説明

アンテナ装置および無線通信システム

【課題】2つのアンテナ間での電波の干渉を抑制しつつ、装置の小型化を実現することを可能としたアンテナ装置およびそのアンテナ装置を用いた無線通信システムを提供する。
【解決手段】第2アンテナ8は、通過する信号の位相を反転する位相変換機としての機能を有する。方向性結合器10は、第1アンテナ5から送信される送信信号を、第1給電ライン6を通じて抽出し、その抽出した信号を第2給電ライン9に伝達する。また、方向性結合器10は、第2アンテナ8から送信される送信信号を、第2給電ライン9を通じて抽出し、その抽出した信号を第1給電ライン6に伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのアンテナを有するアンテナ装置およびそのアンテナ装置を用いた無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、2つの無線通信機が近接配置される場合、一方の無線通信機のアンテナから放射された電波が空間伝搬により他方の無線通信機のアンテナに回り込むことがある。このような回り込み波による干渉は、通信品質が劣化するなどの問題に繋がるため、極力抑制することが望ましい。そのため、上記した回り込み波による干渉を抑制するための構成が考えられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された構成によれば、信号カプラを介して一方の無線通信機の送信信号を抽出し、その抽出した信号の振幅および位相を調整し、その調整後の信号を各アンテナ間の結合により、他方の無線通信機の受信信号に加える。なお、抽出した信号の振幅は回り込み波(干渉波)と同等の振幅に調整され、その位相は回り込み波と逆位相になるように調整される。このような構成により、他方の無線通信機の受信信号に混入する干渉波成分が打ち消され、回り込み波による干渉が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−259195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1に記載の構成では、抽出した電波の位相を反転する(180度変更する)ための位相変換機が必要である。そして、上記位相変換機は、ストリップラインを用いて構成されている。このような構成の場合、ストリップラインの長さとしては、電波の波長λの1/2(λ/2)の長さが必要となる。従って、引用文献1記載の構成では、装置の小型化を図ることが難しい。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つのアンテナ間での電波の干渉を抑制しつつ、装置の小型化を実現することを可能としたアンテナ装置およびそのアンテナ装置を用いた無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の手段によれば、誘電体基板、2つのアンテナおよび結合器を備えている。誘電体基板の一方の面には、グランドが形成されている。誘電体基板の他方の面には、2つの給電ラインが形成されている。2つのアンテナのうち一方のアンテナは、2つの給電ラインのうち一方の給電ラインを介して2つの給電点のうち一方の給電点から給電される。2つのアンテナのうち他方のアンテナは、2つの給電ラインのうち他方の給電ラインを介して2つの給電点のうち他方の給電点から給電される。結合器は、2つのアンテナのうち一方のアンテナから送信される送信信号を、その一方のアンテナに給電するための一方の給電ラインを通じて抽出し、他方の給電ラインに伝達する。
【0008】
2つのアンテナのうち一方のアンテナは、2つの給電ラインのうち一方の給電ラインに電気的に接続され、誘電体基板の他方の面上に立設される導体を備えている。すなわち、2つのアンテナのうち一方のアンテナは、通常のモノポール型アンテナである。2つのアンテナのうち他方のアンテナは、第1導体、第2導体、少なくとも2つの容量素子、連結導体および誘導性素子を備えている。第1導体は、2つの給電ラインのうち他方の給電ラインに電気的に接続され、誘電体基板の他方の面上に立設される。第2導体は、グランドに電気的に接続され、誘電体基板の他方の面上に立設される。
【0009】
容量性素子は、第1導体に直列に介在するように設けられる。連結導体は、2つの容量性素子の相互接続点と第2導体とを連結するように設けられる。誘導性素子は、連結導体に直列に介在するように設けられる。このように、2つのアンテナのうち他方のアンテナは、いわゆる梯子型アンテナである。なお、このような梯子型アンテナは、例えば、位相定数が負となるメタマテリアルアンテナにより実現することができる。
【0010】
上記構成の梯子型アンテナを介して放射された電波の位相(放射位相)は、給電された信号の位相に対して逆位相となる(180度異なる)。また、上記構成の梯子型アンテナを介して受信された信号は、放射位相に対して逆位相となる。すなわち、上記構成の梯子型アンテナは、通過する信号の位相を反転する位相変換機としての機能を有する。本手段では、このように2つのアンテナのうちの1つに位相変換機としての機能を持たせることにより、以下のように、各アンテナ間における電波干渉を抑制するようになっている。
