説明

アーム回動軸支機構とおよびこれを有する撮像装置

【課題】回動軸回りに正逆両方向の回動を許容する回動軸支機構におけるコード覆いの実効性を高める。
【解決手段】ヘッドアーム回動軸支機構180のコード被覆ユニット200を構成する第1パーツ210と第2パーツ220は、一方のヘッド側係合腕186の側に位置して回動軸部材193の軸回りに回動可能であり、第3パーツ230の側に延びた弧状周壁212と弧状周壁222で二股基部側を塞ぐ。他方のヘッド側係合腕187の側に位置する第3パーツ230は、回動軸部材193の軸回りに回動可能であり、第1、第2のパーツ側に延ばした第1弧状周壁233と第2弧状周壁234により第1、第2パーツの上記両弧状周壁の隙間を塞ぐ。カメラから延びたコードは、回動軸部材193との干渉を避けつつ、上記両弧状周壁の切欠215と切欠225を通過し、弧状周壁で覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を内蔵した機器ユニットから延びたアームを軸支するアーム回動軸支機構と、カメラヘッドを当該ヘッドから延びたアームを介して回動自在に軸支する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置におけるカメラヘッドや電気機器内蔵の機器ユニットでは、その利便性の向上のため、例えば撮像装置における撮像箇所の変更のため、カメラヘッドをアームを介して回動自在に軸支する機構が多用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−191105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献では、カメラヘッドに内蔵のカメラへの電源供給および撮像信号出力のためのコードを、回動軸支箇所において露出させているが、見栄えの向上やコード保護の観点から、回動軸支機構においてコードを覆うことが望まれている。ところで、回動軸支されたカメラヘッドは、その軸回りの一方方向にのみ回動するのではなく、正逆両方向に回動する。このため、コードが通過する回動軸支機構に単純にカバーを設けただけでは、一方方向への回動に際してはコードをカバーにて覆うことができても、その逆方向に回動する際にはコードを露出させてしまい、現実的な解決とはならないことが指摘されるに至った。なお、こうしたことは、撮像装置以外の装置に用いられる回動軸支機構においても同様である。
【0005】
本発明は、上記した課題を踏まえ、回動軸回りに正逆両方向の回動を許容する回動軸支機構におけるコード覆いの実効性を高めることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
【0007】
[適用1:アーム回動軸支機構]
電気機器を内蔵した機器ユニットから延びたアームを軸支するアーム回動軸支機構であって、
前記アームの末端に設けられた二股状のアーム側係合腕と、
前記アームの回動軸支の対象となる回動保持側のアームの先端に設けられた回動保持側係合腕と、
該回動保持側係合腕と前記アーム側回動腕とが有する貫通孔に嵌合され、前記回動保持側係合腕に対して前記アームを前記アーム側回動腕を介して回動自在に軸支する回動軸と、
前記アーム側係合腕の一方の側に位置し、前記回動軸回りにそれぞれ回動可能とされた第1と第2の係合腕内部材と、
前記アーム側係合腕の他方の側に位置し、前記回動軸回りに回動可能とされた第3の係合腕内部材とを備え、
前記第1の係合腕内部材は、
前記第3の係合腕内部材の側に延びて前記アーム側係合腕の二股基部側を塞ぐ弧状の基部側周壁と、該基部側周壁に形成され前記電気機器から延びたコードが通過する基部側コード通過部とを備え、
前記第2の係合腕内部材は、
前記第3の係合腕内部材の側に延びて前記アーム側係合腕の二股先端側を塞ぐ弧状の先端側周壁と、該先端側周壁に形成され前記コードが前記回動軸との干渉を避けて通過する先端側コード通過部とを備え、
前記第3の係合腕内部材は、
前記第1と第2の係合腕内部材の側に延びて前記基部側周壁の端部と前記先端側周壁の端部との隙間を塞ぐ弧状の閉塞周壁を備える
ことを要旨とする。
【0008】
上記構成のアーム回動軸支機構は、電気機器を内蔵した機器ユニットを軸支するに当たり、当該ユニットから延びたアーム末端の二股状のアーム側係合腕とその回動軸支の対象となる回動保持側のアーム先端の回動保持側係合腕とを、回動軸にて軸支する。つまり、回動保持側係合腕とアーム側回動腕の貫通孔に嵌合された回動軸回りに、電気機器内蔵の機器ユニットは、そのアームごと正逆両方向に回動自在に軸支され、電気機器からのコードは、回動軸との干渉を避けつつ、二股状のアーム側係合腕から延びて回動保持側係合腕の側にまで達する。このようにコードが延在している二股状のアーム側係合腕において、一方のアーム側係合腕の側には第1と第2の係合腕内部材が位置し、他方のアーム側係合腕の側には第3の係合腕内部材が位置し、これら係合腕内部材は、回動軸回りにそれぞれ回動可能とされている。よって、電気機器内蔵の機器ユニットをそのアームごと回動させるに当たり、第1〜第3の係合腕内部材に回動軸回りの力が作用すれば、各係合腕内部材はそれぞれが回動することになる。
【0009】
上記構成のアーム回動軸支機構では、第1〜第3の係合腕内部材について、第1の係合腕内部材は、第3の係合腕内部材の側に延びてアーム側係合腕の二股基部側を塞ぐ弧状の基部側周壁を備え、その基部側周壁には、電気機器から延びたコードが通過する基部側コード通過部を備える。第2の係合腕内部材は、第3の係合腕内部材の側に延びてアーム側係合腕の二股先端側を塞ぐ弧状の先端側周壁を備え、その先端側周壁には、コードが回動軸との干渉を避けて通過する先端側コード通過部を備える。このため、電気機器内蔵の機器ユニットをそのアームごと正逆両方向に回動させると、電気機器からのコードもアーム回動に応じてその軌跡を変えて動くことから、コードは、第1の係合腕内部材の基部側コード通過部に回動軸回りの力を及ぼし、これにより第1の係合腕内部材は回動軸回りに回動する。
