説明

PTP包装機のカバー開閉機構及びPTP包装機

【課題】ガススプリングの油液などが製品等に付着することのないPTP包装機のカバー開閉機構を提供する。
【解決手段】PTP包装機1は、ポケット部が形成される包装用フィルム等を搬送するためのローラなどを含む搬送機構が配設されてなる壁部11を備えており、PTP包装機1では、壁部11の搬送機構により壁部11の正面側の搬送経路C上を包装用フィルム等が搬送される。ここで、背面壁部13の最上部の開閉軸13aを回動中心として位置変化する跳ね上げ式のカバー41を設け、このカバー41の位置変化を補助するガススプリング51を、その本体部51cが壁部11の背面側に位置するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートを製造するためのPTP包装機に係り、特に、PTP包装機の筐体に設けられるカバー開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
PTP包装機は、PTPシートを製造するための様々な機構を備えており、これらの機構により、帯状の包装用フィルムからPTPシートが打ち抜かれて製造される。
【0003】
このようなPTP包装機は、上記包装用フィルムの搬送方向を長手方向とする筐体を備えている。この筐体の正面側上部には、跳ね上げ式のカバーが設けられている。そして、跳ね上げ式のカバーの開閉機構は、開閉操作を補助するために、通常、ガススプリングを具備している。ガススプリングを用いることで、開閉に要する操作力を軽減したり、カバーの開閉位置を保持したりすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−133160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PTP包装機におけるガススプリングの配置は、従来、図6に示すごとくとなっている。図6は、ガススプリングによるカバー開閉機構を側面方向から見た模式的な断面図である。
【0005】
PTP包装機100は、上記包装用フィルムの搬送方向にフレームと呼ばれる壁部101を備えており、この壁部101に、フィルム等の搬送を行うためのローラなどが支持されている。そして、この壁部101よりも正面側(同図中の左側)において、包装用フィルム等が搬送される。この搬送経路を記号Cで示した(図中では、搬送経路Cは紙面と直交する方向に延びている)。
【0006】
そして、この壁部101から正面側へ突出して設けられた接続部102に、ガススプリング103の支点側の端部103aが連結され、さらに正面側のカバー104の下面に設けられた接続部104aに、ガススプリング103の作用点側の端部103bが連結されている。すなわち、ガススプリング103の本体部103cは、搬送経路Cの上方に配置されている。そのため、故障等によってガススプリング103内部の油液が外部へ漏れ出した場合など、ガススプリング103の油液が搬送経路C(すなわちフィルム上)に落下するおそれがあり、搬送経路C上を搬送される製品等に付着してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ガススプリングの油液などが製品等に付着することのないPTP包装機のカバー開閉機構及びPTP包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.種々の機構が配設されてなる壁部を有し、前記機構により前記壁部の正面側の搬送経路上を製品関連物が搬送されるPTP包装機に備えられ、
少なくとも前記壁部の正面側において筐体の一部をなし、開閉軸を回動中心とする開閉操作により位置変化可能な跳ね上げ式カバーと、
前記跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングとを備え、
前記ガススプリングは、その本体部が前記搬送経路の前記壁部側の縁部よりも背面側に位置するよう配置されていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【0010】
手段1によれば、壁部の正面側の搬送経路上を製品関連物が搬送されるPTP包装機を前提とし、跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングを、その本体部が搬送経路の壁部側の縁部よりも背面側に位置するように配置している。これにより、ガススプリングの油液が搬送経路に落下することがなく、搬送経路上を搬送される製品関連物に付着することがなくなる。
【0011】
なお、製品関連物としたのは、包装用フィルム、カバーフィルム、錠剤など、製品であるPTPシートの製造に関連する種々の物を含む趣旨である(以下の手段でも同様)。
【0012】
手段2.種々の機構が配設されてなる壁部を有し、前記機構により前記壁部の正面側の搬送経路上を製品関連物が搬送されるPTP包装機に備えられ、
少なくとも前記壁部の正面側において筐体の一部をなし、開閉軸を回動中心とする開閉操作により位置変化可能な跳ね上げ式カバーと、