【0011】
例えば、給電点から給電された送信信号が梯子型アンテナを介して放射される場合には、次のような動作となる。すなわち、給電点から給電される送信信号は、梯子型アンテナにより位相が反転された上で放射される。梯子型アンテナから放射された電波は、空間伝搬によりモノポール型アンテナに伝達される(回り込む)。モノポール型アンテナを介して受信された信号は、そのアンテナにつながる給電ラインを介して給電点に伝達される。また、結合器の作用によって、梯子型アンテナから送信される送信信号(送信電波)が、そのアンテナにつながる給電ラインを通じて抽出される。そして、その抽出された信号は、モノポール型アンテナにつながる給電ラインを介して上記給電点に伝達される。このとき、上記給電点に伝達される2つの信号、つまり空間伝搬により回り込んだ信号および結合器の作用により伝達された信号の位相は、互いに逆位相となっている。そのため、各信号が互いに相殺される。その結果、梯子型アンテナから放射される電波が空間伝搬によりモノポール型アンテナ側に回り込む場合における干渉波の振幅レベルが低減される。
【0012】
また、例えば、給電点から給電された送信信号がモノポール型アンテナを介して放射される場合には、次のような動作となる。すなわち、モノポール型アンテナから放射された電波は、空間伝搬により梯子型アンテナに伝達される(回り込む)。梯子型アンテナを介して受信された信号は、位相が反転された上で、そのアンテナにつながる給電ラインを介して給電点に伝達される。また、結合器の作用によって、モノポール型アンテナから送信される送信信号(送信電波)が、そのアンテナにつながる給電ラインを通じて抽出される。そして、その抽出された信号は、梯子型アンテナにつながる給電ラインを介して上記給電点に伝達される。このとき、上記給電点に伝達される2つの信号の位相は、互いに逆位相となっている。そのため、各信号が互いに相殺される。その結果、モノポール型アンテナから放射される電波が空間伝搬により梯子型アンテナ側に回り込む場合における干渉波の振幅レベルが低減される。
【0013】
本手段によれば、梯子型アンテナから電波を送信する際のモノポール型アンテナ側における電波の干渉、および、モノポール型アンテナから電波を送信する際の梯子型アンテナ側における電波の干渉のうち、少なくとも一方の電波干渉を抑制することができる。また、本手段によれば、位相変換機を別途設けることなく、2つのアンテナのうちの1つのアンテナに位相変換機としての機能を持たせることにより、上記した作用が得られる。従って、本手段によれば、2つのアンテナ間での電波の干渉を抑制しつつ、装置の小型化を実現できるという効果が得られる。
【0014】
請求項2に記載の手段によれば、結合器は、2つのアンテナのうち他方のアンテナから送信される送信信号を、その他方のアンテナに給電するための他方の給電ラインを通じて抽出して一方の給電ラインに伝達する。このような構成によれば、梯子型アンテナから電波を送信する際のモノポール型アンテナ側における電波の干渉、および、モノポール型アンテナから電波を送信する際の梯子型アンテナ側における電波の干渉をいずれも抑制することができる。
【0015】
請求項3に記載の手段によれば、2つのアンテナは、互いに同一の基板上に形成されている。このように構成すると、2つのアンテナ間の距離が短くなる可能性が高く、互いの送信電波による干渉の問題が顕著になる。しかし、前述した干渉抑制作用により、電波干渉が低減されるため、2つのアンテナ間での電波干渉を抑制しつつ、装置の小型化をさらに図ることができるという効果が得られる。
【0016】
請求項4に記載の手段によれば、誘導性素子は、基板上に形成される導体により構成される。すなわち、誘導性素子は、基板上にストリップラインなどを用いて構成される。そのため、アンテナの小型化、ひいては装置全体の小型化を図ることができる。
【0017】
請求項5に記載の手段によれば、誘導性素子は、メアンダ状のインダクタである。このようにすれば、誘導性素子を基板上に容易に形成することができるという効果が得られる。
【0018】
請求項6に記載の手段によれば、容量性素子は、基板上に形成される導体により構成される。すなわち、容量性素子は、基板上にストリップラインなどを用いて構成される。そのため、アンテナの小型化、ひいては装置全体の小型化を図ることができる。
【0019】
請求項7に記載の手段によれば、容量性素子は、インタディジタルキャパシタである。このようにすれば、容量性素子を基板上に容易に形成することができるという効果が得られる。
【0020】
さて、アンテナを通じて受信される信号や、給電点から給電される信号は、給電ラインなどを通過する際、その位相が変化する可能性がある。それら信号の位相が変化すると、前述した干渉抑制効果が若干低減する可能性がある。このような点を改善するためには、請求項8に記載の手段を採用するとよい。
【0021】
すなわち、請求項8に記載の手段によれば、結合器は、伝達する信号の位相を微調整するための位相調整手段を備えている。一方のアンテナから電波が送信される際、他方のアンテナに給電するための給電点に伝達される2つの信号の位相が互いに逆位相となるように、位相調整手段による微調整を行えば、各信号がうまく相殺されて干渉波の振幅レベルが低減される。このように、本手段によれば、種々の要因による各信号の位相変化を考慮した上で、2つのアンテナ間における電波干渉を抑制することができる。