【0010】
こうして第1の係合腕内部材が回動しても、アーム側係合腕の二股基部側は、弧状の基部側周壁にて塞がれたままである。第2の係合腕内部材についてもコードから力を受けて回動軸回りに回動し、アーム側係合腕の二股先端側は、第2の係合腕内部材の弧状の先端側周壁にて塞がれたままとなる。これに加え、第3の係合腕内部材は、第1と第2の係合腕内部材の側に延びた弧状の閉塞周壁にて、第1の係合腕内部材の基部側周壁の端部と第2の係合腕内部材の先端側周壁の端部との隙間を塞いでいるので、コードは、第1の係合腕内部材の基部側コード通過部から第2の係合腕内部材の先端側コード通過部に至るまで、上記した弧状の周壁で覆われたままとなる。こうして覆われたままのコードが機器ユニットの正逆両方向の回動に伴い第3の係合腕内部材に力を及ぼせば、この第3の係合腕内部材も回動軸回りに回動するので、コードは外部に露呈しないままその軌跡を変えて動き得る。この結果、上記構成のアーム回動軸支機構によれば、機器ユニットを回動軸回りに正逆両方向に回動させる際、高い実効性でコードを覆い隠すことができる。
【0011】
以上説明したアーム回動軸支機構では、種々の態様を採ることができる。例えば、前記第3の係合腕内部材の閉塞周壁を前記基部側周壁と前記先端側周壁の外側とした上で、第3の係合腕内部材に、前記基部側周壁と前記先端側周壁が前記第1と第2の係合腕内部材と共に前記回動軸回りに回動する軌跡に沿った弧状の案内部を設けることができる。こうすれば、第1と第2の係合腕内部材の回動動作の安定化を図ることができる。この場合、案内部を前記基部側周壁と前記先端側周壁の端部が入り込む弧状軌跡の溝や凹条とすることが簡便である。
【0012】
[適用2:撮像装置]
カメラヘッドに内蔵したカメラを撮像領域の被撮像物に向けて撮像する撮像装置であって、
基台と、
該基台から立ち上がる基台側第1アームと、
該基台側第1アームから前記撮像領域の上方に延びる基台側第2アームと、
該基台側第2アームを基台側第1アームに回動自在に軸支し、前記撮像領域の上方に延びる姿勢から前記基台側第1アームと重なる側への回動とこの逆の回動を前記基台側第2アームについて許容する基台側アーム回動軸支機構と、
前記カメラヘッドから前記カメラの光軸と交差して延びるヘッド側アームと、
該ヘッド側アームを前記基台側第2アームに沿って延在させた状態で前記基台側第2アームに対して回動自在に軸支する上記したアーム回動軸支機構とを備え、
該アーム回動軸支機構は、前記撮像領域の上方に延びた前記基台側第2アームに対する前記ヘッド側アームの回動を、前記カメラヘッドの前記カメラが前記基台側第1アームの側に向かうまで許容し、前記基台側第1アームと重なる側に回動した前記基台側第2アームに対する前記ヘッド側アームの回動を、前記カメラヘッドの前記カメラが前記撮像領域にその上方から向かうまで許容する
ことを要旨とする。
【0013】
上記構成の撮像装置では、基台から基台側第1アームを立ち上げ、この基台側第1アームにアーム回動軸支手段により回動自在に軸支された基台側第2アームは、撮像領域の上方に延びる姿勢と基台側第1アームと重なる側の姿勢との間において回動する。カメラヘッドからカメラの光軸と交差して延びるヘッド側アームは、基台側第2アームに沿って延在した状態でアーム回動軸支機構により基台側第2アームに軸支されているので、基台側第2アームが撮像領域の上方に延びた場合にあっては、基台側第2アームに沿って撮像領域の上方に位置し、カメラヘッドのカメラを撮像領域にその上方から向かわせる。この場合のカメラ位置は、撮像領域からの基台側第1アームの立ち上がり高さ位置となり、撮像領域から最大限離れているので、大きなサイズの被撮像物をその上方側から撮像することが可能となる。
【0014】
そして、このように撮像領域の上方に延びた基台側第2アームに対するヘッド側アームの回動を、カメラヘッドのカメラが基台側第1アームの側に向かうまで許容するので、撮像領域に位置する被撮像物を、その撮像方向を斜め上方に変えて撮像することが可能となる。つまり、撮像アングルを上方から斜め前方側に変えて撮像できる。
【0015】
その一方、基台側第2アームが上記した撮像領域の上方に延びる姿勢から基台側第1アームと重なる側の姿勢に回動した場合、ヘッド側アームは、基台側第2アームに沿って延在したまま基台側第1アームと重なる姿勢を取ることができ、カメラヘッドも基台側第1アームに重なる。ヘッド側アームは、このように基台側第1アームに重なった姿勢を取ることができるほか、基台側第2アームに対してアーム回動軸支機構が許容するヘッド側アームの回動により、基台側第1アームと重なった姿勢から起きあがるようにして基台側第2アームに対して回動して、カメラヘッドのカメラを撮像領域にその上方から向かわせる。この場合、カメラは、基台側第2アームが撮像領域の上方に延びる姿勢から基台側第1アームと重なる側の姿勢に回動した分だけ、撮像領域に近づくことから、カメラの上下位置を被撮像物のサイズに合わせて調整した上で、その被撮像物をその上方から拡大して撮像できることになる。
【0016】
また、運搬や保管等の装置未使用の未使用姿勢では、基台側第2アームとこれに沿って延びるヘッド側アームに加えてカメラヘッドも基台側第1アームと重なるので、装置未使用時の省スペース化を図ることができる。この場合、前記基台を前記撮像領域と干渉しない位置に配設されるものとすれば、被撮像物の載置ステージを要しない分だけ基台のコンパクト化が進むことと相まって、装置未使用時の省スペース化を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の撮像装置100を第1撮像姿勢において正面方向から見た斜視図である。
【図2】装置未使用時における撮像装置100の側面図である。
【図3】ヘッドアーム回動軸支機構180の構成を概略的に示す概略分解図である。
