説明

VLA−4阻害薬

【課題】良好な経口吸収性と水溶性を有し、経口投与で十分な抗炎症効果を示すVLA-4阻害薬を提供する。
【解決手段】下記の一般式(I)


[式中、R1は、水素原子又は低級アルキル基を示し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルコキシ基を示し、Qは、1又は複数個の置換基を有していてもよい、窒素原子を結合部位とする単環性又は二環性の含窒素複素環基を示し、Wは、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい二環性芳香族炭化水素環基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよい二環性芳香族複素環基を示し、R3a及びR3bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示し、A1は、窒素原子又はC-R3c(ここで、R3cは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示す)を示す]
で表される化合物又はその塩、又はこれを有効成分として含有するVLA-4阻害薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なシクロヘキサンカルボン酸骨格を有するVLA−4阻害薬に関する。
【背景技術】
【0002】
組織への微生物進入、損傷等によって引き起こされる炎症反応において、白血球が重要な役割を果たすことは良く知られている。また、白血球は、通常は血液中を循環しているが、炎症組織においては、その部位の血管壁を通り抜け、組織中へと動員されることも知られている。この白血球の血管内から炎症組織への浸潤は、白血球細胞表面上に発現されるインテグリンが関与していることが明らかにされている。
【0003】
インテグリンは、二つの非等価なα及びβ−サブユニットが会合している糖タンパクのヘテロ2量体からなり、α−サブユニットとしては少なくとも16種、βサブユニットとしては少なくとも9種が知られおり、大きなファミリーを形成している。インテグリンの1つである、α4β1は、VLA−4(very late antigen−4;超遅延型抗体)として知られており、単球、リンパ球、好酸球、好塩基球、肥満細胞及びマクロファージ等の白血球細胞表面上に発現している(非特許文献1)。そのリガンドとしてはVCAM−1(vascular cell adhesion molecular−1;血管細胞接着分子−1)及び細胞外タンパク質のフィブロネクチン(FN)等が知られている(非特許文献2)。
VLA−4とVCAM−1との接着を阻害した場合の効果としては、例えば、抗α4モノクロナール抗体を用いた抗炎症作用(非特許文献3)、抗α4抗体を用いたモルモット肺炎症モデルにおける抗原惹起の際の気道過敏性抑制作用及び気道内肺胞分泌液中への白血球浸潤抑制作用(非特許文献4)を挙げることができる。
【0004】
また、VLA−4とFNとの接着を阻害することによる炎症性疾患の抑制効果として以下の報告がある。FNがVLA−4と結合する領域として知られているCS−1(connecting segment−1;接合切片−1)のアミノ酸配列に似せたCS−1トリペプチド誘導体[フェニル酢酸−Leu(L)−Asp(D)−Phe(F)−d体Pro(d−P)−アミド]が、ウサギの心臓移植において拒絶反応を抑制した(非特許文献5)。
これらの研究結果は、VLA−4と、VCAM−1及び/又はFNの細胞接着の阻害が、炎症疾患の治療手段となることを示している。しかしながら、VLA−4阻害作用を示す低分子化合物は(特許文献1〜特許文献7及び非特許文献6)、現時点では医薬として用いられていない。炎症性疾患治療薬としては経口剤が好ましいが、それらの化合物の多くは、経口吸収性が低い、あるいは血中での滞留時間が低いことが知られており、経口投与で十分な効果を示す報告は少ない。
【特許文献1】WO 02/053534号公報
【特許文献2】WO 97/03094号公報
【特許文献3】WO 99/23063号公報
【特許文献4】WO 99/33789号公報
【特許文献5】米国特許 6,355,662号
【特許文献6】WO 01/000206号公報
【特許文献7】WO 01/051487号公報
【非特許文献1】Helmer,M.Ann.Rev.Immunol.,8,365(1990)
【非特許文献2】Elices,et al.,Cell,60,577(1990)
【非特許文献3】Lobb R.R.et al.,J.Clin.,Invest.,94,1722−28(1994)
【非特許文献4】Pretolani,et al.,J.Exp.Med.,180,795(1994)
【非特許文献5】Molossi et al.,J.Clin.Invest.,95,2601(1995)
【非特許文献6】Jefferson W.Tilley and Achyutharao Sidduri,Drugs of the Future,26(1),985−998(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経口投与可能なVLA−4阻害薬を開発するためには、経口吸収性の改善が必要である。
【0006】
経口吸収性の向上には、吸収部位である腸管膜透過性を確保するために、化合物の脂溶性を適度に高くする必要がある。しかし、一般に脂溶性を高くすると、水に対する溶解度の低下につながり、逆に経口吸収性の低下をまねき、薬物の用量依存性を確保できない、あるいは個人間のばらつきが大きくなる等の問題を引き起こす可能性がある。
【0007】
従って、経口投与可能なVLA−4阻害薬を開発するためには、1)適度な脂溶性、2)良好な膜透過性、3)良好な水溶性の解決が重要である。
【0008】
本発明の目的は、これらの課題を解決し、良好な経口吸収性を有し、経口投与で十分な抗炎症効果を示すVLA−4阻害剤を見いだすことが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表される化合物が、経口投与で十分な抗炎症効果を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、下記の一般式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、Rは、水素原子又は低級アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルコキシ基を示し、Qは、1又は複数個の置換基を有していてもよい、窒素原子を結合部位とする単環性又は二環性の含窒素複素環基を示し、Wは、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい二環性芳香族炭化水素環基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよい二環性芳香族複素環基を示し、R3a及びR3bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示し、Aは、窒素原子又はC−R3c(ここで、R3cは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示す)を示す]で表される化合物又はその塩を提供する。
【0013】
また、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する医薬、又は医薬を製造するための一般式(I)で表される化合物又はその塩の使用を提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物を有効成分として含有するVLA−4阻害剤を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物を有効成分として含有する、細胞接着に起因する疾患の防止剤及び/又は治療剤、又はVLA−4が関与する細胞接着に起因する疾患の防止剤及び/又は治療剤を提供するものである。
【0016】
さらに、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物を有効成分として含有する、VLA−4が関与する細胞接着に起因する疾患の防止剤及び/又は治療剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のVLA−4阻害剤は、高いVLA−4阻害活性と、良好な経口吸収性と水溶性を併せ持つことから、VLA−4を介する白血球の遊走及び接着に起因する各種疾患、例えば炎症反応、自己免疫疾患などの疾患の予防及び/又は治療を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明化合物の一般式(I)における置換基について、以下に説明する。
(1)ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
(2)低級アルコキシ基としては、C1〜C8、好ましくはC1〜C6の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基からなる低級アルキルオキシ基を示し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基及びn−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
(3)低級アルキル基とは、C1〜C8、好ましくはC1〜C6の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等が挙げられる。
(4)窒素原子を結合部位とする単環性の含窒素複素環基とは、少なくとも1個の窒素原子を環の構成原子として含む4〜7員の飽和若しくは不飽和の単環性複素環基であり、窒素原子で一般式(I)中のピロリジン環に結合する基を示す。具体例としては、アゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、イソオキサゾリジン−2−イル基、イソチアゾリジン−2−イル基、イミダゾリン−1−イル基、イミダゾリン−3−イル基、インダゾリン−1−イル基、インダゾリン−2−イル基、トリアゾール−1−イル基、トリアゾール−2−イル基、トリアゾール−3−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、モルホリン−4−イル基、チアモルホリン−4−イル基、チアモルホリン−1,1−ジオキシド−4−イル基、[1,2]チアジナン−2−イル基、[1,2]チアジナン−1,1−ジオキシド−2−イル基、ホモピペリジン−1−イル基、[1,4]オキサゼパン−4−イル基、[1,4]チアゼパン−4−イル基、[1,4]オキサゼパン−1,1−ジオキシド−4−イル基及び[1,4]ジアゼパン−1−イル基等が挙げられる。上記の基に置換してもよい基としては、ハロゲン原子、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいフェニル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキル基、低級シクロアルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいスルファモイル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルカノイル基、オキソ基及び水酸基等が挙げられる。
【0019】
ここで、上記の1又は複数個の置換基を有していてもよいフェニル基とは、無置換フェニル基の他に、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ニトロ基、アセチル基、プロピオニル基、シアノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ジメチルカルバモイル基及びフェニル基から選ばれる1又は複数個の基で置換されたフェニル基を示す。
【0020】
1又は複数個の置換基を有していてもよい低級アルキル基とは、上記の無置換低級アルキル基の他に、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ジメチルカルバモイル基及びフェニル基から選ばれる1又は複数個の基で置換された低級アルキル基を示す。
【0021】
低級シクロアルキル基とは、C3〜C8、好ましくはC3〜C6の環状アルキル基であり、具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基とは、上記の無置換低級アルコキシ基の他に、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ジメチルカルバモイル基及びフェニル基から選ばれる1又は複数個の基で置換された低級アルコキシ基を示す。
【0023】
1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基とは、無置換アミノ基の他に、上記の低級アルキル基及び低級シクロアルキル基から選ばれる1又は2個の基で置換されたアミノ基を示す。具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基及びN,N−ジシクロプロピルアミノ基等が挙げられる。
【0024】
低級アルコキシカルボニル基とは、上記の低級アルキル基を有する低級アルキルオキシカルボニル基を示す。具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基及びn−ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0025】
1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基とは、無置換カルバモイル基の他に、上記の低級アルキル基から選ばれる1又は2個の基で置換されたカルバモイル基を示す。具体例としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基及びN−メチル−N−エチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0026】
1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基とは、上記の低級アルキル基を有する低級アルキルスルホニル基を示し、無置換低級アルキルスルホニル基の他に、ハロゲン原子及びメトキシ基から選ばれる1又は複数個の基で置換された低級アルキルスルホニル基を示す。
【0027】
1若しくは2個の置換基を有していてもよいスルファモイル基とは、無置換スルファモイル基の他に、窒素原子上に上記の低級アルキル基及び低級シクロアルキル基から選ばれる1又は複数個の基で置換されたアミノスルホニル基を示す。具体例としては、メチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、イソプロピルスルファモイル基、N−メチル−N−エチルスルファモイル基、シクロプロピルスルファモイル基及びN,N−ジシクロプロピルスルファモイル基等が挙げられる。
【0028】
1若しくは2個の置換基を有していてもよい低級アルカノイル基とは、C1〜C7、好ましくはC1〜C5の低級アルキル基とカルボニル基から形成されるアシル基を示し、無置換低級アルカノイル基の他に、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基及びフェニルから選ばれる1又は複数個の基で置換された低級アルカノイル基を示す。
【0029】
(5)窒素原子を結合部位とする二環性含窒素複素環基とは、環の構成原子として少なくとも1個の窒素原子を含み、3〜7員の飽和若しくは不飽和の2つの環が、スピロ型、縮合型、または架橋型に結合した二環性の複素環基であり、環の構成原子である窒素原子で一般式(I)中のピロリジン環に結合する基を示す。具体的には、[(3a,6a−シス)−ヘキサヒドロフロ[3,4−c]ピロール]−5−イル基、(3a,6a−シス)−テトラヒドロ[1,3]ジオキソロ[4,5−c]ピロール−5−イル基、5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル基、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5−イル基、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5−イル基、1−ホモピペリジニル基、[1,4]オキサゼパン−4−イル基、[1,4]チアゼパン−4−イル基、[1,4]オキサゼパン−1,1−ジオキシド−4−イル基及び[1,4]ジアゼパン−1−イル基等が挙げられる。上記の二環性含窒素複素環基には、ハロゲン原子、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいフェニル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキル基、低級シクロアルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいスルファモイル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルカノイル基、オキソ基及び水酸基から選ばれる1または複数個の基で置換してもよい。上記の二環性含窒素複素環基に置換する置換基は、先の単環性含窒素複素環基のものと同じものを示す。
【0030】
(6)二環性芳香族炭化水素環基とは、無置換二環性芳香族炭化水素環基、あるいは二環性芳香族炭化水素環基上に1又は複数個の置換基を有する二環性芳香族炭化水素環基を示す。上記の二環性芳香族炭化水素環基としては、ナフチル基及びインデニル基等が挙げられる。当該二環性芳香族炭化水素環基の置換基としてはハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びイソプロポキシ基等を挙げることができる。
【0031】
(7)二環性芳香族複素環基とは、環の構成原子として少なくとも1個の酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含み、6員環と5〜6員環の2つの環が、縮合型に結合した芳香族複素環基を示す。具体例としては、インドリル基、インダゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、オキサゾロ[4,5−b]ピリジル基、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジル基、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジル基、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジル基、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジル基、チエノ[2,3−b]ピリジル基、チエノ[2,3−c]ピリジル基、チエノ[3,2−c]ピリジル基、チエノ[3,2−b]ピリジル基、フロ[2,3−b]ピリジル基、フロ[2,3−c]ピリジル基、フロ[3,2−c]ピリジル基、フロ[3,2−b]ピリジル基、ピラゾロ[3,4−b]ピリジル基、ピラゾロ[3,4−c]ピリジル基、ピラゾロ[4,3−c]ピリジル基、ピラゾロ[4,3−b]ピリジル基、イソキノリニル基、キノリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基及びシンノリニル基等が挙げられる。上記の二環性芳香族複素環基に置換してもよい基としては、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びイソプロポキシ基等が挙げられる。
【0032】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0033】
上記の一般式(I)において、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘプチル基等が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基及びtert−ブチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0034】
としては、水素原子、ハロゲン原子及びC1〜C6の低級アルコキシ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メトキシ基、エトキシ基及び無置換ベンジルオキシ基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0035】
3a及びR3bとしては、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルコキシ基及びC1〜C6の低級アルキル基等が好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メトキシ基及びメチル基がより好ましい。これらの中で、R3aは、水素原子、フッ素原子及び塩素原子が、R3bは水素原子が特に好ましい。
【0036】
としては、C−R3c(ここで、R3cは前記と同じものを示す)が好ましい。AがC−R3cであるときのR3cとしては、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルコキシ基及びC1〜C6の低級アルキル基等が好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メトキシ基及びメチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0037】
一般式(I)中のWとしては、下記の一般式(i)又は(ii)
【0038】
【化2】

