説明

PLA樹脂を使用した床材

【課題】環境にやさしいPLA樹脂を使用した床材について開示する。
【解決手段】本発明に係るPLA樹脂を使用した床材は、ベース層;前記ベース層の上部に形成され、上部面に印刷パターンが形成される印刷層;及び前記印刷層の上部に形成される透明層;を含み、前記ベース層、印刷層及び透明層のうち一つ以上はPLA樹脂を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材に関し、より詳細には、床材を構成するベース層、均衡層などにPLA樹脂(Polylactic acid resin)を使用し、可塑剤としてATBC(Acetyl tributyl citrate)などの環境にやさしい可塑剤を使用することによって環境にやさしい床材を具現することができ、また、溶融強度補強剤(Melt strength Enhancer)としてアクリル系共重合体を使用することによってカレンダリング、プレス加工が可能なPLA樹脂を使用した床材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル(PVC)などの石油系樹脂を使用した床材は、住宅、マンション、アパート、オフィス又は店鋪などの建築物で床材として広く用いられている。
【0003】
前記のような床材は、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂を使用して押出又はカレンダリング方式などで製造される。ところが、その原料が限定された資源である原油などから全量得られるので、石油資源の枯渇などにより、今後、原材料の需給困難などの問題が発生すると予想されている。
【0004】
また、最近高まっている環境問題に対する関心を考慮したときも、ポリ塩化ビニル(PVC)系床材は、有害物質を排出しやすく、廃棄時にも環境に負担を与えるという問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、PLA樹脂を使用して床材を構成する各層の原料物質の需給問題を解決することができ、環境にやさしい床材を具現することができるPLA樹脂を使用した床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の一実施例に係るPLA樹脂を使用した床材は、ベース層;前記ベース層の上部に形成され、上部面に印刷パターンが形成される印刷層;及び前記印刷層の上部に形成される透明層;を含み、前記ベース層、印刷層及び透明層のうち一つ以上はPLA(Polylactic acid)樹脂を含むことを特徴とする。
【0007】
前記目的を達成するための本発明の他の一実施例に係るPLA樹脂を使用した床材は、ベース層;前記ベース層の上部に形成され、上部面に印刷パターンが形成される印刷層;前記印刷層の上部に形成される透明層;及び前記ベース層の下部に形成される均衡層を含み、前記ベース層、印刷層、透明層及び均衡層のうち一つ以上はPLA樹脂を含むことを特徴とする。
【0008】
前記各実施例で、前記透明層の上部に形成される表面処理層をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るPLA樹脂を使用した床材は、バインダーとして一般的に使用する石油資源基盤のPVCの代わりに、植物資源基盤のPLA樹脂を使用することによって石油資源の枯渇による原材料需給問題を解決することができる。
【0010】
また、本発明に係るPLA樹脂を使用した床材は、ベース層、均衡層などの各層の製造時や積層時にCOなどの環境有害物質の排出が少なく、廃棄が容易であることから環境にやさしいという長所を有する。
【0011】
また、本発明に係るPLA樹脂を使用した床材は、ベース層及び均衡層に木粉及び松脂を適用して天然木の質感及び固有の木の香りを具現できるという長所を有する。
【0012】
また、本発明に適用されるPLA樹脂は、溶融強度補強剤としてアクリル系共重合体を用いた結果、溶融押出のみならず、PLA樹脂のカレンダリング又はプレス加工が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係るPLA樹脂を使用した床材の実施例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明に係るPLA樹脂を使用した床材の実施例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明に係るPLA樹脂を使用した床材の実施例を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明に係るPLA樹脂を使用した床材の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に説明している各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現される。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明に係るPLA樹脂を使用した床材について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施例に係るPLA樹脂を使用した床材を示す断面図である。