【図4】第3パーツ230の正面図である。
【図5】図4における5−5線に沿った第3パーツ230の断面端面図である。
【図6】正面下方側からの第3パーツ230の斜視図である。
【図7】正面上方側からの第3パーツ230の斜視図である。
【図8】図3における左方から見た第1パーツ210の正面図である。
【図9】図8における9−9線に沿った第1パーツ210の断面端面図である。
【図10】図9における右方から見た第1パーツ210の斜視図である。
【図11】図3における左方から見た第2パーツ220の正面図である。
【図12】図11における12−12線に沿った第2パーツ220の断面端面図である。
【図13】図12における右方から見た第2パーツ220の斜視図である。
【図14】ヘッド側アーム160が第2アーム132に沿って延びている場合のコード被覆ユニット200によるコード被覆の様子を示す説明図である。
【図15】図1の第1撮像姿勢での撮像装置100による立体被撮像物TPの撮像の様子と画像出力の様子を模式的に示す説明図である。
【図16】カメラヘッド150を斜め下方に回動させて立体被撮像物TPを斜め上方から撮像する第2撮像姿勢と画像出力の様子を模式的に示す説明図である。
【図17】カメラ位置を低くした第3撮像姿勢での撮像装置100による立体被撮像物TPの撮像の様子と画像出力の様子を模式的に示す説明図である。
【図18】第2撮像姿勢におけるコード被覆ユニット200によるコード被覆の様子を示す説明図である。
【図19】第3撮像姿勢におけるコード被覆ユニット200によるコード被覆の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は実施例の撮像装置100を第1撮像姿勢において正面方向から見た斜視図、図2は装置未使用時における撮像装置100の側面図である。
【0019】
図示するように、撮像装置100は、基台110と、カメラ保持アーム130と、カメラヘッド150とを備える。基台110は、カメラヘッド150の保持状態においても安定するよう、所定の重量を有する筐体として形成されている。なお、この基台110は、本装置のオン・オフスイッチを含む種々のスイッチやメモリカードの装着機構を筐体外部に有する他、筐体内部には装置の制御器盤・機器等を有するが、これらは本発明の要旨と直接関係しないので、その説明は省略する。
【0020】
カメラ保持アーム130は、基台110の側の第1アーム131と、カメラヘッド150の側の第2アーム132とを備える。第1アーム131は、基台110から立ち上がって当該基台に固定されており、基台110の側のアーム基部136に、有底の陥没凹所138をアーム正面側に有する。この陥没凹所138については、後述する。
【0021】
第2アーム132は、第1アーム131の上端においてアーム回動軸支機構134にて図中矢印Aで示すように鉛直面内において回動自在に軸支されている。アーム回動軸支機構134は、回動軸とこれに嵌合する軸穴を有する軸支部材とを用い回動軸と軸支部材との相対的な回動を起こす周知の軸支構造を備え、第2アーム132の姿勢を、当該アームが図示するように水平に延びた姿勢、即ち図1における基台前方の撮像領域SAの上方に延びた姿勢(以下、第1撮像姿勢)と、図2に示すように第2アーム132が第1アーム131に重なった収納姿勢(未使用姿勢)のいずれかに規定するための節度感付与機器(図示略)を備える。よって、操作者は、節度感の感知により回動操作を止めることで、第2アーム132を上記したいずれかの姿勢となるまで回動させた上で、当該アームを回動後の姿勢に止め置くことができる。つまり、第2アーム132は、アーム回動軸支機構134での回動動作により、図1に示す第1撮像姿勢と、第1アーム131に重なる図2の収納姿勢とを取り得る。このことは、撮像領域SAの上方に延びる姿勢から第1アーム131と重なる側への回動とこの逆の回動が、第2アーム132について許容されることを意味する。
【0022】
カメラヘッド150は、先端側に撮像用のカメラ(図示略)を内蔵し、そのレンズユニットCUの先端筐体を突出させ、カメラの光軸Lと交差して延びるヘッド側アーム160を備える。カメラヘッド150は、図示するように、第2アーム132の先端においてヘッドアーム回動軸支機構180によりヘッド側アーム160を介して回動自在に軸支され、ヘッド側アーム160は第2アーム132から当該アームに沿って延長するように延在している。つまり、図1に示す第1撮像姿勢では、ヘッド側アーム160は、第1アーム131の上端から撮像領域SAの上方に延びた第2アーム132に沿って延びて撮像領域SAの上方に位置するので、カメラヘッド150は、レンズユニットCUにおけるカメラの光軸Lを撮像領域SAに向かわせて、撮像領域SAの被撮像シートSTにカメラを正対させて当該シートをその上方から撮像する。この第1撮像姿勢におけるカメラ位置は、撮像領域SAからの第1アーム131の立ち上がり高さ位置となり、撮像領域SAから最大限離れることになる。よって、第1撮像姿勢では、大きなサイズの被撮像物、例えば図1に示すような大きさの被撮像シートSTの撮像が可能となる。この場合の撮像方向は、被撮像物の上方となる。
【0023】
上記した第1撮像姿勢では、撮像領域SAを挟んで基台110に向き合う使用者の視野とカメラの撮像視野とは同じとなる。なお、カメラはズーミング可能なオートフォーカスカメラとして構成され、これら動作のためのオートフォーカスボタンやズームダイヤル(図示略)は、カメラヘッド150の適宜箇所、例えばヘッド側面や基台110に設置されている。
【0024】
