アテローム性動脈硬化症の予防および処置のための医薬組成物
アテローム性動脈硬化症、例えば一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の予防または処置を目的とする医薬の製造のための、式(I)(式中、Rは−Hを表す)を有する少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせた、少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にアテローム性動脈硬化症と戦うという枠内での新規な医薬組成物およびその使用に関する。
【0002】
アテローム性動脈硬化症は、20%より高い死亡を伴う、工業化国における死亡率の第1の原因である(Murray JL, Lopez AD. Mortality by cause for eight regions of the world: global burden of disease study. Lancet 1997; 349:1269-76)。WHO(1954)によれば、アテローム性動脈硬化症は、アテローム性のプラークの形成、即ち、脂質、複合炭水化物、血液および血液産物、繊維組織および石灰質の付着物の局所的蓄積を含む大動脈および中等級動脈の内膜に対する変化の可変的組合せであり;すべて媒体の変性により伴われる。この病理は、それ自体数年のサブ・クリニカルな進展の後にのみ現れる。従って、その予防は、その処置よりも最高に重要である。
【0003】
プラークの形成は、一連の5つの段階である(Tedgui A, Mallat Z. Formation de la plaque d'atherosclerosis. Rev Prat 1999; 49:2081-2086):
−内膜におけるLDL(低密度リポタンパク質)の蓄積、
内皮細胞、平滑筋細胞(SMCs)またはマクロファージとの接触による壁におけるLDL酸化(LDLox)、
−酸化されたLDLsにより引き起こされるVCAM1またはICAM1などの接着分子の誘導による循環している単球の動員、
−スカベンジャー受容体によるマクロファージによるLDLox捕捉;従ってマクロファージにおいてコレステロールが蓄積する、
−平滑筋細胞と細胞外マトリックスからのタンパク質により構成される安定化繊維筋性キャップ(stabilizing fibromuscular cap)の形成。
【0004】
植物および動物タンパク質中に存在する塩基性アミノ酸、L−アルギニンは、組織タンパク質の合成に必須である。異なる動物の研究で、食餌にL−アルギニンを補充すると(飲料水中2%、血漿アルギニン濃度を倍増することを可能とする用量)、L−アルギニンは抗アテローム効果を有する傾向があると思われる。この処理は、血管反応性に対する効果も有すると思われる。Boeger等(Boeger RH, Bode-Boeger SM, Brandes RP, Phivthong-ngam L, Boehme M, Nafe R, et al. Dietary L-Arginine reduces the progression of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits. Circulation 1997; 96: 1282-1290)、およびBehr-Roussel 等 (Behr-Roussel D, Rupin A, Simonet S, Bonhomme E, Coumailleau S, Cordi A, et al. Effect of chronic treatment with the inducible nitric oxide synthase inhibitor N-iminoethyl-L-lysine or with L-arginine on progression of coronary and aortic atherosclerosis in hypercholesterolemic rabbits. Circulation 2000; 102: 1033-1038)は12〜16週間にわたる強化された食餌によるアテローム性プラーク面積の安定化を証明する。
【0005】
スタチンは、強力なコレステロール合成阻害剤である。それらの主要な適用は、心臓虚血発作の一次または二次予防における血漿LDL−コレステロールの減少である(Vaughan CJ, Murphy MB, Buckley BM. Statins do more than just lower cholesterol. Lancet 1996; 348: 1079-1082)。
【0006】
スタチンは、酵素の活性部位のための基質HMG−CoAとの可逆的競合によりHMG−CoAレダクターゼを阻害する。従って、それらはメバロナートおよびコレステロールを含むその誘導体の合成の減少をもたらす。従って、スタチンはアテローム性動脈硬化症の処置に適用される。
【0007】
しかしながら、現在では、上記した処置のどれもアテローム性動脈硬化症を完全に予防および/または処置することを可能としない。
【0008】
従って、本発明の目的は、アテローム性動脈硬化症の予防および/または処置のためのより有効な方法を提供することである。
【0009】
本発明は、特に、アテローム性動脈硬化症の予防および/または処置の枠内でスタチンおよびL−アルギニンの組合せの予想外の相乗効果の証明から生じる。
【0010】
従って、本発明は、アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の予防または処置を目的とする医薬の製造のための、
・下記式(I):
【化7】
(式中、Rは−H、
【化8】
を表す)
の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、と組み合わせた、
・ 少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩
の使用に関する。
RがHを表すとき、式(I)の化合物はオルニチンに相当する。
Rが
【化9】
を表すとき、式(I)の化合物はアルギニンに相当する。
Rが
【化10】
を表すとき、式(I)の化合物はシトルリンに相当する。
【0011】
これらの3つのアミノ酸は、生物における共通の代謝を有する。
【0012】
高血圧、糖尿病および神経変性疾患、特にアルツハイマー病は、本発明に従う式(I)の化合物とスタチンとの相乗的組合せ、特にアルギニン−スタチン相乗的組合せにより補償されうる内皮機能不全に関連した血管成分を有する。
【0013】
表現「組み合わせて、組み合わせた、組合せにおける、(in combination)」は、スタチンと式(I)の化合物が両方共本発明に従う医薬中に独立に存在しており、その場合にそれらは例えば塩を形成するための静電気的相互作用などの弱い結合または共有結合などの強い結合のいずれかによって相互に連結されていないことを意味する。
【0014】
本明細書で意味する用語「スタチン」は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤のクラスに属する化合物を意味する。特に、用語「スタチン」は、ペプスタチンに起因しそしてレニン阻害性を有するアミノ酸誘導体に相当しない。
【0015】
さらに有利には、一般式(I)の化合物、特にアルギニンは、アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の予防または処置を目的とした医薬の製造の枠内でスタチンの効果を増加させるために佐剤として使用される。
【0016】
本発明の好ましい態様に従えば、スタチンは下記の群:
アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、およびシンバスタチンを含む群から選ばれる。
【化11】
【0017】
このリストは、限定するものではなく、当業者に知られているすべての他のスタチンも本発明に従って使用することができる。
【0018】
本発明の特に好ましい態様に従えば、スタチンはアトルバスタチンである。
【0019】
本発明の他の好ましい態様に従えば、式(I)の化合物はL−異性体に相当する。
【0020】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、Rは
【化12】
を表し、そうすると式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する。
【0021】
本発明は、さらに詳しくは、約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当な量のスタチン、特にアトルバスタチンの上記した使用に関する。
【0022】
本発明は、さらに詳しくは、約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当な量の式(I)の化合物、特にL−アルギニンの上記した使用にも関する。
【0023】
有利には、5g/日未満のL−アルギニンの用量は特に子供のために適当である。
【0024】
本発明は、極めて特定的には、少なくとも約10g/日の用量を個体に投与するのに適当な量のL−アルギニンの上記した使用にも関する。
【0025】
特定の態様では、本発明は、約0.15g/kg/日の用量、即ち問題の個体の体重kg当たりL−アルギニン0.15g/日の用量を個体に投与するために適当な量のL−アルギニンの上記した使用に関する。
【0026】
上記した使用の他の特定の態様に従えば、この医薬は、スタチン約5mg〜約80mgおよびL−アルギニン約5g〜約30g、特に約10gの単一用量を個体に投与するめに適当である。
【0027】
本発明は、アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の処置の枠内で同時的使用または別々の使用または所定の時間に及ぶ使用のための組合せプロダクトとしての、
・少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、および
・少なくとも1種の下記式(I):
【化13】
(式中、Rは、−H、
【化14】
を表す)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、
を含有するプロダクトにも関する。
【0028】
表現「組合せプロダクト」は、スタチンと式(I)の化合物が両方共本発明に従うプロダクト中に独立に存在しており、その場合にそれらは例えば塩を形成するための静電気的相互作用などの弱い結合または共有結合などの強い結合のいずれかによって相互に連結されていないことを意味する。
【0029】
本発明の好ましい態様に従えば、スタチンは、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、およびシンバスタチンを含む群から選ばれる。
【0030】
特に好ましい態様に従えば、スタチンはアトルバスタチンである。
【0031】
本発明の他の好ましい態様に従えば、式(I)の化合物は、L−異性体に相当する。
【0032】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、Rは
【化15】
を表し、その場合に式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する。
