4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の新規な結晶およびその製造方法
【課題】4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド(1)またはその溶媒和物の結晶の提供。
【解決手段】Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5〜11.7°の範囲内および13.7〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する、(1)またはその溶媒和物の結晶。また、親水性有機溶媒と、(1)と、(1)1モルに対して0.4モル以下の水とを含んでなる溶液から、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドを晶析させる工程含む、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶の製造方法。
【解決手段】Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5〜11.7°の範囲内および13.7〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する、(1)またはその溶媒和物の結晶。また、親水性有機溶媒と、(1)と、(1)1モルに対して0.4モル以下の水とを含んでなる溶液から、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドを晶析させる工程含む、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化管運動機能亢進薬の製造中間体として有用な、下記の式(I)で示される4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の新規な結晶およびその製造方法に関する。
【0002】
【化1】
【背景技術】
【0003】
4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド(以下、化合物(I)と略称する)は、式(II)で示される4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド・クエン酸二水和物(以下、化合物(II)と略称する)の製造中間体である。
【0004】
【化2】
【0005】
化合物(I)の製造法としては、例えば特許文献1に記載された方法が知られている。当該方法では、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸を低級アルキルエステル類、活性エステル類、酸無水物等を用いて反応性誘導体に変換した後、2−アミノメチル−4−(4−フルオロベンジル)モルホリンと反応させ、得られた反応混合物を水洗、溶媒留去等に付し、さらにエタノールで再結晶を行なうことにより、化合物(I)の結晶を得ている。特許文献1には、得られた結晶の融点範囲が151〜153℃であると記載されているが、その形状については記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平3−54937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医薬品等の製造に用いられる化合物を商業的に生産する場合、当該化合物は取り扱い時の作業性等がより一層良好な嵩密度が高い結晶であることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特許文献1に記載された融点約151〜153℃を示す化合物(I)が針状結晶であることを確認した。
また本発明者らは、検討を重ねた結果、化合物(I)の晶析を行う際、晶析溶液中の水分含有量を特定量以下に制限することにより、上記特許文献1に開示される針状結晶とは異なる立方体状の結晶である化合物(I)が得られることを見出した。この立方体状の結晶は、これまでに報告されていない形状であり、特許文献1が開示する針状結晶とは、融点、X線回折パターンおよび嵩密度(タップ密度)が異なるものである。
更に、晶析溶媒として特定の親水性有機溶媒(例えば、アルコール類)を用いた場合には、得られた化合物(I)の結晶は溶媒和物(例えば、1アルコール和物)を形成し、そして、この溶媒和物を特定の条件で加熱乾燥した結晶(即ち、無溶媒和物)は、当該乾燥前とはX線回折パターンが異なることも判明した。加熱乾燥することよって結晶に取り込まれていた親水性有機溶媒(例えば、アルコール類)が脱離し、その際に結晶構造の変換が起こり、X線回折パターンが変化すると考えられる。
このようにして得られた立方体状の結晶は、従来の針状結晶と比較して嵩密度(タップ密度)が高くなることを見出し、本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶。
[2]無溶媒和物である、上記[1]記載の結晶。
[3]Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に実質的に回折ピークを有しない、上記[2]記載の結晶。
[4]融点が155℃〜157℃である、上記[2]または「3」記載の結晶。
[5]1アルコール和物である、上記[1]記載の結晶。
[6]1エタノール和物である、上記[1]記載の結晶。
[7]Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを有する、上記[6]記載の結晶。
[8]親水性有機溶媒と、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドと、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド1モルに対して0.4モル以下の水とを含んでなる溶液から、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドを晶析させる工程含む、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶の製造方法。
[9]溶液が、親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒をさらに含む、上記[8]記載の製造方法。
[10]親水性有機溶媒が、アルコール類、脂肪族ケトン類、脂肪族ニトリル類、グリコール類、環状脂肪族エーテル類およびアミド類からなる群より選択される少なくとも1種である、上記[8]または[9]記載の製造方法。
[11]親水性有機溶媒が、炭素数1〜3のアルコール類およびアセトンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記[8]または[9]記載の製造方法。
[12]親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒が、芳香族炭化水素類から選択される少なくとも1種である、上記[9]記載の製造方法。
[13]親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒がトルエンである、上記[9]記載の製造方法。
[14]疎水性有機溶媒の含有量が、親水性有機溶媒1重量部に対し、0.2〜5重量部である、上記[9]記載の製造方法。
[15]晶析した4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの1アルコール和物を固液分離により単離した後、減圧下で加熱乾燥して、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの無溶媒和物を得る工程をさらに含む、上記[8]記載の製造方法。
[16]1アルコール和物が1エタノール和物である、上記[15]記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の針状結晶と比較して、嵩密度が高い化合物(I)またはその溶媒和物の新たな結晶を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化合物(I)またはその溶媒和物の結晶(以下、本発明の結晶またはβ晶と略称する場合がある)は、立方体状の結晶であり、化合物(I)の針状結晶よりも嵩密度が高いため、結晶の濾過性、流動性及び計量性等の工業スケールでの作業性の効率が良好となる。
【0012】
本発明の結晶は、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する。この回折ピークは、本発明の結晶が有する回折ピークの中で主要なものである。
【0013】
これに対して、化合物(I)の針状結晶(以下、単に針状結晶またはα晶と略称する場合がある)は、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが20.4°〜20.7°の範囲内および25.9°〜26.3°の範囲内に回折ピークを有する。また、上記の針状結晶は、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に実質的に回折ピークを有しない。
【0014】
なお、本発明では、Cu−Kα波長のX線回折測定は、X線回折測定装置(りがく社製:RINT2500V型)を用いて試料(結晶)の測定が行われる。
本発明において、「回折ピークを有する」とは、回折角2θが5°〜60°の範囲内において最も強い回折ピークのピーク値を100%としたとき、15%以上、好ましくは25%以上のピーク強度(相対ピーク強度)を有することを意味する。
また、本発明において、「実質的に回折ピークを有しない」とは、回折角2θが5°〜60°の範囲内において最も強い回折ピークのピーク値を100%としたとき、5%以下、好ましくは1%以下(特に好ましくは0%)程度のピーク強度(相対ピーク強度)を有する微小ピークしか観測されないことを意味する。
