説明

もち米加工品の製造方法

【課題】 もち米とブドウなどの果汁の用途を拡大し消費量を増やすと共に、ブドウ等の果汁の色・味・香りの特徴を活かした新たなもち米加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】 果汁を入れた容器にもち米を5〜12時間程度浸漬する第1の工程と、第1の工程で果汁に浸漬されたもち米を15〜40分程度蒸す第2の工程と、第2の工程でできた蒸米に対し果汁をなじませるため、果汁を振り掛け、かき混ぜて、その後10〜30分程度蒸す第3の工程と、第3の工程でできた蒸米をそのまま又は潰して適度の大きさに分ける第4の工程と、を含むもち米加工品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウ等の果汁にもち米を浸漬した後に加熱調理し、果汁の色・味・香りを残したもち米加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
もち米の利用の多くは、蒸して餅又はおこわに加工して食することが一般的である。餅として食する場合は、そのまま食したり、きな粉、黒蜜、蜂蜜、砂糖などにつけて食する。または、生地に餡を包み入れて形成した餅菓子、例えば大福餅、桜餅などにして食する。おこわとして食する場合は、赤飯、栗おこわ、山菜おこわなどとして食する(例えば、特許文献1,2参照)。一方、ブドウなどの果実は、生で食べる他はジュースに加工されるが、ジュースは通常そのまま飲用される場合が殆どである。
【0003】
もち米も果実も従来の飲食の仕方にあっては、両者とも消費拡大には限界があるため、それぞれの特性を活かした加工品の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2002−51713号公報
【特許文献2】 特開2001−321097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、もち米とブドウなどの果汁の用途を拡大し消費量を増やすと共に、ブドウ等の果汁の色・味・香りの特徴を活かした新たなもち米加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のもち米加工品の製造方法にあっては、果汁を入れた容器にもち米を5〜12時間程度浸漬する第1の工程と、前記第1の工程で果汁に浸漬されたもち米を15〜40分程度蒸す第2の工程と、前記第2の工程でできた蒸米に対し果汁をなじませるため、果汁を振り掛け、かき混ぜて、その後10〜30分程度蒸す第3の工程と、前記第3の工程でできた蒸米をそのまま又は潰して適度の大きさに分ける第4の工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、第4の工程でできた蒸米をそのまま又は潰して適度の大きさに分けたものの中に餡を包み込む第5の工程を含むことを特徴とする。
【0008】
また、第1及び第2の工程で使用する果汁は、ストレート果汁100%の果汁であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法にあっては、果汁にもち米を十分浸漬すると共に、浸漬し蒸したもち米に果汁を振り掛け、かき混ぜて果汁を十分なじませることにより、果汁の色・味・香りを残したもち米加工品ができる。特に、果汁として、ストレート果汁100%の果汁を使用することで、より果実本来の色・味・香りを活かした加工品を製造することができる。
もち米と果汁、両方に付加価値をつけた新たな商品が開発でき、消費拡大に繋げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のもち米加工品の製造方法の実施形態を説明する。
【0011】
第1の工程:果汁を入れた容器にもち米を5〜12時間程度浸漬する。浸漬時間としては、一晩程度(6〜9時間程度)が好ましい。この際、もち米は完全に果汁に浸る状態にすることが重要である。この工程により、もち米に果汁の色・味・香りがしっかり浸み込むことになる。
【0012】
第2の工程:第1の工程で果汁に浸漬されたもち米を15〜40分程度蒸す。蒸す時間としては20〜30分程度が好ましい。
【0013】
第3の工程:第2の工程でできた蒸米に対し果汁をなじませるため、果汁を振り掛け、かき混ぜて、その後10〜30分程度蒸す。蒸す時間としては20分程度が好ましい。この工程により、もち米の色が濃く艶やかになり、味・香りが深まりまろやかになる。
【0014】
第4の工程:第3の工程でできた蒸米をそのまま又は潰して適度の大きさに分ける。尚、潰す場合の潰し具合は、好みに応じて加減可能である。
【0015】
第5の工程:第4の工程で分けたものの中に、予め用意しておいた餡を包み込んで完成である。
【0016】
第4の工程で適度な大きさに分けたものには、第5の工程のように、中に餡を包み込んでも良いが、包み込まずそのまま好みの大きさ・形状にして完成としても良い。その場合は、きな粉、黒蜜、蜂蜜、砂糖などにつけて食することができる。
【0017】
第1、第3の工程で使用する果汁は、ブドウ、ヤマブドウ、リンゴ、ナシ、ブルーベリー、みかん、トマトなどの、どのような果汁でも使用可能である。果汁としては、ストレート果汁、濃縮還元果汁、ブレンド果汁などが適用可能であるが、果汁本来の色・味・香りをできるだけ残すためにはストレート果汁100%の果汁が好ましい。ストレート果汁100%の果汁としては、完成した加工品の色、味・香りを踏まえてブドウジュースが好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0018】
もち米(岩手県紫波郡紫波町産のヒメノモチ)2.5合を、果汁(岩手県紫波郡紫波町赤沢産のキャンベルストレート果汁100%)450ccに1晩浸す(第1の工程)。次に、果汁を切ったもち米を20〜30分位蒸し(第2の工程)、蒸米をボールに移し変え、同じ果汁をなじませるため、果汁を振り掛け、かき混ぜて、更に20分蒸す(第3の工程)。蒸米を20等分(第4の工程)し、手のひらをつぼめるようにして、中に餡を包み込むと完成である(第5の工程)。
【0019】
この製造方法により、もち米にキャンベルの濃く鮮やかな紫色を浸み込ませることができ見た目に色鮮やかである。また、食するとキャンベルの風香味と餡の甘味により、従来にない新規な味の食品ができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果汁を入れた容器にもち米を5〜12時間程度浸漬する第1の工程と、前記第1の工程で果汁に浸漬されたもち米を15〜40分程度蒸す第2の工程と、前記第2の工程でできた蒸米に対し果汁をなじませるため、果汁を振り掛け、かき混ぜて、その後10〜30分程度蒸す第3の工程と、前記第3の工程でできた蒸米をそのまま又は潰して適度の大きさに分ける第4の工程と、を含むもち米加工品の製造方法。
【請求項2】
前記第4の工程でできた蒸米をそのまま又は潰して適度の大きさに分けたものの中に餡を包み込む第5の工程を含むことを特徴とする請求項1記載のもち米加工品の製造方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の工程で使用する果汁は、ストレート果汁100%の果汁であることを特徴とする請求項1記載のもち米加工品の製造方法。

【公開番号】特開2011−55821(P2011−55821A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233851(P2009−233851)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(509271082)
【Fターム(参考)】