説明

ぶら下がり腰伸ばし器具

【課題】使用者自身の体重による荷重と共に足甲部による係止によって一層伸張できるようにして、例えば腰痛その他の疾病の改善をも図れるようにする。
【解決手段】使用者自身がぶら下がり状態となるように左右の支柱3の上部相互間にぶら下がり杆4を備えたぶら下がり健康器具において、支柱3の下部には、ぶら下がり状態の使用者の足甲部を引っ掛ける足掛け部6を設ける。足掛け部6は、支柱3の上下方向における支持高さ位置が異なる複数のものとしたり、支持高さ位置を調整変更できるようにしたりする。また、足掛け部6は、縮小傾向の弾発力が発揮されるコイルスプリングによって支柱3の下部方向に常時牽引されているものとしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はぶら下がり健康器具に係り、ぶら下がる使用者自身の体重による荷重と共に足甲部を所定位置で引っ掛け規制することによる係止によって一層伸張できるようにして、例えば腰痛その他の疾病の改善をも図れるぶら下がり健康器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ぶら下がることでぶら下がり者自身が、自身の体重の負荷によって身体を伸張させることで例えば脊椎に掛かる体重の負担を一時的にでも軽減し、腰痛その他の疾病の改善を図れるようにしたぶら下がり健康機器が数多く提案されている。例えば特許文献1に示すぶら下がり健康器具、特許文献2に示すぶらさがり腹筋健康器、特許文献3に示す健康器具がある。
【0003】
特許文献1に示すぶら下がり健康器具は、握力、腕力が比較的に弱い者を対象とするように、両脇に挿通するベルトによって体重を支持すると共に、足首に砂袋等の重りをつけることで身体全体が延びるようにして成る。特許文献2に示すぶらさがり腹筋健康器は、倒立が防止された伸縮自在な主支柱を伸縮支柱と組み合わせて上下に伸縮自在に調整してロックできるようにし、主支柱の下部には、これを倒立させて例えば床面にセットして腹筋運動をするときの下半身を固定する足懸部材を設けて成る。特許文献3に示す健康器具は、ぶら下がり時の使用者が、回動可能に形成された足載置部に自身の足を載せるようにし、足位置を水平方向に変位させることで腰を水平方向に捻ることを可能にして成る。
【特許文献1】特開2001−333927号公報
【特許文献2】実開昭57−93323号公報
【特許文献3】特開2006−43406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
如上のような従来のぶら下がり健康機器にあっては、特許文献1では従来において、使用者が単にぶら下がることで背骨、背筋更には腰部の腰椎等を自身の体重で伸ばすには不十分となることに鑑み、重りをつけることでより一層伸ばすようにしたのである。ところが、その重りの重量によっては身体への負担が大きくなり、かえって身体の損傷を招くことにもなる。特許文献2では腹筋運動を兼ねるように構成したことで、健康器自体を寝かせるように床面に置くことで多面的な運動ができるように配慮されても、ぶら下がり時の身体の伸張を一層有効にするものではない。特許文献3ではぶら下がりながらの身体の捻り運動の付与を可能にすることで身体機能の改善を図れるも、捻りのためには身体のぶら下がりを一時的にでも停止しなければならず、十分な身体の伸張が得られない場合もある。
【0005】
そればかりでなく、例えばリハビリテーションのために通院することで疾病の改善を図る場合、通院の手間と時間とが掛かり、面倒なときもある。また、リハビリテーション施設における牽引器具の多くは横置き形式のベッド型であるから、これを例えば自宅に設置して使用するとしても、設置場所がないから、これの使用はほとんど困難である。しかも、腰痛等で悩む潜在的な患者は多数いても、通院その他の手間が掛かることを憂慮して診察、診療を受けずに更に悪化させてしまうことも多い。
【0006】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的はぶら下がり時にぶら下がり使用者自身の身体を使用者自身で一層伸張できるようにし、背骨・脊髄、背筋、腰椎等における種々の欠陥に伴う縮小症状にあるのを適宜に伸張して、例えば神経網に対する狭窄等に起因する各種の疾病を改善できるようにすることにある。また、自宅その他に簡単に設置でき、しかも手軽に使用できるぶら下がり健康器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、使用者自身がぶら下がり状態となるように左右の支柱3の上部相互間にぶら下がり杆4を備えたぶら下がり健康器具において、支柱3の下部には、ぶら下がり状態の使用者の足甲部を引っ掛ける足掛け部6を設けたことを特徴とする。
足掛け部6は、支柱3の上下方向における支持高さ位置が異なる複数のものとしたり、支持高さ位置を調整変更できるようにしたりしてある。
