説明

LED点灯装置

【課題】騒音の発生や制御の複雑化を抑制しつつ、放熱効率を確保した電球形LEDランプを提供する。
【解決手段】空冷ファン42の起動時の回転方向と空冷ファン42の駆動中の回転速度とを所定条件に応じて駆動回路25が変化させる。空冷ファン42の駆動中にその回転方向を変える従来の制御などと比較して、騒音の発生や制御の複雑化を抑制しつつ、放熱効率を確保できる。所定条件に応じて空冷ファン42の回転速度を変化させることで、必要時にのみ空冷ファン42を回転駆動させることができるので、消費電力を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空冷ファンを備えたLED点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電球の代替として用いられるこの種のLED点灯装置としてのLED電球は、発光素子である複数のLEDを一主面側に実装した金属製のメタルベース基板を覆ってグローブが取り付けられ、メタルベース基板の背面側に放熱体が取り付けられ、メタルベース基板と放熱体とを覆って口金が取り付けられ、かつ、この口金と放熱体との間に、LEDを点灯させるための点灯回路を備えた点灯回路基板が収納されて構成されている。そして、LEDの発熱を放熱体により放熱することで、LEDの安定した点灯と長寿命化とを図っている。そして、近年、LED電球の小型化に伴い、LEDなどの高温部品の放熱をより効率化するために、空冷ファンを取り付けて強制的に放熱する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、空冷ファンを一定方向にのみ回転させていると、所定の位置に埃が溜まって装置に好ましくない影響を与えるおそれがある。このため、空冷ファンの回転方向を定期的に逆転させ、埃を吹き飛ばすことなどにより、放熱効率を確保した構成が知られている(例えば、特許文献2および3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−198478号公報(第5−7頁、図3)
【特許文献2】実開平7−11718号公報(第5−7頁、図1)
【特許文献3】特開平6−4980号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献2に記載された構成では、空冷ファンの逆転によって埃を吹き飛ばすだけの構成に過ぎず、空冷ファンの逆転時の放熱効率について考慮されていないため、充分な放熱効率を得ることができないおそれがある。
【0006】
また、上述の特許文献3に記載された構成では、空冷ファンの正転および逆転によって放熱効率を向上できる一方で、空冷ファンの駆動中にこの空冷ファンを逆転させることで、騒音が発生するおそれがあるだけでなく、頻繁に空冷ファンを逆転させるので、制御が複雑化するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、騒音の発生や制御の複雑化を抑制しつつ、放熱効率を確保したLED点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のLED点灯装置は、LEDと;LEDを点灯する点灯手段と;LEDの放熱用の正転逆転可能な空冷ファンと;空冷ファンの回転駆動を制御し、空冷ファンの起動時の回転方向と空冷ファンの回転速度との少なくともいずれかを所定条件に応じて変化させるファン制御手段と;を具備しているものである。
【0009】
点灯手段は、例えば、降圧レギュレータ回路などを用いてLED電流を制御するものである。
【0010】
空冷ファンは、例えば、モータなどにより回転駆動させる軸流ファンが用いられる。
【0011】
空冷ファンの回転速度の変化とは、空冷ファンの回転の停止を含むものとする。
【0012】
所定条件としては、例えば、装置の起動時などのLEDの温度が低いとき、あるいはLEDが点灯して温度が高くなったときなどとする。
【0013】
請求項2記載のLED点灯装置は、請求項1記載のLED点灯装置において、LEDの温度を監視する温度センサを具備し、ファン制御手段は、温度センサの検出温度に応じて空冷ファンの回転速度を変化させるものである。
【0014】
温度センサは、LEDの温度を直接的に検出してもよく、このLEDの周囲温度などを介してLEDの温度を間接的に検出してもよい。
【0015】
温度センサの検出温度に応じて空冷ファンの回転速度を変化させるとは、例えば、温度センサの検出温度の高低に対応して、空冷ファンの回転速度を増減させることをいう。