このように、X線回折測定により、本発明の結晶は、化合物(I)の針状結晶と明確に識別することができる。
【0015】
本発明の結晶は、溶媒和物であるか、または無溶媒和物である。晶析溶媒として特定の親水性有機溶媒を使用した場合、溶媒和物となる場合があり、特に晶析溶媒としてアルコール類を使用した場合、化合物(I)の1アルコール和物(例えば、1エタノール和物)となる。無溶媒和物は、溶媒和物を減圧下で加熱乾燥することにより得られる。
【0016】
本発明の結晶は、溶媒和物と無溶媒和物とでX線回折パターンが異なる。溶媒和物では溶媒が化合物(I)の結晶中に取り込まれているが、加熱乾燥によりこの溶媒が脱離し、その際に結晶構造の変換が起こり、X線回折パターンの一部が変化するためである。
【0017】
1つの態様において、本発明の結晶は、無溶媒和物では、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが、11.1°、11.6°、13.8°、14.9°、16.7°、16.8°、19.7°、20.9°、24.1°、24.9°、25.6°および28.3°に回折ピークを有する。
別の態様において、本発明の結晶は、1アルコール和物(例えば、1エタノール和物)では、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが、7.7°、11.0°、11.6°、13.8°、14.9°、16.7°、17.2°、19.7°、20.4°、20.7°、20.9°、22.0°、23.8°、24.2°、24.5°、24.8°、25.6°および26.0°に回折ピークを有する。
【0018】
本発明の結晶のCu−Kα波長のX線回折測定における代表的なX線回折パターンを図1(無溶媒和物)および図3(1エタノール和物)に、ピークを与える回折角2θおよびその相対ピーク強度を表1(無溶媒和物)および表2(1エタノール和物)に、それぞれ示す。但し、表1および表2には、回折角2θが5°〜60°の範囲内において最も強い回折ピークのピーク値を100%としたとき、5%以下の相対ピーク強度を有する微小ピークも示されている。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
化合物(I)の針状結晶のCu−Kα波長のX線回折測定における代表的なX線回折パターンを図2(無溶媒和物)および図4(1エタノール和物)に、ピークを与える回折角2θおよびその相対ピーク強度を表3(無溶媒和物)および表4(1エタノール和物)に、それぞれ示す。但し、表3および表4には、回折角2θが5°〜60°の範囲内において最も強い回折ピークのピーク値を100%としたとき、5%以下の相対ピーク強度を有する微小ピークも示されている。
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
本発明の結晶は、溶媒和物でも無溶媒和物でも、上述したように、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する。
【0025】
本発明の結晶は、無溶媒和物の場合、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に実質的に回折ピークを有しない。
一方、1アルコール和物の場合、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを有する。
【0026】
本発明の結晶の融点は、無溶媒和物の場合、約155〜157℃である。一方、化合物(I)の針状結晶の融点は、無溶媒和物の場合、約151〜153℃である。従って、融点を測定することによっても、本発明の結晶は、化合物(I)の針状結晶と明確に識別することができる。本発明では、融点の測定は、融点測定装置(宮本理研社製:MPA−50型)を用い、145℃〜溶け終わりまで1℃/分の速度で昇温しながら測定が行われる。
【0027】
本発明の結晶のタップ密度は、0.50g/mL以上となる。そして、好ましくは約0.50〜0.70g/mL、より好ましくは約0.54〜0.60g/mLのものを得ることができる。一方、化合物(I)の針状結晶のタップ密度は、通常約0.2〜0.45g/mLである。従って、タップ密度を測定することによっても、本発明の結晶は、化合物(I)の針状結晶と明確に識別することができる。なお、本発明では、タップ密度の測定は、20mLメスシリンダーに試料(結晶)約10gを入れ、試料(結晶)を上下に振動させ試料の容量が一定になるまで行われる。
本発明の結晶のタップ密度は化合物(I)の針状結晶よりも有意に高いため、濾過性および計量性が良好となる。
【0028】
また、本発明の結晶は流動性が良好である。流動性は、スパチュラ角の測定により評価され、具体的には、スパチュラ上に堆積する粉体(結晶)の角度を測定することにより評価される。
【0029】
本発明の結晶の純度は高ければ高いほど好ましい。該純度は例えば90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは98重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上、特に好ましくは実質的に100重量%である。
【0030】
針状結晶との混合物であっても、該混合物が上記タップ密度を有するものは本発明に含まれる。
【0031】
本発明の結晶は、親水性有機溶媒と、化合物(I)と、化合物(I)1モルに対して0.4モル以下の水とを含む溶液から化合物(I)を晶析(再結晶)させることにより製造される。
【0032】
化合物(I)は、特許文献1等に記載された公知の方法により製造することができる。即ち、溶媒中で、必要に応じて塩基存在下で、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸を低級アルキルエステル類、活性エステル類、酸無水物等を用いて反応性誘導体に変換した後、2−アミノメチル−4−(4−フルオロベンジル)モルホリンと反応させ、得られた反応混合物を水洗および溶媒留去等に付すことにより、粗製の化合物(I)を得ることができる。また、反応混合物中の溶媒を一部留去した後に、晶析を行ってもよいし、あるいは反応混合物を直接晶析してもよい。上記方法で得られた粗製の化合物(I)には、未反応物、副反応物および無機物等が含まれる場合が多く、好ましくは上記の粗製の化合物(I)を再結晶に付す。
【0033】
本発明の結晶の製造方法(以下、本発明の方法と略称する場合がある)においては、晶析溶液中の水分含有量を化合物(I)1モルに対して0.4モル以下に制御する。水分含有量が化合物(I)1モルに対して0.4モルを超えると、針状結晶の形成が起こる。水分含有量が化合物(I)1モルに対して0.4モルを超えかつ1.2モル以下の範囲内では立方体状の結晶と針状結晶との混合物が得られ、水分含有量が化合物(I)1モルに対して1.2モルを超えると、針状結晶のみが選択的に形成される。従って、立方体状の結晶のみを選択的に形成させるためには、晶析溶液中の水分含有量を化合物(I)1モルに対して0.4モル以下に制御することが本発明では必須である。この水分含有量は、好ましくは化合物(I)1モルに対して0.3モル以下、より好ましくは0.2モル以下、特に好ましくは0.1モル以下である。
【0034】
晶析溶液中の水分含有量を上記範囲に制限する方法としては、
(1)化合物(I)を予め減圧下で加熱乾燥して、化合物(I)中の水分含有量を低減する方法;
(2)親水性有機溶媒等の晶析溶媒を予めモレキュラーシーブや無水アルカリ金属塩等の乾燥剤で処理して、晶析溶媒の水分含有量を低減する方法;
(3)化合物(I)の晶析溶液に第2の溶媒(当該溶液に使用する溶媒とは異なり、かつ水と共沸可能な溶媒)を加えて共沸脱水して、晶析溶液中の水分含有量を低減する方法;
等が挙げられ、溶媒中の水分含有量に応じて、これらの方法を単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0035】
(1)の方法に関して、上記加熱乾燥は、好ましくは50〜150℃の範囲、より好ましくは55〜90℃の範囲で行われる。温度が50℃未満では十分に水分が除去できず、また温度150℃を超えると着色したり不純物が増加したりして好ましくない。減圧度は、乾燥温度によって異なるが、20mmHg以下まで減圧することが好ましい。
【0036】
(2)の方法に関して、モレキュラーシーブとしては、孔径が3〜5Å、特に3〜4Åのものが好ましい。無水アルカリ金属塩としては、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム等が挙げられ、中でも、無水硫酸マグネシウムが好ましい。
【0037】
(3)の方法に関して、第2の溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族系炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
【0038】
なお、本発明においては、水分含有量は、カールフィッシャー水分測定装置を用いて行われる。
【0039】
本発明の方法においては、晶析は、親水性有機溶媒中、または親水性有機溶媒と当該親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒との混合溶媒中で行われる。
親水性有機溶媒としては、アルコール類、脂肪族ケトン類、脂肪族ニトリル類、グリコール類、環状脂肪族エーテル類、アミド類等を挙げることができる。
アルコール類としては、例えば、炭素数1〜8のアルコール類(例;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール等)が挙げられ、好ましくは炭素数1〜3のアルコール類(例;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール)であり、より好ましくはエタノールである。
