TOF−PET用のディジタルシリコン光電子増倍管
放射線検出器10は、それぞれが検出器セル50、50'、50''のアレイを含む検出器画素22のアレイを含む。各検出器セルは、絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオード52と、該光ダイオードに結合され且つ静止状態において第1のディジタル値を出力し該光ダイオードによる光子検出に応じて第2のディジタル値を出力するように構成されたディジタル回路54、54'、54''とを含む。ディジタルトリガ回路60、60'、60''、84は、1以上の検出器セルのうち選択された数のものが第1のディジタル値から第2のディジタル値へと遷移したことに応じて、積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成される。読み出しディジタル回路66、82は、積算期間の間、検出器セルのアレイの検出器セルの、第1のディジタル状態から第2のディジタル状態への遷移の数のカウントを積算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線検出の分野に関し、特に陽電子放出断層撮影(positron emission tomography、PET)、特に飛行時間(time-of-flight、TOF)型PET用の高速放射線検出器に関し、特にこれに関して説明される。しかしながら本発明はより一般的に、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)及びコンピュータ断層撮影(CT)等のための放射検出器、並びに天文学のような他の用途のための高速放射線検出器に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来のPETにおいては、患者又は他の撮像対象に放射性医薬品が投与される。該放射性医薬品は、陽電子を放出する放射線崩壊事象をもたらす。該陽電子は非常に短い距離を進み、電子−陽電子消滅事象により周囲の撮像対象の電子と急速に相互作用し、2つの反対方向のガンマ線を生成する。該ガンマ線は、撮像対象を囲む放射線検出器により、これら検出器の間の同時計測線(line of response、LOR)を定義する2つの略同時の放射線検出事象として検出される。典型的に、放射線検出器は、各ガンマ線検出に応じた光のバースト又はシンチレーション(scintillation)を生成するシンチレータと、該光のバーストを対応する電気信号に変換する、該シンチレータに光学的に結合された光電子増倍管(PMT)のアレイとを含む。幾つかのPETスキャナにおいては、PMTは、光のバーストの強度に比例したアナログ電流を生成する光ダイオードにより置き換えられる。
【0003】
ガンマ線は「略同時に」検出されるが、2つの関与する放射線検出器の一方が、他方の放射線検出器よりも電子−陽電子消滅事象に近い場合には、2つの放射線検出事象の間に小さな時間差が生じる。ガンマ線は光速で進むため、この検出間の時間差は典型的におよそ数ナノ秒以下となる。TOF−PETにおいては、この小さな飛行時間の差の検出を可能とするために放射線検出器が十分に高速で動作し、LORに沿った電子−陽電子消滅の位置を決定するために利用される。
【0004】
従って、TOF−PETについては、放射線検出器はナノ秒以下の時間解像度を持つべきである。PMTは一般にTOF−PETによる撮像を実行するために十分に高速であるが、PMTはかさばり、高電圧のバイアスを必要とし、高解像度のために望ましい小さな画素サイズには適さない。従来の光ダイオードはTOF−PETのために十分に高速であるが、内部アプリケーションを欠き、悪い信号対ノイズ比に導く。従来の光ダイオードを用いて十分な信号を得るためには、信号を統合するため電荷感応型増幅器が典型的に利用され、このことは帯域幅を制限する。アバランシェ(avalanche)光ダイオードが利用されても良いが、アバランシェ光ダイオードは典型的に、ゲインにおける高いノイズレベル並びに高い温度及びバイアス感応性を示してしまう。
【0005】
これらの困難に対処するため、例えばE. A. Georgievskyaらによる「The solid state silicon photomultiplier for a wide range of application」(17th Int'l Conf. on Photoelectronics and Night Vision Devices、Proceedings of SPIE vol. 5126(2003年))、及びGolovinらによる「Novel type of avalanche photodetector with Geiger mode operation」(Nuclear Instrument & Methods in Physical Research A、Vol. 518、560-564頁(2004年))において、シリコン光電子増倍管(SiPM)検出器が提案されてきた。これらSiPM検出器は、絶縁破壊領域においてバイアスされ、並列に相互接続された、小型のアバランシェ光ダイオードの画素化されたアレイを利用する。出力は、有限ガイガーモードにおいて動作する並列に相互接続されたアバランシェ光ダイオードの電流のアナログ合計である。SiPM検出器において検出された光子のそれぞれは、SiPMの出力電流に106個のオーダーの電子を加える。光子検出に応答するガイガー放電は高速であり、信号の鋭い立ち上がりエッジをもたらし、正確な時間測定を容易化する。エネルギー解像度及び時間解像度は1/sqrt(N)に対応し、ここでNは発火(firing)しているセルの数である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SiPM素子は、一定の欠点を持つ。光子検出により生成されたアナログ電流は、バイアス電圧、動作温度、及びクエンチング(quenching)抵抗値のような臨界的回路パラメータによって影響を受ける。これらの要因は、各光子検出により生成されるアナログ電流を変化させ、従ってSiPMのエネルギー解像度を制限する。アナログ構成はまた、高いダークカウントを生成すること、及び不完全なアバランシェ光ダイオードが検出器装置の製造歩留をかなり制限してしまうこと、といった欠点を持つ。
【0007】
以下、上述の制限等を克服する改善された装置及び方法が考察される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、放射線粒子を光のバーストに変換するシンチレータと共に使用するための検出器画素が開示される。検出器セルのアレイが備えられる。前記検出器セルのそれぞれが、絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードと、前記光ダイオードに結合されたディジタル回路とを含む。前記ディジタル回路は、静止(quiescent)状態において第1のディジタル値を出力し前記光ダイオードによる光子の検出に応じて第2のディジタル値を出力するように構成される。ディジタルトリガ回路が、1以上の前記検出器セルのうち選択された数の検出器セルが前記第1のディジタル値から前記第2のディジタル値へと遷移したことに応じて、積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成される。読み出しディジタル回路が、前記積算期間の間、前記検出器セルのアレイの検出器セルの、前記第1のディジタル値の出力から前記第2のディジタル値の出力への遷移の数のカウントを積算する。
【0009】
幾つかの実施例においては、ディジタルタイムスタンプ回路が、カウントに関連するディジタルタイムスタンプを出力するように構成される。前記ディジタルタイムスタンプは、時間基準信号に対するトリガ信号の時間に基づく。
【0010】
他の態様によれば、放射線検出器は、シンチレータと、受信された放射線に応じて前記シンチレータにより生成された光のバーストを受信するように構成された、上述のパラグラフに開示された検出器画素のアレイとを含む。
【0011】
他の態様によれば、飛行時間型陽電子放出断層撮影(TOF−PET)システムが開示される。複数の上述の2つのパラグラフにおいて開示された放射線検出器が、撮像領域から放出されたガンマ線を検出するために配置される。ガンマ線対検出回路が、2つの前記放射線検出器による2つの略同時のガンマ線検出を特定する。同時計測線プロセッサが、前記2つのガンマ線検出を結ぶ空間的な同時計測線を決定する。飛行時間プロセッサが、前記2つの略同時のガンマ線検出の間の時間差に基づいて、前記同時計測線に沿った陽電子−電子消滅事象の位置を特定する。
【0012】
他の態様によれば、放射線粒子を光のバーストに変換するシンチレータと共に方法が実行される。ディジタル回路が、切り換え事象を定義するためにディジタル回路により絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードによる光子の検出に応じて第1のディジタル値から第2のディジタル値へと切り換えられる。積算期間の開始を示すトリガ信号が、複数の前記光ダイオードに関連する1以上の選択された数の前記切り換え事象に応じて生成される。前記積算時間の間、前記複数の光ダイオードに関連する切り換え事象のカウントが積算される。
【0013】
幾つかの実施例においては、本方法は更に前記積算期間の間の積算に関連するディジタルタイムスタンプを生成するステップを更に含む。前記ディジタルタイムスタンプは、前記トリガ信号の生成の時間と基準時間信号とに基づく。
【0014】
他の態様によれば、シンチレータと上述のパラグラフに記載の方法を実行するための回路とを含む、放射線検出器が開示される。
【0015】
一利点は、TOF−PET、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、透過型コンピュータ断層撮影(CT)、天文学及び他の用途のために高データレートの放射線検出を提供することに存する。
【0016】
他の利点は、ディジタル放射線検出器出力を提供することに存する。
【0017】
他の利点は、ディジタル的にタイムスタンプを付された検出器出力を提供することに存する。
【0018】
他の利点は、改善された空間的な検出器解像度を提供することに存する。
【0019】
他の利点は、温度、バイアス電圧及び処理パラメータに対する低い感度を持つ、改善された検出器装置の製造歩留に存する。
【0020】
以下の詳細な説明により、多くの更なる利点及び利益が当業者に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、種々の要素及び要素の構成、並びに種々の処理動作及び処理動作の構成の形態をとる。図面は単に好適な実施例を説明する目的のためのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
図1を参照すると、飛行時間型陽電子放出断層撮影(TOF−PET)スキャナ8は、撮像領域12を観測するように構成された複数の放射線検出器10を含む。図1において、複数の放射線検出器10は、軸方向に沿った検出器の幾つかのリングに配置されるが、放射線検出器の他の配置が利用されても良い。更に、複数の放射線検出器10は図式的に示されており、一般に放射線検出器はスキャナ8の筐体14内に収容され、それ故外からは見えないものであり、放射線検出器の各リングは一般に数百又は数千の放射線検出器を含むことは理解されるべきである。幾つかのPETスキャナにおいては単一の放射線検出器リングのみが備えられ、他のものにおいては2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の放射線検出器リングが備えられる。図に示された検出器のリング構造の代わりに、検出器ヘッドが利用されても良いことは理解されるべきである。TOF−PETスキャナ8は、人間の患者又は他の撮像対象を撮像領域12に配置するための寝台16又はその他の支持器を含む。任意に、寝台16は、概して放射線検出器10のリングを横断する軸方向に直線的に移動可能であり、これにより3次元の撮像データの捕捉を容易化する。加えて、又は代替として、撮像対象は静的に保持され、3次元のTOF−PET画像データを捕捉するため放射線検出器の複数のリングが利用されても良い。更に他の実施例においては、単一の検出器のリングのみが備えられ、撮像対象は静的なままであり、結果の画像が2次元である。
【0023】
TOF−PET撮像の開始の前に、患者又は他の撮像対象に適切な放射性医薬品が投与される。該放射性医薬品は、陽電子を放出する放射性崩壊事象を経る放射性物質を含む。該陽電子は、撮像対象中の近隣の電子と共に急激に消滅する。結果の電子−陽電子消滅事象は、511keVのエネルギーを持つ2つの反対方向に向くガンマ線を生成する。該ガンマ線は、光速即ち約3×108メートル/秒で進む。撮像領域12は一般に約2メートル以下の径又は他の特徴的な大きさを持つため、陽電子−電子消滅事象の位置から複数の放射線検出器10の1つの検出器までのガンマ粒子の飛行時間は、およそ数ナノ秒以下である。かくして、2つの反対方向に向くガンマ線は、2つの放射線検出器に略同時に到達する。
【0024】
図1を更に参照し、更に図2を参照すると、各放射線検出器10はシンチレータ20を含み、該シンチレータ20は、ガンマ線がシンチレータ20に到達したときに、シンチレーション又は光のバーストを生成する。光のバーストは、シリコン基板24にモノリシックに配置された検出器画素22のアレイにより受信される。以下に説明されるように、検出器画素22は、光子のカウントのディジタル表現(図1において「カウント」と示される)と、シンチレーション事象に対応する光のバーストがいつ検出器画素22によって検出されたかを示すタイムスタンプのディジタル表現(図1において「タイムスタンプ」と示される)とを含む値を出力する、ディジタル検出器画素である。更に、複数の放射線検出器10は例えば、どの放射線検出器10が放射線検出事象を出力したかを示す検出器インデクス(図1において「ndetector」と示される)と、該放射線検出器のどの検出器画素が放射線検出事象に対応する光のバーストを検出したかを示す検出器画素インデクス(図1において「kpixel」と示される)とを含む、インデクス情報を出力する。シンチレータ20は、シンチレーションバーストの急激な時間的崩壊を用いて511keVのガンマ線に対して高い阻止パワーを提供するように選択される。幾つかの適切なシンチレータ物質は、LSO、LYSO、MLS、LGSO、LaBr及びこれらの混合物である。他のシンチレータ物質が利用されても良いことは理解されるべきである。図2はシンチレータ20を単結晶として示しているが、代わりにアレイ状の結晶が利用されても良い。加えて、シンチレーション光バーストの光子の検出器画素22への透過を改善するために、シンチレータ20と検出器画素22との間に任意の平面状の光導体26が挿入されても良い。シンチレータ20及び光導体26は任意に、シンチレーション光を画素22へと誘導する反射性被覆28に覆われても良い。
【0025】
更に図1を参照すると、放射線検出事象に関連するディジタルデータは、選択されたデータ処理を実行するプリプロセッサ30により処理される。例えば、1つのシンチレーション事象が複数の検出器画素により検出された場合、プリプロセッサ30は、各放射線検出事象について空間座標rを特定し、検出された放射線粒子のエネルギーを推定するために、アンガー(Anger)ロジック又はその他の処理を利用しても良い。結果の各放射線検出事象についての空間情報及びエネルギー情報は、事象バッファ32において保存される。他の実施例においては、シンチレータ層が検出器画素に対応するサイズのシンチレータタイルに分割され、各検出器画素が単一のシンチレータタイルに光学的に結合される。例えば、各シンチレータタイルは、結合された画素にシンチレーション光子を導くための、反射性被覆28に類似した反射性被覆を含んでも良い。
【0026】