【0016】
請求項3記載のLED点灯装置は、請求項2記載のLED点灯装置において、ファン制御手段は、温度センサの検出温度に応じて空冷ファンの回転の有無を切り換えるものである。
【0017】
温度センサの検出温度に応じて空冷ファンの回転の有無を切り換えるとは、例えば、温度センサの検出温度が低いときに空冷ファンの回転を停止させることをいう。
【0018】
請求項4記載のLED点灯装置は、請求項2または3記載のLED点灯装置において、ファン制御手段は、空冷ファンのいずれかの起動時に、この空冷ファンの回転方向を切り換えるものである。
【0019】
空冷ファンのいずれかの起動時に空冷ファンの回転方向を切り換えるとは、例えば、空冷ファンを、起動時ごと、あるいは、数回の起動時に1回などに反転させることなどをいう。
【0020】
請求項5記載のLED点灯装置は、請求項1記載のLED点灯装置において、電源投入時の電源極性を検出する極性検出手段を具備し、ファン制御手段は、極性検出手段により検出した電源極性に対応した方向へと空冷ファンを起動させるものである。
【0021】
電源としては、交流電源が用いられる。
【0022】
極性検出手段は、例えば、コンパレータおよびラッチ回路などにより構成されている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載のLED点灯装置によれば、空冷ファンの起動時の回転方向と空冷ファンの回転速度との少なくともいずれかを所定条件に応じてファン制御手段が変化させることにより、騒音の発生や制御の複雑化を抑制しつつ、放熱効率を確保できる。
【0024】
請求項2記載のLED点灯装置によれば、請求項1記載のLED点灯装置の効果に加えて、ファン制御手段が、温度センサの検出温度に応じて空冷ファンの回転速度を変化させることにより、例えば周囲温度が低いときなどに空冷ファンの回転数を抑制することが可能となり、消費電力を抑制できる。
【0025】
請求項3記載のLED点灯装置によれば、請求項2記載のLED点灯装置の効果に加えて、ファン制御手段が、温度センサの検出温度に応じて空冷ファンの回転の有無を切り換えることにより、例えば起動直後などの温度が低いときに空冷ファンを停止させることが可能となり、消費電力をより抑制できる。
【0026】
請求項4記載のLED点灯装置によれば、請求項2または3記載のLED点灯装置の効果に加えて、ファン制御手段が、空冷ファンのいずれかの起動時に、この空冷ファンの回転方向を反転させることにより、空冷ファンの起動時にこの空冷ファンの回転方向を正転方向としたり逆転方向としたりできるので、放熱効果を確保しつつ埃の溜まりを防止できる。
【0027】
請求項5記載のLED点灯装置によれば、請求項1記載のLED点灯装置の効果に加えて、ファン制御手段は、極性検出手段により検出した電源極性に対応した方向へと空冷ファンを起動させることにより、空冷ファンの起動時にこの空冷ファンの回転方向をほぼ1/2の確率で正転方向としたり逆転方向としたりできるので、放熱効果を確保しつつ簡単な構成により埃の溜まりを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すLED点灯装置の回路図である。
【図2】同上LED点灯装置の縦断面図である。
【図3】同上LED点灯装置の外観図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示すLED点灯装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0030】
図1ないし図3に第1の実施の形態を示し、図1はLED点灯装置の回路図、図2はLED点灯装置の縦断面図、図3はLED点灯装置の外観図である。
【0031】
図2および図3において、11はLED点灯装置としての電球形ランプである電球形LEDランプを示し、この電球形LEDランプ11は、基板部であるLED基板部12が伝熱材である放熱体13の一端側に取り付けられ、この放熱体13の他端側に設けられた収納部14内に、空冷手段15が収納され、この放熱体13が空冷手段15とともに中空な略円筒状の本体ケース16内に配置され、本体ケース16の一端側に、LED基板部12を覆ってグローブ17が取り付けられ、かつ、本体ケース16の他端側に、点灯回路基板部18を収容した収容ケース19が取り付けられ、この収容ケース19に口金20が取り付けられて構成されている。そして、この電球形LEDランプ11は、いわゆるミニクリプトン電球と同等の全長を有している。
