説明

アミド化合物を含む電解質及びそれを備えた電気化学素子

本発明は、アルコキシ基がアミン基に置換された特定構造のアミド化合物;及びイオン化可能なリチウム塩を含む電解質及びそれを備えた電気化学素子を開示する。本発明の電解質は、優れた熱的安定性及び化学的安定性、そして、広い電気化学窓(electrochemical window)を有する。また、十分低い粘度と高いイオン伝導度を示すので、多様な負極材を適用した電気化学素子の電解質として有用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミド化合物を含む電解質及びそれを備えた電気化学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2009年3月4日出願の韓国特許出願第10‐2009‐0018583号、2009年3月4日出願の韓国特許出願第10‐2009‐0018584号、2009年7月14日出願の韓国特許出願第10‐2009‐0064105号、2009年7月20日出願の韓国特許出願第10‐2009‐0065977号、及び2010年3月4日出願の韓国特許出願第10‐2010‐0019514号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書および図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【0003】
最近、多く使用されている電気化学素子、例えばリチウム二次電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシター、エレクトロクロミック表示素子、及び将来実用化に向かって多様な研究が行われている色素増減型太陽電池などには、多種の電解質が使用されており、これらの重要性は日々高まりつつある。
【0004】
特に、リチウム二次電池は、エネルギー密度が高く長寿命であるため、最も注目されている。通常、リチウム二次電池は、炭素材料やリチウム金属合金からなる負極、リチウム金属酸化物からなる正極、及び有機溶媒にリチウム塩を溶解させた電解質を備える。リチウム金属酸化物はリチウムイオンの挿入及び脱離反応によって構造的安全性と容量が決定されるが、これらの容量は充電電位が上昇するほど増加する一方、これに伴ってリチウム金属酸化物は構造的に不安定になる。このような電極構造の不安定性は酸素を発生させ、電池内で過熱を引き起こすだけでなく、電解質と反応して電池が爆発する恐れもある。
【0005】
現在、リチウム二次電池の電解質として広く使用される有機溶媒には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ‐ブチロラクトン(GBL)、N,N‐ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルなどがある。これらの有機溶媒は一般に揮発性と発火性が高いため、これらを採用したリチウム二次電池は安定性、特に、高温安定性に問題がある。
【0006】
このような問題点を解決するために、イミダゾリウム系とアンモニウム系のイオン性液体をリチウム二次電池の電解質として使用する方法が提案された。しかし、このようなイオン性液体は、負極でリチウムイオンより高い電圧で還元されるか、リチウムイオンとともにイミダゾリウム、アンモニウム陽イオンが負極に挿入され、かえって電池性能が劣化するという問題がある。
【0007】
一方、特許文献1、特許文献2などには、電解質として、アセトアミド、尿素、メチル尿素、カプロラクタム、バレロラクタム、トリフルオロアセトアミド、カーバメート、ホルムアミドなど所定化学式で表されるアミド化合物とリチウム塩との共融混合物が開示されている。このような共融混合物は、比較的広い電気化学窓(electrochemical window)の他、高い熱的安定性及び化学的安定性を示すため、従来の有機溶媒の使用による電解液の蒸発、発火などの問題点が解決される。
【0008】
このように、多様な電解質の開発が加速化されている。特に、多様な電気化学的特性が求められる電気化学素子に適用できるように、より高い高温安定性と低い電気化学窓の下限値を有する化合物を含有した電解質に対する要求が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許登録10‐751203号公報
【特許文献2】韓国特許公開10‐2007‐85575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、高い熱的安定性及び化学的安定性を示す電解質及びそれを備えた電気化学素子を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、上述の目的以外に、より低い素子内抵抗値を持つ化合物を含む電解質及びそれを備えた電気化学素子を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、上述の目的以外に、特により高い高温安定性を有しながらも十分低い粘度及び高いイオン伝導度を示し、広い電気化学窓を有する電解質及びそれを備えた電気化学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の電解質は、下記化学式1で表されるアルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物;及びイオン化可能なリチウム塩を含む。
【化1】

前記化学式1において、
