説明

LED駆動回路及びLED照明灯具

【課題】LEDのちらつきを抑えることが可能となるLED駆動回路及びLED照明灯具を提供する。
【解決手段】位相制御式調光器を介して交流電源と接続可能であってLED負荷を駆動するLED駆動回路において、LED電流制御回路と、前記LED電流制御回路の入力と基準電位間に直列接続された容量成分及び抵抗成分と、前記抵抗成分の両端に接続されるスイッチ素子と、前記位相制御式調光器がオンとなったタイミングから一定期間は前記スイッチ素子をオフとし、前記一定期間経過後は前記スイッチ素子をオンとするスイッチ制御部と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED駆動回路及びLED照明灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは低消費電流で長寿命などの特徴を有し、表示装置だけでなく照明器具等にもその用途が広がりつつある。なお、LED照明器具では、所望の照度を得るために、複数個のLEDを使用する場合が多い(例えば、特許文献1)。
【0003】
一般的な照明器具は商用AC100V電源を使用することが多く、白熱電球などの一般的な照明灯具に代えてLED照明灯具を使用する場合などを考慮すると、LED照明灯具も一般的な照明灯具と同様に商用AC100V電源を使用する構成であることが望ましい。
【0004】
また、白熱電球を調光制御しようとした場合、スイッチング素子(一般的にはサイリスタ素子やトライアック素子)を交流電源電圧の或る位相角でオンすることにより白熱電球への電源供給をボリューム素子一つで簡単に調光制御できる位相制御式調光器(一般に白熱ライコンと呼ばれている)が用いられている(例えば、特許文献2)。白熱電球を位相制御式調光器で調光する場合においても、ワット数の小さな白熱電球と調光器を接続するとチラツキや点滅が生じ正常に調光できないことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−319172号公報
【特許文献2】特開2005−26142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
交流電源使用のLED照明灯具を調光制御しようとした場合、白熱電球を調光制御しようとした場合と同様に位相制御式調光器が用いられることが望まれる。ここで、交流電源使用のLED照明灯具を調光制御することができるLED照明システムの従来例を図7に示す。
【0007】
図7に示す従来のLED照明システムは、位相制御式調光器200と、LED駆動回路300と、複数のLEDから成るLED負荷400と、を有している。LED駆動回路300は、全波整流器1と、LED電流制御回路2とを備える。交流電源100とLED電流制御回路2の間に位相制御式調光器200が直列に接続されている。位相制御式調光器200は、半固定抵抗Rvarのツマミ(不図示)がある位置に設定されると、その設定された位置に対応する電源位相角でトライアックTriをオンさせるものである。さらに、位相制御式調光器200では、コンデンサCLCとコイルLLCによる雑音防止回路が構成され、位相制御式調光器200から電源ラインに帰還する端子雑音を低減している。
【0008】
また、白熱電球を位相制御式調光器により調光する従来の白熱電球照明システムを図8に示す。また、図8に示す従来の白熱電球照明システムにおける各部電圧、電流波形を図9に示す。トライアックTriがオンする事で白熱電球500の両端電圧V3が上昇し、白熱電球500に電流I1が流れ始める。そして、交流電源電圧V1が0V付近になり、トライアックTriに流れる電流が保持電流以下になるまでトライアックTriのオンが維持される。
【0009】
位相制御調光器200内のトライアックTriがオンしたとき、コンデンサCLCに蓄えられたエネルギーがコイルLLCに流れ、共振現象が発生する。白熱電球500(図8)など電流が多く必要な負荷の場合は振動してもトライアックTriがオフにならない。しかしながら、LED負荷400(図7)のように負荷が軽い場合にはトライアックTriに流れる電流の絶対値が保持電流(例えば約10mA)以下となってトライアックTriがオフになることがある。
【0010】
共振現象などによりトライアックTriがオフになった後、トライアックTriに再度トリガ電圧がかかり、トライアックTriが同一交流半周期内(50Hzで言えば半周期の10ms以内)で再度オンとなる。このとき、トライアックTriがオンとなるタイミングが交流半周期ごとで安定せず、LED負荷400に供給されるエネルギーが安定せず、LED負荷400のちらつきが発生する。