【0033】
本発明の他の特に好ましい態様に従えば、該プロダクトは、スタチン、特にアトルバスタチン約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当である。
【0034】
本発明の他の特に好ましい態様に従えば、該プロダクトは、式(I)の化合物、特にL−アルギニン 約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当である。
【0035】
有利には、5g/日未満のL−アルギニンの用量は子供のために特に適当である。
【0036】
本発明の他の特に好ましい態様に従えば、該プロダクトは、少なくとも約10g/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当である。
【0037】
特定の態様では、該プロダクトは、約0.15g/kg/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当である。
【0038】
上記したプロダクトの他の特定の態様に従えば、該プロダクトは、スタチン約5mg〜約80mgおよびL−アルギニン約5g〜約30g、特に約10gの単一用量を個体に投与するために適当である。
【0039】
本発明は、有効成分として、
・少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、および
・下記式(I):
【化16】
(式中、Rは−H、
【化17】
を表す)
の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、
薬学的に許容され得るビヒクルと組み合わせて含む医薬組成物にも関する。
【0040】
Rが−Hを表すとき、式(I)の化合物は、オルニチンに相当する。
【0041】
Rが
【化18】
を表すとき、式(I)の化合物は、アルギニンに相当する。
【0042】
Rが
【化19】
を表すとき、式(I)の化合物は、シトルリンに相当する。
これらの3つのアミノ酸は生物において共通の代謝を有する。
【0043】
本明細書で意味するスタチンおよび式(I)の化合物は、両方共本発明に従う医薬組成物中に独立に存在し、その場合にそれらは例えば塩を形成するための静電気的相互作用などの弱い結合または共有結合などの強い結合のいずれかによって相互に連結されていない。
【0044】
本発明の好ましい態様に従えば、スタチンは、下記の群:
アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、およびシンバスタチンを含む群から選ばれる。
【0045】
このリストは限定するものではなく、当業者に知られているすべてのスタチンも本発明に従って使用することができる。
【0046】
本発明の特に好ましい態様に従えば、スタチンはアトルバスタチンである。
【0047】
本発明の他の好ましい態様に従えば、式(I)の化合物はL−異性体に相当する。
【0048】
生物において見出される天然のアミノ酸は、本質的にL型である。
【0049】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、Rは
【化20】
を表し、そうすると式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する。
【0050】
本発明の他の好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、スタチン、特にアトルバスタチン約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当である。
【0051】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、式(I)の化合物、特にL−アルギニン約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当である。
【0052】
有利には、5g/日未満のL−アルギニンの用量は、特に子供のために適当である。
【0053】
特に好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、少なくとも約10g/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当である。
【0054】
特定の態様では、上記した医薬組成物は、約0.15g/kg/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当である。
【0055】
上記した医薬組成物の他の特定の態様に従えば、医薬組成物は、スタチン約5mg〜約80mgおよびL−アルギニン約5g〜約30g、特に約10gの単一用量を個体に投与するために適当である。
【0056】
本発明の他の好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、経口経路による投与のために適当である。
【0057】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、それが、希釈されるべき散剤、丸剤、薬袋剤(sachets)、錠剤、カプセル剤の形態でまたは任意の他の許容され得るガレヌス剤形(galenic form)において与えられることを特徴とする。
【0058】
実施例
材料および方法
1.動物および実験プロトコール
遺伝的LDL−受容体(LDL−R)欠失により高脂血症であり、ホモ接合体でありそして6週齢の24匹のWatanabeウサギ(Centre de Production Animale, Olivet, France)を使用する。各動物を個々の檻に入れそして200g〜250g/日の食餌割当量を取らせる。7日間の動物ハウスへの順応の後、6匹のウサギの4つのグループを形成する:
・対照グループは、タンパク質16%、脂質3.2%および炭水化物49.3%を含有する通常のウサギ食餌(EXT C15, Dietex, St Gratien, France)を取る。
・第2グループ、いわゆる「アルギニン」グループのウサギは、L−アルギニンで強化された食餌を取って、このアミノ酸の血漿濃度を倍増する。L−アルギニン(Sigma, St Quentin Fallavier, France)を15g/kg食餌の割合で食餌と混合して、アルギニン1g/kg生体重量/日の摂取を生じる。
・第3グループ、いわゆる「スタチン」グループは2.5mg/kg/日の割合で飲料水中にスタチン(Atorvastatin, Tabor(登録商標)10mg、Godeche-Pfizer, Germany)を有する食餌を取る(Maeso R, Aragoncillo P et al. Effect of Atorvastatin on endothelium-dependant constrictor factors in dyslipidemic rabbits. Gen Pharma. 2000;34:263-272)。
・そして最後に第4グループ、いわゆる「スタチン/アルギニングループ」は、アルギニンで強化された食餌を取りそしてやはり2.5mg/kg/日のアトルバスタチンによる処理を受ける。
【0059】
強化された食餌中のL−アルギニンの摂取は、ヒトにおける約0.15g/kg/日のL−アルギニン摂取に相当するようなものである。
【0060】
食物摂取を毎日測定しそして動物を1週間に1回体重測定する。血漿サンプルを耳縁静脈から15日毎に採取する。ヘパリン管に集めた血液を遠心する(4℃、2000g、15分)。血漿の一部をスルホサリチル酸の溶液(30%)により脱タンパクし、次いでアミノ酸のアッセイの目的でアリクォート画分に分ける。血漿の残りを約200μlのいくつかの画分にアリクォートとしそして−80℃で保存する。
【0061】
8週間の後に、血清のサンプリング(約1ml)を行い、次いで動物をヘパリンを加えたペントバルビタールの注射により麻酔しそして最後に殺す。
【0062】
全体の研究を動物実験に関する最近の規則に従って行う。
【0063】
2.生物学的分析
脂質プロフィル、即ち、コレステロール、トリグリセリド、HDL(高密度リポタンパク質)およびLDL(低密度リポタンパク質)コレステロールを通常の方法によりHitachi 911で決定する。コレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼを使用し、次いでペルオキシダーゼとの反応による酵素比色試験に従ってコレステロールをアッセイする。ペルオキシダーゼは過酸化水素と反応しそして赤色誘導体を放出し、この染色強度(550nMと700nM間で測定する)はコレステロール濃度に直接比例する。トリグリセリドアッセイも、グリセロールを放出するリパーゼおよび、過酸化水素と反応しそして赤色化合物を形成するペルオキシダーゼを使用するこの原理に基づいている。HDLコレステロールを2段階の酵素比色試験によりアッセイする。第1段階は硫酸デキストランによって異なる脂質画分を選ぶ。第2段階は、コレステロールアッセイと同様であり、ポリエチレングリコールにより修飾されたコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼ、ならびに青紫色誘導体を放出するペルオキシダーゼを使用する。結果をミリモル/lで表す。すべてのこれらのアッセイに必要なキットは、RANDOX(Montpellier, France)により供給される。Friedewaldの式を使用して総コレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセリドからLDLsを計算する(Friedewald et al. (1972) Clin. Chem. 18: 499-502)。
【0064】
血漿アルギニン、オルニチンおよびシトルリン濃度をJEOL(Tokyo, Japan)アミノ酸分析機で決定する。アミノ酸をカチオン交換クロマトグラフィーにより分離する。カラムを去ると、それらはニンヒドリン染色反応により展開される。得られる反応を、570および440nmでの光度測定法により定量する。結果をμモル/lで示す。
【0065】
3.形態学的研究および組織学的研究
殺した日に、麻酔の後、できるだけ短時間で動物を頚胸領域の全長に沿って切開する。大動脈をできるだけ浅く切開する。曲がった鋏を使用して、大動脈を、大動脈弓から脊柱に続く腸骨分岐(iliac bifurcation)のレベルまで除去する。大動脈を最初に生理学的血清中で清浄しそして脂肪細胞をその外膜から除去する。それを2%パラホルムアルデヒド−2%グルタルアルデヒド混合物中で20分間固定し、次いでその長さに沿って切開する。次いでそれを再び同じ固定剤中に24時間浸漬し、その後大動脈を70%エタノール中ですすぎ、次いでSoudanIVで15分間染色する。それをもう一度80%エタノール中で20分間すすぎ次いで流水下に1時間すすぐ(22)。次いで大動脈をNikon 995デジタルカメラで平坦写真撮影する。病変の表面を決定することを可能とする面積測定法ソフトウエア(Scion Image)によって像を分析する。最後に、大動脈を微視的研究の目的で同じ固定剤中で固定する。
【0066】
光学顕微鏡法のために、大動脈を4つのセグメントに切断する:
−大動脈弓の開始部のセグメントおよび大動脈弓の末端部のセグメント、
