説明

2ピース包装箱

【課題】蓋を身箱から簡単に分離できるようにし、また、製造及び組立を容易に行なうことができるようにする。
【解決手段】底壁12の周囲に前壁13、対向する側壁14及び後壁15を設けた身箱11と、天壁22の周囲に前壁23、対向する側壁24及び後壁25を設けた蓋21とから成り、身箱11と蓋21の後壁15,25を接着し、身箱11に対し蓋21を回動させて開閉する2ピース包装箱において、前記身箱11と蓋21の後壁15,25に貼合片15a,25aを設け、貼合片15a,25aの内側で身箱11と蓋21の後壁15,25を接着し、貼合片15a,25aをなす切目線15b、25bの切断に伴い、貼合片15a,25a同士が貼り合わされたまま、貼合片15a,25aの少なくとも一方が切り取られて、身箱11から蓋21を分離できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、身箱と蓋を一体化し、身箱に対し蓋を回動させて開閉する2ピース包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、この種の2ピース包装箱として、図8に示すように、底壁52の周囲に前壁53、一対の側壁54及び後壁55を設けた身箱51と、天壁62の周囲に前壁63、一対の側壁64及び後壁65を設けた蓋61とから成り、身箱51の後壁55の下半部と、蓋61の後壁65の側壁64から切り離された部分とを帯状に接着し、身箱51に対し蓋61を回動させて開閉するものが記載されている。
【0003】
このような2ピース包装箱は、身箱と蓋とが一体となったブランクから形成される1ピース型のものに比較して、材料を効率的に使用することができ、身箱51と蓋61とで種類の異なる材料を使用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭52−125080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この2ピース包装箱では、身箱51に収納した商品を店頭で展示する場合等において、身箱51から蓋61を分離する際、接着された後壁55,65を引き剥がさなければならず、大きな力を要するという問題がある。
【0006】
また、製造時の機械適性が考慮されておらず、商品の包装時における組み立てにも手間がかかるという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、蓋を身箱から簡単に分離できるようにし、また、製造及び組立を容易に行なうことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明は、底壁の周囲に前壁、対向する側壁及び後壁を設けた身箱と、天壁の周囲に前壁、対向する側壁及び後壁を設けた蓋とから成り、身箱と蓋の後壁を接着し、身箱に対し蓋を回動させて開閉する2ピース包装箱において、前記身箱と蓋の後壁に貼合片を設け、貼合片の内側で身箱と蓋の後壁を接着し、貼合片をなす切目線の切断に伴い、貼合片同士が貼り合わされたまま、貼合片の少なくとも一方が切り取られて、身箱から蓋を分離できるようにしたのである。
【0009】
また、前記身箱の側壁の後部及び蓋の側壁の前部に、コーナーから斜めに延びる斜折線を入れ、身箱及び蓋が扁平な状態で、身箱と蓋の後壁を接着し、身箱と蓋の側壁を斜折線に沿って折り曲げ、身箱の側壁と後壁とを折曲片を介した接着により繋ぐと共に、蓋の前壁と側壁とを折曲片を介した接着により繋ぐようにしたのである。
【発明の効果】
【0010】
この2ピース包装箱では、貼合片をなす切目線を切断するだけで、蓋を身箱から分離できるので、店頭で展示する際、接着部の引き剥がし等の大きな力を要する作業を行なうことなく、簡単な作業で、身箱の天面を開放して、商品を見せて展示することができる。
【0011】
また、身箱と蓋とを扁平な状態で接着し、コーナー部分を貼り合わせることができるので、フォルダグルアを使用して容易に製造することができ、商品の包装に際しては、扁平な折畳状態から容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る2ピース包装箱の身箱と蓋のブランクを示す図
【図2】同上の身箱と蓋のブランクの接着状態を示す図
【図3】同上の折畳状態を示す斜視図
【図4】同上の組立開蓋状態を示す前方斜視図
【図5】同上の組立閉蓋状態を示す後方斜視図
【図6】同上の身箱と蓋の分離状態を示す後方斜視図
【図7】同上の蓋を除去した身箱を示す後方斜視図
