LED用ハンダ付け治具
【課題】LED素子をリード端子で浮かせた状態で基板に取り付けられるハンダ付け治具を提供する。
【解決手段】基板10のハンダ面を露出する開口を設けた第1のプレート11に、LED素子54を保持するLEDホルダー50と、保持した素子54のリード端子54aを基板10のスルーホール10cの真上に位置するようにLEDホルダー50を支持する係止部材を備え、第2のプレート12に、LEDホルダー50を圧する押圧部材60を設ける。前記プレート11の係止部材52は、LEDホルダー50を出没自在の軸で支持しており、第1のプレート11に第2のプレート12を被せ、押圧部材60がLEDホルダー50を圧して係止部材の軸が没し、リード端子54aがスルーホール10cを介して基板10から突出する。没するリード端子54aの長さを押圧部材60の寸法で設定し、LED素子54を浮き上がらせ、プレート11の開口を上にしてハンダ付けを行う。
【解決手段】基板10のハンダ面を露出する開口を設けた第1のプレート11に、LED素子54を保持するLEDホルダー50と、保持した素子54のリード端子54aを基板10のスルーホール10cの真上に位置するようにLEDホルダー50を支持する係止部材を備え、第2のプレート12に、LEDホルダー50を圧する押圧部材60を設ける。前記プレート11の係止部材52は、LEDホルダー50を出没自在の軸で支持しており、第1のプレート11に第2のプレート12を被せ、押圧部材60がLEDホルダー50を圧して係止部材の軸が没し、リード端子54aがスルーホール10cを介して基板10から突出する。没するリード端子54aの長さを押圧部材60の寸法で設定し、LED素子54を浮き上がらせ、プレート11の開口を上にしてハンダ付けを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
回路基板への後付け部品のハンダ付けに使用するハンダ付け治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フロー方式やリフロー方式の自動機では、後付部品としてハンダ付けの難しい部品を手作業やハンダ付けロボットでハンダ付けしている。
【0003】
このような手作業やハンダ付けロボットによるハンダ付けでは、通常、部品を装着した部品面と反対面にハンダ付け箇所がある。そのため、後付部品のリード端子を回路基板の部品面のスルーホールに挿通して回路基板を反転させることが必要で、前記基板のハンダ付け面を上向にしてハンダ付けを行う。
【0004】
ところが、このように部品を装着した基板を反転すると、装着した部品が抜け落ちたり、基板から浮き上がったりする。したがって、部品の保持が必要である。
この問題を解決する方法として、例えば、図11に示すような掘り込み式の治具を使用することが行われている。
この掘り込み式の治具は、図11のように、回路基板に合わせた形状の掘り込み1を形成し、その掘り込み1内に、部品6の装着位置に合わせて凹部2を形成したもので、前記凹部2にリード端子が上向になるようにして部品6を入れたのち、図12のように、回路基板3を前記掘り込み1に部品面側を下向きにして載せ(嵌め込んで)、ハンダ付け作業を行うというものである。
【0005】
しかし、この方法は、装着する部品6の数が少なく、また、装着する部品6のリード端子数が少ない場合は有効である。ところが、装着する部品6の数が多い場合や、装着する部品6のリード端子数が多くなると、部品6のリード端子を上手く回路基板3のスルーホールに挿通できない問題が発生する。さらに、部品6のバラツキや部品の形状がまちまちなので回路基板3と部品6の間に隙間を生じたりする問題もある。
【0006】
これらの問題を解決する一つの方法として、例えば、図13の特許文献1に示す表面実装用治具装置のピンを使用することが考えられる。
【0007】
この表面実装用治具装置は、治具基板5上にバネにより付勢されたピストンピン4を設け、そのピン4を設けた治具基板5を、表面実装部品を仮置きした回路基板3上に被せるようにしたものである。こうすることで、表面実装部品を回路基板3に対して押圧保持し、高温蒸気雰囲気中に入れた際に、低温の回路基板3に冷却された高温蒸気の凝縮液で、表面実装部品が回路基板3から浮き上がらないようにするというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭64−369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、例えば、電子機器などでは、表示用のLEDを基板に取り付ける際、LEDのリード端子を利用して基板からLEDを浮かした状態で取り付けたいことが多々ある。
しかしながら、上記のピンを用いた方法では、基板からリード端子を伸ばした状態で任意の高さに取り付ける場合、ピストンピンだけで押圧保持できない問題がある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、LED素子をリード端子で浮かせた状態で基板に取り付けられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明は、搭載した回路基板のハンダ付け面を露出する開口が設けられた第1のプレートと、第1のプレートに被せる第2のプレートを有し、
前記第1のプレートには、リード端子を有するLED素子を保持するLEDホルダーと、その保持されたLED素子のリード端子が基板のスルーホールの真上に位置するようにLEDホルダーを支持する係止部材を備え、前記係止部材が、LEDホルダーを弾性部材によって進出状態に付勢された出没自在の軸で支持しており、一方、第2のプレートには、LEDホルダーを圧する押圧部材が取り付けられている構成を採用することができる。
【0012】