−大動脈の中間部のセグメントおよび大動脈の末端部のセグメント。
【0067】
隣接断片を電子顕微鏡法のためにサンプリングする。
【0068】
サンプルを100%エタノールまでエタノール中で進行的に脱水し、次いでパラフィンで処理する。このようにしてパラフィンを含浸させた切片は、横断面を有することを可能とする配向した封入(oriented inclusion)に従って封入される(included)。5μm切片を作成し、これをスライド上に張り付け、次いでHES(ヘマラム(haemalum)/エリスロシン/サフロン)で染色する。
【0069】
4.統計的解析
StatViewソフトウエア、バージョン5.0をデータの統計的解析のために使用する。すべての値は、平均±SEMとして与えられる。グループの比較を、クラスカル−ウオリスの検定により行う。この検定は、順位付け係数(ranking factor)による分散分析のノンパラメトリックバージョンである。2つのグループ間の比較をマン−ホイットニーの検定により行う。この検定は、独立シリーズに関するt検定のノンパラメトリックバージョンである。p≦0.05についての有意な値を考える。量的変数間の相関の有意性をスピアマン検定により評価する。
【0070】
結果
8週間にわたり処理を行った(処理の開始時のT0からT8まで)。
【0071】
1. 動物および一般的パラメータ
1.1動物の監視:体重および食餌摂取
実験期間中、4つのグループの動物が同じ成長曲線を有する(図1)。動物ハウスに到着時には、対照グループおよびアルギニングループの動物はより小さくそしてスタチングループおよびスタチン/アルギニングループからのこの差は、処理の開始時(T0)とは明瞭性がより少なくなる。
【0072】
平均食餌摂取(図2)は期間T0〜T4間に増加し、次いでT8まで一定(regular)である傾向がある。T5の後のスタチングループの食餌摂取の減少は、2匹の病気の動物の存在に関連している。さらに、アルギニングループの2匹の動物は、プロトコールが終わる前に死亡しそして研究には含ませなかった。
【0073】
体重および毎日の食餌摂取の測定は、グループがなんであれ、これらのパラメータに関して動物の均等性を反映する。10週齢(T4)で、それらの体重は1.9〜2.1kg間に含まれ、これは文献に見られるデータに相当する(Murakami S, Kondo Y, Sakurai T, Kitajima H, Nagate T. Taurine suppresses development of atherosclerosis in Watanabe heritable hyperlipidemic (WHHL) rabbits. Atherosclerosis. 2002; 163: 79-87)。食餌摂取は年齢の関数として増加し(例えば対照グループでは97.6g/日から139.5g/日)そしてT3の後相対的に一定のままである。
【0074】
1.2.脂質プロフィル
アトルバスタチンおよびアトルバスタチン+アルギニンによる処理は、血漿コレステロールに対する有利な効果を有する(図3)。血漿コレステロールは処理期間中減少する。この減少は、時間T8で対照に対して2つのループについて有意である。アルギニン食餌はコレステロールに対する効果を持たない。
【0075】
血漿トリグリセリド濃度(図4)は、対照グループおよびアルギニングループにおいて年齢と共に増加する。有意なポジティブな効果は、T8で(対照に対して)アトルバスタチンのみで処理した動物に見られ:トリグリセリド濃度は増加しない。この効果はスタチン/アルギニングループでも観察される(有意ではない)。
【0076】
異なるグループにおけるHDL濃度(図5)は、プロトコール期間中トリグリセリドと同様に進展する。
【0077】
同様に、LDL濃度(図6)は、コレステロールのラインと同じラインに従う。アトルバスタチンによる処理は、アトルバスタチン+アルギニン処理の場合と同様に、この濃度の減少を誘導する。
【0078】
他方、脂質プロフィルは、文献と合致しており:研究の開始時における我々の動物(6週齢)は、20.4ミリモル/l(対照グループ)と25.4ミリモル/l(スタチン/アルギニングループ)の間の高コレステロール血症を有し、21.9±1.5ミリモル/lの平均値を報告しているClubb等の研究と合致している(Clubb FJ, Cerny JL, Deferrari DA, Butler-Aucoin MM, Willerson JT, Buja LM. Development of atherosclerotic plaque with endothelial disruption in Watanabe heritable hyperlipidemic rabbit aortas. Cardiovasc Pathol 2001; 10: 1-11)。他方、Dowell等(Dowell FJ, Hamilton CA, Lindop GB, Reid JL. Development and progression of atherosclerosis in aorta from heterozygous and homozygous WHHL rabbits. Effects of simvastatin treatment. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 1995; 15: 1152-60)は、ヘテロ接合性Watanabeウサギとホモ接合性Watanabeウサギとの比較研究を行い、そしてホモ接合性ウサギを10ミリモル/lより高いレベルのコレステロールを有するものとして定義した。これは実際我々の動物で当てはまる。
【0079】
T0とT8との間で、対照グループおよびアルギニングループにおいて、それぞれ20%および30%の血漿コレステロール濃度の増加が年齢と共に観察されるが(図3)、これに対してスタチンおよびスタチン/アルギニン処理では、この濃度は2つのグループで27%減少する。かくして我々の結果に従えば、アトルバスタチンは、ホモ接合性動物におけるコレステロール低下効果を有する:それはコレステロールの肝臓での合成のレベルでコレステロールを減少させることにより作用することができる。同様な結果が文献でしかし異なるモデルで見出される:ニュージーランド白色ウサギを含む16週間におよぶロバスタチンによる研究(Boeger RH, Bode-Boeger SM, Brandes RP, Phivthong-ngam L, Boehme M, Nafe R, et al. Dietary L-Arginine reduces the progression of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits. Circulation 1997; 96: 1282-1290)は、コレステロールの32%減少を示す。さらに、16週にわたりWatanabeウサギを使用しそしてピタバスタチンを使用する最近の研究(Suzuki H, Kobayashi H, Sato F, Yonemitsu Y, Nakashima Y, Sueishi K. Plaque-Stabilizing Effect of Pitavastatin in Watanabe Heritable Hyperlipidemic(WHHL) Rabbits. J Atheroscler Thromb. 2003; 10: 109-16)は、血漿コレステロールの28.6%減少を示す。コレステロール血症の減少は、与えられた結果(スタチングループで27.1%減少およびスタチン/アルギニングループで24.5%)により示されるとおりLDL画分に主として関係しており、データはSuzuki et alによる研究でも見出される。
【0080】
トリグリセリドに関して、対照グループおよびアルギニングループで同じプロフィルが観察される:トリグリセリドはプロトコール期間中(T0とT8の間)半分より多く増加する。対照的に、スタチンで処理された動物(スタチングループおよびスタチン/アルギニングループ)は、T0とT8間で実質的に一定の濃度を有し、これは高トリグリセリド血症に対するアトルバスタチンのポジティブな効果を示唆する。
【0081】
アルギニン単独は、この脂質プロフィルに対して認めることができる効果を有しないようであり、これは多数の研究と合致している(Boeger RH, Bode-Boeger SM, Brandes RP, Phivthong-ngam L, Boehme M, Nafe R, et al. Dietary L-Arginine reduces the progression of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits. Circulation 1997; 96: 1282-1290; Brandes RP, Brandes S, Boeger RH, Bode-Boeger SM, Mugge A. L-Arginine supplementation in hypercholesterolemic rabbits normalizes meukocyte adhesion to non-endothelial matrix. Life Sci 2000; 66: 1519-1524; Singer AH, Tsao PS, Wang BY, Bloch DA, Cooke JP. Discordant effects of dietary L-arginine on vascular structure and reactivity in hypercholesterolemic rabbits. J Cardiovasc Pharmacol 1995; 25: 710-716)。
【0082】
1.3 アルギニン、オルニチンおよびシトルリンの濃度
血漿アルギニン濃度(図7)は、対照グループおよびスタチングループで同じである。該濃度はT4でアルギニングループにおいて倍増するが(対照に対して有意)、T8では低下する。スタチン/アルギニングループにおけるアルギニン濃度の増加は、規則的であるが、アルギニングループで観察される増加よりははるかに低い。
【0083】
オルニチンプロフィル(図8)は、アルギニンのプロフィルと同様である。
【0084】
スタチン/アルギニングループでの血漿シトルリン濃度(図9)は多かれ少なかれアルギニン濃度に追従する。
【0085】
一般に、L−アルギニン濃度(このパラメータは、時間T0、T2、T4、T6およびT8でアッセイされたが、データは示されていない)は処理されたグループ、即ち、アルギニングループおよびスタチン/アルギニングループにおいて倍増した。
【0086】
3.動脈病変の形態学的および組織学的研究
3.1.大動脈の巨視的研究
面積測定法による病変の表面積の評価(図10)は、該表面積がアルギニン単独ではより小さくそしてアルギニン/スタチンでも(対照に対して)有意により小さいことを示す。他方、対照グループとスタチン単独で処理されたグループとでは差は観察されない。したがって、驚くべきことに、スタチン/アルギニン組合せは病変の表面の減少に対する相乗的効果を示す。
【0087】
大動脈の遠位半部に関心が限定されるならば、結果は非常に有意であり(図11):アトルバスタチン/アルギニン処理では、病変の表面積は有意に減少する。アトルバスタチンおよびアルギニンの投与の組合せは、アテローム性動脈硬化症病変の減少に対する予想外の相乗効果を示す。何故ならば、アトルバスタチン単独およびアルギニン単独による処理は効果を示さないからである。