【0039】
[式中、記号“ → ”は、結合位置を示し、R4a及びR4bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、または低級アルキル基を示し、A2aは、酸素原子、硫黄原子、またはN−R4c(ここで、R4cは、水素原子または低級アルキル基を示す)を示し、A2bは、窒素原子またはC−R4d(ここで、R4dは、水素原子または低級アルキル基を示す)を示し、R5a及びR5bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、または低級アルキル基を示し、A3aは、窒素原子またはC−R5c(ここで、R5cは、水素原子または低級アルキル基を示す)を示し、A3bは、窒素原子またはC−R5d(ここで、R5dは、水素原子または低級アルキル基を示す)を示す]
を好ましい基として挙げることができる。
【0040】
さらに具体的には、下記の一般式(iii−a)から(iii−h)
【0041】
【化3】

【0042】
(ここで、記号“ → ”は、結合位置を示し、R6a、R6b、R6c、R6d、R6e、R6f、R6g、R6h、R6i、R6j、R6k、R6l、R6m、R6n、R6o及びR6pは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示し、R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R7g及びR7hは、それぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基を示す)
で表される基を好ましい例として挙げることができる。
これらの中で、一般式(iii−a)、(iii−b)及び(iii−c)が好ましい。
【0043】
一般式(iii−a)から(iii−h)中の、R6a、R6b、R6c、R6d、R6e、R6f、R6g、R6h、R6i、R6j、R6k、R6l、R6m、R6n、R6o及びR6pは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルコキシ基及びC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基及びメチル基がより好ましい。
【0044】
また、R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R7g及びR7hは、水素原子及びC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
【0045】
一般式(I)中のQは、具体的には下記の一般式(iv−a)から(iv−x)
【0046】
【化4】

【0047】
【化5】

【0048】
[式中、記号“ → ”は結合位置を示し、
9a及びR9bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルキル基を示し、
10aは、水素原子又は低級アルキル基を示し、
10bは、低級アルキル基を示し、
11は、置換基を有する低級アルキル基を示し、
12aは、水素原子又は低級アルキル基を示し、
12b及びR12cは、それぞれ独立して低級アルキル基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級シクロアルキル基を示すか、R12b及びR12cが結合する窒素原子と一緒になって形成する、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいアゼチジン−1−イル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいピロリジン−1−イル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいピペリジン−1−イル基、又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいモルホリン−1−イル基を示し、
13a及びR13bは、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシメチル基を示し、
14a及びR14bは、それぞれ独立して低級アルキル基又は低級アルコキシメチル基を示し、
15は、水素原子、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキル基、又は1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基を示し、
16aは、低級アルキル基を示し、
16b及びR16cは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルコキシ基を示し、
17は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基を示し、
18a及びR18bは、それぞれ独立して低級アルキル基を示し、
19a及びR19bは、それぞれ独立してハロゲン原子、又はR19a及びR19bが結合するピロリジン環上の炭素原子と一緒になって形成する、C3〜C6のシクロアルキル環を示し、
20aは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示し、
5aは、窒素原子又はC−R20b(ここで、R20bは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示す)を示し、
5bは、窒素原子又はC−R20c(ここで、R20cは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示す)を示し、
5cは、窒素原子又はC−R20d(ここで、R20dは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示す)を示し、
21は、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
は、酸素原子、硫黄原子、又はS(O)を示し、
22aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
7a及びA7cは、直接結合、酸素原子、又はCHを示し、
7bは、1)A7a及びA7cがともにCHである場合は、酸素原子、硫黄原子、又はS(O)を示し、2)A7a及びA7cがともに直接結合である場合は、CHを示し、3)A7a及びA7cがともに酸素原子である場合は、C(−R22b)−R22c(ここで、R22b及びR22cは、それぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、
23は、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
は、酸素原子、硫黄原子、S(O)、又はCFを示し、
24aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
24bは、低級アルキル基を示し、
25aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
25bは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシメチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシエチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいフェノキシ基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基、又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいモルホリン−4−イル基を示し、
26は、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
は、酸素原子又はS(O)を示し、
27aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
27bは、水素原子、低級アルキル基、フルオロ低級アルキル基、低級シクロアルキルメチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシエチル基、又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、
28aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
28bは、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級シクロアルキル基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいピリジル基を示し、
29aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
10は、C(O)又はS(O)を示し、
29bは、低級アルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいベンジル基、又は1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基を示し、
30aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
30bは、水素原子、低級アルキル基、又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、
31aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
11は、酸素原子、CH−R31b(ここで、R31bは、水素原子又は低級アルキル基を示す)、又はN−R31c(ここで、R31cは、水素原子、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級シクロアルキル基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基を示す)を示し、
12は、酸素原子又はN−R32(ここで、R32は、水素原子、低級アルキル基又は低級シクロアルキル基を示す)を示す]
で表される基を挙げることができる。
【0049】
以下に、上記式中のR9a〜R32及びA5a〜A12について説明する。
【0050】
9a及びR9bとしては、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が好ましい。
10aとしては、水素原子、メチル基、エチル基及びn−プロピル基が好ましい。
10bとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が好ましい。
11の低級アルキル基に置換する基としては、C1〜C6の低級アルコキシ基、ハロゲン原子、1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいモルホリン−4−イル基及び1若しくは複数個の置換基を有していてもよいピペリジン−1−イル基等が挙げられ、具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、フルオロメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−(n−プロポキシ)エチル基、ジメチルアミノメチル基、モルホリン−4−イルメチル基、2,5−ジメチルモルホリン−4−イルメチル基及びピペリジン−1−イルメチル基等が好ましい。
【0051】
12aとしては、水素原子、メチル基及びエチル基が好ましい。
12b及びR12cとしては、ともにメチル基、エチル基及びシクロプロピル基であるもの及びR12b、R12bが置換する窒素原子と一緒になって形成する、アゼチジニル基、3−メトキシアゼチジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基及び2,6−ジメチルモルホリニル基であるものが好ましい。
13a及びR13bは、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、または低級アルコキシメチル基を示す。ここで、低級アルコキシメチル基とは、上記の低級アルコキシ基が置換したメチル基を示し、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、イソブチルオキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、n−ペンチルオキシメチル基及びn−ヘキシルオキシメチル基等が挙げられる。
13a及びR13bとしては、それぞれ独立して水素原子、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基及びn−プロポキシメチル基が好ましい。
【0052】
14a及びR14bとしては、メチル基、エチル基、メトキシメチル基及びエトキシメチル基が好ましい。
15としては、水素原子、C1〜C6の低級アルキル基及び1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基及びジメチルカルバモイル基がより好ましい。
16aとしては、メチル基、エチル基及びn−プロピル基が好ましい。
16bとしては、水素原子またはC1〜C6の低級アルコキシ基が好ましく、水素原子、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましい。
16cとしては、水素原子、ハロゲン原子及びC1〜C6の低級アルコキシ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましい。
【0053】
17としては、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルコキシ基及び1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基が好ましく、フッ素原子、メトキシ基、エトキシ基及びアセチルアミノ基等がより好ましい。
18a及びR18bとしては、C1〜C6の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基及びn−プロピル基がより好ましい。
19a及びR19bとしては、ともにフッ素原子であるか、置換するピロリジン環上の炭素原子と一緒になってシクロプロパン環を形成するのが好ましい。
【0054】
20aとしては、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルキル基及びC1〜C6の低級アルコキシ基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
5aとしては、窒素原子またはC−R20bが好ましく、A5aがC−R20bであるときのR20bは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルキル基及びC1〜C6の低級アルコキシ基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
5bとしては、窒素原子またはC−R20cが好ましく、A5bがC−R20cであるときのR20cは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルキル基及びC1〜C6の低級アルコキシ基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
5cとしては、窒素原子またはC−R20dが好ましく、A5cがC−R20dであるときのR20dは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルキル基及びC1〜C6の低級アルコキシ基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
21は、水素原子または1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、水素原子及びC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
としては、酸素原子及びS(O)が好ましい。
【0055】
22aとしては、水素原子及びC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
7a及びA7cとしては、ともにCH及び酸素原子が好ましい。A7bは、1)A7a及びA7cがともにCHである場合は、酸素原子が好ましく、3)A7a及びA7cがともに酸素原子である場合は、R22b及びR22cはともに水素原子及びはメチル基が好ましい。
23としては、水素原子及び1若しくは2個のC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基及びジメチル基がより好ましい。
としては、酸素原子及びS(O)が好ましい。
24aとしては、水素原子またはC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
24bとしては、メチル基及びエチル基が好ましい。
【0056】
25aとしては、水素原子及びC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
25bは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシメチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシエチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいフェノキシ基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基、または1若しくは複数個の置換基を有していてもよいモルホリン−4−イル基を示す。ここで、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシメチル基とは、上述の無置換低級アルコキシメチル基を示すか、低級アルコキシ基上に1または複数個の置換基を有する低級アルキルオキシメチル基を示し、当該低級アルコキシメチル基の置換基としては、ハロゲン原子、メトキシ基及びエトキシ基等が挙げられる。1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシエチル基とは、上記の低級アルコキシ基が置換したエチル基を示し、例えば2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−(n−プロポキシ)エチル基、2−イソプロポキシエチル基、2−(n−ブトキシ)エチル基、2−イソブチルオキシエチル基、2−(tert−ブトキシ)エチル基、2−(n−ペンチルオキシ)エチル基及び2−(n−ヘキシルオキシ)エチル基等が挙げられる。当該低級アルコキシエチル基の置換基としては、ハロゲン原子、メトキシ基及びエトキシ基等が挙げられる。1または複数個の置換基を有していてもよいフェノキシ基とは、無置換フェノキシ基を示すか、ベンゼン環上に1または複数個の置換基を有するフェニルオキシ基を示し、当該フェノキシ基の置換基としてはハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ニトロ基、アセチル基、プロピオニル基、シアノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ジメチルカルバモイル基及びフェニル基等が挙げられる。
25bとしては、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6の低級アルキル基、C1〜C6の低級アルコキシメチル基、C1〜C6の低級アルコキシエチル基、C1〜C6の低級アルコキシ基、無置換フェノキシ基、ジメチルカルバモイル基、C1〜C6の低級アルキルスルホニル基、ジ(低級アルキル)アミノ基及びモルホリン−4−イル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、無置換フェノキシ基、ジメチルカルバモイル基、モルホリン−4−イル基及び2,6−ジメチルモルホリン−4−イル基等がより好ましい。
【0057】
26としては、水素原子及びC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
としては、酸素原子が好ましい。
27aとしては、水素原子及び1若しくは2個のC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基及びジメチル基がより好ましい。
27bは、水素原子、低級アルキル基、フルオロ低級アルキル基、低級シクロアルキルメチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシエチル基、または1若しくは複数個の置換基を有していてもよいベンジル基を示す。ここで、フルオロ低級アルキル基とは、上述の低級アルキル基上に1または複数個のフッ素原子が置換した低級アルキル基を示し、具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−フルオロプロピル基、2,2−ジフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロプロピル基、2−フルオロブチル基、2,2−ジフルオロブチル基、2,2,2−トリフルオロブチル基、2−フルオロヘプチル基、2,2−ジフルオロヘプチル基及び2,2,2−トリフルオロヘプチル基等が挙げられる。
27bとしては、水素原子、低級アルキル基、フルオロ低級アルキル基、低級シクロアルキルメチル基及び低級アルコキシエチル基等が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、シクロプロピルメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基及び無置換ベンジル基等がより好ましい。
【0058】
28aとしては、水素原子及び1若しくは2個のC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基及びジメチル基がより好ましい。
28bとしては、C3〜C6の低級シクロアルキル基、2−ピリジル基及び4−ピリジル基が好ましく、シクロプロピル基、(1−メチル)シクロプロパン−1−イル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2−ピリジル基及び4−ピリジル基がより好ましい。
29aとしては、水素原子及び1若しくは2個のC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基及びジメチル基がより好ましい。
10としては、C(O)及びS(O)が好ましい。
29bとしては、A10がC(O)のときはメチル基、エチル基及び無置換ベンジル基が好ましく、A10がS(O)のときはメチル基、エチル基及びジメチルアミノ基等が好ましい。
【0059】
30aとしては、水素原子及び1若しくは2個のC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基及びジメチル基がより好ましい。
30bとしては、水素原子、C1〜C6の低級アルキル基及び1若しくは複数個の置換基を有していてもよいベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基及び無置換ベンジル基が好ましい。
31aとしては、水素原子及びC1〜C6の低級アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
11としては、酸素原子及びN−R31cが好ましく、R31cとしては、C1〜C6の低級アルキル基、C1〜C6の低級シクロアルキル基及びC1〜C6の低級アルキルスルホニル基が好ましく、メチル基、エチル基、シクロプロピル基及びメタンスルホニル基がより好ましい。
12は、酸素原子またはN−R32(ここで、R32は、水素原子、低級アルキル基、または低級シクロアルキル基を示す)示す。A12がN−R32基であるときのR32は、C1〜C6の低級アルキル基及びC1〜C6の低級シクロアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基及びシクロプロピル基がより好ましい。
【0060】
上記の一般式(iv−a)から(iv−x)の具体例として、下記の式(iv−1)から(iv−174)を挙げることができる(ここで、下記の式中の記号“ → ”は、結合位置を示す)。
【0061】
式(iv−a)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−1)〜(iv−8)
【0062】
【化12】