脂肪族ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン等が挙げられ、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンであり、好ましくはアセトンである。
脂肪族ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
環状脂肪族エーテル類としては、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
親水性有機溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール類、アセトンが好ましい。
【0040】
疎水性有機溶媒は親水性有機溶媒と混和可能なものである。ここで、「混和可能」とは、本発明の方法において親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒とが分離しないことを意味し、「混和可能」な状態は、疎水性有機溶媒の種類と、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の含有比に依存する。混合溶媒中の疎水性有機溶媒の含有量は、親水性有機溶媒1重量部に対し、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。
【0041】
親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素類(例;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、シメン、クロルベンゼン)であり、トルエンがより好ましい。芳香族炭化水素に対する化合物(I)の溶解度は小さいため、比較的溶解度の高い親水性有機溶媒と混合して用いられる。炭素数6〜12の芳香族炭化水素類を単独で晶析用溶媒として用いた場合には、針状結晶が得られるため、疎水性有機溶媒を使用する場合には、親水性有機溶媒との混合が必須である。
【0042】
晶析用の溶媒として、親水性有機溶媒のみを使用する場合は、親水性有機溶媒は1種であっても、2種以上を使用してもよい。また、親水性有機溶媒と当該親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒は、それぞれ、1種であっても、2種以上を使用してもよい。
【0043】
本発明における好適な溶媒としては、炭素数1〜3のアルキルアルコール、アセトン、およびこれらとトルエンとの混合溶媒である。
【0044】
晶析操作は周知の方法により行われる。例えば、化合物(I)を上記溶媒に完全に溶解した(この時、晶析溶液中の水分含有量を化合物(I)1モルに対して0.4モル以下となるように調整する。)後に、必要に応じて結晶の核となる種晶を加えて徐々に冷却し、結晶を析出させる。晶析に用いる溶媒量は、使用する溶媒に対する化合物(I)の溶解特性に応じて適宜設定されるが、化合物(I)1重量部に対し、好ましくは約2〜20重量部、より好ましくは約5〜15重量部である。
【0045】
溶解時の溶媒の温度は用いる溶媒および溶媒量によって異なるが、化合物(I)の溶解を促進するため、好ましくは45〜82℃、より好ましくは50〜80℃である。
【0046】
化合物(I)の溶液を、好ましくは3〜24時間、より好ましくは5〜12時間かけて、好ましくは20〜−10℃、より好ましくは10〜0℃にまで徐々に冷却することにより、化合物(I)の立方体状の結晶が析出する。析出した結晶を、濾過等によって母液から分離し、洗浄することにより、目的とする本発明の結晶を得ることができる。溶媒として、アルコール類を使用した場合には、溶媒和物(例えば、1アルコール和物)の結晶が得られ、それ以外の場合は、無溶媒和物の結晶が得られる。
【0047】
種晶を加える場合は、立方体状の結晶を用いる。添加する種晶の量は、化合物(I)1重量部に対して好ましくは0.0005〜0.02重量部、より好ましくは0.001〜0.01重量部である。
【0048】
溶媒和物の結晶は、減圧下で加熱乾燥することにより、無溶媒和物の結晶に変換することができる。加熱乾燥は、好ましくは50〜150℃の範囲、より好ましくは55〜90℃の範囲で行われる。温度が50℃未満では十分に水分や溶媒が除去できず、また温度が150℃を超えると着色したり不純物が増加したりして好ましくない。減圧度は、乾燥温度によって異なるが、20mmHg以下まで減圧することが好ましい。
【0049】
結晶の乾燥の程度は、ガスクロマトグラフィー等の分析手段により判定することができる。結晶をCu−Kα波長のX線回折測定に付し、溶媒和物の結晶に特有の回折ピークの有無や高さを解析することにより判定することもできる。例えば、乾燥の程度が不足しており、溶媒和物の結晶が混入している場合には、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に特有の回折ピークを有する。
【実施例】
【0050】
以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0051】
(製造例1)
粗製4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管および滴下装置を備えた反応容器中に、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸111.8重量部およびメチルイソブチルケトン1736重量部を仕込み、攪拌下20℃以下でトリエチルアミン80重量部を20℃以下で滴下し、ついでクロロ炭酸エチル59.6重量部を15℃以下で1時間をかけて滴下し、同温で1時間攪拌保温した。その後、2−アミノメチル−4−(4−フルオロベンジル)モルホリン119.2重量部にメチルイソブチルケトン179重量部を加えた混合液を20〜10℃で、0.5時間かけて滴下し、同温度で3時間攪拌保温して反応を完結させた。その後、メチルイソブチルケトン3500重量部を加えたのち、水洗浄、10重量%水酸化ナトリウム水溶液洗浄および飽和食塩水洗浄の順で洗浄を行ない、ついで無水硫酸マグネシウムを加えて脱水を行なうことにより、メチルイソブチルケトンの混合溶液を得た。さらにこの混合溶液の溶媒を減圧留去して、粗製4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの白色結晶 190重量部を得た。この結晶をカールフィッシャー水分測定装置を用いて水分測定を行った結果、水分含有量は0.6重量%(化合物(I)1モルに対して0.14モル)であった。
【0052】
(実施例1)
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた容器中に、製造例1で得た粗製4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド20重量部およびエタノール170重量部を加え、70℃で溶解させたのち、10℃まで6時間をかけて徐々に冷却し、得られた結晶を同温度で濾過し、1エタノール和物の結晶19.0重量部を得た。この1エタノール和物の結晶を2.0重量部採取してCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図3および表2のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示した。その後、残りの1エタノール和物の結晶を60℃/5mmHgで乾燥して、融点155〜156℃を有する白色の無溶媒和物の結晶16.7重量部を得た。この無溶媒和物のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図1および表1のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを示さず、11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示す立方体状の結晶であった(図6)。
【0053】
(実施例2)
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた容器中に、製造例1で得た粗製4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド20重量部およびアセトン140重量部を加え、62℃で溶解させたのち、10℃まで6時間をかけて徐々に冷却し、得られた結晶を同温度で濾過し、60℃/5mmHgで乾燥して、融点155〜157℃を有する白色の無溶媒和物の結晶16.3重量部を得た。この無溶媒和物のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図1のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを示さず、11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示す立方体状の結晶であった(図7)。
【0054】
(実施例3)
水0.14重量部を加えて、化合物(I)1モルに対し、晶析溶液中の水分総含有量を0.40モルとした以外は実施例1と同様の操作を行い、融点155〜156℃を有する白色の無溶媒和物の結晶18.3重量部を得た。この無溶媒和物の結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図1のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを示さず、11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示す図6のような立方体状の結晶であった。