ガンマ線対検出回路34は、放射線検出事象を処理し、対応する電子−陽電子消滅事象に属する略同時のガンマ線検出の対を特定する。該処理は例えば、エネルギーウィンドウ処理(即ち、約511keVに配置された選択されたエネルギーフィルタリングウィンドウの外の放射線検出事象を破棄すること)、及び一致検出回路(即ち、選択された時間フィルタリング間隔よりも大きく互いから時間的に離れた放射線検出事象の対を破棄する)を含んでも良い。
【0027】
ガンマ線対が特定されると、同時計測線(LOR)プロセッサ38が、2つのガンマ線検出事象に関連する空間情報(例えば、2つの事象がプロプロセッシング30により計算された空間座標r1及びr2によりそれぞれ表される)を処理し、2つのガンマ線検出を結ぶ空間的な同時計測線(LOR)を特定する。陽電子−電子消滅事象により放出される2つのガンマ線は、空間的に反対方向を向いているため、電子−陽電子消滅事象がLOR上のどこかで発生したことが分かる。
【0028】
TOF−PETにおいては、放射線検出器10は、2つの「略同時の」ガンマ線検出の間の飛行時間の差を検出するために十分な高い時間的解像度を持つ。飛行時間プロセッサ40は、2つのガンマ線検出事象の時間(図1において「t1」及び「t2」と示される)の時間差を解析し、LORに沿った陽電子−電子消滅の位置を特定する。大量の陽電子−電子消滅事象について積算された結果は、ヒストプロジェクション(histprojection)のセット42である。再構成プロセッサ44は、フィルタリングされた逆投影法又は補正を伴う反復的な逆投影法のような、いずれかの適切なアルゴリズムを用いて、ヒストプロジェクションのセット42を再構成された画像へと再構成する。結果の再構成された画像は画像メモリ46に保存され、ユーザインタフェース48に表示され、印刷され、保存され又はイントラネット若しくはインターネットにより通信される等しても良い。図示された実施例においては、ユーザインタフェース48は放射線医又は他のユーザがTOF−PETスキャナ8を制御することをも可能とし、他の実施例においては、別個のコントローラ又は制御コンピュータが備えられ得る。
【0029】
図3を参照すると、放射線検出器10の各画素22は、検出器セル50のアレイを含む。図3は、斯かる検出器セル50の1つの一般的な回路図を示す。光ダイオード52は絶縁破壊領域においてバイアスされ、ディジタル化回路54への入力として動作する。ディジタル化回路54の出力56は、静止状態に対応する第1のディジタル値を持ち、光ダイオード52による光子の検出に応じた第2のディジタル値へと遷移する。シンチレーションバーストの最初の光子が検出器されると、第1のディジタル値から第2のディジタル値への出力56の切り換えが、オープンコレクタ型トリガラインドライバ60を起動し、それによりトリガ信号が共通トリガライン又はバス62に供給される。トリガ信号は次いで、光子カウンタ/FIFOバッファ66(ここでFIFOは「first in, first out」を意味する)を起動する。該光子カウンタ/FIFOバッファ66は、トリガ信号により開始された積算期間の間、第1のディジタル値から第2のディジタル値へのディジタル化回路54の切り換えをカウントする。幾つかの他の実施例においては、捕捉可能化ライン67が光子カウンタ66を起動する。クエンチング回路70(アクティブ型であってもパッシブ型であっても良い)が光ダイオード52を通る電流を制限し、第2のディジタル値から第1のディジタル値へ戻すバイアス回路の遷移を容易化するように構成される。かくして、積算期間が終了する前に検出器セル50が静止状態の第1のディジタル値へとクエンチングされると、検出器セル50は1つよりも多い光子をカウントし得る。光子カウンタ/FIFOバッファ66に保存される最終的なカウントは、ディジタルバス68を介してアクセス可能である。
【0030】
光ダイオード52は、ガイガーモード型の動作で適切にバイアスされる。光ダイオード52が絶縁破壊を起こすと、アバランシェ絶縁破壊工程により大量の電荷(幾つかの光ダイオードにおいては例えば受信される検出毎に約106個の電子)が生成される。該電荷は主に、光ダイオード52を通る電流を制限するための典型的には数百キロオームの有効抵抗を持つクエンチング回路70を通って伝送される。電流がかくして制限されると、光ダイオード52に残る電荷は空間的に分散し、光ダイオード52のアバランシェ領域における電場を低減させる。このスクリーニングはアバランシェ工程をクエンチングし、残りのキャリアをアバランシェ/減少領域の外への流出により伝送させ、光ダイオード52の回復を引き起こす。一般に、光ダイオード52は、光ダイオード52のエッジにおけるアバランシェ絶縁破壊を防止するために、周囲に保護リング(図示されていない)を含む。該保護リング構造は、アバランシェ絶縁破壊が起こるには低すぎる内部電場を持つ通常の逆バイアスされたPNダイオードとして適切に動作する。
【0031】
図4Aを参照すると、検出器セルの1つの一実施例50'のより詳細な回路図が示されている。本実施例は、クエンチング抵抗として実施化されたパッシブ型クエンチング回路70'を含む。光子を検出すると、光ダイオード52の接合部が絶縁破壊し、光ダイオード52及びクエンチング抵抗70'を電流が流れ始める。該電流は抵抗70'の両端の電圧降下を引き起こし、インバータ入力における電位を低下させる。VDDに対する電圧の差は、インバータ出力を「高」状態へと駆動するために十分に大きいべきである。インバータの切り換え特性は、トランジスタ幅を調節することにより最適化され得る。光ダイオード52が絶縁破壊から回復すると、インバータ出力は自動的に「低」状態に戻る。
【0032】
更に図4Aを参照すると、検出器セル50'は更に、不良な検出器セルを完全にスイッチオフするのではなく、不良な検出器セルが不正なトリガを生成することを防止する、抑制ロジック74を実装する。不良な検出器セルは、トリガ確認回路(後述する)において考慮に入れられる過度の電流を生成する。検出器セル50'を利用する場合、トリガライン62は、プルアップレジスタ(図4Aには図示されていない)を介して「高」レベルへと固定される。このようにして、全ての検出器セル50'からのトリガが論理的に互いに「OR」演算され、最初の光子を検出した検出器セルによってトリガライン62がプルダウンされる。
【0033】
図4Bを参照すると、検出器セルの1つの他の実施例50''のより詳細な回路図が示されている。本実施例は、静止状態レベルへと戻るための光ダイオード52の接合部静電容量の放電を高速化し、光ダイオード52の回復時間を減少させるための、アクティブ型クエンチング回路70''を含む。所与の検出器セル50''は迅速に回復する場合に積算期間の間1つよりも多い光子をカウントする見込みがより高いため、より短い回復時間が高い感度に導くことが予期され、また検出器セル50''のより高いダイナミックレンジ及びより優れたエネルギー解像度へと導くことが予期される。階層型トリガネットワークが利用される場合には、光子カウンタ66は、最初の光子を検出した検出器セルによってプルダウンされ、積算期間の間、主画素ロジック(図4には図示されていない)によりホールドダウンされる、トリガライン62によって又は専用線によってイネーブルにされる。光子カウンタ66によって積算される検出された光子の数は、トリガライン62又は専用の読み出しラインの立ち上がりエッジにおいて、光子カウンタ66からバッファ又は他のディジタル記憶装置(図4Bには図示されていない)に転送される。次いで、次のシンチレーションバースト検出事象に備えるため、例えばトリガライン62上の反転され遅延された信号の低いレベルにより、カウンタ66が自動的にリセットされる。本構成において、積算期間同士の間の待ち時間は、バッファ転送時間とカウンタ66のリセット時間との和と同じくらい短くなり得、幾つかの実施例においては、CMOS実装について1ナノ秒よりも短くなることが予期される。図4Bの検出器セル50''はまた、不良の検出器セルからの不正なトリガを防止するための抑制ロジック74を含む。
【0034】
図5を参照すると、放射線検出器10の各画素22は、検出器セル50の2次元アレイと、関連する画素レベルディジタル画素ロジック80とを含む。画素22についてのディジタル読み出し回路は、検出器セルレベルにおいて、画素レベルディジタル捕捉読み出し回路82と関連する回路とを含む。
【0035】
図3及び5を参照すると、各検出器セル50のディジタル化回路54は、当該検出器セルの光ダイオード52が絶縁破壊状態に入ったか否かを示す、閾値ベースのバイナリのディジタル出力を供給する。ディジタル回路54は、光ダイオード52が静止状態にあるときの第1のバイナリ値を出力し、光ダイオード電流が閾値を超えたとき(光子検出を示す)第2のバイナリ値へと遷移する。各光ダイオード52の信号はかくして、検出器セル50のレベルにおいてディジタル化される。検出器セルのディジタル遷移をカウントする画素レベルロジックにより読み出しが実行され、検出された光子の数を示すディジタル画素出力を生成する。アナログSiPMにおいて実行されるような、アナログ光ダイオード電流を合計してアナログ画素出力を生成することに比べると、図3及び5のディジタル化カウント方法は、バイアス変化、動作温度変化又はクエンチング回路70の構成要素の公差等に対して大幅に敏感ではなくなる。これらの二次的な効果が、閾値型ディジタル回路54の誤った切り換え又は切り換え損ないを引き起こさない限り、一般には検出セル50のエネルギー解像度に影響を与えない。
【0036】
幾つかの読み出し方式においては、検出器セル50は、検出器セル50のアレイの行及び列についてのアドレスデコーダを利用して、標準的なメモリブロックにおけるようにアドレス指定される。この方法はセルデータのシーケンシャルな読み出しを提供し、この場合には画素レベル読み出し回路82が単純なディジタル積算器であり得る。他の読み出し方式においては、セルのラインが並行して読み出され、各ラインが部分的な合計のための自身の積算器を持ち、該部分的な合計が並列加算器ツリーにおいて加算される。更に他の読み出し方式においては、加算器が検出器セルに組み込まれ、それによりデータをクロックアウトする間にライン全体の合計が得られ、ラインの合計が該ラインにおける最後の検出器セルから読み出される。最後の読み出し方式における合計はパイプライン処理されることができ、該読み出しアーキテクチャは高速であり、短い読み出し間隔を可能とする。
【0037】
検出器セルレベルの光子カウンタ66又は画素レベル読み出し回路82のカウンタが飽和しそうな場合は、カウンタは先頭に戻ることを許可されるべきではない。例えば、0乃至15をカウントする4ビットのカウンタは、15から0へと戻されるべきではない。先頭へ戻ることを回避することにより、カウンタの読み取り値が該カウンタの最高値(例えば4ビットのカウンタについては15)である場合に画素22の飽和が検出され得る。先頭へ戻ることを回避するためのビットの数は、専ら予期される最短のセル回復時間及び積算期間の最大長に依存する。積算ウィンドウは設計パラメータであるが、セル回復時間は統計的な性質である。なぜなら、光子検出可能性は、セル回復の間にゆっくりと上昇する過電圧の関数であるからである。しかしながらアクティブ的にクエンチングされるセルにおいては、最短回復時間はモノフロップ(monoflop)遅延により定義される。従ってこの場合には、オーバフローを回避するために十分にカウンタを大きく設計することが可能である。ディジタルバス68は、空間又は時間的な制約に依存して、並列バスであっても良いし又は直列バスであっても良い。
【0038】
更に図5を参照すると、ディジタル画素ロジック80は更に、トリガディジタル回路84と、トリガ確認回路85と、画素22の光子カウントを保存する出力バッファ86とを含む。トリガディジタル回路84は、基準クロック88(図5には図示されていない適切な発振器又は他のクロック装置に接続された電気的トレースとして示される)にアクセスし、トリガディジタル回路84のための時間基準を提供する。トリガディジタル回路84は、グローバルな(例えばスキャナの)時間フレームで、放射線検出事象のタイムスタンプを決定する。スキャナの全ての画素22のトリガディジタル回路モジュール84は、好ましくは100ps未満の精度で同期して動作する。基準信号88は、画素のトリガディジタル回路モジュール84を同期させるために利用され、スキャナ全体について、これらモジュールに共通の時間基盤を提供する。幾つかの実施例においては、積算期間は、トリガ信号の出現において開始する、固定された時間間隔である。他の実施例においては、積算期間は、新たなカウントの割合が閾値を下回る場合に動的に終了される。
【0039】
トリガディジタル回路84はまた、好ましくはカウントに関連するディジタルタイムスタンプ(図1参照)を出力するように構成される。該ディジタルタイムスタンプは、シンチレーションバーストからの光子を検出する検出器セル50の最初の1つのトリガラインドライバ60により出力されるトリガ信号の時間に基づく。任意に、画素ロジック80は更に、データ補正レジスタ及び抑制シーケンスドライバを含む。また自動テスト・較正回路87が任意に、画素ロジック80により実装される。一テスト/較正方法においては、画素22のダークカウントレート(ことによるとシンチレータ20の固有の放射性により生成される背景カウントを含む)が監視される。他のテスト/較正方法においては、検出器セル50に注入されるテスト電荷からの外部励起が、画素22をテスト及び較正するために利用される。
【0040】
図5を更に参照すると、暗電流、クロストーク又は熱励起等により、検出器セル50の1つが誤ったトリガ信号を生成し積算期間を開始してしまうことが起こり得ることが理解されるであろう。トリガ確認回路85はトリガ信号を確認し、該トリガ信号が不正なものであると決定された場合には積算を中止する。一方式においては、トリガ確認回路85は、画素22のバイアスネットワークを流れる電流を解析する。選択された時間間隔の間(例えば捕捉期間への10ナノ秒の間)、弁別器又はその他の回路により測定された総電流が特定の電流閾値を下回ったままである場合、捕捉が中止され、次のトリガに備えて自動リセットシーケンスが起動される。電流が前記電流閾値を超える場合、弁別器出力が「高」レベルに上昇し、捕捉が継続される。幾つかの実施例においては、固定された積算期間を利用する代わりに、シンチレーションバーストの終了を検出するためにバイアス電流弁別器の立ち下りエッジが利用され、捕捉間隔の終了に略合致するように積算期間を適応させる。このことは、高いカウントレートの用途における山積を抑制する。他の適切な方法は、熱的なトリガは一般に相関しないため、短い時間ウィンドウ内で2つのトリガが熱的に生成される確率は、トリガを発するセルの距離に応じて減少するという事実を利用する。逆に、シンチレーションバーストは、画素22の感光エリアに亘って検出器セル50に作用するべきである。従って、トリガ確認回路85は、例えば個々の検出器セル50からのトリガを解析し、例えば2つの離れたラインが選択された時間ウィンドウ内でトリガ信号を生成した場合に、トリガ信号を正当なものと確認しても良い。トリガ確認には、単光子レベルよりも高いトリガ閾値において設定された調節可能な弁別器を持つ電流センサを利用するなど、他の方式が利用されても良い。
【0041】
