説明

ICパッケージ検査用ソケット

【課題】ICパッケージの検査のための交換の利便性を確保しつつ、外来の電磁波ノイズやICパッケージ自体が発生する電磁波ノイズをシールド可能とし、ひいては正確な検査を実現する。
【解決手段】ICパッケージを収容する収容凹部2を有し、その上方が開口61となっているソケット本体1と、この開口61を覆うようにソケット本体1に着脱又は開閉自在に取り付けられたソケットカバー20とを備え、ソケット本体1は、その外縁よりも内側で開口61の外側位置にある有底凹部63内に係合ピン70を有し、これに対してソケットカバー20の有するフック23が係合することでソケットカバー20が開口を閉じるようになっている。ソケット本体1は縁部を含む少なくとも一部が導電性で、ソケットカバー20は少なくとも一部が導電性であり、ソケットカバー20の閉じた状態で収容凹部2を囲む電磁波シールドが構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICパッケージ(半導体集積回路パッケージ)の検査に用いられるICパッケージ検査用ソケットに係り、とくに検査用基板(プリント基板)上に搭載して、検査対象のICパッケージの所望の特性検査を行う際に用いられるICパッケージ検査用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップやICパッケージの検査用ソケットとしては、下記特許文献1や特許文献2の構成が知られている。
【特許文献1】特開平9−64246号公報
【特許文献1】特開平10−208836号公報
【0003】
特許文献1のソケットは、検査対象の半導体チップを搭載するために開口された凹部を上面中央部に有するソケット本体と、ソケット本体の一辺に蝶番機構で取り付けられた蓋部とを備え、凹部底面には半導体チップの入出力電極パッドに接触して電気的接続をする複数の金属突起部が設けられており、蓋部の中央部にはこの蓋部を閉じたときに凹部に嵌合して半導体チップが所定位置からずれないように押し付ける緩衝部材が設けられている。
【0004】
また、特許文献1のようなソケットにおいて、ICパッケージの検査の間、蓋部を閉じておくために、係止部材を蓋部に設け、ソケット本体側に引っ掛ける機構が特許文献2で提案されている。
【0005】
ところで、上記特許文献1,2のソケット構造では、他の部品から発生される電磁波ノイズがICパッケージ内に侵入したり、ICパッケージから直接発生する電磁波ノイズが外部に漏洩することにより、正しい測定ができないという問題があった。
【0006】
一方、下記特許文献3のように、ICパッケージをプリント基板に実装するのに際して、ICパッケージをシールドして電磁波の漏洩又は侵入を防止する構造が提案されている。
【特許文献3】実開平6−48191号公報
【0007】
特許文献3はソケット3を下側シールドケースと上側シールドケースとでICパッケージを搭載したソケットを収容する構造であり、上側シールドケースのバネ片が下側シールドケースに押圧接触するようになっている。
【0008】
この特許文献3の構造は、ICパッケージの検査を目的とした機構ではなく、ICパッケージを交換できるとはいっても交換に手間が掛かると共に作業性が悪いという問題があった。仮に、ICパッケージの検査に使用した場合、検査用基板に対する電磁波ノイズの侵入や検査用基板からの電磁波ノイズの放射を抑制することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、特許文献1,2は電磁波シールドに対する配慮がなく、特許文献3はICパッケージを検査のために頻繁かつ迅速に交換する機構とはなっていない。
【0010】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、ICパッケージの検査のための交換の利便性を確保しつつ、外来の電磁波ノイズやICパッケージ自体が発生する電磁波ノイズをシールド可能とし、ひいては正確な検査を実現可能としたICパッケージ検査用ソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係るICパッケージ検査用ソケットは、ICパッケージを収容する収容凹部を有し、前記収容凹部の上方が開口となっているソケット本体と、
前記ソケット本体の前記開口を覆うように前記ソケット本体に着脱又は開閉自在に取り付けられたソケットカバーとを備え、
前記ソケット本体は、その外縁よりも内側で前記開口の外側位置にある有底凹部内に本体側係合部を有し、
前記本体側係合部に対して前記ソケットカバーの有するカバー側係合部が係合することで前記ソケットカバーが前記開口を閉じ、