【0063】
等の基が挙げられ、
式(iv−b)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−9)〜(iv−15)
【0064】
【化13】

【0065】
等の基が挙げられる。
式(iv−c)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−16)〜(iv−22)
【0066】
【化14】

【0067】
等の基が挙げられ、
式(iv−d)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−23)〜(iv−30)
【0068】
【化15】

【0069】
等の基が挙げられる。
式(iv−e)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−31)〜(iv−40)
【0070】
【化16】

【0071】
等の基が挙げられ、
式(iv−f)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−41)〜(iv−45)
【0072】
【化17】

【0073】
等の基が挙げられる。
式(iv−g)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−46)〜(iv−51)
【0074】
【化18】

【0075】
等の基が挙げられ、
式(iv−h)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−52)〜(iv−64)
【0076】
【化19】

【0077】
等の基が挙げられる。
式(iv−i)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−65)〜(iv−72)
【0078】
【化20】

【0079】
等の基が挙げられ、
式(iv−j)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−73)〜(iv−80)
【0080】
【化21】

【0081】
等の基が挙げられる。
【0082】
式(iv−k)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−81)〜(iv−82)
【0083】
【化22】

【0084】
等の基が挙げられ、
式(iv−l)の具体例としては、下記の下記の式(iv−83)〜(iv−86)
【0085】
【化23】

【0086】
等の基が挙げられる。
式(iv−m)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−87)〜(iv−89)
【0087】
【化24】

【0088】
等の基が挙げられ、
式(iv−n)の具体例としては、下記の式(iv−90)〜(iv−96)
【0089】
【化25】

【0090】
等の基が挙げられる。
式(iv−o)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−97)〜(iv−103)
【0091】
【化26】

【0092】
等の基が挙げられ、
式(iv−p)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−104)〜(iv−107)
【0093】
【化27】

【0094】
等の基が挙げられる。
式(iv−q)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−108)〜(iv−126)
【0095】
【化28】

【0096】
等の基が挙げられ、
式(iv−r)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−127)〜(iv−128)
【0097】
【化29】

【0098】
等の基が挙げられる。
式(iv−s)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−129)〜(iv−149)
【0099】
【化30】

【0100】
等の基が挙げられ、
式(iv−t)の好ましい具体例として、下記の式(iv−150)〜(iv−156)
【0101】
【化31】

【0102】
等の基が挙げられる。
【0103】
式(iv−u)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−157)〜(iv−164)
【0104】
【化32】

【0105】
等の基が挙げられ、
式(iv−v)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−165)〜(iv−167)
【0106】
【化33】

【0107】
等の基が挙げられる。
式(iv−w)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−168)〜(iv−171)
【0108】
【化34】

【0109】
等の基が挙げられ、
式(iv−x)の好ましい具体例としては、下記の式(iv−172)〜(iv−174)
【0110】
【化35】

【0111】
等の基が挙げられる。
【0112】
一般式(I)中のQは、一般式(iv−i)、(iv−j)、(iv−k)、(iv−o)、(iv−q)又は(iv−s)で表される基が好ましく、
一般式(iv−o)又は(iv−s)で表される基がより好ましい。
【0113】
また、一般式(I)中のQが、式(iv−o)であって、式(iv−o)中のAが酸素原子であり、R23が、2,6−ジメチル基である、下記式
【0114】
【化36】

【0115】
で表される基が、より好ましい。
【0116】
また、一般式(I)中のQが、一般式(iv−s)の基であって、式(iv−s)中のR27aが水素原子であり、R27bが、低級アルキル基又はフルオロ低級アルキル基である、下記式
【0117】
【化37】

【0118】
で表される基がより好ましく、
一般式(I)中のQが、一般式(iv−s)の基であって、式(iv−s)中のR27bが、2,2,2−トリフルオロエチル基である、下記式
【0119】
【化38】

【0120】
で表される基のものが特に好ましい。
【0121】
一般式(I)で表される化合物の中では、下記の一般式(I−a)
【0122】
【化6】

【0123】
(式中、R、R、R3a、R3b、A、Q及びWは前記と同じものを示す)で表される立体配置を有する化合物が好ましく、
下記の一般式(I−b)
【0124】
【化7】

【0125】
(式中、R、R、R3a、R3b、A、Q及びWは前記と同じものを示す)で表される立体配置を有する化合物がより好ましい。
【0126】
さらに、下記の一般式(I−c)
【0127】
【化8】

【0128】
(式中、R、R、R3a、R3b、A、Q及びWは前記と同じものを示す)で表される立体配置を有する化合物が特に好ましい。
【0129】
一般式(I)中のAが、C−R3c(ここで、R3cは前記と同じものを示す)であるものが好ましく、R3cが水素原子であるものがより好ましい。
【0130】
一般式(I)中のR3aは、水素原子又はフッ素原子が好ましく、R3bは、水素原子が好ましい。
【0131】
また、下記一般式(v)
【0132】
【化9】

【0133】
(式中、記号“ → ”、R3a、R3b、A及びWは、一般式(I)と同じものを示す)で表される基が、下記の式(v−1)から(v−20)
【0134】
【化10】

【0135】
(式中、記号“ → ”は前記と同じものを示す)で表される基が、特に好ましい。
【0136】
一般式(I)中のRは、水素原子であるものが好ましく、Rは、水素原子が好ましい。
【0137】
さらに具体的には、下記の式(vi−1)から(vi−5)
【0138】
【化11】

【0139】
で表される化合物、その塩、又はその低級アルキル エステルを挙げることができる。
【0140】
本発明の一般式(I)で表される化合物が、アミノ基等の塩基性基を有する場合、所望により塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸又はギ酸、酢酸、メタンスルホン酸等の有機酸を用い、生理学的に許容される塩とすることができる。また、一般式(I)で表される本発明化合物が、カルボキシル基等の酸性基を有する場合、一般的に塩基付加塩を形成することが可能である。生理学的に許容される塩としては有機塩類又は無機塩類の何れでもよく、その好適な例として、例えばリチウム塩、ナトリウム塩若しくはカリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩若しくはカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ピペラジン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩、N,N‘−ジメチルエチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩等を挙げることができる。
【0141】
また、本発明の一般式(I)で表される化合物、又はその塩は、遊離体若しくは溶媒和物として存在することもある。溶媒和物としては、医薬的に許容し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、水和物、エタノール和物等を挙げることができる。一般式(I)で表される本発明化合物中に窒素原子が存在する場合にはN−オキシド体となっていてもよい。これら溶媒和物及びN−オキシド体も本発明の範囲に含まれる。
【0142】
また、一般式(I)で表される本発明化合物、又はその塩には、置換基の種類や組み合わせによって、シス体、トランス体等の幾何異性体やd体、l体等の光学異性体等、各種異性体が存在し得るが、本発明の化合物は、特に限定していない場合はそれら全ての立体異性体及びいずれの比率のこれら立体異性体混合物をも包含するものである。
【0143】
本発明の化合物(I)は、以下の[スキーム1]に示す方法で製造することができる。
【0144】
[スキーム1]
本発明の化合物(I)中のエステル体(3)及び化合物(4)は、カルボン酸誘導体(1)とピロリジン誘導体(2)又はその塩類との脱水縮合反応により、エステル体(3)を製造し、引き続いてエステル体(3)を、アルカリ又は酸加水分解することにより製造可能である。
【0145】
【化39】

【0146】
(上記式中、R1aは低級アルキル基を示し、R、R3a、R3b、A、Q及びWは前記と同じものを示す。)
カルボン酸誘導体(1)とピロリジン誘導体(2)又はそれらの塩類(例えば塩酸塩等)との縮合反応においては、公知の縮合方法を用いればよい。縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、又はそれらの同類物が挙げられ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等が好ましい。反応溶媒は塩化メチレン等の不活性ハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン等の不活性炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン等の不活性エーテル系溶媒、又はN,N’−ジメチルホルムアミド等の不活性極性溶媒等が使用でき、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等が好ましい。反応温度としては、−20℃〜溶媒の沸点の範囲であり、0℃〜室温の範囲が好ましい。反応時間は、通常1〜24時間程度である。
上記の縮合反応では、トリエチルアミン又は4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等の有機アミン系塩基を1〜30当量の範囲で用いることが好ましく、特にピロリジン誘導体(2)の塩を使用する場合はその塩を中和するために、化学量論的に等量以上の上記塩基を使用することが必要である。また、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等の活性エステル化試薬をカルボン酸誘導体(1)の0.2〜1.5当量用いることが好ましい。
本発明の化合物(I)中の化合物(4)は、エステル体(3)のRが低級アルキル基の場合にはアルカリ加水分解で、Rがtert−ブチル基である場合はトリフルオロ酢酸等の酸処理で、製造できる。
【0147】
以下に、[スキーム1]に示した製造方法で用いられる化合物(1)及び化合物(2)の製法、並びに化合物(2)の製造に用いられる中間体の製法について述べる。
【0148】
[スキーム1A]
上記の製造法で使用したカルボン酸誘導体(1)は、下記の方法で製造可能である。
【0149】
【化40】

【0150】
(上記式中、R1bは低級アルキル基を示し、R3a、R3b、A及びWは前記と同じものを示す。)
上記のカルボン酸誘導体(1)は、アニリン誘導体(1A−3)と、カルボン酸(1A−1)又は酸クロリド誘導体(1A−2)とを縮合するか、アニリン誘導体(1A−4)と、アルデヒド体(1A−3)とを酸化的に縮合して、エステル体(1A−5)とし、エステル体(1A−5)をアルカリ加水分解又は酸処理して、製造できる。
カルボン酸(1A−1)又は酸クロリド誘導体(1A−2)とアニリン誘導体(1A−4)との縮合反応は、特許文献に記載の方法(WO2002/053534)に従って実施することができる。縮合試薬としては、ホウ酸が好ましい。反応溶媒としては、キシレン等の不活性炭化水素溶媒が好ましい。反応温度としては、60℃〜溶媒の沸点の範囲で実施でき、100℃〜溶媒の沸点の範囲が好ましい。反応時間は、通常12〜72時間程度である。
また、エステル体(1A−4)は、アルデヒド体(1A−3)とアニリン誘導体(1A−4)とを、Jung,M.H.らの方法[J.Med.Chem.,9,56(1999)]を参考にして、酸化的に縮合しても、製造できる。酸化剤としては、酢酸ヨードソベンゼン〔Ph−I(OAc)〕が好ましい。酸化剤の使用量は、アルデヒド体(1A−3)に対して0.9〜2倍モル等量の範囲で、等量〜1.5倍モル等量の範囲が好ましい。反応溶媒としては、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができ、エタノールあるいはメタノールが好ましい。反応温度としては、0℃〜溶媒の沸点の範囲であり、室温〜沸点の範囲が好ましい。反応時間は、通常2〜12時間程度である。
カルボン酸誘導体(1)は、エステル体(1A−5)を、R1bが低級アルキル基の場合にはアルカリ加水分解で、またR1bがtert−ブチル基の場合には酸処理することにより、製造できる。
上記のカルボン酸誘導体(1A−1)、酸クロリド誘導体(1A−2)、アルデヒド体(1A−3)及びアニリン誘導体(1A−4)は、市販品であるか、又は公知の方法で製造できる。
【0151】
[スキーム2A]
上記の製造法で使用したピロリジン誘導体(2)のうち、1,4−トランス−シクロヘキサンカルボン酸構造を持つピロリジン誘導体(2A−5)は、化合物(2A−1)を、接触還元して4−ヒドロキシピロリジン誘導体(2A−2)に変換し、引き続いて4−ヒドロキシピロリジン誘導体(2A−2)から、下記の(A)〜(C)の方法で製造できる。
【0152】
【化41】