図2に示す収納姿勢では、第2アーム132は、ヘッドアーム回動軸支機構180にて軸支済みのカメラヘッド150と共にアーム回動軸支機構134を中心に回動し、第1アーム131にそのアーム正面側で重なる。第1アーム131がアーム正面側に有する陥没凹所138は、レンズユニットCUの先端部位より大きな径で陥没成型されていると共に、その位置は、アーム回動軸支機構134を中心にレンズユニットCUの先端部位が回動する軌跡と合致されている。よって、図2に示すように第2アーム132とカメラヘッド150が第1アーム131のアーム正面側に回動した収納姿勢において、レンズユニットCUの先端部位は、陥没凹所138の内部に入り込み、当該凹所の周壁で取り囲まれることになる。この結果、本実施例の撮像装置100によれば、装置未使用の際に図2に示す収納姿勢を取るよう上記したアーム回動動作を行うだけで、カメラの損傷回避、具体的にはレンズユニットCUの先端側のカメラレンズの損傷回避が可能となり、取扱が簡便である。しかも、図2に示す収納姿勢では、第1アーム131にそのアーム正面側で第2アーム132とカメラヘッド150が重なるので、収納姿勢とされた装置未使用時において、省スペース化を図ることができる。また、図2に示す収納姿勢から第2アーム132をカメラヘッド150と共に回動して図1に示す第1撮像姿勢とするだけで、大きさサイズの被撮像シートSTをカメラヘッド150のカメラにて速やかに撮像できる。
【0025】
次に、ヘッドアーム回動軸支機構180によるカメラヘッド150の軸支の様子について説明する。図3はヘッドアーム回動軸支機構180の構成を概略的に示す概略分解図である。ヘッドアーム回動軸支機構180は、第2アーム132のカバー132Cに囲まれたアーム側フレーム181に対して、ヘッド側アーム160のカバー160Cに囲まれたヘッド側フレーム185を回動自在に軸支するよう構成されている。アーム側フレーム181は、その先端側に二股状のアーム保持側係合腕182〜183を対向させて備え、両部材のセンターに貫通孔184を備える。ヘッド側フレーム185は、その先端側に二股状のヘッド側係合腕186〜187を対向させて備え、両部材のセンターに貫通孔188を備える。ヘッド側フレーム185のヘッド側係合腕186〜187は、アーム側フレーム181のアーム保持側係合腕182〜183が間に隙なく嵌り込む間隔とされ、このヘッド側・アーム側の二股状の両係合腕は、貫通孔周囲で接触する。なお、二股状の両係合腕を同じ幅の二股状とし、ヘッド側係合腕186の内側にアーム保持側係合腕182が重なり、ヘッド側係合腕187の外側にアーム保持側係合腕183が重なるようにすることもできる。
【0026】
ヘッド側フレーム185は、円盤状の回動規制部材189をヘッド側係合腕186に固定して備え、回動規制部材189の貫通孔190をヘッド側係合腕186の貫通孔188と一致させている。回動規制部材189は、外周縁側に円弧状に湾曲形成された弧状貫通孔192を備える。ヘッドアーム回動軸支機構180は、ヘッド側フレーム185のヘッド側係合腕186〜187の間にアーム側フレーム181のアーム保持側係合腕182〜183を嵌め込んだ上で、回動規制部材189の側からそれぞれの上記貫通孔に回動軸部材193を嵌合させて、上記のアーム側フレーム181にヘッド側フレーム185を回動軸部材193の軸回りに回動自在に軸支する。こうしたアーム側・ヘッド側のフレーム同士の回動軸支により、ヘッドアーム回動軸支機構180は、カメラヘッド150のヘッド側アーム160を第2アーム132に沿って延在させた状態で第2アーム132に対して正逆両方向に回動自在に軸支する。なお、回動軸部材193は、上記のように嵌合した貫通孔から軸方向にずれないよう、ヘッド側フレーム185の両側にて図示しない軸保持部材にて保持されている。
【0027】
こうした回動軸支に際して、回動規制部材189の弧状貫通孔192には、アーム側フレーム181がアーム保持側係合腕183に有する規制駒191が入り込む。よって、ヘッドアーム回動軸支機構180は、第2アーム132に対するヘッド側アーム160の回動動作を、弧状貫通孔192の弧状範囲に制限し、ヘッド側アーム160を第2アーム132に沿って延在した状態から、図1や図3に矢印Bで示すように正逆両方向に回動自在に軸支することになる。この場合、図3における弧状貫通孔192の水平線上に規制駒191が位置する場合、ヘッド側アーム160は、第2アーム132に沿って延在する姿勢となり、この水平姿勢から矢印Bで示すように正逆両方向に回動する。この正逆両方向の回動動作終端は、弧状貫通孔192の端部で定まり、水平姿勢から矢印Bdの側の弧状貫通孔192の一方端に規制駒191が位置する場合、ヘッド側アーム160は後述の第2撮像姿勢(図16参照)において撮像領域SAに対して斜め下方に延びることになる。水平姿勢から矢印Buの側の弧状貫通孔192の他方端に規制駒191が位置する場合、ヘッド側アーム160は後述の第3撮像姿勢(図17参照)において撮像領域SAの上方に延びることになる。
【0028】
上記したヘッド側アーム160の回動動作は、ヘッド側フレーム185のヘッド側係合腕186〜187とアーム側フレーム181のアーム保持側係合腕182〜183の貫通孔周囲での接触状況下でなされるので、両軸支部の接触抵抗により、ヘッド側アーム160は、上記した回動制限範囲の任意の回動後の位置で第2アーム132に対して止め置かれる。
【0029】
次に、ヘッドアーム回動軸支機構180におけるコード被覆構造について説明する。カメラヘッド150は、その内蔵するカメラへの電源供給および信号出力のコードをヘッド側フレーム185に収納する。このコードは、二股状のヘッド側係合腕186〜187から、第2アーム132の側のアーム側フレーム181にまで延在し、ヘッドアーム回動軸支機構180においては、コード被覆ユニット200により被覆されつつ、回動軸部材193と干渉しないように配置されている。図3に示すように、コード被覆ユニット200は、二股状のヘッド側係合腕186〜187の一方のヘッド側係合腕186の側に位置する第1パーツ210と第2パーツ220と、二股状のヘッド側係合腕186〜187の他方のヘッド側係合腕187の側に位置する第3パーツ230とを備え、これら第1〜第3パーツは、回動軸部材193の軸回りにそれぞれ回動可能とされている。本実施例では、二股状のヘッド側係合腕186〜187の間に二股状のアーム保持側係合腕182〜183が入り込んでいるので、コード被覆ユニット200は、このアーム保持側係合腕182〜183の間に隙なく入り込むことになるが、二股状のヘッド側係合腕186〜187に対する第1〜第3パーツの位置関係は上記の通りである。