【0022】
請求項9に記載の手段によれば、結合器は、伝達する信号の振幅を調整するための振幅調整手段を備えている。一方のアンテナから電波が送信される際、他方のアンテナに給電するための給電点に伝達される2つの信号の振幅が互いに同じになるように、振幅調整手段による調整を行えば、各信号がほぼ完全に相殺されて干渉波の振幅レベルが一層低減される。このように、本手段によれば、2つのアンテナ間における電波干渉を一層抑制することができる。
【0023】
請求項10に記載の手段によれば、上記各手段のいずれか一つに記載のアンテナ装置を用いた無線通信システムである。その無線通信システムは、2つの無線通信機を備えている。2つの無線通信機のうち一方の無線通信機は、2つのアンテナのうち一方のアンテナを通じて所定の周波数帯を用いた無線通信を行う。2つの無線通信機のうち他方の無線通信機は、2つのアンテナのうち他方のアンテナを通じて上記所定の周波数帯とは異なる周波数帯を用いた無線通信を行う。このように互いに異なる周波数帯を用いた2つの無線通信機を備えた構成では、一方の送信電波が他方に回り込むことによる通信品質の劣化が懸念される。このような場合であっても、上記した干渉抑制作用により、2つのアンテナ間における電波干渉が抑制されるため、通信品質を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す無線通信システムのブロック構成図
【図2】アンテナ装置の構成を概略的に示す図
【図3】空間伝搬時に生じる位相変化を示す図
【図4】基板上に形成される2つのアンテナの一構成例を示す図
【図5】基板上に形成される2つのアンテナの他の構成例を示す図
【図6】干渉抑制作用による効果を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図8】本発明の第3の実施形態を示す図1相当図
【図9】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図6を参照しながら説明する。
図1は、車両に搭載される無線通信システムの構成を示すブロック図である。図1に示す無線通信システム1は、互いに異なり且つ互いに近い周波数帯を用いた無線通信を行う第1無線通信機2および第2無線通信機3(2つの無線通信機に相当)を備えている。具体的には、第1無線通信機2は、例えば850MHz帯を用い、自車両およびセンタの間においてデータ通信を行うDCM(Data Communication Module)用の無線通信機である。第2無線通信機3は、例えば720MHz帯を用い、自車両および他車両の間においてデータ通信を行う車車間通信(IVC;Inter-Vehicle Communications)用の無線通信機である。
【0026】
第1無線通信機2は、第1送受信機4、第1アンテナ5およびそれらを接続する第1給電ライン6などを備えている。第2無線通信機3は、第2送受信機7、第2アンテナ8およびそれらを接続するための第2給電ライン9などを備えている。図示しないが、第1送受信機4および第2送受信機7は、いずれも、送信部、受信部、送受信を切り替える切替部などを備えている。第1アンテナ5および第2アンテナ8(2つのアンテナに相当)は、いずれも送受信用のアンテナである。第1アンテナ5および第2アンテナ8は、回り込み波が混入する程度に近接配置されている。また、詳細は後述するが、第2アンテナ8は、通過する信号の位相を反転する位相変換機としての機能を有する。
【0027】
第1給電ライン6および第2給電ライン9(2つの給電ラインに相当)間には方向性結合器10が設けられている。方向性結合器10(結合器に相当)は、分配器11a、11b、フィルタ12a、12b、増幅器13a、13b(振幅調整手段に相当)、信号結合器14a、14bなどを備えている。分配器11aは、第1アンテナ5から送信される送信信号の一部を第1給電ライン6から抽出する。フィルタ12aは、分配器11aにより抽出された信号の帯域を制限する。増幅器13aは、フィルタ12aの出力信号を所定のゲインで増幅する。信号結合器14aは、第2アンテナ8を通じて受信される受信信号に対し、増幅器13aの出力信号を加える。分配器11bは、第2アンテナ8から送信される送信信号の一部を第2給電ライン9から抽出する。フィルタ12bは、分配器11bにより抽出された信号の帯域を制限する。増幅器13bは、フィルタ12bの出力信号を所定のゲインで増幅する。信号結合器14bは、第1アンテナ5を通じて受信される受信信号に対し、増幅器13bの出力信号を加える。
【0028】
このような構成により、方向性結合器10は、第1アンテナ5から送信される送信信号を、第1給電ライン6を通じて抽出し、その抽出した信号を第2給電ライン9に伝達する。また、方向性結合器10は、第2アンテナ8から送信される送信信号を、第2給電ライン9を通じて抽出し、その抽出した信号を第1給電ライン6に伝達する。なお、方向性結合器10により第2給電ライン9に伝達される信号の振幅が、第1アンテナ5から空間伝播により第2アンテナ8に回り込む干渉波成分の信号の振幅と同程度になるように、フィルタ12aの各種特性、増幅器13aのゲインなどが設定されている。また、方向性結合器10により第1給電ライン6に伝達される信号の振幅が、第2アンテナ8から空間伝播により第1アンテナ5に回り込む干渉波成分の信号の振幅と同程度になるように、フィルタ12bの各種特性、増幅器13bのゲインなどが設定されている。