Rは、水素、ハロゲン、及びハロゲンに置換または非置換された炭素数が1ないし20であるアルキル基、アルキルアミン基、アルケニル基、アリール基及びアリル基からなる群より選択された何れか1つであり、
及びRは、相互独立して、水素、ハロゲン、及びハロゲンに置換または非置換された炭素数が1ないし20であるアルキル基、アルキルアミン基、アルケニル基及びアリール基からなる群より選択された何れか1つであるが、RとRのうち少なくとも一つは−O(CH)pCHで表されるアルコキシ基であるか、RとRのうち何れか1つは−O(CH)pCHで表されるアルコキシ基であり他の一つは−(CH−であって、NとXとを連結して環を形成し、pは0ないし8の整数であり、nは1ないし10の整数であり、
Xは、酸素、硫黄、窒素、リン及び珪素からなる群より選択された何れか1つであって、i)Xが酸素または硫黄であればmは1であり、ii)Xが窒素またはリンであればmは2であり、iii)Xが珪素であればmは3であり、iv)XがNと連結されて環を形成する場合には、Xが酸素または硫黄であればmは0であり、Xが窒素またはリンであればmは1であり、Xが珪素であればmは2である。
【0014】
本発明の電解質において、前記アルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物としては、N‐メトキシメチルカーバメート、N‐メトキシエチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルメチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルエチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルプロピルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルブチルカーバメート、N‐メチル‐N‐メトキシエチルメトキシエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチル2,2,2‐トリフルオロエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチル2‐フルオロエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチルペンタフルオロプロピルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチル2‐(ペルフルオロヘキシル)エチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチル6‐(ペルフルオロブチル)ヘキシルカーバメート、N‐メトキシオキサゾリジノンなどが挙げられる。
【0015】
また、本発明の電解質において、前記リチウム塩の陰イオンとしては、F、Cl、Br、I、NO、N(CN)、BF、ClO、PF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CF、CFSO、CFCFSO、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO、CFCO、CHCO、SCN、(CFCFSOなどが挙げられる。
【0016】
本発明の電解質において、前記アルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物とリチウム塩とのモル比が1ないし8:1であることが望ましい。
【0017】
本発明の電解質において、前記電解質の電位窓は0.4ないし5.0Vであることが望ましい。
【0018】
選択的に、本発明の電解質は、カーボネート系化合物をさらに含むことができ、前記カーボネート系化合物は電解質の有機溶媒として通常使われるカーボネートであれば制限なく使用し得る。
【0019】
また、本発明の電解質は、液体電解質、若しくは、ポリマー自体からなる固体状またはゲル状のポリマー電解質であり得る。前記ポリマー電解質は、前記アミド化合物、リチウム塩及び重合反応によってポリマーを形成可能なモノマーを含む前駆体溶液の重合によって形成されたゲル状のポリマー電解質であるか、または、前記電解質がポリマーに含浸された形態のポリマー電解質であり得る。
【0020】
上記のような本発明の電解質は、リチウム二次電池のような電気化学素子に有用に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1(点線)及び実施例5(実線)の電位窓を測定したグラフである。
【図2】コイン型二次電池の概略的な断面図である。
【図3】実施例9及び比較例4による二次電池のインピーダンスを測定したグラフである。
【図4】実施例10及び比較例4による二次電池のインピーダンスを測定したグラフである。
【図5】実施例12及び比較例4による二次電池のインピーダンスを測定したグラフである。
【図6】実施例9、実施例12及び比較例4によって製造された二次電池の高温でのサイクルに対する充放電効率を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について詳しく説明する。これに先立って、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはいけず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。
【0023】
本発明の電解質は、下記化学式1で表されるアルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物;及びイオン化可能なリチウム塩を含む。