【0088】
3.2 動脈壁の微視的研究
スライドの観察は、スタチングループと比較してスタチン/アルギニングループの病変のより少ない厚さを示す。より大きい病変は、2つの最初の切片で(大動脈弓の開始部および末端部で)見いだされ:最後の2つの切片(大動脈の中央部および末端部)で、病変は頻度がより低い。それらの組成(composition)に関しては、病変の大部分は細胞性(cellular)であるよりは繊維性である(泡状のそしていくらかの多核マクロファージを含む)。グループ間で病変の組成に関して特定の傾向はない。
【0089】
巨視的レベルでは、病変表面は、対照グループに対してスタチングループにおいて変わらないが、これに対して多数の研究、特にKroon 等の研究は反対の意見である(Aliev G, Burnstock G. Watanabe rabbits with heritable hypercholesterolaemia: a model of atherosclerosis. Histol Histopathol. 1998; 13: 797-817)。9ヶ月間40mg/kg/日の割合でプラバスタチンの投与の後、それは病変の発生の53〜80%の減少を示す。同様に、Maeso等は、アトルバスタチン2.5mg/kg/日で処理されたニュージーランド白色ウサギにおける病変のサイズの減少を示す(Maeso R, Aragoncillo P et al. Effect of Atorvastatin on endothelium-dependant constrictor factors in dyslipidemic rabbits. Gen Pharma. 2000; 34: 263-272)。Boeger(Boeger RH, Bode-Boeger SM, Brandes RP, Phivthong-ngam L, Boehme M, Nafe R, et al. Dietary L-Arginine reduces the progression of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits. Circulation 1997; 96: 1282-1290)も、ロバスタチンがニュージーランド白色ウサギにおけるプラーク進行を遅くすることを示した。
【0090】
さらに、アルギニングループは、1.3の係数だけ対照より小さい病変表面を有し、そしてスタチン/アルギニン処理は、対照グループでの13.7%と比較して8.8%病変を有する最も小さい病変表面を示す。
【0091】
さらに、総病変表面とアルギニン濃度との有意な逆相関がプロトコール全体にわたり見出される。この相関はオルニチンでも見出される。
【0092】
最後に、微視的レベルでは、スタチン/アルギニングループでは、病変は他のグループの場合より厚さが少ないと思われる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、対照グループ(第1ヒストグラム)、アルギニングループ(第2ヒストグラム)、スタチングループ(第3ヒストグラム)およびスタチン+アルギニングループ(第4ヒストグラム)について、動物の到着から、次いで処置の開始(T0)から処置の終わりまで(週T1〜T8)、時間(x軸)の関数として動物の重量(キログラムで、y軸)の増加を表す。
【図2】図2は、対照グループ(第1ヒストグラム)、アルギニングループ(第2ヒストグラム)、スタチングループ(第3ヒストグラム)およびスタチン+アルギニングループ(第4ヒストグラム)について、処置の開始(T0)から処置の終わりまで(週T1〜T8)、時間(x軸)の関数として動物の平均食餌摂取(グラム/日、y軸)を表す。
【図3】図3は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均コレステロール血症(average cholesterolaemia)(ミリモル/l、y軸)を表す。
【図4】図4は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均高トリグリセリド血症(triglyceridaemia)(ミリモル/l、y軸)を表す。
【図5】図5は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均血漿HDL濃度(ミリモル/l、y軸)を表す。
【図6】図6は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、フリードバルトの式に従って計算された平均血漿LDL濃度(ミリモル/l、y軸)を表す。
【図7】図7は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均血漿アルギニン濃度(μモル/l、y軸)を表す。
【図8】図8は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均血漿オルニチン濃度(μモル/l、y軸)を表す。
【図9】図9は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、血漿シトルリン濃度(μモル/l、y軸)を表す。
【図10】図10は、殺した時点(T8)で異なるグループ(x軸)における病変の表面積の百分率(y軸)を表す。
【図11】図11は、殺した時点(T8)で異なるグループ(x軸)における大動脈の遠位レベルにおける病変の表面積の百分率(y軸)を表す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にアテローム性動脈硬化症と戦うという枠内での新規な医薬組成物およびその使用に関する。
【0002】
アテローム性動脈硬化症は、20%より高い死亡を伴う、工業化国における死亡率の第1の原因である(Murray JL, Lopez AD. Mortality by cause for eight regions of the world: global burden of disease study. Lancet 1997; 349:1269-76)。WHO(1954)によれば、アテローム性動脈硬化症は、アテローム性のプラークの形成、即ち、脂質、複合炭水化物、血液および血液産物、繊維組織および石灰質の付着物の局所的蓄積を含む大動脈および中等級動脈の内膜に対する変化の可変的組合せであり;すべて媒体の変性により伴われる。この病理は、それ自体数年のサブ・クリニカルな進展の後にのみ現れる。従って、その予防は、その処置よりも最高に重要である。
【0003】
プラークの形成は、一連の5つの段階である(Tedgui A, Mallat Z. Formation de la plaque d'atherosclerosis. Rev Prat 1999; 49:2081-2086):
−内膜におけるLDL(低密度リポタンパク質)の蓄積、
内皮細胞、平滑筋細胞(SMCs)またはマクロファージとの接触による壁におけるLDL酸化(LDLox)、
−酸化されたLDLsにより引き起こされるVCAM1またはICAM1などの接着分子の誘導による循環している単球の動員、
−スカベンジャー受容体によるマクロファージによるLDLox捕捉;従ってマクロファージにおいてコレステロールが蓄積する、
−平滑筋細胞と細胞外マトリックスからのタンパク質により構成される安定化繊維筋性キャップ(stabilizing fibromuscular cap)の形成。
【0004】
植物および動物タンパク質中に存在する塩基性アミノ酸、L−アルギニンは、組織タンパク質の合成に必須である。異なる動物の研究で、食餌にL−アルギニンを補充すると(飲料水中2%、血漿アルギニン濃度を倍増することを可能とする用量)、L−アルギニンは抗アテローム効果を有する傾向があると思われる。この処理は、血管反応性に対する効果も有すると思われる。Boeger等(Boeger RH, Bode-Boeger SM, Brandes RP, Phivthong-ngam L, Boehme M, Nafe R, et al. Dietary L-Arginine reduces the progression of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits. Circulation 1997; 96: 1282-1290)、およびBehr-Roussel 等 (Behr-Roussel D, Rupin A, Simonet S, Bonhomme E, Coumailleau S, Cordi A, et al. Effect of chronic treatment with the inducible nitric oxide synthase inhibitor N-iminoethyl-L-lysine or with L-arginine on progression of coronary and aortic atherosclerosis in hypercholesterolemic rabbits. Circulation 2000; 102: 1033-1038)は12〜16週間にわたる強化された食餌によるアテローム性プラーク面積の安定化を証明する。
【0005】
スタチンは、強力なコレステロール合成阻害剤である。それらの主要な適用は、心臓虚血発作の一次または二次予防における血漿LDL−コレステロールの減少である(Vaughan CJ, Murphy MB, Buckley BM. Statins do more than just lower cholesterol. Lancet 1996; 348: 1079-1082)。
【0006】
スタチンは、酵素の活性部位のための基質HMG−CoAとの可逆的競合によりHMG−CoAレダクターゼを阻害する。従って、それらはメバロナートおよびコレステロールを含むその誘導体の合成の減少をもたらす。従って、スタチンはアテローム性動脈硬化症の処置に適用される。
【0007】
しかしながら、現在では、上記した処置のどれもアテローム性動脈硬化症を完全に予防および/または処置することを可能としない。
【0008】
従って、本発明の目的は、アテローム性動脈硬化症の予防および/または処置のためのより有効な方法を提供することである。
【0009】
本発明は、特に、アテローム性動脈硬化症の予防および/または処置の枠内でスタチンおよびL−アルギニンの組合せの予想外の相乗効果の証明から生じる。
【0010】
従って、本発明は、アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の予防または処置を目的とする医薬の製造のための、
・下記式(I):
【化7】
(式中、Rは−H、
【化8】
を表す)
の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、と組み合わせた、
・ 少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩
の使用に関する。
RがHを表すとき、式(I)の化合物はオルニチンに相当する。
Rが
【化9】
を表すとき、式(I)の化合物はアルギニンに相当する。
Rが
【化10】
を表すとき、式(I)の化合物はシトルリンに相当する。
【0011】