前記ソケットカバーの閉じた状態で、前記ソケット本体は縁部が全周にわたって前記ソケットカバーの外縁よりも外側に延在し、
前記ソケット本体は前記縁部を含む少なくとも一部が導電性で、前記ソケットカバーは少なくとも一部が導電性であり、前記ソケットカバーの閉じた状態で前記収容凹部を囲む電磁波シールドが構成されている。
【0012】
第1の態様のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケット本体は、検査対象のICパッケージの電極に接触して電気的に接続するプローブを有するソケットベースと、前記ソケットベースとともに前記収容凹部を形成するガイド部と、前記ガイド部を囲むように前記ソケットベースに一体的に設けられるホルダ部とを有し、前記ソケットベース及びホルダ部は少なくとも表面が導電性であり、前記ソケット本体の前記縁部は前記ホルダ部で形成され、前記ホルダ部に前記本体側係合部が設けられていてもよい。
【0013】
第1の態様のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケットカバーは、一方の端部が蝶番機構を介して前記ソケット本体に対して開閉自在に取り付けられた押さえ板と、前記収容凹部に設けられるICパッケージを押さえるパッケージ押さえと、前記押さえ板の他方の端部に設けられた前記カバー側係合部としてのフックとを有し、前記押さえ板は少なくとも表面が導電性であり、前記押さえ板に前記パッケージ押さえが設けられていてもよい。
【0014】
第1の態様のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケットカバーは、押さえ板と、前記収容凹部に設けられるICパッケージを押さえるパッケージ押さえと、前記押さえ板の両方の端部に設けられた前記カバー側係合部としてのフックとを有していて、前記ソケット本体に対して着脱自在であり、前記押さえ板は少なくとも表面が導電性であり、前記押さえ板に前記パッケージ押さえが設けられていてもよい。
【0015】
また、前記本体側係合部は前記ソケット本体の上面に形成された前記有底凹部内を横断する配置の係合ピンを有し、前記フックの先端部が前記係合ピンと係合自在であってもよい。
【0016】
さらに、前記有底凹部の両側面には前記係合ピンの端部が嵌る支持溝が形成されており、前記係合ピンの両端は前記支持溝で支持されるとともに、前記係合ピンの上側は前記ソケット本体に固定されたピンカバーで押さえられていてもよい。
【0017】
第1の態様のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケット本体の縁部の取付面は、前記電磁波シールドが延長した導電性面となっており、前記取付面を取付カバーに当接させた状態で、前記ソケット本体は前記取付カバーを介して検査用基板に取り付けられており、前記取付カバーは前記取付面に対面する側の面が少なくとも導電性であってもよい。
【0018】
また、前記ソケット本体の縁部の前記取付面に第1のリング状凹部が形成され、前記第1のリング状凹部に第1の導電性リング状ガスケットが嵌入され、前記ソケット本体及び前記ソケットカバーの相互に対向する面の一方に、前記ソケットカバーが閉じた状態で前記収容凹部を囲むように第2のリング状凹部が形成され、前記第2のリング状凹部に第2の導電性リング状ガスケットが嵌入されていてもよい。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るICパッケージ検査用ソケットによれば、検査対象のICパッケージの交換の利便性を確保しつつICパッケージが収容される収容凹部を囲む電磁波シールドが構成されるようにしたので、ソケット内のICパッケージに外来の電磁波ノイズが侵入するのを防止できるとともに、ICパッケージから発せられる電磁波ノイズがソケット外部に漏洩することを防ぐことが可能となり、正確な検査を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0022】
図1乃至図4に示すように、ICパッケージ検査用ソケットは、検査対象のICパッケージを収容する収容凹部2を中央部に有し、その上方が開口61となっているソケット本体1と、ソケット本体1の開口61を覆うようにソケット本体1に蝶番機構10を介して開閉自在に取り付けられたソケットカバー20とを有し、ソケット本体1は取付カバー30を介して検査用基板40に取り付け固定されるようになっている。検査用基板40には、図示しないが、検査のための信号を処理するIC等が搭載されており、例えば外部の検査機器との間の中継機能を果たす電子回路等が構成されている。
