説明

TV会議システム

【課題】TV会議システムを最大限に有効利用可能とし、TV会議システムの可動率を向上させる。
【解決手段】環状画像又はその一部画像を撮影可能とする撮影手段12と、環状画像を投影可能とする画像表示手段14と、各地点へ環状画像を送受信可能とする通信手段と、を備える。各地点の撮影手段12にて撮影された環状画像を相互に各地点の画像表示手段にて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TV会議装置を用いるTV会議システムに関し、少人数で開催される複数のTV会議を容易にすると共に、各々のTV会議の開始時間と終了時間が個別に設定可能とするTV会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
距離の離れた二地点以上の会議室をネットワークで回線接続し、会議室間で会議参加者の画像や音声を相互に送受信して、会議を行なうTV会議システムが広く利用されている。図11は、従来のTV会議システムの代表例を示し、このTV会議システ30はネットワークを介して他地点同士のTV会議装置と回線接続され、カメラ31、モニタ32、マイク33、スピーカ34、及び円卓35を備える。この場合のマイク33とスピーカ34は、一体の装置にて構成されている。
【0003】
このTV会議システム30においては、A地点のカメラ31によって撮影した会議参加者A11、A12、A13の画像と、A地点のマイク33によって集音した音声とを、TV会議装置を介してB地点のTV会議装置に伝送する。それとともにB地点のTV会議装置から会議参加者B11、B12の画像情報と集音音声を伝送され、A地点のモニタ32及びスピーカ34に出力することにより、A地点とB地点との二地点間で会議参加者の映像や音声が送受信可能となった。
【0004】
通常のTV会議システム30において、互いの会議室内の各会議参加者は、モニタ32を介して他の会議室の状況を把握しながらTV会議を進行することになる。カメラ31によって撮影される画像が、相手側の会議室の状況を漠然と撮影したものとなり、単調な画像となるため臨場感に乏しく、会議参加者全体での一体感を得難い傾向がある。そこで、円卓35を利用することで、A地点とB地点とのどちらにおいても会議参加者全員(A11、A12、A13、B11、B12)が、円卓35を車座に囲んだ形態にして、一体感を得る工夫をしている。
【0005】
図12は、円卓35の利点を利用してA地点での車座に囲んだ形態を示す。特許文献1には、図12のような形態へ変更可能とする構成がなされている。このようにTV会議の形態やTV会議場所の状況に応じて変更すると共に、会議参加者全員の様子や会議室内の雰囲気等を把握することを可能とし、利便性を向上させる提案もされている。
更に特許文献2には、会議参加人数に対応した円卓35の規模の形態を変更可能とする提案がされている。机本体の相対的な向き姿勢、座位形態を使用目的やスペースに応じて任意に変更することが可能である。
【0006】
【特許文献1】特開2008−085930号公報
【特許文献2】特許第02839463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらのTV会議システムは、一つのTV会議のためだけに構成されているので、開催されている一つのTV会議が終了しないと、次の二つ目のTV会議は開催できない。TV会議システムは、TV会議装置を設置された専用の会議室が互いの地点に必要であり、多くの専用会議室を備えられない事情がある。また、TV会議システムは、各会議の開催時刻の調整などから有効にその可動率を向上する事も困難である。
【0008】
更に、TV会議システムの専用会議室は会議の参加人数に応じて、広げたり狭めたりする柔軟性がない。比較的に参加人数が多めに想定される会議の規模に合わせて、専用会議室は設定される。そのため少人数の参加者によるTV会議では、会議室が広過ぎて臨場感に乏しく、会議参加者全体での一体感を得難くなる。特にTV会議装置などの機材を設置された机などは、会議の規模に応じて機材を移動することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記課題を解決するために、環状画像又はその一部画像を撮影可能とする撮影手段と、環状画像を投影可能とする画像表示手段と、各地点へ環状画像を送受信可能とする通信手段と、を備えたTV会議システムであって、各地点の前記撮影手段にて撮影された環状画像を、相互に各地点の前記画像表示手段にて表示することを特徴とするTV会議システム等を提供する。