【0011】
上記問題点に鑑み、本発明は、LEDのちらつきを抑えることが可能となるLED駆動回路及びLED照明灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、位相制御式調光器を介して交流電源と接続可能であってLED負荷を駆動するLED駆動回路において、
LED電流制御回路と、
前記LED電流制御回路の入力と基準電位間に直列接続された容量成分及び抵抗成分と、
前記抵抗成分の両端に接続されるスイッチ素子と、
前記位相制御式調光器がオンとなったタイミングから一定期間は前記スイッチ素子をオフとし、前記一定期間の経過後は前記スイッチ素子をオンとするスイッチ制御部と、
を備える構成とする。
【0013】
このような構成によれば、位相制御式調光器がオンとなったタイミングから一定期間はスイッチ素子をオフとするので、抵抗成分がアクティブとなり、位相制御式調光器がオンとなったときに発生する共振のエネルギーを容量成分と抵抗成分で消費する。従って、共振現象を抑えることができるので、位相制御式調光器がオフとなって誤動作することを抑え、LEDのちらつきを抑えることができる。また、一定期間経過後はスイッチ素子をオンとすることで、抵抗成分をバイパスさせ、容量成分によるLED電流制御回路の安定化機能を有効に働かせることができる。
【0014】
また、上記構成において、前記位相制御式調光器の出力電圧が閾値電圧以下となったことを検出する検出部を備え、前記検出がされると前記スイッチ制御部は前記スイッチ素子をオフとする構成としてもよい。
【0015】
また、上記いずれかの構成において、接続される前記位相制御式調光器に応じて前記一定期間は可変である構成としてもよい。
【0016】
また、上記いずれかの構成において、前記位相制御式調光器の出力電圧の傾きを検出する検出部を備え、前記検出部の検出信号に応じて前記一定期間は可変である構成としてもよい。
【0017】
また、本発明のLED照明灯具は、上記いずれかの構成のLED駆動回路と、前記LED駆動回路の出力側に接続されるLED負荷と、を備える構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、位相制御式調光器がオンとなったときに共振現象を抑えることができ、LEDのちらつきを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るLED照明システムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係るLED電流制御回路の一構成例を示す図である。
【図3A】第1実施例に係る調光器動作検出部及びスイッチ制御部の構成を示す図である。
【図3B】第2実施例に係る調光器動作検出部及びスイッチ制御部の構成を示す図である。
【図4A】第1実施例に係る調光器動作検出部及びスイッチ制御部の動作を示すタイミングチャートである。
【図4B】第2実施例に係る調光器動作検出部及びスイッチ制御部の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】全波整流器の出力電圧の波形の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2変形例に係る調光器動作検出部及びスイッチ制御部の構成を示す図である。
【図7】LED照明システムの従来例を示す図である。
【図8】白熱電球照明システムの従来例を示す図である。
【図9】白熱電球照明システムの従来例における各部電圧及び電流のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係るLED照明システムの構成を図1に示す。
【0021】
図1に示すLED照明システムにおけるLED駆動回路600は、全波整流器1と、LED電流制御回路2と、調光器動作検出部3と、スイッチ制御部4と、スイッチ素子MAと、放電用コンデンサCAと、放電用抵抗RAとを備えている。また、LED駆動回路600は、LED電流制御回路2へ入力電圧を入力するための入力ラインL1と、基準電位ラインL2も有している。
【0022】