これらの3つのアミノ酸は、生物における共通の代謝を有する。
【0012】
高血圧、糖尿病および神経変性疾患、特にアルツハイマー病は、本発明に従う式(I)の化合物とスタチンとの相乗的組合せ、特にアルギニン−スタチン相乗的組合せにより補償されうる内皮機能不全に関連した血管成分を有する。
【0013】
表現「組み合わせて、組み合わせた、組合せにおける、(in combination)」は、スタチンと式(I)の化合物が両方共本発明に従う医薬中に独立に存在しており、その場合にそれらは例えば塩を形成するための静電気的相互作用などの弱い結合または共有結合などの強い結合のいずれかによって相互に連結されていないことを意味する。
【0014】
本明細書で意味する用語「スタチン」は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤のクラスに属する化合物を意味する。特に、用語「スタチン」は、ペプスタチンに起因しそしてレニン阻害性を有するアミノ酸誘導体に相当しない。
【0015】
さらに有利には、一般式(I)の化合物、特にアルギニンは、アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の予防または処置を目的とした医薬の製造の枠内でスタチンの効果を増加させるために佐剤として使用される。
【0016】
本発明の好ましい態様に従えば、スタチンは下記の群:
アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、およびシンバスタチンを含む群から選ばれる。
【化11】
【0017】
このリストは、限定するものではなく、当業者に知られているすべての他のスタチンも本発明に従って使用することができる。
【0018】
本発明の特に好ましい態様に従えば、スタチンはアトルバスタチンである。
【0019】
本発明の他の好ましい態様に従えば、式(I)の化合物はL−異性体に相当する。
【0020】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、Rは
【化12】
を表し、そうすると式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する。
【0021】
本発明は、さらに詳しくは、約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当な量のスタチン、特にアトルバスタチンの上記した使用に関する。
【0022】
本発明は、さらに詳しくは、約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当な量の式(I)の化合物、特にL−アルギニンの上記した使用にも関する。
【0023】
有利には、5g/日未満のL−アルギニンの用量は特に子供のために適当である。
【0024】
本発明は、極めて特定的には、少なくとも約10g/日の用量を個体に投与するのに適当な量のL−アルギニンの上記した使用にも関する。
【0025】
特定の態様では、本発明は、約0.15g/kg/日の用量、即ち問題の個体の体重kg当たりL−アルギニン0.15g/日の用量を個体に投与するために適当な量のL−アルギニンの上記した使用に関する。
【0026】
上記した使用の他の特定の態様に従えば、この医薬は、スタチン約5mg〜約80mgおよびL−アルギニン約5g〜約30g、特に約10gの単一用量を個体に投与するめに適当である。
【0027】
本発明は、アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の処置の枠内で同時的使用または別々の使用または所定の時間に及ぶ使用のための組合せプロダクトとしての、
・少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、および
・少なくとも1種の下記式(I):
【化13】
(式中、Rは、−H、
【化14】
を表す)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、
を含有するプロダクトにも関する。
【0028】
表現「組合せプロダクト」は、スタチンと式(I)の化合物が両方共本発明に従うプロダクト中に独立に存在しており、その場合にそれらは例えば塩を形成するための静電気的相互作用などの弱い結合または共有結合などの強い結合のいずれかによって相互に連結されていないことを意味する。
【0029】
本発明の好ましい態様に従えば、スタチンは、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、およびシンバスタチンを含む群から選ばれる。
【0030】
特に好ましい態様に従えば、スタチンはアトルバスタチンである。
【0031】
本発明の他の好ましい態様に従えば、式(I)の化合物は、L−異性体に相当する。
【0032】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、Rは
【化15】
を表し、その場合に式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する。
【0033】
本発明の他の特に好ましい態様に従えば、該プロダクトは、スタチン、特にアトルバスタチン約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当である。
【0034】
本発明の他の特に好ましい態様に従えば、該プロダクトは、式(I)の化合物、特にL−アルギニン 約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当である。
【0035】
有利には、5g/日未満のL−アルギニンの用量は子供のために特に適当である。
【0036】
本発明の他の特に好ましい態様に従えば、該プロダクトは、少なくとも約10g/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当である。
【0037】
特定の態様では、該プロダクトは、約0.15g/kg/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当である。
【0038】
上記したプロダクトの他の特定の態様に従えば、該プロダクトは、スタチン約5mg〜約80mgおよびL−アルギニン約5g〜約30g、特に約10gの単一用量を個体に投与するために適当である。
【0039】
本発明は、有効成分として、
・少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、および
・下記式(I):
【化16】
(式中、Rは−H、
【化17】
を表す)
の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、
薬学的に許容され得るビヒクルと組み合わせて含む医薬組成物にも関する。
【0040】
Rが−Hを表すとき、式(I)の化合物は、オルニチンに相当する。
【0041】
Rが
【化18】
を表すとき、式(I)の化合物は、アルギニンに相当する。
【0042】
Rが
【化19】
を表すとき、式(I)の化合物は、シトルリンに相当する。
これらの3つのアミノ酸は生物において共通の代謝を有する。
【0043】
本明細書で意味するスタチンおよび式(I)の化合物は、両方共本発明に従う医薬組成物中に独立に存在し、その場合にそれらは例えば塩を形成するための静電気的相互作用などの弱い結合または共有結合などの強い結合のいずれかによって相互に連結されていない。
【0044】
本発明の好ましい態様に従えば、スタチンは、下記の群:
アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、およびシンバスタチンを含む群から選ばれる。
【0045】
このリストは限定するものではなく、当業者に知られているすべてのスタチンも本発明に従って使用することができる。
【0046】
本発明の特に好ましい態様に従えば、スタチンはアトルバスタチンである。
【0047】
本発明の他の好ましい態様に従えば、式(I)の化合物はL−異性体に相当する。
【0048】
生物において見出される天然のアミノ酸は、本質的にL型である。
【0049】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、Rは
【化20】
を表し、そうすると式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する。
【0050】
本発明の他の好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、スタチン、特にアトルバスタチン約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当である。
【0051】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、式(I)の化合物、特にL−アルギニン約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当である。
【0052】
有利には、5g/日未満のL−アルギニンの用量は、特に子供のために適当である。
【0053】
特に好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、少なくとも約10g/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当である。
【0054】
特定の態様では、上記した医薬組成物は、約0.15g/kg/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当である。
【0055】
上記した医薬組成物の他の特定の態様に従えば、医薬組成物は、スタチン約5mg〜約80mgおよびL−アルギニン約5g〜約30g、特に約10gの単一用量を個体に投与するために適当である。
【0056】
本発明の他の好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、経口経路による投与のために適当である。
【0057】
本発明のなお他の好ましい態様に従えば、本発明に従う医薬組成物は、それが、希釈されるべき散剤、丸剤、薬袋剤(sachets)、錠剤、カプセル剤の形態でまたは任意の他の許容され得るガレヌス剤形(galenic form)において与えられることを特徴とする。
【0058】
実施例
材料および方法
1.動物および実験プロトコール
遺伝的LDL−受容体(LDL−R)欠失により高脂血症であり、ホモ接合体でありそして6週齢の24匹のWatanabeウサギ(Centre de Production Animale, Olivet, France)を使用する。各動物を個々の檻に入れそして200g〜250g/日の食餌割当量を取らせる。7日間の動物ハウスへの順応の後、6匹のウサギの4つのグループを形成する:
・対照グループは、タンパク質16%、脂質3.2%および炭水化物49.3%を含有する通常のウサギ食餌(EXT C15, Dietex, St Gratien, France)を取る。
・第2グループ、いわゆる「アルギニン」グループのウサギは、L−アルギニンで強化された食餌を取って、このアミノ酸の血漿濃度を倍増する。L−アルギニン(Sigma, St Quentin Fallavier, France)を15g/kg食餌の割合で食餌と混合して、アルギニン1g/kg生体重量/日の摂取を生じる。