【化2】

前記化学式1において、
Rは、水素、ハロゲン、及びハロゲンに置換または非置換された炭素数が1ないし20であるアルキル基、アルキルアミン基、アルケニル基、アリール基及びアリル基からなる群より選択された何れか1つであり、
及びRは、相互独立して、水素、ハロゲン、及びハロゲンに置換または非置換された炭素数が1ないし20であるアルキル基、アルキルアミン基、アルケニル基及びアリール基からなる群より選択された何れか1つであるが、RとRのうち少なくとも一つは−O(CH)pCHで表されるアルコキシ基であるか、RとRのうち何れか1つは−O(CH)pCHで表されるアルコキシ基であり他の一つは−(CH−であって、NとXとを連結して環を形成し、pは0ないし8の整数であり、nは1ないし10の整数であり、
Xは、酸素、硫黄、窒素、リン及び珪素からなる群より選択された何れか1つであって、i)Xが酸素または硫黄であればmは1であり、ii)Xが窒素またはリンであればmは2であり、iii)Xが珪素であればmは3であり、iv)XがNと連結されて環を形成する場合には、Xが酸素または硫黄であればmは0であり、Xが窒素またはリンであればmは1であり、Xが珪素であればmは2である。
【0024】
電気化学素子は、使用中に多くの熱を発するか又は高温に頻繁に露出するため、高温における安定性が非常に重要な要素である。
【0025】
本発明者等は、上述の構造のアルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物を利用してリチウム塩との電解質を形成した。得られた電解質は、従来の非水電解液有機溶媒とは異なって高い熱的安定性及び化学的安定性を示し、望ましくは、前記アミド化合物とリチウム塩とが共融混合物を形成して共融混合物特有の優れた熱的安定性及び化学的安定性を示す。また、本発明のアルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物とリチウム塩含有電解液は、従来提案されたアセトアミド、メチルカーバメートなどのアミド系化合物とリチウム塩との共融混合物より低い粘度及び高い高温安定性を示す。
【0026】
また、上述の化学式1においてRにハロゲンが置換される場合、酸化安定性が改善して電気化学窓(電位窓ともいう)の上限値は増加し下限値は減少して、前記窓がより広くなる。例えば、前記化学式1で表されるアルコキシアルキル基含有アミド化合物とイオン化可能なリチウム塩とを含む電解質の電位窓は0.4ないし5.0Vの値を有し得るが、これに限定されるのではない。
【0027】
これにより、アルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物とリチウム塩含有電解質は、二次電池の高温安定性の向上に寄与するだけでなく、多様な負極材を適用した二次電池の電解質として有用に使用することができる。
【0028】
本発明の電解質において、アルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物としては、N‐メトキシメチルカーバメート、N‐メトキシエチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルメチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルエチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルプロピルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルブチルカーバメート、N‐メチル‐N‐メトキシエチルメトキシエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチル2,2,2‐トリフルオロエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチル2‐フルオロエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチルペンタフルオロプロピルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチル2‐(ペルフルオロヘキシル)エチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチル6‐(ペルフルオロブチル)ヘキシルカーバメート、N‐メトキシオキサゾリジノンなどが挙げられる。
【0029】
また、本発明の電解質において、上述のリチウム塩は、イオン化可能なリチウム塩であってLiで表される。このようなリチウム塩の陰イオンとしては、特に制限されないが、F、Cl、Br、I、NO、N(CN)、BF、ClO、PF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CF、CFSO、CFCFSO、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO、CFCO、CHCO、SCN、(CFCFSOなどが挙げられる。
【0030】
選択的に、本発明の電解質はカーボネート系化合物を含み得る。
【0031】
イオン伝導度は、一般に電解質溶液中で動くイオンの移動度によって決定される。したがって、イオン伝導度に影響を及ぼす因子は電解質溶液の粘度と溶液内のイオン濃度である。溶液の粘度が低いほど溶液内におけるイオンの移動が自由であってイオン伝導度が増加し、溶液内におけるイオンの濃度が高いほど電荷担体であるイオンの量が増加してイオン伝導度が増加する。
【0032】