【0032】
LED基板部12は、平面視円形状の基板であるLED基板23と、このLED基板23の一主面23a側に実装された複数の発光素子であるLED24および空冷手段15の駆動用のファン制御手段としての駆動回路25とを有している。
【0033】
LED基板23は、例えば放熱性が良好なアルミニウムなどの金属材料、あるいは絶縁材料などにより形成されたメタルベース基板であり、他主面23bが放熱体13に接触して熱的に接続されている。
【0034】
LED24は、例えば青色の光を発する図示しないベアチップと、このベアチップを覆うシリコーン樹脂などにより形成された図示しない樹脂部とを備え、この樹脂部内に、ベアチップが発する青色光の一部により励起されて青色の補色である黄色の光を主として放射する図示しない蛍光体が混入されており、各LED24が白色系の照明光を得られるように構成されている。
【0035】
駆動回路25は、空冷手段15に対して直流電源を供給するための回路である。
【0036】
また、放熱体13は、複数の放熱フィン31の一端部(上端部)が、平面視で略円形状の連結部32によって連結され、放熱フィン31の内方に収納部14が区画されている。そして、この放熱体13は、例えば熱伝導性が良好なアルミニウムなどの金属材料、あるいは樹脂材料などにより成形されている。
【0037】
放熱フィン31は、連結部32の外周寄りの位置にそれぞれ形成され、放熱体13の周方向に互いに略等間隔で形成されている。したがって、これら放熱フィン31の間には、収納部14と連通する通気部33がそれぞれ形成されている。
【0038】
連結部32は、上面が平坦状に形成された基板取付面34となっており、この基板取付面34が、LED基板23の他主面23bに面状に密着して熱的に接続されている。
【0039】
また、空冷手段15は、モータ41と、このモータ41により回転駆動される空冷ファン42とがユニット化されて構成されている。
【0040】
モータ41は、駆動回路25から供給される電力によって回転方向および回転速度が制御されるもので、回転軸52の一端52a側に空冷ファン42が接続され、回転軸52の他端52b側が、放熱体13の取付孔部37に圧入された略円筒状の軸受部55に挿入されて回転可能に支持され、空冷ファン42を正転および逆転させることが可能となっている。
【0041】
また、空冷ファン42は、例えば軸流ファンであり、モータ41の回転軸52と接続される略円筒状のファン中心部61と、このファン中心部61から径方向に突出した複数の羽根部62とを有している。そして、羽根部62は、周方向に複数形成されており、回転により上下方向、すなわち空冷ファン42の軸方向に沿って空気を流すように構成されている。なお、この空冷ファン42は、正転時および逆転時のいずれの場合でも、その流量が変化しない、すなわちLED24の放熱効果が変わらないように構成されている。
【0042】
また、本体ケース16は、放熱性が良好な部材により形成されている。さらに、この本体ケース16の軸方向(上下方向)の両端の略中心位置には、放熱体13を下側から支持する支持部71が中心軸側に突出して形成されている。また、この本体ケース16の外周面には、一端16a側の位置に、通気部33に連通する複数の第1開口部としての第1吸排気口である下部開口部73が支持部71に隣接して周方向に互いに離間されて開口形成されている。さらに、この本体ケース16の他端16bの外周面には、通気部33に連通する複数の第2開口部としての第2吸排気口である上部開口部74が周方向に互いに離間されて形成されている。そして、本体ケース16の他端16bの内周側には、グローブ17を取り付けるための取付凹部75が形成されている。
【0043】
下部開口部73は、空冷手段15の空冷ファン42の正転時に本体ケース16内へと外気を取り込み、空冷ファン42の逆転時に通気部33内の空気を排気するためのものであり、本体ケース16の軸方向に沿う長孔状で、かつ、本体ケース16の周方向に略等間隔に離間されて形成されている。
【0044】
上部開口部74は、空冷手段15の空冷ファン42の正転時に、下部開口部73から本体ケース16内へと取り込まれた空気を、放熱体13内の収納部14および通気部33を介して外部に排気し、空冷ファン42の逆転時に、本体ケース16内へと外気を取り込むためのものであり、放熱フィン31の外周面に対向し、かつ、本体ケース16の周方向に略等間隔に離間されて形成されている。
【0045】