LED電流制御回路2は、入力ラインL1より入力電圧を入力され、LED電流制御回路2の出力側に接続されたLED負荷400に流す電流を制御する。LED電流制御回路2の一例としてフライバック方式のコンバータを図2に示す。図2に示すLED電流制御回路2は、トランスTr20と、スイッチ素子M20と、ダイオードD20と、コンデンサC20を有している。スイッチ素子20がオンにされると、トランスTr20の1次巻線に電流が流れ、発生する磁束によりトランスTr20のコアが磁化され、トランスTr20にエネルギーが蓄えられる。このとき、トランスTr20の2次巻線には誘導電流は流れない。スイッチ素子M20がオフにされると、コアに蓄積されたエネルギーが開放され、ダイオードD20を通じてLED負荷400に電流が流れる。
【0023】
また、説明を図1に戻すと、入力ラインL1と基準電位ラインL2の間に放電用コンデンサCAと放電用抵抗RAが直列接続される。仮に放電用コンデンサCAと放電用抵抗RAを設けない場合、交流電源100の電圧V1の或る位相角で位相制御式調光器(以下、単に「調光器」と呼ぶ)200内のトライアックTriがオンとなるとき、調光器200内のコンデンサCLCに蓄積されたエネルギーが調光器200内のコイルLLCとトライアックTriの抵抗成分により放電されるが、トライアックTriの抵抗成分が小さいので(数Ω以下)、共振現象が起こる。共振現象によりトライアックTriに流れる電流が振動し、電流の絶対値が保持電流以下となったタイミングでトライアックTriがオフとなり、調光器200が誤動作する可能性がある。そこで、放電用コンデンサCAと放電用抵抗RAを設けることで、共振のエネルギーを消費させる。放電用コンデンサCAのみでは共振現象は収まらず、トライアックTriがオフすることがある。放電用抵抗RAも追加することにより損失を設けることで、共振現象を抑えることができる。
【0024】
ここで、調光器200内のコイルLLCと放電用コンデンサCAが共振現象を発生しないようにするため、下記(1)式を満たすようにする。(1)式は、コイルLLCと放電用抵抗RAと放電用コンデンサCAのみの交流等価回路(電圧源ショート)を考えて、直列LCR回路の電流が振動解とならない条件として導出される。
RA2−4×LLC/CA≧0 (1)
但し、RA:放電用抵抗RAの抵抗値(Ω)、LLC:コイルLLCのインダクタンス(μH)、CA:放電用コンデンサCAの容量(μF)
【0025】
例えば、LLC=100μH、CA=0.2μFとした場合、RAは45Ω以上に設定される。
【0026】
また、入力ラインL1と基準電位ラインL2の間に調光器動作検出部3が接続され、調光器動作検出部3の出力側にスイッチ制御部4が接続される。スイッチ制御部4の出力側には、nMOSトランジスタで構成されるスイッチ素子MAのゲートが接続される。そして、スイッチ素子MAのドレインとソースが放電用抵抗RAの両端に接続される。
【0027】
放電用コンデンサCAは、LED電流制御回路2の入力電圧を平滑化し、入力電圧の低下によるLED電流制御回路2の誤動作を防止する。即ち、放電用コンデンサCAは、LED電流制御回路2を安定化するためのコンデンサである。しかしながら、放電用抵抗RAの抵抗値が高い場合、放電用コンデンサCAから十分にエネルギーを使用できず、LED電流制御回路2の入力電圧が低下し、LED電流制御回路2の安定化機能が有効に働かない。
【0028】
そこで、調光器動作検出部3により調光器200のオン(即ちトライアックTriのオン)が検知されてから一定期間(例えば200μs)は、スイッチ制御部4によりスイッチ素子MAをオフとし、放電用抵抗RAをアクティブとし、共振現象を抑制する。そして、一定期間経過後、スイッチ制御部4によりスイッチ素子MAをオンとし、放電用抵抗RAをバイパスすることで、放電用コンデンサCAをLED電流制御回路2を安定化させるためのコンデンサとして有効に機能させる。
【0029】
ここで、調光器動作検出部3及びスイッチ制御部4の具体的な構成例について述べる。
【0030】
調光器動作検出部3及びスイッチ制御部4の第1実施例に係る構成を図3Aに示す。図3Aに示す調光器動作検出部3は、抵抗R31と、抵抗R32と、コンパレータCMP31とを有している。抵抗R31と抵抗R32は、入力ラインL1とグランドの間に直列接続される。抵抗R31と抵抗R32の接続点はコンパレータCMP31の非反転端子に入力される。即ち、全波整流器1の出力電圧V2の抵抗R31、R32による分圧がコンパレータCMP31の非反転端子に入力される。また、コンパレータCMP31の反転端子には基準電圧V31が入力される。
【0031】