本発明による電解質の望ましい粘度は特に制限はないが、50cP以下であることが二次電池に適用するのに最も適している。
【0033】
本発明の電解質はカーボネート系化合物をさらに含むことで、電解質の粘度をより低めてイオン伝導度を向上させることができる。このような面から、本発明による電解質の粘度は電解質のイオン伝導度と熱的安定性を考慮すれば4ないし30cPであることがさらに望ましい。同様の面から、電解質の望ましいイオン伝導度は1.0ないし10mS/cmである。
【0034】
上記のような粘度とイオン伝導度を達成するため、カーボネート系化合物は前記アミド化合物及びリチウム塩の全体100重量部を基準にして5ないし200重量部で混合されることが望ましい。
【0035】
本発明の電解質に含まれたカーボネート系化合物は、リチウム二次電池の非水電解液に通常使用されるカーボネート化合物であれば使用し得るが、線状カーボネート系化合物、環状カーボネート化合物をそれぞれ単独で、またはこれらを混合して使用し得る。このようなカーボネート系化合物の非制限的な例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ブチレンカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ‐ブチロラクトンなどが挙げられる。これらのカーボネート系化合物は、周知のように、ハロゲン原子に置換され得ることは言うまでもない。
【0036】
本発明による電解質は、当業界に知られた常法によって製造し得る。例えば、上述したアルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物とリチウム塩とを常温で混合した後、70℃以下の適切な温度で反応させた後、精製することで製造し得る。このとき、電解質に含有されたアルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物とリチウム塩とのモル比は、望ましくは1ないし8:1、さらに望ましくは2ないし6:1である。前記範囲であれば電解質として使用するのに適したイオン伝導度を有することができる。カーボネートをさらに添加する場合には、前記アミド化合物とリチウム塩とを常温で混合した後カーボネート系化合物を添加するか、アミド含有化合物、リチウム塩及びカーボネートを常温で同時に混合した後、70℃以下の適当な温度で反応させればよい。
【0037】
一方、本発明の電解質は、本発明の目的を阻害しない限度内で多様な種類の添加剤や有機溶媒をさらに含み得ることは当業者には自明である。
【0038】
本発明の電解質は、全ての形態にして使用し得るが、例えば液体電解質、若しくは、ポリマー自体からなる固体状またはゲル状のようなポリマー電解質として使用し得る。
【0039】
本発明の電解質がポリマー電解質である場合、上述した電解質及び重合反応によってポリマーを形成し得るモノマーを含有する前駆体溶液の重合によってゲル状のポリマー電解質、または、前記電解質が固体状またはゲル状のポリマーに含浸された形態のポリマー電解質として製造され得る。
【0040】
まず、前駆体溶液の重合反応によって製造されるゲル状のポリマー電解質について説明する。
【0041】
本発明の一態様によるゲル状のポリマー電解質は、(i)上述のアミド化合物及びリチウム塩を含む電解質;及び(ii)重合反応によってポリマーを形成することができるモノマーを含有する前駆体溶液を重合させて形成することができる。選択的に、前記電解質(i)にはカーボネートがさらに含まれ得る。
【0042】
モノマーとしては、重合反応に伴って前記電解質とともにゲルポリマーを形成し得る全ての種類のモノマーを使用し得、その非制限的な例としてはビニルモノマーなどがある。ビニルモノマーは前記電解質と混合してゲルポリマーを形成する場合、重合が非常に簡単であるという長所がある。
【0043】
使用可能なビニルモノマーの非制限的な例としては、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、メタクリロニトニル、メチルスチレン、ビニルエステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、テトラフルオロエチレン、ビニルアセテート、ビニルクロライド、メチルビニルケトン、エチレン、スチレン、パラメトキシスチレン、パラシアノスチレンなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、またはこれらを2種以上混合して使用し得る。
【0044】
前駆体溶液は通常の重合開始剤または光開始剤をさらに含み得る。開始剤は熱や紫外線によって分解されてラジカルを形成し、自由ラジカル重合によってモノマーと反応してゲルポリマー電解質を形成する。なお、開始剤を使用しなくてもモノマーは重合され得る。一般に、自由ラジカル重合は、反応性の強い一時的分子または活性点が形成される開始反応、活性連鎖末端にモノマーが付け加えられて再び鎖の末端に活性点が形成される成長反応、活性点を他の分子に移動させる連鎖移動反応、活性連鎖の中心が破壊される停止反応の過程を経る。
【0045】