【発明の効果】
【0010】
この発明のTV会議システムでは、TV会議の専用会議室において、一つの映像回線で、複数の小規模のTV会議を同時に開催可能である。更に、各々のTV会議は音声回線のみを専用化することで、開始時間と閉会時間が個別に開催対応可能である。また、会議グループ数と各々の会議参加人数に応じて、仕切り壁板を移動することで各会議開催のスペース広さを、任意且つ柔軟に変更可能である。
【0011】
これらによりTV会議システムを最大限に有効利用可能となり、TV会議システムの可動率が向上する。
また、A地点とB地点とに各々個人を座位させて、互いに順番を変更していくことで、集団お見合い形式の様な面接方法を行なう事も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態のTV会議システムについて、図1〜図10にて説明する。
図1は、本発明のTV会議システムを、斜め上方より見た図である。図において、10は、本発明のTV会議システムの全体概要を示している。11は、TV会議システム10の各地点の会議室中央に備えられる円卓である。この円卓11には、以下説明するTV会議装置の機材が設置されるが、特別な形状や構成は施されていない。12は、水平方向360°全方向のパノラマ画像(環状画像)を撮影する全方位カメラである。このカメラは被写体の環状画像又はその一部画像を撮影可能である。なお、本TV会議システムは、各地点へ環状画像を送受信可能とする通信手段を備えている。
【0013】
全方位カメラ12のパノラマ画像撮影用レンズは、光学ガラスやレンズ用の透過性樹脂等で形成され、レンズ中心の光軸回りに回転対称に形成され、360°全周より光が入射可能に膨らんで略凸レンズ状に形成された環状の光入射面を備えている。13は、全方位カメラ12の撮影可能な範囲を垂直方向も含めて示す画角である。理解し易いように水平方向の180°のみを図では示してある。
【0014】
14は、水平方向360°全方位へパノラマ画像を投影する全方位プロジェクタである。全方位プロジェクタ14のパノラマ画像投影用レンズは、光学ガラスやレンズ用の透過性樹脂等で形成され、レンズ中心の光軸回りに回転対称に形成され、360°全周より光が出射可能に膨らんで略凸レンズ状に形成された環状の光出射面を備えている。つまり、全方位プロジェクタ14のパノラマ画像投影用レンズと、全方位カメラ12のパノラマ画像撮影用レンズとは、同タイプのレンズを利用したものであり、同一レンズでの構成も可能である。15は、全方位プロジェクタ14の投影可能な範囲を垂直方向も含めて示す画角である。同様に、理解し易いように水平方向の180°のみを図では示してある。16は、全方位プロジェクタ14により全方位へ投影されたパノラマ画像を映し出す360°円柱形状スクリーンである。この構成の360°円柱形状スクリーン16は、透過型(リアルプロジェクション)の画像投影であり、全方位カメラ12にて撮影された画像と投影される画像とが左右反転する。そこで、図示は省略するが会議装置サーバー等に組み込まれている制御手段で、撮影パノラマ画像より投影パノラマ画像に画像変換する際に座標を左右入れ替えることで容易に対応することが可能である。
【0015】
A11は、円卓11の回りに座位して各々のTV会議にのぞむ会議参加者である。ここで、会議参加者を区別して以下説明するために、三桁の番号で記述することとする。会議参加者の番号の一桁目はどの地点に居るかを示し、番号の二桁目はどの会議グループかを示し、番号の三桁目は何人目かを示す。
例1)会議参加者A11とは、A地点で第一会議グループの一人目という意味である。
例2)会議参加者B22とは、B地点で第二会議グループの二人目の意味である。
【0016】
17は、会議参加者A11がTV会議に利用し、マイクとスピーカを一体化したヘッドセットである。ヘッドセット17は全員が装着し、各々個別のTV会議グループごとに専用音声回線を接続して、会議グループごとの会議参加者同士のみが会話可能とする。18は、各々の会議グループを別ける仕切り壁板である。後述するように仕切り壁板18の全方位カメラ12に面する端部には、各々の仕切り壁板18を識別する識別マークが施してある。
【0017】
図2は、本発明のTV会議システムを縦断面にて示した図である。
