフランジ部48a,48bを介してフレーム4に取り外し可能に支持されている。外装カバー42がフレーム4に支持された態では、枠体43の縁部44aがカウンターケース33の段差35に嵌まり込んで、載置部6の上面6aとの間でカウンターケース33を挟み込んでいる。
【0042】
この結果、カウンターケース33の底面33aが載置部6の上面6aに押さえ込まれて、カウンターケース33がリール本体2に移動不能に固定されている。
【0043】
このような構成の魚釣用リール1において、糸長計測ユニット25のカウンターケース33をリール本体2に取り付けるに当たっては、予めフレーム4から外側板5a,5bおよび外装カバー42を取り外し、載置部6の上面6aをリール本体2の外に露出させる。
【0044】
この状態で、載置部6の上面6aにカウンターケース33を載置する。次に、載置部6の外周部に外装カバー42の枠体43を載置し、この枠体43でカウンターケース33の周面33cを取り囲むとともに、枠体43の縁部44aをカウンターケース33の段差35に嵌め込む。さらに、枠体43の係止爪47を載置部6の前端に引っ掛ける。
【0045】
次に、フレーム4の側枠4a,4bに夫々外側板5a,5bを固定する。この固定により、外装カバー42のフランジ部48a,48bがフレーム4の側枠4a,4bの上面と外側板5a,5bの上縁部との間で挟み込まれる。
【0046】
この結果、外装カバー42がフレーム4の載置部6に保持され、外装カバー42の枠体43の縁部44aと載置部6の上面6aとの間でカウンターケース33が挟み込まれる。よって、カウンターケース33は、外装カバー42の枠体43により取り囲まれた状態で、リール本体2に固定される。
【0047】
本発明の第1の実施の形態によれば、糸長計測ユニット25のカウンターケース33は、液晶表示パネル37が位置する上面33bを除き、外装カバー42の枠体43によって取り囲まれているので、この外装カバー42がカウンターケース33を保護するプロテクタとしての機能を発揮する。
【0048】
そのため、魚釣用リール1を使用している時、あるいは魚釣用リール1をバッグやケースに収納して運搬している時に傷付き易いのは、カウンターケース33よりも外装カバー42となる。
【0049】
傷付いた外装カバー42を交換するには、先ず、外側板5a,5bをフレーム4から取り外し、外装カバー42のフランジ部48a,48bの挟み込みを解除する。次に、外装カバー42の枠体43を載置部6の上方に向けて引き上げ、係止爪47と載置部6との係合を解除する。これにより、傷付いた外装カバー42のみをフレーム4の載置部6から取り外すことができる。
【0050】
このことから、外装カバー42が傷付いた場合には、この外装カバー42を新品と交換すればよいことになり、CPUや液晶表示パネル37を内蔵する高価なカウンターケース33は、そのまま繰り返し使用することができる。
【0051】
言い換えると、外装カバー42は、合成樹脂製の単独部品であるため、CPUや液晶表示パネル37を内蔵するカウンターケース33に比べて価格が遥かに安い。そのため、カウンターケース33の周りの外観を良くする際の費用的な負担が少なくて済み、経済的である。
【0052】
しかも、カウンターケース33をリール本体2から取り外す必要が無いので、外装カバー42の交換時にカウンターケース33に大きな衝撃が加わり難くなる。この結果、電気的なトラブルの発生を防止できるとともに、従来のように慎重かつ丁寧な作業が要求されることもない。よって、外装カバー42の交換時の作業性を改善することができる。
【0053】
加えて、第1の実施の形態によると、カウンターケース33は、外装カバー42と載置部6の上面6aとの間で挟み込むことによりリール本体2に固定されている。このため、衝撃に弱い電子部品を内蔵するカウンターケース33の動きを枠体43によって確実に抑え込むことができ、電気的なトラブルの発生を可及的に抑えることができる。
【0054】
さらに、カウンターケース33の周面33cが外装カバー42により覆われるので、カウンターケース33の外観を考慮する必要はない。そのため、カウンターケース33は、例えばプリント回路板36や液晶表示パネル37が発する熱を外に逃し易い材料で形成することができ、カウンターケース33の材料を選択する際の自由度が増大する。
【0055】
それとともに、外装カバー42がリール本体2やカウンターケース33から独立しているので、外装カバー42をカウンターケース33に左右されることなく自由な形状に形成することができる。さらに、外装カバー42の表面にメッキあるいはその他の表面処理を施すことができ、その分、意匠的バリエーションに富んだ外装カバー42の外観設計が可能となる。
【0056】
なお、本発明は上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0057】
例えば、図6は本発明の第2の実施の形態を開示している。
【0058】
この第2の実施の形態は、カウンターケース33をフレーム4の載置部6に固定するための構造が第1の実施の形態と相違しており、それ以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0059】
図6に示すように、カウンターケース33の周面33cの下端部にフランジ部51が形成されている。フランジ部51は、カウンターケース33の底面33aに連続するとともに、カウンターケース33の周囲に張り出している。フランジ部51に複数のねじ挿通孔52が形成されている。ねじ挿通孔52は、カウンターケース33を載置部6の上面6aに載置した時に、載置部6に形成した複数のねじ孔53と合致するようになっている。