【0153】
(上記式中、P及びPは保護基を示し、Pはトリフルオロメタンスルホニル基又はメタンスルホニル基を示し、R1a及びQは前記と同じものを示す。)
本発明の製造方法で使用する保護及び脱保護(保護基の除去)に関しては、Protective Groups in Organic Synthesis(T.W.Greene and P.G.Wuts,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1991)を参考にできる。
【0154】
アミン体(2A−5)は、下記の(A)法から(C)法で製造できる。
【0155】
(A)法
アミン体(2A−5)又はその塩は、化合物(2A−2)を酸化して、4−オキソピロリジン体(2A−3)に導き、次に、4−オキソピロリジン体(2A−3)とアミン体Q−H(Qは前記と同じものを示す。)との反応より生成するイミンを還元して2,4−シス特異的に化合物(2A−4)に変換し、引き続いて化合物(2A−4)の保護基を除去することにより、製造できる。
4−ヒドロキシピロリジン誘導体(2A−2)から4−オキソピロリジン誘導体(2A−3)の酸化反応は、以下の(a)〜(e)に記載の方法を用いればよい。
(a)Swern酸化[Giordano,C.らの方法;J.Org.Chem.,56(21),6114−6118(1991)、Konradi,A.W.らの方法;J.Org.Chem.,57(1),28−32(1992).]、
(b)次亜塩素酸−tempo(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ,フリー ラジカル)を用いるラジカル反応による酸化[Jurczak,J.らの方法;Tetrahedron Letters,34(44),7107−7110(1993)]、
(c)DMSO−塩化シアヌルを用いた酸化[De Luca,L.らの方法;J Org.Chem.,66(23),7907−7909,(2001)、De Luca,L.らの方法;Org Letters,3(19),3041−3043(2001)]、
(d)サルファー トリオキシド ピリジン コンプレックスを用いる酸化[Konradi,A.W.らの方法;J.Org.Chem.,55(15),4506−4508(1990)]及び
(e)[Takemoto,Y.らの方法;Chem.Pharm.Bull.,39(9),2425−2428(1991)]等の方法。
上記の4−オキソピロリジン体(2A−3)とアミン体Q−H(Qは前記と同じものを示す。)との反応より生成するイミンの還元剤としては、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、あるいはシアノ水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元反応の参考文献としては、Gordon,D.W.らの方法[Bioorg.Med.Chem.Lett.,5(1),47−50(1995)]を挙げることができ、またシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元反応の参考文献としては、Kelley,J.L.らの方法[J.Med.Chem.,33(7),1910−1914(1990)]を挙げることができる。
アミン体(2A−5)又はその塩は、化合物(2A−4)を、保護基Pがベンジルオキシカルボニル(cbz)基の場合は接触還元で、tert−ブトキシカルボニル(Boc)基の場合は酸処理することにより、製造できる。
【0156】
(B)法
アミン体(2A−5)又はその塩は、4−ヒドロキシピロリジン誘導体(2A−2)を、塩基の存在下に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物又は塩化メタンスルホニルと処理して化合物(2A−6)に変換し、引き続いて化合物(2A−6)を、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基の存在下に、アミン体Q−Hと処理して、化合物(2A−4)に導いた後、化合物(2A−4)の保護基を除去することにより、製造できる。
上記の4−ヒドロキシピロリジン誘導体(2A−2)から化合物(2A−4)を製造する反応の参考文献としては、Williams,M.A.らの方法[J.Org.Chem.,59,3616−3625(1994)]を挙げることができる。
アミン体(2A−5)又はその塩は、化合物(2A−4)を、保護基Pがcbz基の場合は接触還元で、Boc基の場合は酸処理することにより、製造できる。
【0157】
(C)法
アミン体(2A−5)又はその塩は、上記と同様に4−ヒドロキシピロリジン誘導体(2A−2)から変換した化合物(2A−6)を、アジド体(2A−7)を経由して、アミノ体(2A−8)に導き、アミノ体(2A−8)から、ピペリジン環等の含窒素複素環基(Q)を形成して、化合物(2A−4)に変換した後、化合物(2A−4)の保護基を除去することにより、製造できる。
アジド体(2A−7)及びアミノ体(2A−8)の製造に関する参考文献としては、実験化学講座(第四版、Vol.20.日本化学会編.丸善株式会社)「有機合成II:アルコール・アミン、p279〜p282及びp415〜p424」を挙げることができる。また、含窒素複素環基(Q)の形成に関しては、Qがピペリジニル基の場合には、Tseng,S.−L.らの方法[Tetrahedron Asymmetry.,16,773−782(2005)]が挙げられ、1,1−ジオキソ−1λ−1,2−イソチアゾリジニル基、2−オキソピロリジニル基及び2−オキサゾリジニル基の場合には、Alcaraz,L.らの方法[Bioorg.Med.Chem.Lett.,13,4043−4046(2003)]、またイミダゾリル基の場合には、Perry,M.C.らの方法[J.Am.Chem.Soc.,125,113−123(2003)]を挙げることができる。
アミン体(2A−5)又はその塩は、化合物(2A−4)を、保護基Pがcbz基の場合は接触還元で、Boc基の場合は酸処理することにより、製造できる。
【0158】
[スキーム2B]
上記の[スキーム2A]で使用した化合物(2A−1)は、下記の方法で製造できる。
【0159】
【化42】

【0160】
(上記式中、R1a、P及びPは前記と同じものを示す。)
すなわち、トランス−シクロヘキサン誘導体(2A−1)は、特許文献に記載の方法(WO2004/099136)に従って、化合物(2B−1)から製造することができる。
化合物(2B−1)(WO2004/099136号参照)を、接触還元してアミノ体(2B−2)に変換し、引き続いてアミノ体(2B−2)のベンゼン環を接触還元して、シクロヘキサン誘導体(2B−3)(シス:トランス=約4:1の混合物)に導くことができる。接触還元の触媒としては、パラジウム−炭素、酸化白金、炭酸ストロンチウム、ロジウム/アルミナ、又はロジウム/炭素等が挙げられ、ロジウム/アルミナが好ましい。触媒の使用量は、アミノ体(2B−2)に対して1〜50%(W/W)の範囲であり、3〜20%(W/W)の範囲が好ましい。水素圧は、常圧〜10Mpaの範囲であり、常圧〜1.5Mpaの範囲が好ましい。反応温度としては、0〜100℃の範囲であり、20〜60℃の範囲が好ましい。反応時間は、通常3〜24時間程度である。溶媒としては、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができ、エタノールあるいはメタノールが好ましい。この接触還元では、反応溶媒に酢酸、トリフルオロ酢酸等の酸を添加してもよい。
次に、シクロヘキサン誘導体(2B−3)(シス:トランス=約4:1の混合物)から、窒素原子への保護基(P)を導入して化合物(2B−4)(シス:トランス=約4:1の混合物)を製造する。保護基Pとしては、カーボネート系の保護基が好ましく、Boc基、cbz基が特に好ましい。Boc化、又はcbz化の試薬としては、ジ−tert−ブチル ジカーボネート等の酸無水物、又は塩化ベンジルオキシカルボニル等のアシルハロゲン化物が使用できる。反応溶媒としては、塩化メチレン等の不活性ハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン等の不活性炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン等の不活性エーテル系溶媒及び水とアセトニトリル等の不活性極性溶媒の混合溶媒を挙げることができ、水とアセトニトリルの混合溶媒が好ましい。塩基としては、トリエチルアミン等の有機アミン系塩基及び炭酸カリウム等の無機塩基が好ましい。反応温度としては、−20〜60℃の範囲であり、0℃〜室温の範囲が好ましい。反応時間は、通常0.5〜6時間程度である。
次に、化合物(2B−4)の水酸基を保護することにより化合物(2B−5)(シス:トランス=約4:1の混合物)を製造することができる。
水酸基の保護基(P)としては、ベンジルオキシメチル(BOM)基が好ましい。BOM化の試薬としては、ベンジル クロロメチル エーテルが使用できる。反応溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましい。塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類が好ましい。塩基の使用量は、ベンジル クロロメチル エーテルに対して、1〜2倍モル等量の範囲が好ましい。反応温度としては、−20℃〜溶媒の沸点の範囲であり、0〜50℃の範囲が好ましい。反応時間は、通常1〜5時間程度である。
引き続き、シス:トランス=約4:1の混合物である化合物(2B−5)を、塩基を用いて異性化して、シス:トランス=約1:1の混合物に変換した後、クロマトグラフィーで分離精製して、トランス−シクロヘキサン誘導体(2A−1)に導くことができる。
上記の化合物(2B−5)(シス:トランス=約4:1の混合物)の異性化反応に用いる塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、又は水素化リチウム等のアルカリ金属水素化物を挙げることができ、水素化ナトリウム及び水素化リチウムが好ましい。反応溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はDMSO等の不活性極性の溶媒とともに、R1aに対応するアルコール(R1a−OH)を1〜3倍モル等量共存させる混合系溶媒が好ましい。反応温度としては、−20〜50℃の範囲であり、0〜25℃の範囲が好ましい。反応時間は、通常1〜3時間程度で完結する。
シス及びトランスの混合物である化合物(2B−5)から、トランス−シクロヘキサン誘導体(2A−1)の分離生成は、例えばシリカゲル等の担体を用いたクロマトグラフィーを用いればよい。また、この精製工程では、シス型の異性体も単離精製できる。分離精製装置としては、通常のカラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧分取クロマトグラフィーが使用でき、中圧分取クロマトグラフィーが好ましい。
【0161】
[スキーム2C]
一般式(I)中のピロリジン誘導体(2)のうち、Yが酸素原子であり、Rが低級アルコキシ基であるトランス−シクロヘキサン構造を有するピロリジン誘導体(2C−10)は、以下の[スキーム2C]に示した方法で製造できる。
【0162】
【化43】

【0163】
(上記式中、R2aは低級アルキル基を示し、Bnはベンジル基を示し、Trはトリフェニルメチル基を示し、R1a及びPは前記と同じものを示す。)
ピロリジン誘導体(2C−10)又はその塩は、化合物(2C−1)から製造できる。
具体的には、市販品である化合物(2C−1)を、Fleet,G.W.J.らの方法[Tetrahedron Asymmetry.,1,119−136(1990)]を参考にして、ピロリジン誘導体(2C−2)に誘導し、次いで、ピロリジン誘導体(2C−2)の第一級水酸基をトリフェニルメチル化することにより、化合物(2C−3)を製造することができる。次に、化合物(2C−3)の第二級水酸基をベンジル化し化合物(2C−4)とし、続いて酸処理することにより、アルコール体(2C−5)を製造する。さらに、アルコール体(2C−5)を、特許文献記載の方法(WO2004/099136)に従って、4−ヒドロキシ安息香酸エステルと縮合し、[スキーム2B]で用いた接触還元条件を使用して、化合物(2C−6)に変換する。次に、アルコール体(2C−6)から、Seki,M.らの方法[Biosci.Biotech.Biochem.,59,1161−1162(1995)]を参考に、アルコール体(2C−7)を製造し、[スキーム2A]に記載した化合物(2A−2)からアミノ体(2A−8)への変換反応と同様に処理して、アミノ体(2C−8)を製造する。次に、アミノ体(2C−8)を、上記のアミノ体(2A−8)から化合物(2A−5)への変換と同様に処理して、ピロリジン誘導体(2C−10)又はその塩に導くことができる。
【0164】
以下に、上述の反応で使用したアミン体(Q−H)の一般的製造方法について述べる。
【0165】
[スキーム3A−1]
アゼチジン誘導体であるアミン体(3A−3、3A−7、または3A−12)の製造方法について以下に示す。
【0166】
【化44】

【0167】
(上記式中、R41は低級アルキル基を示す。)
【0168】
(1)アミン体(3A−3)またはその塩は、Arthur,G.らの方法〔J.Org.Chem.,37,3953−3955(1972)〕にしたがい、3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)を、塩基の存在下にアルキル化して化合物(3A−2)に変換し、続いて接触還元してベンズヒドリル基を除去することにより、製造できる。
上記のアルキル化に用いる塩基としては、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属水素化物が好ましい。使用するアルキル化試薬としては、ヨードメタン、ヨードエタン等のハロゲン化アルキル類が好ましい。反応温度としては、−20〜60℃の範囲であり、0℃〜室温が好ましい。反応時間は、通常1〜5時間程度である。接触還元に使用する触媒としては、パラジウム−炭素、酸化白金、または水酸化パラジウムを挙げることができ、パラジウム−炭素または水酸化パラジウムが好ましい。反応溶媒としては、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができ、エタノールあるいはメタノールが好ましい。水素圧としては、常圧〜10Mpaの範囲であり、常圧〜1.5Mpaの範囲が好ましい。反応温度としては、0〜100℃の範囲であり、20〜60℃の範囲が好ましい。反応時間は、通常3〜24時間程度である。接触還元においては、反応溶媒中に塩酸等の無機酸類、酢酸あるいはトリフルオロ酢酸等の有機酸類を共存させて実施することにより、アミン体(3A−3)の無機酸塩あるいは有機酸塩を得ることができる。また、アミン体(3A−3)またはその塩は、Sassaman,M.B.らの還元的エーテル化反応[J.Org.Chem.,52,4314−4319(1987)]を用いたアルキル化し、続いて接触還元しても製造できる。
【0169】
(2)アミン体(3A−7)またはその塩は、以下のように製造する。Arthur,G.らの方法[J.Org.Chem.,37,3953−3955(1972)]に従って、3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)の3位を、シアノ化し、加水分解してカルボン酸誘導体(3A−4)に変換する。次いで、そのカルボン酸部分を、水素化アルミニウムリチウムあるいはジボラン−ジメチルスルフィド錯体で還元して、3−ヒドロキシメチル誘導体(3A−5)に導き、上記の3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、アルコキシメチル体(3A−6)とした後に、接触還元してベンズヒドリル基を除去することにより、製造することができる。
【0170】
(3)アミン体(3A−12)またはその塩は、Matassa,V.G.らの方法(WO93/18029)に従って、3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)から、Swern酸化によりケトン体(3A−8)に変換し、次いで、Wittig−Horner−Emmons反応によりα,β−不飽和エステル体(3A−9)に導き、化合物(3A−9)を、水素化アルミニウムリチウム還元により、アルコール体(3A−10)とし、これを上記の3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、3−(2−アルコキシエチル)誘導体(3A−11)に変換した後、(3A−11)を接触還元することにより、製造することができる。
【0171】
[スキーム3A−2]
上記の[スキーム3A−1]で示したアルコール体(3A−1、3A−5、または3A−10)の水酸基を、[スキーム2A]に示した(A)〜(C)法の条件を用いて、置換基を有していてもよいアミノ基、ピペリジニル基、あるいはモルホリニル基に変換することにより、アゼチジン誘導体であるアミン体(3A−15a、3A−15b、または3A−15c)を製造することができる。
【0172】
【化45】

【0173】
(上記式中、Qは、置換基を有していてもよいアミノ基、ピペリジニル基、またはモルホリニル基を示し、nは0、1または2を示し、Pは前記と同じものを示す。)
【0174】
[スキーム3B]
2−アルコキシメチルアゼチジン誘導体であるアミン体(3B−4)は、下記の方法で製造可能である。
【0175】
【化46】

【0176】
(上記式中、R41は前記と同じものを示す。)
アミン体(3B−4)またはその塩は、カルボン酸(3B−1)を、Dolle,F.らの方法[J.Med.Chem.,42,2251−2259(1999)]に従って、ジボラン−ジメチルスルフィド錯体で還元してアルコール体(3B−2)に変換し、アルコール体(3B−2)を、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、2−低級アルコキシメチル誘導体(3B−3)に導いた後、酸処理することにより、製造できる。
【0177】
[スキーム3C]
アゼチジン誘導体であるアミン体(3C−3)は、下記の方法で製造できる。
【0178】
【化47】