【0017】
図1に示した床材は、下側からベース層110、印刷層120及び透明層130を含む。このとき、本発明に係る床材において、ベース層110、印刷層120及び透明層130のうち一つ以上の層はPLA樹脂を含む。
【0018】
図2は、本発明の他の一実施例に係るPLA樹脂を使用した床材を示す断面図である。
【0019】
図2に示した床材は、ベース層110、印刷層120及び透明層130を含み、ベース層の下部に均衡層140をさらに含む。このとき、本発明に係る床材において、ベース層110、印刷層120、透明層130及び均衡層140のうち一つ以上の層はPLA樹脂を含む。
【0020】
PLA樹脂は、ラクチド又は乳酸の熱可塑性ポリエステルであって、製造例を挙げると、トウモロコシ、ジャガイモなどから抽出した澱粉を醗酵させて製造される乳酸を重合させて製造することができる。前記トウモロコシ、ジャガイモなどは、再生可能な植物資源であるので、これらから確保できるPLA樹脂は、石油資源の枯渇による問題に効果的に対処することができる。
【0021】
また、PLA樹脂は、使用又は廃棄過程でCOなどの環境有害物質の排出量がポリ塩化ビニル(PVC)などの石油基盤素材に比べて遥かに少なく、廃棄時にも自然環境下で容易に分解できる環境にやさしい特性を有する。
【0022】
PLA樹脂は、結晶質PLA(c―PLA)樹脂と非晶質PLA(a―PLA)樹脂とに区分することができる。このとき、結晶質PLA樹脂の場合、可塑剤がシートの表面に流れ出るブリーディング(bleeding)現象が発生し得るので、非晶質PLA樹脂を用いることが望ましい。非晶質PLA樹脂を用いる場合、ブリーディング現象を防止するために必ず添加されていた相容化剤が添加されなくてもよいという長所がある。非晶質PLA樹脂を用いる場合、PLA樹脂としては100%の非晶質PLA樹脂を用いることが最も望ましく、必要に応じては、結晶質と非晶質とが共存するPLA樹脂を用いることができる。
【0023】
ベース層110、印刷層120、透明層130及び均衡層140のうちPLA樹脂を含む層の場合、PLA樹脂には、非フタレート系可塑剤や、溶融強度補強剤としてアクリル系共重合体を含ませることができる。
【0024】
前記非フタレート系可塑剤は、環境にやさしい可塑剤であって、PLA樹脂を軟化して熱可塑性を増大させることによって高温での成形加工を容易にする。このような非フタレート系可塑剤としてATBC(Acetyl tributyl citrate)などを提示することができる。
【0025】
非フタレート系可塑剤は、ベース層110の場合、PLA樹脂100重量部に対して5〜100重量部の比率で使用することが望ましく、印刷層120及び均衡層140の場合、PLA樹脂100重量部に対して5〜60重量部の比率で使用することが望ましく、透明層130の場合、PLA樹脂100重量部に対して5〜50重量部の比率で使用することが望ましい。
【0026】
各層でPLA樹脂100重量部に対して5重量部未満で非フタレート系可塑剤を使用する場合、PLA樹脂の硬度が高くなり、加工性が低下するおそれがあり、各層で与えられた比率を超えて非フタレート系可塑剤を使用する場合、他の成分との相溶性低下によって物性が劣化するおそれがある。
【0027】
アクリル系共重合体は、溶融強度補強剤(melt strength enhancer)として使用される。PLA樹脂は、それ自体は溶融強度又は耐熱性が弱く、アクリル系共重合体は、このようなPLA樹脂の短所を補完して溶融強度を補完するだけでなく、カレンダリング、プレス加工も可能にした。
【0028】
このようなアクリル系共重合体は、ベース層110、印刷層120、透明層130及び均衡層140に共通して、PLA樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の比率で添加することができる。アクリル系共重合体の含量が0.1重量部未満である場合、PLA樹脂の溶融効率及び溶融強度改善効率の向上が不十分であり、アクリル系共重合体の含量が20重量部を超える場合、床材を構成する各層の製造費用が上昇し、各層を構成する他の物質との相溶性問題などによって各層の全体的な物性が低下するおそれがある。
【0029】
また、ベース層110、印刷層120、透明層130及び均衡層140のうちPLA樹脂を含む層の場合、PLA樹脂に活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤などを1種以上さらに添加することができる。
【0030】
前記活剤(Lubricant)は、前記PLA樹脂のカレンダリング、プレスなどの加工過程で、樹脂がカレンダーロール又はプレスにくっ付くことを防止するために添加される。
【0031】
このような活剤には多様な種類があるが、本発明では、活剤として環境にやさしい高級脂肪酸を使用し、例えば、炭素数18の飽和高級脂肪酸であるステアリン酸などを提示することができる。
【0032】