例えば、抵抗R31の抵抗値を3MΩ、抵抗R32の抵抗値を300kΩ、基準電圧V31を3Vに設定したとすると、全波整流器1の出力電圧V2が閾値電圧30V以上となれば、コンパレータCMP31の出力電圧VcoはHighレベルとなる。
【0032】
スイッチ制御部4は、pMOSトランジスタで構成されるスイッチ素子M41と、nMOSトランジスタで構成されるスイッチ素子M42と、定電流源I41と、コンデンサC41と、NAND回路N41とを有している。
【0033】
コンパレータCMP31の出力は、NAND回路N41の一方の入力端に接続されると共に、スイッチ素子M41及びスイッチ素子M42のゲート同士を接続する接続点に接続される。スイッチ素子41のソースには電源電圧Vddが印加される。スイッチ素子M42のソースとグランドの間には定電流源I41が接続される。スイッチ素子M41及びスイッチ素子M42のドレイン同士を接続する接続点は、コンデンサC41の一端に接続されると共に、NAND回路N41の他方の入力端に接続される。コンデンサC41の他端はグランドに接続される。NAND回路N41の出力端は、スイッチ素子MA(図1)のゲートに接続される。
【0034】
このような構成である第1実施例に係る調光器動作検出部3及びスイッチ制御部4の動作を示すタイミングチャートを図4Aに示す。図4Aのタイミングチャートにおいて、上段から順に全波整流器1の出力電圧V2、コンパレータCMP31の出力電圧Vco及びスイッチ素子MAのオンオフ状態を示す。
【0035】
トライアックTriがオン、即ち調光器200がオンとなり出力電圧V2が立ち上がると、出力電圧V2は閾値電圧Vth以上であるので、コンパレータCMP31の出力電圧VcoはHighレベルとなる。このとき、コンデンサC41は充電されているので、NAND回路N41の2入力がいずれもHighレベルとなり、NAND回路N41の出力はLowレベルとなり、スイッチ素子MAはオンからオフへ切り替えられる。
【0036】
出力電圧VcoがHighレベルであるので、スイッチ素子M41はオフとなり、スイッチ素子M42はオンとなる。すると、定電流源I41によってコンデンサC41は放電を開始する。放電により一定期間経過後、NAND回路N41のコンデンサC41側の入力がLowレベルとなり、NAND回路N41の出力はHighレベルとなり、スイッチ素子MAはオンとなる。
【0037】
その後、出力電圧V2が閾値電圧Vth以下となると、コンパレータCMP31の出力電圧VcoがLowレベルとなり、スイッチ素子MAのオンは維持される。このとき、スイッチ素子M42はオフとなり、スイッチ素子M41がオンとなるので、電源電圧VddによりコンデンサC41は充電される。その後、調光器200のオンにより出力電圧VcoがHighレベルになると、NAND回路N41の出力はLowレベルとなり、スイッチ素子MAはオフとなる。以降、同様の繰り返し動作となる。
【0038】
このように、調光器200のオンが検知されるとスイッチ素子MAがオンからオフへ切り替えられ、放電用抵抗RAがアクティブとなり、調光器200のオンのときの共振現象を抑える。従って、トライアックTriがオフとなって調光器200が誤動作することを防止し、LEDのちらつきを抑えることができる。また、スイッチ素子MAがオフへ切り替わってから一定時間経過後、スイッチ素子MAはオンとなるので、放電用抵抗RAがバイパスされ、放電用コンデンサCAによるLED電流制御回路2の安定化機能を有効に働かせることができる。
【0039】
次に、調光器動作検出部3及びスイッチ制御部4の第2実施例に係る構成を図3Bに示す。図3Bに示す調光器動作検出部3は、上述した図3Aに示した第1実施例に係る調光器動作検出部3の構成と同様である。図3Bに示すスイッチ制御部4の構成が第1実施例と異なっている。
【0040】
図3Bに示すスイッチ制御部4は、pMOSトランジスタで構成されるスイッチ素子M43と、nMOSトランジスタで構成されるスイッチ素子M44と、定電流源I42と、コンデンサC42と、インバータINV41とを有している。
【0041】
コンパレータCMP31の出力は、スイッチ素子M43及びスイッチ素子M44のゲート同士を接続する接続点に接続される。スイッチ素子43のソースには電源電圧Vddが印加される。スイッチ素子M44のソースとグランドの間には定電流源I42が接続される。スイッチ素子M43及びスイッチ素子M44のドレイン同士を接続する接続点は、コンデンサC42の一端に接続されると共に、インバータINV41の入力端に接続される。コンデンサC42の他端はグランドに接続される。インバータINV41の出力端は、スイッチ素子MA(図1)のゲートに接続される。