【0023】
前記ソケット本体1は、図4に示されるように、検査対象のICパッケージの入出力電極パッドに接触して電気的に接続するプローブ3を有する金属製又は表面に導電性被膜を有する樹脂製のソケットベース4と、ソケットベース4とともに収容凹部2を形成する樹脂製ガイド部5と、ガイド部5を囲むようにソケットベース4に一体的に設けられる金属製又は表面に導電性被膜を有する樹脂製のホルダ部6とを有している。
【0024】
収容凹部2は図2の拡大部分にて示されるが、ガイド部5は、検査対象のICパッケージを所定位置からずれないように収容凹部2内に載置するための開口を有していて、ソケットベース4上にねじ止め固定されている。収容凹部2の底面、つまりICパッケージの載置面となるソケットベース4の領域に複数本(必要本数)のプローブ3がソケットベース4を貫通して配置されている。ここで、各プローブ3は、ICパッケージが電極パッド形成面を下向きにして収容凹部2に載置したときにICパッケージの入出力電極パッドに接触して電気的接続を行うようにICパッケージの載置面から僅かに突出する配置であり、各プローブ3相互間及びソケットベース4との間は通常相互に絶縁状態である(但し、必要に応じて、一部のプローブ3が他のプローブ3やソケットベース4と相互に接続されて同電位に設定されていてもよい)。プローブ3の下端は検査用基板40の所定導体パターンに接続される。
【0025】
ホルダ部6は、図5乃至図7に示すように、中央部にガイド部5が入る開口61を有し、ソケットベース4の上面にねじ62で固定されている。このホルダ部6はガイド5を囲む配置であり、開口61は収容凹部2の上方に位置する。
【0026】
ソケットカバー20は、一方の端部(一辺)が蝶番機構10を介してソケット本体1に対して開閉自在に取り付けられた押さえ板21と、収容凹部2に載置される検査対象のICパッケージを上から押さえるパッケージ押さえ22と、押さえ板21の他方の端部に設けられたカバー側係合部としてのフック23とを有している。
【0027】
押さえ板21は図8及び図9に示すような金属製又は表面に導電性被膜を有する樹脂製であり、押さえ板21の中央貫通穴24内に方形枠状ブロック25がシャフト26で揺動自在に取り付けられ、ブロック25の下面にパッケージ押さえ22がねじ27で固定されている。パッケージ押さえ22とブロック25の位置関係は、両者に嵌合する位置決めピン28で規定される。パッケージ押さえ22は収容凹部2に入り込む部分を下面に有し、また中央部に方形枠状ブロック25の内部空間に連通する放熱用貫通孔22aを有している。このパッケージ押さえ22は、ソケットカバー20を閉じたときにICパッケージの電極パッドをプローブ3上端に確実に接触させるように押し下げる。押さえ板21の中央貫通穴24の開口を塞ぐために、金属製又は表面に導電性被膜を有する樹脂製の塞ぎ板55がねじ56で固定されている。検査対象のICパッケージの放熱が必要な場合、塞ぎ板55を外して中央貫通穴24の開口を開放してもよい。
【0028】
ソケットカバー20をソケット本体1に取り付けるための蝶番機構10は、ソケット本体1のホルダ部6上面の一辺に沿って形成されたブラケット50と、押さえ板21の一方の端部とブラケット50とを貫通するシャフト51と、押さえ板21を開く方向に付勢するコイルスプリング52とを有している。コイルスプリング52はシャフト51の周囲に設けられており、ソケットカバー20が自重で倒れ込まないようにするために設けられている。
【0029】
カバー側係合部としてのフック23は、断面逆L字状で押さえ板21の他方の端部(反対側の一辺)に形成された段部21aに上辺部が入り込むようにシャフト57で回動自在に取り付けられ、図8のように段部21aに形成された有底穴部21bとフック23の上辺部との間にコイルスプリング56が配置されている。この結果、フック23の下端に形成された係合爪23aはソケットカバー20の内側方向に付勢されている(後述する係合ピン70への係合を維持する方向に付勢されている)。
【0030】