前記活剤は、ベース層110、印刷層120、透明層130及び均衡層140に共通して、PLA樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部で添加することが望ましい。活剤の使用量がPLA樹脂100重量部に対して0.01重量部未満であると、活剤使用効果を得ることができなく、活剤の使用量がPLA樹脂100重量部に対して10重量部を超えると、PLA樹脂の耐衝撃性、耐熱性、光沢度などを劣化させるおそれがある。
【0033】
前記鎖延長剤(chain extender)は、鎖延長を通して分子量を増加させ、引張強度、耐熱性などを向上させる役割をする。
【0034】
このような鎖延長剤としては、ジイソシアネート、エポキシグループ共重合体、ヒドロキシカルボン酸化合物などを用いることができるが、必ずこれに限定されることはない。
【0035】
前記鎖延長剤は、ベース層110、印刷層120、透明層130及び均衡層140に共通して、PLA樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部で添加されることが望ましい。PLA樹脂で鎖延長剤の使用量がPLA樹脂100重量部に対して0.01重量部未満であると、鎖延長剤の使用による効果を得ることができなく、鎖延長剤の使用量がPLA樹脂100重量部に対して10重量部を超えると、PLA樹脂の光沢度などが低下するおそれがある。
【0036】
前記耐加水分解剤は、PLA樹脂の加水分解によって耐衝撃性などの機械的物性が低下することを防止する役割をする。
【0037】
このような耐加水分解剤(anti-hydrolysis agent)は、ポリカルボジイミド、カルボジイミド、オキサゾリンなどの通常の耐加水分解剤として利用可能なものであれば制限なく用いることができる。
【0038】
このような耐加水分解剤は、ベース層110、印刷層120、透明層130及び均衡層140に共通して、PLA樹脂100重量部に対して10重量部以下の範囲内で添加されることが望ましい。耐加水分解剤がPLA樹脂100重量部に対して10重量部を超える場合、成形加工性が低下するだけでなく、高価であるため製造費用が大幅に上昇し得る。
【0039】
一方、PLA樹脂が印刷層120に適用される場合、各層には補強用無機系フィラーである炭酸カルシウム(CaCO)や、審美性付与などの目的のための白色顔料として二酸化チタン(TiO)をさらに添加することができる。
【0040】
炭酸カルシウムの場合、ベース層110にはPLA樹脂100重量部に対して1,000重量部以下、印刷層120にはPLA樹脂100重量部に対して100重量部以下、均衡層140にはPLA樹脂100重量部に対して500重量部以下でそれぞれ使用されることが望ましい。また、二酸化チタンの場合、印刷層120にPLA樹脂100重量部に対して50重量部以下で使用されることが望ましい。炭酸カルシウムや二酸化チタンが前記範囲を超えて使用される場合、他の各成分の結合力が低下し、加工性が低下するおそれがある。
【0041】
また、ベース層110又は均衡層140には、天然木の質感及び固有の木の香りを付与するための木粉や松脂をさらに添加することができる。
【0042】
木粉の場合、ベース層110と均衡層140に共通して、PLA樹脂100重量部に対して200重量部以下で添加されることが望ましく、松脂の場合、ベース層110と均衡層140に共通して、PLA樹脂100重量部に対して20重量部以下で添加されることが望ましい。木粉と松脂の場合、ベース層110と均衡層140に多く含まれるほど天然木の質感などをさらに付与できるが、前記範囲を超えて添加する場合、これ以上の天然質感効果の上昇がなく、却って成形性が低下するおそれがある。
【0043】
以下、図1及び図2に示したベース層110、印刷層120、透明層130及び均衡層140についてそれぞれ説明する。
【0044】
本発明で、ベース層110は、床材の最も基本になる層であって、上部の印刷層120及び透明層130を支持し、上部や下部の衝撃を吸収する役割をする。
【0045】
このようなベース層110は、1.0〜5.0mmの厚さを有することが望ましい。ベース層110の厚さが1.0mm以下である場合、前記各機能を確実に行うことができなく、ベース層110の厚さが5.0mmを超える場合、多くのPLA樹脂などの使用によって床材の製造費用が上昇するようになる。
【0046】
前記ベース層110には、上述したように、非フタレート系可塑剤、アクリル系共重合体などを含むPLA樹脂を用いることができ、PLA樹脂には、活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤、炭酸カルシウム、木粉、松脂などを単独で又は2種以上さらに添加することができる。
【0047】
本発明で、ベース層110の上部に形成される印刷層120は、PLA樹脂を含んで形成することができ、上部表面に転写印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、ロータリー印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの多様な方式でパターンを形成することによって床材の審美性を付与する役割をする。