【0030】
コード被覆ユニット200の詳細について説明する。図4は第3パーツ230の正面図、図5は図4における5−5線に沿った第3パーツ230の断面端面図、図6は正面下方側からの第3パーツ230の斜視図、図7は正面上方側からの230の斜視図、図8は図3における左方から見た第1パーツ210の正面図、図9は図8における9−9線に沿った第1パーツ210の断面端面図、図10は図9における右方から見た第1パーツ210の斜視図、図11は図3における左方から見た第2パーツ220の正面図、図12は図11における12−12線に沿った第2パーツ220の断面端面図、図13は図12における右方から見た第2パーツ220の斜視図である。
【0031】
図4〜図7に示すように、第3パーツ230は、円盤状のプレート230Pを備え、プレート中央のスリーブ231に貫通孔232を備える。貫通孔232は、回動軸部材193の軸径より若干大きな内径の孔とされているので、コード被覆ユニット200の組み付け後において、第3パーツ230は、回動軸部材193の軸回りに回動可能となる。第3パーツ230は、スリーブ231を取り囲むようプレート周縁に第1弧状周壁233と第2弧状周壁234とを備え、第2弧状周壁234の両端をプレート側で湾曲した湾曲エッジ235としている。この第1弧状周壁233と第2弧状周壁234は、コード被覆ユニット200としての形態において、図3に示すように第1パーツ210と第2パーツ220の側に延びることになり、この第1、第2パーツが有する後述の周壁の隙間を塞ぐ。この様子は後に詳述する。この他、第3パーツ230は、上記の弧状周壁の基部側において、プレート230Pに第1弧状貫通孔236と第2弧状貫通孔237とを備える。両弧状貫通孔の形成軌跡については後述する。
【0032】
図8〜図10に示すように、第1パーツ210は、円盤状のプレート210Pを備え、プレート中央に貫通孔211を備える。貫通孔211は、回動軸部材193の軸径より若干大きな内径の孔とされているので、コード被覆ユニット200の組み付け後において、第1パーツ210は、回動軸部材193の軸回りに回動可能となる。第1パーツ210は、プレート210Pの一部周縁から突出した弧状周壁212を備え、当該周壁の下端をプレート210Pから突出した弧状突起213とし、弧状周壁212の先端側の周壁端部を、弧状周壁212より薄肉で突出した凸状小片214とする。そして、第1パーツ210は、弧状周壁212の略中央部位に切欠215を備える。この切欠215は、プレート210Pの側にて湾曲した切欠とされ、その切欠幅は、カメラヘッド150のカメラから伸びたコードの形状に合わせてある。上記した弧状周壁212は、コード被覆ユニット200としての形態において、図3に示すように第3パーツ230の側に延びることになる。
【0033】
図11〜図13に示すように、第2パーツ220は、円盤状のプレート220Pを備え、プレート中央に貫通孔221を備える。貫通孔221は、回動軸部材193の軸径より若干大きな内径の孔とされているので、コード被覆ユニット200の組み付け後において、第2パーツ220は、回動軸部材193の軸回りに回動可能となる。第2パーツ220は、プレート220Pの一部周縁から突出した弧状周壁222を備え、弧状周壁222の先端側の周壁端部を、弧状周壁222より薄肉で突出した凸状小片224とする。そして、第2パーツ220は、弧状周壁222の略中央部位に切欠225を備える。この切欠225は、プレート220Pの側にて湾曲した切欠とされ、その切欠幅は、カメラヘッド150のカメラから伸びたコードの形状に合わせてある。上記した弧状周壁222は、コード被覆ユニット200としての形態において、図3に示すように第3パーツ230の側に延びることになる。なお、貫通孔221の周囲は、アーム保持側係合腕182との接触面積を少なくするため、段差226とされている。
【0034】
上記した構成を有するコード被覆ユニット200をヘッドアーム回動軸支機構180に組み込むに当たっては、まず、カメラヘッド150のヘッド側アーム160における二股状のヘッド側係合腕186〜187の間に第2アーム132の二股状のアーム保持側係合腕182〜183を入り込ませる。この際、カメラへのコードについてもヘッド側係合腕186〜187からアーム保持側係合腕182〜183の側に延在させつつ、コード被覆ユニット200でこのコードを被覆した上で当該ユニットをアーム保持側係合腕182〜183の間に組み込み、回動軸部材193を上記した各部材の貫通孔に嵌合させる。コード被覆ユニット200によるコード被覆は、次の手順でなされる。
【0035】
まず、ヘッド側係合腕186〜187からアーム保持側係合腕182〜183の側に延在するコードに対して、第3パーツ230をその側方から近づけ、コードを図3においてスリーブ231に乗り上げるようにする。こうなると、コードは、スリーブ231の貫通孔232、延いては回動軸部材193との干渉を避けつつ、第1弧状周壁233と第2弧状周壁234の周壁に間に位置する。そして、この状態の第3パーツ230に第1パーツ210と第2パーツ220をこの順に重ねて、コード被覆ユニット200をアーム保持側係合腕182〜183の間に入り込ませる。これにより、第1パーツ210は、弧状周壁212の切欠215にコードを入り込ませたまま、弧状周壁212にて、二股状のヘッド側係合腕186〜187の二股基部側を塞ぐことになる。第2パーツ220にあっては、弧状周壁222の切欠225にコードを入り込ませたまま、弧状周壁222にて、第2アーム132の二股状のアーム保持側係合腕182〜183の二股基部の側、即ちヘッド側係合腕186〜187の二股先端側を塞ぐことになる。この状態のまま、コード被覆ユニット200の各パーツの貫通孔221と貫通孔211と貫通孔232を、上記の各係合腕の貫通孔184と貫通孔188に合致させ、その合致した貫通孔に回動軸部材193を嵌合させる。