前記跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングとを備え、
前記ガススプリングは、その支点及び作用点が前記搬送経路の前記壁部側の縁部よりも背面側に位置するよう配置されていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【0013】
手段2によれば、跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングを、その支点及び作用点が搬送経路の壁部側の縁部よりも背面側に位置するように配置している。これにより、ガススプリングからの油液が搬送経路に落下することがなく、搬送経路上を搬送される製品関連物に付着することがなくなる。
【0014】
手段3.ポケット部が形成される包装用フィルム及び包装用フィルムに取着されるカバーフィルムのうち少なくとも一方からなる製品関連物を搬送するためのローラを含む搬送機構が配設されてなる壁部を有し、前記機構により前記壁部の正面側の搬送経路上を前記製品関連物が搬送されるPTP包装機に備えられ、
少なくとも前記壁部の正面側において筐体の一部をなし、開閉軸を回動中心とする開閉操作により位置変化可能な跳ね上げ式カバーと、
前記跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングとを備え、
前記ガススプリングは、その本体部が前記壁部の背面側に位置するよう配置されていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【0015】
手段3では、壁部に配設される搬送機構が、ポケット部が形成される包装用フィルム及び包装用フィルムに取着されるカバーフィルムのうち少なくとも一方からなる製品関連物を搬送するためのローラを含んでいる。ポケット部が形成され「る」としたのは、ポケット部の形成が予定されるポケット部未形成の包装用フィルム及び、既にポケット部が形成されたポケット部形成済の包装用フィルムを含む趣旨である(以下の手段でも同様)。
【0016】
手段3によれば、跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングを、その本体部が壁部の背面側に位置するように配置している。これにより、ガススプリングからの油液が搬送経路に落下することがなく、搬送経路上を搬送される製品関連物に付着することがなくなる。
【0017】
手段4.ポケット部が形成される包装用フィルム及び包装用フィルムに取着されるカバーフィルムのうち少なくとも一方からなる製品関連物を搬送するためのローラを含む搬送機構が配設されてなる壁部を有し、前記機構により前記壁部の正面側の搬送経路上を前記製品関連物が搬送されるPTP包装機に備えられ、
少なくとも前記壁部の正面側において筐体の一部をなし、開閉軸を回動中心とする開閉操作により位置変化可能な跳ね上げ式カバーと、
前記跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングとを備え、
前記ガススプリングは、その支点及び作用点が前記壁部の背面側に位置するよう配置されていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【0018】
手段4によれば、跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングを、その支点及び作用点が壁部の背面側に位置するように配置している。これにより、ガススプリングからの油液が搬送経路に落下することがなく、搬送経路上を搬送される製品関連物に付着することがなくなる。
【0019】
手段5.手段1乃至4のいずれかに記載のカバー開閉機構において、
前記跳ね上げ式カバーは、前記壁部の壁面に略平行な開閉軸を回動中心として位置変化するよう構成されており、
前記ガススプリングは、その作用点となる先端部が前記搬送経路の前記壁部側の縁部よりも背面側における前記跳ね上げ式カバーの下部に連結されてなることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【0020】
具体的には手段5に示すように、ガススプリングの作用点となる先端部を搬送経路の壁部側の縁部よりも背面側における跳ね上げ式カバーの下部に連結するようにすれば、少なくとも搬送経路の壁部側の端部よりも背面側に作用点が位置することになる。この作用点に対し、ガススプリングの支点となる基端部を適切な位置に連結することにより、上記効果が確実に奏される。
【0021】
手段6.手段1乃至4のいずれかに記載のカバー開閉機構において、
前記跳ね上げ式カバーは、前記壁部の壁面に略平行な開閉軸を回動中心として位置変化するよう構成されており、
前記ガススプリングは、その長手方向が前記壁部の壁面に略平行となるよう配置されており、その作用点となる先端部がリンクを介して前記跳ね上げ式カバーの下部に連結されてなることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【0022】