他の幾つかの実施例においては、カウンタ66は、捕捉可能化ライン67によりトリガされる。陽電子−電子消滅事象に関連しない光子の高い背景流束がある場合、最初の光子によりトリガすることは問題が多いものであり得る。該背景は例えば、シンチレータの二次低速崩壊モードの結果であり得る。斯かる場合においては、検出器セルは頻繁に発火し、画素の待ち時間を増大させる。より頑強なカウンタ起動を提供するため、検出器セルレベルにおいて(図3、4A又は4B)、最初の光子の検出時に画素ロジックによってプルダウンされる(トリガラインは低下する)、又はバイアスネットワークを流れる電流がユーザ定義されたトリガレベルを超えたときにトリガ確認回路85の弁別器によりプルダウンされる、別個の「捕捉可能化」ライン67によって、光子カウンタがイネーブルにされる。該ラインは積算ウィンドウの長さを定義し、画素ロジックにより駆動される。検出器画素レベルにおいて(図5)、トリガ確認回路85は、時間−ディジタル変換器/トリガ確認回路への入力として、トリガライン62(単光子トリガの場合)か又は先端弁別器出力(多光子トリガの場合)を選択する多重化器89を含むように拡張される。トリガ確認回路85は、検出器セル50、50'、50''に「捕捉可能化」信号67を供給するように拡張される。代替として、単光子レベルにおけるトリガが必要とされない場合には、選択された数のセル(トリガライン)が同時にアクティブになった場合にトリガ信号を生成するように、適切なロジックが実装されても良い。該実装は、ディジタルの構成要素のみを必要とするという実用的な利点を持つ。しかしながら、この場合には、閾値は静的にのみ定義される。他の幾つかの実施例においては、検出器セルからオープンコレクタ型ドライバが任意に省略されても良く、トリガ確認回路において修正された設計が利用される。
【0042】
図5を更に参照し、更に図6を参照すると、画素22が2次元アレイで配列され、画素化された放射線検出器10の感光面を定義する。図6に示された実施例は、画素22の各ラインがFIFOバッファ90により読み出される画素読み出しを利用する。出力バッファ90はそれぞれトライステート型(tristate)出力バッファを含み、データが共有ディジタルデータバス92を通って転送されることを可能とする。任意に、ライン出力バッファ90における読み出し調停により、及び出力バッファ92による共有バス調停により、事象が該事象のタイムスタンプに従って保存され、一定期間に亘って保存された事象データのストリームに導く。該任意の特徴は、一致する事象の検索をかなり単純化する。データ要求のデージーチェーン(daisy-chain)が、書き込みアクセス調停のために適切に利用される。デージーチェーン接続された合計が、オフチップでの転送のために放射線検出器出力バッファ94へと転送される。
【0043】
図7及び図8を参照すると、幾つかの実施例において、放射線検出器10のディジタル回路(ディジタルバイアス回路54、54'及び54''、ディジタルトリガ回路60、60'、60''及び84、並びに読み出しディジタル回路66及び82のような)が、シリコン基板24上に配置されたCMOS回路により定義される。種々の物理的なレイアウトが利用されることができる。図7に示された垂直に分離されたレイアウトにおいては、検出器セル50、50'、50''のアレイの光ダイオード52が光ダイオード層100を定義し、光ダイオード層100から分離され且つ電気的に結合されたCMOディジタル回路層102においてディジタル回路が配置される。図8に示された代替のレイアウトにおいては、光ダイオード52が光ダイオード層100'を定義し、光ダイオード52間に挿入された光ダイオード層100'にCMOSディジタル回路(ディジタルバイアス回路54、54'及び54''、ディジタルトリガ回路60、60'、60''及び84、並びに読み出しディジタル回路66及び82のような)が配置される。
【0044】
CMOSロジックは切り換え状態のときのみに電力を引き出すため、クロック88によって継続してアクティブにクロック供給される放射線検出器10の一部のみが、ベースラインの電力消費に寄与する。画素22は、静止状態における絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオード52の1つにより生成されるトリガ信号によってアクティブにされるため、電力消費は光子検出レートに依存し、従って受信される光子の流束にダークカウントのレートを加えたものに依存する。画素22の電力消費の制御は、2つの捕捉間のそれぞれの画素の待ち時間を故意に増大させることにより実装され得る。このことは、画素の温度に依存する画素ロジック80によって自動的に為され得る。画素の温度は、温度センサ(図示されていない)により直接測定されても良いし、画素22のダークカウントレートから間接的に推定されても良い。
【0045】
CMOSロジックは切り換え状態のときのみに電力を引き出すため、アナログ実装に代えてCMOS実装を利用することにより、全体の電力消費は劇的に削減され得る。例えば、アナログ実装の幾つかの実施例においては、チャネル毎の電力消費が30mWであり、チップのグローバル部分の電力消費は162mWである。28336個のチャネル又は1890個のチップを持つ臨床装置におけるような更に実用的な実装については、電力消費は1156Wの一定値となり得る。一方、ここで説明された種々の実装のようなCMOS実装の場合の電力消費は、静的値と動的値との2つの異なる値を持つ。静的電力消費は、カウントがなくそれ故状態の切り換えがない場合に必要とされる電力である。該静的電力消費は、動的な切り換えのためのロジック用の電力を含む。なぜなら、ロジックはカウントを受信する準備ができている必要があるからである。動的電力消費は、検出器がアクティブにカウントを受信しており、それ故切り換え状態である場合に必要とされる電力である。アクティブ状態における電力消費はアクティビティの量に依存し、カウント及び状態の切り換えが多い程、多くの電力が必要とされる。同様の1890チップ検出器についての静的電力消費は、約10W以下である。動的電力消費はアクティビティに依存して変化し得るが、典型的には約300W以下である。
【0046】
光のシンチレーションバーストが、1以上の画素22の検出器セル50、50''、50''の略全てを、積算期間の間に第1のディジタル状態から第2のディジタル状態へと遷移させるために十分に高い光子の流束を生成する場合、問題が生じ得る。この場合、画素22が飽和し、実際の強度(即ち光子の流束)が正確に測定されない。この飽和の問題は、種々の方法で対処され得る。
【0047】
一手法においては、光ダイオード52により定義される感光エリアが、より多くのより小さい光ダイオードに分割される。各光ダイオードの減少された面積が、光子を検出する見込みを減少させる。より多くの光ダイオードの総数は光子の流束に対してより高い画素レベル感度をもたらすが、一般に各セルの減少された面積を完全には補償しない。検出器セルは、隣接する検出器セル間の光学的なクロストークを低減させるために、幾分かの間隔を持つべきである。典型的には、不透明な物質により満たされた溝が該間隔に用いられる場合には、セルの間隔は数ミクロン以下のオーダーである。かくして、セルの数を増大させることが一般に、セルの総面積に対する感応面積の割合を或る程度減少させる。加えて、セルのサイズを一定に保ちつつ検出器セルの数を増大させることが、一般にダークカウントレートの比例的な増大に導く。
【0048】
図9を参照すると、飽和問題に対処するための他の手法において、感光エリアにおいて比例光ダイオード110が含まれる。比例ダイオード110は、ディジタル検出において利用される光ダイオード52よりも大きい。比例光ダイオード110は、画素22に入射する光子の流束が、画素22の検出器セル50、50'及び50''の略全てを積算期間の間に第1のディジタル状態から第2のディジタル状態へと遷移させるために十分高い場合、該流束に比例するアナログ光電流を生成するように構成される。製作を簡単化するため画素22のアレイの一方の側に沿って示されているが、該アレイの中央又は該アレイの隅のような、該アレイに対する別の位置に比例光ダイオード110が配置されても良い。更に、幾つかの実施例においては、比例光ダイオード110は、画素22のアレイの各隅に配置された比例光ダイオードのように、複数の小型の電気的に相互接続された比例光ダイオードとして分散されても良い。図9の変形例においては、光子を検出するため光ダイオード52の最初の1つにより出力されたトリガ信号が、ガンマ線検出事象についてのタイミング情報を提供するために適切に利用される。かくして、放射線検出器10により出力されたタイムスタンプが利用される。しかしながら、ディジタル光ダイオード52が飽和した場合、ディジタルカウントを利用するのではなく、比例光ダイオード110により生成された光電流が、光子束の強度を示すために利用される。比例光ダイオード110は、従来のPINダイオード又は集積されたアナログ若しくはディジタル読み出し回路を持つアバランシェ光ダイオード等であっても良い。
【0049】
ここで、画素化された放射線検出器が、TOF−PET用途の例に関連して説明される。しかしながら当業者は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、伝送コンピュータ断層撮影(CT)、及び天文学の用途等のような他の用途のために、開示される画素化されたディジタル放射線検出器を容易に適応させることができる。光ダイオード52が放射線に対して直接的に敏感である放射線検出用途については、シンチレータ20は放射線検出器10から適切に省略される。
【0050】
実施例の殆どがディジタル回路に関連して説明されたが、本発明の一部がアナログ回路と共に実施例されても良いことを、当業者は理解すべきである。例えば、以下の説明は、アナログ回路システムにおいて不良なセルを無効化する方法を提供する。斯かる実施例は、本開示の範囲内に組み込まれるものとする。
【0051】
アナログ回路システム用の不良セル無効化方法は、2つの別個の段階、即ち検知段階と較正段階とを有する。検知段階の間、SiPMアレイ又は被験体(DUT)は、遮光的な(light-tight)設定において閾値よりも高い公称バイアス電圧でバイアスされる。半導体におけるガイガー放電は、接合部において、100,000個の電子につき平均して約3個の二次光子を生成する。かくして、1,000,000のゲインを持つセルは、約30個の光子を生成する。これら光子の平均波長は約1μmであり、これにより光子が吸収される前にシリコン中の長い距離を進むことを可能とする。適切な遮蔽が利用されていない場合には、これらの光子の幾つかは、近隣のセルにおける絶縁破壊を引き起こす(一般に光クロストークと呼ばれる)。それ以外の光子はシリコンを脱出し、適切な単光子検出器により検出されることができる。検知検出器は、DUTセルに1:1結合されている必要がある。かくして、検知検出器のトリガレートはこのとき、個々のセルのダークカウントレートと直接に関連する。個々のDUTセルについてゲイン及びその変動を直接的に測定するための、DUTの電荷パルスの付加的な測定が利用されても良い。しかしながら、十分な統計量を収集するためには、斯かる測定は測定時間のかなりの増加をもたらす見込みが高い。
【0052】
検知段階において得られるデータに基づいて、レーザビームが不良セルを無効化する。加えて、必要ならば、画素毎のアクティブなセルの数が、画素のダイナミックレンジを等化するように調節されても良い。幾つかの実装例においては、不良セルを無効化するためにヒューズが利用される。ヒューズは付加的な面積を望ましくなく消費し得るが、ヒューズがガードリング上に配置される場合には該面積は最小化され得る。他の代替例は、ポリレジスタ自体を切断することであり得る。
【0053】
第1の段階において利用される測定設定の例が、図10に示される。図10において、単光子カウンタアレイ200は、コリメータ構造220を利用して、DUT210に1:1結合される。当業者は、検知検出器がDUTと同じ画素サイズを持つ場合には、システムの感度を増大させるために近接結合が利用されても良いことを、理解すべきである。単光子カウンタアレイ200は、かなり低いダークカウントレートを持つ必要があり、従って少なくとも−50℃まで冷却される必要がある。光子カウンタアレイ200中の各検出器230は、ガイガーモード放電により放出される光子によりトリガされる。該検出器は行及び列をプルダウンすることにより該事象を示し、同じ事象を重複してカウントすることを防ぐためにホールドオフ間隔を開始する。該ホールドオフ間隔の長さは、DUTの回復時間に調節される必要がある。明確なホールドオフ間隔を得るため、アクティブクエンチング/再充電回路240が利用されても良い。事象の座標と相関してパルスの電荷を測定するために、付加的な回路が利用されても良い。1つの撮像カウンタセルのブロック模式図が図11に示され、センサのブロック図が図12に示される。
【0054】
測定を加速させるため、DUT温度を上昇させることが利用されても良い。較正段階において、無効化されるであろうセルのサブセットを選択するために、画素のダークカウントレート及びゲインデータが利用される。該サブセットは、いずれかの数の不良セルと、均一さを提供するために無効化され得るその他のセルとであっても良い。このことを実現するため、図13に示される変更された検出器セルにおいて示されるような、これらセルにおけるヒューズを切断するため、レーザが利用される。
【0055】
ディジタル無効化処理が利用されるか、アナログ無効化処理が利用されるかにかかわらず、不良と判断されたために無効化されたセルが幾つあるかをユーザが決定することを可能とするレポートが生成されても良い。該レポートは更に、無効化された不良セルの位置を提供しても良い。無効化された不良セルの位置は、幾つかの実施例においては、他のセルを無効化するために利用されても良い。一般にこのことは、検出器についての放射線のより均一な検出を可能とするため、幾つかの種類の幾何学的パターンで実行される。更に、他のセルの無効化は、手動入力若しくはフィードバック又はこれらの組み合わせに応じた、自動的なものであっても良い。
【0056】
結果のシリコン光電子増倍管アレイは、無効なセルによる面積の損失により減少された感度の代わりに、より低いダークカウントレートを持つこととなる。ダイナミックレンジの損失は、より多くの小型サイズのセルを画素において統合することにより、前もって考慮されることができる。ヒューズの実装は、ディジタル回路と組み合わせて利用されても良いことも理解されるべきである。例えば、ヒューズが較正のために利用され、ディジタル回路がカウント検出のために利用されても良い。これらの種類の発想を組み込んだ他の実施例もが、本開示から予期される。
【0057】
単光子レベルにおいてトリガが必要とされない幾つかの実施例においては、トリガ信号を生成し、ダークカウントを抑制するため、先端弁別器が利用されても良い。他の実施例においては、トリガ信号が、トリガラインに対して論理演算を適用することによりディジタル的に生成されても良い。例えば、画素が半分に又はブロックに分割されても良く、トリガ信号は双方の該半分が光子を検出した場合にのみ生成されても良い。斯かる実施例においては、ブロックの数及びサイズは、平均閾値及び選択性を設定するために調節されても良い。勿論、画素ブロックを相関させる他の幾何及び他の方法を含む(これらに限定されない)、他の同様の設計が実装されても良い。
【0058】
本発明は、好適な実施例を参照しながら説明された。明らかに、以上の詳細な説明を参照し理解することにより、変更や代替が考案されるであろう。本発明は、添付される請求項又はその等価物の範囲内である限りにおいて、斯かる変更及び代替の全てを含むものと解釈されるべきことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】高速の画素化されたディジタル放射線検出器を利用するTOF−PETシステムを示す。
【図2】図1のTOF−PETシステムの画素化されたディジタル放射線検出器の1つの断面図を示す。
【図3】画素化されたディジタル放射線検出器の検出器セルの1つの概略的な回路図を示す。
【図4(A)】検出器セルの1つの一実施例のより詳細な回路図を示す。
【図4(B)】検出器セルの1つの他の実施例のより詳細な回路図を示す。
【図5】画素化されたディジタル放射線検出器の1画素の回路図を示す。
【図6】画素化されたディジタル放射線検出器の1つの回路図を示す。
【図7】光ダイオードが光ダイオード層を定義し、光ダイオード層と分離され且つ電気的に結合されたディジタル回路層にディジタル回路が配置された、画素化されたディジタル放射線検出器の物理的なレイアウトの一実施例の断面図を示す。
【図8】光ダイオードが光ダイオード層を定義し、光ダイオード間に散在させられた光ダイオード層にディジタル回路が配置された、画素化されたディジタル放射線検出器の物理的なレイアウトの他の実施例の断面図を示す。