【0036】
第3パーツ230への第1パーツ210と第2パーツ220の重ね合わせにより、第1パーツ210は、弧状周壁212の先端両側の凸状小片214を第3パーツ230の第1弧状貫通孔236に入り込ませ、第2パーツ220も弧状周壁222の凸状小片224を第3パーツ230の第2弧状貫通孔237に入り込ませる。第1弧状貫通孔236と第2弧状貫通孔237は、第1、第2パーツが回動する際の上記の各弧状周壁の軌跡に合致して形成されているので、第1、第2パーツは、弧状周壁先端においても案内されて、回動軸部材193の軸回りに回動可能となる。
【0037】
上記したコード被覆ユニット200の組み込みと回動軸部材193による軸支により、カメラヘッド150は、そのヘッド側アーム160を介してヘッドアーム回動軸支機構180により第2アーム132に対して正逆両方向に回動自在となる。そして、ヘッドアーム回動軸支機構180において、カメラヘッド150のカメラからのコードは、二股状のヘッド側係合腕186〜187の二股基部側にあっては、第1パーツ210の弧状周壁212で隠され、二股先端側では、第2パーツ220の弧状周壁222で隠され、この第1、第2パーツの弧状周壁212と弧状周壁222の端部の隙間は、第3パーツ230の第1弧状周壁233と第2弧状周壁234とで覆われることになる。図14はヘッド側アーム160が第2アーム132に沿って延びている場合のコード被覆ユニット200によるコード被覆の様子を示す説明図である。上記したような各パーツの組み込みにより、コードCは、図14に示すようにヘッドアーム回動軸支機構180においてそのコード経路全域において被覆される。
【0038】
次に、撮像装置100が取り得る撮像姿勢と、撮像姿勢推移の間のヘッドアーム回動軸支機構180におけるコード被覆の様子について説明する。図15は図1の第1撮像姿勢での撮像装置100による立体被撮像物TPの撮像の様子と画像出力の様子を模式的に示す説明図、図16はカメラヘッド150を斜め下方に回動させて立体被撮像物TPを斜め上方から撮像する第2撮像姿勢と画像出力の様子を模式的に示す説明図、図17はカメラ位置を低くした第3撮像姿勢での撮像装置100による立体被撮像物TPの撮像の様子と画像出力の様子を模式的に示す説明図、図18は第2撮像姿勢におけるコード被覆ユニット200によるコード被覆の様子を示す説明図、図19は第3撮像姿勢におけるコード被覆ユニット200によるコード被覆の様子を示す説明図である。
【0039】
図15に示す第1撮像姿勢では、カメラヘッド150は、その有するヘッド側アーム160が第2アーム132に沿って延びていることから、撮像領域からカメラを最も遠ざけて立体被撮像物TPをその上方から撮像する。これにより、モニタMには、立体被撮像物TPをその上方から平面視した画像が出力される。図16の第2撮像姿勢では、第2アーム132に対してヘッド側アーム160が時計回りに約45°回動していることから、カメラヘッド150は、カメラを斜め上方側から立体被撮像物TPの正面に向けて撮像する。つまり、撮像向きが斜め上方側に変わることにより、モニタMには、立体被撮像物TPを斜め正面視した画像が出力され、カメラ位置もヘッド側アーム160の回動分だけ低くなって画像も拡大される。なお、上記したヘッド側アーム160の回動角度は、既述した回動規制部材189の弧状貫通孔192にて定まり、弧状貫通孔192の弧状軌跡を変更することで変更可能である。
【0040】
こうした第2撮像姿勢への推移に際して、ヘッドアーム回動軸支機構180におけるコード被覆ユニット200のコード被覆は次のようになる。図18に示すように、カメラヘッド150が回動軸部材193を中心に時計回りに回動する場合、カメラヘッド150は、スリーブ231に乗り上げ切欠215と切欠225に入り込んでいたコードCを引っ張るよう回動することになる。このため、スリーブ231に乗り上げて屈曲しているコードCは、更に屈曲するよう、カメラヘッド150の回動に応じてその軌跡を変えて動くことになり、第1パーツ210に弧状周壁212を介して時計回りの力を及ぼし、第2パーツ220についてもその弧状周壁222を介して時計回りの力を及ぼす。これにより、第1パーツ210と第2パーツ220は、それぞれの弧状周壁でコードCを隠したまま回動軸部材193の軸回りに回動しつつ、引き続き、ヘッド側係合腕186〜187の二股基部側と先端側をそれぞれの弧状周壁で塞いだままとする。
【0041】
そして、第3パーツ230は、このように回動する第1、第2パーツの上記弧状周壁の端部間の隙間を第1弧状周壁233と第2弧状周壁234にて覆っている。この場合、コードCが第3パーツ230に対して第1弧状周壁233や第2弧状周壁234の端部から力を及ぼせば、第3パーツ230にあっても回動軸部材193の軸回りに回動するが、この間にあっても、第1、第2パーツの上記弧状周壁の端部間の隙間を第1弧状周壁233と第2弧状周壁234にて覆っている。よって、ヘッドアーム回動軸支機構180は、その有するコード被覆ユニット200の第1〜第3パーツの弧状周壁によりコードCを切欠215から切欠225に至るまで覆ったままで、図15の第1撮像姿勢と図16の第2撮像姿勢との間をこの順に及びこの逆に推移するヘッド側アーム160の正逆両方向の回動を許容する。つまり、ヘッドアーム回動軸支機構180によれば、カメラヘッド150を回動軸部材193の軸回りに正逆両方向に回動させる際において、高い実効性でコードCを覆い隠すことができる。
【0042】
