説明

2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン類の製造方法

【課題】2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン類の製造方法。
【解決手段】式(II):


で表される化合物とアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させることを特徴とする式(I):


で表される化合物又はその塩の製造方法、さらにその方法で製造した式(I)の化合物を脱ハロゲン化することを特徴とする2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン又はその塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬又は農薬の中間体として有用な2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン類の製造方法としては、例えば2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルピリジンとアンモニアとを反応させて2−アミノ−6−クロロ−4−トリフルオロメチルピリジンを製造する方法(特許文献1)が知られている。また、2−クロロ−4−トリフルオロメチルピリジンとアンモニアとを反応させて2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジンを製造する方法(特許文献2又は非特許文献1)が知られている。
しかしながら、従来の方法では反応性が十分ではなく、長時間の反応を要したり、副生物の割合が高いなど、工業的製造の面で問題を抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−48268
【特許文献2】EP228846
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Journal of Fluorine Chemistry(1999),93,153-157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン類を、高純度、短時間で製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく種々の検討を行った結果、式(II):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、X及びXは各々塩素原子又は臭素原子である)で表される化合物とアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させることにより、高純度、短時間で、式(I):
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Xは前述の通り)で表される化合物を製造する方法を見出し、さらに得られた式(I)の化合物を脱ハロゲン化することにより、高純度、短時間で2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジンを製造する方法を見出した。
即ち本発明は、式(II)の化合物とアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させることを特徴とする式(I)の化合物又はその塩の製造方法、さらにその方法で製造した式(I)の化合物を脱ハロゲン化することを特徴とする2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン又はその塩の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン類を工業的に有利な条件で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
式(I)の化合物は、式(II)の化合物とアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させて製造することができる。また、式(I)の化合物の塩は、通常の塩形成反応に従い製造することができ、その塩としては、例えば塩酸塩や硫酸塩のような酸付加塩などが挙げられる。
【0013】
【化3】

【0014】
式中、X及びXは前述の通りである。X及びXとしては、塩素原子が望ましい。
アンモニアとしては、アンモニア水やアンモニアガスを適宜用いることができる。
アンモニアは、式(II)の化合物1モルに対して、通常3〜15倍モル、望ましくは5〜12倍モル使用することができる。但し、反応条件によっては、この範囲外の量を使用することもできる。
【0015】
親水性エーテルとしては、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのような環状エーテル;1,2−ジメトキシエタンのような直鎖状エーテルなどが挙げられるが、反応に不活性である限りこれら以外のものを用いることもできる。親水性エーテルとしては、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどが望ましい。
【0016】
親水性エーテルは、式(II)の化合物の重量に対して、通常1〜10倍体積量(V/W)、望ましくは1〜5倍量(V/W)使用することができる。但し、反応条件によっては、この範囲外の量を使用することもできる。
【0017】
本反応は、溶媒の存在下で行うこともできる。溶媒としては、反応に不活性である限り特に制限はなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルのようなエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールのようなアルコール類;水などを挙げることができる。
【0018】
反応温度は、通常100〜200℃程度、望ましくは130〜160℃程度であり、反応時間は、通常2〜24時間程度、望ましくは4〜7時間程度である。
【0019】
2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジンは、式(II)の化合物とアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させて式(I)の化合物を製造し、次いでこのものを脱ハロゲン化して製造することができる。この際、式(I)の化合物を単離または精製することなく脱ハロゲン化反応を行うことができる。
また、2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジンの塩は、通常の塩形成反応に従い製造することができ、その塩としては、例えば塩酸塩や硫酸塩のような酸付加塩などが挙げられる。
【0020】
【化4】