【0042】
このような構成である第2実施例に係る調光器動作検出部3及びスイッチ制御部4の動作を示すタイミングチャートを図4Bに示す。図4Bのタイミングチャートにおいて、上段から順に全波整流器1の出力電圧V2、コンパレータCMP31の出力電圧Vco及びスイッチ素子MAのオンオフ状態を示す。
【0043】
まず、コンデンサC42が充電されており、インバータINV41の出力はLowレベルであり、スイッチ素子MAはオフである。そして、トライアックTriがオン、即ち調光器200がオンとなり出力電圧V2が立ち上がると、出力電圧V2は閾値電圧Vth以上であるので、コンパレータCMP31の出力電圧VcoはHighレベルとなる。このとき、スイッチ素子M43はオフとなり、スイッチ素子M44はオンとなるので、定電流源I42によりコンデンサC42から放電が開始される。このとき、スイッチ素子MAはオフを維持される。
【0044】
そして、一定期間経過後、放電によりインバータINV41の出力がHighレベルになると、スイッチ素子MAはオンとなる。その後、出力電圧V2が閾値電圧Vth以下となると、コンパレータCMP31の出力電圧VcoがLowレベルとなり、スイッチ素子M43はオンとなり、スイッチ素子M44はオフとなる。これにより、電源電圧VddによりコンデンサC42の充電が開始される。その後、充電によりインバータINV41の出力がオフとなると、スイッチ素子MAがオフとなる。
【0045】
その後、スイッチ素子MAのオフが維持され、調光器200がオンとなる。以降、同様の繰り返し動作となる。
【0046】
このように第2実施例によれば、全波整流器1の出力電圧V2が閾値電圧Vth以下となったときにスイッチ素子MAをオフとし、調光器200がオンとなって一定期間経過後、スイッチ素子MAをオンとする。これにより、調光器200がオンとなるタイミングにおいて確実にスイッチ素子MAをオフにしておくことができる。従って、調光器200がオンのタイミングにおいて確実に放電用抵抗RAをアクティブとし、共振現象を抑えることが可能となる。
【0047】
なお、第2実施例における閾値電圧Vthの設定について説明すると、トライアックTriがオフしているときにも調光器200内のコンデンサCLCの容量結合により全波整流器1の出力電圧V2は発生する。例えば、コンデンサCLCの容量を0.1μFとし、交流の周波数を60Hzとすると、コンデンサCLCのインピーダンスは、1/(2π×60Hz×0.1μF)=26kΩとなる。全波整流器1より後段部分のインピーダンスを1kΩとすると、トライアックTriがオフのときにも交流電圧の1/26の出力電圧V2が発生することになる。例えば、交流電圧の実効値が120Vの場合、120×√2/26=6.5Vの出力電圧V2が発生する。従って、出力電圧V2が6.5V以下のときは調光器200はオフしていると判断し、閾値電圧として6.5Vを設定する。なお、マージンを含めて30V〜50Vを閾値電圧としてもよい。
【0048】
<第1変形例>
また、以下のような変形例に係る実施形態も可能である。調光器200がオンのときに発生する振動現象の時間周期tlc(図5参照)は、tlc=2×π√(C×L)で表される。但し、C:放電用コンデンサCAとコンデンサCLCの合成容量(F)、L:コイルLLCのインダクタンス(H)である。
【0049】
コンデンサCLCとコイルLLCの回路定数は調光器200の種類により依存するため、調光器200の種類に応じて振動現象の時間周期tlcが変化し、ひいては振動現象の発生している時間が変化することになる。上述した実施形態における調光器200がオンとなったタイミングからのスイッチ素子MAをオフとする一定期間は、振動現象の発生している時間だけ必要である。そこで、調光器200に応じて上記一定期間を可変とする構成が望ましい。
【0050】
具体的には、調光器200内のコンデンサCLC及びコイルLLCの回路定数を検出するICを設け、検出された回路定数に応じてICがスイッチ制御部4における定電流源I41またはI42(図3A、図3B)の定電流値を可変とする構成を採ればよい。
【0051】
または、ハードスイッチを設け、接続する調光器200に応じてユーザがハードスイッチを切り替えてスイッチ制御部4における定電流源I41またはI42の定電流値を可変とする構成を採ってもよい。
【0052】
<第2変形例>
