説明

LEDアレイ回路

【課題】消耗電力が低減され、逆方向電圧からLEDを保護することができるLEDアレイ回路を提供する。
【解決手段】本LEDアレイ回路は、第1LED101とそれに並列連結された第2LED102から構成されたLED対と;上記LED対に交流電圧を供給する交流電源100を含み、上記第1LED101は上記第2LED102と互いに反対方向で連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDアレイ回路(LED array circuit)に関するもので、特に、LCDバックライト(back light)光源に使用することができるLEDアレイ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代LCDのバックライト光源として、蛍光灯の代わりにLEDを利用する方案(方法)が注目を浴びている。LEDは冷陰極蛍光ランプ(cold cathode fluorescent lamp;CCFL)に比して応答速度が速いだけではなく、色再現性が良くて、別付けのインバータを要しない。従って、多数のLEDをLCDのバックライト光源に使用すれば、外部回路を単純化させることが可能であり、早い応答速度を実現することが可能となる。
【0003】
このようなLEDを使用して既存の冷陰極蛍光ランプの明るさを得るためには、多数のLEDを必要とするが、多数のLEDを同時に動作させることにより、多量の電力が要求される。特に、直流電源に連結された多数のLEDを互いに直列に連結することにより、多数のLEDに同時に順方向電流を通過させる。これによって、直流電源に連結された多数のLEDは非常に大きい電力消耗を発生させる。
【0004】
図1は、LCDバックライト光源に使用される従来のLEDアレイ回路を概略的に示す回路図である。図1を参照すれば、従来のLCDバックライト光源用LEDアレイ回路は直流電源10を使用する。なお、従来のLCDバックライト光源用LEDアレイ回路内には多数のLED(11、12)が互いに直列に連結されている。特に、LED(11、12)は一種のダイオード(diode)として、電流の方向を選択的に取り込むので、直流電圧印加の際、順方向に電流が流れるよう互いに同一な方法で連結されている。
【0005】
図1に示す従来のLEDアレイ回路に直流電源を連結してLEDアレイにVtotalの全体直流電圧を印加する場合、LEDアレイによって消耗される電力(P’)は、次の[数1]の式のように表される。この場合、LEDアレイ内にはLEDによって自己抵抗以外に別の抵抗はなく、各LEDにかかる電圧は互いに同一であると仮定する。
【0006】
[数1]
P’= I×Vtotal=I×(V+V)=2×I×V
(ここで、V=V=V)
上記[数1]の式において、IはLED(11、12)を通して流れる電流を表し、VはLED11にかかる電圧を表し、VはLED12にかかる電圧を表し、V=V=Vである。従来のLCDバックライト光源用LEDアレイ回路を利用してより大きい輝度や照度を得るためには、より多数のLEDを直列に連結させなければならない。それによって、消耗電力もより大きくなる。
【0007】
また、図1に示す従来のLEDアレイ回路によれば、全てのLED(11、12)は順方向電流が流れるよう同一な方向で連結されている。そのため、LEDアレイに瞬間的に大きい逆方向電圧(例えば、逆方向ESD電圧)が印加される場合、LED(11、12)が損傷され得る。特に、近年青色発光素子として注目を浴びているGaN系LEDは、逆方向ESD(静電気放電;Electrostatic Discharge)電圧に対する耐性が脆弱なため、人体の接触などによる逆方向ESD電圧発生の際、GaN系LEDが損傷されやすい。
【0008】
逆方向ESD電圧によるLEDの損傷を抑制するため、下記特許文献1は、LEDとショットキーダイオードを並列に連結させESDから発光素子を保護する技術を開示している。しかし、特許文献1によれば、別個のショットキーダイオードを形成することにより、製造工程が複雑になり、LEDアレイをLCDバックライト光源に使用する場合に発生される消耗電力を下げる方案(方法)については全く開示されていない。
【特許文献1】米国登録特許第6、593、597号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記した問題点を解決するためのもので、本発明の目的は低減された消耗電力を有するLEDアレイ回路を提供することである。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、瞬間的な逆方向電圧によるLEDの損傷を防止することが可能であるLEDアレイ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した技術的課題を成し遂げるために、LEDアレイ回路は、第1LEDとそれに並列連結された第2LEDから構成されたLED対と; 上記LED対に交流電圧を供給する交流電源を含み、上記第1LEDは上記第2LEDと互いに反対方向に連結されている。上記交流電源が供給する交流電圧によって、上記第1LED及び第2LEDは交互に動作するようになる。このように、互いに反対方向に並列連結されたLEDらから構成されたLED対を利用することにより、LEDアレイ回路動作の際、消耗電力を従来に比して低減させることができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、上記LEDアレイ回路は、上記LED対を複数個含み、上記複数個のLED対は互いに直列に連結されている。このように、複数のLED対を直列に連結することにより、より大きい輝度や照度のLEDアレイ回路を実現することができる。