全方位カメラ12は、円卓11上の中央で且つ全方位プロジェクタ14の上方に位置し、円柱形状スクリーン16の上端環状部フレームより延びた部材にて支えられている。全方位カメラ12の撮影可能な垂直方向の画角13は、円柱形状スクリーン16に遮られることなく、会議参加者A11の胸像画像を撮影することができる。全方位プロジェクタ14は、同じく円卓11上で且つ円柱形状スクリーン16の内側中央に位置している。
【0018】
全方位プロジェクタ14の投影可能な垂直方向の画角15は、円柱形状スクリーン16よりはみ出すことなく、B地点の撮影画像をパノラマ画像として投影表示する。これらにより会議参加者A11は、B地点の相手側の会議参加者を自身の正面に目視することが可能となる。
【0019】
図3は、各々の仕切り壁板18を識別する識別マークが施してあることを示す詳細図である。
各々の会議グループを別ける仕切り壁板18の全方位カメラ12に面する端部には、各々の仕切り壁板を識別する識別マークが施してある。例えば、第一の仕切り壁板18aと第二仕切り壁板18bとでは、識別マークの丸印の間隔が各々異なる。全方位カメラ12により、この識別マークを撮影し識別することで、会議装置サーバー等に組み込まれている制御手段にて、仕切り壁板18の位置や数量や配置角度や各々の会議グループの相対位置関係も把握可能となる。
【0020】
図4は、複数のTV会議が開催されている、パターン1のA地点を斜め上方より見た図である。
ある時間帯であるパターン1のA地点でのTV会議を示している。現在、四つのTV会議がA地点とB地点とで、開催されている状態である。第一会議グループは、会議参加者A11、B11の二人である。第二会議グループは、会議参加者A21、A22、B21、B22の四人である。第三会議グループは、会議参加者A31、A32、B31の三人である。第四会議グループは、会議参加者A41、B41の二人である。斜め上方より円卓11を見て、反時計回りに会議参加者A11、A21、A22、A41、A31、A32の順番に座位している。これをA地点の全方位カメラ12にて撮影して、B地点へ伝送している。
【0021】
円柱形状スクリーン16上の画像は、同じく反時計回りに会議参加者B11、B21、B22、B41、B31の順番に表示される。(会議参加者B41、B31は円柱形状スクリーン16の背面側に表示されるので、この図では示されていない。)A地点での各々の会議グループを別ける仕切り壁板18a〜18dの相対角度は、A地点で二人ずつ参加している、第二会議グループと第三会議グループとに考慮して、第一会議部ループと第四会議グループより広めに設定されている。各々の会議グループごとに専用音声回線(通信手段)を接続して、会議グループごとの会議参加者同士のみが会話可能とするヘッドセット17を全員が装着し、TV会議が進行されており、会議グループの会話が他の会議グループに悪影響を与えない。
【0022】
図5は、複数のTV会議が開催されているパターン1のB地点を斜め上方より見た図である。
同様に、ある時間帯であるパターン1のB地点でのTV会議を示している。斜め上方より円卓11を見て、反時計回りに会議参加者B11、B22、B21、B41、B31の順番に座位している。同様にこれをB地点の全方位カメラ12にて撮影して、A地点へ伝送している。
【0023】
円柱形状スクリーン16上の画像は、同じく反時計回りに会議参加者A11、A22、A21、A41、A32、A31の順番に表示される。(会議参加者A41、A32、A31は円柱形状スクリーン16の背面側に表示されるので、この図では示されていない。)ここで、B地点での会議参加者の順番が、A地点での円柱形状スクリーン16上の表示順番と異なることが分かる。同様に、A地点での会議参加者の順番が、B地点での円柱形状スクリーン16上の表示順番と異なることも分かる。B地点での各々の会議グループを別ける仕切り壁板18a〜18dの相対角度は、会議グループに関係無く均等に設定されて、A地点の相対角度と異なる。
【0024】
よって、単にA地点とB地点とで撮影された全方位のパノラマ画像を相互に送信して、A地点とB地点との円柱形状スクリーン16に各々表示しただけでは、表示左右位置や、表示面積と仕切り壁板18との不一致の虞がある。
また、会議グループの隣接順番がずれて対面すべき画像でなくなる恐れがある。そのため状況に応じて会議グループごとに表示画像を部分的に補正する必要がある。
【0025】
図6は、会議グループごとに表示画像を部分的に補正した図である。