このような構成を採用することにより、回路基板はハンダ付け面を下にした状態で、第1のプレートに搭載し、その搭載した基板上に支持されたLEDホルダーにLED素子を装着する。このとき、前記LED素子を装着するLEDホルダーは、弾性部材によって進出状態に付勢された軸によって基板のスルーホール上に支持されているので、装着が簡単にできる。このように、LED素子を装着した第1のプレートに第2のプレートを被せると、第2のプレートの押圧部材が、第1のプレートのLEDホルダーを圧するので、LEDホルダーを係止する係止手段の軸が没して、前記ホルダーに保持されたLED素子のリード端子をスルーホールを介して基板のハンダ面から突出させる。
このように、基板のスルーホールへのLED素子のリード端子の挿通ができるので、ハンダ付け作業の効率化が図れる。
このとき、基板に没するリード端子の長さを押圧部材の寸法で設定することにより、基板上に突出するLED素子のリード端子の長さを決めて、LED素子を浮き上がらせる長さを決める。
この状態で前記プレートを反転させて開口を上に向けると、開口から基板のハンダ付け面が臨むので、ハンダ付け作業ができる。このとき、基板に搭載されたLED素子は、押圧部材により落下しないように固定されるので、ハンダ付け作業が安定して確実に手間を掛けずに容易にできる。
【0013】
このとき、上記LEDホルダーがLED素子を1本ごとに保持するものとした構成を採用することができる。
【0014】
このような構成を採用することにより、LED素子の取り付け数に応じてLEDホルダーを増減すれば、回路パターンの異なる基板に対応できる。
【0015】
また、上記押圧部材をLEDホルダーごとに配置して、LEDホルダーごとに圧するようにした構成を採用することができる。
【0016】
このような構成を採用することにより例えば、押圧部材の厚さ(高さ)をLEDホルダーごとに変えれば、LEDホルダーごとにLED素子の高さを変えられる。
そのため、個々の部品に合せて押圧部材を準備すれば、前記素子の寸法誤差を吸収できる。
【0017】
また、このとき、上記LED素子が、リード端子の一本の根元近傍を房出させたものとし、その房出部分にLEDホルダーの形状を合せるようにした構成を採用できる。
【0018】
このような構成を採用することにより、LED素子のリード端子にLEDホルダーの形状を合せてあるので、LED素子のリード端子を逆向きに装着すると、LEDホルダーとLEDのリード端子の形状が合わず、LED素子を装着できないので、装着ミスを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、上記のように構成したことにより、LED素子を基板から浮かした状態で取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態の斜視図
【図2】実施形態の要部の斜視図
【図3】実施形態の斜視図
【図4】実施形態の作用説明図
【図5】実施形態の要部の断面図
【図6】実施形態の断面図
【図7】実施形態の斜視図
【図8】(a)LEDホルダーの斜視図、(b)LEDホルダーの断面図
【図9】(a)実施形態の作用説明図、(b)実施形態の作用説明図
【図10】実施例1の作用説明図
【図11】従来例の作用説明図
【図12】従来例の作用説明図
【図13】従来例の作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
この形態のハンダ付け治具は、図1に示すように、回路基板10を搭載する第1のプレート11と、前記回路基板10の上に被さる第2のプレート12とからなり、第1と第2のプレート11、12は、一端にヒンジ13を設けて開閉自在に取り付けられている。また、他端には第1と第2のプレート11、12を止める係合部材14aを設けて、後述のように、第2のプレート12が回路基板10と回路基板10上の部品15に押し圧を加えられるようにしてある。
【0022】
すなわち、第1のプレート11は、前記プレート11の中央に開口16を設けて、搭載した回路基板10のハンダ付け面を露出するようになっている。
また、この形態では、開口16の周囲から内側に向けて、複数の突部17を設けた構造となっている。前記突部17は、先端に回路基板10の取り付け用の孔に嵌る位置決めピンを備えたものである。
また、開口16は、エッジ部分にテーパー加工を施し、外側に広く開口して作業をし易くしてある。
【0023】
なお、この形態では、回路基板10の位置決めを行うため、突部17を開口16の内側に向けて設けたが、この突部17に換えて、例えば、開口16を回路基板10よりも十分小さくして、開口16の周囲に位置決めピンを設ければ、開口16自体で回路基板10の位置決めを行うようにもできる。
【0024】
また、ヒンジ13は、図2のように、第1プレート11の長手方向の一端(図1の右側)に立ち上がり18を設けて取り付けるようにしており、ヒンジ13は、バネで付勢して、安全のために開放状態を保持するようにしてある。この立ち上がり18の手前に複数のLEDホルダー50が設けられている。
【0025】
前記複数のLEDホルダー50は、図2のように、ベース(台座)51に設置されている。前記ベース51は、例えば両サイドの立壁に長板状の係合片を渡してネジ止めした形状となっており、前記ベース51には、係止部材52が取り付けられている。
【0026】
係止部材52は、後述の図5のように、ベース51から軸53を突出するように取り付けられたシリンダー形式のもので、前記軸53は、バネなどの弾性部材によって進出状態に付勢されて出没自在になっている。前記軸53には、LEDホルダー50を、例えばCリングなどで脱着自在に取り付ける。
【0027】
LEDホルダー50は、図8(a)のように、Z形に形成されたもので、図8(b)のように、上部の水平部分50aに貫通孔50bを設けて、係止部材52の軸53を挿通するようになっている。また、下部の水平部分50cの先端には、LED素子54を装着するための溝55が設けられている。