使用可能な熱重合開始剤の非制限的な例としては、ベンゾイルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジ‐tert‐ブチルペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、ハイドロゲンペルオキシドなどの有機過酸化物類やヒドロ過酸化物類、2,2‐アゾビス(2‐シアノブタン)、2,2‐アゾビス(メチルブチロニトリル)、AIBN(アゾビス(イソ‐ブチロニトリル))、AMVN(アゾビスジメチル‐バレロニトリル)などのアゾ化合物類、アルキル化銀類のような有機金属などがある。また、紫外線のような光によってラジカルを形成する光開始剤の非制限的な例としては、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン(DEAP)、1‐フェニル‐2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロパノン(HMPP)、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α‐アミノアセトフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、チオキサントン、2‐エチルアントラキノン(2‐ETAQ)などが挙げられる。
【0046】
上述した成分以外に、本発明によるゲルポリマー電解質の前駆体溶液は当業界に知られたその他添加剤などを選択的に含み得る。
【0047】
上述した前駆体溶液を用いて当業界に知られた常法によってゲルポリマー電解質を形成する。このとき、電気化学素子の内部でIn‐Situ重合反応によってゲルポリマー電解質を製造することが望ましい。In‐Situ重合反応は熱または紫外線を照射することで行われる。前駆体溶液内の電解質(i)及びモノマー(ii)の重量比は、0.5〜0.95:0.05〜0.5に調節することが望ましい。ゲルポリマーの重合程度は、反応因子である重合時間、重合温度または光照射量などによって調節できるため、電解質が漏れず、かつ、ポリマーが過重合されて体積が収縮することのない程度に調節する。
【0048】
本発明によるポリマー電解質の他の製造方法として、前記電解質(i)を予め形成した固体状ポリマーまたはゲル状ポリマーに注入し、電解質がポリマーに含浸された形態で製造し得る。
【0049】
使用可能なポリマーの非制限的な例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリビニリデンジフルオライド、ポリビニルクロライド、ポリエチレンオキサイド、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどをそれぞれ単独で、またはこれらを2種以上混合して使用し得る。この方法は上述したIn‐Situ方法に比べ、製造工程を単純化することができる。
【0050】
本発明によるポリマー電解質のさらに他の製造方法としては、前記電解質(i)及びポリマーを溶媒に溶解させた後、溶媒を除去することで、ポリマー電解質を形成する方法がある。このとき、電解質はポリマーマトリクスの内部に含まれた形態になる。
【0051】
使用可能な溶媒には特に制限がなく、非制限的な例としては、トルエン、アセトン、アセトニトリル、THFなどがある。また、溶媒を除去する方法にも特に制限がなく、熱を加えるなどの常法を用いることができる。
【0052】
本発明による電解質は、使用目的に合わせて多様な電気化学的特性が求められる当業界に知られた通常の電気化学素子に適用することができる。
【0053】
前記電気化学素子の非制限的な例としては、全種の一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池、エレクトロクロミック素子、電解コンデンサまたはキャパシターなどがあり、その具体例としては、リチウム二次電池、電気二重層キャパシター、色素増減型太陽電池、エレクトロクロミック素子などがある。
【0054】
具体的な例として、本発明の電解質を使用したリチウム二次電池は、熱的安定性が良好である。従って、本発明の電解質を使用したポーチ型リチウム二次電池を4.2Vまで充電した後、90℃で4時間放置しても、その厚さの変化率は10%以下にとどまる。
【0055】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0056】
1. 電解質の製造
実施例1‐(1):N‐メトキシ‐N‐メチルエチルカーバメートの合成
N‐メトキシ‐N‐メチルアミン塩5gを水に溶かした後、低温でNaHCO水溶液でpHを塩基性に調節した後、エチルクロロホルメート5.6gを徐々に滴加する。この後、反応が完了すれば、エチルアセテートで抽出した後蒸留を通じてN‐メトキシ‐N‐メチルエチルカーバメートを得た。
【0057】
実施例1‐(2):電解質の製造
得られたN‐メトキシ‐N‐メチルエチルカーバメート5.8gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させて所望の電解質7.8gを得た。
【0058】
実施例2‐(1):N‐メトキシ‐N‐メチルメチルカーバメートの合成
N‐メトキシ‐N‐メチルアミン塩5gを水に溶かした後、低温でNaHCO水溶液でpHを塩基性に調節した後、メチルクロロホルメート4.8gを徐々に滴加する。この後、反応が完了すれば、エチルアセテートで抽出した後蒸留を通じてN‐メトキシ‐N‐メチルメチルカーバメートを得た。
【0059】
実施例2‐(2):電解質の製造
得られたN‐メトキシ‐N‐メチルメチルカーバメート5.2gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させて所望の電解質7.2gを得た。
【0060】
実施例3
N‐メトキシ‐N‐メチルエチルカーバメート4.1gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させた後、エチルメチルカーボネート1.7gを加えて所望の電解質7.8gを得た。