【0179】
(上記式中、R42は低級アルキル基を示し、R41は前記と同じものを示す。)
アミン体(3C−3)またはその塩は、3−オキソ体(3A−8)から、Chatterjee,S.S.らの文献[Tetrahedron Lett.,50,5063−5064(1972)]にしたがい、臭化メチルマグネシウム等のGrignard試薬と処理して化合物(3C−1)に変換し、次いで上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、化合物(3C−2)に導いた後、接触還元することにより、製造することができる。
【0180】
[スキーム4A]
ピロリジン誘導体誘導体であるアミン体(4A−3)は、以下の方法で製造することができる。
【0181】
【化48】

【0182】
(上記式中、R41前記と同じものを示す。)
アミン体(4A−3)またはその塩は、市販品であるアルコール体(4A−1)から、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、化合物(4A−2)に変換した後、酸処理することにより、製造することができる。
アミン体(4A−3)の鏡像異性体は、市販品であるアルコール体(4A−1)の鏡像異性体から、同様に製造できる。
【0183】
[スキーム4B]
ピロリジン誘導体であるアミン体(4B−3)は、以下の方法で製造することができる。
【0184】
【化49】

【0185】
(上記式中、R44は、1または2個の低級アルキル置換基を有していてもよいアミノ基、または窒素原子を結合部位とする、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい含窒素複素環基を示し、Pは前記と同じものを示す。)
アミン体(4B−3)またはその塩は、アルコール体(4A−1)を、上記[スキーム2A]に示した(C)法の反応条件を準用して、化合物(4B−2)に変換した後、酸処理することにより、製造できる。
アミン体(4BA−3)の鏡像異性体は、市販品であるアルコール体(4A−1)の鏡像異性体から、上記と同様に製造できる。
【0186】
[スキーム4C]
ピロリジン誘導体であるアミン体(4C−4または4C−6)は、以下の方法で製造できる。
【0187】
【化50】

【0188】
(上記式中、R41及びR44は前記と同じものを示す。)
ピロリジン誘導体(4A−4)またはその塩は、市販品であるプロリン誘導体(4C−1)を、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、化合物(4C−3)に変換した後、接触還元することにより、製造できる。
ピロリジン誘導体(4C−6)またはその塩は、カルボン酸(4C−1)及びアミン(R44−H)を、一般にアミド結合を形成する反応を用いて、アミド体(4C−5)に変換した後、接触還元することにより、製造することができる。
アミン体(4C−4及び4C−6)の鏡像異性体は、市販品であるプロリン誘導体(4C−1)の鏡像異性体から、同様に製造できる。
【0189】
[スキーム4D]
ピロリジン誘導体であるアミン体(4D−5、4D−10、4D−14、または4D−19)は、下記の[スキーム4D]に示した方法で製造できる。
【0190】
【化51】

【0191】
(上記式中、R41及びR42は、前記と同じものを示す。)
【0192】
(1)アミン体(4D−5)またはその塩は、市販品であるヒドロキシプロリン誘導体(4D−1)を、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、化合物(4D−2)を製造する。化合物(4D−2)をアルカリ加水分解した後に、ジボラン−ジメチルスルフィド錯体で還元して、アルコール体(4D−3)を製造する。アルコール体(4D−3)をヒドロキシプロリン誘導体(4D−1)のアルキル化と同様の条件でアルキル化した後、酸処理することにより、アミン体(4D−5)を製造することができる。
【0193】
(2)4S−配位のピロリジン誘導体であるアミン体(4D−10)またはその塩は、4R−配位である化合物(4D−1)を、Seki,M.らの方法[Biotech.Biochem.59,1161−1162(1995)]に従って、4S−配位のアルコール体(4D−6)に導いた後、上記のアミン体(4D−5)の製造におけるアルキル化と酸処理をすることにより、製造できる。
【0194】
(3)アミン体(4D−14)またはその塩は、アルコール体(4D−1)を、三フッ化N,N−ジエチルアミノ硫黄(DAST)等の親電子的フッ素化試薬を用いてフッ素化して、フッ素体(4D−11)に誘導した後、アミン体(4D−5)の製造と同様に処理することにより、製造できる。
【0195】
(4)アミン体(4D−19)またはその塩は、市販品である化合物(4D−15)を、アミン体(4D−5)の製造と同様に処理することにより、製造できる。
上記のアミン体(4D−5、4D−10、4D−14及び4D−19)の立体異性体は、市販品である化合物(4D−1及び4D−15)の立体異性体から、同様に製造できる。
【0196】
[スキーム4E]
ピロリジン誘導体であるアミン体(4E−4または4E−8)は、以下の方法で製造できる。
【0197】
【化52】

【0198】
(上記式中、R41は前記と同じものを示す。)
アミン体(4E−4)またはその塩は、Yamamoto,Y.らの方法[Synthesis,298−302(1993)]に従って製造したエステル体(4E−1)を、水素化アルミニウムリチウムで還元してアルコール体(4E−2)に変換した後、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、得られる化合物(4E−3)を接触還元することにより、製造できる。
同様に、アミン体(4E−8)も、化合物(4E−5)から製造することができる。
アミン体(4E−8)の鏡像異性体は、上記のYamamoto,Y.らの文献に記載された化合物(4E−5)の鏡像異性体から、同様に製造できる。
【0199】
[スキーム4F]
ピロリジン誘導体であるアミン体(4F−3または4F−7)は、以下の方法で製造できる。
【0200】
【化53】

【0201】
(上記式中、R41は前記と同じものを示す。)
アミン体(4F−3)またはその塩は、ジオール体(4F−1)から、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して、化合物(4F−2)に変換した後、接触還元することにより、製造できる。
同様にして、アミン体(4F−7)も、化合物(4F−4)から製造することができる。
上記のジオール体(4F−5)は、市販品である3,4−デヒドロピロリジン誘導体(4F−4)から、Goli,D.M.らの方法[Carbohydr.Res.,259,219−241(1994)]に従って、N−メチルモルホリン−N−オキシドを共酸化剤として用いる四酸化オスミウム酸化により、製造することができる。
アミン体(4F−3)の鏡像異性体は、市販品であるジオール体(4F−1)の鏡像異性体から、同様に製造できる。
【0202】
[スキーム4G]
アミン体(4G−2)は、下記の方法で製造できる。
【0203】
【化54】

【0204】
(上記式中、R45はCH、CHMe、またはCMeを表し、R41は前記と同じものを示す。)
アミン体(4G−2)またはその塩は、上記のジオール体(4F−5)を、環状アセタール化して化合物(4G−1)に変換した後、接触還元することにより、製造できる。
上記の反応条件は、下記(1)〜(4)の文献を参照すればよい。
(1)Gras J.−L.らの方法[Synth.Commun.,1992,22(3), 405−409.]、Baum K.らの方法[Tetrahedron Lett.,1992,33(16),2141−2144.]、(2)Bradshaw J.S.らの方法[J.Org.Chem.,1992,57(23),6112−6118.]、(3)Boynton J.A.らの方法[J.Chem.Res.,1992,(11),378−379.]、または(4)Nazhaoui M.らの方法[Tetrahedron Lett.,1993,34(8),1287−1290.]
【0205】
[スキーム5A−1]
ピペリジン誘導体であるアミン体(5A−4)は、下記の方法で製造例できる。
【0206】
【化55】

【0207】
(上記式中、R51は低級アルキル基または置換基を有していてもよいフェニル基を示し、P及びnは前記と同じものを示す。)
アミン体(5A−4)またはその塩は、市販品である4−(ヒドロキシ低級アルキル)ピペリジ誘導体(5A−1)を、cbz化またはBoc化して化合物(5A−2)に変換し、次に、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して化合物(5A−3)に導いた後、接触還元または酸処理することにより、製造できる。
【0208】
[スキーム5A−2]
ピペリジン誘導体であるアミン体(5A−7a、5A−7b及び5A−7c)は、下記の方法で製造できる。
【0209】
【化56】

【0210】
(上記式中、Qは、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいアミノ基、または窒素原子を結合部位とする、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい含窒素複素環基を示し、P、P及びnは前記と同じものを示す。)
アミン体(5A−7a、5A−7b及び5A−7c)またはその塩は、アルコール体(5A−5)から、上記[スキーム2A]に示した(A)〜(C)法のいずれかの方法を用いることによって製造できる。
【0211】
[スキーム5B]
ピペリジン誘導体であるアミン体(5B−4)は、下記の方法で製造できる。
【0212】
【化57】

【0213】
(上記式中、R41及びPは前記と同じものを示す。)
アミン体(5B−4)またはその塩は、市販品である3−ヒドロキシピペリジン(5B−1)をcbz化またはBoc化して化合物(5B−2)に変換し、次に、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して化合物(5B−3)に導いた後、接触還元または酸処理することにより、製造できる。
上記のアミン体(5B−4)の鏡像異性体またはその塩は、市販品である化合物(5B−1)の鏡像異性体から、同様に製造できる。
【0214】
[スキーム5C]
ピペリジン誘導体であるアミン体(5C−5または5C−6)は、下記の方法で製造できる。
【0215】
【化58】

【0216】
(上記式中、R41及びPは前記と同じものを示す。)
アミン体(5C−5)またはその塩は、市販品であるアルコール体(5C−1)を、Iyobe,A.らの方法[Chem.Pharm.Bull.49,822−829(2001)]に従って、メタンスルホニルオキシ体またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ体(5C−2)に変換し、次に、塩基の存在下に低級アルキルチオールと処理して化合物(5C−3)に変換した後、酸処理することにより、製造できる。
化合物(5C−3)の製造における塩基としては、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属水素化物が好ましい。反応溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド等の不活性極性溶媒が好ましい。反応温度としては、−20〜100℃の範囲であり、0〜50℃の範囲が好ましい。反応時間は、通常2〜5時間程度である。
アミン体(5C−6)またはその塩は、化合物(5C−3)を酸化してスルホン誘導体(5C−4)に導いた後、酸処理することにより、製造できる。
化合物(5C−3)の酸化剤としては、m−クロロ過安息香酸等の過酸類が好ましい。反応溶媒としては、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒が好ましい。反応温度としては、0℃〜室温の範囲が好ましい。反応時間は、通常0.5〜3時間程度である。
【0217】
[スキーム5D]
ピペリジン誘導体であるアミン体(5D−3)は、下記の方法で製造できる。
【0218】
【化59】

【0219】
(上記式中、R44及びPは前記と同じものを示す。)
アミン体(5D−3)またはその塩は、市販品であるカルボン酸体(5D−1)及びアミン(R44−H)を、一般的に用いられるアミド結合形成反応により、アミド体(5D−2)に変換した後、保護基を除去することにより、製造できる。
【0220】
[スキーム6A]
ピペラジン誘導体であるアミン体(6A−3)は、下記の方法で製造できる。
【0221】
【化60】

【0222】
(上記式中、R61は低級アルキル基を示し、R62はメチル基、トリフルオロメチル基、または4−メチルフェニル基を示し、Xはヨウ素原子または臭素原子を示す。)
アミン体(6A−3)またはその塩は、市販品である化合物(6A−1)と、アセトンまたはシクロヘキサノン等のケトン類、ピリジルアルデヒド等の芳香族アルデヒド類または低級脂肪族デヒド類、あるいは1−エトキシ−1−トリメチルシリルオキシシクロプロパン等のケトン等価体を、上記[スキーム2A]の(A)法に示した、4−オキソピロリジン体(2A−3)から化合物(2A−4)への変換と同様の製造方法を用いることにより、化合物(6A−2)に変換した後、接触還元することにより、製造することができる。接触還元は、塩酸等の無機酸類あるいはトリフルオロ酢酸等の有機酸類を加えて実施するのが好ましい。化合物(6A−2)は、Reifenrath,W.G.らの方法[J.Med.Chem.23,985−990(1980)]に従って、化合物(6A−1)と化合物(6A−4または6A−5)とのアルキル化反応で、製造することができる。また、化合物(6A−2)は、Florent,J.−C.らの方法[J.Med.Chem.36,1364−1368(1993)]に従って、市販品である3,4−デヒドロピロリジン誘導体(6A−6)を、四酸化オスミニウムまたはメタ過ヨウ素酸ナトリウムで酸化して、ジアルデヒド誘導体(6A−7)に変換し、次に、第一級アルキルアミン(R61−NH)とイミンを形成させた後、還元することによっても製造できる。反応条件は、[スキーム2A]の(A)法を準用すればよい。
【0223】
[スキーム6B]
ピペラジン誘導体であるアミン体(6B−5または6B−7)は、下記の方法で製造できる。
【0224】
【化61】

【0225】
(上記式中、R61は前記と同じものを示す。)
アミン体(6B−5)は、一般的なアミド結合の形成反応を用いて、化合物(6A−1)と、カルボン酸誘導体(6B−1)またはカルボン酸 クロリド(6B−2)から、化合物(6B−4)に変換した後、接触還元することにより、製造できる。
アミン体(6B−7)は、kelley J.L.らの方法[J.Heterocycl Chem.,1990,27(6),1821−1824.]を参考にして、ピペラジン誘導体(6A−1)と低級アルキルスルホニル クロリド(6B−3)を反応させて、化合物(6B−6)に変換した後、接触還元することにより、製造できる。
アミン体(6B−5または6B−7)は、Shiau C.−Y.らの方法[J.Heterocycl Chem.,1990,27(5),1467−1472.]、またはWinter J.らの方法[Synthesis,1994,(3),245−246.]を参考にして、化合物(6A−1)をアルキルイソシアネートあるいは塩化ジアルキルスルファモイルと処理しても、製造することができる。
【0226】
[スキーム6C]
ピペラジン誘導体であるアミン体(6C−3)は、下記の方法で製造できる。
【0227】
【化62】