【0055】
(実施例4)
アセトンの代わりにアセトンとトルエンとの混合溶媒(各50重量%)172重量部を用い、種晶0.02重量部を46℃で加えた以外は実施例2と同様の操作を行うことにより、融点155〜156℃を有する白色の無溶媒和物の結晶16.1重量部を得た。この無溶媒和物の結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図1のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを示さず、11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示す立方体状の結晶であった(図8)。
【0056】
(比較例1)
水5.0重量部を晶析用溶媒に加えて、化合物(I)1モルに対し、晶析溶液中の水分総含有量を6.09モルとした以外は実施例1と同様の操作を行い、1エタノール和物の結晶24.0重量部を得た。この1エタノール和物の結晶を2.0重量部採取してCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図4および表4のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に鋭いピークを示した。その後、残りの1エタノール和物の結晶を70℃/5mmHgで乾燥して、融点152〜153℃を有する白色の無溶媒和物の結晶17.6重量部を得た。この無溶媒和物の結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図2および表3のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが20.4°〜20.7°の範囲内および25.9°〜26.3°の範囲内に鋭い回折ピークを示す針状結晶であった(図9)。
【0057】
(比較例2)
水0.4重量部を加えて、化合物(I)1モルに対し、晶析溶液中の水分総含有量を0.71モルとした以外は実施例1と同様の操作を行い、得られた1エタノール和物のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示した。またこの1エタノール和物を実施例1と同様の操作にて加熱乾燥し、融点152〜155℃を有する白色の無溶媒和物の結晶18.5重量部を得た。この結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図5のようなX線回折パターンを有する針状結晶と立方体状の結晶との混合物であった(図10)。
【0058】
(比較例3)
水21.3重量部を加えて、化合物(I)1モルに対し、晶析溶液中の水分総含有量を25.3モルとした以外は実施例2と同様の操作を行ない、融点152〜153℃を有する白色の無溶媒和物の結晶18.5重量部を得た。この結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図2および表3のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが20.4°〜20.7°の範囲内および25.9°〜26.3°の範囲内に鋭い回折ピークを示す針状結晶であった(図11)。
【0059】
(比較例4)
エタノールの代わりにトルエン1000重量部を用い、85℃で溶解した以外は、実施例1と同様の操作を行ない、融点152〜153℃を有する白色の無溶媒和物の結晶19.6量部を得た。この結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図2および表3のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが20.4°〜20.7°の範囲内および25.9°〜26.3°の範囲内に鋭い回折ピークを示す針状結晶であった(図12)。
【0060】
実施例1〜4および比較例1〜4について、溶媒中の水分含有量、晶析溶液中の水分総含有量、無溶媒和物の結晶形、収率、融点およびタップ密度を表5にまとめて示す。
尚、Cu−Kα波長のX線回折測定は、X線回折測定装置(りがく製:RINT2500V型)によって測定した。水分含有量は、カールフィッシャー水分測定装置(京都電子社製:MKC−510N型)を用い測定した。融点は、融点測定装置(宮本理研社製:MPA−50型)を用い、145℃〜溶け終わりまで1℃/分の速度で昇温しながら測定した。タップ密度の測定は、20mLメスシリンダーに試料(結晶)約10gを入れ、試料の容量が一定になるまでメスシリンダーを上下に振動させることにより行った。
【0061】
【表5】
【0062】
実施例1〜5および比較例1〜3について結晶の流動性試験を行うと、実施例1〜5で得られた結晶は、比較例1〜3で得られた結晶と比較して高い流動性を示す。
また、本発明の結晶のタップ密度は、比較例1、3および4で得られた結晶のタップ密度と比較して高い値を示す。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の化合物(I)またはその溶媒和物の新たな結晶は、従来の針状結晶と比較して嵩密度が高い。従って、結晶の濾過性、流動性、計量性が良好となり、工業的スケールでの作業性に優れ、式(II)の化合物の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1〜4で得た化合物(I)の立方体状の結晶(無溶媒和物)の代表的なX線回折パターンである。
【図2】比較例1および比較例3〜4で得た化合物(I)の針状結晶(無溶媒和物)の代表的なX線回折パターンである。
【図3】実施例1で得た化合物(I)の立方体状の結晶(1エタノール和物)のX線回折パターンである。
【図4】比較例1で得た化合物(I)の針状結晶(1エタノール和物)のX線回折パターンである。
【図5】比較例2で得た化合物(I)の結晶(針状結晶と立方体状の結晶の混合物)のX線回折パターンである。
【図6】実施例1で得た化合物(I)の立方体状の結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図7】実施例2で得た化合物(I)の立方体状の結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図8】実施例4で得た化合物(I)の立方体状の結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図9】比較例1で得た化合物(I)の針状結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図10】比較例2で得た化合物(I)の結晶(立方体状の結晶と針状結晶の混合物、無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図11】比較例3で得た化合物(I)の針状結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図12】比較例4で得た化合物(I)の針状結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化管運動機能亢進薬の製造中間体として有用な、下記の式(I)で示される4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の新規な結晶およびその製造方法に関する。
【0002】
【化1】
【背景技術】
【0003】
4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド(以下、化合物(I)と略称する)は、式(II)で示される4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド・クエン酸二水和物(以下、化合物(II)と略称する)の製造中間体である。
【0004】
【化2】
【0005】
化合物(I)の製造法としては、例えば特許文献1に記載された方法が知られている。当該方法では、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸を低級アルキルエステル類、活性エステル類、酸無水物等を用いて反応性誘導体に変換した後、2−アミノメチル−4−(4−フルオロベンジル)モルホリンと反応させ、得られた反応混合物を水洗、溶媒留去等に付し、さらにエタノールで再結晶を行なうことにより、化合物(I)の結晶を得ている。特許文献1には、得られた結晶の融点範囲が151〜153℃であると記載されているが、その形状については記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平3−54937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医薬品等の製造に用いられる化合物を商業的に生産する場合、当該化合物は取り扱い時の作業性等がより一層良好な嵩密度が高い結晶であることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特許文献1に記載された融点約151〜153℃を示す化合物(I)が針状結晶であることを確認した。
また本発明者らは、検討を重ねた結果、化合物(I)の晶析を行う際、晶析溶液中の水分含有量を特定量以下に制限することにより、上記特許文献1に開示される針状結晶とは異なる立方体状の結晶である化合物(I)が得られることを見出した。この立方体状の結晶は、これまでに報告されていない形状であり、特許文献1が開示する針状結晶とは、融点、X線回折パターンおよび嵩密度(タップ密度)が異なるものである。
更に、晶析溶媒として特定の親水性有機溶媒(例えば、アルコール類)を用いた場合には、得られた化合物(I)の結晶は溶媒和物(例えば、1アルコール和物)を形成し、そして、この溶媒和物を特定の条件で加熱乾燥した結晶(即ち、無溶媒和物)は、当該乾燥前とはX線回折パターンが異なることも判明した。加熱乾燥することよって結晶に取り込まれていた親水性有機溶媒(例えば、アルコール類)が脱離し、その際に結晶構造の変換が起こり、X線回折パターンが変化すると考えられる。