【0060】
ねじ挿通孔51に上方から止めねじ54が挿通されている。止めねじ54は、ねじ挿通51を貫通してねじ孔53にねじ込まれている。このねじ込みにより、カウンターケース33が載置部6に移動不能に締め付け固定され、カウンターケース33の底面33aが載置部6の上面6aに押し付けられている。
【0061】
外装カバー42の枠体43は、フレーム4にねじ止め又は嵌め込み等の手段により取り外し可能に固定されている。枠体43にカウンターケース33の上部が入り込む開口部55が形成されている。開口部55の内面とカウンターケース33の周面33cとの間には、僅かな隙間が形成されている。
【0062】
さらに、開口部55の内面と枠体43の上面とで規定される角部に溝57が形成されている。溝57は、開口部55の周方向に連続している。溝57にリング状の緩衝材58が取り付けられている。緩衝材58は、例えば柔軟なゴム状弾性体により形成されており、カウンターケース33の上面33bを取り囲んだ状態でカウンターケース33の周面33cに密着している。そのため、緩衝材58は、カウンターケース33と枠体43との間の隙間を埋めているとともに、カウンターケース33との接触部分に生じる摩擦抵抗により、カウンターケース33と外装カバー42との間の相対的なずれを防止している。
【0063】
なお、上記第1および第2の実施の形態では、載置部6の上面6aにカウンターケース33を直接載置するようにしたが、載置部6の上面6aとカウンターケース33との間にゴムシートを介在させるようにしてもよい。
【0064】
この構成によれば、ゴムシートによってカウンターケース33のずれを防止できる。それとともに、載置部6からカウンターケース33に伝わる振動をゴムシートで吸収することができ、カウンターケース33の耐衝撃性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る魚釣用リールの平面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態において、リール本体の載置部に外装カバーを介して糸長計測ユニットのカウンターケースを固定した状態を一部断面で示す魚釣用リールの側面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態で用いる糸長計測ユニットの平面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態で用いる外装カバーの平面図。
【図5】図1のF5-F5線に沿う断面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態において、リール本体の載置部に糸長計測ユニットのカウンターケースを固定した時のカウンターケースと外装カバーとの位置関係を示す断面図。
【符号の説明】
【0066】
2…リール本体、10…スプール、33…ケース(カウンターケース)、37…表示部(液晶表示パネル)、42…外装カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプールを回転自在に支持するリール本体と、
上記リール本体の上部に設けられ、釣糸の糸長に関する情報を表示する表示部を有するケースと、
上記ケースのうち上記表示部を外れた領域を覆うように上記リール本体に取り外し可能に支持された外装カバーと、を具備することを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記リール本体は、上記スプールを間に挟んで向かい合う左右の側枠と、上記側枠の上端の間に跨るとともに上記ケースが載置される載置部と、を有し、
上記ケースは、上記外装カバーを介して上記載置部の上に固定されていることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項3】
請求項2の記載において、上記外装カバーは、上記載置部との間で上記ケースを挟み込んで固定することを特徴とする魚釣用リール。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、上記ケースは、上記表示部が位置する上面と、この上面の周縁から下向きに延びる周面と、を含み、
上記外装カバーは、上記ケースの周面を取り囲む枠体を有することを特徴とする魚釣用リール。
【請求項5】
請求項1の記載において、上記リール本体は、上記スプールを間に挟んで向かい合う左右の側枠と、上記側枠の上端の間に跨るとともに上記ケースが載置される載置部と、上記左右の側枠に夫々固定されて上記側枠を外側方から覆う左右の外側板と、を含み、
上記外装カバーは、上記載置部に対応する位置に設けられた第1の係合部と、上記側枠に対応する位置に設けられた複数の第2の係合部と、を有し、上記第1の係合部を上記載置部に係合させるとともに、上記第2の係合部を上記側枠と上記外側板との間で挟み込むことにより、上記外装カバーが上記リール本体に支持されることを特徴とする魚釣用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−247322(P2009−247322A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102676(P2008−102676)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】