手段6によれば、ガススプリングをその長手方向が壁部の壁面に略平行となるように配置しているため、壁部の背面側の奥行きが比較的小さい場合であっても、ガススプリングを配置することが可能となる。また、リンクを介してガススプリングを連結しているため、壁部の壁面に略平行にガススプリングを配置したとしても、ガススプリングの機能が損なわれることがない。
【0023】
手段7.手段1乃至6のいずれかに記載のガススプリングにおいて、
前記一の跳ね上げ式カバーに対し、複数のガススプリングを備えていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【0024】
手段7によれば、一の跳ね上げ式カバーに対して複数のガススプリングを備えているため、適宜の設計により、より適切で、かつ、よりスムーズな開閉動作を実現することができる。
【0025】
手段8.手段1乃至7のいずれかに記載のカバー開閉機構において、
前記ガススプリングは、前記跳ね上げ式カバーが開状態にあるときは当該開状態を維持し、前記跳ね上げ式カバーが閉状態にあるときは当該閉状態を維持することを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【0026】
手段1などにおいては例えば、ガススプリングは、跳ね上げ式カバーの開状態を維持し、閉状態を維持しないものとしてもよい。この場合、閉状態の維持は、例えば物理的なロック機構で行うようにすることが考えられる。この点、手段8によれば、ガススプリングによって跳ね上げ式カバーの開状態及び閉状態の両方の状態が維持されるため、跳ね上げ式カバーの操作性を向上させることができる。また、閉状態を維持するための機構を設ける必要がなくなるため、開閉機構を構成するにあたって部品点数を減少させることができる。
【0027】
なお、以上はカバー開閉機構の発明として説明してきたが、次に示すように、上記カバー開閉機構を具備してなるPTP包装機の発明として具現化することもできる。
【0028】
手段9.請求項1乃至8のいずれかに記載のカバー開閉機構を具備してなることを特徴とするPTP包装機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第1実施形態]
図1は、PTPシートを製造するためのPTP包装機1の外観を示す模式図である。
【0030】
PTP包装機1は、PTPシートを製造するための様々な機構を備えており、これらの機構により、帯状の包装用フィルムからPTPシートが打ち抜かれて製造される。詳しくは、ロール状に巻回された包装用フィルムが、PTP包装機1内で搬送されるようになっており、包装用フィルムの搬送経路に沿って各種工程を経る。すなわち、まず第1に包装用フィルムにポケット部が成形され、次に錠剤が各ポケット部に充填される。続いて、包装用フィルムにカバーフィルムが貼着される。その後、所定位置にスリットが形成され、ロットナンバー等の識別情報を示す刻印が付されて、PTPシート単位に打ち抜かれる。
【0031】
PTP包装機1は、上述した包装用フィルムの搬送方向を長手方向とする筐体10を備え、筐体10の上部には、制御盤20やモニタ装置30等が配置されている。この筐体10の内部には、上述したようなPTPシートの製造に係る各種機構が収納配置されている(各機構の詳細については図示を省略する)。ここで制御盤20が、PTP包装機1の制御を司り、この制御盤20による制御状態をモニタするのが、モニタ装置30である。
【0032】
PTP包装機1(筐体10)の正面側には、複数枚の扉Tやカバー等が設けられている。特に、長手方向における上記制御盤20の反対側には、跳ね上げ式のカバー41,42,43が設けられている。本実施形態は、これらカバー41〜43の開閉機構に特徴を有するものである。そこで、次にカバー41の開閉機構について説明する。なお、ここではカバー41を例に挙げて説明するが、残りのカバー42,43も同様である。
【0033】
図2は、カバー41の開閉機構をPTP包装機1の側面方向から見た場合の模式的な断面図である。
【0034】
図2に示すように、PTP包装機1は、前後方向(図2の左右方向)における略中央に立設された壁部11を備えている。壁部11はPTP包装機1の長手方向(図1の左右方向)に連続して設けられており、この壁部11に、上記PTPシートの製造に係る各種機構(不図示)が配設されている。例えば包装用フィルム等を搬送するためのローラ等の機構が含まれる。
【0035】
壁部11の正面側(図2の左側)には、壁部11にその一端部を当接させるようにして棚部12が水平に設けられており、この棚部12上方の搬送経路C上を、上記包装用フィルム等が搬送される。また、壁部11の背面側(図2の右側)には、壁部11と平行に背面壁部13が立設されている。
【0036】