【0021】
式中、X及びXは前述の通りである。X及びXとしては、塩素原子が望ましい。
式(II)の化合物とアンモニアとの反応は、前述と同様に行うことができるが、アンモニアは脱ハロゲン化工程での塩基を兼ねることができるため、必要に応じその使用量を増やしてもよい。アンモニアの使用量を増やす場合、その量は式(II)の化合物1モルに対して、通常3〜20倍モル、望ましくは5〜15倍モルとすることができる。但し、反応条件によっては、この範囲外の量を使用することもできる。
【0022】
脱ハロゲン化は、例えば接触還元により行うことができる。接触還元は、通常、触媒及び溶媒の存在下、水素、ギ酸アンモニウム、ギ酸、トリエチルアンモニウムホーメート、次亜リン酸ナトリウム又はこれらから適宜選択される2種以上の混合物などのような水素源と、望ましくは水素と反応させることにより行われる。前記触媒としては、例えば白金、酸化白金、白金黒、ラネーニッケル、パラジウム、パラジウム−炭素、ロジウム、ロジウム−アルミナ、ルテニウム、鉄、銅などが挙げられ、なかでもパラジウム−炭素などが望ましい。なお、前述した触媒は、単独で使用しても、2種以上を混用してもよい。
【0023】
前記水素源は、式(I)の化合物1モルに対して、通常1〜10倍モル、望ましくは1〜5倍モル使用することができる。また、触媒は式(I)の化合物1モルに対して、通常0.01〜1モル%、望ましくは0.05〜0.5モル%使用することができる。但し、反応条件によっては、これらの範囲外の量を使用することもできる。なお、式(I)の化合物を単離または精製することなく脱ハロゲン化を行う場合、水素源又は触媒は、式(II)の化合物1モルに対し、前述と同様の割合で使用してもよい。
【0024】
前記溶媒としては、接触還元に通常使用される溶媒が使用でき、例えば前工程と同じものが挙げられる。式(I)の化合物を単離または精製することなく接触還元を行う場合は、式(II)の化合物とアンモニアとの反応の際に使用した溶媒をそのまま用いることができる。
【0025】
脱ハロゲン化は、通常塩基の存在下で行う。塩基としては、例えばアンモニア;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンのような第三級アミン類;などが挙げられる。なかでも前工程で使用するアンモニアを塩基として兼用することで効率的に反応を行うことができる。
【0026】
塩基は、式(I)の化合物1モルに対して、通常1〜2当量、望ましくは1〜1.5当量使用することができる。但し、反応条件によっては、これらの範囲外の量を使用することもできる。なお、式(I)の化合物を単離または精製することなく脱ハロゲン化を行う場合、塩基は、式(II)の化合物1モルに対し、前述と同様の割合で使用してもよい。
脱ハロゲン化の反応温度は、通常20〜150℃程度、望ましくは60〜130℃程度であり、反応時間は、通常0.5〜10時間程度、望ましくは1〜5時間程度である。
【0027】
本発明における望ましい態様を以下に記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
(1)2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルピリジンとアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させることを特徴とする、2−アミノ−6−クロロ−4−トリフルオロメチルピリジン又はその塩の製造方法。
(2)2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルピリジンとアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させて2−アミノ−6−クロロ−4−トリフルオロメチルピリジンを製造し、次いでこのものを脱ハロゲン化することを特徴とする、2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン又はその塩の製造方法。
(3)親水性エーテルが、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン及び1,2−ジメトキシエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記(1)又は(2)の方法。
(4)親水性エーテルが、テトラヒドロフラン及び1,2−ジメトキシエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記(1)又は(2)の方法。
(5)2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルピリジンに対し、親水性エーテルを1〜10倍量(V/W)使用する前記(1)又は(2)の方法。
【実施例】
【0028】
本発明をより詳しく述べるために、以下に実施例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。各合成例及び各表中の略号は以下の通りである。
2,6,4−DCTF:2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルピリジン
2,6,4−ACTF:2−アミノ−6−クロロ−4−トリフルオロメチルピリジン
2,6,4−DATF:2,6−ジアミノ−4−トリフルオロメチルピリジン
2,4−ATF :2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン
THF :テトラヒドロフラン
2−Me−THF :2−メチルテトラヒドロフラン
DME :1,2-ジメトキシエタン
Pd/C :パラジウム−炭素
各表中のHPLC−PA%は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したピーク面積率(Peak area%)を表し、その測定条件は以下の通りである。
カラム:Waters 5C18-AR φ4.6mm×150mm
移動相:メタノール/水=4/1、0.5%酢酸
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
検出:254nm
【0029】
実施例1
5gの2,6,4−DCTF(0.023mol)、15.3mLの28%アンモニア水(0.22mol)および10mLのTHFを、圧力反応容器(100mL)中、攪拌下で150℃まで加熱し反応させた。約5時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮して2,6,4−ACTFを得た。
【0030】
比較例1
THFを用いず、その他の条件は前記実施例1と同様に反応を行い、2,6,4−ACTFを得た。
【0031】
実施例1および比較例1につき、反応溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。原料化合物である2,6,4−DCTF、目的物である2,6,4−ACTFおよび副生物である2,6,4−DATFのHPLC−PA%を各々第1表に記載する。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例2
5gの2,6,4−DCTF(0.023mol)、15.4mLの28%アンモニア水(0.22mol)および15mLのTHFを、圧力反応容器(100mL)中、攪拌下で150℃まで加熱し反応させた。約5時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却した。そこへ、150mgの5%Pd/C(54%wet、0.038mmol)を加え、水素を2.0MPaまで充填した後、攪拌下で100℃まで加熱し反応させた。約3時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却し、セライトを用いてろ過した。ろ液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮し、n−ヘキサンを投入した後減圧濃縮した。析出した結晶を減圧下で乾燥し、3gの2,4−ATFを白色結晶として得た。このものの粗収率は79.9%であった。
【0034】
実施例3
28%アンモニア水を15.3mL(0.22mol)用い、THFを10mL用いる以外は前記実施例2と同様に反応を行い、3.03gの2,4−ATFを白色結晶として得た。このものの粗収率は80.7%であった。
【0035】
実施例4
THFをDMEに変える以外は前記実施例3と同様に反応を行い、3.34gの2,4−ATFを白色結晶として得た。このものの粗収率は89.0%であった。
【0036】
比較例2
5gの2,6,4−DCTF(0.023mol)および15.3mLの28%アンモニア水(0.22mol)を、圧力反応容器(100mL)中、攪拌下で150℃まで加熱し反応させた。約15時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却した。そこへ、150mgの5%Pd/C(54%wet、0.038mmol)加え、水素を1.8MPaまで充填した後、攪拌下で100℃まで加熱し反応させた。約3時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却し、セライトろ過した。ろ液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮し、n−ヘキサンを投入した後減圧濃縮した。析出した結晶を減圧下で乾燥し、3gの2,4−ATFを淡黄土色結晶として得た。このものの粗収率は79.9%であった。
【0037】
実施例2、3および4、ならびに比較例2につき、得られた結晶を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。中間生成物である2,6,4−ACTF、目的物である2,4−ATFおよび副生物である2,6,4−DATFのHPLC−PA%、ならびに2,4−ATFの収率を各々第2表に記載する。
【0038】
【表2】