【0029】
本実施形態では、第1アンテナ5、第1給電ライン6、第2アンテナ8、第2給電ライン9および方向性結合器10などにより、アンテナ装置15が構成されている。アンテナ装置15は、第2アンテナ8による位相変換機としての機能、方向性結合器10による信号伝達作用などにより、第1アンテナ5および第2アンテナ8の相互間における回り込み波による干渉を抑制することが可能となっている(詳細は後述する)。
【0030】
図2は、アンテナ装置の構成例を示す図である。なお、図2において、一部構成(2つのアンテナなど)については概念的に示している。誘電体基板16は、例えば樹脂、セラミックなどにより矩形板状に形成されている。誘電体基板16の一方の面(図2中の裏面)には、アンテナのグランドとして機能する導体17が形成されている。誘電体基板16の他方の面(図2中の表面)には、導体18が形成されている。なお、導体17、18は、例えば銅箔などにより構成される。このように、各導体17、18が誘電体基板16を挟んで対向配置されている。すなわち、誘電体基板16および導体17、18によりマイクロストリップライン19が構成されている。
【0031】
このような構成のマイクロストリップライン19により、第1給電ライン6、第2給電ライン9、方向性結合器10などが構成される。また、誘電体基板16の表面には、第1アンテナ5および第2アンテナ8が、誘電体基板16に対して垂直に設けられている。なお、図2では示していないが、第1アンテナ5および第2アンテナ8は、同一の基板上に形成されている(図4または図5参照)。
【0032】
第1アンテナ5は、誘電体基板16の他方の面上に立設される導体20を備えている。導体20の誘電体基板16側の端部は、第1給電ライン6の一端に電気的に接続されている。すなわち、第1アンテナ5は、通常のモノポール型アンテナである。第1給電ライン6の他端は、第1アンテナ5に給電するための第1給電点21(給電点に相当)となっている。第1給電点21は、誘電体基板16の一辺部に位置している。
【0033】
第2アンテナ8は、第1導体22、第2導体23、容量性素子24a、24b、連結導体25および誘導性素子26を備えている。第1導体22および第2導体23は、誘電体基板16の他方の面上に立設されている。第1導体22の誘電体基板16側の端部は、第2給電ライン9の一端に電気的に接続されている。第2導体23の誘電体基板16側の端部は、誘電体基板16の裏面に形成された導体17に電気的に接続されている。第2給電ライン9の他端は、第2アンテナ8に給電するための第2給電点27(給電点に相当)となっている。第2給電点27は、誘電体基板の一辺部に位置している。
【0034】
容量性素子24a、24bは、第1導体22に直列に介在するように設けられている。連結導体25は、容量性素子24a、25bの相互接続点と第2導体23とを連結するように設けられている。誘導性素子26は、連結導体25に直列に介在するように設けられている。第2アンテナ8は、2つの容量性素子24a、24b、連結導体25および誘導性素子26からなる単位構造28が多段に接続された構成となっている(図2では、2段のみを図示している)。すなわち、第2アンテナ8は、いわゆる梯子型アンテナである。なお、このように、線路に対して直列のキャパシタンス成分と並列のインダクタンス成分とが連続する構成を持つ第2アンテナ8は、例えば位相定数が負となるメタマテリアルアンテナにより実現することができる。
【0035】
上記構成の第2アンテナ8を介して放射された電波の位相(放射位相)は、第2給電点27から給電される信号の位相(給電位相)に対し、180度異なる(逆位相になる)。一方、通常のモノポール構造の第1アンテナ5を介して放射された電波の位相は、第1給電点21から給電される信号の位相と同位相になる。従って、互いに同一の信号を第1アンテナ5および第2アンテナ8に対して給電した場合、放射位相が互いに180度異なることになる。
【0036】
図3は、本実施形態の構成と、2つのアンテナを両方ともモノポール型アンテナとした構成(比較例)とについて、空間伝搬時に生じる位相変化を示している。図3において、実線は本実施形態の構成を示し、破線は比較例を示している。図3に示すように、本実施形態の構成によれば、比較例に対し、位相が180度程度遅れていることが分かる。
【0037】
また、第2アンテナ8を介して受信された信号は、放射位相に対し逆位相になる。一方、第1アンテナ5を介して受信された信号は、放射位相と同位相になる。従って、互いに同一の信号を第1アンテナ5および第2アンテナ8を介して受信した場合、受信した信号の位相が互いに180度異なることになる。すなわち、上記構成の梯子型メタマテリアルアンテナである第2アンテナ8は、通過する信号の位相を反転する(180度変換する)位相変換機としての機能を有する。
【0038】