調光器200がオンとなったタイミングで全波整流器1の出力電圧V2が立ち上がるが、その傾きは調光器200内のコンデンサCLCとコイルLLCの回路定数に依存する。立ち上がりの傾きが急峻な場合は、上述した実施形態における調光器200がオンとなったタイミングからのスイッチ素子MAをオフとする一定期間を短くし、立ち上がりの傾きが緩やかな場合は、一定時間を長くすることで、一定期間を適切化できる。
【0053】
第2変形例に係る調光器動作検出部3の構成を図6に示す。図6に示す調光器動作検出部3は、上述した第1実施例(図3A)に係る調光器動作検出部3の構成に加え、微分回路を含めた構成としている。微分回路は、抵抗R33と、抵抗R34と、コンデンサC31と、抵抗R35と、オペアンプOP31とから成る。
【0054】
入力ラインL1とグランドの間に抵抗R33、R34が直列接続される。抵抗R33と抵抗R34の接続点は、コンデンサC31の一端に接続される。コンデンサC31の他端は、オペアンプOP31の反転端子に接続されると共に、抵抗R35の一端に接続される。オペアンプOP31の非反転端子には基準電圧V32が入力される。オペアンプOP31の出力端は抵抗R35の他端に接続されると共に、定電流源I41に接続される。
【0055】
調光器20がオンになったときの出力電圧V2の立ち上がりの傾きを微分回路により検出できる。そして、微分回路が出力する検出信号に応じて定電流源I41の定電流値を可変とする。これにより、接続する調光器200に応じてスイッチ素子MAをオフとする一定期間を適切化できる。
【0056】
なお、上記第2実施例(図3B)に係る調光器動作検出部3の構成に加えて微分回路を含めて調光器動作検出部3の構成とした実施形態を採用してもよい。この場合は、微分回路の検出信号に応じて定電流源I42の定電流値を可変とする。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明に係るLED駆動回路とLED負荷とを有するLED照明灯具としては、例えば、LED電球などが挙げられる。
【符号の説明】
【0058】
1 全波整流器
2 LED電流制御回路
3 調光器動作検出部
4 スイッチ制御部
100 交流電源
200 位相制御式調光器
400 LED負荷
600 LED駆動回路
CA 放電用コンデンサ
RA 放電用抵抗
MA スイッチ素子
L1 入力ライン
L2 基準電位ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相制御式調光器を介して交流電源と接続可能であってLED負荷を駆動するLED駆動回路において、
LED電流制御回路と、
前記LED電流制御回路の入力と基準電位間に直列接続された容量成分及び抵抗成分と、
前記抵抗成分の両端に接続されるスイッチ素子と、
前記位相制御式調光器がオンとなったタイミングから一定期間は前記スイッチ素子をオフとし、前記一定期間の経過後は前記スイッチ素子をオンとするスイッチ制御部と、
を備えることを特徴とするLED駆動回路。
【請求項2】
前記位相制御式調光器の出力電圧が閾値電圧以下となったことを検出する検出部を備え、前記検出がされると前記スイッチ制御部は前記スイッチ素子をオフとすることを特徴とする請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項3】
接続される前記位相制御式調光器に応じて前記一定期間は可変であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLED駆動回路。
【請求項4】
前記位相制御式調光器の出力電圧の傾きを検出する検出部を備え、前記検出部の検出信号に応じて前記一定期間は可変であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のLED駆動回路。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のLED駆動回路と、前記LED駆動回路の出力側に接続されるLED負荷と、を備えることを特徴とするLED照明灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−115003(P2013−115003A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262481(P2011−262481)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】