19は、B地点の全方位カメラ12により撮影した円形画像である。水平方向360°全方向のパノラマ画像は、パノラマ画像撮影用レンズを介して撮影すると、全方位カメラ12において、平面状の円形画像19として撮影され、図形としての画像は中心部ほど間隔が狭まる。撮影された会議参加者の順番は時計回りに、B11、B22、B21、B41、B31であり、図5にて説明した会議参加者全員を正面から撮影している。また、各々の仕切り壁板18の識別マークも撮影され、会議装置サーバー等に組み込まれている制御手段にて、仕切り壁板18の位置や数量や配置角度や各々の会議グループの相対位置関係も把握する。これらの画像データを映像回線にてA地点へ伝送する。
【0026】
20は、A地点の円柱形状スクリーン16に水平方向360°全方位へ投影されたパノラマ画像を展開した画像である。平面状の円形画像19を詳細部分ごとに伸長縮小して、パノラマ画像として展開画像20aのように引き伸ばす。ここで、円柱形状スクリーン16は、透過型(リアルプロジェクション)の画像であるので、各々の会議グループごとに撮影画像と投影画像との左右座標を反転させる。つまり、撮影された円形画像19において会議参加者の順番は、B11、B22、B21、B41、B31である。しかしながら、展開画像20aにおいて会議参加者の順番は、B11、B21、B22、B41、B31となり、図4にて説明した円柱形状スクリーン16上の会議参加者の順番になる。
【0027】
次に、A地点での会議グループを別ける仕切り壁板18a〜18dの相対角度と、B地点での会議グループを別ける仕切り壁板18a〜18dの相対角度とは、関係性がない。B地点での仕切り壁板18a〜18dの間隔にて画像変換補正された展開画像20aのままで、A地点の円柱形状スクリーン16上に画像投影すると、A地点での仕切り壁板18a〜18dの間隔と画像表示面積が一致しない。そこで、A地点での仕切り壁板18a〜18dの間隔へ、会議装置サーバー等に組み込まれている制御手段にて、展開画像20aから展開画像20bのように画像表示面積を補正する。このとき会議参加者B31のように表示倍率等を変更して表示してもよい。
【0028】
更に、A地点での会議グループの隣接順番とB地点での会議グループの隣接順番とは同じとは限らない。そこで、各々の会議グループの並び順番に対応して、対面すべき画像順番を展開画像20bから展開画像20cのように画像隣接順番を補正する。会議グループを別ける仕切り壁板18a〜18dの順番は、図4と図5において説明が解り易くするためA地点とB地点で同一符号としてある。ここで、会議装置サーバー等に組み込まれている制御手段へ操作部により、互いの会議グループの位置を入力すれば、会議グループと仕切り壁板18の関係及び仕切り壁板18同士の順番などの制約は無い。各々の仕切り壁板18の識別マークを、全方位カメラ12にて制御手段が認識して、展開画像20b及び展開画像20cのように画像補正が行なわれる。
【0029】
これらと同様の画像変換補正を行い、A地点の全方位カメラ12により撮影した画像データも映像回線にてB地点へ伝送し、B地点の円柱形状スクリーン16に画像表示する。
【0030】
図7は、複数のTV会議が開催されているパターン2のA地点を斜め上方より見た図である。同じく図8は、複数のTV会議が開催されているパターン2のB地点を斜め上方より見た図である。
パターン1のTV会議の開催状況は時々刻々と変化し、時間経過したパターン2のTV会議を示している。TV会議の数が三つになり、会議グループごとの会議参加人数がA地点とB地点とで変化した状態である。第一会議グループは、会議参加者が二人から六人に人数増加し、スペースが拡張する。第二会議グループは、会議参加者が四人から三人に人数減少し、第一会議グループのスペース拡張に伴い、場所を少々変更する。第三会議グループは会議続行中で、そのままでよい。第四会議グループは、会議終了する。
【0031】
A地点とB地点とで、各々の会議グループを別ける仕切り壁板18の相対角度を、各地点の会議参加人数や、続行中のTV会議を配慮して設定する。図7と図8においては、仕切り壁板18cを取り除いてある。会議装置サーバー等に組み込まれている制御手段へ操作部により、互いの会議グループの位置を入力すれば、A地点とB地点とで異なった仕切り壁板18でもよい。また、仕切り壁板18を二枚以上重ね合わすことで、一枚と認識させることも可能である。
【0032】