第1給電ライン6の中央部は、並行部6aとなっている。また、第2給電ライン9の中央部は、並行部9aとなっている。並行部6a、9aは、互いに所定の間隔を隔てて並行に配置されている。それら並行部6a、9aにより、マイクロストリップライン型の方向性結合器10が構成されている。
【0039】
図4は、2つのアンテナの具体的な構成を例示している。図4に示す基板30は、例えば樹脂、セラミックなどにより矩形板状に形成されている。基板30の左部分には第1アンテナ5が設けられている。具体的には、図4中、基板30の表面において、下端から上端に向けて延びるように導体20が形成されている。
【0040】
一方、基板30の右部分には、第2アンテナ8が設けられている。具体的には、図4中、基板30の表面において、下端から上端に向けて延びるように第1導体22および第2導体23が形成されている。第1導体22および第2導体23は、互いに所定間隔を隔てて並行配置されている。第1導体22は、その一部が櫛歯状に切り抜かれた形態となっている。第1導体22の櫛歯状部分により、容量性素子24a、24bが構成されている。すなわち、容量性素子24a、24bは、インタディジタルキャパシタである。
【0041】
第1導体22および第2導体23の間には、図4中、左右方向に延びる連結導体25が形成されている。連結導体25の左端部は、第1導体22に形成された容量性素子24a、24bの相互接続点に接続されている。連結導体25の右端部は、第2導体23に接続されている。連結導体25の中央部は、ジグザグ状に形成されている。連結導体25のジグザグ状部分により、誘導性素子26が形成されている。すなわち、誘導性素子26は、立体コイルを横につぶしたような構造をなすメアンダ状のインダクタである。
【0042】
図5は、2つのアンテナの他の構成例を示している。図5に示す他の構成例は、図4に示した構成例に対し、第2アンテナ8側の構成が変更されている。すなわち、第2アンテナ8において、第1導体22と第2導体23との位置が入れ替わっている。このような構成であっても、図4に示した構成と同等の性能(例えば干渉抑制作用など)が得られる。
【0043】
次に、本実施形態の作用について図6も参照して説明する。
まず、第1アンテナ5から第2アンテナ8への回り込み波による干渉の抑制作用について説明する。この場合の各信号の流れは、図1において実線の矢印で示す方向となる。第1送受信機4から第1給電点21を通じて給電される送信信号は、モノポール型の第1アンテナ5を介して放射される。第1アンテナ5から放射された電波は、空間伝搬により、梯子型の第2アンテナ8に伝達される(回り込む)。第2アンテナ8を介して受信された受信信号は、位相が反転された上で、第2給電ライン9から第2給電点27を通じて第2送受信機7に与えられる。また、方向性結合器10の作用により、第1アンテナ5から送信される送信信号(送信電波)の一部が、第1給電ライン6を通じて抽出される。そして、その抽出された信号は、帯域制限、増幅などが行われた上で、第2給電ライン9を介して第2給電点27に伝達される。
【0044】
このとき、第2給電点27に伝達される2つの信号の位相は、互いに逆位相になっている。また、上記2つの信号の振幅は、互いに等しくなっている。そのため、第2給電点27における2つの信号が互いに相殺される。その結果、第1アンテナ5から放射される電波が空間伝搬により第2アンテナ8側に回り込む場合における干渉波の振幅レベルが低減される。これにより、第2送受信機7の受信信号に対する第1アンテナ5からの回り込み波の影響が抑制される。
【0045】
続いて、第2アンテナ8から第1アンテナ5への回り込み波による干渉の抑制作用について説明する。この場合の各信号の流れは、図1において破線の矢印で示す方向となる。第2送受信機7から第2給電点27を通じて給電される送信信号は、梯子型の第2アンテナ8により位相が反転された上で放射される。第2アンテナ8から放射された電波は、空間伝搬により、モノポール型の第1アンテナ5に伝達される(回り込む)。第1アンテナ5を介して受信された受信信号は、第1給電ライン6から第1給電点21を通じて第1送受信機4に与えられる。また、方向性結合器10の作用により、第2アンテナ8から送信される送信信号(送信電波)の一部が、第2給電ライン9を通じて抽出される。そして、その抽出された信号は、帯域制限、増幅などが行われた上で、第1給電ライン6を介して第1給電点21に伝達される。
【0046】
このとき、第1給電点21に伝達される2つの信号の位相は、互いに逆位相になっている。また、上記2つの信号の振幅は、互いに等しくなっている。そのため、第1給電点21における2つの信号が互いに相殺される。その結果、第2アンテナ8から放射される電波が空間伝搬により第1アンテナ5側に回り込む場合における干渉波の振幅レベルが低減される。これにより、第1送受信機4の受信信号に対する第2アンテナ8からの回り込み波の影響が抑制される。
【0047】