【図9】画素化されたディジタル放射線検出器エリアと、光子の流束が該画素化されたディジタル放射線検出器を飽和させるために十分に高い場合にアナログ光電流を生成する付加的な比例光ダイオードとを含む、改良型の装置の感光エリアの平面図を示す。
【図10】アナログ回路を含む検出器のための不良セル無効化処理の第1段階において利用される測定セットアップの例を示す。
【図11】1つの撮像カウンタセルの模式的なブロック図を示す。
【図12】センサブロック図を示す。
【図13】無効化のためにヒューズを組み込んだ光検出器を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線検出の分野に関し、特に陽電子放出断層撮影(positron emission tomography、PET)、特に飛行時間(time-of-flight、TOF)型PET用の高速放射線検出器に関し、特にこれに関して説明される。しかしながら本発明はより一般的に、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)及びコンピュータ断層撮影(CT)等のための放射検出器、並びに天文学のような他の用途のための高速放射線検出器に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来のPETにおいては、患者又は他の撮像対象に放射性医薬品が投与される。該放射性医薬品は、陽電子を放出する放射線崩壊事象をもたらす。該陽電子は非常に短い距離を進み、電子−陽電子消滅事象により周囲の撮像対象の電子と急速に相互作用し、2つの反対方向のガンマ線を生成する。該ガンマ線は、撮像対象を囲む放射線検出器により、これら検出器の間の同時計測線(line of response、LOR)を定義する2つの略同時の放射線検出事象として検出される。典型的に、放射線検出器は、各ガンマ線検出に応じた光のバースト又はシンチレーション(scintillation)を生成するシンチレータと、該光のバーストを対応する電気信号に変換する、該シンチレータに光学的に結合された光電子増倍管(PMT)のアレイとを含む。幾つかのPETスキャナにおいては、PMTは、光のバーストの強度に比例したアナログ電流を生成する光ダイオードにより置き換えられる。
【0003】
ガンマ線は「略同時に」検出されるが、2つの関与する放射線検出器の一方が、他方の放射線検出器よりも電子−陽電子消滅事象に近い場合には、2つの放射線検出事象の間に小さな時間差が生じる。ガンマ線は光速で進むため、この検出間の時間差は典型的におよそ数ナノ秒以下となる。TOF−PETにおいては、この小さな飛行時間の差の検出を可能とするために放射線検出器が十分に高速で動作し、LORに沿った電子−陽電子消滅の位置を決定するために利用される。
【0004】
従って、TOF−PETについては、放射線検出器はナノ秒以下の時間解像度を持つべきである。PMTは一般にTOF−PETによる撮像を実行するために十分に高速であるが、PMTはかさばり、高電圧のバイアスを必要とし、高解像度のために望ましい小さな画素サイズには適さない。従来の光ダイオードはTOF−PETのために十分に高速であるが、内部アプリケーションを欠き、悪い信号対ノイズ比に導く。従来の光ダイオードを用いて十分な信号を得るためには、信号を統合するため電荷感応型増幅器が典型的に利用され、このことは帯域幅を制限する。アバランシェ(avalanche)光ダイオードが利用されても良いが、アバランシェ光ダイオードは典型的に、ゲインにおける高いノイズレベル並びに高い温度及びバイアス感応性を示してしまう。
【0005】
これらの困難に対処するため、例えばE. A. Georgievskyaらによる「The solid state silicon photomultiplier for a wide range of application」(17th Int'l Conf. on Photoelectronics and Night Vision Devices、Proceedings of SPIE vol. 5126(2003年))、及びGolovinらによる「Novel type of avalanche photodetector with Geiger mode operation」(Nuclear Instrument & Methods in Physical Research A、Vol. 518、560-564頁(2004年))において、シリコン光電子増倍管(SiPM)検出器が提案されてきた。これらSiPM検出器は、絶縁破壊領域においてバイアスされ、並列に相互接続された、小型のアバランシェ光ダイオードの画素化されたアレイを利用する。出力は、有限ガイガーモードにおいて動作する並列に相互接続されたアバランシェ光ダイオードの電流のアナログ合計である。SiPM検出器において検出された光子のそれぞれは、SiPMの出力電流に106個のオーダーの電子を加える。光子検出に応答するガイガー放電は高速であり、信号の鋭い立ち上がりエッジをもたらし、正確な時間測定を容易化する。エネルギー解像度及び時間解像度は1/sqrt(N)に対応し、ここでNは発火(firing)しているセルの数である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SiPM素子は、一定の欠点を持つ。光子検出により生成されたアナログ電流は、バイアス電圧、動作温度、及びクエンチング(quenching)抵抗値のような臨界的回路パラメータによって影響を受ける。これらの要因は、各光子検出により生成されるアナログ電流を変化させ、従ってSiPMのエネルギー解像度を制限する。アナログ構成はまた、高いダークカウントを生成すること、及び不完全なアバランシェ光ダイオードが検出器装置の製造歩留をかなり制限してしまうこと、といった欠点を持つ。
【0007】
以下、上述の制限等を克服する改善された装置及び方法が考察される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、放射線粒子を光のバーストに変換するシンチレータと共に使用するための検出器画素が開示される。検出器セルのアレイが備えられる。前記検出器セルのそれぞれが、絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードと、前記光ダイオードに結合されたディジタル回路とを含む。前記ディジタル回路は、静止(quiescent)状態において第1のディジタル値を出力し前記光ダイオードによる光子の検出に応じて第2のディジタル値を出力するように構成される。ディジタルトリガ回路が、1以上の前記検出器セルのうち選択された数の検出器セルが前記第1のディジタル値から前記第2のディジタル値へと遷移したことに応じて、積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成される。読み出しディジタル回路が、前記積算期間の間、前記検出器セルのアレイの検出器セルの、前記第1のディジタル値の出力から前記第2のディジタル値の出力への遷移の数のカウントを積算する。
【0009】
幾つかの実施例においては、ディジタルタイムスタンプ回路が、カウントに関連するディジタルタイムスタンプを出力するように構成される。前記ディジタルタイムスタンプは、時間基準信号に対するトリガ信号の時間に基づく。
【0010】
他の態様によれば、放射線検出器は、シンチレータと、受信された放射線に応じて前記シンチレータにより生成された光のバーストを受信するように構成された、上述のパラグラフに開示された検出器画素のアレイとを含む。
【0011】
他の態様によれば、飛行時間型陽電子放出断層撮影(TOF−PET)システムが開示される。複数の上述の2つのパラグラフにおいて開示された放射線検出器が、撮像領域から放出されたガンマ線を検出するために配置される。ガンマ線対検出回路が、2つの前記放射線検出器による2つの略同時のガンマ線検出を特定する。同時計測線プロセッサが、前記2つのガンマ線検出を結ぶ空間的な同時計測線を決定する。飛行時間プロセッサが、前記2つの略同時のガンマ線検出の間の時間差に基づいて、前記同時計測線に沿った陽電子−電子消滅事象の位置を特定する。
【0012】
他の態様によれば、放射線粒子を光のバーストに変換するシンチレータと共に方法が実行される。ディジタル回路が、切り換え事象を定義するためにディジタル回路により絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードによる光子の検出に応じて第1のディジタル値から第2のディジタル値へと切り換えられる。積算期間の開始を示すトリガ信号が、複数の前記光ダイオードに関連する1以上の選択された数の前記切り換え事象に応じて生成される。前記積算時間の間、前記複数の光ダイオードに関連する切り換え事象のカウントが積算される。
【0013】
幾つかの実施例においては、本方法は更に前記積算期間の間の積算に関連するディジタルタイムスタンプを生成するステップを更に含む。前記ディジタルタイムスタンプは、前記トリガ信号の生成の時間と基準時間信号とに基づく。
【0014】
他の態様によれば、シンチレータと上述のパラグラフに記載の方法を実行するための回路とを含む、放射線検出器が開示される。
【0015】
一利点は、TOF−PET、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、透過型コンピュータ断層撮影(CT)、天文学及び他の用途のために高データレートの放射線検出を提供することに存する。
【0016】
他の利点は、ディジタル放射線検出器出力を提供することに存する。
【0017】
他の利点は、ディジタル的にタイムスタンプを付された検出器出力を提供することに存する。
【0018】
他の利点は、改善された空間的な検出器解像度を提供することに存する。
【0019】
他の利点は、温度、バイアス電圧及び処理パラメータに対する低い感度を持つ、改善された検出器装置の製造歩留に存する。
【0020】
以下の詳細な説明により、多くの更なる利点及び利益が当業者に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、種々の要素及び要素の構成、並びに種々の処理動作及び処理動作の構成の形態をとる。図面は単に好適な実施例を説明する目的のためのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
図1を参照すると、飛行時間型陽電子放出断層撮影(TOF−PET)スキャナ8は、撮像領域12を観測するように構成された複数の放射線検出器10を含む。図1において、複数の放射線検出器10は、軸方向に沿った検出器の幾つかのリングに配置されるが、放射線検出器の他の配置が利用されても良い。更に、複数の放射線検出器10は図式的に示されており、一般に放射線検出器はスキャナ8の筐体14内に収容され、それ故外からは見えないものであり、放射線検出器の各リングは一般に数百又は数千の放射線検出器を含むことは理解されるべきである。幾つかのPETスキャナにおいては単一の放射線検出器リングのみが備えられ、他のものにおいては2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の放射線検出器リングが備えられる。図に示された検出器のリング構造の代わりに、検出器ヘッドが利用されても良いことは理解されるべきである。TOF−PETスキャナ8は、人間の患者又は他の撮像対象を撮像領域12に配置するための寝台16又はその他の支持器を含む。任意に、寝台16は、概して放射線検出器10のリングを横断する軸方向に直線的に移動可能であり、これにより3次元の撮像データの捕捉を容易化する。加えて、又は代替として、撮像対象は静的に保持され、3次元のTOF−PET画像データを捕捉するため放射線検出器の複数のリングが利用されても良い。更に他の実施例においては、単一の検出器のリングのみが備えられ、撮像対象は静的なままであり、結果の画像が2次元である。
【0023】
TOF−PET撮像の開始の前に、患者又は他の撮像対象に適切な放射性医薬品が投与される。該放射性医薬品は、陽電子を放出する放射性崩壊事象を経る放射性物質を含む。該陽電子は、撮像対象中の近隣の電子と共に急激に消滅する。結果の電子−陽電子消滅事象は、511keVのエネルギーを持つ2つの反対方向に向くガンマ線を生成する。該ガンマ線は、光速即ち約3×108メートル/秒で進む。撮像領域12は一般に約2メートル以下の径又は他の特徴的な大きさを持つため、陽電子−電子消滅事象の位置から複数の放射線検出器10の1つの検出器までのガンマ粒子の飛行時間は、およそ数ナノ秒以下である。かくして、2つの反対方向に向くガンマ線は、2つの放射線検出器に略同時に到達する。
【0024】
図1を更に参照し、更に図2を参照すると、各放射線検出器10はシンチレータ20を含み、該シンチレータ20は、ガンマ線がシンチレータ20に到達したときに、シンチレーション又は光のバーストを生成する。光のバーストは、シリコン基板24にモノリシックに配置された検出器画素22のアレイにより受信される。以下に説明されるように、検出器画素22は、光子のカウントのディジタル表現(図1において「カウント」と示される)と、シンチレーション事象に対応する光のバーストがいつ検出器画素22によって検出されたかを示すタイムスタンプのディジタル表現(図1において「タイムスタンプ」と示される)とを含む値を出力する、ディジタル検出器画素である。更に、複数の放射線検出器10は例えば、どの放射線検出器10が放射線検出事象を出力したかを示す検出器インデクス(図1において「ndetector」と示される)と、該放射線検出器のどの検出器画素が放射線検出事象に対応する光のバーストを検出したかを示す検出器画素インデクス(図1において「kpixel」と示される)とを含む、インデクス情報を出力する。シンチレータ20は、シンチレーションバーストの急激な時間的崩壊を用いて511keVのガンマ線に対して高い阻止パワーを提供するように選択される。幾つかの適切なシンチレータ物質は、LSO、LYSO、MLS、LGSO、LaBr及びこれらの混合物である。他のシンチレータ物質が利用されても良いことは理解されるべきである。図2はシンチレータ20を単結晶として示しているが、代わりにアレイ状の結晶が利用されても良い。加えて、シンチレーション光バーストの光子の検出器画素22への透過を改善するために、シンチレータ20と検出器画素22との間に任意の平面状の光導体26が挿入されても良い。シンチレータ20及び光導体26は任意に、シンチレーション光を画素22へと誘導する反射性被覆28に覆われても良い。
【0025】
更に図1を参照すると、放射線検出事象に関連するディジタルデータは、選択されたデータ処理を実行するプリプロセッサ30により処理される。例えば、1つのシンチレーション事象が複数の検出器画素により検出された場合、プリプロセッサ30は、各放射線検出事象について空間座標rを特定し、検出された放射線粒子のエネルギーを推定するために、アンガー(Anger)ロジック又はその他の処理を利用しても良い。結果の各放射線検出事象についての空間情報及びエネルギー情報は、事象バッファ32において保存される。他の実施例においては、シンチレータ層が検出器画素に対応するサイズのシンチレータタイルに分割され、各検出器画素が単一のシンチレータタイルに光学的に結合される。例えば、各シンチレータタイルは、結合された画素にシンチレーション光子を導くための、反射性被覆28に類似した反射性被覆を含んでも良い。
【0026】
ガンマ線対検出回路34は、放射線検出事象を処理し、対応する電子−陽電子消滅事象に属する略同時のガンマ線検出の対を特定する。該処理は例えば、エネルギーウィンドウ処理(即ち、約511keVに配置された選択されたエネルギーフィルタリングウィンドウの外の放射線検出事象を破棄すること)、及び一致検出回路(即ち、選択された時間フィルタリング間隔よりも大きく互いから時間的に離れた放射線検出事象の対を破棄する)を含んでも良い。
【0027】