足掛け部6は、縮小傾向の弾発力が発揮されるコイルスプリング7によって支柱3の下部方向に常時牽引されているものとして構成することもできる。
【0008】
以上のように構成された本発明に係るぶら下がり健康器具にあって、支柱3下部に設けた足掛け部6は、ぶら下がり状態の使用者の足甲部を引っ掛けていることで、使用者自身が例えば懸垂の要領で自身の身体を持ち上げようとするとき、自身の身体を更に伸張させる。このとき、使用者自身の足甲部がロックされていることで持ち上がらず、そのために想像以上に腰部等を伸ばさせる。
自身の体重による伸張に比して更に伸張させることで、例えば脊髄、腰部その他における各種の疾病の改善に有効なものとさせる。また、使用者自身の身体動作による伸張とすることで、機械的・強制的な伸張作動に比し、身体状況を自身で判断しながら伸張させることで安全に使用させる。
使用者の足甲部に対する高さ位置を異ならしめて引っ掛ける複数の足掛け部6としたり、高さ位置を調整変更できる足掛け部6としたりすることで、身長が異なる様々な使用者に対応させ得る。
支柱3の下部方向にコイルスプリング7によって弾発的に牽引される足掛け部6は、足掛け状態でぶら下がる使用者に対して、伸張動作を自動的に付与させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上説明したように構成されているため、ぶら下がり時にぶら下がり使用者自身の身体を、使用者の足甲部を引っ掛ける足掛け部6による規制に抗して使用者自身がより強く伸張させるようにすることで、使用者をして一層伸張できるものとする。これによって、使用者自身の背骨・脊髄、背筋、腰椎等における縮小症状に伴い種々に発生する諸欠陥、例えば神経網に対する狭窄等を適宜に伸張して、それらに起因する各種の疾病を改善できる。しかも、リハビリテーション施設にこだわらず、自宅にも簡単に設置でき、手軽に使用もできる利便性がある。
【0010】
すなわちこれは本発明において、使用者自身がぶら下がり状態となるように左右の支柱3の上部相互間にぶら下がり杆4を備え、支柱3の下部には、ぶら下がり状態の使用者の足甲部を引っ掛ける足掛け部6を設けたからであり、これによって、使用者自身による一層の伸張動作の付与を可能にし、自身で各種疾病の改善に役立たせることができる。
【0011】
また、足掛け部6は、支柱3の上下方向における支持高さ位置が異なる複数にして配列してあることで、使用者が自身の身長に対応した高さ位置の足掛け部6を選定することによって、例えば男女を問わず、成年者、年少者の家族で使用できる。このように使用者自身の身長が様々に異なるときでも、あるいは使用者自身が異なる高さ位置で伸張動作するときでも、これに対応できる。
【0012】
更には、腕力その他の力がない使用者であっても、毎日例えば5〜10秒程度の間で利用することで、力を入れられる時間が次第に増加するようになり、体力の回復その他の健康増進等に大きく役立てることができる。
【0013】
足掛け部6を支持高さ位置が調整変更できるようにすることで、同様に、使用者自身の身長が様々に異なるとき等でも対応できる。
【0014】
更には、足掛け部6を、縮小傾向の弾発力が発揮されるコイルスプリング7によって支柱3の下部方向に常時牽引させることで、足掛け状態でぶら下がる使用者に対して、弾発的な伸張動作を自動的に付与でき、この場合には足掛け状態で単にぶら下がることで、より一層有効な伸張状態とできる。
【0015】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項夫々において付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。図において示される符号1は自立可能に形成されているぶら下がり器具本体であり、このぶら下がり器具本体1は例えば図示のように構成されている。すなわち左右に並列配置されて、例えば床面上に載置されるようにしたそれぞれの脚台2上に左右の支柱3を立設し、支柱3上部相互間に使用者自身が握持することでぶら下がるようにしてあるぶら下がり杆4を掛け渡し固定すると共に、脚台2上での支柱3の立設状態を維持する保持部5を支柱3下部と脚台2上との間で設けて成る。
【0017】
もとより、このぶら下がり器具本体1の具体的構成は、上述した説明の構成、図示例に限らず、使用者がぶら下がり杆4にぶら下がった状態で倒立されることなく、設置面上で自立する構成であれば足りる。また、使用者の体重その他によっても簡単には破損しない程度の、それらに充分に耐え得る強度を備えたものとなっている。また、保持部5自体は、支柱3,脚台2間に傾斜させた状態で連繋した筋交い状としたり、側面から見てL字状の金物としたり等の種々な形態で採用できる。更には必要があれば、図示を省略したが、脚台2に付設したキャスターによって自在に移動できるようにし、また組立・分解自在にすることもできる。