図6は、上記した干渉抑制作用による効果を示している。図6中、縦軸は通過損失[dB]であり、横軸は周波数[MHz]である。図6中、実線は本実施形態の構成を示しており、破線は干渉抑制機能を有さない構成(比較例)を示している。図6に示すように、本実施形態のアンテナ装置15によれば、720[MHz]付近の周波数帯における通過損失が、比較例に対して−35[dB]程度になっている。すなわち、本実施形態によれば、干渉抑制効果が十分に得られることが分かる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置15によれば、第2アンテナ8に位相変換機としての機能を持たせることにより、位相変換機を別途設けることなく、第1アンテナ5および第2アンテナ8の相互間における電波の干渉を抑制することができる。従って、本実施形態によれば、2つのアンテナ5、8間での電波の干渉を抑制しつつ、アンテナ装置15の小型化を実現することができる。
【0049】
第1アンテナ5および第2アンテナ8は、互いに同一の基板30上に形成されている。このような構成にすると、アンテナ装置15の小型化を図るためには好都合であるものの、2つのアンテナ5、8間の距離が短くなる可能性が高く、互いの送信電波による干渉の問題が顕著になる。しかし、前述した干渉抑制作用により、電波干渉が低減されるため、2つのアンテナ5、8間での電波干渉を抑制しつつ、アンテナ装置15の小型化をさらに図ることができる。
【0050】
容量性素子24a、24bおよび誘導性素子26は、基板30上に形成される導体により構成されている。そのため、第2アンテナ8の小型化、ひいてはアンテナ装置15全体の小型化を図ることができる。さらに、容量性素子24a、24bは、インタディジタルキャパシタであるので、基板30上に容易に形成できるという効果が得られる。また、誘導性素子26は、メアンダ状のインダクタであるので、上記同様に、基板30上に容易に形成できるという効果が得られる。
【0051】
方向性結合器10は、増幅器13a、13bの増幅作用により伝達する信号の振幅を調整することが可能となっている。増幅器13aのゲインは、第1アンテナ5から電波が送信される際、第2給電点27に伝達される2つの信号の振幅が互いに同じになるように設定されている。また、増幅器13bのゲインは、第2アンテナ8から電波が送信される際、第1給電点21に伝達される2つの信号の振幅が互いに同じになるように設定されている。そのため、各信号がほぼ完全に相殺されて干渉波の振幅レベルをほとんどゼロにすることができる。
【0052】
無線通信システム1は、互いに異なり且つ互いに近い周波数帯を用いた無線通信を行う第1無線通信機2および第2無線通信機3を備えている。このような2つの無線通信機2、3を備えた構成においては、一方の送信電波が他方に回り込むことによる通信品質の劣化が懸念される。しかし、本実施形態の無線通信システム1は、上記したアンテナ装置15による干渉抑制作用により、2つの無線通信機2、3のアンテナ5、8間における電波干渉が抑制されるため、通信品質を高く維持することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
以下、第1の実施形態に対して方向性結合器の構成を変更した本発明の第2の実施形態について、図7を参照して第1の実施形態と異なる部分を主体に説明する。
図7は、第1の実施形態における図1相当図であり、本実施形態の無線通信システムの構成を示している。本実施形態の無線通信システム41は、第1の実施形態の無線通信システム1に対し、アンテナ装置15に代えてアンテナ装置42を備えている点が異なる。アンテナ装置42は、アンテナ装置15に対し、方向性結合器10に代えて方向性結合器43を備えている点が異なる。
【0054】
方向性結合器43(結合器に相当)は、方向性結合器10が備える各構成に加え、さらに、位相変換器44a、44bを備えている。位相変換器44aは、フィルタ12aの出力信号の位相を微調整可能に構成されている。位相変換器44aの出力信号は、増幅器13aに与えられる。位相変換器44bは、フィルタ12bの出力信号の位相を微調整可能に構成されている。位相変換器44bの出力信号は、増幅器13bに与えられる。すなわち、位相変換器44a、44bは、伝達する信号の位相を微調整するための位相微調整手段に相当する。
【0055】
さて、第1アンテナ5および第2アンテナ8を通じて受信される信号や、第1給電点21および第2給電点27から給電される信号は、第1給電ライン6および第2給電ライン9などを通過する際、その位相が僅かではあるものの変化する可能性がある。それら信号の位相が変化すると、前述した干渉抑制作用が若干低減する可能性がある。しかし、本実施形態のアンテナ装置42によれば、方向性結合器43は、伝達する信号の位相を微調整するための位相変換器44a、44bを備えている。
【0056】
上記構成によれば、上記した信号位相の変化を考慮した上で、第1アンテナ5から電波が送信される際、第2給電点27に伝達される2つの信号の位相が互いに逆位相になるように、位相変換器44aによる位相の微調整が行われることにより、各信号が完全に相殺されて干渉波の振幅レベルをゼロに近づけることができる。また、上記した信号位相の変化を考慮した上で、第2アンテナ8から電波が送信される際、第1給電点21に伝達される2つの信号の位相が互いに逆位相になるように、位相変換器44bによる位相の微調整が行われることにより、各信号が完全に相殺されて干渉波の振幅レベルをゼロに近づけることができる。このように、本実施形態によれば、種々の要因による各信号の位相変化を考慮した上で、2つのアンテナ5、8間における電波干渉を一層抑制することができる。