【0013】
本発明の一側面によれば、LEDアレイ回路は、それぞれp側電極とn側電極を具備する第1LED及び第2LEDと;上記第1及び第2LEDに交流電圧を供給する交流電源を含み、上記第1LEDのp側電極は上記第2LEDのn側電極と連結され、第1LEDのn側電極は上記第2LEDのp側電極と連結される。さらに、上記交流電源の一端子は上記第1LEDのp側電極及び上記第2LEDのn側電極に連結され、上記交流電源の他端子は上記第1LEDのn側電極及び上記第2LEDのp側電極に連結され得る。
【0014】
本発明は、交流電源を利用するLEDアレイ回路を提供する。LEDアレイ回路内には互いに反対方向で並列に連結された第1LED及び第2LEDからなるLED対が少なくとも一つ含まれている。本発明によれば、LEDアレイによる消耗電力が低減されるだけではなく、逆方向ESDのような瞬間的な逆方向電圧からLED素子を效果的に保護することができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、互いに反対方向で並列に連結された第1LEDと第2LEDからなるLED対を具備することにより、従来に比してLCDバックライト用LEDアレイ回路の消耗電力を大きく節約することができる。
【0016】
さらに、逆方向ESD電圧のような瞬間的に発生される高い逆方向電圧からLED素子を效果的に保護することができるので、LEDアレイの損傷を防いでLEDアレイ回路の寿命を著しく向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるのである。従って、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張され得、図面上の同一な符号で表示される要素は同一な要素である。
【0018】
図2a及び図2bは、本発明の一実施形態によるLEDアレイ回路を概略的に示す回路図である。図2aと図2bは同一なLEDアレイ回路を表すもので、図2aは第1LED(101)に順方向電流が流れる場合に該当し、図2bは第2LED(102)に順方向電流が流れる場合に該当する。
【0019】
図2a及び図2bに示すように、本実施形態によるLEDアレイ回路は、互いに並列に連結された第1LED101と第2LED102からなるLED対を含む。並列連結された第1LED101と第2LED102は互いに反対方向に連結されている。すなわち、第1LED101は、第2LED102に対して極性が反対になるように連結されている。LEDアレイ回路は、従来の直流電源(図1の図面符号10参照)の代りに交流電源100を使用する。この交流電源100の各端子は図2aに示すように互いに並列連結された第1LED101と第2LED102に連結されて、LED対に交流電圧を供給する。
【0020】
図4に示す断面図を参照して上記第1LED101と第2LED102の連結構造を具体的に説明すれば、次のようである。図4に示すように、基板(51、61)、n型クラッド層(52、62)、活性層(53、63)、p型クラッド層(54、64)、透明電極(55、65)、p側電極(57、67)及びn側電極(56、66)をそれぞれ具備する第1LED101と第2LED102は、反対極性を有する電極同士で互いに連結されている。すなわち、第1LED101のp側電極57は第2LED102のn側電極66と連結され、第1LED101のn側電極56は第2LED102のp側電極67と連結されている。それにより、第1LED101と第2LED102は互いに反対方向に並列連結される。なお、交流電源100の一端子は第1LED101のp側電極57と第2LED102のn側電極66に連結され、交流電源100の他端子は第1LED101のn側電極56と第2LED102のp側電極67に連結されている。
【0021】
図2a及び図2bを参照して本実施形態によるLEDアレイ回路の動作を説明すれば、次のようである。先ず、図2aに示すように、交流電源100によって第1LED101に順方向電圧が印加されると、第1LED101を通して電流(i)が流れるようになり第1LED101は発光するようになる。この際、第2LED102には逆方向電圧が印加されるため、第2LED102を通しては電流が殆ど流れなくなる(i=0)。
【0022】
次に、図2bに示すように素早く極性が変わる交流電源100によって、第2LED102に順方向電圧が印加されると、第2LED102を通して電流(i)が流れるようになり第2LED102は発光するようになる。この際、第1LED101には逆方向電圧が印加されるため、第1LED101を通しては電流が殆ど流れなくなる(i=0)。このように極性が変わる交流電源100によって各LED(101、102)が交互に動作するようになるが、この際、消耗される電力(P)は下記[数2]、[数3]の式のように計算される。この場合、それぞれのLED(101、102)に流れる順方向電流(i、i)は同一であり、それぞれのLED(101、102)に印加される電圧を‘v'と仮定する。
【0023】
[数2]
P=v×i=v×i=v×i(ここで、i=i=i)
ところが、交流はピーク(peak)値ではなくRMS(Root Mean Square)値を実効値(Effective Value)で使用するので、消耗電力(P)は下記のように表されることができる。
【0024】
[数3]
P=v×i=vrms×irms=1/2×vpeak×ipeak