このようにして得られた立方体状の結晶は、従来の針状結晶と比較して嵩密度(タップ密度)が高くなることを見出し、本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶。
[2]無溶媒和物である、上記[1]記載の結晶。
[3]Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に実質的に回折ピークを有しない、上記[2]記載の結晶。
[4]融点が155℃〜157℃である、上記[2]または「3」記載の結晶。
[5]1アルコール和物である、上記[1]記載の結晶。
[6]1エタノール和物である、上記[1]記載の結晶。
[7]Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを有する、上記[6]記載の結晶。
[8]親水性有機溶媒と、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドと、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド1モルに対して0.4モル以下の水とを含んでなる溶液から、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドを晶析させる工程含む、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶の製造方法。
[9]溶液が、親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒をさらに含む、上記[8]記載の製造方法。
[10]親水性有機溶媒が、アルコール類、脂肪族ケトン類、脂肪族ニトリル類、グリコール類、環状脂肪族エーテル類およびアミド類からなる群より選択される少なくとも1種である、上記[8]または[9]記載の製造方法。
[11]親水性有機溶媒が、炭素数1〜3のアルコール類およびアセトンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記[8]または[9]記載の製造方法。
[12]親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒が、芳香族炭化水素類から選択される少なくとも1種である、上記[9]記載の製造方法。
[13]親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒がトルエンである、上記[9]記載の製造方法。
[14]疎水性有機溶媒の含有量が、親水性有機溶媒1重量部に対し、0.2〜5重量部である、上記[9]記載の製造方法。
[15]晶析した4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの1アルコール和物を固液分離により単離した後、減圧下で加熱乾燥して、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの無溶媒和物を得る工程をさらに含む、上記[8]記載の製造方法。
[16]1アルコール和物が1エタノール和物である、上記[15]記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の針状結晶と比較して、嵩密度が高い化合物(I)またはその溶媒和物の新たな結晶を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化合物(I)またはその溶媒和物の結晶(以下、本発明の結晶またはβ晶と略称する場合がある)は、立方体状の結晶であり、化合物(I)の針状結晶よりも嵩密度が高いため、結晶の濾過性、流動性及び計量性等の工業スケールでの作業性の効率が良好となる。
【0012】
本発明の結晶は、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する。この回折ピークは、本発明の結晶が有する回折ピークの中で主要なものである。
【0013】
これに対して、化合物(I)の針状結晶(以下、単に針状結晶またはα晶と略称する場合がある)は、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが20.4°〜20.7°の範囲内および25.9°〜26.3°の範囲内に回折ピークを有する。また、上記の針状結晶は、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に実質的に回折ピークを有しない。
【0014】
なお、本発明では、Cu−Kα波長のX線回折測定は、X線回折測定装置(りがく社製:RINT2500V型)を用いて試料(結晶)の測定が行われる。
本発明において、「回折ピークを有する」とは、回折角2θが5°〜60°の範囲内において最も強い回折ピークのピーク値を100%としたとき、15%以上、好ましくは25%以上のピーク強度(相対ピーク強度)を有することを意味する。
また、本発明において、「実質的に回折ピークを有しない」とは、回折角2θが5°〜60°の範囲内において最も強い回折ピークのピーク値を100%としたとき、5%以下、好ましくは1%以下(特に好ましくは0%)程度のピーク強度(相対ピーク強度)を有する微小ピークしか観測されないことを意味する。
このように、X線回折測定により、本発明の結晶は、化合物(I)の針状結晶と明確に識別することができる。
【0015】
本発明の結晶は、溶媒和物であるか、または無溶媒和物である。晶析溶媒として特定の親水性有機溶媒を使用した場合、溶媒和物となる場合があり、特に晶析溶媒としてアルコール類を使用した場合、化合物(I)の1アルコール和物(例えば、1エタノール和物)となる。無溶媒和物は、溶媒和物を減圧下で加熱乾燥することにより得られる。
【0016】
本発明の結晶は、溶媒和物と無溶媒和物とでX線回折パターンが異なる。溶媒和物では溶媒が化合物(I)の結晶中に取り込まれているが、加熱乾燥によりこの溶媒が脱離し、その際に結晶構造の変換が起こり、X線回折パターンの一部が変化するためである。
【0017】
1つの態様において、本発明の結晶は、無溶媒和物では、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが、11.1°、11.6°、13.8°、14.9°、16.7°、16.8°、19.7°、20.9°、24.1°、24.9°、25.6°および28.3°に回折ピークを有する。
別の態様において、本発明の結晶は、1アルコール和物(例えば、1エタノール和物)では、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが、7.7°、11.0°、11.6°、13.8°、14.9°、16.7°、17.2°、19.7°、20.4°、20.7°、20.9°、22.0°、23.8°、24.2°、24.5°、24.8°、25.6°および26.0°に回折ピークを有する。
【0018】
本発明の結晶のCu−Kα波長のX線回折測定における代表的なX線回折パターンを図1(無溶媒和物)および図3(1エタノール和物)に、ピークを与える回折角2θおよびその相対ピーク強度を表1(無溶媒和物)および表2(1エタノール和物)に、それぞれ示す。但し、表1および表2には、回折角2θが5°〜60°の範囲内において最も強い回折ピークのピーク値を100%としたとき、5%以下の相対ピーク強度を有する微小ピークも示されている。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
化合物(I)の針状結晶のCu−Kα波長のX線回折測定における代表的なX線回折パターンを図2(無溶媒和物)および図4(1エタノール和物)に、ピークを与える回折角2θおよびその相対ピーク強度を表3(無溶媒和物)および表4(1エタノール和物)に、それぞれ示す。但し、表3および表4には、回折角2θが5°〜60°の範囲内において最も強い回折ピークのピーク値を100%としたとき、5%以下の相対ピーク強度を有する微小ピークも示されている。
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
本発明の結晶は、溶媒和物でも無溶媒和物でも、上述したように、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する。
【0025】
本発明の結晶は、無溶媒和物の場合、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に実質的に回折ピークを有しない。
一方、1アルコール和物の場合、Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを有する。
【0026】
本発明の結晶の融点は、無溶媒和物の場合、約155〜157℃である。一方、化合物(I)の針状結晶の融点は、無溶媒和物の場合、約151〜153℃である。従って、融点を測定することによっても、本発明の結晶は、化合物(I)の針状結晶と明確に識別することができる。本発明では、融点の測定は、融点測定装置(宮本理研社製:MPA−50型)を用い、145℃〜溶け終わりまで1℃/分の速度で昇温しながら測定が行われる。
【0027】
本発明の結晶のタップ密度は、0.50g/mL以上となる。そして、好ましくは約0.50〜0.70g/mL、より好ましくは約0.54〜0.60g/mLのものを得ることができる。一方、化合物(I)の針状結晶のタップ密度は、通常約0.2〜0.45g/mLである。従って、タップ密度を測定することによっても、本発明の結晶は、化合物(I)の針状結晶と明確に識別することができる。なお、本発明では、タップ密度の測定は、20mLメスシリンダーに試料(結晶)約10gを入れ、試料(結晶)を上下に振動させ試料の容量が一定になるまで行われる。