【0057】
なお、本実施形態の方向性結合器43は、位相変換器44a、44bを備える分だけ、第1の実施形態の方向性結合器10に比べて大きくなる。ただし、位相変換器44a、44bは、伝達する信号の位相を微調整可能であればよい。つまり、従来技術のように、位相を反転(180度変換)する必要がなく、ストリップラインの長さは比較的短くてよい。従って、アンテナ装置42の体格は、アンテナ装置15の体格よりも若干大きくなる程度で済むことになる。
【0058】
(第3の実施形態)
以下、第1の実施形態に対して方向性結合器の構成を変更した本発明の第3の実施形態について、図8を参照して第1の実施形態と異なる部分を主体に説明する。
図8は、第1の実施形態における図1相当図であり、本実施形態の無線通信システムの構成を示している。本実施形態の無線通信システム51は、第1の実施形態の無線通信システム1に対し、アンテナ装置15に代えてアンテナ装置52を備えている点が異なる。アンテナ装置52は、アンテナ装置15に対し、方向性結合器10に代えて方向性結合器53を備えている点が異なる。
【0059】
方向性結合器53(結合器に相当)は、方向性結合器10が備える各構成から、分配器11b、フィルタ12b、増幅器13bおよび信号結合器14bが省かれている。すなわち、方向性結合器53は、方向性結合器10に対し、第2アンテナ8から送信される送信信号を、第2給電ライン9を通じて抽出し、その抽出した信号を第1給電ライン6に伝達する一連の機能が省かれたものとなっている。
【0060】
このような構成によれば、第1の実施形態と同様に、第1アンテナ5から第2アンテナ8への回り込み波による干渉の抑制作用が得られる。従って、本実施形態のアンテナ装置52によれば、第1アンテナ5から電波を送信する際の第2アンテナ8における電波の干渉を抑制することができる。なお、本実施形態の構成では、第1アンテナ5は送信専用のアンテナであってもよい。また、第2アンテナ8は受信専用のアンテナであってもよい。
【0061】
(第4の実施形態)
以下、第2の実施形態に対して方向性結合器の構成を変更した本発明の第4の実施形態について、図9を参照して上記各実施形態と異なる部分を主体に説明する。
図9は、第2の実施形態における図7相当図であり、本実施形態の無線通信システムの構成を示している。本実施形態の無線通信システム61は、第2の実施形態の無線通信システム41に対し、アンテナ装置42に代えてアンテナ装置62を備えている点が異なる。アンテナ装置62は、アンテナ装置42に対し、方向性結合器43に代えて方向性結合器63を備えている点が異なる。
【0062】
方向性結合器63(結合器に相当)は、方向性結合器43が備える各構成から、分配器11b、フィルタ12b、増幅器13b、信号結合器14bおよび位相変換器44bが省かれている。すなわち、方向性結合器63は、方向性結合器43に対し、第2アンテナ8から送信される送信信号を、第2給電ライン9を通じて抽出し、その抽出した信号を第1給電ライン6に伝達する一連の機能が省かれたものとなっている。
【0063】
このような構成によれば、第2の実施形態と同様に、第1アンテナ5から第2アンテナ8への回り込み波による干渉の抑制作用が得られる。従って、本実施形態のアンテナ装置62によれば、種々の要因による各信号の位相変化を考慮した上で、第1アンテナ5から電波を送信する際の第2アンテナ8における電波の干渉を一層抑制することができる。なお、本実施形態の構成では、第1アンテナ5は送信専用のアンテナであってもよい。また、第2アンテナ8は受信専用のアンテナであってもよい。
【0064】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
分配器11a、11bを介して抽出される信号の振幅が、第1アンテナ5、第2アンテナ8を介して受信される受信信号の振幅に対して大きい場合には、増幅器13a、13bに代えて減衰器(振幅調整手段に相当)を用いてもよい。
【0065】
方向性結合器10、43は、フィルタ12a、12bおよび増幅器13a、13bを省いた構成であってもよい。また、方向性結合器53、63は、フィルタ12aおよび増幅器13aを省いた構成であってもよい。すなわち、方向性結合器10、43、53、63は、抽出した信号を、帯域制限および増幅を行うことなく、そのまま伝達する機能を備えていればよい。このような構成によれば、上記各実施形態に対して干渉波の振幅レベル低減作用が若干小さくなるが、アンテナ間での電波の干渉を抑制する効果が得られる。
【0066】
第2アンテナ8は、単位構造28が1段だけ接続された構成であってもよい。ただし、単位構造28の段数が多いほど、第2アンテナ8を構成する各キャパシタンスおよび各インダクタンス間における干渉の影響を受け難くなるため、通過する信号の位相を精度よく180度反転することが可能となる。そのため、第2アンテナ8は、単位構造28が多段に接続された構成が望ましい。
【0067】
各実施形態において、第1アンテナ5を梯子型のメタマテリアルアンテナとして構成するとともに、第2アンテナ8をモノポール構造のアンテナとして構成してもよい。このように構成した場合であっても、各実施形態と同様の作用および効果が得られる。