前記溝55は、上部の第1の溝55aと下部の第2の溝55bとからなり、図8(b)のように、LED素子54の本体を第1の溝55aへ装着すると、LED素子54のリード端子54aが第2の溝55bに嵌るようになっている。
また、第2の溝55bは、図8(a)のように、一方が開放されていて、ハンダ付け作業の終了後、基板10をスライドさせることで、LED素子54を前記ホルダー50の第1の溝55aと第2の溝55bから開放することができるようになっている。
そして、第2の溝55bを形成する側壁の一方に切欠50dを設けて、LED素子54のリード端子54aの房出部分54bと合致させることで、図9(a)のように、LED素子54の取り付け方向に規定がある場合に対処できるようにしてある。
さらに、図8(a)のように、側壁の他方を斜めにカット55cすることで、取り付けミスをした際に、図9(b)のように、LED素子54が前記側壁のカット55cで滑って保持できないようにしてある。
【0028】
このようなLEDホルダー50は、係止部材52に取り付けると、保持したLED素子54のリード端子を基板10のスルーホール10cの真上に保持するようになっている。
このとき、LEDホルダー50は、基板10に取り付けるLED素子54の個数に合せて係止部材52に取り付ける数を増減することもできる。
なお、この形態では、LEDホルダー50を長手方向の一端に設けたが、設置場所は長手方向の一端に限定されるものではない。基板のパターンに合せて適宜決められるものである。
また、この形態では、LEDホルダー50は、1個のLED素子54を取り付けるものとしたが、これに限定されるものではなく、1個のホルダー50に複数個のLEDを取り付けるようにもできる。
【0029】
一方、第1のプレート11の他端には、図3に示すように、前述した係合部材14を取り付けてある。前記係合部材14は、第1のプレート11に設けたクリップ14aと、後述の第2のプレート12に設けたフック状の係合片14bで構成されるもので、クリップ14aは、渦巻バネを備えた構造となっている。
【0030】
また、第1のプレート11には、開口16とクリップ14aの間の開口16端にストッパー19が設けてある。前記ストッパー19は棒状のもので、回路基板10に装着する端部の部品15の位置決めを行うためのものである。
さらに、第1のプレート11には、四隅に支持脚21が設けてある。前記支持脚21は樹脂で作られた円柱形のもので、図1のように、第1のプレート11の裏面側にネジ止めすることにより、第1のプレート11を浮かせて、部品のリード端子が床に触ることが無いようにしている。
なお、この形態では、支持脚21は、樹脂製で円柱形のものを使用したが、これに限定されるものではない。例えば、金属製で角柱など、第1のプレート11を浮かせて台座との間に空間を形成できるものであれば、どのような材質、形状であっても構わない。
【0031】
一方、第2のプレート12は、長手方向の一端、つまり、LEDホルダー50を取り付けるベース51と対向する部分に切欠59を設けて、LEDホルダー50の先端を露出するようにしてある。
また、第2のプレート12には、押さえ部材22a、22bと押圧部材60が取り付けられている。押さえ部材22a、22bは、前記回路基板10及び回路基板10上の回路部品15が外れないように押さえるためのもので、この形態では、ピン22aと弾性材22bによるものを使用している。
前記ピン22aは、軸をバネによって付勢したシリンダー形式のもので、後部が第2のプレート12から突出するようになっている。また、その突出した後部に、例えば内側の軸と外側の外郭間にネジを形成することにより、外郭部分を回動すると、バネが伸縮してピン22aの突出する寸法を部品15の厚みに応じて変更することができるようになっている。
一方、弾性材22bは、ゴムや弾性スポンジを直方体や立方体などに形成したもので、係合用のピンで第2のプレート12に取り外し自在に取り付けるようにしたものである。
そのため、第2のプレート12には、前記ピン22aと弾性材22bを取り付ける貫通孔が複数設けられており、複数の貫通孔を装着部品15や回路基板10に合せて選択できるようにしてある(ちなみに、図1のものでは、全ての貫通孔に押さえ部材22a、22bが挿入されている)。
【0032】
押圧部材60は、図2に示すように、LEDホルダー50の形状に合せて段差を形成したプラスチック製のもので、前記段差を下にして第2のプレートの切欠59の端にネジ止めされている。
このように取り付けられた押圧部材60は、第2のプレート12を第1のプレート11に被せると、図5のように、LEDホルダー50の第1の溝55を形成した下方の水平部分50cを圧するようになっている。そして、このように、押圧部材60がLEDホルダー50を圧することで、係止部材52に支持されたLEDホルダー50を没して、リード端子54aはスルーホール10cに挿入される。
そのため、基板10に没するリード端子54aの長さを押圧部材60の寸法で設定すれば、基板10上に突出するLED素子54のリード端子の長さを決めて、LED素子54を浮き上がらせる長さを決められるようになっている。
【0033】
また、第2のプレート12は、先にも述べたように長手方向の一端に、図1のように、2個のヒンジ13を取り付け、他端には、フック状の係止片14bが取り付けられており、前述の第1のプレート11のクリップ14aと係合するようになっている。
さらに、第2のプレート12の四隅にも支持脚21が設けられている。支持脚21は、図4のように、第2のプレート12の裏面側に設けてあって、後述するように、ハンダ付けの際に、反転した治具を支持するようになっている。
【0034】
この形態は、上記のように構成されており、このハンダ付け治具は、図1のように、第2のプレート12を開けて、部品15を後付する回路基板10のハンダ付け面を下にして第1のプレート11に搭載する。