【図8】従来の2ピース包装箱の開蓋状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、この2ピース包装箱は、段ボールシートを打ち抜いた身箱11と蓋21のブランクから形成される。
【0015】
身箱11のブランクでは、長方形の底壁12の一方の長辺に前壁13が、両短辺に側壁14が、他方の長辺に後壁15がそれぞれ連設されている。前壁13は、二重構造となるように、底壁12側から外前板13a、頂板13b及び内前板13cを順次連設した構成とされ、側壁14もまた、二重構造となるように、底壁12側から外側板14a、頂板14b及び内側板14cを順次連設した構成とされている。
【0016】
前壁13には、内前板13cの両側先端部に係止突起13dが設けられ、先端縁中央部に解体用の指掛凹部13eが設けられている。
【0017】
側壁14には、外側板14aの前端に折曲片16aが、内側板14cの前端に折曲片16bがそれぞれ連設されている。また、底面後端コーナーを起点として底壁12との境界に対し45°傾斜した折畳用の斜折線14dが入れられ、斜折線14dは、段ボールの表面側から押圧した逆罫線とされている。内側板14cの後端には係止突起14eが設けられ、前端には係止切欠14fが設けられている。
【0018】
後壁15には、両側端に折曲片17が連設されている。また、2個の貼合片15aがミシン目状の切目線15bで取り囲むように設けられ、折曲片17との境界に沿って係止穴15cが設けられている。
【0019】
蓋21のブランクでは、底壁12より一回り大きい長方形の天壁22の一方の長辺に前壁23が、一対の短辺に側壁24が、他方の長辺に後壁25がそれぞれ連設されている。
【0020】
前壁23には、両側端に折曲片26が連設され、先端縁中央部に開蓋用の指掛凹部23aが設けられている。
【0021】
側壁24には、天面後端コーナーを起点として天壁22との境界に対し45°傾斜した折畳用の斜折線24aが入れられ、斜折線24aは、段ボールの表面側から押圧した逆罫線とされている。
【0022】
後壁25には、2個の貼合片25aが湾曲して対向するミシン目状の切目線25bの内側に設けられている。貼合片25aをなす切目線25bは、後壁25の先端縁から入れられ、貼合片25aの天壁22側には、ヒンジとなる折目線25cが入れられている。
【0023】
このようなブランクから製箱する際には、まず、図2に示すように、身箱11の後壁15の外面に、蓋21の後壁25を貼合片15a,25aの内側で貼り合わせる。
【0024】
そして、図3に示すように、身箱11の一対の側壁14を、内側へ折り曲げて底壁12に重ねると共に、斜折線14dに沿って折り返し、後壁15の内側に折曲片17を折り重ね、底壁12から後壁15を蓋21と共に前方へ倒し、折曲片17を側壁14の折返部分に貼り付け、前壁13の内前板13cを内側後方へ折り曲げる。
【0025】
また、蓋21の一対の側壁24を、内側へ折り曲げて天壁22に重ねると共に、斜折線24aに沿って折り返し、前壁23の内側に折曲片26を折り重ね、天壁22から前壁23を後方へ折り曲げ、折曲片26を側壁24の折返部分に貼り付け、扁平となった身箱11と蓋21とを重ね合わせて折畳状態とする。
【0026】
このような折曲及び貼付作業は、2部材給紙機に連結されたフォルダグルアを使用して行なうことができ、貼付後の包装箱は、折畳状態となっているので、商品の箱詰めする事業者への輸送時や、倉庫等での保管時に嵩張ることがない。
【0027】
一方、この包装箱を折畳状態から組み立てて商品を包装する際には、まず、身箱11の底壁12から後壁15と共に外側板14aを起こし、側壁14の斜折線14dに沿った折り曲げを復元させ、蓋21の天壁22から前壁23及び側壁24を起こして、側壁24の斜折線24aに沿った折り曲げを復元させる。
【0028】
次に、図4に示すように、身箱11において、側壁14の頂板14b及び内側板14cを順次内側及び下方へ折り曲げ、係止突起14eを後壁15の係止穴15cに係合させ、折曲片16a,16bを内側へ折り曲げた後、底壁12から外前板13aを起立させ、頂板13b及び内前板13cを順次内側及び下方へ折り曲げて、前壁13により折曲片16a,16bを抱き込み、係止突起13dを係止切欠14fに係合させる。
【0029】
そして、身箱11に商品を収納し、図5に示すように、身箱11に対し蓋21を回動させて、身箱11の外側に蓋21が被さるように、蓋21を閉じると、商品の箱詰めが完了し、商品を小売店へ配送できる。
【0030】