また、グローブ17は、光拡散性を有するガラスあるいは合成樹脂などにより扁平な球面状に形成されており、本体ケース16の取付凹部75に一端17aが取り付けられて放熱体13の一端側に位置し、本体ケース16の他端16b側と形状的に連続している。
【0046】
また、点灯回路基板部18は、平板状の点灯装置本体である点灯回路基板81と、この点灯回路基板81に形成された点灯手段としての点灯回路82とを有している。そして、点灯回路82は、例えばLED24に対して定電流を供給する回路などであり、図示しない配線を介してLED基板部12と電気的に接続されている。
【0047】
また、収容ケース19は、例えばPBT樹脂などの絶縁性を有する材料により、本体ケース16の一端16a側に嵌合される略円筒状に形成され、放熱体13および本体ケース16と口金20との間を絶縁している。なお、この収容ケース19の内部には、点灯回路基板部18を埋没させるように放熱性および絶縁性を有する充填材であるシリコーン系の樹脂などを充填してもよい。
【0048】
口金20は、図示しない照明器具のランプソケットにねじ込まれるねじ山を備えた、例えばE17型のものであり、点灯回路基板部18側と図示しない配線により電気的に接続されている。
【0049】
次に、上記第1の実施の形態の回路構成を説明する。
【0050】
図1に示すように、電球形LEDランプ11は、商用交流電源eに対して、ノイズフィルタの機能を有するコンデンサC1を介して整流手段としての全波整流素子RECの入力側が接続され、この全波整流素子RECの出力側に、平滑用のコンデンサC2を介して降圧レギュレータ回路91が接続され、この降圧レギュレータ回路91の出力側にLED24の直列回路と、空冷手段15(モータ41)とが接続され、全波整流素子REC、コンデンサC1,C2および降圧レギュレータ回路91などにより点灯回路82が構成されている。また、空冷手段15を駆動する駆動回路25は、LED24の温度を検出する温度センサ93、および、降圧レギュレータ回路91の動作を制御する電流制御手段94にそれぞれ接続されている。
【0051】
降圧レギュレータ回路91は、コンデンサC2に対して並列に、ダイオードDとスイッチング素子Qと抵抗R1との直列回路が接続され、ダイオードDのアノード側とスイッチング素子Qのドレイン端子との接続点にインダクタLの一次巻線L1が接続され、この一次巻線L1の出力側に、ダイオードDと並列にコンデンサC3が接続されて構成されている。さらに、インダクタLの補助巻線である二次巻線L2、スイッチング素子Qのゲート端子、および、スイッチング素子Qのソース端子と抵抗R1との接続点が、それぞれ電流制御手段94に接続されている。
【0052】
温度センサ93は、例えばLED基板23(図2)のLED24の背面側の主面、あるいは、LED基板23(図2)のLED24と同主面でかつLED24の近傍などに配置され、LED24の動作に伴う発熱(温度)を、このLED24の周囲の温度を検出することで間接的に検出して、駆動回路25に出力している。
【0053】
電流制御手段94は、スイッチング素子Qのオンデューティ(オフデューティ)を制御することにより、LED24に流れる電流を所望の値に制御する、いわゆるPWM(Pulse Width Modulation)制御が可能な構成となっている。
【0054】
なお、空冷手段15は、降圧レギュレータ回路91の出力側から電源を取っているが、この構成に限定されるものではない。
【0055】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0056】
電球形LEDランプ11は、口金20を所定のソケットに装着して通電すると、点灯回路基板部18の点灯回路82が動作して、LED基板部12側に電力が供給される。
【0057】
具体的に、商用交流電源eからの交流電源が全波整流素子RECにより全波整流され、コンデンサC2により平滑される。そして、電流制御手段94がスイッチング素子Qのオンデューティを制御することにより、LED電流を所望の値に制御する。電流制御手段94では、スイッチング素子Qのソース抵抗となる抵抗R1を介して、スイッチング素子Qに流れる電流を検出し、この検出した電流に基づき、スイッチング素子Qのターンオフのタイミングを決定することで、臨界モードで動作するように、ターンオンのタイミングをインダクタLの二次巻線L2の電圧により制御する。
【0058】
この結果、各LED24が発光し、これら発光がグローブ17を介して拡散照射される。
【0059】