このとき、回路基板10の端部は、第1のプレート11のストッパー19に接するようにする(後述の部品の装着に備えて)。同時に、開口16の突部17の位置決めピンを回路基板10の取り付け孔に嵌める。その際、このような大きさの回路基板10では、回路基板10の取り付け孔は基板10の端部に設けることが多いので、開口16の端部に突部17を設けておけば、殆どの場合、異なる機種の回路基板10でも支持できる。
【0035】
こうして第1のプレート11に搭載した回路基板10に後付部品15を装着する。
まず、リード端子54aで基板10から浮かせて取り付けるLED素子54以外の部品15を基板10へ装着する。装着が完了すると、第2のプレート12へ押さえ部材22a、22bを取り付ける。
【0036】
すなわち、装着する部品15の位置に合せて第2のプレート12の取り付け孔にピン22aを取り付ける。このとき、大きな部品15の場合は、複数のピン22aを取り付けて安定させて支持できるようにしても良い。次に、形状が複雑なコネクタや形状が特異な電解コンデンサ(特に、寝かしたものや平たいコンデンサで倒れやすいもの)など、ピン22aでは押さえつけることが難しいものには、スポンジなどの弾性材22bの押さえ部材(立方体や直方体)を取り付ける。さらに、必要であれば、回路基板10を支持するためのピン22aを取り付ける。このように、複数の形状の違う部品15も作業性を変えることなく作業できる。
【0037】
一方、リード端子54aで浮かせて取り付けるLED素子54の取り付けは、図2のように、LEDホルダー50にLED素子54を装着する。このとき、LEDホルダー50は、係止部材52の軸53によって基板10上に支持されていて、保持するLED素子54のリード端子54aを基板10のスルーホール10cの真上に位置するようにする。そのため、LED素子54を装着するだけで、リード端子54aをスルーホール10cへ挿入しなくてよいので取り付けは簡単である。
【0038】
なお、ここでは、LED素子以外の部品15も第1のプレート11上で装着するようにしたが、これに限定されるものではない。部品15を事前に装着した回路基板10を搭載しても良い。
【0039】
このように、LED素子54と前記素子54以外の部品15の装着ができると、図3のように、第2のプレート12を閉じる。そして、閉じた第2のプレート12の係止片14bを第1のプレート11のクリップ14aで係止して止める。
【0040】
すると、第2のプレート12の押圧部材60が、図4に示すように、第1のプレート11のLEDホルダー50を圧するので、圧せられたLEDホルダー50を係止する係止部材52の軸53が没して、図5に示すように、前記ホルダー50に保持されたLED素子54のリード端子54aは、スルーホール10cを介して基板10のハンダ面から突出する。
【0041】
そして、回路基板10を搭載した治具全体を反転して、図6のように、第1のプレート11の開口16を上向にする。上向にした開口16には、図7のように、回路基板10のハンダ付け面が臨み、スルーホール10cからリード端子54aが突出する。このとき、係止部材52は、図6のように、LEDホルダー50を圧して落下しないように保持するので、ハンダ付けが容易にできる。また、LED素子54以外の部品15も、ピン22aが装着部品15及び回路基板10を押して落下しないように支持するので、ハンダ付けが行える。
このように、基板10に搭載されたLED素子54は、押圧部材により、落下しないように固定されるので、ハンダ付け作業が安定して確実に手間を掛けずに容易にできる。その際、LED素子54の保持と位置決めができるため、回路基板10や部品15を手で保持する必要がない。
また、LED素子54をLEDホルダー50に装着して第2のプレート12を閉じれば、基板10のスルーホール10cへのLED素子54のリード端子54aの挿通ができるので基板10への装着も容易にできる。
【0042】
なお、反転させた治具は、図6のように、第2のプレート12の支持脚21で支持することで、反転させてもその状態を安定して保持できる。例えば、ピン22aや係止片14bが突出していてもガタツクことなく、安定して保持できるので、ハンダ付け作業が安定して確実に手間なく容易に、しかも効率良くできる。
【0043】
ハンダ付けが終了すると、治具を再度反転させたのち、前記クリップ14aを解除して第2のプレート12を開けて回路基板10を取り出す。このように、回路基板10の保持と解除がワンタッチでできる。
【0044】
このように、部品15を装着してから反転するので、装着する部品15の数が多い場合や、装着する部品15のリード数が多い場合でも装着が上手くできる。そのため、ハンダ付けがミスなくできる。
【実施例1】
【0045】
実施例1は、図10のように、LEDホルダー50を圧する押圧部材60にシリンダーピン60を使用したもので、シリンダーピン60をLEDホルダー50ごとに設けたものである。
このように、押圧部材60をLEDホルダー50ごとに設けることで、各シリンダーピン60の突出量をかえられるので、LED素子54の装着時の高さを変えられるようにしたものである。
そのため、個々の部品に合せて押圧部材60を設定すれば、前記素子54の寸法誤差を吸収できる。
【符号の説明】
【0046】
10 基板
10c スルーホール
11 第1のプレート
12 第2のプレート
14a クリップ
16 開口
50 LEDホルダー
51 ベース
52 係止部材
54 LED素子
54a リード端子
54b 房出
55 溝
60 押圧部材
【技術分野】
【0001】
回路基板への後付け部品のハンダ付けに使用するハンダ付け治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フロー方式やリフロー方式の自動機では、後付部品としてハンダ付けの難しい部品を手作業やハンダ付けロボットでハンダ付けしている。
【0003】