・第3グループ、いわゆる「スタチン」グループは2.5mg/kg/日の割合で飲料水中にスタチン(Atorvastatin, Tabor(登録商標)10mg、Godeche-Pfizer, Germany)を有する食餌を取る(Maeso R, Aragoncillo P et al. Effect of Atorvastatin on endothelium-dependant constrictor factors in dyslipidemic rabbits. Gen Pharma. 2000;34:263-272)。
・そして最後に第4グループ、いわゆる「スタチン/アルギニングループ」は、アルギニンで強化された食餌を取りそしてやはり2.5mg/kg/日のアトルバスタチンによる処理を受ける。
【0059】
強化された食餌中のL−アルギニンの摂取は、ヒトにおける約0.15g/kg/日のL−アルギニン摂取に相当するようなものである。
【0060】
食物摂取を毎日測定しそして動物を1週間に1回体重測定する。血漿サンプルを耳縁静脈から15日毎に採取する。ヘパリン管に集めた血液を遠心する(4℃、2000g、15分)。血漿の一部をスルホサリチル酸の溶液(30%)により脱タンパクし、次いでアミノ酸のアッセイの目的でアリクォート画分に分ける。血漿の残りを約200μlのいくつかの画分にアリクォートとしそして−80℃で保存する。
【0061】
8週間の後に、血清のサンプリング(約1ml)を行い、次いで動物をヘパリンを加えたペントバルビタールの注射により麻酔しそして最後に殺す。
【0062】
全体の研究を動物実験に関する最近の規則に従って行う。
【0063】
2.生物学的分析
脂質プロフィル、即ち、コレステロール、トリグリセリド、HDL(高密度リポタンパク質)およびLDL(低密度リポタンパク質)コレステロールを通常の方法によりHitachi 911で決定する。コレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼを使用し、次いでペルオキシダーゼとの反応による酵素比色試験に従ってコレステロールをアッセイする。ペルオキシダーゼは過酸化水素と反応しそして赤色誘導体を放出し、この染色強度(550nMと700nM間で測定する)はコレステロール濃度に直接比例する。トリグリセリドアッセイも、グリセロールを放出するリパーゼおよび、過酸化水素と反応しそして赤色化合物を形成するペルオキシダーゼを使用するこの原理に基づいている。HDLコレステロールを2段階の酵素比色試験によりアッセイする。第1段階は硫酸デキストランによって異なる脂質画分を選ぶ。第2段階は、コレステロールアッセイと同様であり、ポリエチレングリコールにより修飾されたコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼ、ならびに青紫色誘導体を放出するペルオキシダーゼを使用する。結果をミリモル/lで表す。すべてのこれらのアッセイに必要なキットは、RANDOX(Montpellier, France)により供給される。Friedewaldの式を使用して総コレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセリドからLDLsを計算する(Friedewald et al. (1972) Clin. Chem. 18: 499-502)。
【0064】
血漿アルギニン、オルニチンおよびシトルリン濃度をJEOL(Tokyo, Japan)アミノ酸分析機で決定する。アミノ酸をカチオン交換クロマトグラフィーにより分離する。カラムを去ると、それらはニンヒドリン染色反応により展開される。得られる反応を、570および440nmでの光度測定法により定量する。結果をμモル/lで示す。
【0065】
3.形態学的研究および組織学的研究
殺した日に、麻酔の後、できるだけ短時間で動物を頚胸領域の全長に沿って切開する。大動脈をできるだけ浅く切開する。曲がった鋏を使用して、大動脈を、大動脈弓から脊柱に続く腸骨分岐(iliac bifurcation)のレベルまで除去する。大動脈を最初に生理学的血清中で清浄しそして脂肪細胞をその外膜から除去する。それを2%パラホルムアルデヒド−2%グルタルアルデヒド混合物中で20分間固定し、次いでその長さに沿って切開する。次いでそれを再び同じ固定剤中に24時間浸漬し、その後大動脈を70%エタノール中ですすぎ、次いでSoudanIVで15分間染色する。それをもう一度80%エタノール中で20分間すすぎ次いで流水下に1時間すすぐ(22)。次いで大動脈をNikon 995デジタルカメラで平坦写真撮影する。病変の表面を決定することを可能とする面積測定法ソフトウエア(Scion Image)によって像を分析する。最後に、大動脈を微視的研究の目的で同じ固定剤中で固定する。
【0066】
光学顕微鏡法のために、大動脈を4つのセグメントに切断する:
−大動脈弓の開始部のセグメントおよび大動脈弓の末端部のセグメント、
−大動脈の中間部のセグメントおよび大動脈の末端部のセグメント。
【0067】
隣接断片を電子顕微鏡法のためにサンプリングする。
【0068】
サンプルを100%エタノールまでエタノール中で進行的に脱水し、次いでパラフィンで処理する。このようにしてパラフィンを含浸させた切片は、横断面を有することを可能とする配向した封入(oriented inclusion)に従って封入される(included)。5μm切片を作成し、これをスライド上に張り付け、次いでHES(ヘマラム(haemalum)/エリスロシン/サフロン)で染色する。
【0069】
4.統計的解析
StatViewソフトウエア、バージョン5.0をデータの統計的解析のために使用する。すべての値は、平均±SEMとして与えられる。グループの比較を、クラスカル−ウオリスの検定により行う。この検定は、順位付け係数(ranking factor)による分散分析のノンパラメトリックバージョンである。2つのグループ間の比較をマン−ホイットニーの検定により行う。この検定は、独立シリーズに関するt検定のノンパラメトリックバージョンである。p≦0.05についての有意な値を考える。量的変数間の相関の有意性をスピアマン検定により評価する。
【0070】
結果
8週間にわたり処理を行った(処理の開始時のT0からT8まで)。
【0071】
1. 動物および一般的パラメータ
1.1動物の監視:体重および食餌摂取
実験期間中、4つのグループの動物が同じ成長曲線を有する(図1)。動物ハウスに到着時には、対照グループおよびアルギニングループの動物はより小さくそしてスタチングループおよびスタチン/アルギニングループからのこの差は、処理の開始時(T0)とは明瞭性がより少なくなる。
【0072】
平均食餌摂取(図2)は期間T0〜T4間に増加し、次いでT8まで一定(regular)である傾向がある。T5の後のスタチングループの食餌摂取の減少は、2匹の病気の動物の存在に関連している。さらに、アルギニングループの2匹の動物は、プロトコールが終わる前に死亡しそして研究には含ませなかった。
【0073】
体重および毎日の食餌摂取の測定は、グループがなんであれ、これらのパラメータに関して動物の均等性を反映する。10週齢(T4)で、それらの体重は1.9〜2.1kg間に含まれ、これは文献に見られるデータに相当する(Murakami S, Kondo Y, Sakurai T, Kitajima H, Nagate T. Taurine suppresses development of atherosclerosis in Watanabe heritable hyperlipidemic (WHHL) rabbits. Atherosclerosis. 2002; 163: 79-87)。食餌摂取は年齢の関数として増加し(例えば対照グループでは97.6g/日から139.5g/日)そしてT3の後相対的に一定のままである。
【0074】
1.2.脂質プロフィル
アトルバスタチンおよびアトルバスタチン+アルギニンによる処理は、血漿コレステロールに対する有利な効果を有する(図3)。血漿コレステロールは処理期間中減少する。この減少は、時間T8で対照に対して2つのループについて有意である。アルギニン食餌はコレステロールに対する効果を持たない。
【0075】
血漿トリグリセリド濃度(図4)は、対照グループおよびアルギニングループにおいて年齢と共に増加する。有意なポジティブな効果は、T8で(対照に対して)アトルバスタチンのみで処理した動物に見られ:トリグリセリド濃度は増加しない。この効果はスタチン/アルギニングループでも観察される(有意ではない)。
【0076】
異なるグループにおけるHDL濃度(図5)は、プロトコール期間中トリグリセリドと同様に進展する。
【0077】
同様に、LDL濃度(図6)は、コレステロールのラインと同じラインに従う。アトルバスタチンによる処理は、アトルバスタチン+アルギニン処理の場合と同様に、この濃度の減少を誘導する。
【0078】
他方、脂質プロフィルは、文献と合致しており:研究の開始時における我々の動物(6週齢)は、20.4ミリモル/l(対照グループ)と25.4ミリモル/l(スタチン/アルギニングループ)の間の高コレステロール血症を有し、21.9±1.5ミリモル/lの平均値を報告しているClubb等の研究と合致している(Clubb FJ, Cerny JL, Deferrari DA, Butler-Aucoin MM, Willerson JT, Buja LM. Development of atherosclerotic plaque with endothelial disruption in Watanabe heritable hyperlipidemic rabbit aortas. Cardiovasc Pathol 2001; 10: 1-11)。他方、Dowell等(Dowell FJ, Hamilton CA, Lindop GB, Reid JL. Development and progression of atherosclerosis in aorta from heterozygous and homozygous WHHL rabbits. Effects of simvastatin treatment. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 1995; 15: 1152-60)は、ヘテロ接合性Watanabeウサギとホモ接合性Watanabeウサギとの比較研究を行い、そしてホモ接合性ウサギを10ミリモル/lより高いレベルのコレステロールを有するものとして定義した。これは実際我々の動物で当てはまる。
【0079】