【0061】
実施例4
N‐メトキシ‐N‐メチルメチルカーバメート3.6gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させた後、エチルメチルカーボネート1.6gを加えて所望の電解質7.2gを得た。
【0062】
実施例5‐(1):N‐メトキシ‐N‐メチル2,2,2‐トリフルオロエチルカーバメートの合成
メトキシメチルアミン塩酸1.44gとトリホスゲン1.75gとをメチレンクロライド溶液に混合し、0℃に冷却した後、トリエチルアミン3.13gを徐々に滴加した。滴加が完了した後、常温に昇温し1時間に亘って撹拌した。反応が完了した後、ろ過してメチレンクロライドを除去した。これにテトラヒドロフラン溶液を添加した後生じた塩を再びろ過し、真空蒸留してN‐メトキシ‐N‐メチルクロロホルメート2gを得た。
【0063】
次いで、テトラヒドロフラン溶液に水素化ナトリウム0.78gを入れ、2,2,2‐トリフルオロエタノール溶液1.7gを徐々に低温で滴加した。滴加が完了した後、2時間に亘って撹拌し、さらに低温で前記得られたクロロホルメート溶液2gを徐々に滴加した。この後、反応が完了すれば、水を若干添加した。次に、テトラヒドロフラン溶液を蒸留した後、メチレンクロライドと水とを使用して抽出した。抽出が完了した後、真空減圧蒸留を通じてN‐メトキシ‐N‐メチル2,2,2‐トリフルオロエチルカーバメートを得た。
【0064】
実施例5‐(2):電解質の製造
得られたN‐メトキシ‐N‐メチル2,2,2‐トリフルオロエチルカーバメート5.8gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させて所望の電解質7.8gを得た。
【0065】
実施例6‐(1):N‐メトキシ‐N‐メチル2‐フルオロエチルカーバメートの合成
テトラヒドロフラン溶液に水素化ナトリウム0.35gを入れ、2‐フルオロエタノール溶液0.5gを徐々に低温で滴加した。滴加が完了した後、2時間に亘って撹拌し、さらに低温で前記実施例1‐(1)で得られたクロロホルメート溶液0.9gを徐々に滴加した。この後、反応が完了すれば、水を若干添加した。次に、テトラヒドロフラン溶液を蒸留した後、メチレンクロライドと水とを使用して抽出した。抽出が完了した後、真空減圧蒸留を通じてN‐メトキシ‐N‐メチル2‐フルオロエチルカーバメートを得た。
【0066】
実施例6‐(2):電解質の製造
得られたN‐メトキシ‐N‐メチル2‐フルオロエチルカーバメート5.2gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させて所望の電解質7.2gを得た。
【0067】
実施例7
N‐メトキシ‐N‐メチル2,2,2‐トリフルオロエチルカーバメート4.5gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させた後、エチルメチルカーボネート1.7gを加えて所望の電解質約8.1gを得た。
【0068】
実施例8
N‐メトキシ‐N‐メチル2‐フルオロエチルカーバメート3.4gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させた後、エチルメチルカーボネート1.6gを加えて所望の電解質約6.8gを得た。
【0069】
比較例1:メチルカーバメート‐LiTFSI共融混合物の合成
精製されたメチルカーバメート4.7gとLiTFSI 6gとを丸底フラスコに入れ、常温で窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させて共融混合物10.7gを得た。
【0070】
比較例2:EMITFSIイオン性液体の合成
精製されたイミダゾリウムクロライド8.3gとLiTFSI 16.4gとを丸底フラスコに入れ、常温で窒素雰囲気下で12時間に亘って徐々に撹拌させて抽出する。これを蒸留水で3回洗浄した後、3日間に亘って真空オーブンで水分を除去してEMITFSI イオン性液体20gを得た。
【0071】
比較例3:N,N‐ジメチルメチルカーバメート‐LiPF 共融混合物の合成
精製されたN,N‐ジメチルメチルカーバメート3.7gとLiPF2gとを丸底フラスコに入れ、常温で窒素雰囲気下で2時間に亘って徐々に撹拌させて共融混合物5.7gを得た。
【0072】
実験例1:電解質の物性評価
上述した実施例及び比較例に従って製造した電解質の物性を評価するために、以下のように実施した。
【0073】
粘度、伝導度及び電位窓の評価
試料としては、実施例1ないし8で製造された電解質、比較例1及び比較例3の共融混合物、及び比較例2のイオン性液体を使用した。このとき使用された電解質及び共融混合物はそれぞれアミド化合物とリチウム塩の比がすべて3:1であった。粘度測定はRS150粘度計を使用して25℃で測定し、伝導度はInolab 740機器を使用して測定した。この結果は下記表1に記載した。
【0074】
また、実施例1と実施例5の電解質の電位窓を図1に示した(点線は実施例1を示し、実線は実施例5を示す)。
【表1】

【0075】
表1を参照すれば、本発明の電解質は、粘度及び/またはイオン伝導度が従来の共融混合物及びイオン性液体より改善したことが確認できる。また、ハロゲン置換基を持つ実施例5〜8の場合には、実施例1〜4より電位窓の上限が増加し、比較例1〜2より電位窓の下限が低くなって、電位窓がより拡大されたことが分かる。
【0076】
2.二次電池の製造
実施例9
(正極の製造)