図17に示す第3撮像姿勢では、カメラヘッド150は、その有するヘッド側アーム160が第1アーム131に重なった第2アーム132に対して屈曲するよう回動していることから、撮像領域にカメラを最も近づけて立体被撮像物TPをその上方から撮像する。これにより、モニタMには、立体被撮像物TPをその上方から平面視した拡大画像が出力される。この場合のヘッド側アーム160の回動は、第2アーム132から延びた姿勢からの約100゜の反時計回りの回動となり、この回動角度にあっても、既述した回動規制部材189の弧状貫通孔192にて定まり、弧状貫通孔192の弧状軌跡を変更することで変更可能である。
【0043】
こうした第3撮像姿勢への推移に際して、ヘッドアーム回動軸支機構180におけるコード被覆ユニット200のコード被覆は次のようになる。図17の第3撮像姿勢では、第2アーム132に対してカメラヘッド150は反時計方向に回動することになり、図19に示すように、カメラヘッド150は、スリーブ231に乗り上げ切欠215と切欠225に入り込んでいたコードCを引っ張るよう回動する。こうした反時計方向の回動であっては、スリーブ231に乗り上げて屈曲しているコードCは、その屈曲が戻されるよう、カメラヘッド150の回動に応じてその軌跡を変えて動くことになり、第1パーツ210に弧状周壁212を介して反時計回りの力を及ぼし、第2パーツ220についてはその弧状周壁222を介して時計回りの力を及ぼす。これにより、第1パーツ210と第2パーツ220は、それぞれの弧状周壁でコードCを隠したまま回動軸部材193の軸回りに回動しつつ、引き続き、ヘッド側係合腕186〜187の二股基部側と先端側をそれぞれの弧状周壁で塞いだままとする。
【0044】
そして、第3パーツ230は、このように回動する第1、第2パーツの上記弧状周壁の端部間の隙間を第1弧状周壁233と第2弧状周壁234にて覆っている。この場合、コードCが第3パーツ230に対して第1弧状周壁233や第2弧状周壁234の端部から力を及ぼせば、第3パーツ230にあっても回動軸部材193の軸回りに回動するが、この間にあっても、第1、第2パーツの上記弧状周壁の端部間の隙間を第1弧状周壁233と第2弧状周壁234にて覆っている。よって、ヘッドアーム回動軸支機構180は、その有するコード被覆ユニット200の第1〜第3パーツの弧状周壁によりコードCを切欠215から切欠225に至るまで覆ったままで、図15の第1撮像姿勢と図17の第3撮像姿勢との間をこの順に及びこの逆に推移するヘッド側アーム160の正逆両方向の回動を許容する。つまり、ヘッドアーム回動軸支機構180によれば、カメラヘッド150を回動軸部材193の軸回りに正逆両方向に回動させる際において、高い実効性でコードCを覆い隠すことができる。
【0045】
上記したように図17の第3撮像姿勢に推移する場合、第1パーツ210と第2パーツ220とは、コードCから受ける力の向きにより逆方向に回動して、弧状周壁212と弧状周壁222を図19における上方側に当たる周壁一方端側で接近させる。しかしながら、第3撮像姿勢に推移する場合のヘッド側アーム160の回動角度は、上記したように弧状貫通孔192の弧状軌跡により規定されていることから、第3撮像姿勢において弧状周壁212と弧状周壁222とが接合しないよう、第1パーツ210と第2パーツ220では、上記弧状周壁の形成範囲が設定されている。その一方、第1パーツ210と第2パーツ220は、弧状周壁212と弧状周壁222を図19における下方側に当たる周壁他方端側で離間させるが、第3パーツ230では、こうした離間した上記両弧状周壁の隙間を塞ぐよう、第1弧状周壁233の形成範囲が設定されている。
【0046】
なお、図17に示す第3撮像姿勢での撮像の際には、カメラヘッド150のヘッド側アーム160が第2アーム132と共に第1アーム131に重なった図2の収納姿勢から、カメラヘッド150のヘッド側アーム160だけをヘッドアーム回動軸支機構180において反時計方向に回動させる。つまり、ヘッド側アーム160を、第1アーム131と重なった姿勢から起きあがるよう、第2アーム132に対して回動させるだけで済み、簡便である。
【0047】
また、本実施例の撮像装置100では、ヘッドアーム回動軸支機構180のコード被覆ユニット200を構成する第1パーツ210と第2パーツ220とを回動軸部材193の軸回りに回動可能とするに当たり、次のようにした。つまり、第1、第2の両パーツが有する弧状周壁212と弧状周壁222とを、その先端の凸状小片214と凸状小片224とが第3パーツ230における第1弧状貫通孔236と第2弧状貫通孔237に入り込ませた上で、第1、第2の弧状貫通孔を上記両弧状周壁の回動軌跡に沿った弧状経路で形成した。このため、第1パーツ210と第2パーツ220とを、それぞれの貫通孔のみならず弧状周壁先端でも保持していわゆる両持ち状での回動を起こすようにしたので、第1、第2の両パーツの回動動作の円滑化および安定化を図ることができる。このことは、ヘッドアーム回動軸支機構180におけるコード隠しの実効性向上に寄与する。
【0048】
また、本実施例の撮像装置100では、基台110は、被撮像物の載置ステージを有しないので、コンパクトとなることから、図2の収納姿勢における省スペース化を促進することができる。
【0049】
本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の態様で実施可能である。例えば、被撮像物の載置ステージを有する基台に対して、第1アーム131を立ち上げた上で、第2アーム132に対してカメラヘッド150のヘッド側アーム160をヘッドアーム回動軸支機構180を介して回動軸支するようにすることもできる。
【0050】
また、第3パーツ230が有する第1弧状貫通孔236と第2弧状貫通孔237とを、第1、第2の両パーツが有する弧状周壁212と弧状周壁222の凸状小片214と凸状小片224とが入り込む弧状軌跡の凹条とすることもできる。更には、第3パーツ230の第1弧状周壁233と第2弧状周壁234の内周壁で、第1、第2の両パーツが有する弧状周壁212と弧状周壁222をその外周壁で案内するようにしたり、第3パーツ230の第1弧状周壁233と第2弧状周壁234を第1、第2の両パーツが有する弧状周壁212と弧状周壁222の内周壁側に形成することもできる。