このような手作業やハンダ付けロボットによるハンダ付けでは、通常、部品を装着した部品面と反対面にハンダ付け箇所がある。そのため、後付部品のリード端子を回路基板の部品面のスルーホールに挿通して回路基板を反転させることが必要で、前記基板のハンダ付け面を上向にしてハンダ付けを行う。
【0004】
ところが、このように部品を装着した基板を反転すると、装着した部品が抜け落ちたり、基板から浮き上がったりする。したがって、部品の保持が必要である。
この問題を解決する方法として、例えば、図11に示すような掘り込み式の治具を使用することが行われている。
この掘り込み式の治具は、図11のように、回路基板に合わせた形状の掘り込み1を形成し、その掘り込み1内に、部品6の装着位置に合わせて凹部2を形成したもので、前記凹部2にリード端子が上向になるようにして部品6を入れたのち、図12のように、回路基板3を前記掘り込み1に部品面側を下向きにして載せ(嵌め込んで)、ハンダ付け作業を行うというものである。
【0005】
しかし、この方法は、装着する部品6の数が少なく、また、装着する部品6のリード端子数が少ない場合は有効である。ところが、装着する部品6の数が多い場合や、装着する部品6のリード端子数が多くなると、部品6のリード端子を上手く回路基板3のスルーホールに挿通できない問題が発生する。さらに、部品6のバラツキや部品の形状がまちまちなので回路基板3と部品6の間に隙間を生じたりする問題もある。
【0006】
これらの問題を解決する一つの方法として、例えば、図13の特許文献1に示す表面実装用治具装置のピンを使用することが考えられる。
【0007】
この表面実装用治具装置は、治具基板5上にバネにより付勢されたピストンピン4を設け、そのピン4を設けた治具基板5を、表面実装部品を仮置きした回路基板3上に被せるようにしたものである。こうすることで、表面実装部品を回路基板3に対して押圧保持し、高温蒸気雰囲気中に入れた際に、低温の回路基板3に冷却された高温蒸気の凝縮液で、表面実装部品が回路基板3から浮き上がらないようにするというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭64−369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、例えば、電子機器などでは、表示用のLEDを基板に取り付ける際、LEDのリード端子を利用して基板からLEDを浮かした状態で取り付けたいことが多々ある。
しかしながら、上記のピンを用いた方法では、基板からリード端子を伸ばした状態で任意の高さに取り付ける場合、ピストンピンだけで押圧保持できない問題がある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、LED素子をリード端子で浮かせた状態で基板に取り付けられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明は、搭載した回路基板のハンダ付け面を露出する開口が設けられた第1のプレートと、第1のプレートに被せる第2のプレートを有し、
前記第1のプレートには、リード端子を有するLED素子を保持するLEDホルダーと、その保持されたLED素子のリード端子が基板のスルーホールの真上に位置するようにLEDホルダーを支持する係止部材を備え、前記係止部材が、LEDホルダーを弾性部材によって進出状態に付勢された出没自在の軸で支持しており、一方、第2のプレートには、LEDホルダーを圧する押圧部材が取り付けられている構成を採用することができる。
【0012】
このような構成を採用することにより、回路基板はハンダ付け面を下にした状態で、第1のプレートに搭載し、その搭載した基板上に支持されたLEDホルダーにLED素子を装着する。このとき、前記LED素子を装着するLEDホルダーは、弾性部材によって進出状態に付勢された軸によって基板のスルーホール上に支持されているので、装着が簡単にできる。このように、LED素子を装着した第1のプレートに第2のプレートを被せると、第2のプレートの押圧部材が、第1のプレートのLEDホルダーを圧するので、LEDホルダーを係止する係止手段の軸が没して、前記ホルダーに保持されたLED素子のリード端子をスルーホールを介して基板のハンダ面から突出させる。
このように、基板のスルーホールへのLED素子のリード端子の挿通ができるので、ハンダ付け作業の効率化が図れる。
このとき、基板に没するリード端子の長さを押圧部材の寸法で設定することにより、基板上に突出するLED素子のリード端子の長さを決めて、LED素子を浮き上がらせる長さを決める。
この状態で前記プレートを反転させて開口を上に向けると、開口から基板のハンダ付け面が臨むので、ハンダ付け作業ができる。このとき、基板に搭載されたLED素子は、押圧部材により落下しないように固定されるので、ハンダ付け作業が安定して確実に手間を掛けずに容易にできる。
【0013】
このとき、上記LEDホルダーがLED素子を1本ごとに保持するものとした構成を採用することができる。
【0014】
このような構成を採用することにより、LED素子の取り付け数に応じてLEDホルダーを増減すれば、回路パターンの異なる基板に対応できる。
【0015】
また、上記押圧部材をLEDホルダーごとに配置して、LEDホルダーごとに圧するようにした構成を採用することができる。
【0016】
このような構成を採用することにより例えば、押圧部材の厚さ(高さ)をLEDホルダーごとに変えれば、LEDホルダーごとにLED素子の高さを変えられる。
そのため、個々の部品に合せて押圧部材を準備すれば、前記素子の寸法誤差を吸収できる。
【0017】
また、このとき、上記LED素子が、リード端子の一本の根元近傍を房出させたものとし、その房出部分にLEDホルダーの形状を合せるようにした構成を採用できる。
【0018】