図1、図4乃至図7に示すように、カバー側係合部としてのフック23に対応する本体側係合部は、ホルダ部6の外縁よりも内側で開口61の外側位置にある有底凹部63内に配置された係合ピン70を有している。図6及び図7では係合ピン70の配置は二点鎖線で示される。すなわち、有底凹部63の両側面には図5乃至図7のように係合ピン70の端部が嵌る上下方向の支持溝(落とし込み溝)64が形成されており、係合ピン70の両端は支持溝64で支持されるとともに、係合ピン70の上側はホルダ部6にねじ75で固定されるピンカバー71で押さえられるようになっている。ここで、ホルダ部6上面にはピンカバー71を載置するために低くなっている段部65及び凸条66が形成され、ピンカバー71は段部65上に配置されるとともにピンカバー71の縁部の切欠72が凸条66に嵌合することで位置決めされ、この位置決め状態でピンカバー71はホルダ部6の貫通孔67を下から通したねじ75で固定される(ピンカバー71側のタップ穴にねじ75が螺着される)。なお、有底凹部63内面は導電性の面である。
【0031】
前記ソケットカバー20を押し下げてソケット本体1の開口61を閉じたときに、フック23の係合爪23aが係合ピン70に引っ掛かり、ソケットカバー20の閉じた状態を維持できる。
【0032】
図1及び図4、図8及び図9のように、押さえ板21の下面にはリング状凹部29が形成され、ここに導電性リング状ガスケット80が嵌入(圧入)されている。ここで、リング状凹部29はソケットカバー20が閉じた状態でソケット本体1の開口61を囲む配置である。従って、ソケットカバー20の閉じた状態で、導電性リング状ガスケット80がホルダ部6の導電性上面に押圧接触し、押さえ板21の導電性下面とホルダ部6の導電性上面との隙間を塞ぐことができる(電気的にシールドする)。
【0033】
ソケット本体1の縁部、つまりホルダ部6の縁部の上面(取付面)には、リング状凹部69が形成され、ここに導電性リング状ガスケット85が嵌入(圧入)されている。ここで、リング状凹部69はソケットカバー20が閉じられた状態において、その外側を周回する配置であり、リング状凹部69の内側位置に、係合ピン70が設けられた有底凹部63が配置されている。なお、ガスケット80,85は例えば導電性シリコーンゴム等である。
【0034】
取付カバー30は金属製又は表面に導電性被膜を有する樹脂製であり、内側が矩形に盛り上がっており、その盛り上がりの内側に開口31が形成されている。取付カバー30の盛り上がりは、その下側にホルダ部6を収容可能な大きさに形成されており、開口31は、その周縁部がホルダ部6の縁部に重なり合う大きさである。
【0035】
そして、取付カバー30の盛り上がりの下側にホルダ部6の縁部が重ねられてねじ32で固定され、取付カバー30の取付縁部がねじ33で検査用基板40に固定される。このとき、取付カバー30は検査用基板40のグランド面に電気的に接続されることになる。ここで、ホルダ部6の導電性の縁部上面(取付面)と取付カバー30の導電性下面とが当接(対面)し、導電性リング状ガスケット85が取付カバー30の導電性下面に押圧接触し、ホルダ部6の導電性の縁部上面(取付面)と取付カバー30の導電性下面との隙間を塞ぐことができる(電気的にシールドできる)。
【0036】
上記実施の形態において、ICパッケージを検査する場合、フック23の下端の係合爪23aと係合ピン70との係合を外してソケットカバー20を開き、ソケット本体1の開口61からICパッケージを収容凹部2内に載置する。
【0037】
ソケットカバー20を閉じると、パッケージ押さえ22によってICパッケージは収容凹部2底面のプローブ3に押し付けられた状態になり、ICパッケージの入出力電極パッドとプローブ3とが電気的に接続された状態となる。このパッケージ押さえ22の閉じた状態はフック23の係合爪23aが係合ピン70と係合することで保持(ロック)される。これにより、ICパッケージの電気的特性をプローブ3及び検査用基板40を介して外部の検査機器で試験することができる。
【0038】
ソケットカバー20の閉じた状態では、押さえ板21側の導電性リング状ガスケット80がホルダ部6の導電性上面に押圧接触し、押さえ板21の導電性下面とホルダ部6の導電性上面との隙間を塞ぎ、ソケットベース4、ホルダ部6及び押さえ板21の導電性面により収容凹部2を囲む電気的なシールド構造(電磁波シールド構造)が構成される。また、前記収容凹部2を囲む電磁波シールドが延長した導電性面となっているホルダ部6の導電性の縁部上面と取付カバー30の導電性下面との隙間を導電性リング状ガスケット85が塞いでいるから、検査用基板40を覆う広い面積の電磁波シールド面が構成されることになる。
【0039】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0040】
(1) ソケット本体1に対してソケットカバー20を閉じた状態では、ソケット本体1の導電性の面とソケットカバー20の導電性の面と、両者間の隙間を塞ぐ導電性リング状ガスケット80で収容凹部2を囲む電磁波シールドが構成されるので、外来の電磁波ノイズが収容凹部2内のICパッケージに侵入することを防止でき、またICパッケージの発生する電磁波ノイズが検査用基板40等に侵入することを防止できる。