正極活物質としてLiCoO、導電材として人造黒鉛、バインダーとしてポリビニリデンフルオライドを94:3:3の重量比で混合し、得られた混合物にN‐メチルピロリドンを加えてスラリーを製造した。製造したスラリーをアルミニウムホイルに塗布し、130℃で2時間乾燥して正極を製造した。
【0077】
(負極の製造)
負極活物質である人造黒鉛、導電材、バインダーを94:3:3の重量比で混合し、N‐メチルピロリドンを加えてスラリーを製造した。製造したスラリーを銅ホイルに塗布し、130℃で2時間乾燥して負極を製造した。
【0078】
(二次電池の組立て)
上記のようにして製造した正極及び負極を1cm用意し、その間にセパレーターを介在させた。それに前記実施例1で製造した電解液を注入し、図2のように二次電池を完成した。図2において、部材番号1は正極、2は負極、3はセパレーターと電解質、4はスペーサ、5はコイン型缶容器、6はコイン型缶蓋、7は封止用ゴムを示す。
【0079】
実施例10
前記実施例3で製造した電解液を注入したことを除いては、実施例9と同一の方法で電池を製造した。
【0080】
実施例11
前記実施例5で製造した電解液を注入したことを除いては、実施例9と同一の方法で電池を製造した。
【0081】
実施例12
前記実施例7で製造した電解液を注入したことを除いては、実施例9と同一の方法で電池を製造した。
【0082】
比較例4
電解質としてエチレンカーボネート:エチルメチルカーボネートが1:2の体積比を持つ1M LiPF溶液を使用したことを除いては、実施例9と同一の方法で二次電池を製造した。
【0083】
実験例2:二次電池のインピーダンス測定
実施例9、実施例10、実施例12及び比較例4の電池に対してポテンショスタット(potentiostat)を使用してインピーダンスを測定した。電池を4.2Vまで充電した後、周波数3kHzから100mHzまで低い電圧(10mV)を印加し、結果的な電流応答を測定することで行われた。
【0084】
測定結果を図3ないし図5に示した。図3において、点線は実施例9を示し、実線は比較例4を示す。図4において、点線は実施例10を示し、実線は比較例4を示す。図5において、点線は実施例12を示し、実線は比較例4を示す。
【0085】
実験例3:二次電池の常温性能評価
前記方法に従って製造した二次電池を0.5mAcm−2でそれぞれ常温(25℃)で充放電し、サイクルによる放電容量及び充放電効率を測定した。測定結果は表2のようである。
【表2】

【0086】
表2を参照すれば、本発明の電解質を使用した実施例3の電池は、従来の有機溶媒を使用した比較例3の電池と同等の性能を示すことが分かる。
【0087】
実験例4:二次電池の高温放置実験
実施例5の電解質を2.3g注入して製作した実施例11のポーチ型二次電池、及び対照群として比較例4のポーチ型二次電池を、それぞれ0.5mAcm−2で充電し、90℃で4時間放置して電池の厚さ変化を測定した。実験結果は表3のようである。
【表3】

【0088】
表3を参照すれば、本発明の電解質を使用した実施例11の電池は、従来の電解質を使用した比較例4の電池より優れた高温安定性を示すことが分かる。
【0089】
実験例5:二次電池の高温性能評価
前記方法に従って製造した二次電池を0.5mAcm−2でそれぞれ45℃で充放電し、サイクルによる充放電効率を測定した。
【0090】
通常のカーボネート系溶媒を含む電解質を使用した比較例4の二次電池、及び実施例9と実施例12の二次電池に対する前記測定結果を図6に図示した。
【0091】
図6に示すように、100回目サイクルの後、実施例9と実施例12は初期容量に対比して93%以上の放電容量及び97%の充放電効率を示し、比較例4は68%の放電容量を示した。図6において、点線(…)は実施例9、実線(―)は実施例12、二点鎖線(‐‥‐)は比較例4を示す。これから、本発明のアミド系化合物の電解質は、常温で従来商用化された液体電解質より優れた高温性能を発揮することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明による電解質は、次のような効果を奏する。
【0093】
第一、本発明の電解質は、優れた熱的安定性及び化学的安定性などの特性を示すので、従来の有機溶媒の使用による電解液の蒸発、引火、副反応などの問題点が大幅に改善される。
【0094】
第二、本発明の電解質は、低い粘度及び高い電気伝導度を示し、素子内界面抵抗を低め、酸化安定性を高め、より広い電気化学窓を有することができることから、多様な電気化学的特性が求められる電気化学素子の電解質に有用に適用され得る。
【0095】
第三、本発明の電解質は、より優れた高温安定性を示すので、電気化学素子の高温安定性の向上に寄与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記[化学式1]で表されるアルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物と、及びイオン化可能なリチウム塩を含んでなる、電解質。
【化1】

〔前記化学式1において、
Rは、水素、ハロゲン、及びハロゲンに置換または非置換された炭素数が1ないし20であるアルキル基、アルキルアミン基、アルケニル基、アリール基及びアリル基からなる群より選択された何れか1つであり、
及びRは、相互独立して、水素、ハロゲン、及びハロゲンに置換または非置換された炭素数が1ないし20であるアルキル基、アルキルアミン基、アルケニル基及びアリール基からなる群より選択された何れか1つであるが、RとRのうち少なくとも一つは−O(CH)pCHで表されるアルコキシ基であるか、RとRのうち何れか1つは−O(CH)pCHで表されるアルコキシ基であり他の一つは−(CH−であって、NとXとを連結して環を形成し、pは0ないし8の整数であり、nは1ないし10の整数であり、