【0228】
(上記式中、R41は前記と同じものを示す。)
アミン体(6C−3)またはその塩は、アルコール体(6C−1)をら、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して化合物(6C−1)に変換した後、接触還元することにより、製造できる。
【0229】
[スキーム6D]
ピペラジン誘導体であるアミン体(6D−3)は、下記の方法で製造できる。
【0230】
【化63】

【0231】
(上記式中、R41は前記と同じものを示す。)
アミン体(6D−3)またはその塩類は、市販品である化合物(6D−1)を、上記[スキーム3A−1]に示した3−ヒドロキシ−1−ベンズヒドリルアゼチジン(3A−1)のアルキル化と同様に処理して化合物(6D−2)に変換した後、接触還元することにより、製造できる。
【0232】
[スキーム7]
ホモピペラジン誘導体であるアミン体(7A−2、7A−3、または7A−4)は、下記の方法で製造できる。
【0233】
【化64】

【0234】
(上記式中、R61は前記と同じものを示す。)
アミン体(7A−2、7A−3、または7A−4)またはその塩類は、市販品であるホモピペラジン誘導体(7A−1)を、上記[スキーム6A]に示したアミン体(6A−3、6B−5、または6B−7)の製造法と同様に処理することにより、製造することができる。
【0235】
このようにして製造した本発明の化合物又はその塩は、各種疾患の医薬、例えば防止及び/又は治療薬の主成分として有用である。例えば、後述の試験例に示すように、VLA−4とVCAM−1との結合を阻害するとともに、血清アルブミン等のタンパクの存在下でも高い阻害活性を発揮する。また、経口吸収性に優れることから、炎症モデルにおいて経口投与で高い有効性を示す。従って、本発明化合物又はその塩は、細胞接着に起因する疾患、例えばVLA−4の細胞接着に起因する疾患、すなわち白血球の遊走及び接着により媒介される各種疾患、例えば炎症性疾患、自己免疫疾患、癌転移、気管支喘息、鼻閉、糖尿病、関節炎、乾癬、多発性硬化症、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、移植時拒絶反応、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、アレルギー性肉芽腫血管炎、アテローム性動脈硬化、好酸球性膿疱性毛包炎、ブドウ膜炎、糸球体腎炎、前転移性乳癌及び悪性黒色腫等の防止及び/又は治療薬として有用である。
【0236】
本発明の化合物又はその塩を含有する医薬は、経口投与を始めとして種々の方法によって投与することができる。
また、注射剤とする場合には静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射等の何れかの方法によっても投与できる。
【0237】
かかる製剤の調製方法については、投与方法に応じ適当な製剤を選択し、通常用いられ
ている各種製剤の調製法にて調製できる。
【0238】
経口製剤としては、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤や、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、油性ないし水性の懸濁液等を例示できる。注射剤としては製剤中に安定剤、防腐剤、溶解補助剤を使用することもあり、これらの補助剤等を含むこともある溶液を容器に収納後、所望によって凍結乾燥剤等によって固形製剤として用時調製の製剤としてもよい。また、液体製剤としては、溶液、懸濁液、乳液剤等を挙げることができるが、これらの製剤を調製する際、添加剤として懸濁化剤、乳化剤等を使用することもできる。
【0239】
本発明化合物を含有する医薬は、化合物として成人1人1日当たり1回投与し、適当な間隔で繰り返すのが望ましい。投与量は0.01mg〜2000mgの範囲、好ましくは0.1mg〜1000mgの範囲である。
【0240】
さらに、本発明の医薬には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じ、抗炎症剤、抗関節炎薬、副腎皮質ステロイド(コルチコステロイド)、免疫抑制薬、抗乾癬薬、気管支拡張薬、抗気管支喘息薬又は抗糖尿病薬を併用して用いることができる。
【0241】
本発明には、本発明化合物又はその塩を投与することを特徴とする前記疾患の防止方法及び/又は治療方法も含まれる。
【0242】
さらに、本発明には、前記医薬を製造するための本発明化合物又はその塩の使用も含まれる。
【実施例】
【0243】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0244】
実施例中の「IR」、「NMR」、「MS」の記号は、各々「赤外吸収スペクトル」、「核磁気共鳴スペクトル」、「質量分析」を示す。クロマトグラフィーによる分離精製の箇所に記載の溶出溶媒の割合は、特に記載のない場合は体積比を示す。「IR」はATR法又はKBr打錠法によって測定した。「NMR」は特に記載のない場合はH−NMRを示し、括弧内は測定溶媒を示し、全て内部標準物質としてTMS(テトラメチルシラン)を用いた。また、「Anal.Calcd for 示性式」は元素分析の計算値を示し、「Found」以下に測定値を記した。本明細書中において、下記の表1の略語を使用した。
【0245】
【表1】

【0246】
以下の実施例中で使用する一般式(I)中のW−CHCOHは、特許文献1、実施例1〜3、または参考特許文献(国際公開第2005/063678号パンフレット)に記載の化合物または合成方法を参考にして製造したものを使用した。
【0247】
実施例1
[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸
【0248】
[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸 メチル エステル(A 法)
【0249】
【化65】

【0250】
1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸(917mg,5.23mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解し、0℃で攪拌下にオキザリル クロリド(0.68ml,7.85mmol)及びDMF(2滴,触媒量)を加えた。反応液を室温で1.5時間攪拌後、減圧下に溶媒を濃縮した。残渣にキシレン(20ml)、メチル [4−アミノ−2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル]酢酸(1.0g,5.0mmol)及びホウ酸(539mg,8.72mmol)を加え、160℃で3日間撹拌した。反応液を室温に冷却後、反応液を氷水(20ml)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を氷水、飽和食塩水で洗浄した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[50g、クロロホルム/酢酸エチル(10:1,v/v)]で精製し、さらに薄層クロマトグラフィー[クロロホルム/アセトン(10:1、v/v)]で精製して標題物(62mg)を得た。
NMR(CDCl)δ:3.73(s,3H),3.81(s,2H),3.88(s,3H),7.15 and 7.17(each d,each J=6.4Hz,total 1H,amide isomers),7.34−7.40(m,3H),7.44(d,J=8.1Hz,1H),7.94(s,1H),8.43(m,1H).
MS(ESI)m/z:339(M+1).
【0251】
[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸 メチル エステル(B 法)
【0252】
【化66】

【0253】
3−ホルミル−1−メチル−1H−インドール(796mg,5.0mmol)、[4−アミノ−2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル]酢酸 メチル エステル(1.0g,5.0mmol)及びモレキュラーシーブス(MS)4A(10g)をメタノール(50ml)中、室温で1.5時間撹拌した。反応液を、さらに70℃で3時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、酢酸ヨードソベンゼン(1.67g,5.2mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。反応溶媒を減圧下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[100g,ヘキサン/酢酸エチル(3:1,v/v)]で精製し、標題物(860mg)を得た。本化合物のNMRスペクトラムは、(A法)で合成したものと一致した。
【0254】
[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸
【0255】
【化67】

【0256】
[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸 メチル エステル(860mg)にTHF−MeOHの混合溶媒(2:1,v/v,30ml)及び1N−NaOH(20ml)を加え、室温で1.5時間撹拌した。反応溶媒を減圧下に濃縮した。残渣にエーテル(50ml)を加え、1N−NaOHで抽出した。抽出液に1N−HClを加えて弱酸性にし、酢酸エチルで抽出した。抽出液を氷水、飽和食塩水で洗浄した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を濃縮して、標題物(350mg)を得た。
NMR(CDCl−CDOD)δ:3.56(s,3H),3.91(s,2H),7.36(m,3H),7.79(s,1H),8.26(d,J=6.8Hz,1H),9.93(s,1H).
MS(ESI),m/z 325(M+1).
【0257】
実施例2
[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸
【0258】
[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸 メチル エステル
【0259】
【化68】

【0260】
ベンゾフラン−3−カルボン酸(2.00g,12.34mmol)、4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル酢酸 メチル エステル(2.23g,12.34mmol)及びホウ酸(1.14g,18.50mmol)をトルエン(60ml)に懸濁し、Dean−Stark Water Trap装置を用いて脱水しながら13時間加熱還流した。室温まで放冷後、反応液を濃縮し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage社フラッシュクロマトシステム,カラムサイズ:40M、溶出溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1)で精製し、標記化合物(103mg)を得た。
NMR(CDCl)δ:3.73(3H,s),3.79(2H,s),7.28−7.30(1H,m),7.42−7.47(2H,m),7.55−7.61(2H,m),7.74(1H,d,J=8.1Hz),8.38−8.40(1H,m),8.44(1H,s).
MS(LC−ESI)m/z:308(M+1).
【0261】
[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸
【0262】
【化69】

【0263】
[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸 メチル エステル(103mg,0.34mmol)をテトラヒドロフラン(3ml)に溶解し、1N−水酸化ナトリウム水溶液(1.00ml,1.00mmol)を加えて室温にて20時間攪拌した。反応液を氷―1N−塩酸に注いで析出した固体を濾取し、減圧下で乾燥して標記化合物(92mg)を得た。
NMR(DMSO−d)δ:3.77(2H,s),7.33(1H,dd,J=8.2,1.3Hz),7.49−7.54(2H,m),7.71(1H,s),7.77−7.80(2H,m),8.30−8.34(1H,m),9.02(1H,s),12.47(1H,broad s).
MS(LC−ESI)m/z:294(M+1).
【0264】
実施例3
[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸
【0265】
[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸 エチル エステル
【0266】
【化70】

【0267】
ベンゾフラン−3−カルボン酸(2.00g,12.34mmol)、4−アミノ−2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル酢酸 エチル エステル(3.16g,14.80mmol)及びホウ酸(1.14g,18.50mmol)をキシレン(50ml)に懸濁し、Dean−Stark Water Trap装置を用いて脱水しながら40時間加熱還流した。室温まで放冷後、酢酸エチルで希釈し、不溶物を濾去した。濾液を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage社フラッシュクロマトシステム,カラムサイズ:40M、溶出溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜4:1)で精製し、標記化合物(740mg)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.28(3H,t,J=7.1Hz),3.82(2H,s),4.20(2H,q,J=7.1Hz),7.24−7.27(1H,m),7.43−7.48(2H,m),7.54(1H,d,J=8.1Hz),7.59−7.63(1H,m),8.37−8.40(1H,m),8.49(1H,s).
MS(LC−ESIm/z:340(M+1).
【0268】
[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸
【0269】
【化71】

【0270】
[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸 エチル エステル(0.74g,2.18mmol)をテトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、0.5N−水酸化ナトリウム水溶液(8.80ml,4.40mmol)を加えて室温にて16時間攪拌した。反応液を氷―1N−塩酸に注いで析出した固体を濾取し、減圧下で乾燥して標記化合物(618mg)を得た。
NMR(DMSO−d)δ:3.82(2H,s),7.36−7.40(1H,m),7.49−7.54(2H,m),7.63(1H,d,J=8.1Hz),7.77−7.81(1H,m),8.26−8.29(1H,m),9.10(1H,s),12.58(1H,broad s).
MS(LC−ESI)m/z:312.2(M+1).
【0271】
実施例4
トランス−4−[1−[[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジンニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0272】
4−[(4R)−ヒドロキシ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]安息香酸 エチル エステル
【0273】
【化72】

【0274】
4−[1−(ベンジルオキシカルボニル)−(4R)−ヒドロキシ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]安息香酸 エチル エステル(25.5g,63.8mmol)のメタノール溶液(300ml)に10%水酸化パラジウム/炭素(5.1g)を加え、常圧水素気流下で4時間攪拌した。反応混合物を、ろ過にて触媒を除いた後、ろ液を減圧濃縮及び乾燥して、標記化合物(17.9g)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.38(3H,t,J=7.1Hz),1.77−2.03(total 3H,series of m,including 1H,broad s,at δ 1.91),2.96−3.00(1H,m),3.11−3.15(1H,m),3.81−3.99(3H,m),4.34(2H,q,J=7.1Hz),4.49−4.51(1H,m),6.91(2H,d,J=8.8Hz),7.98(2H,d,J=8.8Hz).
【0275】
4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−(4R)−ヒドロキシ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0276】
【化73】

【0277】
4−[(4R)−ヒドロキシ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]安息香酸 エチル エステル(17.9g,67.4mmol)のメタノール/トリフルオロ酢酸(210ml,20:1,v/v)溶液に、5%ロジウム/アルミナ(3.58g)を加え、7気圧の水素気流下で4時間攪拌した。触媒をろ別後、ろ液を減圧にて濃縮した。残留物を1,4−ジオキサン/飽和重曹水(300ml,2:1,v/v)に溶解し、(Boc)O(16.2g,74.2mmol)を加えて2日間攪拌した。反応液に1N−塩酸を加えて酸性とし、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を、飽和食塩水洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[n−ヘキサン/酢酸エチル(1:1,v/v)]にて精製して標記化合物(22.9g)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.22−2.04(total 21H,series of m,including 3H,t,J=7.1Hz,at δ 1.25,and including 9H,s,at δ 1.46),2.10−2.31(2H,m),3.20(1H,m),3.44−3.74(total 5H,series of m),4.08−4.15(total 3H,m,including 2H,q,J=7.1Hz,at δ 4.12),4.46−4.52(1H,m).
【0278】
トランス−4−[(4R)−(ベンジルオキシ)メチルオキシ−1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0279】
【化74】