本発明の結晶のタップ密度は化合物(I)の針状結晶よりも有意に高いため、濾過性および計量性が良好となる。
【0028】
また、本発明の結晶は流動性が良好である。流動性は、スパチュラ角の測定により評価され、具体的には、スパチュラ上に堆積する粉体(結晶)の角度を測定することにより評価される。
【0029】
本発明の結晶の純度は高ければ高いほど好ましい。該純度は例えば90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは98重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上、特に好ましくは実質的に100重量%である。
【0030】
針状結晶との混合物であっても、該混合物が上記タップ密度を有するものは本発明に含まれる。
【0031】
本発明の結晶は、親水性有機溶媒と、化合物(I)と、化合物(I)1モルに対して0.4モル以下の水とを含む溶液から化合物(I)を晶析(再結晶)させることにより製造される。
【0032】
化合物(I)は、特許文献1等に記載された公知の方法により製造することができる。即ち、溶媒中で、必要に応じて塩基存在下で、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸を低級アルキルエステル類、活性エステル類、酸無水物等を用いて反応性誘導体に変換した後、2−アミノメチル−4−(4−フルオロベンジル)モルホリンと反応させ、得られた反応混合物を水洗および溶媒留去等に付すことにより、粗製の化合物(I)を得ることができる。また、反応混合物中の溶媒を一部留去した後に、晶析を行ってもよいし、あるいは反応混合物を直接晶析してもよい。上記方法で得られた粗製の化合物(I)には、未反応物、副反応物および無機物等が含まれる場合が多く、好ましくは上記の粗製の化合物(I)を再結晶に付す。
【0033】
本発明の結晶の製造方法(以下、本発明の方法と略称する場合がある)においては、晶析溶液中の水分含有量を化合物(I)1モルに対して0.4モル以下に制御する。水分含有量が化合物(I)1モルに対して0.4モルを超えると、針状結晶の形成が起こる。水分含有量が化合物(I)1モルに対して0.4モルを超えかつ1.2モル以下の範囲内では立方体状の結晶と針状結晶との混合物が得られ、水分含有量が化合物(I)1モルに対して1.2モルを超えると、針状結晶のみが選択的に形成される。従って、立方体状の結晶のみを選択的に形成させるためには、晶析溶液中の水分含有量を化合物(I)1モルに対して0.4モル以下に制御することが本発明では必須である。この水分含有量は、好ましくは化合物(I)1モルに対して0.3モル以下、より好ましくは0.2モル以下、特に好ましくは0.1モル以下である。
【0034】
晶析溶液中の水分含有量を上記範囲に制限する方法としては、
(1)化合物(I)を予め減圧下で加熱乾燥して、化合物(I)中の水分含有量を低減する方法;
(2)親水性有機溶媒等の晶析溶媒を予めモレキュラーシーブや無水アルカリ金属塩等の乾燥剤で処理して、晶析溶媒の水分含有量を低減する方法;
(3)化合物(I)の晶析溶液に第2の溶媒(当該溶液に使用する溶媒とは異なり、かつ水と共沸可能な溶媒)を加えて共沸脱水して、晶析溶液中の水分含有量を低減する方法;
等が挙げられ、溶媒中の水分含有量に応じて、これらの方法を単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0035】
(1)の方法に関して、上記加熱乾燥は、好ましくは50〜150℃の範囲、より好ましくは55〜90℃の範囲で行われる。温度が50℃未満では十分に水分が除去できず、また温度150℃を超えると着色したり不純物が増加したりして好ましくない。減圧度は、乾燥温度によって異なるが、20mmHg以下まで減圧することが好ましい。
【0036】
(2)の方法に関して、モレキュラーシーブとしては、孔径が3〜5Å、特に3〜4Åのものが好ましい。無水アルカリ金属塩としては、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム等が挙げられ、中でも、無水硫酸マグネシウムが好ましい。
【0037】
(3)の方法に関して、第2の溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族系炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
【0038】
なお、本発明においては、水分含有量は、カールフィッシャー水分測定装置を用いて行われる。
【0039】
本発明の方法においては、晶析は、親水性有機溶媒中、または親水性有機溶媒と当該親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒との混合溶媒中で行われる。
親水性有機溶媒としては、アルコール類、脂肪族ケトン類、脂肪族ニトリル類、グリコール類、環状脂肪族エーテル類、アミド類等を挙げることができる。
アルコール類としては、例えば、炭素数1〜8のアルコール類(例;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール等)が挙げられ、好ましくは炭素数1〜3のアルコール類(例;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール)であり、より好ましくはエタノールである。
脂肪族ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン等が挙げられ、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンであり、好ましくはアセトンである。
脂肪族ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
環状脂肪族エーテル類としては、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
親水性有機溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール類、アセトンが好ましい。
【0040】
疎水性有機溶媒は親水性有機溶媒と混和可能なものである。ここで、「混和可能」とは、本発明の方法において親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒とが分離しないことを意味し、「混和可能」な状態は、疎水性有機溶媒の種類と、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の含有比に依存する。混合溶媒中の疎水性有機溶媒の含有量は、親水性有機溶媒1重量部に対し、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。
【0041】
親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素類(例;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、シメン、クロルベンゼン)であり、トルエンがより好ましい。芳香族炭化水素に対する化合物(I)の溶解度は小さいため、比較的溶解度の高い親水性有機溶媒と混合して用いられる。炭素数6〜12の芳香族炭化水素類を単独で晶析用溶媒として用いた場合には、針状結晶が得られるため、疎水性有機溶媒を使用する場合には、親水性有機溶媒との混合が必須である。
【0042】
晶析用の溶媒として、親水性有機溶媒のみを使用する場合は、親水性有機溶媒は1種であっても、2種以上を使用してもよい。また、親水性有機溶媒と当該親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒は、それぞれ、1種であっても、2種以上を使用してもよい。
【0043】
本発明における好適な溶媒としては、炭素数1〜3のアルキルアルコール、アセトン、およびこれらとトルエンとの混合溶媒である。
【0044】
晶析操作は周知の方法により行われる。例えば、化合物(I)を上記溶媒に完全に溶解した(この時、晶析溶液中の水分含有量を化合物(I)1モルに対して0.4モル以下となるように調整する。)後に、必要に応じて結晶の核となる種晶を加えて徐々に冷却し、結晶を析出させる。晶析に用いる溶媒量は、使用する溶媒に対する化合物(I)の溶解特性に応じて適宜設定されるが、化合物(I)1重量部に対し、好ましくは約2〜20重量部、より好ましくは約5〜15重量部である。
【0045】
溶解時の溶媒の温度は用いる溶媒および溶媒量によって異なるが、化合物(I)の溶解を促進するため、好ましくは45〜82℃、より好ましくは50〜80℃である。
【0046】
化合物(I)の溶液を、好ましくは3〜24時間、より好ましくは5〜12時間かけて、好ましくは20〜−10℃、より好ましくは10〜0℃にまで徐々に冷却することにより、化合物(I)の立方体状の結晶が析出する。析出した結晶を、濾過等によって母液から分離し、洗浄することにより、目的とする本発明の結晶を得ることができる。溶媒として、アルコール類を使用した場合には、溶媒和物(例えば、1アルコール和物)の結晶が得られ、それ以外の場合は、無溶媒和物の結晶が得られる。
【0047】
種晶を加える場合は、立方体状の結晶を用いる。添加する種晶の量は、化合物(I)1重量部に対して好ましくは0.0005〜0.02重量部、より好ましくは0.001〜0.01重量部である。
【0048】
溶媒和物の結晶は、減圧下で加熱乾燥することにより、無溶媒和物の結晶に変換することができる。加熱乾燥は、好ましくは50〜150℃の範囲、より好ましくは55〜90℃の範囲で行われる。温度が50℃未満では十分に水分や溶媒が除去できず、また温度が150℃を超えると着色したり不純物が増加したりして好ましくない。減圧度は、乾燥温度によって異なるが、20mmHg以下まで減圧することが好ましい。