また、LED基板部12にて各LED24から発生する熱は、基板取付面34を介して放熱体13に伝達され、この放熱体13の各放熱フィン31を介して放熱される。
【0060】
このとき、駆動回路25は、モータ41に直流電源を供給することで、必要に応じてモータ41を介して空冷ファン42を回転させる。具体的に、駆動回路25は、空冷ファン42(モータ41)の回転駆動中の回転速度を、例えば温度センサ93により検出された温度に応じて制御する。
【0061】
例えば電球形LEDランプ11の起動直後(電源投入直後)、あるいは、周囲温度が低い状況など、温度センサ93により検出されたLED24の温度が予め設定された所定の温度以下である場合に、空冷ファン42を回転させる必要がないものと判断して、空冷ファン42(モータ41)を回転駆動させず(空冷ファン42(モータ41)を停止し)、温度センサ93により検出されたLED24の温度が予め設定された所定の温度より大きい場合には、空冷ファン42を回転させる必要があるものと判断して、空冷ファン42(モータ41)を回転駆動させる。
【0062】
さらに、駆動回路25は、空冷ファン42(モータ41)を回転させた後、例えば電源のオフ、あるいは、温度センサ93により検出された温度が低くなった場合など、空冷ファン42(モータ41)を一旦停止させた場合に、再度空冷ファン42(モータ41)を回転駆動させる際には、前回の回転方向と反対方向に回転させる。
【0063】
この結果、空冷ファン42の正転時には、この正転に伴う負圧の作用によって下部開口部73から本体ケース16内へと、下方から上方に向けて外気が吸い込まれ、この吸い込まれた外気が、空冷ファン42を軸方向に通過して放熱体13の連結部32の背面に吹き付けられた後、通気部33を介して径方向へと流れて、上部開口部74から本体ケース16の外部へと、下方から上方に向けて排気される(図2中の実線参照)。また、空冷ファン42の逆転時には、この逆転に伴う負圧の作用によって上部開口部74から本体ケース16内へと、上方から下方に向けて外気が吸い込まれ、この吸い込まれた外気が、通気部33を介して径方向へと流れた後、空冷ファン42を軸方向に通過して通気部33内の各部に吹き付けられて空冷ファン42の正転時に溜まった埃などが吹き飛ばされ、下部開口部73から本体ケース16の外部へと、上方から下方に向けて排気される(図2中の想像線参照)。
【0064】
そして、空冷手段15による強制送風によって、放熱体13を介してLED24からの発熱が強制的に冷却される。
【0065】
上述したように、上記第1の実施の形態では、空冷ファン42の起動時の回転方向と空冷ファン42の回転速度とを所定条件に応じて駆動回路25が変化させる構成とした。
【0066】
このため、例えば空冷ファン42の駆動中にその回転方向を変える従来の制御などと比較して、騒音の発生や制御の複雑化を抑制しつつ、放熱効率を確保できるとともに、所定条件に応じて空冷ファン42の回転速度を変化させることで、必要時にのみ空冷ファン42を回転駆動させることができるので、消費電力を抑制できる。
【0067】
具体的に、駆動回路25が、温度センサ93の検出温度に応じて空冷ファン42の回転の有無を切り換えることにより、例えば起動直後などのまだ温度が低いときなどには空冷ファン42を停止させることが可能となり、消費電力をより抑制できる。
【0068】
そして、駆動回路25が、空冷ファン42の起動の度に、この空冷ファン42の回転方向を反転させることにより、空冷ファン42を起動させる度にこの空冷ファン42の回転方向を正転方向としたり逆転方向としたりできるので、放熱効果を確保しつつ、空冷ファン42を一定方向にのみ回転させ続けた際に生じる埃の溜まりを防止できる。すなわち、空冷ファン42は、正転させても逆転させても、冷却風の流量を充分に確保できるので、逆転させた際に埃を吹き飛ばすだけでなく、放熱効果も確保できる。
【0069】
なお、上記第1の実施の形態において、空冷ファン42の回転方向を起動時に反転させる制御は、空冷ファン42の起動の度に行う以外でも、例えば数回の起動時に1回など、いずれかの起動時に行う構成としてもよい。
【0070】
また、駆動回路25が、温度センサ93の検出温度に応じて空冷ファン42の回転速度を変化させるように構成してもよい。具体的には、例えば温度センサ93により検出された温度が低くなるほど空冷ファン42(モータ41)の回転速度を低下させ、温度センサ93により検出された温度が予め設定された所定の温度以下の場合には、空冷ファン42を停止させるように構成してもよい。この場合には、例えば周囲温度が低いときなどには空冷ファン42の回転数を抑制することが可能となり、消費電力を抑制できる。