このような構成を採用することにより、LED素子のリード端子にLEDホルダーの形状を合せてあるので、LED素子のリード端子を逆向きに装着すると、LEDホルダーとLEDのリード端子の形状が合わず、LED素子を装着できないので、装着ミスを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、上記のように構成したことにより、LED素子を基板から浮かした状態で取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態の斜視図
【図2】実施形態の要部の斜視図
【図3】実施形態の斜視図
【図4】実施形態の作用説明図
【図5】実施形態の要部の断面図
【図6】実施形態の断面図
【図7】実施形態の斜視図
【図8】(a)LEDホルダーの斜視図、(b)LEDホルダーの断面図
【図9】(a)実施形態の作用説明図、(b)実施形態の作用説明図
【図10】実施例1の作用説明図
【図11】従来例の作用説明図
【図12】従来例の作用説明図
【図13】従来例の作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
この形態のハンダ付け治具は、図1に示すように、回路基板10を搭載する第1のプレート11と、前記回路基板10の上に被さる第2のプレート12とからなり、第1と第2のプレート11、12は、一端にヒンジ13を設けて開閉自在に取り付けられている。また、他端には第1と第2のプレート11、12を止める係合部材14aを設けて、後述のように、第2のプレート12が回路基板10と回路基板10上の部品15に押し圧を加えられるようにしてある。
【0022】
すなわち、第1のプレート11は、前記プレート11の中央に開口16を設けて、搭載した回路基板10のハンダ付け面を露出するようになっている。
また、この形態では、開口16の周囲から内側に向けて、複数の突部17を設けた構造となっている。前記突部17は、先端に回路基板10の取り付け用の孔に嵌る位置決めピンを備えたものである。
また、開口16は、エッジ部分にテーパー加工を施し、外側に広く開口して作業をし易くしてある。
【0023】
なお、この形態では、回路基板10の位置決めを行うため、突部17を開口16の内側に向けて設けたが、この突部17に換えて、例えば、開口16を回路基板10よりも十分小さくして、開口16の周囲に位置決めピンを設ければ、開口16自体で回路基板10の位置決めを行うようにもできる。
【0024】
また、ヒンジ13は、図2のように、第1プレート11の長手方向の一端(図1の右側)に立ち上がり18を設けて取り付けるようにしており、ヒンジ13は、バネで付勢して、安全のために開放状態を保持するようにしてある。この立ち上がり18の手前に複数のLEDホルダー50が設けられている。
【0025】
前記複数のLEDホルダー50は、図2のように、ベース(台座)51に設置されている。前記ベース51は、例えば両サイドの立壁に長板状の係合片を渡してネジ止めした形状となっており、前記ベース51には、係止部材52が取り付けられている。
【0026】
係止部材52は、後述の図5のように、ベース51から軸53を突出するように取り付けられたシリンダー形式のもので、前記軸53は、バネなどの弾性部材によって進出状態に付勢されて出没自在になっている。前記軸53には、LEDホルダー50を、例えばCリングなどで脱着自在に取り付ける。
【0027】
LEDホルダー50は、図8(a)のように、Z形に形成されたもので、図8(b)のように、上部の水平部分50aに貫通孔50bを設けて、係止部材52の軸53を挿通するようになっている。また、下部の水平部分50cの先端には、LED素子54を装着するための溝55が設けられている。
前記溝55は、上部の第1の溝55aと下部の第2の溝55bとからなり、図8(b)のように、LED素子54の本体を第1の溝55aへ装着すると、LED素子54のリード端子54aが第2の溝55bに嵌るようになっている。
また、第2の溝55bは、図8(a)のように、一方が開放されていて、ハンダ付け作業の終了後、基板10をスライドさせることで、LED素子54を前記ホルダー50の第1の溝55aと第2の溝55bから開放することができるようになっている。
そして、第2の溝55bを形成する側壁の一方に切欠50dを設けて、LED素子54のリード端子54aの房出部分54bと合致させることで、図9(a)のように、LED素子54の取り付け方向に規定がある場合に対処できるようにしてある。
さらに、図8(a)のように、側壁の他方を斜めにカット55cすることで、取り付けミスをした際に、図9(b)のように、LED素子54が前記側壁のカット55cで滑って保持できないようにしてある。
【0028】
このようなLEDホルダー50は、係止部材52に取り付けると、保持したLED素子54のリード端子を基板10のスルーホール10cの真上に保持するようになっている。
このとき、LEDホルダー50は、基板10に取り付けるLED素子54の個数に合せて係止部材52に取り付ける数を増減することもできる。
なお、この形態では、LEDホルダー50を長手方向の一端に設けたが、設置場所は長手方向の一端に限定されるものではない。基板のパターンに合せて適宜決められるものである。
また、この形態では、LEDホルダー50は、1個のLED素子54を取り付けるものとしたが、これに限定されるものではなく、1個のホルダー50に複数個のLEDを取り付けるようにもできる。
【0029】
一方、第1のプレート11の他端には、図3に示すように、前述した係合部材14を取り付けてある。前記係合部材14は、第1のプレート11に設けたクリップ14aと、後述の第2のプレート12に設けたフック状の係合片14bで構成されるもので、クリップ14aは、渦巻バネを備えた構造となっている。
【0030】
また、第1のプレート11には、開口16とクリップ14aの間の開口16端にストッパー19が設けてある。前記ストッパー19は棒状のもので、回路基板10に装着する端部の部品15の位置決めを行うためのものである。