【0049】
結晶の乾燥の程度は、ガスクロマトグラフィー等の分析手段により判定することができる。結晶をCu−Kα波長のX線回折測定に付し、溶媒和物の結晶に特有の回折ピークの有無や高さを解析することにより判定することもできる。例えば、乾燥の程度が不足しており、溶媒和物の結晶が混入している場合には、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に特有の回折ピークを有する。
【実施例】
【0050】
以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0051】
(製造例1)
粗製4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管および滴下装置を備えた反応容器中に、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸111.8重量部およびメチルイソブチルケトン1736重量部を仕込み、攪拌下20℃以下でトリエチルアミン80重量部を20℃以下で滴下し、ついでクロロ炭酸エチル59.6重量部を15℃以下で1時間をかけて滴下し、同温で1時間攪拌保温した。その後、2−アミノメチル−4−(4−フルオロベンジル)モルホリン119.2重量部にメチルイソブチルケトン179重量部を加えた混合液を20〜10℃で、0.5時間かけて滴下し、同温度で3時間攪拌保温して反応を完結させた。その後、メチルイソブチルケトン3500重量部を加えたのち、水洗浄、10重量%水酸化ナトリウム水溶液洗浄および飽和食塩水洗浄の順で洗浄を行ない、ついで無水硫酸マグネシウムを加えて脱水を行なうことにより、メチルイソブチルケトンの混合溶液を得た。さらにこの混合溶液の溶媒を減圧留去して、粗製4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの白色結晶 190重量部を得た。この結晶をカールフィッシャー水分測定装置を用いて水分測定を行った結果、水分含有量は0.6重量%(化合物(I)1モルに対して0.14モル)であった。
【0052】
(実施例1)
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた容器中に、製造例1で得た粗製4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド20重量部およびエタノール170重量部を加え、70℃で溶解させたのち、10℃まで6時間をかけて徐々に冷却し、得られた結晶を同温度で濾過し、1エタノール和物の結晶19.0重量部を得た。この1エタノール和物の結晶を2.0重量部採取してCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図3および表2のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示した。その後、残りの1エタノール和物の結晶を60℃/5mmHgで乾燥して、融点155〜156℃を有する白色の無溶媒和物の結晶16.7重量部を得た。この無溶媒和物のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図1および表1のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを示さず、11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示す立方体状の結晶であった(図6)。
【0053】
(実施例2)
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた容器中に、製造例1で得た粗製4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド20重量部およびアセトン140重量部を加え、62℃で溶解させたのち、10℃まで6時間をかけて徐々に冷却し、得られた結晶を同温度で濾過し、60℃/5mmHgで乾燥して、融点155〜157℃を有する白色の無溶媒和物の結晶16.3重量部を得た。この無溶媒和物のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図1のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを示さず、11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示す立方体状の結晶であった(図7)。
【0054】
(実施例3)
水0.14重量部を加えて、化合物(I)1モルに対し、晶析溶液中の水分総含有量を0.40モルとした以外は実施例1と同様の操作を行い、融点155〜156℃を有する白色の無溶媒和物の結晶18.3重量部を得た。この無溶媒和物の結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図1のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを示さず、11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示す図6のような立方体状の結晶であった。
【0055】
(実施例4)
アセトンの代わりにアセトンとトルエンとの混合溶媒(各50重量%)172重量部を用い、種晶0.02重量部を46℃で加えた以外は実施例2と同様の操作を行うことにより、融点155〜156℃を有する白色の無溶媒和物の結晶16.1重量部を得た。この無溶媒和物の結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図1のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを示さず、11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示す立方体状の結晶であった(図8)。
【0056】
(比較例1)
水5.0重量部を晶析用溶媒に加えて、化合物(I)1モルに対し、晶析溶液中の水分総含有量を6.09モルとした以外は実施例1と同様の操作を行い、1エタノール和物の結晶24.0重量部を得た。この1エタノール和物の結晶を2.0重量部採取してCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図4および表4のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に鋭いピークを示した。その後、残りの1エタノール和物の結晶を70℃/5mmHgで乾燥して、融点152〜153℃を有する白色の無溶媒和物の結晶17.6重量部を得た。この無溶媒和物の結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図2および表3のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが20.4°〜20.7°の範囲内および25.9°〜26.3°の範囲内に鋭い回折ピークを示す針状結晶であった(図9)。
【0057】
(比較例2)
水0.4重量部を加えて、化合物(I)1モルに対し、晶析溶液中の水分総含有量を0.71モルとした以外は実施例1と同様の操作を行い、得られた1エタノール和物のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に鋭い回折ピークを示した。またこの1エタノール和物を実施例1と同様の操作にて加熱乾燥し、融点152〜155℃を有する白色の無溶媒和物の結晶18.5重量部を得た。この結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図5のようなX線回折パターンを有する針状結晶と立方体状の結晶との混合物であった(図10)。
【0058】
(比較例3)
水21.3重量部を加えて、化合物(I)1モルに対し、晶析溶液中の水分総含有量を25.3モルとした以外は実施例2と同様の操作を行ない、融点152〜153℃を有する白色の無溶媒和物の結晶18.5重量部を得た。この結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図2および表3のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが20.4°〜20.7°の範囲内および25.9°〜26.3°の範囲内に鋭い回折ピークを示す針状結晶であった(図11)。
【0059】
(比較例4)
エタノールの代わりにトルエン1000重量部を用い、85℃で溶解した以外は、実施例1と同様の操作を行ない、融点152〜153℃を有する白色の無溶媒和物の結晶19.6量部を得た。この結晶のCu−Kα波長のX線回折を行ったところ、図2および表3のようなX線回折パターンが得られ、回折角2θが20.4°〜20.7°の範囲内および25.9°〜26.3°の範囲内に鋭い回折ピークを示す針状結晶であった(図12)。
【0060】
実施例1〜4および比較例1〜4について、溶媒中の水分含有量、晶析溶液中の水分総含有量、無溶媒和物の結晶形、収率、融点およびタップ密度を表5にまとめて示す。
尚、Cu−Kα波長のX線回折測定は、X線回折測定装置(りがく製:RINT2500V型)によって測定した。水分含有量は、カールフィッシャー水分測定装置(京都電子社製:MKC−510N型)を用い測定した。融点は、融点測定装置(宮本理研社製:MPA−50型)を用い、145℃〜溶け終わりまで1℃/分の速度で昇温しながら測定した。タップ密度の測定は、20mLメスシリンダーに試料(結晶)約10gを入れ、試料の容量が一定になるまでメスシリンダーを上下に振動させることにより行った。
【0061】