【0048】
前記印刷層120には、非フタレート系可塑剤、アクリル系共重合体などを含有するPLA樹脂を用いることができ、PLA樹脂には、活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどを単独で又は2種以上さらに添加することができる。
【0049】
このような印刷層120は、0.01〜0.3mmの厚さを有することが望ましい。印刷層120の厚さが0.01mm未満である場合、印刷が難しくなり、印刷層120の厚さが0.3mmを超える場合、床材の製造費用が上昇するようになる。
【0050】
本発明で、印刷層120の上部に形成される透明層130は、印刷層130上に形成されて体積感を付与し、印刷層120の上部面に形成されたパターンなどを保護する役割をする。
【0051】
本発明で、透明層130には、上述したように、非フタレート系可塑剤、アクリル系共重合体などを含有するPLA樹脂を用いることができ、活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤などをさらに含むことができる。
【0052】
このような透明層130は、0.10〜1.0mmの厚さを有することが望ましい。透明層が0.10mm未満の厚さを有する場合、印刷層に形成されたパターンを効果的に保護することができなく、体積感が低下する。一方、透明層の厚さが1.0mmを超える場合、これ以上の効果上昇がなく、床材の製造費用が上昇するようになる。
【0053】
本発明で、均衡層140は、施工時に床面との接着が行われる部分であって、床材の表面とは反対の裏面を保護し、上部や下部の衝撃を吸収する役割をする。
【0054】
このような均衡層140は、非フタレート可塑剤、アクリル系共重合体、活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤などが添加されたPLA樹脂で形成することができる。また、均衡層には、炭酸カルシウム、木粉、松脂などを1種以上さらに含ませることができる。このような均衡層140は、0.10〜2.0mmの厚さを有すると、床材の構造安定性を維持するのに最も望ましい。均衡層140の厚さが0.10mm未満であると、床材の裏面保護効果や衝撃吸収効果がよく示されなく、均衡層140が2.0mmを超える場合、製造費用が上昇し得る。
【0055】
図3及び図4は、本発明の更に他の一実施例に係るPLA樹脂を使用した床材の断面図であって、それぞれ図1及び図2に示した床材の表面に表面処理層150が形成されたことを示す。
【0056】
本発明で、表面処理層150は、床材の耐スクラッチ性や耐磨耗性などの表面品質を向上させ、耐汚染性を改善して掃除を容易にする目的などのために透明層130上に形成される。このような表面処理層150は、ポリウレタン、ウレタンアクリレート、ワックスなどを含むことができる。
【0057】
表面処理層130の形成方法には多様な方法がある。例えば、ウレタンアクリレートを用いる場合、ウレタンアクリレートUV硬化型組成物をウッドチップインレイド層120上に塗布し、紫外線照射を通して硬化させて形成することができる。また、熱硬化性のワックスをウッドチップインレイド層120上に塗布し、熱風オーブンに通過させながら硬化させて形成することができる。
【0058】
前記表面処理層150は、0.01〜0.1mmの厚さを有することが望ましい。表面処理層150が0.01mm未満の厚さで形成される場合、耐スクラッチ性などの物性向上効果を期待しにくく、また、表面処理層150が0.1mmを超える場合、表面処理層の形成に過多な製造費用がかかり、床材の外観特性を低下させるという問題がある。
【0059】
本発明で、カレンダリング工法などを適用してPLA樹脂を含むベース層などを製造する方法は特別に制限されなく、例えば、上述したPLA樹脂を含む各原料を混合及び混練した後、所望のシート状にカレンダリング成形する過程を通して製造することができる。
【0060】
前記原料の混合及び混練工程は、例えば、液状又は粉末状の原料をスーパーミキサー、押出機、混練機(kneader)、2本又は3本ロールなどを使用して行うことができる。また、原料の混合及び混練工程では、より効率的な混合のために、配合された原料をバンバリーミキサー(banbury mixer)などを使用して120〜200℃程度の温度で混練し、混練された原料を120〜200℃程度の温度で2本ロールなどを使用して1次及び2次ミキシングする方式のように、前記混合及び混練工程を多段階で繰り返して行うこともできる。
【0061】
一方、前記のように混合された原料をカレンダリング工法に適用してシート状のベース層などを製造する方法も特別に制限されなく、例えば、逆L型4本ロールカレンダーなどの通常の装置を使用して製造することができる。
【0062】
また、前記カレンダリング加工条件は、使用される樹脂組成物の組成などを考慮して適宜選択することができ、約120〜200℃程度の加工温度の範囲内でカレンダリング加工を実施することができる。
【0063】
実施例及び比較例による床材の製造