図4〜図6において説明したのと同様にして、一つの映像回線で各々の会議グループは、TV会議を同時に開催可能である。更に、各々のTV会議は音声回線のみを専用化することで、開始時間と閉会時間が個別に開催対応可能である。
【0033】
図9は、パターン1とパターン2の時間経過による変化を簡単に示す図である。
図4〜図8において説明したように、TV会議のための専用音声回線とスペースが確保できれば、他の会議グループと独立して新たなTV会議を開催することが可能である。また、会議グループ数と各々の会議参加人数に応じて、仕切り壁板を移動することで各会議開催のスペース広さを、任意且つ柔軟に変更可能である。図9では、第五会議グループが開催を予定していることまで解る。これらによりTV会議システムを最大限に有効利用可能となり、TV会議システムの可動率が向上する。
【0034】
以上、A地点とB地点との二地点におけるTV会議システムについて説明したが、少々複雑になるが三地点以上でのTV会議システムにも対応可能なことが容易に理解できる。
【0035】
図10は、本発明のTV会議システムにおける簡単な動作手順を示すフローチャートである。
TV会議を開始するにあたり、TV会議システムの各地点での映像送受信回線が接続しているか判断する(ステップS1)。回線接続されていなければ、各地点の映像回線を互いに接続する。
次に、専用の音声回線を接続して、会議グループ数と専用音声回線数とが同数となっているか判断する(ステップS2)。音声回線数が足りなければ、会議グループ数に対応する専用音声回線数を互いに確保する。
【0036】
次に、各々の会議グループに配慮して、別ける仕切り壁板の位置を変更したか判断する(ステップS3)。位置を変更又は改めて設定する場合、各地点の仕切り壁板の相対位置情報を相互に伝達する。
次に、各地点で各々の会議グループの円柱形状スクリーン上に、表示される画像面積や倍率は適正か判断する(ステップS4)。適正でなければ、各地点の各々の会議グループに対応して、表示される画像面積や倍率を補正する。
次に、各地点で各々の会議グループの表示される対面すべき画像は適正か判断する(ステップS5)。適正でなければ、各地点の各々の会議グループに対応して、表示される画像の順場を補正する。
次に、TV会議を進行して時間経過と共に、会議グループ数及び会議参加人数など変更されたか判断する(ステップS6)。変更があればステップ2へ戻り、それぞれ適正になるように補正する。
各地点の全てのTV会議が閉会した場合(ステップS7)に、TV会議システムを終了する。
【0037】
図13は、TV会議が開催されているパターン3のB地点を斜め上方より見た図である。
図において21は、円柱形状よりその一部分を切出した円弧形状スクリーンである。基本的なシステムは、上述した図4〜図5及び図7〜図8と同様である。そして、TV会議が更に、少人数や少グループや省スペースで行なわれ、ある時間帯であるパターン3のB地点でのTV会議を示している。斜め上方より見て、反時計回りに会議参加者B11、B22、B21の順番に座位している。同様にこれをB地点の全方位カメラ12にて撮影して、A地点へ伝送している。円弧形状スクリーン21上の画像は、同じく反時計回りに会議参加者A11、A22、A21の順番に表示される。
【0038】
このように円柱形状よりその一部分を切出して円弧形状として利用する場合に、単にA地点とB地点とで撮影された全方位のパノラマ画像を相互に送信する以上に、より有効に利用する方法がある。撮影カメラ(全方位カメラ12)及び投影プロジェクタ(全方位プロジェクタ14)の持つ高画質能力を、状況に応じてパノラマ画像撮影用レンズを介して撮影する撮影画像範囲を部分的に補正する。
【0039】
図14は、撮影画像範囲を部分的に補正した図である。
図において22aは、撮影カメラ(全方位カメラ12)のCCD等の撮像素子が実際に撮影している画像範囲である。この撮像素子はワイド画面対応の横縦アスペクト比16:9となっている。このとき水平方向360°全方向のパノラマ画像は、パノラマ画像撮影用レンズを介して撮影すると、全方位カメラ12において、平面状の円形画像19として撮影され、図形としての画像は中心部ほど間隔が狭まる。平面状の円形画像19を詳細部分ごとに伸長縮小して、パノラマ画像として展開図引き伸ばす処理がされている。
23は、実際の撮影画像範囲22において、画像が無効となる画像範囲を示している。そして、図13からの分かるように円形画像19には、会議参加者が撮影されない部分が含まれている。