T0とT8との間で、対照グループおよびアルギニングループにおいて、それぞれ20%および30%の血漿コレステロール濃度の増加が年齢と共に観察されるが(図3)、これに対してスタチンおよびスタチン/アルギニン処理では、この濃度は2つのグループで27%減少する。かくして我々の結果に従えば、アトルバスタチンは、ホモ接合性動物におけるコレステロール低下効果を有する:それはコレステロールの肝臓での合成のレベルでコレステロールを減少させることにより作用することができる。同様な結果が文献でしかし異なるモデルで見出される:ニュージーランド白色ウサギを含む16週間におよぶロバスタチンによる研究(Boeger RH, Bode-Boeger SM, Brandes RP, Phivthong-ngam L, Boehme M, Nafe R, et al. Dietary L-Arginine reduces the progression of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits. Circulation 1997; 96: 1282-1290)は、コレステロールの32%減少を示す。さらに、16週にわたりWatanabeウサギを使用しそしてピタバスタチンを使用する最近の研究(Suzuki H, Kobayashi H, Sato F, Yonemitsu Y, Nakashima Y, Sueishi K. Plaque-Stabilizing Effect of Pitavastatin in Watanabe Heritable Hyperlipidemic(WHHL) Rabbits. J Atheroscler Thromb. 2003; 10: 109-16)は、血漿コレステロールの28.6%減少を示す。コレステロール血症の減少は、与えられた結果(スタチングループで27.1%減少およびスタチン/アルギニングループで24.5%)により示されるとおりLDL画分に主として関係しており、データはSuzuki et alによる研究でも見出される。
【0080】
トリグリセリドに関して、対照グループおよびアルギニングループで同じプロフィルが観察される:トリグリセリドはプロトコール期間中(T0とT8の間)半分より多く増加する。対照的に、スタチンで処理された動物(スタチングループおよびスタチン/アルギニングループ)は、T0とT8間で実質的に一定の濃度を有し、これは高トリグリセリド血症に対するアトルバスタチンのポジティブな効果を示唆する。
【0081】
アルギニン単独は、この脂質プロフィルに対して認めることができる効果を有しないようであり、これは多数の研究と合致している(Boeger RH, Bode-Boeger SM, Brandes RP, Phivthong-ngam L, Boehme M, Nafe R, et al. Dietary L-Arginine reduces the progression of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits. Circulation 1997; 96: 1282-1290; Brandes RP, Brandes S, Boeger RH, Bode-Boeger SM, Mugge A. L-Arginine supplementation in hypercholesterolemic rabbits normalizes meukocyte adhesion to non-endothelial matrix. Life Sci 2000; 66: 1519-1524; Singer AH, Tsao PS, Wang BY, Bloch DA, Cooke JP. Discordant effects of dietary L-arginine on vascular structure and reactivity in hypercholesterolemic rabbits. J Cardiovasc Pharmacol 1995; 25: 710-716)。
【0082】
1.3 アルギニン、オルニチンおよびシトルリンの濃度
血漿アルギニン濃度(図7)は、対照グループおよびスタチングループで同じである。該濃度はT4でアルギニングループにおいて倍増するが(対照に対して有意)、T8では低下する。スタチン/アルギニングループにおけるアルギニン濃度の増加は、規則的であるが、アルギニングループで観察される増加よりははるかに低い。
【0083】
オルニチンプロフィル(図8)は、アルギニンのプロフィルと同様である。
【0084】
スタチン/アルギニングループでの血漿シトルリン濃度(図9)は多かれ少なかれアルギニン濃度に追従する。
【0085】
一般に、L−アルギニン濃度(このパラメータは、時間T0、T2、T4、T6およびT8でアッセイされたが、データは示されていない)は処理されたグループ、即ち、アルギニングループおよびスタチン/アルギニングループにおいて倍増した。
【0086】
3.動脈病変の形態学的および組織学的研究
3.1.大動脈の巨視的研究
面積測定法による病変の表面積の評価(図10)は、該表面積がアルギニン単独ではより小さくそしてアルギニン/スタチンでも(対照に対して)有意により小さいことを示す。他方、対照グループとスタチン単独で処理されたグループとでは差は観察されない。したがって、驚くべきことに、スタチン/アルギニン組合せは病変の表面の減少に対する相乗的効果を示す。
【0087】
大動脈の遠位半部に関心が限定されるならば、結果は非常に有意であり(図11):アトルバスタチン/アルギニン処理では、病変の表面積は有意に減少する。アトルバスタチンおよびアルギニンの投与の組合せは、アテローム性動脈硬化症病変の減少に対する予想外の相乗効果を示す。何故ならば、アトルバスタチン単独およびアルギニン単独による処理は効果を示さないからである。
【0088】
3.2 動脈壁の微視的研究
スライドの観察は、スタチングループと比較してスタチン/アルギニングループの病変のより少ない厚さを示す。より大きい病変は、2つの最初の切片で(大動脈弓の開始部および末端部で)見いだされ:最後の2つの切片(大動脈の中央部および末端部)で、病変は頻度がより低い。それらの組成(composition)に関しては、病変の大部分は細胞性(cellular)であるよりは繊維性である(泡状のそしていくらかの多核マクロファージを含む)。グループ間で病変の組成に関して特定の傾向はない。
【0089】
巨視的レベルでは、病変表面は、対照グループに対してスタチングループにおいて変わらないが、これに対して多数の研究、特にKroon 等の研究は反対の意見である(Aliev G, Burnstock G. Watanabe rabbits with heritable hypercholesterolaemia: a model of atherosclerosis. Histol Histopathol. 1998; 13: 797-817)。9ヶ月間40mg/kg/日の割合でプラバスタチンの投与の後、それは病変の発生の53〜80%の減少を示す。同様に、Maeso等は、アトルバスタチン2.5mg/kg/日で処理されたニュージーランド白色ウサギにおける病変のサイズの減少を示す(Maeso R, Aragoncillo P et al. Effect of Atorvastatin on endothelium-dependant constrictor factors in dyslipidemic rabbits. Gen Pharma. 2000; 34: 263-272)。Boeger(Boeger RH, Bode-Boeger SM, Brandes RP, Phivthong-ngam L, Boehme M, Nafe R, et al. Dietary L-Arginine reduces the progression of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits. Circulation 1997; 96: 1282-1290)も、ロバスタチンがニュージーランド白色ウサギにおけるプラーク進行を遅くすることを示した。
【0090】
さらに、アルギニングループは、1.3の係数だけ対照より小さい病変表面を有し、そしてスタチン/アルギニン処理は、対照グループでの13.7%と比較して8.8%病変を有する最も小さい病変表面を示す。
【0091】
さらに、総病変表面とアルギニン濃度との有意な逆相関がプロトコール全体にわたり見出される。この相関はオルニチンでも見出される。
【0092】
最後に、微視的レベルでは、スタチン/アルギニングループでは、病変は他のグループの場合より厚さが少ないと思われる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、対照グループ(第1ヒストグラム)、アルギニングループ(第2ヒストグラム)、スタチングループ(第3ヒストグラム)およびスタチン+アルギニングループ(第4ヒストグラム)について、動物の到着から、次いで処置の開始(T0)から処置の終わりまで(週T1〜T8)、時間(x軸)の関数として動物の重量(キログラムで、y軸)の増加を表す。
【図2】図2は、対照グループ(第1ヒストグラム)、アルギニングループ(第2ヒストグラム)、スタチングループ(第3ヒストグラム)およびスタチン+アルギニングループ(第4ヒストグラム)について、処置の開始(T0)から処置の終わりまで(週T1〜T8)、時間(x軸)の関数として動物の平均食餌摂取(グラム/日、y軸)を表す。
【図3】図3は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均コレステロール血症(average cholesterolaemia)(ミリモル/l、y軸)を表す。
【図4】図4は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均高トリグリセリド血症(triglyceridaemia)(ミリモル/l、y軸)を表す。
【図5】図5は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均血漿HDL濃度(ミリモル/l、y軸)を表す。
【図6】図6は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、フリードバルトの式に従って計算された平均血漿LDL濃度(ミリモル/l、y軸)を表す。
【図7】図7は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均血漿アルギニン濃度(μモル/l、y軸)を表す。
【図8】図8は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、平均血漿オルニチン濃度(μモル/l、y軸)を表す。
【図9】図9は、時間(x軸)T0(第1ヒストグラム)、T4(第2ヒストグラム)、T8(殺す)(第3ヒストグラム)における、対照グループ、アルギニングループ、スタチングループおよびスタチン+アルギニングループについて、血漿シトルリン濃度(μモル/l、y軸)を表す。
【図10】図10は、殺した時点(T8)で異なるグループ(x軸)における病変の表面積の百分率(y軸)を表す。
【図11】図11は、殺した時点(T8)で異なるグループ(x軸)における大動脈の遠位レベルにおける病変の表面積の百分率(y軸)を表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の予防または処置を目的とする医薬の製造のための、
・下記式(I):
【化1】
(式中、Rは−H、
【化2】
を表す)
の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、と組み合わせた、
・ 少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、
の使用。
【請求項2】