【0280】
4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−(4R)−ヒドロキシ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(22.9g,61.6mmol)と エチルジイソプロピルアミン(16.1ml,92.4mmol)を塩化メチレン(230ml)に溶解し、(ベンジルオキシ)メチル クロリド(17.1ml,123.4mmol)を加え、室温にて1日間攪拌した。反応液に1N−塩酸(100ml)を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を、飽和食塩水洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で溶媒を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[n−ヘキサン/酢酸エチル(2:1,v/v)]にて精製し、4−[(4R)−(ベンジルオキシ)メチルオキシ−1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(20.0g)を得た。
上記の4−[(4R)−(ベンジルオキシ)メチルオキシ−1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(20.0g)をDMF及びエタノール(210ml,20:1,v/v)に溶解し、0℃で攪拌下に水素化ナトリウム(60%油性,2.43g,60.8mmol)を徐々に加えた後、反応混合液を室温で1時間攪拌した。反応液を1N−塩酸(200ml)に注ぎ、次いで、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を、飽和食塩水洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で溶媒を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[n−ヘキサン/酢酸エチル(3:1,v/v)]にて精製し、さらに、カラムクロマトグラフィー(Biotage社フラッシュクロマトシステム,カラムサイズ:150L)[n−ヘキサン/酢酸エチル(6:1〜1:1)]にて精製し、トランスシクロヘキサンカルボン酸 エステル誘導体である標記化合物(7.47g)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.20−1.28(total 5H,m),1.40−1.50(total 11H,including 9H,s,at δ 1.46),1.97−2.23(total 7H,series of m),3.17−3.19(1H,m),3.48−3.58(total 4H,series of m),3.96−4.15(total 3H,series of m),4.34−4.40(1H,m),4.56−4.61(2H,m),4.77(2H,s),7.28−7.37(5H,m).
【0281】
トランス−4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−(4R)−ヒドロキシ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0282】
【化75】

【0283】
トランス−4−[(4R)−(ベンジルオキシ)メチルオキシ−1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(7.47g,15.2mmol)のメタノール溶液(75ml)に10%水酸化パラジウム/炭素を加え、4気圧の水素気流下で、16時間攪拌した。触媒をろ別後、ろ液を減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[n−ヘキサン/酢酸エチル(1:1,v/v)]にて精製し、標記化合物(5.66g)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.21−1.31(total 5H,m,including 3H,t,J=7.1Hz,at δ 1.24),1.40−1.50(total 11H,including 9H,s,at δ 1.47),1.97−2.05(5H,m),2.12−2.26(2H,m),3.17−3.22(1H,m),3.43−3.66(total 5H,series of m),4.00−4.15(total 3H,m,including 2H,q,J=7.1Hz,at δ 4.11),4.46−4.48(1H,m).
【0284】
(環状アミノ基の導入法−A法)
トランス−4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−オキソ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0285】
【化76】

【0286】
オキザリル クロリド(23.5ml,269mmol)のジクロロメタン溶液(100ml)を、窒素気流下に−78℃で撹拌中、ジメチルスルホキシド(38ml,538mmol)を25分間で滴下し、同温で30分間攪拌した。反応液に、トランス−4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−(4R)−ヒドロキシ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(50g,135mmol)のジクロロメタン(130ml)溶液を−78℃にて45分間をかけて滴下し、反応混合液をさらに1時間攪拌した。反応混合液に同温度で、トリエチルアミン(113ml,808mmol)を20分間をかけて滴下した。反応混合液を、0℃に昇温して10分間攪拌後、さらに徐々に室温に戻しながら20分間攪拌した。反応液に、攪拌下に水(100ml)を加え、ジクロロメタンにて抽出した。抽出液を、飽和食塩水洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage社フラッシュクロマトシステム,カラムサイズ:65L,酢酸エチル:n−ヘキサン=1:9〜7:3)にて精製し、標記化合物(43g)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.11−1.33(5H,m),1.37−1.52(2H,m),1.49(9H,s),1.91−2.76(8H,m),3.14−3.23(1H,m),3.45(1H,dd,J=9.4,2.1Hz),3.59−3.95(3H,m),4.11(2H,q,J=6.9Hz).
MS(ESI)m/z:370(M+1).
【0287】
トランス−4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0288】
【化77】

【0289】
トランス−4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−オキソ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(1g,2.71mmol)及び4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン TFA塩(1.15g,4.06mmol)の1,2−ジクロロエタン(20ml)溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.98g,4.6mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応液に飽和重曹水(30ml)を加え15分間攪拌した後、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を、飽和食塩水洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage社フラッシュクロマトシステム,カラムサイズ:40S,溶出液:酢酸エチル)にて精製し、標記化合物(1.4g)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.19−1.28(6H,m,including 1.24,3H,t,J=7Hz),1.40−1.54(11H,m,including 1.46,9H,s),1.78−2.26(7H,series of m),2.40−3.95(16H,series of m),4.12(2H,m).
MS(ESI)m/z:522(M+1).
【0290】
(環状アミノ基の導入法−B法)
トランス−4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0291】
【化78】

【0292】
トランス−4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−(4R)−ヒドロキシ−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(1.57g,4.23mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶解し、窒素気流下で撹拌下、−78℃にてエチルジイソプロピルアミン(5.16ml,29.6mmol)を加え同温で20分間攪拌した。さらに同温度で、トリフルオロメタンスルホン酸 無水物(1.42ml,8.45mmol)を加え、30分間攪拌した。さらに反応液に4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン TFA塩(1.55g,5.50mmol)を加え、−78℃で40分間攪拌した。反応混合液を0℃に昇温し、さらに14時間攪拌した。反応液を2M−リン酸カリウム緩衝液(100ml)に注ぎ、ジクロロメタンにて抽出した。抽出液を、飽和食塩水にて洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して標記化合物(1.25g)を得た。
ここで得られた化合物のNMR及びMSスペクトラルデータは、上記の<環状アミノ基の導入法−A法>で得たものと一致した。
【0293】
トランス−4−[(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0294】
【化79】

【0295】
トランス−4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル (1.35g,2.59mmol)をトリフルオロ酢酸 (8ml)及び塩化メチレン(32ml)に溶解し、室温で24時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧下に濃縮した。残渣に飽和重曹水(30ml)を加え、塩化メチレンで抽出した。抽出液を、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して標記化合物(980mg)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.23−1.41(7H,m),1.46(2H,m),1.96−3.53(22H,series of m),4.11(2H,q,J=7.1Hz).
MS(ESI)m/z:341(M+1).
【0296】
トランス−4−[1−[[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジンニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0297】
【化80】

【0298】
[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]酢酸(143mg,0.441mmol)、トランス−4−[(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(186mg,0.441mmol)、EDC・HCl(127mg,0.662mmol)及びHOBt(89mg,0.662mmol)の塩化メチレン(5ml)溶液に、室温でトリエチルアミン(0.307ml,2.21mmol)を加え、3日間攪拌した。反応溶媒を減圧下に濃縮し、得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=20:1 v/v)にて精製し、標記化合物(253mg)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.09−1.58(7H,m),1.80−2.31(7H,m),2.36−2.82(4H,m),2.39−2.81(5H,m),2.88(3H,d,J=0.5Hz),2.92−3.01(4H,m),3.12−3.27(1H,m),3.66−3.81(3H,m),3.92(3H,s),4.04−4.16(1H,m),7.00(1H,s),7.31−7.52(3H,m),7.98 and 7.99(total 1H,each s,amide isomers),8.02(1H,s),8.44−8.48(1H,m).
MS(ESI)m/z:728(M+1).
【0299】
トランス−4−[1−[[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジンニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0300】
【化81】

【0301】
トランス−4−[1−[[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジンニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル(253mg,0.348mmol)に、テトラヒドロフラン(4ml)、メタノール(2ml)及び1N−水酸化ナトリウム水溶液(2ml,2mmol)を加え、室温で14時間攪拌した。反応溶媒を減圧下に濃縮し、得られた残渣を1N−塩酸にてpHを8に調整し、クロロホルム及びメタノールの混合溶液[10/1(v/v)]にて抽出した。抽出液を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下に濃縮して標題物(259mg)を得た。
NMR(CDCl)δ:1.15−1.64(4H,m),1.85−2.34(7H,m),2.36−2.83(9H,m),2.86−3.07(2H,m),3.14−3.28(1H,m),3.44−3.56(1H,m),3.66−4.02(7H,m),4.16−4.49(2H,m),7.16−7.23(1H,m),7.33−7.43(3H,m),7.44 and 7.46(total 1H,each s,amide isomers),7.98 and 7.99(total 1H,each s,amide isomers),8.48−8.41(1H,m).
MS(ESI)m/z:700(M+1).
IR(ATR)cm−1:2937,2858,1720,1628,1583,1502,1442.
【0302】
以下の実施例で使用する、一般式(I)のQで表される窒素原子を結合部位とする単環性含窒素複素環類は、市販または文献記載の方法を参考に合成したもので、各種機器データは各実験項に記載のとおりである。また、ピロリジン環への窒素原子を結合部位とする単環性含窒素複素環基の導入方法は、実施例4に準じて製造した。
【0303】
実施例5
トランス−4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0304】
トランス−4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0305】
【化82】

【0306】
NMR(CDCl)δ:1.13−1.65(7H,m,including 3H,t,J=7.1Hz,at δ 1.23),1.85−2.09(5H,m),2.16−2.29(2H,m),2.38−2.80(total 9H,series of m),2.88−3.29(4H,m),3.49−4.39(total 8H,series of m,including 2H,q,J=7.1Hz,at δ 4.09),7.24−7.29(1H,m),7.43−7.47(2H,m),7.52−7.54(1H,m),7.58−7.62(1H,m),8.36−8.40(1H,m),8.48 and 8.49(total 1H,each s).
MS(ESI)m/z:715(M+1).
【0307】
トランス−4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル]−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0308】
【化83】

【0309】
NMR(DMSO−d)δ:1.11−1.37(4H,m),1.57−2.18(7H,m),2.32−2.85(9H,m),3.14−3.18(4H,m),3.55−3.61(2H,m),3.81−4.35(4H,m),7.24−7.31(1H,m),7.49−7.54(2H,m),7.59−7.62(1H,m),7.78−7.81(1H,m),8.27−8.30(1H,m),9.09(1H,s),12.07(1H,broad s).
IR(ATR)cm−1:1641,1450,1271,1119,1097,748.
MS(LC−ESI)m/z:687(M+1).
Anal.Calcd for C3538:C,61.22;H,5.58;N,8.16;F,11.07.
Found:C,61.00;H,5.70;N,7.92;F,10.84.
【0310】
実施例6
トランス−4−[[(2S,4S)−1−[2−[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−4−[4−(シス−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)ピロリジン−2−イル]メトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0311】
トランス−4−[[(2S,4S)−1−[2−[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−4−[4−(シス−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)ピロリジン−2−イル]メトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0312】
【化84】

【0313】
NMR(CDCl)δ:1.08−1.55(13H,m),1.60−2.48(10H,m),2.49−2.85(3H,m),3.13−3.37(2H,m),3.60−3.90(5H,m),3.91(3H,s),3.97−4.41(4H,m),7.19(1H,dd,J=8.1,6.6Hz),7.34−7.48(4H,m),7.97 and 7.98(total 1H,each s,amide isomers),8.48−8.42(1H,m).
MS(ESI)m/z:675(M+1).
【0314】
トランス−4−[[(2S,4S)−1−[2−[7−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−4−[4−(シス−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)ピロリジン−2−イル]メトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0315】
【化85】

【0316】
NMR(CDCl)δ:1.08−1.53(10H,m),1.57−2.49(9H,m),2.56−3.33(4H,m),3.46−3.58(1H,m),3.65−4.04(10H,m),4.13−4.46(2H,m),7.19(1H,dd,J=14.3,6.5Hz),7.33−7.43(3H,m),7.45(1H,d,J=7.8Hz),7.98 and 7.99(total 1H,each s,amide isomers),8.40−8.47(1H,m).
MS(ESI)m/z:647(M+1).
IR(ATR)cm−1:2935,2860,1720,1628,1583,1502,1442.
【0317】
実施例7
トランス−4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−(シス−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0318】
トランス−4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−(シス−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0319】
【化86】

【0320】
NMR(CDCl)δ:1.14−1.32(11H,m,including 3H,t,J=7.1Hz,at δ 1.21),1.35−1.51(2H,m),1.69−2.04(8H,m),2.15−2.36(2H,m),2.49−2.79(3H,m),2.99−3.21(2H,m),3.46−3.92(6H,m),4.02−4.37(3H,m),7.24−7.26(1H,m),7.42−7.47(2H,m),7.54−7.55(1H,m),7.58−7.61(1H,m),7.71−7.74(1H,m),8.37−8.39(1H,m),8.44(1H,s).
MS(ESI)m/z:644(M+1).
【0321】
トランス−4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)ベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−(シス−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0322】
【化87】

【0323】
NMR(DMSO−d)δ:1.03−1.40(total 10H,m),1.55−2.33(9H,m),2.56−3.12(5H,m),3.51−3.64(4H,m),3.75−4.29(4H,m),7.26−7.32(1H,m),7.48−7.53(2H,m),7.63−7.65(1H,m),7.75−7.81(2H,m),8.30−8.33(1H,m),8.98 and 9.00(total 1H,each s),12.03(1H,broad s).
IR(ATR)cm−1:1639,1450,1117,1095,748.
MS(ESI)m/z:616(M+1).
Anal.Calcd for C3541・0.25HO:C,67.78;H,6.74;N,6.77.
Found:C,67.64;H,6.75;N,6.67.
【0324】
実施例8
トランス 4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−(シス−2,6−ジメチルモルホリニル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0325】
トランス 4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−(シス−2,6−ジメチルモルホリニル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸 エチル エステル
【0326】
【化88】