ガンマ線対が特定されると、同時計測線(LOR)プロセッサ38が、2つのガンマ線検出事象に関連する空間情報(例えば、2つの事象がプロプロセッシング30により計算された空間座標r1及びr2によりそれぞれ表される)を処理し、2つのガンマ線検出を結ぶ空間的な同時計測線(LOR)を特定する。陽電子−電子消滅事象により放出される2つのガンマ線は、空間的に反対方向を向いているため、電子−陽電子消滅事象がLOR上のどこかで発生したことが分かる。
【0028】
TOF−PETにおいては、放射線検出器10は、2つの「略同時の」ガンマ線検出の間の飛行時間の差を検出するために十分な高い時間的解像度を持つ。飛行時間プロセッサ40は、2つのガンマ線検出事象の時間(図1において「t1」及び「t2」と示される)の時間差を解析し、LORに沿った陽電子−電子消滅の位置を特定する。大量の陽電子−電子消滅事象について積算された結果は、ヒストプロジェクション(histprojection)のセット42である。再構成プロセッサ44は、フィルタリングされた逆投影法又は補正を伴う反復的な逆投影法のような、いずれかの適切なアルゴリズムを用いて、ヒストプロジェクションのセット42を再構成された画像へと再構成する。結果の再構成された画像は画像メモリ46に保存され、ユーザインタフェース48に表示され、印刷され、保存され又はイントラネット若しくはインターネットにより通信される等しても良い。図示された実施例においては、ユーザインタフェース48は放射線医又は他のユーザがTOF−PETスキャナ8を制御することをも可能とし、他の実施例においては、別個のコントローラ又は制御コンピュータが備えられ得る。
【0029】
図3を参照すると、放射線検出器10の各画素22は、検出器セル50のアレイを含む。図3は、斯かる検出器セル50の1つの一般的な回路図を示す。光ダイオード52は絶縁破壊領域においてバイアスされ、ディジタル化回路54への入力として動作する。ディジタル化回路54の出力56は、静止状態に対応する第1のディジタル値を持ち、光ダイオード52による光子の検出に応じた第2のディジタル値へと遷移する。シンチレーションバーストの最初の光子が検出器されると、第1のディジタル値から第2のディジタル値への出力56の切り換えが、オープンコレクタ型トリガラインドライバ60を起動し、それによりトリガ信号が共通トリガライン又はバス62に供給される。トリガ信号は次いで、光子カウンタ/FIFOバッファ66(ここでFIFOは「first in, first out」を意味する)を起動する。該光子カウンタ/FIFOバッファ66は、トリガ信号により開始された積算期間の間、第1のディジタル値から第2のディジタル値へのディジタル化回路54の切り換えをカウントする。幾つかの他の実施例においては、捕捉可能化ライン67が光子カウンタ66を起動する。クエンチング回路70(アクティブ型であってもパッシブ型であっても良い)が光ダイオード52を通る電流を制限し、第2のディジタル値から第1のディジタル値へ戻すバイアス回路の遷移を容易化するように構成される。かくして、積算期間が終了する前に検出器セル50が静止状態の第1のディジタル値へとクエンチングされると、検出器セル50は1つよりも多い光子をカウントし得る。光子カウンタ/FIFOバッファ66に保存される最終的なカウントは、ディジタルバス68を介してアクセス可能である。
【0030】
光ダイオード52は、ガイガーモード型の動作で適切にバイアスされる。光ダイオード52が絶縁破壊を起こすと、アバランシェ絶縁破壊工程により大量の電荷(幾つかの光ダイオードにおいては例えば受信される検出毎に約106個の電子)が生成される。該電荷は主に、光ダイオード52を通る電流を制限するための典型的には数百キロオームの有効抵抗を持つクエンチング回路70を通って伝送される。電流がかくして制限されると、光ダイオード52に残る電荷は空間的に分散し、光ダイオード52のアバランシェ領域における電場を低減させる。このスクリーニングはアバランシェ工程をクエンチングし、残りのキャリアをアバランシェ/減少領域の外への流出により伝送させ、光ダイオード52の回復を引き起こす。一般に、光ダイオード52は、光ダイオード52のエッジにおけるアバランシェ絶縁破壊を防止するために、周囲に保護リング(図示されていない)を含む。該保護リング構造は、アバランシェ絶縁破壊が起こるには低すぎる内部電場を持つ通常の逆バイアスされたPNダイオードとして適切に動作する。
【0031】
図4Aを参照すると、検出器セルの1つの一実施例50'のより詳細な回路図が示されている。本実施例は、クエンチング抵抗として実施化されたパッシブ型クエンチング回路70'を含む。光子を検出すると、光ダイオード52の接合部が絶縁破壊し、光ダイオード52及びクエンチング抵抗70'を電流が流れ始める。該電流は抵抗70'の両端の電圧降下を引き起こし、インバータ入力における電位を低下させる。VDDに対する電圧の差は、インバータ出力を「高」状態へと駆動するために十分に大きいべきである。インバータの切り換え特性は、トランジスタ幅を調節することにより最適化され得る。光ダイオード52が絶縁破壊から回復すると、インバータ出力は自動的に「低」状態に戻る。
【0032】
更に図4Aを参照すると、検出器セル50'は更に、不良な検出器セルを完全にスイッチオフするのではなく、不良な検出器セルが不正なトリガを生成することを防止する、抑制ロジック74を実装する。不良な検出器セルは、トリガ確認回路(後述する)において考慮に入れられる過度の電流を生成する。検出器セル50'を利用する場合、トリガライン62は、プルアップレジスタ(図4Aには図示されていない)を介して「高」レベルへと固定される。このようにして、全ての検出器セル50'からのトリガが論理的に互いに「OR」演算され、最初の光子を検出した検出器セルによってトリガライン62がプルダウンされる。
【0033】
図4Bを参照すると、検出器セルの1つの他の実施例50''のより詳細な回路図が示されている。本実施例は、静止状態レベルへと戻るための光ダイオード52の接合部静電容量の放電を高速化し、光ダイオード52の回復時間を減少させるための、アクティブ型クエンチング回路70''を含む。所与の検出器セル50''は迅速に回復する場合に積算期間の間1つよりも多い光子をカウントする見込みがより高いため、より短い回復時間が高い感度に導くことが予期され、また検出器セル50''のより高いダイナミックレンジ及びより優れたエネルギー解像度へと導くことが予期される。階層型トリガネットワークが利用される場合には、光子カウンタ66は、最初の光子を検出した検出器セルによってプルダウンされ、積算期間の間、主画素ロジック(図4には図示されていない)によりホールドダウンされる、トリガライン62によって又は専用線によってイネーブルにされる。光子カウンタ66によって積算される検出された光子の数は、トリガライン62又は専用の読み出しラインの立ち上がりエッジにおいて、光子カウンタ66からバッファ又は他のディジタル記憶装置(図4Bには図示されていない)に転送される。次いで、次のシンチレーションバースト検出事象に備えるため、例えばトリガライン62上の反転され遅延された信号の低いレベルにより、カウンタ66が自動的にリセットされる。本構成において、積算期間同士の間の待ち時間は、バッファ転送時間とカウンタ66のリセット時間との和と同じくらい短くなり得、幾つかの実施例においては、CMOS実装について1ナノ秒よりも短くなることが予期される。図4Bの検出器セル50''はまた、不良の検出器セルからの不正なトリガを防止するための抑制ロジック74を含む。
【0034】
図5を参照すると、放射線検出器10の各画素22は、検出器セル50の2次元アレイと、関連する画素レベルディジタル画素ロジック80とを含む。画素22についてのディジタル読み出し回路は、検出器セルレベルにおいて、画素レベルディジタル捕捉読み出し回路82と関連する回路とを含む。
【0035】
図3及び5を参照すると、各検出器セル50のディジタル化回路54は、当該検出器セルの光ダイオード52が絶縁破壊状態に入ったか否かを示す、閾値ベースのバイナリのディジタル出力を供給する。ディジタル回路54は、光ダイオード52が静止状態にあるときの第1のバイナリ値を出力し、光ダイオード電流が閾値を超えたとき(光子検出を示す)第2のバイナリ値へと遷移する。各光ダイオード52の信号はかくして、検出器セル50のレベルにおいてディジタル化される。検出器セルのディジタル遷移をカウントする画素レベルロジックにより読み出しが実行され、検出された光子の数を示すディジタル画素出力を生成する。アナログSiPMにおいて実行されるような、アナログ光ダイオード電流を合計してアナログ画素出力を生成することに比べると、図3及び5のディジタル化カウント方法は、バイアス変化、動作温度変化又はクエンチング回路70の構成要素の公差等に対して大幅に敏感ではなくなる。これらの二次的な効果が、閾値型ディジタル回路54の誤った切り換え又は切り換え損ないを引き起こさない限り、一般には検出セル50のエネルギー解像度に影響を与えない。
【0036】
幾つかの読み出し方式においては、検出器セル50は、検出器セル50のアレイの行及び列についてのアドレスデコーダを利用して、標準的なメモリブロックにおけるようにアドレス指定される。この方法はセルデータのシーケンシャルな読み出しを提供し、この場合には画素レベル読み出し回路82が単純なディジタル積算器であり得る。他の読み出し方式においては、セルのラインが並行して読み出され、各ラインが部分的な合計のための自身の積算器を持ち、該部分的な合計が並列加算器ツリーにおいて加算される。更に他の読み出し方式においては、加算器が検出器セルに組み込まれ、それによりデータをクロックアウトする間にライン全体の合計が得られ、ラインの合計が該ラインにおける最後の検出器セルから読み出される。最後の読み出し方式における合計はパイプライン処理されることができ、該読み出しアーキテクチャは高速であり、短い読み出し間隔を可能とする。
【0037】
検出器セルレベルの光子カウンタ66又は画素レベル読み出し回路82のカウンタが飽和しそうな場合は、カウンタは先頭に戻ることを許可されるべきではない。例えば、0乃至15をカウントする4ビットのカウンタは、15から0へと戻されるべきではない。先頭へ戻ることを回避することにより、カウンタの読み取り値が該カウンタの最高値(例えば4ビットのカウンタについては15)である場合に画素22の飽和が検出され得る。先頭へ戻ることを回避するためのビットの数は、専ら予期される最短のセル回復時間及び積算期間の最大長に依存する。積算ウィンドウは設計パラメータであるが、セル回復時間は統計的な性質である。なぜなら、光子検出可能性は、セル回復の間にゆっくりと上昇する過電圧の関数であるからである。しかしながらアクティブ的にクエンチングされるセルにおいては、最短回復時間はモノフロップ(monoflop)遅延により定義される。従ってこの場合には、オーバフローを回避するために十分にカウンタを大きく設計することが可能である。ディジタルバス68は、空間又は時間的な制約に依存して、並列バスであっても良いし又は直列バスであっても良い。
【0038】
更に図5を参照すると、ディジタル画素ロジック80は更に、トリガディジタル回路84と、トリガ確認回路85と、画素22の光子カウントを保存する出力バッファ86とを含む。トリガディジタル回路84は、基準クロック88(図5には図示されていない適切な発振器又は他のクロック装置に接続された電気的トレースとして示される)にアクセスし、トリガディジタル回路84のための時間基準を提供する。トリガディジタル回路84は、グローバルな(例えばスキャナの)時間フレームで、放射線検出事象のタイムスタンプを決定する。スキャナの全ての画素22のトリガディジタル回路モジュール84は、好ましくは100ps未満の精度で同期して動作する。基準信号88は、画素のトリガディジタル回路モジュール84を同期させるために利用され、スキャナ全体について、これらモジュールに共通の時間基盤を提供する。幾つかの実施例においては、積算期間は、トリガ信号の出現において開始する、固定された時間間隔である。他の実施例においては、積算期間は、新たなカウントの割合が閾値を下回る場合に動的に終了される。
【0039】
トリガディジタル回路84はまた、好ましくはカウントに関連するディジタルタイムスタンプ(図1参照)を出力するように構成される。該ディジタルタイムスタンプは、シンチレーションバーストからの光子を検出する検出器セル50の最初の1つのトリガラインドライバ60により出力されるトリガ信号の時間に基づく。任意に、画素ロジック80は更に、データ補正レジスタ及び抑制シーケンスドライバを含む。また自動テスト・較正回路87が任意に、画素ロジック80により実装される。一テスト/較正方法においては、画素22のダークカウントレート(ことによるとシンチレータ20の固有の放射性により生成される背景カウントを含む)が監視される。他のテスト/較正方法においては、検出器セル50に注入されるテスト電荷からの外部励起が、画素22をテスト及び較正するために利用される。
【0040】
図5を更に参照すると、暗電流、クロストーク又は熱励起等により、検出器セル50の1つが誤ったトリガ信号を生成し積算期間を開始してしまうことが起こり得ることが理解されるであろう。トリガ確認回路85はトリガ信号を確認し、該トリガ信号が不正なものであると決定された場合には積算を中止する。一方式においては、トリガ確認回路85は、画素22のバイアスネットワークを流れる電流を解析する。選択された時間間隔の間(例えば捕捉期間への10ナノ秒の間)、弁別器又はその他の回路により測定された総電流が特定の電流閾値を下回ったままである場合、捕捉が中止され、次のトリガに備えて自動リセットシーケンスが起動される。電流が前記電流閾値を超える場合、弁別器出力が「高」レベルに上昇し、捕捉が継続される。幾つかの実施例においては、固定された積算期間を利用する代わりに、シンチレーションバーストの終了を検出するためにバイアス電流弁別器の立ち下りエッジが利用され、捕捉間隔の終了に略合致するように積算期間を適応させる。このことは、高いカウントレートの用途における山積を抑制する。他の適切な方法は、熱的なトリガは一般に相関しないため、短い時間ウィンドウ内で2つのトリガが熱的に生成される確率は、トリガを発するセルの距離に応じて減少するという事実を利用する。逆に、シンチレーションバーストは、画素22の感光エリアに亘って検出器セル50に作用するべきである。従って、トリガ確認回路85は、例えば個々の検出器セル50からのトリガを解析し、例えば2つの離れたラインが選択された時間ウィンドウ内でトリガ信号を生成した場合に、トリガ信号を正当なものと確認しても良い。トリガ確認には、単光子レベルよりも高いトリガ閾値において設定された調節可能な弁別器を持つ電流センサを利用するなど、他の方式が利用されても良い。
【0041】
他の幾つかの実施例においては、カウンタ66は、捕捉可能化ライン67によりトリガされる。陽電子−電子消滅事象に関連しない光子の高い背景流束がある場合、最初の光子によりトリガすることは問題が多いものであり得る。該背景は例えば、シンチレータの二次低速崩壊モードの結果であり得る。斯かる場合においては、検出器セルは頻繁に発火し、画素の待ち時間を増大させる。より頑強なカウンタ起動を提供するため、検出器セルレベルにおいて(図3、4A又は4B)、最初の光子の検出時に画素ロジックによってプルダウンされる(トリガラインは低下する)、又はバイアスネットワークを流れる電流がユーザ定義されたトリガレベルを超えたときにトリガ確認回路85の弁別器によりプルダウンされる、別個の「捕捉可能化」ライン67によって、光子カウンタがイネーブルにされる。該ラインは積算ウィンドウの長さを定義し、画素ロジックにより駆動される。検出器画素レベルにおいて(図5)、トリガ確認回路85は、時間−ディジタル変換器/トリガ確認回路への入力として、トリガライン62(単光子トリガの場合)か又は先端弁別器出力(多光子トリガの場合)を選択する多重化器89を含むように拡張される。トリガ確認回路85は、検出器セル50、50'、50''に「捕捉可能化」信号67を供給するように拡張される。代替として、単光子レベルにおけるトリガが必要とされない場合には、選択された数のセル(トリガライン)が同時にアクティブになった場合にトリガ信号を生成するように、適切なロジックが実装されても良い。該実装は、ディジタルの構成要素のみを必要とするという実用的な利点を持つ。しかしながら、この場合には、閾値は静的にのみ定義される。他の幾つかの実施例においては、検出器セルからオープンコレクタ型ドライバが任意に省略されても良く、トリガ確認回路において修正された設計が利用される。