さらに、第1のプレート11には、四隅に支持脚21が設けてある。前記支持脚21は樹脂で作られた円柱形のもので、図1のように、第1のプレート11の裏面側にネジ止めすることにより、第1のプレート11を浮かせて、部品のリード端子が床に触ることが無いようにしている。
なお、この形態では、支持脚21は、樹脂製で円柱形のものを使用したが、これに限定されるものではない。例えば、金属製で角柱など、第1のプレート11を浮かせて台座との間に空間を形成できるものであれば、どのような材質、形状であっても構わない。
【0031】
一方、第2のプレート12は、長手方向の一端、つまり、LEDホルダー50を取り付けるベース51と対向する部分に切欠59を設けて、LEDホルダー50の先端を露出するようにしてある。
また、第2のプレート12には、押さえ部材22a、22bと押圧部材60が取り付けられている。押さえ部材22a、22bは、前記回路基板10及び回路基板10上の回路部品15が外れないように押さえるためのもので、この形態では、ピン22aと弾性材22bによるものを使用している。
前記ピン22aは、軸をバネによって付勢したシリンダー形式のもので、後部が第2のプレート12から突出するようになっている。また、その突出した後部に、例えば内側の軸と外側の外郭間にネジを形成することにより、外郭部分を回動すると、バネが伸縮してピン22aの突出する寸法を部品15の厚みに応じて変更することができるようになっている。
一方、弾性材22bは、ゴムや弾性スポンジを直方体や立方体などに形成したもので、係合用のピンで第2のプレート12に取り外し自在に取り付けるようにしたものである。
そのため、第2のプレート12には、前記ピン22aと弾性材22bを取り付ける貫通孔が複数設けられており、複数の貫通孔を装着部品15や回路基板10に合せて選択できるようにしてある(ちなみに、図1のものでは、全ての貫通孔に押さえ部材22a、22bが挿入されている)。
【0032】
押圧部材60は、図2に示すように、LEDホルダー50の形状に合せて段差を形成したプラスチック製のもので、前記段差を下にして第2のプレートの切欠59の端にネジ止めされている。
このように取り付けられた押圧部材60は、第2のプレート12を第1のプレート11に被せると、図5のように、LEDホルダー50の第1の溝55を形成した下方の水平部分50cを圧するようになっている。そして、このように、押圧部材60がLEDホルダー50を圧することで、係止部材52に支持されたLEDホルダー50を没して、リード端子54aはスルーホール10cに挿入される。
そのため、基板10に没するリード端子54aの長さを押圧部材60の寸法で設定すれば、基板10上に突出するLED素子54のリード端子の長さを決めて、LED素子54を浮き上がらせる長さを決められるようになっている。
【0033】
また、第2のプレート12は、先にも述べたように長手方向の一端に、図1のように、2個のヒンジ13を取り付け、他端には、フック状の係止片14bが取り付けられており、前述の第1のプレート11のクリップ14aと係合するようになっている。
さらに、第2のプレート12の四隅にも支持脚21が設けられている。支持脚21は、図4のように、第2のプレート12の裏面側に設けてあって、後述するように、ハンダ付けの際に、反転した治具を支持するようになっている。
【0034】
この形態は、上記のように構成されており、このハンダ付け治具は、図1のように、第2のプレート12を開けて、部品15を後付する回路基板10のハンダ付け面を下にして第1のプレート11に搭載する。
このとき、回路基板10の端部は、第1のプレート11のストッパー19に接するようにする(後述の部品の装着に備えて)。同時に、開口16の突部17の位置決めピンを回路基板10の取り付け孔に嵌める。その際、このような大きさの回路基板10では、回路基板10の取り付け孔は基板10の端部に設けることが多いので、開口16の端部に突部17を設けておけば、殆どの場合、異なる機種の回路基板10でも支持できる。
【0035】
こうして第1のプレート11に搭載した回路基板10に後付部品15を装着する。
まず、リード端子54aで基板10から浮かせて取り付けるLED素子54以外の部品15を基板10へ装着する。装着が完了すると、第2のプレート12へ押さえ部材22a、22bを取り付ける。
【0036】
すなわち、装着する部品15の位置に合せて第2のプレート12の取り付け孔にピン22aを取り付ける。このとき、大きな部品15の場合は、複数のピン22aを取り付けて安定させて支持できるようにしても良い。次に、形状が複雑なコネクタや形状が特異な電解コンデンサ(特に、寝かしたものや平たいコンデンサで倒れやすいもの)など、ピン22aでは押さえつけることが難しいものには、スポンジなどの弾性材22bの押さえ部材(立方体や直方体)を取り付ける。さらに、必要であれば、回路基板10を支持するためのピン22aを取り付ける。このように、複数の形状の違う部品15も作業性を変えることなく作業できる。
【0037】
一方、リード端子54aで浮かせて取り付けるLED素子54の取り付けは、図2のように、LEDホルダー50にLED素子54を装着する。このとき、LEDホルダー50は、係止部材52の軸53によって基板10上に支持されていて、保持するLED素子54のリード端子54aを基板10のスルーホール10cの真上に位置するようにする。そのため、LED素子54を装着するだけで、リード端子54aをスルーホール10cへ挿入しなくてよいので取り付けは簡単である。
【0038】
なお、ここでは、LED素子以外の部品15も第1のプレート11上で装着するようにしたが、これに限定されるものではない。部品15を事前に装着した回路基板10を搭載しても良い。
【0039】
このように、LED素子54と前記素子54以外の部品15の装着ができると、図3のように、第2のプレート12を閉じる。そして、閉じた第2のプレート12の係止片14bを第1のプレート11のクリップ14aで係止して止める。
【0040】