Xは、酸素、硫黄、窒素、リン及び珪素からなる群より選択された何れか1つであって、i)Xが酸素または硫黄であればmは1であり、ii)Xが窒素またはリンであればmは2であり、iii)Xが珪素であればmは3であり、iv)XがNと連結されて環を形成する場合には、Xが酸素または硫黄であればmは0であり、Xが窒素またはリンであればmは1であり、Xが珪素であればmは2である。〕
【請求項2】
前記アルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物が、N‐メトキシメチルカーバメート、N‐メトキシエチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルメチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルエチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルプロピルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチルブチルカーバメート、N‐メチル‐N‐メトキシエチルメトキシエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチル2,2,2‐トリフルオロエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチル2‐フルオロエチルカーバメート、N‐メトキシN‐メチルペンタフルオロプロピルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチル2‐(ペルフルオロヘキシル)エチルカーバメート、N‐メトキシ‐N‐メチル6‐(ペルフルオロブチル)ヘキシルカーバメート及びN‐メトキシオキサゾリジノンからなる群より選択された何れか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の電解質。
【請求項3】
前記リチウム塩の陰イオンが、F、Cl、Br、I、NO、N(CN)、BF、ClO、PF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CF、CFSO、CFCFSO、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO、CFCO、CHCO、SCN及び(CFCFSOからなる群より選択された何れか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の電解質。
【請求項4】
前記電解質が、前記アルコキシ基がアミン基に置換されたアミド化合物とリチウム塩とのモル比が1ないし8:1であることを特徴とする、請求項1に記載の電解質。
【請求項5】
前記電解質の電位窓が、0.4ないし5.0Vであることを特徴とする請求項1に記載の電解質。
【請求項6】
前記電解質が、粘度が50cP以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電解質。
【請求項7】
前記電解質が、線状カーボネート、環状カーボネート及びこれらの混合物からなる群より選択された何れか一つであるカーボネート系化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電解質。
【請求項8】
前記カーボネート系化合物が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ブチレンカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N‐メチル‐2‐ピロリドン、エチルメチルカーボネート及びγ‐ブチロラクトンからなる群より選択された何れか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項7に記載の電解質。
【請求項9】
前記カーボネート系化合物の含量が、前記アミド化合物及びリチウム塩の全体重量100重量部に対比して5ないし200重量部であることを特徴とする、請求項7に記載の電解質。
【請求項10】
前記電解質が、粘度が4ないし30cPであることを特徴とする、請求項7に記載の電解質。
【請求項11】
前記電解質が、イオン伝導度が1.0ないし10mS/cmであることを特徴とする、請求項1に記載の電解質。
【請求項12】
前記電解質が、ポリマー電解質であることを特徴とする、請求項1に記載の電解質。
【請求項13】
請求項1に記載の電解質を備えてなる、電気化学素子。
【請求項14】
前記電気化学素子が、リチウム二次電池であることを特徴とする、請求項13に記載の電気化学素子。
【請求項15】
前記リチウム二次電池が、4.2Vまで充電した後90℃で4時間放置した後の厚さ変化率が10%以下であることを特徴とする、請求項14に記載の電気化学素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−504314(P2012−504314A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530007(P2011−530007)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001368
【国際公開番号】WO2010/101429
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】