【0042】
図5を更に参照し、更に図6を参照すると、画素22が2次元アレイで配列され、画素化された放射線検出器10の感光面を定義する。図6に示された実施例は、画素22の各ラインがFIFOバッファ90により読み出される画素読み出しを利用する。出力バッファ90はそれぞれトライステート型(tristate)出力バッファを含み、データが共有ディジタルデータバス92を通って転送されることを可能とする。任意に、ライン出力バッファ90における読み出し調停により、及び出力バッファ92による共有バス調停により、事象が該事象のタイムスタンプに従って保存され、一定期間に亘って保存された事象データのストリームに導く。該任意の特徴は、一致する事象の検索をかなり単純化する。データ要求のデージーチェーン(daisy-chain)が、書き込みアクセス調停のために適切に利用される。デージーチェーン接続された合計が、オフチップでの転送のために放射線検出器出力バッファ94へと転送される。
【0043】
図7及び図8を参照すると、幾つかの実施例において、放射線検出器10のディジタル回路(ディジタルバイアス回路54、54'及び54''、ディジタルトリガ回路60、60'、60''及び84、並びに読み出しディジタル回路66及び82のような)が、シリコン基板24上に配置されたCMOS回路により定義される。種々の物理的なレイアウトが利用されることができる。図7に示された垂直に分離されたレイアウトにおいては、検出器セル50、50'、50''のアレイの光ダイオード52が光ダイオード層100を定義し、光ダイオード層100から分離され且つ電気的に結合されたCMOディジタル回路層102においてディジタル回路が配置される。図8に示された代替のレイアウトにおいては、光ダイオード52が光ダイオード層100'を定義し、光ダイオード52間に挿入された光ダイオード層100'にCMOSディジタル回路(ディジタルバイアス回路54、54'及び54''、ディジタルトリガ回路60、60'、60''及び84、並びに読み出しディジタル回路66及び82のような)が配置される。
【0044】
CMOSロジックは切り換え状態のときのみに電力を引き出すため、クロック88によって継続してアクティブにクロック供給される放射線検出器10の一部のみが、ベースラインの電力消費に寄与する。画素22は、静止状態における絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオード52の1つにより生成されるトリガ信号によってアクティブにされるため、電力消費は光子検出レートに依存し、従って受信される光子の流束にダークカウントのレートを加えたものに依存する。画素22の電力消費の制御は、2つの捕捉間のそれぞれの画素の待ち時間を故意に増大させることにより実装され得る。このことは、画素の温度に依存する画素ロジック80によって自動的に為され得る。画素の温度は、温度センサ(図示されていない)により直接測定されても良いし、画素22のダークカウントレートから間接的に推定されても良い。
【0045】
CMOSロジックは切り換え状態のときのみに電力を引き出すため、アナログ実装に代えてCMOS実装を利用することにより、全体の電力消費は劇的に削減され得る。例えば、アナログ実装の幾つかの実施例においては、チャネル毎の電力消費が30mWであり、チップのグローバル部分の電力消費は162mWである。28336個のチャネル又は1890個のチップを持つ臨床装置におけるような更に実用的な実装については、電力消費は1156Wの一定値となり得る。一方、ここで説明された種々の実装のようなCMOS実装の場合の電力消費は、静的値と動的値との2つの異なる値を持つ。静的電力消費は、カウントがなくそれ故状態の切り換えがない場合に必要とされる電力である。該静的電力消費は、動的な切り換えのためのロジック用の電力を含む。なぜなら、ロジックはカウントを受信する準備ができている必要があるからである。動的電力消費は、検出器がアクティブにカウントを受信しており、それ故切り換え状態である場合に必要とされる電力である。アクティブ状態における電力消費はアクティビティの量に依存し、カウント及び状態の切り換えが多い程、多くの電力が必要とされる。同様の1890チップ検出器についての静的電力消費は、約10W以下である。動的電力消費はアクティビティに依存して変化し得るが、典型的には約300W以下である。
【0046】
光のシンチレーションバーストが、1以上の画素22の検出器セル50、50''、50''の略全てを、積算期間の間に第1のディジタル状態から第2のディジタル状態へと遷移させるために十分に高い光子の流束を生成する場合、問題が生じ得る。この場合、画素22が飽和し、実際の強度(即ち光子の流束)が正確に測定されない。この飽和の問題は、種々の方法で対処され得る。
【0047】
一手法においては、光ダイオード52により定義される感光エリアが、より多くのより小さい光ダイオードに分割される。各光ダイオードの減少された面積が、光子を検出する見込みを減少させる。より多くの光ダイオードの総数は光子の流束に対してより高い画素レベル感度をもたらすが、一般に各セルの減少された面積を完全には補償しない。検出器セルは、隣接する検出器セル間の光学的なクロストークを低減させるために、幾分かの間隔を持つべきである。典型的には、不透明な物質により満たされた溝が該間隔に用いられる場合には、セルの間隔は数ミクロン以下のオーダーである。かくして、セルの数を増大させることが一般に、セルの総面積に対する感応面積の割合を或る程度減少させる。加えて、セルのサイズを一定に保ちつつ検出器セルの数を増大させることが、一般にダークカウントレートの比例的な増大に導く。
【0048】
図9を参照すると、飽和問題に対処するための他の手法において、感光エリアにおいて比例光ダイオード110が含まれる。比例ダイオード110は、ディジタル検出において利用される光ダイオード52よりも大きい。比例光ダイオード110は、画素22に入射する光子の流束が、画素22の検出器セル50、50'及び50''の略全てを積算期間の間に第1のディジタル状態から第2のディジタル状態へと遷移させるために十分高い場合、該流束に比例するアナログ光電流を生成するように構成される。製作を簡単化するため画素22のアレイの一方の側に沿って示されているが、該アレイの中央又は該アレイの隅のような、該アレイに対する別の位置に比例光ダイオード110が配置されても良い。更に、幾つかの実施例においては、比例光ダイオード110は、画素22のアレイの各隅に配置された比例光ダイオードのように、複数の小型の電気的に相互接続された比例光ダイオードとして分散されても良い。図9の変形例においては、光子を検出するため光ダイオード52の最初の1つにより出力されたトリガ信号が、ガンマ線検出事象についてのタイミング情報を提供するために適切に利用される。かくして、放射線検出器10により出力されたタイムスタンプが利用される。しかしながら、ディジタル光ダイオード52が飽和した場合、ディジタルカウントを利用するのではなく、比例光ダイオード110により生成された光電流が、光子束の強度を示すために利用される。比例光ダイオード110は、従来のPINダイオード又は集積されたアナログ若しくはディジタル読み出し回路を持つアバランシェ光ダイオード等であっても良い。
【0049】
ここで、画素化された放射線検出器が、TOF−PET用途の例に関連して説明される。しかしながら当業者は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、伝送コンピュータ断層撮影(CT)、及び天文学の用途等のような他の用途のために、開示される画素化されたディジタル放射線検出器を容易に適応させることができる。光ダイオード52が放射線に対して直接的に敏感である放射線検出用途については、シンチレータ20は放射線検出器10から適切に省略される。
【0050】
実施例の殆どがディジタル回路に関連して説明されたが、本発明の一部がアナログ回路と共に実施例されても良いことを、当業者は理解すべきである。例えば、以下の説明は、アナログ回路システムにおいて不良なセルを無効化する方法を提供する。斯かる実施例は、本開示の範囲内に組み込まれるものとする。
【0051】
アナログ回路システム用の不良セル無効化方法は、2つの別個の段階、即ち検知段階と較正段階とを有する。検知段階の間、SiPMアレイ又は被験体(DUT)は、遮光的な(light-tight)設定において閾値よりも高い公称バイアス電圧でバイアスされる。半導体におけるガイガー放電は、接合部において、100,000個の電子につき平均して約3個の二次光子を生成する。かくして、1,000,000のゲインを持つセルは、約30個の光子を生成する。これら光子の平均波長は約1μmであり、これにより光子が吸収される前にシリコン中の長い距離を進むことを可能とする。適切な遮蔽が利用されていない場合には、これらの光子の幾つかは、近隣のセルにおける絶縁破壊を引き起こす(一般に光クロストークと呼ばれる)。それ以外の光子はシリコンを脱出し、適切な単光子検出器により検出されることができる。検知検出器は、DUTセルに1:1結合されている必要がある。かくして、検知検出器のトリガレートはこのとき、個々のセルのダークカウントレートと直接に関連する。個々のDUTセルについてゲイン及びその変動を直接的に測定するための、DUTの電荷パルスの付加的な測定が利用されても良い。しかしながら、十分な統計量を収集するためには、斯かる測定は測定時間のかなりの増加をもたらす見込みが高い。
【0052】
検知段階において得られるデータに基づいて、レーザビームが不良セルを無効化する。加えて、必要ならば、画素毎のアクティブなセルの数が、画素のダイナミックレンジを等化するように調節されても良い。幾つかの実装例においては、不良セルを無効化するためにヒューズが利用される。ヒューズは付加的な面積を望ましくなく消費し得るが、ヒューズがガードリング上に配置される場合には該面積は最小化され得る。他の代替例は、ポリレジスタ自体を切断することであり得る。
【0053】
第1の段階において利用される測定設定の例が、図10に示される。図10において、単光子カウンタアレイ200は、コリメータ構造220を利用して、DUT210に1:1結合される。当業者は、検知検出器がDUTと同じ画素サイズを持つ場合には、システムの感度を増大させるために近接結合が利用されても良いことを、理解すべきである。単光子カウンタアレイ200は、かなり低いダークカウントレートを持つ必要があり、従って少なくとも−50℃まで冷却される必要がある。光子カウンタアレイ200中の各検出器230は、ガイガーモード放電により放出される光子によりトリガされる。該検出器は行及び列をプルダウンすることにより該事象を示し、同じ事象を重複してカウントすることを防ぐためにホールドオフ間隔を開始する。該ホールドオフ間隔の長さは、DUTの回復時間に調節される必要がある。明確なホールドオフ間隔を得るため、アクティブクエンチング/再充電回路240が利用されても良い。事象の座標と相関してパルスの電荷を測定するために、付加的な回路が利用されても良い。1つの撮像カウンタセルのブロック模式図が図11に示され、センサのブロック図が図12に示される。
【0054】
測定を加速させるため、DUT温度を上昇させることが利用されても良い。較正段階において、無効化されるであろうセルのサブセットを選択するために、画素のダークカウントレート及びゲインデータが利用される。該サブセットは、いずれかの数の不良セルと、均一さを提供するために無効化され得るその他のセルとであっても良い。このことを実現するため、図13に示される変更された検出器セルにおいて示されるような、これらセルにおけるヒューズを切断するため、レーザが利用される。
【0055】
ディジタル無効化処理が利用されるか、アナログ無効化処理が利用されるかにかかわらず、不良と判断されたために無効化されたセルが幾つあるかをユーザが決定することを可能とするレポートが生成されても良い。該レポートは更に、無効化された不良セルの位置を提供しても良い。無効化された不良セルの位置は、幾つかの実施例においては、他のセルを無効化するために利用されても良い。一般にこのことは、検出器についての放射線のより均一な検出を可能とするため、幾つかの種類の幾何学的パターンで実行される。更に、他のセルの無効化は、手動入力若しくはフィードバック又はこれらの組み合わせに応じた、自動的なものであっても良い。
【0056】
結果のシリコン光電子増倍管アレイは、無効なセルによる面積の損失により減少された感度の代わりに、より低いダークカウントレートを持つこととなる。ダイナミックレンジの損失は、より多くの小型サイズのセルを画素において統合することにより、前もって考慮されることができる。ヒューズの実装は、ディジタル回路と組み合わせて利用されても良いことも理解されるべきである。例えば、ヒューズが較正のために利用され、ディジタル回路がカウント検出のために利用されても良い。これらの種類の発想を組み込んだ他の実施例もが、本開示から予期される。
【0057】
単光子レベルにおいてトリガが必要とされない幾つかの実施例においては、トリガ信号を生成し、ダークカウントを抑制するため、先端弁別器が利用されても良い。他の実施例においては、トリガ信号が、トリガラインに対して論理演算を適用することによりディジタル的に生成されても良い。例えば、画素が半分に又はブロックに分割されても良く、トリガ信号は双方の該半分が光子を検出した場合にのみ生成されても良い。斯かる実施例においては、ブロックの数及びサイズは、平均閾値及び選択性を設定するために調節されても良い。勿論、画素ブロックを相関させる他の幾何及び他の方法を含む(これらに限定されない)、他の同様の設計が実装されても良い。
【0058】
本発明は、好適な実施例を参照しながら説明された。明らかに、以上の詳細な説明を参照し理解することにより、変更や代替が考案されるであろう。本発明は、添付される請求項又はその等価物の範囲内である限りにおいて、斯かる変更及び代替の全てを含むものと解釈されるべきことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】高速の画素化されたディジタル放射線検出器を利用するTOF−PETシステムを示す。
【図2】図1のTOF−PETシステムの画素化されたディジタル放射線検出器の1つの断面図を示す。
【図3】画素化されたディジタル放射線検出器の検出器セルの1つの概略的な回路図を示す。
【図4(A)】検出器セルの1つの一実施例のより詳細な回路図を示す。
【図4(B)】検出器セルの1つの他の実施例のより詳細な回路図を示す。
【図5】画素化されたディジタル放射線検出器の1画素の回路図を示す。
【図6】画素化されたディジタル放射線検出器の1つの回路図を示す。
【図7】光ダイオードが光ダイオード層を定義し、光ダイオード層と分離され且つ電気的に結合されたディジタル回路層にディジタル回路が配置された、画素化されたディジタル放射線検出器の物理的なレイアウトの一実施例の断面図を示す。
【図8】光ダイオードが光ダイオード層を定義し、光ダイオード間に散在させられた光ダイオード層にディジタル回路が配置された、画素化されたディジタル放射線検出器の物理的なレイアウトの他の実施例の断面図を示す。
【図9】画素化されたディジタル放射線検出器エリアと、光子の流束が該画素化されたディジタル放射線検出器を飽和させるために十分に高い場合にアナログ光電流を生成する付加的な比例光ダイオードとを含む、改良型の装置の感光エリアの平面図を示す。
【図10】アナログ回路を含む検出器のための不良セル無効化処理の第1段階において利用される測定セットアップの例を示す。