すると、第2のプレート12の押圧部材60が、図4に示すように、第1のプレート11のLEDホルダー50を圧するので、圧せられたLEDホルダー50を係止する係止部材52の軸53が没して、図5に示すように、前記ホルダー50に保持されたLED素子54のリード端子54aは、スルーホール10cを介して基板10のハンダ面から突出する。
【0041】
そして、回路基板10を搭載した治具全体を反転して、図6のように、第1のプレート11の開口16を上向にする。上向にした開口16には、図7のように、回路基板10のハンダ付け面が臨み、スルーホール10cからリード端子54aが突出する。このとき、係止部材52は、図6のように、LEDホルダー50を圧して落下しないように保持するので、ハンダ付けが容易にできる。また、LED素子54以外の部品15も、ピン22aが装着部品15及び回路基板10を押して落下しないように支持するので、ハンダ付けが行える。
このように、基板10に搭載されたLED素子54は、押圧部材により、落下しないように固定されるので、ハンダ付け作業が安定して確実に手間を掛けずに容易にできる。その際、LED素子54の保持と位置決めができるため、回路基板10や部品15を手で保持する必要がない。
また、LED素子54をLEDホルダー50に装着して第2のプレート12を閉じれば、基板10のスルーホール10cへのLED素子54のリード端子54aの挿通ができるので基板10への装着も容易にできる。
【0042】
なお、反転させた治具は、図6のように、第2のプレート12の支持脚21で支持することで、反転させてもその状態を安定して保持できる。例えば、ピン22aや係止片14bが突出していてもガタツクことなく、安定して保持できるので、ハンダ付け作業が安定して確実に手間なく容易に、しかも効率良くできる。
【0043】
ハンダ付けが終了すると、治具を再度反転させたのち、前記クリップ14aを解除して第2のプレート12を開けて回路基板10を取り出す。このように、回路基板10の保持と解除がワンタッチでできる。
【0044】
このように、部品15を装着してから反転するので、装着する部品15の数が多い場合や、装着する部品15のリード数が多い場合でも装着が上手くできる。そのため、ハンダ付けがミスなくできる。
【実施例1】
【0045】
実施例1は、図10のように、LEDホルダー50を圧する押圧部材60にシリンダーピン60を使用したもので、シリンダーピン60をLEDホルダー50ごとに設けたものである。
このように、押圧部材60をLEDホルダー50ごとに設けることで、各シリンダーピン60の突出量をかえられるので、LED素子54の装着時の高さを変えられるようにしたものである。
そのため、個々の部品に合せて押圧部材60を設定すれば、前記素子54の寸法誤差を吸収できる。
【符号の説明】
【0046】
10 基板
10c スルーホール
11 第1のプレート
12 第2のプレート
14a クリップ
16 開口
50 LEDホルダー
51 ベース
52 係止部材
54 LED素子
54a リード端子
54b 房出
55 溝
60 押圧部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載した回路基板のハンダ付け面を露出する開口が設けられた第1のプレートと、第1のプレートに被せる第2のプレートを有し、
前記第1のプレートには、リード端子を有するLED素子を保持するLEDホルダーと、その保持されたLED素子のリード端子が基板のスルーホールの真上に位置するようにLEDホルダーを支持する係止部材を備え、前記係止部材が、LEDホルダーを弾性部材によって進出状態に付勢された出没自在の軸で支持しており、
一方、第2のプレートには、LEDホルダーを圧する押圧部材が取り付けられているLED用ハンダ付け治具。
【請求項2】
上記LEDホルダーがLED素子を1本ごとに保持するものとした請求項1に記載のLED用ハンダ付け治具。
【請求項3】
上記押圧部材をLEDホルダーごとに配置して、LEDホルダーごとに圧するようにした請求項2に記載のLED用ハンダ付け治具。
【請求項4】
上記LED素子が、リード端子の一本の根元近傍を房出させたものとし、その房出部分にLEDホルダーの形状を合せるようにした請求項1または3のいずれかに記載のLED用ハンダ付け治具。
【請求項1】
搭載した回路基板のハンダ付け面を露出する開口が設けられた第1のプレートと、第1のプレートに被せる第2のプレートを有し、
前記第1のプレートには、リード端子を有するLED素子を保持するLEDホルダーと、その保持されたLED素子のリード端子が基板のスルーホールの真上に位置するようにLEDホルダーを支持する係止部材を備え、前記係止部材が、LEDホルダーを弾性部材によって進出状態に付勢された出没自在の軸で支持しており、
一方、第2のプレートには、LEDホルダーを圧する押圧部材が取り付けられているLED用ハンダ付け治具。
【請求項2】
上記LEDホルダーがLED素子を1本ごとに保持するものとした請求項1に記載のLED用ハンダ付け治具。
【請求項3】
上記押圧部材をLEDホルダーごとに配置して、LEDホルダーごとに圧するようにした請求項2に記載のLED用ハンダ付け治具。
【請求項4】
上記LED素子が、リード端子の一本の根元近傍を房出させたものとし、その房出部分にLEDホルダーの形状を合せるようにした請求項1または3のいずれかに記載のLED用ハンダ付け治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−159719(P2011−159719A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18871(P2010−18871)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
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