上記カバー41は、背面壁部13の最上部の開閉軸13aを軸心として、開閉可能に支持されている。カバー41は、閉時において上記棚部12の正面側端部12aにその先端を当接させるようにしてPTP包装機1の正面及び上方を覆うカバーであり、PTP包装機1の筐体10の一部をなしている。カバー41の正面には、ガラス部分41aが設けられており、カバー41を閉じた状態において、搬送経路C上を搬送される包装用フィルム等を外部から視認できるようになっている。また、ガラス部分41aの下方には、取っ手41bが設けられている。この取っ手41bを把持することによってカバー41の開閉操作が可能となっており、この開閉操作により、カバー41は開閉軸13aを回動中心として位置変化可能となっている。尚、カバー41が引き上げられた様子(カバー41の開状態)を、図中に二点鎖線で示した。
【0037】
本実施形態では、このようなカバー41の位置変化を補助するために、ガススプリング51が設けられている。具体的に、上記背面壁部13には、正面側へ突出する背面接続部14が設けられており、ガススプリング51の支点となる基端部51aが、この背面接続部14に回動可能に支持されている。また、上記カバー41の下面には下面接続部41cが設けられており、ガススプリング51の作用点となる先端部51bが、この下面接続部41cに回動可能に支持されている。
【0038】
下面接続部41cは壁部11よりも背面側におけるカバー41の下面に設けられている。したがって、ガススプリング51の支点及び作用点は、上記壁部11の背面側に位置する。言い換えれば、ガススプリング51は、その本体部51cが壁部11よりも背面側に位置するように配置されている。
【0039】
かかる構成の下、閉状態にあるカバー41を上記取っ手41bを把持して引き上げると、ガススプリング51のピストンロッド51dが突出することにより、図中に二点鎖線で示すようにカバー41が開状態となり、その状態が保持される。また、開状態にあるカバー41を取っ手41bを把持して引き下げると、ガススプリング51のピストンロッド51dが没入することにより、カバー41が閉状態となり、その状態が保持される。また、ガススプリング51の作用により、カバー41の開閉操作に要する力が軽減され、スムーズな開閉操作が実現される。
【0040】
以上詳述したように、本実施形態では、ガススプリング51の支点及び作用点が壁部11の背面側に位置するように、ガススプリング51が配置されている。これにより、ガススプリング51の油液が搬送経路Cに落下することがなく、搬送経路C上を搬送される包装用フィルム等に油液が付着することがなくなる。
[第2実施形態]
本第2実施形態は、第1実施形態とは、上記開閉機構が相違するものである。以下には、上記第1実施形態との相違点を、図3及び図4を参照しつつ説明する。図3は、カバー41A(第1実施形態のカバー41に相当)の開閉機構を側面方向から見た場合の模式的な断面図である。図4は、カバー41Aの開閉機構の正面図である。
【0041】
本実施形態は、PTP包装機の筐体の奥行きが比較的小さい場合の開閉機構を示すものである。すなわち、図3に示すように、壁部11と背面壁部13との距離が比較的短くなっている場合を想定している。
【0042】
そして、本実施形態においては、ガススプリング52は、その長手方向が壁部11の壁面に略平行となるように配置されている。
【0043】
また、図3及び図4に示すように、壁部11の背面側に、断面コ字形状の取付部61が設けられている。この取付部61の背面に、ボルト等により、基端側支持軸62が固着されている。さらに、壁部11には、正面から見て取付部61の左上方に、リンク支持軸63がボルト等によって固着されている。そして、このリンク支持軸63には、リンク64が回動可能に支持されている。リンク64は、正面視L字形状の部材であり、直角となったコーナー部分よりも一方の端部側へ若干ずれた位置を回動中心として、上記リンク支持軸63に対し回動可能に支持されている。リンク64の一方の端部側の部位は、先端側支持軸65に連結されている。また、他方の端部は、連結バー支持軸66に連結されている。なお、各支持軸62,63,65,66は、いずれも前後方向に延びている。
【0044】
ガススプリング52の支点となる基端部52aは、上記基端側支持軸62に対し回動可能に支持されている。また、ガススプリング52の作用点となる先端部52bは、上記先端側支持軸65に対し回動可能に支持されている。これにより、ガススプリング52は、その支点及び作用点が壁部11の背面側に位置するように配置されている。しかも、上述したように、ガススプリング52の長手方向は、壁部11に略平行となっている。
【0045】
また、上記連結バー支持軸66には、連結バー67の一方の端部67aが回動可能に支持されている。そして、連結バー67の他方の端部67bは、連結金具68を介して、カバー41Aの下面に設けられた下面接続部41cに連結されている。
【0046】
このように、ガススプリング52は、リンク64及び連結バー67を介して、カバー41Aの下面に連結されている。
【0047】