第1無線通信機2はDCM用の無線通信機に限らない。また、第2無線通信機は車車間通信用の無線通信機に限らない。すなわち、無線通信システム1としては、車両に搭載される無線通信システムに限らず、互いに異なる周波数帯を用いた無線通信を行う2つの無線通信機を有するものであればよい。
【0068】
容量性素子24a、24bは、インタディジタルキャパシタに限らず、基板上に導体により形成される他の形態のキャパシタであってもよい。誘導性素子26は、メアンダ状のインダクタに限らず、例えばスパイラル状のインダクタなど、基板上に導体により形成される他の形態のオンチップインダクタであってもよい。
【0069】
第1アンテナ5および第2アンテナ8は、互いに別々の基板上に形成されてもよい。また、第1アンテナ5および第2アンテナ8は、基板上に形成される構成に限らず、例えば導線、容量性素子や誘導性素子としての機能するディスクリート部品などを用いた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
図面中、1、41、51、61は無線通信システム、2は第1無線通信機(無線通信機)、3は第2無線通信機(無線通信機)、5は第1アンテナ(アンテナ)、6は第1給電ライン(給電ライン)、8は第2アンテナ(アンテナ)、9は第2給電ライン(給電ライン)、10、43、53、63は方向性結合器(結合器)、13a、13bは増幅器(振幅調整手段)、15、42、52、62はアンテナ装置、16は誘電体基板、17は導体(グランド)、20は導体、21は第1給電点(給電点)、22は第1導体、23は第2導体、24a、24bは容量性素子、25は連結導体、26は誘導性素子、27は第2給電点(給電点)、30は基板、44a、44bは位相変換器(位相微調整手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にグランドが形成された誘電体基板と、
前記誘電体基板の他方の面に形成された2つの給電ラインと、
互いに異なる給電点から前記2つの給電ラインをそれぞれ介して給電される2つのアンテナと、
前記2つのアンテナのうち一方のアンテナから送信される送信信号を、その一方のアンテナに給電するための一方の給電ラインを通じて抽出して他方の給電ラインに伝達する結合器と、
を備え、
前記2つのアンテナのうち一方のアンテナは、前記2つの給電ラインのうち一方の給電ラインに電気的に接続され、前記誘電体基板の他方の面上に立設される導体を備え、
前記2つのアンテナのうち他方のアンテナは、
前記2つの給電ラインのうち他方の給電ラインに電気的に接続され、前記誘電体基板の他方の面上に立設される第1導体と、
前記グランドに電気的に接続され、前記誘電体基板の他方の面上に立設される第2導体と、
前記第1導体に直列に介在する少なくとも2つの容量性素子と、
前記2つの容量性素子の相互接続点と前記第2導体とを連結する連結導体と、
前記連結導体に直列に介在する誘導性素子と、
を備えていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記結合器は、前記2つのアンテナのうち他方のアンテナから送信される送信信号を、その他方のアンテナに給電するための他方の給電ラインを通じて抽出して一方の給電ラインに伝達することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記2つのアンテナは、互いに同一の基板上に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記誘導性素子は、基板上に形成される導体により構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記誘導性素子は、メアンダ状のインダクタであることを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記容量性素子は、基板上に形成される導体により構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記容量性素子は、インタディジタルキャパシタであることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記結合器は、伝達する信号の位相を微調整するための位相微調整手段を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記結合器は、伝達する信号の振幅を調整するための振幅調整手段を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載のアンテナ装置を用いた無線通信システムであって、
2つの無線通信機を備え、
前記2つの無線通信機のうち一方の無線通信機は、前記2つのアンテナのうち一方のアンテナを通じて所定の周波数帯を用いた無線通信を行い、
前記2つの無線通信機のうち他方の無線通信機は、第2つのアンテナのうち他方のアンテナを通じて前記所定の周波数帯とは異なる周波数帯を用いた無線通信を行うことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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