【0018】
このぶら下がり器具本体1における下部には、ぶら下がり状態の使用者の足甲部を引っ掛ける足掛け部6を設けてある。この足掛け部6は、使用者がぶら下がり状態のときの足甲部位置に対応した高さ位置に配置してあり、使用者が足甲部を引っ掛けたままで、使用者自身が例えば懸垂の要領で自身を持ち上げるようにするときに足甲部を係止支持し、身体が一層伸張されるようにしている。
【0019】
足掛け部6自体は、例えば棒材にて構成され、引っ掛けられる足甲部が損傷しないように例えば柔軟材にて囲繞されている。また、図2に示すように、高さ位置が異なる複数の足掛け部6を支柱3下部に配列しておき、身長が異なる使用者、例えば成年者、年少者等のそれぞれに対応できるようにしておくと良い。
【0020】
図3に示す足掛け部6は、支柱3に弾発的に昇降自在に配された構成としてある。例えば支柱3内に配した縮小傾向の弾発力が発揮されるコイルスプリング7によって支柱3の下部方向に常時牽引されているようにして、足掛け部6を左右の支柱3に形成してあるスライド孔相互間に上下方向でスライド自在にして掛け渡されるようにしてある。こうすることで、使用者はぶら下がり時の足甲部をこの足掛け部6に引っ掛けるだけで、常時下方への牽引力が身体に作用し、使用者に対する伸張作用を一層有効にさせる。
【0021】
図4に示す足掛け部6は、支柱3に対する高さ位置を自在に変更調整できるようにしたもので、例えば支柱3の下部で上下方向に沿って複数の支持孔8を開穿配列してあり、伸張させるに適当な位置の支持孔8に足掛け部6を挿通させて使用する。このとき、足掛け部6両端に抜出防止のためのフランジ状の止め材を着脱自在に設けても良い。
【0022】
図5に示す足掛け部6は、支柱3の前面がわあるいは後面がわで外部と連通している側面逆L字状にして、支柱3の上下方向で開穿配列したスライド支持孔9のいずれかを選択して、入れ替え自在に挿入するようにしても良い。こうすることで、所定位置のスライド支持孔9のいずれかを選択して挿入することによって、所定高さ位置とすべき位置のスライド支持孔9にて足掛け部6の高さ調整設定が簡単に行え、便利である。
【0023】
次にこれの使用の一例を説明する。使用場所その他の床面にぶら下がり器具本体1を載置し、使用者の身長に対応した位置に足掛け部6をセットする。こうしておいて、使用者自身が足掛け部6に足甲部を引っ掛けた状態で使用者がぶら下がり杆4を握持することでぶら下がる。次いで、使用者自身がより一層の伸張状態となるようにするときには、足甲部を足掛け部6に引っ掛けた状態の儘で、例えば懸垂の要領で使用者自身の身体を持ち上げるようにする。こうすることで、身体の持ち上げ状態が規制されていることで、使用者自身は一層の伸張状態となり、例えば脊髄、腰部その他をより大きく伸張できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施するための最良の形態を示す使用状態の斜視図である。
【図2】同じく他の実施の形態における斜視図である。
【図3】同じく更に別の実施の形態における要部断面図である。
【図4】同じく更に別の実施の形態における要部一部切り欠き正面図である。
【図5】同じく更に別の実施の形態における要部側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…ぶら下がり器具本体 2…脚台
3…支柱 4…ぶら下がり杆
5…保持部 6…足掛け部
7…コイルスプリング 8…支持孔
9…スライド支持孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者自身がぶら下がり状態となるように左右の支柱の上部相互間にぶら下がり杆を備えたぶら下がり健康器具において、支柱の下部には、ぶら下がり状態の使用者の足甲部を引っ掛ける足掛け部を設けたことを特徴とするぶら下がり健康器具。
【請求項2】
足掛け部は、支柱の上下方向における支持高さ位置が異なる複数のものとしてある請求項1に記載のぶら下がり健康器具。
【請求項3】
足掛け部は、支持高さ位置を調整変更できるようにしてある請求項1に記載のぶら下がり健康器具。
【請求項4】
足掛け部は、縮小傾向の弾発力が発揮されるコイルスプリングによって支柱の下部方向に常時牽引されている請求項1または2に記載のぶら下がり健康器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−272156(P2008−272156A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118254(P2007−118254)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(307013606)
【Fターム(参考)】