かかる構成の下、閉状態にあるカバー41Aを上記取っ手41bを把持して引き上げると、連結バー67が上方へ移動することにより、リンク64がリンク支持軸63を中心として正面から見て時計回りに回動する。このリンク64の回動に伴い、ガススプリング52のピストンロッド52dが突出する。これにより、カバー41Aが開状態となり、その状態が保持される(図4(b)参照)。また、開状態にあるカバー41Aを取っ手41bを把持して引き下げると、連結バー67が下方へ移動することにより、リンク64がリンク支持軸63を中心として正面から見て反時計回りに回動する。このリンク64の回動に伴い、ガススプリング52のピストンロッド52dが没入する。これにより、カバー41Aが閉状態となり、その状態が保持される(図4(a)参照)。さらにまた、ガススプリング52の作用により、カバー41Aの開閉操作に要する力が軽減され、スムーズな開閉操作が実現される。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態においても、ガススプリング52の支点及び作用点が壁部11の背面側に位置するように、ガススプリング52が配置されている。これにより、ガススプリング52からの油液が搬送経路Cに落下することがなく、搬送経路C上を搬送される包装用フィルム等に油液が付着することがなくなる。
【0049】
また、本実施形態では、ガススプリング52をその長手方向が壁部11の壁面に略平行となるように配置しているため、壁部11の背面側の奥行きが比較的小さい場合であっても、ガススプリング52を配置することが可能となる。また、リンク64及び連結バー67を介してガススプリング52を連結しているため、壁部11の壁面に略平行にガススプリング52を配置したとしても、ガススプリング52の機能が損なわれることがない。
【0050】
以上、実施形態について説明したが、このような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々なる形態で実施できる。
【0051】
(a)上記第1実施形態では、図2に示したように、壁部11の背面側にガススプリング51の支点及び作用点が位置するようにしていた。これに対し、搬送経路Cへの油液の落下を防止するという観点からは、搬送経路Cの壁部11側の縁部よりも背面側に(図中に記号Eで示す破線よりも背面側に)支点及び作用点が位置するように、ガススプリング51を配置してもよい。例えば、カバー41の下面に設けられる下面接続部41cを二点鎖線で示すような壁部11の正面側に設けるようにし、ここにガススプリング51の先端部51bを連結するようにしてもよい。
【0052】
(b)上記第1実施形態では、図2に示したように、カバー41の開閉軸13aが背面壁部13の最上部に設けられていた。しかしながら、カバー41の開閉軸の位置はこれに限定されるものではない。
【0053】
例えば、図2中に記号Jで示す壁部11の最上部にカバー41の開閉軸を設け、カバー41の前方部分41dの前端が上方へ移動する(跳ね上がる)と、後方部分41eの後端が下方へ移動するような構成としてもよい。
【0054】
(c)上記第2実施形態では、1つのカバー41Aに対して、図4(a),(b)に示したように、1台のガススプリング52を具備する構成であった。これにより、カバー41Aの片側が支持されることになる。
【0055】
これに対し、図5に示すように、上記取付部61と同様の取付部71に、2台のガススプリング53,54を配置し、これにそれぞれ、リンク72,73を介在させて、連結バー74,75に連結する構成としてもよい。これにより、カバー41Aの両側が支持されることになり、適切な設計を行うことにより、カバー41Aの開閉動作がより適切で、かつ、よりスムーズなものとなる。もちろん、2台のガススプリングによりカバー41Aの片側を支持する構成としても何ら差し支えない。
【0056】
なお、ガススプリングを3台以上備える構成としてもよい。また、これらのことは、上記第1実施形態でも同様である。例えば、上記第1実施形態においても、1つのカバー41に対して、例えば筐体10の長手方向にガススプリングを2台以上備える構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】PTP包装機の外観を示す模式図である。
【図2】第1実施形態のカバー開閉機構を包装機の側面方向から見た模式的な断面図である。
【図3】第2実施形態のカバー開閉機構を包装機の側面方向から見た模式的な断面図である。
【図4】第2実施形態のカバー開閉機構の正面図である。
【図5】別実施形態のカバー開閉機構の正面図である。
【図6】従来のカバー開閉機構を包装機の側面方向から見た模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1…PTP包装機、10…筐体、11…壁部、12…棚部、13…背面壁部、14…背面接続部、41,41A,42,43…カバー、41c…下面接続部、51〜54…ガススプリング、51a,52a…基端部、51b,52b…先端部、51c,52c…本体部、51d,52d…ピストンロッド、61,71…取付部、62…基端側支持軸、63…リンク支持軸、64,72,73…リンク、65…先端側支持軸、66…連結バー支持軸、67,74,75…連結バー、67a,67b…端部、68…連結金具、100…PTP包装機、101…壁部、102,104a…接続部、103…ガススプリング、103a…基端部、103b…先端部、103c…本体部、104…カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々の機構が配設されてなる壁部を有し、前記機構により前記壁部の正面側の搬送経路上を製品関連物が搬送されるPTP包装機に備えられ、