【0041】
(2) ソケット本体1に設けられた本体側係合部は、ソケット本体1の外縁よりも内側で開口61の外側位置にある有底凹部63に係合ピン70を設けた構成であり、ソケットカバー20が閉じた状態において、ソケット本体1の縁部、つまりホルダ部6の縁部全周をソケットカバー20の外側に延在させた構造としている。このため、ホルダ部6の縁部全周を取付カバー30に重ねて取り付けることができる。そして、ホルダ部6の導電性の縁部上面と、取付カバー30の導電性下面との隙間を導電性リング状ガスケット85で塞ぐことで、ホルダ部6と取付カバー30間の電磁波漏洩を確実に防止でき、ひいては、ソケット本体1と取付カバー30による広い面積の電気的なシールド面(電磁波シールド面)を構成でき、これが検査用基板40上面をシールドして、外来の電磁波ノイズが検査用基板40に侵入することを防止でき、また検査用基板40上の他のICや電子回路から外部への電磁波ノイズの放射が防止できる。
【0042】
(3) ソケットカバー20に設けられたカバー側係合部としてのフック23が、ソケット本体1のホルダ部6に設けられた本体側係合部の係合ピン70に係合することにより、ソケットカバー20の閉じた状態を保持できる。係合ピン70の配設された有底凹部63は導電性の面で形成されているから(ホルダ部6の全体又は表面が導電性であるため)、本体側係合部を通しての電磁波漏洩を防止できる。このため、検査のためのICパッケージの交換の利便性を確保しつつ電磁波シールドの効果を上げることができる。なお、係合ピン70はフック23の係合、係合解除に際して自転できるため、摩耗が少なく長寿命でもある。また、仮に係合ピン70が摩耗しても、ピンカバー71を外すことで容易に新しいピンと交換することができる。
【0043】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素には請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0044】
上記実施の形態では、ソケットカバー20の一端部に蝶番機構、それと反対側の端部にフックを設けて、ソケットカバー20をソケット本体1に対して開閉自在に設けたが、ソケットカバーの両端部にカバー側係合部となるフックを設け、ソケット本体側に各フックに対応した本体側係合部を設けるようにして、ソケットカバーをソケット本体に対して着脱自在な構成としてもよい。例えば、図4の断面図において、ソケットカバー20の両側にフック23を設け、これに対応して有底凹部63及び係合ピン70を設けた左右対称構造に変更してもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、ソケットカバー20を閉じたときの、ソケット本体1とソケットカバー20間の隙間を塞ぐ導電性リング状ガスケット80はソケットカバー20側に配置されたが、ソケット本体1側に配置する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るICパッケージ検査用ソケットの実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同じくソケットカバーの開いた状態の斜視図である。
【図3】同じくソケットカバーの閉じた状態の斜視図である。
【図4】同じくソケットカバーの閉じた状態の正断面図である。
【図5】実施の形態において、係合ピンの取付詳細を示す部分斜視図である。
【図6】実施の形態で用いるホルダ部の平面図である。
【図7】実施の形態で用いるホルダ部の正断面図である。
【図8】実施の形態で用いる押さえ板の正断面図である。
【図9】実施の形態で用いる押さえ板の底面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ソケット本体
2 収容凹部
3 プローブ
4 ソケットベース
5 ガイド部
6 ホルダ部
10 蝶番機構
20 ソケットカバー
21 押さえ板
29,69 リング状凹部
22 パッケージ押さえ
23 フック
30 取付カバー
40 検査用基板
61 開口
63 有底凹部
64 支持溝
70 係合ピン
71 ピンカバー
80,85 導電性リング状ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICパッケージを収容する収容凹部を有し、前記収容凹部の上方が開口となっているソケット本体と、
前記ソケット本体の前記開口を覆うように前記ソケット本体に着脱又は開閉自在に取り付けられたソケットカバーとを備え、