【表5】
【0062】
実施例1〜5および比較例1〜3について結晶の流動性試験を行うと、実施例1〜5で得られた結晶は、比較例1〜3で得られた結晶と比較して高い流動性を示す。
また、本発明の結晶のタップ密度は、比較例1、3および4で得られた結晶のタップ密度と比較して高い値を示す。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の化合物(I)またはその溶媒和物の新たな結晶は、従来の針状結晶と比較して嵩密度が高い。従って、結晶の濾過性、流動性、計量性が良好となり、工業的スケールでの作業性に優れ、式(II)の化合物の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1〜4で得た化合物(I)の立方体状の結晶(無溶媒和物)の代表的なX線回折パターンである。
【図2】比較例1および比較例3〜4で得た化合物(I)の針状結晶(無溶媒和物)の代表的なX線回折パターンである。
【図3】実施例1で得た化合物(I)の立方体状の結晶(1エタノール和物)のX線回折パターンである。
【図4】比較例1で得た化合物(I)の針状結晶(1エタノール和物)のX線回折パターンである。
【図5】比較例2で得た化合物(I)の結晶(針状結晶と立方体状の結晶の混合物)のX線回折パターンである。
【図6】実施例1で得た化合物(I)の立方体状の結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図7】実施例2で得た化合物(I)の立方体状の結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図8】実施例4で得た化合物(I)の立方体状の結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図9】比較例1で得た化合物(I)の針状結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図10】比較例2で得た化合物(I)の結晶(立方体状の結晶と針状結晶の混合物、無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図11】比較例3で得た化合物(I)の針状結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【図12】比較例4で得た化合物(I)の針状結晶(無溶媒和物)の結晶形状を示す写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶。
【請求項2】
無溶媒和物である、請求項1記載の結晶。
【請求項3】
Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に実質的に回折ピークを有しない、請求項2記載の結晶。
【請求項4】
融点が155℃〜157℃である、請求項2または3記載の結晶。
【請求項5】
1アルコール和物である、請求項1記載の結晶。
【請求項6】
1エタノール和物である、請求項1記載の結晶。
【請求項7】
Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを有する、請求項6記載の結晶。
【請求項8】
親水性有機溶媒と、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドと、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド1モルに対して0.4モル以下の水とを含んでなる溶液から、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドを晶析させる工程含む、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶の製造方法。
【請求項9】
溶液が、親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒をさらに含む、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
親水性有機溶媒が、アルコール類、脂肪族ケトン類、脂肪族ニトリル類、グリコール類、環状脂肪族エーテル類およびアミド類からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8または9記載の製造方法。
【請求項11】
親水性有機溶媒が、炭素数1〜3のアルコール類およびアセトンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8または9記載の製造方法。
【請求項12】
親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒が、芳香族炭化水素類から選択される少なくとも1種である、請求項9記載の製造方法。
【請求項13】
親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒がトルエンである、請求項9記載の製造方法。
【請求項14】
疎水性有機溶媒の含有量が、親水性有機溶媒1重量部に対し、0.2〜5重量部である、請求項9記載の製造方法。
【請求項15】
晶析した4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの1アルコール和物を固液分離により単離した後、減圧下で加熱乾燥して、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの無溶媒和物を得る工程をさらに含む、請求項8記載の製造方法。
【請求項16】
1アルコール和物が1エタノール和物である、請求項15記載の製造方法。
【請求項1】
Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが11.5°〜11.7°の範囲内および13.7°〜13.8°の範囲内に回折ピークを有する、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶。
【請求項2】
無溶媒和物である、請求項1記載の結晶。
【請求項3】
Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に実質的に回折ピークを有しない、請求項2記載の結晶。
【請求項4】
融点が155℃〜157℃である、請求項2または3記載の結晶。
【請求項5】
1アルコール和物である、請求項1記載の結晶。
【請求項6】
1エタノール和物である、請求項1記載の結晶。
【請求項7】
Cu−Kα波長のX線回折測定において、回折角2θが7.6°〜7.8°の範囲内に回折ピークを有する、請求項6記載の結晶。
【請求項8】
親水性有機溶媒と、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドと、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミド1モルに対して0.4モル以下の水とを含んでなる溶液から、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドを晶析させる工程含む、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドまたはその溶媒和物の結晶の製造方法。
【請求項9】
溶液が、親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒をさらに含む、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
親水性有機溶媒が、アルコール類、脂肪族ケトン類、脂肪族ニトリル類、グリコール類、環状脂肪族エーテル類およびアミド類からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8または9記載の製造方法。
【請求項11】
親水性有機溶媒が、炭素数1〜3のアルコール類およびアセトンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8または9記載の製造方法。
【請求項12】
親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒が、芳香族炭化水素類から選択される少なくとも1種である、請求項9記載の製造方法。
【請求項13】
親水性有機溶媒と混和可能な疎水性有機溶媒がトルエンである、請求項9記載の製造方法。
【請求項14】
疎水性有機溶媒の含有量が、親水性有機溶媒1重量部に対し、0.2〜5重量部である、請求項9記載の製造方法。
【請求項15】
晶析した4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの1アルコール和物を固液分離により単離した後、減圧下で加熱乾燥して、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔〔4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル〕メチル〕ベンズアミドの無溶媒和物を得る工程をさらに含む、請求項8記載の製造方法。
【請求項16】
1アルコール和物が1エタノール和物である、請求項15記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−225491(P2011−225491A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98087(P2010−98087)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
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