少なくとも前記壁部の正面側において筐体の一部をなし、開閉軸を回動中心とする開閉操作により位置変化可能な跳ね上げ式カバーと、
前記跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングとを備え、
前記ガススプリングは、その本体部が前記搬送経路の前記壁部側の縁部よりも背面側に位置するよう配置されていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【請求項2】
種々の機構が配設されてなる壁部を有し、前記機構により前記壁部の正面側の搬送経路上を製品関連物が搬送されるPTP包装機に備えられ、
少なくとも前記壁部の正面側において筐体の一部をなし、開閉軸を回動中心とする開閉操作により位置変化可能な跳ね上げ式カバーと、
前記跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングとを備え、
前記ガススプリングは、その支点及び作用点が前記搬送経路の前記壁部側の縁部よりも背面側に位置するよう配置されていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【請求項3】
ポケット部が形成される包装用フィルム及び包装用フィルムに取着されるカバーフィルムのうち少なくとも一方からなる製品関連物を搬送するためのローラを含む搬送機構が配設されてなる壁部を有し、前記機構により前記壁部の正面側の搬送経路上を前記製品関連物が搬送されるPTP包装機に備えられ、
少なくとも前記壁部の正面側において筐体の一部をなし、開閉軸を回動中心とする開閉操作により位置変化可能な跳ね上げ式カバーと、
前記跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングとを備え、
前記ガススプリングは、その本体部が前記壁部の背面側に位置するよう配置されていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【請求項4】
ポケット部が形成される包装用フィルム及び包装用フィルムに取着されるカバーフィルムのうち少なくとも一方からなる製品関連物を搬送するためのローラを含む搬送機構が配設されてなる壁部を有し、前記機構により前記壁部の正面側の搬送経路上を前記製品関連物が搬送されるPTP包装機に備えられ、
少なくとも前記壁部の正面側において筐体の一部をなし、開閉軸を回動中心とする開閉操作により位置変化可能な跳ね上げ式カバーと、
前記跳ね上げ式カバーの位置変化を補助するガススプリングとを備え、
前記ガススプリングは、その支点及び作用点が前記壁部の背面側に位置するよう配置されていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のカバー開閉機構において、
前記跳ね上げ式カバーは、前記壁部の壁面に略平行な開閉軸を回動中心として位置変化するよう構成されており、
前記ガススプリングは、その作用点となる先端部が前記搬送経路の前記壁部側の縁部よりも背面側における前記跳ね上げ式カバーの下部に連結されてなることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載のカバー開閉機構において、
前記跳ね上げ式カバーは、前記壁部の壁面に略平行な開閉軸を回動中心として位置変化するよう構成されており、
前記ガススプリングは、その長手方向が前記壁部の壁面に略平行となるよう配置されており、その作用点となる先端部がリンクを介して前記跳ね上げ式カバーの下部に連結されてなることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のカバー開閉機構において、
前記一の跳ね上げ式カバーに対し、複数のガススプリングを備えていることを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のカバー開閉機構において、
前記ガススプリングは、前記跳ね上げ式カバーが開状態にあるときは当該開状態を維持し、前記跳ね上げ式カバーが閉状態にあるときは当該閉状態を維持することを特徴とするPTP包装機のカバー開閉機構。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のカバー開閉機構を具備してなることを特徴とするPTP包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−154447(P2007−154447A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347684(P2005−347684)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】