【0039】
実施例5
10gの2,6,4−DCTF(0.046mol)、30.6mLの28%アンモニア水(0.44mol)および20mLのTHFを、圧力反応容器(200mL)中、攪拌下で150℃まで加熱し反応させた。約6時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却した。そこへ、300mgの5%Pd/C(54%wet、0.076mmol)を加え、水素を2.0MPaまで充填した後、攪拌下で100℃まで加熱し反応させた。約3時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却し、セライトを用いてろ過した。ろ液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮し、n−ヘキサンを投入した後濃縮した。析出した結晶にn−ヘキサンを加え、氷冷下で約60分間攪拌し、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を氷冷n−ヘキサンで3回掛け洗浄し、減圧下で乾燥して、5.4gの2,4−ATFを白色結晶として得た(融点70.1℃)。このものの収率は71.9%であった。また、このもののNMRスペクトルデータは以下の通りである。
1H-NMR(CDCl3):δ4.713(brs,2H),6.684(s,1H),6.823(dd,J=5.2 and 1.2Hz,1H),8.205(d, J=5.6Hz,1H)
【0040】
実施例5につき、得られた白色結晶を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。中間生成物である2,6,4−ACTF、目的物である2,4−ATFおよび副生物である2,6,4−DATFのHPLC−PA%、ならびに2,4−ATFの収率を各々第3表に記載する。
【0041】
【表3】

【0042】
実施例6
6gの2,4−ATFおよび80mLの乾燥トルエンの混合物に、攪拌下10〜20℃で塩化水素ガスを徐々に吹き込んだ。室温で30分間攪拌した後ろ過を行い、結晶を乾燥トルエンで3回掛け洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、7.1gの2,4−ATF塩酸塩を白色結晶として得た(融点218℃)。このものの収率は96.6%であった。また、このもののNMRスペクトルデータは以下の通りである。
1H-NMR(D2O):δ4.650(brs,2H),6.957(dd,J=6.8 and 2.0Hz,1H),7.209(d,J=0.8Hz,1H),7.838(d,J=6.4Hz,1H)
【0043】
実施例7
10gの2,6,4−DCTF(0.046mol)、30.6mLの28%アンモニア水(0.44mol)および20mLの2−Me−THFを、圧力反応容器(200mL)中、攪拌下で150℃まで加熱し反応させた。約6時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却した。そこへ、300mgの5%Pd/C(54%wet、0.076mmol)を加え、水素を1.6MPaまで充填した後、攪拌下で100℃まで加熱し反応させた。約3時間後、圧力反応容器を30〜40℃まで冷却し、セライトを用いてろ過した。ろ液に水を加え、分離した有機層のみを回収した。水層は酢酸エチルで1回抽出し、有機層を回収した。回収した有機層を混和し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧濃縮し、n−ヘキサンを投入した後濃縮した。析出した結晶にn−ヘキサンを加え、氷冷下で約30分間攪拌し、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を氷冷n−ヘキサンで3回掛け洗浄し、減圧下で乾燥して、5.36gの2,4−ATFを白色結晶として得た。このものの収率は71.4%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化1】

(式中、X及びXは各々塩素原子又は臭素原子である)で表される化合物とアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させることを特徴とする、式(I):
【化2】

(式中、Xは前述の通り)で表される化合物又はその塩の製造方法。
【請求項2】
式(II):
【化3】

(式中、X及びXは各々塩素原子又は臭素原子である)で表される化合物とアンモニアとを親水性エーテルの存在下で反応させて、式(I):
【化4】

(式中、Xは前述の通り)で表される化合物を製造し、次いでこのものを脱ハロゲン化することを特徴とする、2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジン又はその塩の製造方法。
【請求項3】
親水性エーテルが、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン及び1,2−ジメトキシエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2の方法。
【請求項4】
式(II)の化合物に対し、親水性エーテルを1〜10倍量(V/W)使用する請求項1又は2の方法。
【請求項5】
及びXが塩素原子である請求項1又は2の方法。
【請求項6】
2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジンの酸付加塩。

【公開番号】特開2011−168577(P2011−168577A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3595(P2011−3595)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】