【0040】
ここで、円形画像19の会議参加者が撮影されている部分のみを、パノラマ画像撮影用レンズを介して撮影すれば、撮像素子が実際に撮影している画像範囲22bとなり、有効となる画素数が多く利用可能となる。
【0041】
24bは、円形画像19のその一部分の180°に対応した円弧形状画像である。例えば、会議参加者B11において、実際の撮影画像範囲22aに対し、実際の撮影画像範囲22bは、約1.7倍の大きさで撮影されることになる。これによりより一層高画質に撮影されて、撮影カメラの能力を更に利用可能となる。また同様にして、投影プロジェクタの持つ能力を更に利用可能となる。
TV会議が唯一行なわれるときなど、より省スペースでのTV会議では更に大きく撮影することも可能である。
24cは、円形画像19のその一部分の90°に対応した円弧形状画像である。ここでは、会議参加者B11において、実際の撮影画像範囲22aに対し、実際の撮影画像範囲22bは、約2.3倍の大きさで撮影されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のTV会議システムを斜め上方より見た図である。
【図2】本発明のTV会議システムを縦断面にて示した図である。
【図3】本発明に係る仕切り壁板の識別マークを詳細に示す図である。
【図4】本発明に係るパターン1のA地点を斜め上方より見た図である。
【図5】本発明に係るパターン1のB地点を斜め上方より見た図である。
【図6】本発明に係る会議グループごとに表示画像を部分的に補正した状態を示す図である。
【図7】本発明に係るパターン2のA地点を斜め上方より見た図である。
【図8】本発明に係るパターン2のB地点を斜め上方より見た図である。
【図9】本発明に係るパターン1とパターン2の時間経過による変化を示す図である。
【図10】本発明のTV会議システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図11】従来のTV会議システムの代表例を示す図である。
【図12】従来のTV会議の形態を変更可能とした代表例を示す図である。
【図13】パターン3のB地点を斜め上方より見た図である。
【図14】会議グループごとに表示画像を部分的に補正した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10:本発明のTV会議システム
11:円卓
12:全方位カメラ
13:撮影可能な範囲を示す画角
14:全方位プロジェクタ
15:投影可能な範囲を示す画角
16:円柱形状スクリーン
17:ヘッドセット
18:仕切り壁板
19:全方位カメラの撮影した円形画像
20:円柱形状スクリーンの展開画像
21:円弧形状スクリーン
22:実際の撮影画像範囲
23:無効となる画像範囲
24:円弧形状画像
30:従来のTV会議システム
31:従来のカメラ
32:従来のモニタ
33:従来のマイク
34:従来のスピーカ
35:従来の円卓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状画像又はその一部画像を撮影可能とする撮影手段と、環状画像を投影可能とする画像表示手段と、各地点へ環状画像を送受信可能とする通信手段と、を備えたTV会議システムであって、
各地点の前記撮影手段にて撮影された環状画像を、相互に各地点の前記画像表示手段にて表示することを特徴とするTV会議システム。
【請求項2】
前記画像表示手段の回りに相対位置を変更可能とする複数の仕切り壁板手段を設け、各地点における各々の会議の参加人数と会議グループ数に対応して、前記仕切り壁板手段の配置と各々の相対角度を変更可能とすることを特徴とする請求項1記載のTV会議システム。
【請求項3】
会議グループごとに各地点へ音声を専用音声回線を介して通信する通信手段を設け、該通信手段により会議グループ数と同数の前記専用音声回線を各々独立した時間に接続することを特徴とする請求項1記載のTV会議システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−166235(P2010−166235A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5883(P2009−5883)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】