本実施形態によるLEDアレイの消耗電力(P)を従来のLEDアレイ(図1参照)の消耗電力(P')と比べると、次のようである。但し、二つの消耗電力(P、P')の比較のために、それぞれのLEDにかかる電圧(または電圧のピーク値)は互いに同一であり、それぞれのLEDを通して流れる電流(または電流のピーク値)も同一であると仮定する。このような仮定によって、V=V=Vpeak =Vで、I=ipeakが成立する。[数3]と[数1]の各式から次のような[数4]と[数5]の各式を得るようになる。ここで、V及びVはそれぞれ図1のLED11及びLED12にかかる電圧を表し、Iは図1のLED(11、12)に流れる電流を表す。
【0025】
[数4]
P=1/2×V×I
[数5]
P'=2×V×I
すなわち、図1に示す従来のLEDアレイ回路と比べると、本実施形態によるLEDアレイ回路の消耗電力は、従来消耗電力の1/4倍程度になる。従って、本実施形態によれば、LEDアレイ回路の消耗電力を大きく節約することが可能となる。
【0026】
図3は、本発明の他の実施形態によるLEDアレイ回路を概略的に示す回路図である。図3を参照すれば、図2a及び図2bに示されたLED対(図2aの図面符号101及び102参照)が複数個配置されている。すなわち、互いに反対方向に並列連結された第1LED(101、201、...n01)と第2LED(102、202、...n02)からなるLED対が複数個存在し、この複数個のLED対は互いに直列に連結されている。このように、複数個のLED対を直列で連結させることにより、より大きい輝度のLEDアレイ回路を得ることができるようになる。例えば、図3に示すようにn個のLED対を直列で連結させることにより、図2a及び図2bに示すLEDアレイ回路に比してn倍の輝度や照度を得ることが可能となる。
【0027】
図2a、図2b及び図3に示すLEDアレイ回路によれば、従来に比して消耗電力を低減させ得るだけでなく、逆方向ESD電圧のような瞬間的に発生される大きい逆方向電圧からLEDを保護することが可能となる。すなわち、従来方式のLEDアレイ回路では、全てのLEDが同一な方向のみで配置されることにより、瞬間的な逆方向電圧印加の際、LEDが損傷される問題が生じる。しかし、各本実施形態のように互いに反対方向に第1LED101と第2LED102を並列連結させれば、どの方向にESD電圧が発生しようが構わず、順方向電圧がかかるLEDを通してESD電圧を容易に放電させることができるようになる。従って、ESD電圧によるLEDの損傷を效果的に防止することができるようになる。
【0028】
本発明は上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された請求範囲によって定められる。なお、本発明は請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で多様な形態の置換、変形及び変更が可能であるということは当技術分野の通常の知識を有する者に自明である。上記連結という用語は接続の意味で扱うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来のLCDバックライト用LEDアレイ回路を概略的に示す回路図である。
【図2a】本発明の一実施形態によるLEDアレイ回路を概略的に示す回路図である。
【図2b】本発明の一実施形態によるLEDアレイ回路を概略的に示す回路図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるLEDアレイ回路を概略的に示す回路図である。
【図4】本発明の一実施形態による並列連結された2つのLEDアレイを概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
101、102 LED 100 交流電源
51、61 基板 52、62 n型クラッド層
53、63 活性層 54、64 p型クラッド層
55、65 透明電極 56、66 n側電極
57、67 p側電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1LEDとそれに並列連結された第2LEDから構成されたLED対;及び
上記LED対に交流電圧を供給する交流電源を含み、
上記第1LEDは上記第2LEDと互いに反対方向に連結されていることを特徴とするLEDアレイ回路。
【請求項2】
上記第1LED及び第2LEDは、上記交流電源が供給する交流電圧によって交互に動作することを特徴とする請求項1に記載のLEDアレイ回路。
【請求項3】
上記LEDアレイ回路は、上記LED対を複数個含み、
上記複数個のLED対は互いに直列に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のLEDアレイ回路。
【請求項4】
それぞれp側電極とn側電極を具備する第1LEDと第2LED;及び
上記第1LED及び第2LEDに交流電圧を供給する交流電源を含み、
上記第1LEDのp側電極は上記第2LEDのn側電極と連結され、上記第1LEDのn側電極は上記第2LEDのp側電極と連結されることを特徴とするLEDアレイ回路。
【請求項5】
上記交流電源の一端子は上記第1LEDのp側電極及び第2LEDのn側電極に連結され、上記交流電源の他端子は上記第1LEDのn側電極及び上記第2LEDのp側電極に連結されることを特徴とする請求項4に記載のLEDアレイ回路。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−203182(P2006−203182A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365085(P2005−365085)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】