スタチンが、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチンおよびシンバスタチンを含む群から選ばれる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
スタチンがアトルバスタチンである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式(I)の化合物がL−異性体に相当する、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
Rが
【化3】
を表し、そうすると式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当な量のスタチン、特にアトルバスタチンの、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当な量の式(I)の化合物、特にL−アルギニンの、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
少なくとも約10g/日の用量を個体に投与するために適当な量のL−アルギニンの、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の処置の枠内で同時的使用または別々の使用または所定の時間に及ぶ使用のための組合せプロダクトとしての、
・少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、および
・少なくとも1種の下記式(I):
【化4】
(式中、Rは、−H、
【化5】
を表す)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、
を含有するプロダクト。
【請求項10】
スタチンが、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、およびシンバスタチンを含む群から選ばれる、請求項9に記載のプロダクト。
【請求項11】
スタチンがアトルバスタチンである、請求項9または10に記載のプロダクト。
【請求項12】
式(I)の化合物がL−異性体に相当する、請求項9〜11のいずれかに記載のプロダクト。
【請求項13】
Rが
【化6】
を表し、その場合に式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する、請求項9〜12のいずれかに記載のプロダクト。
【請求項14】
スタチン、特にアトルバスタチン約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当な、請求項9〜13のいずれかに記載のプロダクト。
【請求項15】
式(I)の化合物、特にL−アルギニン約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当な、請求項9〜14のいずれかに記載のプロダクト。
【請求項16】
少なくとも約10g/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当な、請求項15に記載のプロダクト。
【請求項17】
有効成分として、
・少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、および
・L−アルギニンまたはその薬学的に許容され得る塩、
を含み、スタチン約5mg/日〜約80mg/日およびL−アルギニン約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当な医薬組成物。
【請求項18】
スタチンが、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチンおよびシンバスタチンを含む群から選ばれる、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
スタチンがアトルバスタチンである、請求項17または18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
少なくとも約10g/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当な、請求項17〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項21】
経口経路による投与のために適当な、請求項17〜20のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項22】
希釈されるべき散剤、丸剤、薬袋剤、錠剤、カプセル剤の形態においてまたは任意の他の許容され得るガレヌス剤形において与えられることを特徴とする、請求項17〜21のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項1】
アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の予防または処置を目的とする医薬の製造のための、
・下記式(I):
【化1】
(式中、Rは−H、
【化2】
を表す)
の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、と組み合わせた、
・ 少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、
の使用。
【請求項2】
スタチンが、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチンおよびシンバスタチンを含む群から選ばれる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
スタチンがアトルバスタチンである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式(I)の化合物がL−異性体に相当する、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
Rが
【化3】
を表し、そうすると式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当な量のスタチン、特にアトルバスタチンの、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当な量の式(I)の化合物、特にL−アルギニンの、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
少なくとも約10g/日の用量を個体に投与するために適当な量のL−アルギニンの、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
アテローム性動脈硬化症、特に一次または二次アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の処置の枠内で同時的使用または別々の使用または所定の時間に及ぶ使用のための組合せプロダクトとしての、
・少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、および
・少なくとも1種の下記式(I):
【化4】
(式中、Rは、−H、
【化5】
を表す)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、
を含有するプロダクト。
【請求項10】
スタチンが、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、およびシンバスタチンを含む群から選ばれる、請求項9に記載のプロダクト。
【請求項11】
スタチンがアトルバスタチンである、請求項9または10に記載のプロダクト。
【請求項12】
式(I)の化合物がL−異性体に相当する、請求項9〜11のいずれかに記載のプロダクト。
【請求項13】
Rが
【化6】
を表し、その場合に式(I)の化合物は、アルギニン、特にL−アルギニンに相当する、請求項9〜12のいずれかに記載のプロダクト。
【請求項14】
スタチン、特にアトルバスタチン約5mg/日〜約80mg/日の用量を個体に投与するために適当な、請求項9〜13のいずれかに記載のプロダクト。
【請求項15】
式(I)の化合物、特にL−アルギニン約1g/日〜約30g/日、特に約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当な、請求項9〜14のいずれかに記載のプロダクト。
【請求項16】
少なくとも約10g/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当な、請求項15に記載のプロダクト。
【請求項17】
有効成分として、
・少なくとも1種のスタチンまたはその薬学的に許容され得る塩、および
・L−アルギニンまたはその薬学的に許容され得る塩、
を含み、スタチン約5mg/日〜約80mg/日およびL−アルギニン約5g/日〜約30g/日の用量を個体に投与するために適当な医薬組成物。
【請求項18】
スタチンが、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチンおよびシンバスタチンを含む群から選ばれる、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
スタチンがアトルバスタチンである、請求項17または18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
少なくとも約10g/日のL−アルギニンの用量を個体に投与するために適当な、請求項17〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項21】
経口経路による投与のために適当な、請求項17〜20のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項22】
希釈されるべき散剤、丸剤、薬袋剤、錠剤、カプセル剤の形態においてまたは任意の他の許容され得るガレヌス剤形において与えられることを特徴とする、請求項17〜21のいずれかに記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−534731(P2007−534731A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510084(P2007−510084)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001083
【国際公開番号】WO2005/115371
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(503400455)ユニベルシテ・ルネ・デカルト・パリ 5 (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001083
【国際公開番号】WO2005/115371
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(503400455)ユニベルシテ・ルネ・デカルト・パリ 5 (6)
【Fターム(参考)】
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