以下では、本発明の好適な実施例に係る床材の製造例及び比較例に係る製造例を提示する。ただし、これは、本発明の望ましい例示として提示されたもので、これによって本発明が制限されることはない。
【0064】
ここに記載されていない内容は、この技術分野で熟練した者であれば、十分に技術的に類推可能であるので、それについての説明は省略する。
【0065】
透明層の製造
(1)カレンダリング工法による透明層の製造
PLA樹脂、鎖延長剤、耐加水分解剤、可塑剤、溶融強度補強剤及び活剤を添加した後、バンバリーミキサーで140℃で混練した後、140℃の2本ロールを使用して1次及び2次ミキシングした。その後、製造された原料を130℃の温度でカレンダリング加工し、厚さが約0.5mmのシートを製造した。
【0066】
(2)押出工法による透明層の製造
【0067】
PLA樹脂、鎖延長剤、耐加水分解剤及び可塑剤を配合した後、押出する方法で厚さが約0.5mmの透明層を製造した。
【0068】
印刷層の製造
【0069】
PLA樹脂、可塑剤、溶融強度補強剤、活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤、炭酸カルシウム、二酸化チタンを配合した後、前記透明層製造過程のカレンダリング加工と同一の過程で加工し、厚さが約0.2mmの白色シートを製造した。
【0070】
ベース層の製造
PLA樹脂、可塑剤、溶融強度補強剤、活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤、炭酸カルシウム、木粉及び松脂を配合した後、前記透明層製造過程のカレンダリング加工と同一の過程で加工し、厚さが約2mmのシートを製造した。
【0071】
均衡層の製造
PLA樹脂、可塑剤、溶融強度補強剤、活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤、炭酸カルシウム、木粉及び松脂を配合した後、前記透明層製造過程のカレンダリング加工と同一の過程で加工し、厚さが約0.7mmのシートを製造した。
【0072】
表面処理層の形成
前記の製造されたベース層の上部及び下部にそれぞれ印刷層及び均衡層を熱合板したシート印刷層の上部に転写印刷をし、その上部に透明層を積層した後、エムボシングロールを用いてエンボスした透明層の表面にウレタンアクリレート系UV硬化型塗料を塗布し、紫外線を照射して厚さが約0.05mmの表面処理層を形成することによって最終的な床材を製造することができた。本実施例では、透明層、印刷層、ベース層及び均衡層がPLA樹脂を基盤として製造された。
【0073】
各実施例及び比較例による床材の製造においては、透明層、印刷層、ベース層、均衡層を全て製造したり、物性評価のために一部の層のみを製造した。ここで、透明層、印刷層、ベース層、均衡層の組成は、下記の表1及び表2(PLA100重量部基準)に示す通りであり、各実施例及び比較例で使用された可塑剤、溶融強度補強剤、活剤、鎖延長剤、耐加水分解剤は下記の表3に示す通りである。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
前記実施例及び比較例によって製造された床材を下記の項目に対して評価した。評価結果は、下記の表4及び表5に示す通りである(相対評価をし、5点を満点とする)。
【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
以上、本発明の実施例を中心に説明したが、これは、例示的なものに過ぎなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する技術者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解するだろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、以下で記載される特許請求の範囲によって判断されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層;
前記ベース層の上部に形成され、上部面に印刷パターンが形成される印刷層;及び
前記印刷層の上部に形成される透明層;を含み、
前記ベース層、印刷層及び透明層のうち一つ以上はPLA樹脂を含むことを特徴とするPLA樹脂を使用した床材。
【請求項2】
ベース層;
前記ベース層の上部に形成され、上部面に印刷パターンが形成される印刷層;
前記印刷層の上部に形成される透明層;及び
前記ベース層の下部に形成される均衡層;を含み、
前記ベース層、印刷層、透明層及び均衡層のうち一つ以上はPLA樹脂を含むことを特徴とするPLA樹脂を使用した床材。
【請求項3】
前記透明層の上部に形成される表面処理層をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項4】
前記PLA樹脂には、非フタレート系可塑剤、溶融強度補強剤としてアクリル系共重合体、活剤、鎖延長剤及び耐加水分解剤のうち一つ以上が添加されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項5】