【図11】1つの撮像カウンタセルの模式的なブロック図を示す。
【図12】センサブロック図を示す。
【図13】無効化のためにヒューズを組み込んだ光検出器を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線粒子を光のバーストに変換するシンチレータと共に使用するための検出器画素であって、前記検出器画素は、
検出器セルのアレイであって、前記検出器セルのそれぞれが、絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードと、前記光ダイオードに結合され且つ静止状態において第1のディジタル値を出力し前記光ダイオードによる光子の検出に応じて第2のディジタル値を出力するように構成されたディジタル回路と、を含む、検出器セルのアレイと、
1以上の前記検出器セルのうち選択された数の検出器セルが前記第1のディジタル値から前記第2のディジタル値へと遷移したことに応じて、積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成された、ディジタルトリガ回路と、
前記積算期間の間、前記検出器セルのアレイの検出器セルの、前記第1のディジタル値の出力から前記第2のディジタル値の出力への遷移の数のカウントを積算する、読み出しディジタル回路と、
を有する、検出器画素。
【請求項2】
各前記検出器セルは更に、
前記光ダイオードによる光子の検出の後、前記検出器セルを前記静止状態へと戻すように構成されたクエンチング回路を含む、請求項1に記載の検出器セル。
【請求項3】
前記検出器画素における電流を監視し、中止基準に応じて前記カウントの積算を中止する、トリガ確認回路を更に含む、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項4】
前記読み出しディジタル回路は、
前記第2のディジタル値をバッファリングする、各前記検出器セルに関連するバッファと、
前記第2のディジタル値を持つ前記検出器セルに関連するバッファをシーケンシャルに積算し前記カウントを生成するように構成された、画素レベル読み出し回路と、
を含む、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項5】
前記読み出しディジタル回路は、
それぞれが、前記積算期間の間、関連する前記検出器セルの、前記第1のディジタル値の出力から前記第2のディジタル値の出力への遷移を積算するように構成された、各前記検出器セルに関連する積算器と、
前記積算期間の終了時に前記積算器に保存された値を合計し前記カウントを生成する、加算回路と、
を含む、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項6】
前記ディジタルトリガ回路は、
前記カウントに関連するディジタルタイムスタンプを出力するように構成された、ディジタルタイムスタンプ回路を含み、前記ディジタルタイムスタンプは、時間基準信号に対するトリガ信号の時間に基づく、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項7】
前記検出器画素に入射する光子の流束に比例するアナログ光電流を生成するように構成された比例光ダイオードと、
前記光子の流束の受信の時間を示すトリガ信号の時間に基づいてタイムスタンプを生成する、前記検出器セルのアレイに接続されたディジタルタイムスタンプ回路と、
を更に含む、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項8】
シンチレータと、
受信された放射線に応じて前記シンチレータにより生成された光のバーストを受信するように構成された、請求項1に記載の検出器画素のアレイと、
を有する放射線検出器。
【請求項9】
前記画素のアレイは、共通シリコン基板にモノリシックに配置される、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項10】
前記検出器セルのアレイの前記光ダイオードは、光ダイオード層を定義し、前記ディジタル回路、前記ディジタルトリガ回路及び前記読み出しディジタル回路は、前記光ダイオード層と分離され且つ電気的に結合されたディジタル回路層を定義する、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項11】
前記検出器セルのアレイの前記光ダイオードは、光ダイオード層を定義し、前記ディジタル回路、前記ディジタルトリガ回路及び前記読み出しディジタル回路は、前記光ダイオードの間に散在させられ、前記光ダイオード層に配置される、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項12】
前記ディジタル回路、前記ディジタルトリガ回路及び前記読み出しディジタル回路の少なくともかなりの部分がCMOS回路である、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項13】
前記共通シリコン基板にモノリシックに配置された多重化回路を更に含み、前記多重化回路は、前記検出器画素の前記読み出しディジタル回路により生成されたカウントをディジタル的に多重化し、ディジタル放射線検出器出力信号を生成する、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項14】
前記ディジタルトリガ回路は、単一の前記検出器セルが前記第1のディジタル値から前記第2のディジタル値へと遷移したことに応じて、前記積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成された、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項15】
前記ディジタルトリガ回路は、複数の前記検出器セルが前記第1のディジタル値から前記第2のディジタル値へと遷移し、選択されたトリガ電流レベルを超える電流を生成したことに応じて、前記積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成された、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項16】
撮像領域から放出されたガンマ線を検出するために配置された、複数の請求項8に記載の放射線検出器と、
2つの前記放射線検出器による2つの略同時のガンマ線検出を特定する、ガンマ線対検出回路と、
前記2つのガンマ線検出を結ぶ空間的な同時計測線を決定する、同時計測線プロセッサと、
前記2つの略同時のガンマ線検出の間の時間差に基づいて、前記同時計測線に沿った陽電子−電子消滅事象の位置を特定する、飛行時間プロセッサと、
を有する、飛行時間型陽電子放出断層撮影システム。
【請求項17】
放射線粒子を光のバーストに変換するシンチレータと共に実行される方法であって、前記方法は、
絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードによる光子の検出に応じて第1のディジタル値から第2のディジタル値へとディジタル回路を切り換えるステップを有し、前記切り換えが切り換え事象を定義し、前記方法は更に、
複数の前記光ダイオードに関連する1以上の選択された数の前記切り換え事象に応じて、積算期間の開始を示すトリガ信号を生成するステップと、
前記積算時間の間、前記複数の光ダイオードに関連する切り換え事象のカウントを積算するステップと、
を有する方法。
【請求項18】
前記切り換え事象に続いて、前記第1のディジタル値に対応する静止状態へと前記光ダイオードをクエンチングするステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記積算を監視するステップと、
前記監視するステップにより決定された中止基準の出現に応じて、前記積算を中止するステップと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記積算期間の間の積算に関連するディジタルタイムスタンプを生成するステップを更に含み、前記ディジタルタイムスタンプは、前記トリガ信号の生成の時間と基準時間信号とに基づく、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記積算期間の開始を示す前記トリガ信号の生成と、前記積算期間の間の前記カウントの積算と、前記カウントに関連する前記ディジタルタイムスタンプの生成とを繰り返し、それぞれが関連する前記ディジタルタイムスタンプを持つ複数のカウントを生成するステップと、
それぞれの関連する前記ディジタルタイムスタンプによって前記カウントをソートし、時間によりソートされた事象データのストリームを生成するステップと、
を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記光ダイオードの略全てが前記積算期間の間に前記切り換え事象に関与するために十分に光子の流束が高い場合に、別個の比例ダイオードを利用して前記光子の流束に比例するアナログ光電流を生成するステップと、
を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
シンチレータと請求項17に記載の方法を実行するための回路とを含む、放射線検出器。
【請求項24】
光ダイオード層を定義する複数の光ダイオードと、
前記光ダイオードによる光子の検出に応じて1つ以上のディジタル値を供給するためのディジタル回路と、
前記ディジタル回路が配置されたシリコン基板と、
を有する放射線検出器。
【請求項25】
前記ディジタル回路は、前記光ダイオード層から分離され且つ前記光ダイオード層と電気的に結合されたディジタル回路層を形成する、請求項24に記載の放射線検出器。
【請求項26】
前記ディジタル回路は、複数の前記光ダイオードの間に少なくとも部分的に散在させられて前記光ダイオード層に配置される、請求項24に記載の放射線検出器。
【請求項27】
前記1つ以上のディジタル値はタイムスタンプ、検出器インデクス、検出器画素インデクス又は光子のカウントである、請求項24に記載の放射線検出器。
【請求項28】
検出器セルのアレイであって、前記検出器セルのそれぞれが光ダイオードと前記光ダイオードに結合されたディジタル回路とを含む検出器セルのアレイを有し、
前記ディジタル回路は、前記光ダイオードによる光子の検出に応じて、第1のディジタル値出力から第2のディジタル値出力へと遷移する、検出器画素。
【請求項29】
所定の数の前記検出器セルが前記第1のディジタル値出力から前記第2のディジタル値出力へ遷移した場合に、積算期間の開始時間を示すトリガ信号を供給する、ディジタルトリガ回路を更に有する、請求項28に記載の検出器画素。
【請求項30】
前記第1のディジタル値出力から前記第2のディジタル値出力への前記検出器セルの遷移をカウントする読み出しディジタル回路を更に有する、請求項28に記載の検出器画素。
【請求項31】
前記検出器画素における電流を監視し、中止基準に応じて積算処理を中止する、トリガ確認回路を更に有する、請求項28に記載の検出器画素。
【請求項32】
撮像されるべき対象を受容するように構成された撮像領域と、
少なくとも部分的に前記撮像領域の周りに配置された複数の検出器と、
を有し、前記複数の検出器の少なくとも1つが、
シンチレータと、
前記シンチレータからの光子を検出するための光ダイオードと、
前記光ダイオードによる光子の検出に応じて1つ以上のディジタル値を供給するためのディジタル回路と、
を有する、陽電子放出断層撮影システム。
【請求項33】
放射事象に応じてシンチレーション事象を生成するステップと、
前記シンチレーション事象を検出するステップと、
前記検出されたシンチレーション事象に対してディジタルタイムスタンプを割り当てるステップと、
再構築法において前記ディジタルタイムスタンプを利用して医用画像を生成するステップと、
を有する、医用画像を生成する方法。
【請求項34】
シンチレータと、
絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードと、
前記光ダイオードが絶縁破壊領域に入ったか否かを示すバイナリのディジタル出力を供給するディジタル回路と、
を有する検出器。
【請求項35】
シンチレータと、
前記シンチレータから事象を検出するための光ダイオードと、
前記光ダイオードの事象に応じてディジタル値を供給するための回路と、
を有し、前記回路は、光ダイオードの事象が無い場合には静的な電力消費モードで動作し、光ダイオードの事象がある場合には動的な電力消費モードで動作する、検出器。
【請求項36】
シンチレータと、
前記シンチレータから事象を検出するための光ダイオードと、
前記光ダイオードの事象に応じてディジタル値を供給するための回路と、
を有する検出器であって、前記検出器により必要とされる電力消費は、光ダイオードの事象に応じてアナログ値を供給する回路を持つアナログ検出器により必要とされる電力消費の少なくとも約3分の1である、検出器。
【請求項37】
検出器アレイの個々のセルのダークカウントレートを検知するステップと、
検知されたダークカウントに基づいてどのセルが不良であるかを決定するステップと、
不良であると決定されたセルに関連するヒューズを切断するためにレーザを利用するステップと、
を有する、撮像検出器のセルを無効化する方法。
【請求項38】
不良なセルの位置を決定するステップと、
前記不良なセルの位置に基づいて1以上の不良でないセルを無効化するステップと、
を更に有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
検出器アレイの個々のセルのダークカウントレートを検知するための手段と、
検知されたダークカウントに基づいて、どのセルが不良であるかを決定するための手段と、
不良であると決定されたセルに関連するヒューズを切断するためにレーザを利用するための手段と、
を有する、撮像検出器。
【請求項40】
不良なセルの位置を決定するための手段と、
前記不良なセルの位置に基づいて1以上の不良でないセルを無効化するための手段と、
を更に有する、請求項39に記載の撮像検出器。
【請求項41】
放射線に応じて光子を生成するためのシンチレータと、
前記シンチレータにより生成された光子を検出するための複数の光検出器と、
前記複数の光検出器により検出された光子に応じてディジタル出力を供給するためのディジタル回路と、
を有し、前記ディジタル回路は前記複数の光検出器のうちいずれかの数の光検出器をディジタル的に無効化する手段を含む、撮像検出器。
【請求項42】
前記光検出器を無効化する手段は、不良であるとみなされた光検出器を無効化する、請求項41に記載の撮像検出器。
【請求項43】
前記光検出器を無効化する手段は更に、前記無効化された不良な光検出器と所定の幾何学的関係にある1以上の光検出器を無効化する、請求項42に記載の撮像検出器。
【請求項44】
撮像検出器のための較正方法であって、
前記撮像検出器に複数の光検出器を備えるステップと、
前記複数の光検出器の応答性をテストするステップと、
どの前記光検出器が不良であるかを決定するステップと、
不良であると決定された前記光検出器を無効化するステップと、
を有する較正方法。
【請求項45】
前記無効化された不良な光検出器と所定の幾何学的関係にある1以上の光検出器を無効化するステップを更に有する、請求項44に記載の較正方法。
【請求項46】
前記無効化された光検出器のレポートを供給するステップを更に有する、請求項44に記載の較正方法。
【請求項47】
前記レポートは、前記無効化された光検出器の空間的な分布を含む、請求項46に記載の較正方法。
【請求項1】
放射線粒子を光のバーストに変換するシンチレータと共に使用するための検出器画素であって、前記検出器画素は、