【0071】
次に、図4に第2の実施の形態を示し、この図4はLED点灯装置の回路図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、駆動回路25が、極性検出手段96に接続されているものである。
【0073】
この極性検出手段96は、全波整流素子RECの出力側に接続された抵抗R2,R3を介して、電源投入時の電源極性を検出するものである。この極性検出手段96は、図示しないが、コンパレータとラッチ回路となどによって構成されており、駆動回路25に、H/L信号で回転方向を指示するように構成されている。
【0074】
また、駆動回路25は、極性検出手段96からのH/L信号に応じて、空冷ファン42(モータ41)の回転方向を切り換えるように構成されている。例えば、極性検出手段96からHレベル信号が出力された場合には、空冷ファン42(モータ41)を正転させ、極性検出手段96からLレベル信号が出力された場合には、空冷ファン42(モータ41)を逆転させるように制御する。
【0075】
そして、電源が投入されると、この電源投入直後の電源極性が極性検出手段96により判別され、この電源極性に応じて、Hレベル信号とLレベル信号とのいずれかが駆動回路25に出力されることにより、この駆動回路25が空冷ファン42(モータ41)を正転、あるいは逆転させる。
【0076】
点灯回路82は、上記第1の実施の形態と同様にLED24を点灯制御する。
【0077】
この結果、空冷ファン42の駆動中にこの空冷ファン42の回転方向を反転させるための反転手段などを別途必要とすることなく、空冷ファン42をその起動時に1/2の確率で正転または逆転させることが可能となるので、放熱効果を確保しつつ、空冷ファン42を一定方向にのみ回転させ続けた際に生じる埃の溜まりを防止できる。
【0078】
また、空冷ファン42を駆動中に頻繁に反転させると、複雑な制御が必要となるだけでなく、空冷ファン42の回転方向が駆動中に変化することで騒音が発生するおそれがあるのに対して、起動時にのみ空冷ファン42の回転方向を反転させるので、複雑な制御が必要なく、さらに、回転方向の変化に伴う騒音の発生も防止できる。
【0079】
なお、上記各実施の形態において、LED24を点灯させる点灯手段は、降圧レギュレータ回路91を用いた点灯回路82に限定されるものではない。
【0080】
また、LED点灯装置としては、電球形のものに限定されない。
【符号の説明】
【0081】
11 LED点灯装置として電球形LEDランプ
24 LED
25 ファン制御手段としての駆動回路
42 空冷ファン
82 点灯手段としての点灯回路
93 温度センサ
96 極性検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと;
LEDを点灯する点灯手段と;
LEDの放熱用の正転逆転可能な空冷ファンと;
空冷ファンの回転駆動を制御し、空冷ファンの起動時の回転方向と空冷ファンの回転速度との少なくともいずれかを所定条件に応じて変化させるファン制御手段と;
を具備していることを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
LEDの温度を監視する温度センサを具備し、
ファン制御手段は、温度センサの検出温度に応じて空冷ファンの回転速度を変化させる
ことを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項3】
ファン制御手段は、温度センサの検出温度に応じて空冷ファンの回転の有無を切り換える
ことを特徴とする請求項2記載のLED点灯装置。
【請求項4】
ファン制御手段は、空冷ファンのいずれかの起動時に、この空冷ファンの回転方向を切り換える
ことを特徴とする請求項2または3記載のLED点灯装置。
【請求項5】
電源投入時の電源極性を検出する極性検出手段を具備し、
ファン制御手段は、極性検出手段により検出した電源極性に対応した方向へと空冷ファンを起動させる
ことを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−192406(P2010−192406A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38283(P2009−38283)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】