このような状態で配送された包装箱を利用して、店頭で商品を展示する際には、図6に示すように、貼合片25aを、後壁15の先端縁に臨む部分に指を掛け、切目線25bの切断に伴い、折目線25cをヒンジとして捲り上げる。これにより、貼合片15a,25a同士が貼り合わされたまま、切目線15bが切断されて、貼合片15aが後壁15から切り取られ、身箱11と蓋21とが分離する。
【0031】
その後、身箱11から蓋21を除去すると、図7に示すように、身箱11は、組立形状を保持したまま、天面が開口したトレー状態となる。
【0032】
上記のような2ピース包装箱では、貼合片15a,25aをなす切目線15b,25bを切断するだけで、蓋21を身箱11から分離できるので、店頭で展示する際、接着部の引き剥がし等の大きな力を要する作業を行なうことなく、簡単な作業で、身箱11の天面を開放して、商品を見せて展示することができる。
【0033】
また、後壁25の貼合片25aを、折目線25cをヒンジとして、後壁25の先端縁から捲り上げるように揺動させ、指先の軽い力で、身箱11と蓋21とを分離することができ、切取屑が発生することもない。
【0034】
また、身箱11と蓋21とを扁平な状態で接着し、コーナー部分を貼り合わせることができるので、フォルダグルアにより容易に製造することができ、商品の包装に際しては、扁平な折畳状態から容易に組み立てることができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、身箱11の外側に蓋21が被さるものを例示したが、身箱11の内側に蓋21が嵌り込むようにしてもよい。
【0036】
この場合、身箱11の貼合片15aを捲ると、貼合片15a,25a同士が貼り合わされたまま、蓋21の貼合片25aが後壁25から切り取られ、蓋21を身箱11から分離できるように、切目線15b,25bを入れようにするとよい。
【0037】
また、平面形状が四角形をなす直方体の包装箱を例示したが、平面形状が六角形や八角形等の多角形をなす包装箱においても、身箱と蓋の分離を容易化するための構成として、同様の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
11 身箱
12 底壁
13 前壁
13a 外前板
13b 頂板
13c 内前板
13d 係止突起
13e 指掛凹部
14 側壁
14a 外側板
14b 頂板
14c 内側板
14d 斜折線
14e 係止突起
14f 係止切欠
15 後壁
15a 貼合片
15b 切目線
15c 係止穴
16a,16b,17 折曲片
21 蓋
22 天壁
23 前壁
23a 指掛凹部
24 側壁
24a 斜折線
25 後壁
25a 貼合片
25b 切目線
25c 折目線
26 折曲片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(12)の周囲に前壁(13)、対向する側壁(14)及び後壁(15)を設けた身箱(11)と、天壁(22)の周囲に前壁(23)、対向する側壁(24)及び後壁(25)を設けた蓋(21)とから成り、身箱(11)と蓋(21)の後壁(15,25)を接着し、身箱(11)に対し蓋(21)を回動させて開閉する2ピース包装箱において、前記身箱(11)と蓋(21)の後壁(15,25)に貼合片(15a,25a)を設け、貼合片(15a,25a)の内側で身箱(11)と蓋(21)の後壁(15,25)を接着し、貼合片(15a,25a)をなす切目線(15b,25b)の切断に伴い、貼合片(15a,25a)同士が貼り合わされたまま、貼合片(15a,25a)の少なくとも一方が切り取られて、身箱(11)から蓋(21)を分離できるようにしたことを特徴とする2ピース包装箱。
【請求項2】
前記身箱(11)の側壁(14)の後部及び蓋(21)の側壁(24)の前部に、コーナーから斜めに延びる斜折線(14d,24a)を入れ、身箱(11)及び蓋(21)が扁平な状態で、身箱(11)と蓋(21)の後壁(15,25)を接着し、身箱(11)と蓋(21)の側壁(14,24)を斜折線(14d,24a)に沿って折り曲げ、身箱(11)の側壁(14)と後壁(15)とを折曲片(17)を介した接着により繋ぐと共に、蓋(21)の前壁(23)と側壁(24)とを折曲片(26)を介した接着により繋ぐようにしたことを特徴とする請求項1に記載の2ピース包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−240684(P2012−240684A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109364(P2011−109364)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】