前記ソケット本体は、その外縁よりも内側で前記開口の外側位置にある有底凹部内に本体側係合部を有し、
前記本体側係合部に対して前記ソケットカバーの有するカバー側係合部が係合することで前記ソケットカバーが前記開口を閉じ、
前記ソケットカバーの閉じた状態で、前記ソケット本体は縁部が全周にわたって前記ソケットカバーの外縁よりも外側に延在し、
前記ソケット本体は前記縁部を含む少なくとも一部が導電性で、前記ソケットカバーは少なくとも一部が導電性であり、前記ソケットカバーの閉じた状態で前記収容凹部を囲む電磁波シールドが構成される、ICパッケージ検査用ソケット。
【請求項2】
請求項1に記載のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケット本体は、
検査対象のICパッケージの電極に接触して電気的に接続するプローブを有するソケットベースと、
前記ソケットベースとともに前記収容凹部を形成するガイド部と、
前記ガイド部を囲むように前記ソケットベースに一体的に設けられるホルダ部とを有し、
前記ソケットベース及びホルダ部は少なくとも表面が導電性であり、前記ソケット本体の前記縁部は前記ホルダ部で形成され、前記ホルダ部に前記本体側係合部が設けられている、ICパッケージ検査用ソケット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケットカバーは、
一方の端部が蝶番機構を介して前記ソケット本体に対して開閉自在に取り付けられた押さえ板と、前記収容凹部に設けられるICパッケージを押さえるパッケージ押さえと、前記押さえ板の他方の端部に設けられた前記カバー側係合部としてのフックとを有し、
前記押さえ板は少なくとも表面が導電性であり、前記押さえ板に前記パッケージ押さえが設けられている、ICパッケージ検査用ソケット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケットカバーは、
押さえ板と、前記収容凹部に設けられるICパッケージを押さえるパッケージ押さえと、前記押さえ板の両方の端部に設けられた前記カバー側係合部としてのフックとを有していて、前記ソケット本体に対して着脱自在であり、
前記押さえ板は少なくとも表面が導電性であり、前記押さえ板に前記パッケージ押さえが設けられている、ICパッケージ検査用ソケット。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記本体側係合部は前記ソケット本体の上面に形成された前記有底凹部内を横断する配置の係合ピンを有し、前記フックの先端部が前記係合ピンと係合自在である、ICパッケージ検査用ソケット。
【請求項6】
請求項5に記載のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記有底凹部の両側面には前記係合ピンの端部が嵌る支持溝が形成されており、前記係合ピンの両端は前記支持溝で支持されるとともに、前記係合ピンの上側は前記ソケット本体に固定されたピンカバーで押さえられている、ICパッケージ検査用ソケット。
【請求項7】
請求項1,2,3,4,5又は6に記載のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケット本体の縁部の取付面は、前記電磁波シールドが延長した導電性面となっており、前記取付面を取付カバーに当接させた状態で、前記ソケット本体は前記取付カバーを介して検査用基板に取り付けられており、前記取付カバーは前記取付面に対面する側の面が少なくとも導電性である、ICパッケージ検査用ソケット。
【請求項8】
請求項7に記載のICパッケージ検査用ソケットにおいて、前記ソケット本体の縁部の前記取付面に第1のリング状凹部が形成され、前記第1のリング状凹部に第1の導電性リング状ガスケットが嵌入され、
前記ソケット本体及び前記ソケットカバーの相互に対向する面の一方に、前記ソケットカバーが閉じた状態で前記ソケット本体の開口を囲むように第2のリング状凹部が形成され、前記第2のリング状凹部に第2の導電性リング状ガスケットが嵌入されている、ICパッケージ検査用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−3511(P2010−3511A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160482(P2008−160482)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】