前記PLA樹脂には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、木粉、二酸化チタン及び松脂のうち一つ以上がさらに添加されていることを特徴とする、請求項4に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項6】
前記透明層は、前記PLA樹脂100重量部に対して、非フタレート系可塑剤5〜50重量部及びアクリル系共重合体0.1〜20重量部を含むことを特徴とする、請求項4に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項7】
前記透明層は、前記PLA樹脂100重量部に対して、活剤0.01〜10重量部、鎖延長剤0.01〜10重量部及び耐加水分解剤10重量部以下のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項8】
前記透明層は0.10〜1.0mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項9】
前記印刷層は、前記PLA樹脂100重量部に対して、非フタレート系可塑剤5〜60重量部及び溶融強度補強剤0.1〜20重量部を含むことを特徴とする、請求項4に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項10】
前記印刷層は、前記PLA樹脂100重量部に対して、活剤0.01〜10重量部、鎖延長剤0.01〜10重量部、耐加水分解剤10重量部以下、炭酸カルシウム(CaCO)100重量部以下、及び二酸化チタン(TiO)50重量部以下のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項11】
前記印刷層は0.01〜0.3mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項12】
前記ベース層は、前記PLA樹脂100重量部に対して、非フタレート系可塑剤5〜100重量部及びアクリル系共重合体0.1〜20重量部を含むことを特徴とする、請求項4に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項13】
前記ベース層は、前記PLA樹脂100重量部に対して、活剤として高級脂肪酸0.01〜10重量部、鎖延長剤0.01〜10重量部、耐加水分解剤10重量部以下、炭酸カルシウム1,000重量部以下、木粉200重量部以下、及び松脂20重量部以下のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項14】
前記ベース層は1.00〜5.0mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項15】
前記均衡層は、前記PLA樹脂100重量部に対して、非フタレート系可塑剤5〜60重量部及びアクリル系共重合体0.1〜20重量部を含むことを特徴とする、請求項4に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項16】
前記均衡層は、前記PLA樹脂100重量部に対して、活剤0.01〜10重量部、鎖延長剤0.01〜10重量部、耐加水分解剤10重量部以下、炭酸カルシウム500重量部以下、木粉200重量部以下、及び松脂20重量部以下のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項17】
前記均衡層は0.10〜2.0mmの厚さを有することを特徴とする、請求項2に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項18】
前記表面処理層は、ポリウレタン、ウレタンアクリレート又はワックスで形成されることを特徴とする、請求項3に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項19】
前記表面処理層は0.01〜0.1mmの厚さを有することを特徴とする、請求項3に記載のPLA樹脂を使用した床材。
【請求項20】
前記PLA樹脂は非晶質PLA樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPLA樹脂を使用した床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−513744(P2013−513744A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544406(P2012−544406)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001812
【国際公開番号】WO2011/115413
【国際公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】One IFC Building,10 Gukjegeumyung−ro,Yeongdeungpo−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】