【0327】
NMR(CDCl)δ:1.14−1.50(total 13H,m,including 3H,t,J=7.2Hz,at δ 1.23),1.69−2.10(8H,m),2.17−2.38(2H,m),2.54−2.82(3H,m),2.99−3.29(2H,m),3.44−4.37(total 9H,series of m,including 2H,q,J=7.2Hz,at δ 4.09),7.24−7.29(1H,m),7.44−7.46(2H,m),7.52−7.55(1H,m),7.59−7.62(1H,m),8.37−8.39(1H,m),8.48 and 8.49(total 1H,each s).
MS(LC−ESI)m/z:662(M+1).
【0328】
トランス 4−[1−[[2−(ベンゾ[b]フラン−3−イル)−7−フルオロベンゾオキサゾール−6−イル]アセチル]−(4S)−(シス−2,6−ジメチルモルホリニル)−(2S)−ピロリジニルメトキシ]シクロヘキサンカルボン酸
【0329】
【化89】

【0330】
NMR(DMSO−d)δ:1.02−1.37(10H,m),1.55−1.98(7H,m),2.09−2.32(2H,m),2.65−2.90(3H,m),3.08−3.19(2H,m),3.51−3.58(4H,m),3.81−4.31(4H,m),7.25−7.31(1H,m),7.49−7.54(2H,m),7.60−7.62(1H,m),7.78−7.81(1H,m),8.27−8.30(1H,m),9.09(1H,s),12.05(1H,broad s).
IR(ATR)cm−1:1641,1450,1120,1097,1066,748.
MS(LC−ESI)m/z:634(M+1).
Anal.Calcd for C3540FN・1/4HO:C,65.87;H,6.40;N,6.58;F,2.98.
Found:C,65.97;H,6.57;N,6.47;F,3.08.
【0331】
評価例1
被験物質のインビトロ(in vitro)評価
【0332】
hαとβインテグリンを形質導入することにより強制発現したCHO細胞をCostar 3599プレートに播種(3×10細胞/100μl/well)し、2日間培養した。培地を buffer Aで2回洗浄後、assay buffer** で2nMに希釈したEu3+−hVCAM−1 D1D7−IgGを50μl/well加えた。 2% DMSO−assay buffer 6% のヒト血清アルブミンの共存、あるいは非共存)に希釈した被験物質を50μl/well加え(Scatchard analysisを実施するwellは別途希釈した溶液を添加する。)、プレートミキサーで5分間攪拌後、さらに室温で1時間静置した。その後、buffer Aで4回洗浄し、増強試薬(DELFIA社製)を100μl/well添加し、プレートミキサーを用いて5分間振とうした後、時間分解型蛍光強度計 (DELFIA Wallac)で蛍光強度を測定した。被験物質のIC50(CHO細胞とEu3+−hVCAM−1 D1D7−IgGとの結合を50%阻害する濃度)は[(FNS)(FNS)]/[(FNS)]×100の計算式から得られる統合率から求めた。ここで、Fは被験物質を含まないwellの蛍光強度、FNSは被験物質及びhVCAM−1 D1D7−IgGを含まないwellの蛍光強度、Fは被験物質を含む蛍光強度を示す。結合の強さを示すKd値及びBmax(最大結合量)は、Scachard analysis法に従い、0.06〜20nMの範囲で推定した。結果を表4〜7に示す。
【0333】
【数1】

【0334】
Ki値は、上記式に従い計算した。
[L] :リガンド濃度
buffer A :25mM HEPES(pH 7.5)、150mM NaCl、1mM Ca2+、1mM Mg2+、4mM Mn2+
** assay buffer :25mM HEPES(pH 7.5)、150mM NaCl、1mM Ca2+、1mM Mg2+、4mM Mn2+、0.1% BSA、20μM DTPA、with/without 6% ALBUMIN, HUMAN SERUM (C/N A−1653,SIGMA)]
【0335】
被験物質のin vitro評価結果
【0336】
【表2】

【0337】
WO 02/053534号公報の代表化合物
【0338】
表2に示したin vitro評価結果を説明する。
比較対照として化合物A(WO 02/053534号公報の代表化合物)を本発明の実施例化合物と同時に評価した。その結果、本発明の実施例化合物のKi値は、化合物AのKi値と同等の高い阻害活性を示した。
【0339】
評価例2
溶解性試験
【0340】
被験物質の日局第1液(JP1,pH=1.2)及び日局第2液(JP2,pH=6.8)での溶解性を評価した。結果を表2に示す。

溶解性試験結果
【0341】
【表3】

【0342】
WO 02/053534号公報の代表化合物
表3に示した水溶性評価結果を説明する。化合物A(WO 02/053534号公報の代表化合物)の日局第1液(JP1、pH=1.2)及び日局第2液(JP2、pH=6.8)への溶解性は、それぞれ0.1μg/ml及び20μg/mlであり、特に酸性の日局第1液への溶解性は極めて低かった。一方、本発明化合物の実施例化合物は、日局第1液(JP1、pH=1.2)及び日局第2液(JP2、pH=6.8)への溶解性は、ともに良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0343】
本発明のVLA−4阻害剤は、高いVLA−4阻害活性と、良好な経口吸収性と水溶性を併せ持つことから、VLA−4を介する白血球の遊走及び接着に起因する各種炎症性疾患の予防及び/又は治療薬として使用可能な、経口投与可能な薬剤を提供するものであり、臨床上の有用性が極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)
【化1】

[式中、Rは、水素原子又は低級アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルコキシ基を示し、Qは、1又は複数個の置換基を有していてもよい、窒素原子を結合部位とする単環性又は二環性の含窒素複素環基を示し、Wは、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい二環性芳香族炭化水素環基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよい二環性芳香族複素環基を示し、R3a及びR3bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示し、Aは、窒素原子又はC−R3c(ここで、R3cは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示す)を示す]で表される化合物又はその塩。
【請求項2】
一般式(I)中のWが、下記の一般式(i)又は(ii)
【化2】

[式中、記号“ → ”は結合位置を示し、R4a及びR4bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示し、A2aは、酸素原子、硫黄原子、又はN−R4c(ここで、R4cは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、A2bは、窒素原子又はC−R4d(ここで、R4dは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、R5a及びR5bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示し、A3aは、窒素原子又はC−R5c(ここで、R5cは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、A3bは、窒素原子又はC−R5d(ここで、R5dは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示す]で表される基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
一般式(I)中のWが、下記の一般式(iii−a)から(iii−h)
【化3】

(式中、記号“ → ”は結合位置を示し、R6a、R6b、R6c、R6d、R6e、R6f、R6g、R6h、R6i、R6j、R6k、R6l、R6m、R6n、R6o及びR6pは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示し、R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R7f、R7g及びR7hは、それぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基を示す)で表されるいずれか一つの基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
一般式(I)中のWが、一般式(iii−a)、(iii−b)又は(iii−c)
で表される基である請求項3に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
一般式(I)中のQが、下記の一般式(iv−a)から(iv−x)
【化4】

【化5】

[式中、記号“ → ”は結合位置を示し、
9a及びR9bは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルキル基を示し、
10aは、水素原子又は低級アルキル基を示し、
10bは、低級アルキル基を示し、
11は、置換基を有する低級アルキル基を示し、
12aは、水素原子又は低級アルキル基を示し、
12b及びR12cは、それぞれ独立して低級アルキル基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級シクロアルキル基を示すか、R12b及びR12cが結合する窒素原子と一緒になって形成する、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいアゼチジン−1−イル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいピロリジン−1−イル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいピペリジン−1−イル基、又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいモルホリン−1−イル基を示し、
13a及びR13bは、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシメチル基を示し、
14a及びR14bは、それぞれ独立して低級アルキル基又は低級アルコキシメチル基を示し、
15は、水素原子、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキル基、又は1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基を示し、
16aは、低級アルキル基を示し、
16b及びR16cは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルコキシ基を示し、
17は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基を示し、
18a及びR18bは、それぞれ独立して低級アルキル基を示し、
19a及びR19bは、それぞれ独立してハロゲン原子、又はR19a及びR19bが結合するピロリジン環上の炭素原子と一緒になって形成する、C3〜C6のシクロアルキル環を示し、
20aは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示し、
5aは、窒素原子又はC−R20b(ここで、R20bは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示す)を示し、
5bは、窒素原子又はC−R20c(ここで、R20cは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示す)を示し、
5cは、窒素原子又はC−R20d(ここで、R20dは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を示す)を示し、
21は、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
は、酸素原子、硫黄原子、又はS(O)を示し、
22aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
7a及びA7cは、直接結合、酸素原子、又はCHを示し、
7bは、1)A7a及びA7cがともにCHである場合は、酸素原子、硫黄原子、又はS(O)を示し、2)A7a及びA7cがともに直接結合である場合は、CHを示し、3)A7a及びA7cがともに酸素原子である場合は、C(−R22b)−R22c(ここで、R22b及びR22cは、それぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、
23は、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
は、酸素原子、硫黄原子、S(O)、又はCFを示し、
24aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
24bは、低級アルキル基を示し、
25aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
25bは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシメチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシエチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいフェノキシ基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基、1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基、又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいモルホリン−4−イル基を示し、
26は、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
は、酸素原子又はS(O)を示し、
27aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
27bは、水素原子、低級アルキル基、フルオロ低級アルキル基、低級シクロアルキルメチル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルコキシエチル基、又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、
28aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
28bは、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級シクロアルキル基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいピリジル基を示し、
29aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
10は、C(O)又はS(O)を示し、
29bは、低級アルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよいベンジル基、又は1若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基を示し、
30aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
30bは、水素原子、低級アルキル基、又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよいベンジル基を示し、
31aは、水素原子又は1若しくは複数個の低級アルキル基を示し、
11は、酸素原子、CH−R31b(ここで、R31bは、水素原子又は低級アルキル基を示す)、又はN−R31c(ここで、R31cは、水素原子、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキル基、1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級シクロアルキル基又は1若しくは複数個の置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基を示す)を示し、
12は、酸素原子又はN−R32(ここで、R32は、水素原子、低級アルキル基又は低級シクロアルキル基を示す)を示す]で表されるいずれか一つの基である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
一般式(I)中のQが、一般式(iv−i)、(iv−j)、(iv−k)、(iv−o)、(iv−q)又は(iv−s)で表される基である請求項5に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
一般式(I)中のQが、一般式(iv−o)又は(iv−s)で表される基である請求項5に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
一般式(I)中のQが、一般式(iv−o)で表される基である請求項5に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
一般式(iv−o)中、Aが酸素原子であり、R23が、2,6−ジメチル基である請求項8に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
一般式(I)中のQが、一般式(iv−s)で表される基である請求項5に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
一般式(iv−s)中、R27aが水素原子であり、R27bが低級アルキル基又はフルオロ低級アルキル基である請求項10に記載の化合物又はその塩。
【請求項12】
27bが、2,2,2−トリフルオロエチル基である請求項11に記載の化合物又はその塩。
【請求項13】
一般式(I)が、下記の一般式(I−a)
【化6】

(式中、R、R、R3a、R3b、A、Q及びWは一般式(I)と同じものを示す)で表される立体配置である、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項14】
一般式(I)が、下記の一般式(I−b)
【化7】

(式中、R、R、R3a、R3b、A、Q及びWは一般式(I)と同じものを示す)で表される立体配置である、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項15】
一般式(I)が、下記の一般式(I−c)
【化8】

(式中、R、R、R3a、R3b、A、Q及びWは一般式(I)と同じものを示す)で表される立体配置である、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項16】
一般式(I)中のAが、C−R3c(ここで、R3cは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、又は低級アルキル基を示す)である請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項17】
3cが水素原子である請求項16に記載の化合物又はその塩。
【請求項18】
一般式(I)中、R3aが水素原子又はフッ素原子であり、R3bが水素原子である請求項16又は17に記載の化合物又はその塩。
【請求項19】
一般式(I)中の、下記一般式(v)
【化9】

(式中、記号“ → ”、R3a、R3b、A及びWは一般式(I)と同じものを示す)で表される基が、下記の式(v−1)から(v−20)
【化10】

(式中、記号“ → ”は前記と同じものを示す)で表されるいずれか一つである、請求項1から18のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項20】
一般式(I)中、Rが水素原子である請求項1から19のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項21】
一般式(I)中、Rが水素原子である請求項1から20のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項22】
下記の式
【化11】

で表される化合物、その塩又はその低級アルキル エステル。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有する医薬。
【請求項24】
請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有するVLA−4阻害剤。
【請求項25】
請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を主成分として含有する、細胞接着に起因する疾患の防止剤及び/又は治療剤。
【請求項26】
細胞接着に起因する疾患が、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌転移、気管支喘息、鼻閉、糖尿病、関節炎、乾癬、多発性硬化症、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、移植時拒絶反応、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、アレルギー性肉芽腫血管炎、アテローム性動脈硬化、好酸球性膿疱性毛包炎、ブドウ膜炎、糸球体腎炎、前転移性乳癌又は悪性黒色腫である、請求項24又は25に記載の防止剤及び/又は治療剤。
【請求項27】
医薬を製造するための請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項28】
請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を投与することを特徴とする細胞接着に起因する疾患の防止方法及び/又は治療方法。
【請求項29】
請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を投与することを特徴とする、VLA−4が関与する細胞接着に起因する疾患の防止方法及び/又は治療方法。
【請求項30】
細胞接着に起因する疾患が、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌転移、気管支喘息、鼻閉、糖尿病、関節炎、乾癬、多発性硬化症、炎症性腸疾患、移植片対宿主病、移植時拒絶反応、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、アレルギー性肉芽腫血管炎、アテローム性動脈硬化、好酸球性膿疱性毛包炎、ブドウ膜炎、糸球体腎炎、前転移性乳癌又は悪性黒色腫である、請求項28又は29に記載の防止方法及び/又は治療方法。







【公開番号】特開2007−169235(P2007−169235A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371682(P2005−371682)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】