【0051】
本実施例では、第2アーム132において、ヘッド側アーム160の軸支のために二股状のアーム保持側係合腕182〜183を用いたが、アーム保持側係合腕を一本のみ有するものとできる。こうなると、ヘッド側アーム160の側の二股状のヘッド側係合腕186〜187を回動軸支する回動軸部材193は、第2アーム132の側ではいわゆる片持ちとなるが、一本のアーム保持側係合腕の厚みを厚くすることで、ヘッド側アーム160の回動軸支を図ることもできる。
【0052】
また、カメラ内蔵のカメラヘッドを回動軸支する撮像装置100を例に上げて説明したが、撮像装置以外の装置に用いられる回動軸支機構についてはもとより、カメラヘッド以外の電気機器内蔵の機器ユニットを有する他の装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
100…撮像装置
110…基台
130…カメラ保持アーム
131…第1アーム
132…第2アーム
132C…カバー
134…アーム回動軸支機構
136…アーム基部
138…陥没凹所
150…カメラヘッド
160…ヘッド側アーム
160C…カバー
180…ヘッドアーム回動軸支機構
181…アーム側フレーム
182〜183…アーム保持側係合腕
184…貫通孔
185…ヘッド側フレーム
186〜187…ヘッド側係合腕
188…貫通孔
189…回動規制部材
190…貫通孔
191…規制駒
192…弧状貫通孔
193…回動軸部材
200…コード被覆ユニット
210…第1パーツ
210P…プレート
211…貫通孔
212…弧状周壁
213…弧状突起
214…凸状小片
215…切欠
220…第2パーツ
220P…プレート
221…貫通孔
222…弧状周壁
224…凸状小片
225…切欠
226…段差
230…第3パーツ
230P…プレート
231…スリーブ
232…貫通孔
233…第1弧状周壁
234…第2弧状周壁
235…湾曲エッジ
236…第1弧状貫通孔
237…第2弧状貫通孔
CU…レンズユニット
L…光軸
C…コード
M…モニタ
SA…撮像領域
TP…立体被撮像物
ST…被撮像シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を内蔵した機器ユニットから延びたアームを軸支するアーム回動軸支機構であって、
前記アームの末端に設けられた二股状のアーム側係合腕と、
前記アームの回動軸支の対象となる回動保持側のアームの先端に設けられた回動保持側係合腕と、
該回動保持側係合腕と前記アーム側回動腕とが有する貫通孔に嵌合され、前記回動保持側係合腕に対して前記アームを前記アーム側回動腕を介して回動自在に軸支する回動軸と、
前記アーム側係合腕の一方の側に位置し、前記回動軸回りにそれぞれ回動可能とされた第1と第2の係合腕内部材と、
前記アーム側係合腕の他方の側に位置し、前記回動軸回りに回動可能とされた第3の係合腕内部材とを備え、
前記第1の係合腕内部材は、
前記第3の係合腕内部材の側に延びて前記アーム側係合腕の二股基部側を塞ぐ弧状の基部側周壁と、該基部側周壁に形成され前記電気機器から延びたコードが通過する基部側コード通過部とを備え、
前記第2の係合腕内部材は、
前記第3の係合腕内部材の側に延びて前記アーム側係合腕の二股先端側を塞ぐ弧状の先端側周壁と、該先端側周壁に形成され前記コードが前記回動軸との干渉を避けて通過する先端側コード通過部とを備え、
前記第3の係合腕内部材は、
前記第1と第2の係合腕内部材の側に延びて前記基部側周壁の端部と前記先端側周壁の端部との隙間を塞ぐ弧状の閉塞周壁を備える
アーム回動軸支機構。
【請求項2】
請求項1に記載のアーム回動軸支機構であって、
前記第3の係合腕内部材は、前記閉塞周壁を前記基部側周壁と前記先端側周壁の外側に備え、前記基部側周壁と前記先端側周壁が前記第1と第2の係合腕内部材と共に前記回動軸回りに回動する軌跡に沿った弧状の案内部を有する
アーム回動軸支機構。
【請求項3】
カメラヘッドに内蔵したカメラを撮像領域の被撮像物に向けて撮像する撮像装置であって、
基台と、
該基台から立ち上がる基台側第1アームと、
該基台側第1アームから前記撮像領域の上方に延びる基台側第2アームと、
該基台側第2アームを基台側第1アームに回動自在に軸支し、前記撮像領域の上方に延びる姿勢から前記基台側第1アームと重なる側への回動とこの逆の回動を前記基台側第2アームについて許容する基台側アーム回動軸支機構と、
前記カメラヘッドから前記カメラの光軸と交差して延びるヘッド側アームと、
該ヘッド側アームを前記基台側第2アームに沿って延在させた状態で前記基台側第2アームに対して回動自在に軸支する請求項1または請求項2に記載のアーム回動軸支機構とを備え、
該アーム回動軸支機構は、前記撮像領域の上方に延びた前記基台側第2アームに対する前記ヘッド側アームの回動を、前記カメラヘッドの前記カメラが前記基台側第1アームの側に向かうまで許容し、前記基台側第1アームと重なる側に回動した前記基台側第2アームに対する前記ヘッド側アームの回動を、前記カメラヘッドの前記カメラが前記撮像領域にその上方から向かうまで許容する
撮像装置。
【請求項4】
前記基台は前記撮像領域と干渉しない位置に配設される請求項4に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−200208(P2010−200208A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45249(P2009−45249)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】