検出器セルのアレイであって、前記検出器セルのそれぞれが、絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードと、前記光ダイオードに結合され且つ静止状態において第1のディジタル値を出力し前記光ダイオードによる光子の検出に応じて第2のディジタル値を出力するように構成されたディジタル回路と、を含む、検出器セルのアレイと、
1以上の前記検出器セルのうち選択された数の検出器セルが前記第1のディジタル値から前記第2のディジタル値へと遷移したことに応じて、積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成された、ディジタルトリガ回路と、
前記積算期間の間、前記検出器セルのアレイの検出器セルの、前記第1のディジタル値の出力から前記第2のディジタル値の出力への遷移の数のカウントを積算する、読み出しディジタル回路と、
を有する、検出器画素。
【請求項2】
各前記検出器セルは更に、
前記光ダイオードによる光子の検出の後、前記検出器セルを前記静止状態へと戻すように構成されたクエンチング回路を含む、請求項1に記載の検出器セル。
【請求項3】
前記検出器画素における電流を監視し、中止基準に応じて前記カウントの積算を中止する、トリガ確認回路を更に含む、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項4】
前記読み出しディジタル回路は、
前記第2のディジタル値をバッファリングする、各前記検出器セルに関連するバッファと、
前記第2のディジタル値を持つ前記検出器セルに関連するバッファをシーケンシャルに積算し前記カウントを生成するように構成された、画素レベル読み出し回路と、
を含む、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項5】
前記読み出しディジタル回路は、
それぞれが、前記積算期間の間、関連する前記検出器セルの、前記第1のディジタル値の出力から前記第2のディジタル値の出力への遷移を積算するように構成された、各前記検出器セルに関連する積算器と、
前記積算期間の終了時に前記積算器に保存された値を合計し前記カウントを生成する、加算回路と、
を含む、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項6】
前記ディジタルトリガ回路は、
前記カウントに関連するディジタルタイムスタンプを出力するように構成された、ディジタルタイムスタンプ回路を含み、前記ディジタルタイムスタンプは、時間基準信号に対するトリガ信号の時間に基づく、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項7】
前記検出器画素に入射する光子の流束に比例するアナログ光電流を生成するように構成された比例光ダイオードと、
前記光子の流束の受信の時間を示すトリガ信号の時間に基づいてタイムスタンプを生成する、前記検出器セルのアレイに接続されたディジタルタイムスタンプ回路と、
を更に含む、請求項1に記載の検出器画素。
【請求項8】
シンチレータと、
受信された放射線に応じて前記シンチレータにより生成された光のバーストを受信するように構成された、請求項1に記載の検出器画素のアレイと、
を有する放射線検出器。
【請求項9】
前記画素のアレイは、共通シリコン基板にモノリシックに配置される、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項10】
前記検出器セルのアレイの前記光ダイオードは、光ダイオード層を定義し、前記ディジタル回路、前記ディジタルトリガ回路及び前記読み出しディジタル回路は、前記光ダイオード層と分離され且つ電気的に結合されたディジタル回路層を定義する、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項11】
前記検出器セルのアレイの前記光ダイオードは、光ダイオード層を定義し、前記ディジタル回路、前記ディジタルトリガ回路及び前記読み出しディジタル回路は、前記光ダイオードの間に散在させられ、前記光ダイオード層に配置される、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項12】
前記ディジタル回路、前記ディジタルトリガ回路及び前記読み出しディジタル回路の少なくともかなりの部分がCMOS回路である、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項13】
前記共通シリコン基板にモノリシックに配置された多重化回路を更に含み、前記多重化回路は、前記検出器画素の前記読み出しディジタル回路により生成されたカウントをディジタル的に多重化し、ディジタル放射線検出器出力信号を生成する、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項14】
前記ディジタルトリガ回路は、単一の前記検出器セルが前記第1のディジタル値から前記第2のディジタル値へと遷移したことに応じて、前記積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成された、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項15】
前記ディジタルトリガ回路は、複数の前記検出器セルが前記第1のディジタル値から前記第2のディジタル値へと遷移し、選択されたトリガ電流レベルを超える電流を生成したことに応じて、前記積算期間の開始を示すトリガ信号を出力するように構成された、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項16】
撮像領域から放出されたガンマ線を検出するために配置された、複数の請求項8に記載の放射線検出器と、
2つの前記放射線検出器による2つの略同時のガンマ線検出を特定する、ガンマ線対検出回路と、
前記2つのガンマ線検出を結ぶ空間的な同時計測線を決定する、同時計測線プロセッサと、
前記2つの略同時のガンマ線検出の間の時間差に基づいて、前記同時計測線に沿った陽電子−電子消滅事象の位置を特定する、飛行時間プロセッサと、
を有する、飛行時間型陽電子放出断層撮影システム。
【請求項17】
放射線粒子を光のバーストに変換するシンチレータと共に実行される方法であって、前記方法は、
絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードによる光子の検出に応じて第1のディジタル値から第2のディジタル値へとディジタル回路を切り換えるステップを有し、前記切り換えが切り換え事象を定義し、前記方法は更に、
複数の前記光ダイオードに関連する1以上の選択された数の前記切り換え事象に応じて、積算期間の開始を示すトリガ信号を生成するステップと、
前記積算時間の間、前記複数の光ダイオードに関連する切り換え事象のカウントを積算するステップと、
を有する方法。
【請求項18】
前記切り換え事象に続いて、前記第1のディジタル値に対応する静止状態へと前記光ダイオードをクエンチングするステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記積算を監視するステップと、
前記監視するステップにより決定された中止基準の出現に応じて、前記積算を中止するステップと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記積算期間の間の積算に関連するディジタルタイムスタンプを生成するステップを更に含み、前記ディジタルタイムスタンプは、前記トリガ信号の生成の時間と基準時間信号とに基づく、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記積算期間の開始を示す前記トリガ信号の生成と、前記積算期間の間の前記カウントの積算と、前記カウントに関連する前記ディジタルタイムスタンプの生成とを繰り返し、それぞれが関連する前記ディジタルタイムスタンプを持つ複数のカウントを生成するステップと、
それぞれの関連する前記ディジタルタイムスタンプによって前記カウントをソートし、時間によりソートされた事象データのストリームを生成するステップと、
を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記光ダイオードの略全てが前記積算期間の間に前記切り換え事象に関与するために十分に光子の流束が高い場合に、別個の比例ダイオードを利用して前記光子の流束に比例するアナログ光電流を生成するステップと、
を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
シンチレータと請求項17に記載の方法を実行するための回路とを含む、放射線検出器。
【請求項24】
光ダイオード層を定義する複数の光ダイオードと、
前記光ダイオードによる光子の検出に応じて1つ以上のディジタル値を供給するためのディジタル回路と、
前記ディジタル回路が配置されたシリコン基板と、
を有する放射線検出器。
【請求項25】
前記ディジタル回路は、前記光ダイオード層から分離され且つ前記光ダイオード層と電気的に結合されたディジタル回路層を形成する、請求項24に記載の放射線検出器。
【請求項26】
前記ディジタル回路は、複数の前記光ダイオードの間に少なくとも部分的に散在させられて前記光ダイオード層に配置される、請求項24に記載の放射線検出器。
【請求項27】
前記1つ以上のディジタル値はタイムスタンプ、検出器インデクス、検出器画素インデクス又は光子のカウントである、請求項24に記載の放射線検出器。
【請求項28】
検出器セルのアレイであって、前記検出器セルのそれぞれが光ダイオードと前記光ダイオードに結合されたディジタル回路とを含む検出器セルのアレイを有し、
前記ディジタル回路は、前記光ダイオードによる光子の検出に応じて、第1のディジタル値出力から第2のディジタル値出力へと遷移する、検出器画素。
【請求項29】
所定の数の前記検出器セルが前記第1のディジタル値出力から前記第2のディジタル値出力へ遷移した場合に、積算期間の開始時間を示すトリガ信号を供給する、ディジタルトリガ回路を更に有する、請求項28に記載の検出器画素。
【請求項30】
前記第1のディジタル値出力から前記第2のディジタル値出力への前記検出器セルの遷移をカウントする読み出しディジタル回路を更に有する、請求項28に記載の検出器画素。
【請求項31】
前記検出器画素における電流を監視し、中止基準に応じて積算処理を中止する、トリガ確認回路を更に有する、請求項28に記載の検出器画素。
【請求項32】
撮像されるべき対象を受容するように構成された撮像領域と、
少なくとも部分的に前記撮像領域の周りに配置された複数の検出器と、
を有し、前記複数の検出器の少なくとも1つが、
シンチレータと、
前記シンチレータからの光子を検出するための光ダイオードと、
前記光ダイオードによる光子の検出に応じて1つ以上のディジタル値を供給するためのディジタル回路と、
を有する、陽電子放出断層撮影システム。
【請求項33】
放射事象に応じてシンチレーション事象を生成するステップと、
前記シンチレーション事象を検出するステップと、
前記検出されたシンチレーション事象に対してディジタルタイムスタンプを割り当てるステップと、
再構築法において前記ディジタルタイムスタンプを利用して医用画像を生成するステップと、
を有する、医用画像を生成する方法。
【請求項34】
シンチレータと、
絶縁破壊領域においてバイアスされる光ダイオードと、
前記光ダイオードが絶縁破壊領域に入ったか否かを示すバイナリのディジタル出力を供給するディジタル回路と、
を有する検出器。
【請求項35】
シンチレータと、
前記シンチレータから事象を検出するための光ダイオードと、
前記光ダイオードの事象に応じてディジタル値を供給するための回路と、
を有し、前記回路は、光ダイオードの事象が無い場合には静的な電力消費モードで動作し、光ダイオードの事象がある場合には動的な電力消費モードで動作する、検出器。
【請求項36】
シンチレータと、
前記シンチレータから事象を検出するための光ダイオードと、
前記光ダイオードの事象に応じてディジタル値を供給するための回路と、
を有する検出器であって、前記検出器により必要とされる電力消費は、光ダイオードの事象に応じてアナログ値を供給する回路を持つアナログ検出器により必要とされる電力消費の少なくとも約3分の1である、検出器。
【請求項37】
検出器アレイの個々のセルのダークカウントレートを検知するステップと、
検知されたダークカウントに基づいてどのセルが不良であるかを決定するステップと、
不良であると決定されたセルに関連するヒューズを切断するためにレーザを利用するステップと、
を有する、撮像検出器のセルを無効化する方法。
【請求項38】
不良なセルの位置を決定するステップと、
前記不良なセルの位置に基づいて1以上の不良でないセルを無効化するステップと、
を更に有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
検出器アレイの個々のセルのダークカウントレートを検知するための手段と、
検知されたダークカウントに基づいて、どのセルが不良であるかを決定するための手段と、
不良であると決定されたセルに関連するヒューズを切断するためにレーザを利用するための手段と、
を有する、撮像検出器。
【請求項40】
不良なセルの位置を決定するための手段と、
前記不良なセルの位置に基づいて1以上の不良でないセルを無効化するための手段と、
を更に有する、請求項39に記載の撮像検出器。
【請求項41】
放射線に応じて光子を生成するためのシンチレータと、
前記シンチレータにより生成された光子を検出するための複数の光検出器と、
前記複数の光検出器により検出された光子に応じてディジタル出力を供給するためのディジタル回路と、
を有し、前記ディジタル回路は前記複数の光検出器のうちいずれかの数の光検出器をディジタル的に無効化する手段を含む、撮像検出器。
【請求項42】
前記光検出器を無効化する手段は、不良であるとみなされた光検出器を無効化する、請求項41に記載の撮像検出器。
【請求項43】
前記光検出器を無効化する手段は更に、前記無効化された不良な光検出器と所定の幾何学的関係にある1以上の光検出器を無効化する、請求項42に記載の撮像検出器。
【請求項44】
撮像検出器のための較正方法であって、
前記撮像検出器に複数の光検出器を備えるステップと、
前記複数の光検出器の応答性をテストするステップと、
どの前記光検出器が不良であるかを決定するステップと、
不良であると決定された前記光検出器を無効化するステップと、
を有する較正方法。
【請求項45】
前記無効化された不良な光検出器と所定の幾何学的関係にある1以上の光検出器を無効化するステップを更に有する、請求項44に記載の較正方法。
【請求項46】
前記無効化された光検出器のレポートを供給するステップを更に有する、請求項44に記載の較正方法。
【請求項47】
前記レポートは、前記無効化された光検出器の空間的な分布を含む、請求項46に記載の較正方法。
【図2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図3】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図3】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2008−538606(P2008−538606A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507215(P2008−507215)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051089
【国際公開番号】WO2006/111883
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051089
【国際公開番号】WO2006/111883
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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